(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、ハードコート層は、外力によって傷や圧痕がつかないように高硬度であることが要求されている。これに加え、近年は、擦り傷などが生じないような耐擦傷性も要求されている。しかしながら、このような耐擦傷性は、単にハードコート層の硬度を高めるだけでは対応できなかった。本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、高硬度でありながら、耐擦傷性も向上することができる、ディスプレイ用のカバーフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
項1.透明の基材フィルムと、
前記基材フィルムの少なくとも一方の面に積層された第1ハードコート層と、
前記第1ハードコート層上に積層される接着層と、
前記接着層上に積層され、前記第1ハードコート層よりも膜厚が小さく、フッ素系添加剤が含有される第2ハードコート層と、
を備え、
前記第1ハードコート層の表面鉛筆硬度は、7H以上であり、
前記第2ハードコート層の表面鉛筆硬度は、2H以上6H以下である、カバーフィルム。
【0006】
項2.前記第1ハードコート層は、前記基材フィルムの両面に積層されており、
一方の前記第1ハードコート層に、前記接着層及び前記第2ハードコート層がこの順で積層されている、項1に記載のカバーフィルム。
【0007】
項3.前記第1ハードコート層の膜厚は、5〜50μmである、項1または2に記載のカバーフィルム。
【0008】
項4.前記第2ハードコート層の膜厚は、1〜30μmである、項1から3のいずれかに記載のカバーフィルム。
【0009】
項5.前記第1ハードコート層は、分岐型のフッ素系添加剤を含有する、項1から4のいずれかに記載のカバーフィルム。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るカバーフィルムによれば、高硬度でありながら、耐擦傷性も向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るカバーフィルムの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るカバーフィルムの断面図である。
図1に示すように、このカバーフィルムは、透明の基材フィルム1と、この基材フィルム1の両面に積層される第1ハードコート層2と、一方の第1ハードコート層2に積層される接着層3と、この接着層3に積層される第2ハードコート層4と、を備えている。以下、各部材について、詳細に説明する。
【0013】
<1.基材フィルム>
本実施形態に係る基材フィルム1は、透明の種々の材料で形成することができ、例えば、セルロースアシレート、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、アクリレート系ポリマー、ポリエステル、ポリイミドなどで形成することができる。また、この基材フィルム1には、必要に応じて種々の添加剤を添加することができる。例えば、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
【0014】
基材フィルム1の厚みは、例えば、25μm以上300μm以下であることが好ましく、50μm以上200μm以下であることがより好ましく、75μm以上125μm以下であることがさらに好ましい。厚さが25μm未満であると、第2ハードコート層4の表面において十分な表面硬度が得られず、300μmより大きいと、カバーフィルムの生産性が低下する。
【0015】
<2.第1ハードコート層>
次に、第1ハードコート層2について説明する。第1ハードコート層2は、電離放射線硬化型樹脂、光重合開始剤などを含有する第1ハードコート層形成用樹脂組成物(以下、単に第1組成物という)を硬化させたものである。また、この組成物には、必要に応じて、後述する添加剤を配合することもできる。
【0016】
<2−1.電離放射線硬化型樹脂>
電離放射線硬化型樹脂とは、電離放射線(紫外線または電子線)により高分子化または架橋反応するラジカル重合性を有する化合物を含み、例えば、構造単位中にエチレン性の不飽和結合を少なくとも1個以上含む化合物、またはこれらの混合物とすることができる。
【0017】
不飽和結合を1個含む単官能の化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0018】
また、不飽和結合を2個含む二官能の化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0019】
また、不飽和結合を3個以上含む多官能化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等の(メタ)アクリレート化合物を挙げることができる。
【0020】
その他、上記(メタ)アクリレート化合物に、ウレタン系樹脂を混合することもできる。ウレタン系樹脂としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂を用いることができる。具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどを用いることができる。
【0021】
ウレタン系樹脂の分子量は、1000〜10000が好ましく、2000〜5000がさらに好ましい。なお、本明細書で使用する分子量との文言は、標準ポリマーとしてポリスチレンを用い、GPC法により測定した重量平均分子量を意味する。
【0022】
<2−2.光重合開始剤>
重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンジルメチルケタール類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のα−ヒドロキシケトン類、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1等のα−アミノケトン類、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,1'−ビイミダゾール、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール等のビスイミダゾール類、N−フェニルグリシン等のN−アリールグリシン類、4,4'−ジアジドカルコン等の有機アジド類、3,3',4,4'−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボキシル)ベンゾフェノン等の有機過酸化物類をはじめ、J.Photochem.Sci.Technol.,2,283(1987).に記載される化合物を挙げることができる。
【0023】
具体的には、鉄アレーン錯体、トリハロゲノメチル置換S−トリアジン、スルフォニウム塩、ジアゾニウム塩、フォスフォニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。また、ヨードニウム塩としては、Macromolecules,10,1307(1977).に記載の化合物、例えば、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、フェニル(p−アニシル)ヨードニウム、ビス(m−ニトロフェニル)ヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p −クロロフェニル)ヨードニウムなどのヨードニウムのクロリド、ブロミド、あるいはホウフッ化塩、ヘキサフルオロフォスフェート塩、ヘキサフルオロアルセネート塩、芳香族スルホン酸塩等や、ジフェニルフェナシルスルホニウム(n−ブチル)トリフェニルボレート等のスルホニウム有機ホウ素錯体類を挙げることができる。
【0024】
<2−3.添加剤>
第1組成物には、必要に応じて添加剤を配合することができる。例えば、レベリング、表面スリップ性、高水接触角性等を付与するシリコーン系、フッ素系の添加剤(例えば、レベリング剤)を挙げることができる。特に、第1ハードコート層2は、接着層3を積層するために、表面のレベリング性が求められるため、フッ素系添加物(分岐型)のような添加剤が含有されることが好ましい。これらの添加剤の配合量は、特には限定されないが、例えば、第1組成物100重量部に対し、0.1〜1.5重量部であることが好ましく、0.2〜1.2重量部がより好ましく、0.3〜1重量部がさらに好ましい。
【0025】
また、後述するように、第1ハードコート層2は、高い表面鉛筆硬度が求められるため、例えば、シリカ微粒子を混合することができる。シリカ微粒子としては、第1ハードコート層2の硬度を向上するものであれば特に制限されるものではないが、一次粒径5〜100nmのシリカ微粒子を用いることが好ましく、一次粒径が10〜80nmのシリカ微粒子がさらに好ましい。また、シリカ微粒子の配合量は、特には限定されないが、例えば、第1組成物100重量部に対し、20〜50重量部であることが好ましく、30〜40重量部がさらに好ましい。これは、20重量部未満では鉛筆硬度の向上が見られにくい一方、50重両部よりも多く配合すると耐摺動性能が低下するおそれがあることによる。
【0026】
<2−4.第1ハードコート層の物性>
第1ハードコート層2の厚みは、5〜50μmであることが好ましく、10〜45μmであることがさらに好ましく、20〜40μmであることが特に好ましい。これは、5μm未満であると、カバーフィルムの表面硬度が不十分になるからである。一方、50μmより大きいとカバーフィルムの硬化収縮が大きくなり、製造時の収縮によりカバーフィルムがカールするおそれがある点で好ましくない。
【0027】
また、第1ハードコート層2は、JIS5600−5−4(1999)で規定する表面鉛筆硬度試験で、7H以上であることが好ましく、8H以上であることがさらに好ましい。これにより、後述するように、第1ハードコート層2上に積層される第2ハードコート層4の表面硬度を向上することができる。
【0028】
<3.接着層>
接着層3は、第1及び第2ハードコート層1,2を接着できるものであれば、特には限定されないが、例えば、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、塩ビ・酢ビ共重合物、セルロース系等の接着剤を適宜使用することができる。また、接着層3の厚みは、例えば、0.1〜10μmとすることが好ましく、0.5〜7μmとすることがより好ましく、1〜5μmがさらに好ましい。
【0029】
<4.第2ハードコート層>
<4−1.第2ハードコート層の組成>
次に、第2ハードコート層4について説明する。第2ハードコート層4は、電離放射線硬化型樹脂、光重合開始剤などを含有する第2ハードコート層形成用樹脂組成物(以下、単に第2組成物という)を硬化させたものである。第2組成物は、第1組成物と同様の電離放射線硬化型樹脂、光重合開始剤を含有することができる。したがって、詳細な説明は省略する。
【0030】
添加物については、例えば、レベリング、表面スリップ性、高水接触角性等を付与するシリコーン系、フッ素系の添加剤(例えば、レベリング剤)を挙げることができる。特に、第2ハードコート層4は、耐擦傷性が求められるため、表面スリップ性、高水接触角性等を付与するために、フッ素系添加物(直鎖型)のような添加剤が含有されることが好ましい。これらの添加剤の配合量は、特には限定されないが、例えば、第2組成物100重量部に対し、0.1〜1.5重量部とすることが好ましく、0.2〜1.2重量部がより好ましく、0.3〜1重量部がさらに好ましい。また、光重合の際に、紫外線を利用する場合は、上述した添加剤の空気界面へのブリードによって、酸素による樹脂の硬化阻害を低下させることができる。したがって、低照射強度条件下においても有効な硬化度合を得ることができる。
【0031】
<4−2.第2ハードコート層の物性>
第2ハードコート層4の厚みは、1〜30μmであることが好ましく、2〜25μmであることがさらに好ましく、3〜15μmであることが特に好ましい。これは、1μm未満であると、カバーフィルムの表面硬度が不十分になるからである。一方、第2ハードコート層4の厚みが大きいほど、耐擦傷性能は向上するが、大きすぎると、製造時の収縮によりカバーフィルムがカールするおそれがある。
【0032】
また、第2ハードコート層4は、JIS5600−5−4(1999)で規定する表面鉛筆硬度試験で、第1ハードコート層よりも低い2H〜6Hであることが好ましい。これにより、後述するように、耐擦傷性能を向上することができる。
【0033】
<5.カバーフィルムの製造方法>
本実施形態に係るカバーフィルムの製造方法は、特には限定されないが、例えば、次のように行うことができる。
【0034】
まず、基材フィルム1を巻き取った繰り出しロールから基材フィルム1を繰り出す。そして、基材フィルム1の一方の面に第1組成物を塗布する。塗布方法としては、例えば、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター等の公知の方法を採用することができる。次に、第1組成物を乾燥させる。乾燥の方法は、特には限定されないが例えば、第1組成物が塗布された基材フィルムを、乾燥器内を通過させる方法が挙げられる。このときの乾燥温度は、例えば、40〜100℃であることが好ましい。その後、第1組成物を光重合により硬化させる。この硬化には、電離放射線源として紫外線を使用することが好ましく、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク等の光源を利用することができる。こうして、第1組成物が硬化し、第1ハードコート層2が形成される。その後、この基材フィルム1を巻き取りロールに巻き取る。なお、上記組成物の塗布、乾燥、光重合は、次に説明する接着層及び第2ハードコート層においても同様の方法が適用できる。
【0035】
次に、この巻き取りロールから基材フィルム1を繰り出し、第1ハードコート層2が積層された面とは反対側の面に、上記と同様に第1組成物を塗布し、同様の方法で、第1ハードコート層2を形成し、巻き取りロールに巻き取る。なお、基材フィルム1の両面に対し、同時に第1組成物を塗布し、硬化させることで、第1ハードコート層2を同時に形成することもできる。
【0036】
続いて、巻き取りロールから基材フィルム1を繰り出し、一方の第1ハードコート層2上に接着層用組成物を塗布し、乾燥することで接着層3を形成する。次に、接着層3上に第2組成物を塗布し、乾燥した後、光重合により硬化し、第2ハードコート層4を形成する。その後、この基材フィルム1を巻き取りロールに巻き取り、カバーフィルムが完成する。
【0037】
<6.特徴>
本実施形態に係るカバーフィルムによれば、以下の効果を得ることができる。
(1)第1ハードコート層2の表面鉛筆硬度が7H以上と高いため、カバーフィルムの表面硬度を高めることができる。
【0038】
(2)第2ハードコート層4の表面鉛筆硬度を、第1ハードコート層2よりも低く、2H〜6Hであるため、耐擦傷性を向上することができる。特に、第2ハードコート層4の膜厚が大きいほど、耐擦傷性能が向上する。また、フッ素系添加物のような摺動性を向上する添加物を含有させると、より耐擦傷性能を向上ることができる。なお、第2ハードコート層4の表面鉛筆硬度は第1ハードコート層2よりも低いが、第1ハードコート層2の表面鉛筆硬度は7H以上であるため、カバーフィルムとしての表面硬度を担保することができる。
【0039】
(3)接着層3を設けることで、第1ハードコート層2と第2ハードコート層4との密着性が高まり、後述する耐擦傷性試験を行ったとき、第2ハードコート層4が剥がれるのを防止することができる。したがって、耐擦傷性能を向上することができる。
【0040】
(4)本実施形態では、基材フィルム1の両面に第1ハードコート層2を積層しているが、これにより、カバーフィルムのカールを低減することができる。例えば、基材フィルム1の一方面にのみ、第1ハードコート層2を積層すると、第1ハードコート層2の膜厚にもよるが、製造時の収縮によりカールが生じるおそれがある。したがって、本実施形態のように第1ハードコート層2を基材フィルム1の両面に積層すると有利である。但し、
図2に示すように、基材フィルム1の一方の面にのみ、第1ハードコート層2、接着層3、及び第2ハードコート層4を順次積層したものをカバーフィルムとすることもできる。
【実施例】
【0041】
次に、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0042】
<1.実施例及び比較例の作製>
以下では、実施例1〜4及び比較例に係るカバーフィルムの作製について説明する。実施例1〜4は、上記
図1で示す層構成を有している。一方、比較例は、基材フィルムの両面に第1ハードコート層が積層され、接着層及び第2ハードコート層は設けられていない。
【0043】
(1) 基材フィルム:100μm厚のPETフィルム
(2) 接着層:ポリエステル系樹脂を膜厚2μmで成膜
【0044】
(3) 第1ハードコート層、第2ハードコート層の組成
【表1】
(単位は重量部)
・組成1:多官能アクリレート(有機−無機ハイブリッド)
・組成2:2官能ウレタンアクリレート
・組成3:フッ素系添加剤(直鎖型)
・組成4:フッ素系添加剤(分岐型)
・組成5:フッ素系添加剤(直鎖型)含有多官能アクリレート(有機系の組成のみ含有)
・組成6:1−ヒドロキシ−シクロへキシルフェニルケトン
【0045】
(4) 第1ハードコート層、第2ハードコート層の膜厚(単位はμm)
【表2】
【0046】
(5) 第1ハードコート層及び第2ハードコート層の表面鉛筆硬度
実施例1〜4及び比較例を構成する第1ハードコート層及び第2ハードコート層の表面鉛筆硬度は、以下の通りである。なお、表面鉛筆硬度は、JIS5600−5−4(1999)で規定する表面鉛筆硬度試験にて測定した。
【表3】
【0047】
<2.表面鉛筆硬度試験>
上記実施例1〜4及び比較例に対し、JIS5600−5−4(1999)で規定する表面鉛筆硬度試験を行った。実施例1〜8に対しては、第2ハードコート層に試験を行った。一方、比較例に対しては、第1ハードコート層に試験を行った。結果は、以下の通りである。
【表4】
【0048】
<3.耐擦傷性評価試験>
実施例1〜4の第2ハードコート層、及び比較例の第1ハードコート層の表面に1kgf/cm
2の荷重がかかるようにスチールウール#0000を配置し、14cm/secの速度で、7cm往復させた。そして、10000往復させ、傷の発生を目視で確認した。結果は、以下の通りである。
【表5】
【0049】
<4.考察>
上記のように、実施例1〜4では、第2ハードコート層の表面鉛筆硬度は大きくはないものの、これを支持する第1ハードコート層の表面鉛筆硬度が高いため、カバーフィルム全体としての表面鉛筆硬度は、いずれも7H以上となっており、高い表面硬度が実現されている。したがって、実施例1〜4では、外力が作用したときの凹みなどの傷が生じるのを防止することが期待される。
【0050】
一方、耐擦傷性試験において、実施例1〜4は、ハードコート層が一層しかない比較例に比べ高い耐擦傷性能を示している。特に、実施例2〜4のように第2ハードコート層の膜厚が大きくなると、耐擦傷性能がさらに高くなることが分かった。
本発明に係るカバーフィルムは、透明の基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも一方の面に積層された第1ハードコート層と、前記第1ハードコート層上に積層される接着層と、前記接着層上に積層され、前記第1ハードコート層よりも膜厚が小さく、フッ素系添加剤が含有される第2ハードコート層と、を備え、前記第1ハードコート層の表面鉛筆硬度は、7H以上であり、前記第2ハードコート層の表面鉛筆硬度は、2H以上6H以下である。