特許第6733085号(P6733085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6733085
(24)【登録日】2020年7月13日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】棒状化粧料繰出容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/04 20060101AFI20200716BHJP
【FI】
   A45D40/04 B
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-100835(P2017-100835)
(22)【出願日】2017年5月22日
(65)【公開番号】特開2017-209494(P2017-209494A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年3月13日
(31)【優先権主張番号】特願2016-103366(P2016-103366)
(32)【優先日】2016年5月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】石田 行一
【審査官】 石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−058533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00−40/30
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器前部及び当該容器前部に軸線周りに回転可能に装着された容器後部を備えた筒状の容器と、前記容器前部に対し軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能とされ、先端に棒状化粧料を支持し外周部に雄螺子を備えた移動体と、前記容器後部に対し軸線周りに回転不能とされ、内周部に前記雄螺子に螺合する雌螺子を備えた雌螺子部と、を具備し、前記容器前部と前記容器後部の相対回転によって、前記雄螺子及び前記雌螺子より構成された螺合部が働いて前記移動体が進退し前記棒状化粧料が容器先端の開口から出没する棒状化粧料繰出容器であって、
前記雌螺子部は、軸線方向に移動可能とされ、
前記移動体が後退限に位置する状態、及び、前記移動体が前記後退限から前進した状態において、前記雌螺子部の軸線方向前方への移動を抑制する第1の弾性体と、
前記移動体が前記後退限に位置する状態、及び、前記移動体が前記後退限から前進した状態において、前記雌螺子部の軸線方向後方への移動を抑制する第2の弾性体と、を備え、
前記第1の弾性体と前記第2の弾性体とは、軸線方向に沿って径方向に重なるように配置されていることを特徴とする棒状化粧料繰出容器。
【請求項2】
前記第2の弾性体の後端部には、前記第1の弾性体による軸線方向後方への弾発により前記容器後部に軸線周りに回転不能に係合する回り止め部が連設されることを特徴とする請求項1記載の棒状化粧料繰出容器。
【請求項3】
軸線方向前方から後方へ向かって、前記雌螺子部、前記第2の弾性体、前記回り止め部がこの順で連設された雌螺子部材を備えることを特徴とする請求項2記載の棒状化粧料繰出容器。
【請求項4】
前記容器後部は、前記容器前部の軸線方向途中から外挿される継ぎ具、及び、前記継ぎ具に外挿される本体筒を備え、
前記継ぎ具は、その後部に前記第1の弾性体を備え、前記第1の弾性体より前側が、前記本体筒に軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動不能に装着され、前記第1の弾性体より後側が、前記容器前部の後部の外周側に軸線周りに回転可能且つ軸線方向に移動不能に装着され、
前記雌螺子部材の前記第2の弾性体と前記回り止め部との間は、前記容器前部の後部の内周側に軸線周りに回転可能且つ軸線方向に移動不能に装着されていることを特徴とする請求項3記載の棒状化粧料繰出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状化粧料を出没可能とする棒状化粧料繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状化粧料繰出容器として、以下の特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1に記載の棒状化粧料繰出容器は、容器前部と、この容器前部に回転可能且つ軸線方向に移動不能に装着された容器後部と、容器前部に対し軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能とされ、先端に棒状化粧料を支持し外周部に雄螺子を備えた移動体と、容器後部に対し軸線周りに回転不能とされ、内周部に雄螺子に螺合する雌螺子を備えた雌螺子部材と、を具備し、容器前部と容器後部が相対回転されると、雄螺子及び雌螺子より構成された螺合部が働いて移動体が進退し棒状化粧料が容器先端の開口から出没するものである。
【0003】
特に、この棒状化粧料繰出容器にあっては、雌螺子部材が、前側から後側に向かって、雌螺子、軸線方向に伸縮可能なバネ部をこの順に備えると共に、バネ部後端の軸線方向の移動がほぼ阻止された状態とされているため、例えば落下等により雌螺子部材に対して軸線方向前後の何れの方向に衝撃が作用しても、バネ部が軸線方向に縮退又は伸張し(伸縮し)これに伴い雌螺子も軸線方向前後に移動しこれに従い雌螺子に螺合する雄螺子を有する移動体も前後に移動し、その結果、棒状化粧料への衝撃を吸収でき、棒状化粧料を保護できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−96009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、前述したように、上記棒状化粧料繰出容器にあっては、雌螺子部材に対して軸線方向(後方又は前方)に衝撃が作用すると、バネ部が縮退又は伸張しこの衝撃を吸収するわけであるが、縮退又は伸張後に元の形状に復元すべく、勢い良く軸線方向反対方向へ伸張又は縮退する。従って、棒状化粧料には、復元力による衝撃が再び作用することになり、棒状化粧料の保護をより高めることが望まれている。また、棒状化粧料繰出容器のようなペンシル型の化粧料容器にあっては、持ち運びが便利で見た目の良いコンパクトなものが求められている。
【0006】
そこで、本発明は、棒状化粧料を十分に保護できると共にコンパクト化された棒状化粧料繰出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による棒状化粧料繰出容器は、容器前部及び当該容器前部に軸線周りに回転可能に装着された容器後部を備えた筒状の容器と、容器前部に対し軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能とされ、先端に棒状化粧料を支持し外周部に雄螺子を備えた移動体と、容器後部に対し軸線周りに回転不能とされ、内周部に雄螺子に螺合する雌螺子を備えた雌螺子部と、を具備し、容器前部と容器後部の相対回転によって、雄螺子及び雌螺子より構成された螺合部が働いて移動体が進退し棒状化粧料が容器先端の開口から出没する棒状化粧料繰出容器であって、雌螺子部は、軸線方向に移動可能とされ、移動体が後退限に位置する状態、及び、移動体が後退限から前進した状態において、雌螺子部の軸線方向前方への移動を抑制する第1の弾性体と、移動体が後退限に位置する状態、及び、移動体が後退限から前進した状態において、雌螺子部の軸線方向後方への移動を抑制する第2の弾性体と、を備え、第1の弾性体と第2の弾性体とは、軸線方向に沿って径方向に重なるように配置されていることを特徴としている。
【0008】
このような棒状化粧料用繰出容器によれば、棒状化粧料は移動体の先端に支持され、この移動体の雄螺子に螺合する雌螺子を備えた雌螺子部に対して、軸線方向の衝撃が作用し、当該雌螺子部が軸線方向前方へ移動する際には、雌螺子部の前方への移動が第1の弾性体により抑制され、その衝撃が吸収される。その後、第1の弾性体には、元の形状に復元する復元力が働き、雌螺子部は後方へ移動するが、この雌螺子部の後方への移動は第2の弾性体により抑制され、第1の弾性体の復元力による衝撃は吸収される。また、雌螺子部に対して、軸線方向の衝撃が作用し、当該雌螺子部が軸線方向後方へ移動する際には、雌螺子部の後方への移動が第2の弾性体により抑制され、その衝撃が吸収される。その後、第2の弾性体には、元の形状に復元する復元力が働き、雌螺子部は前方へ移動するが、この雌螺子部の前方への移動は第1の弾性体により抑制され、第2の弾性体の復元力による衝撃は吸収される。このように、雌螺子部に作用する軸線方向の衝撃は一方の弾性体で吸収され、一方の弾性体が復元する際の復元力による衝撃は他方の弾性体で吸収されるため、移動体の先端に支持された棒状化粧料を十分に保護することができる。しかも、第1の弾性体と第2の弾性体とは、軸線方向に沿って、直列ではなく径方向に重なるように配置されるため、軸線方向にコンパクト化することができる。
【0009】
ここで、上記作用を好適に奏する構成としては、具体的には、第2の弾性体の後端部には、第1の弾性体による軸線方向後方への弾発により容器後部に軸線周りに回転不能に係合する回り止め部が連設される構成が挙げられる。
【0010】
また、上記作用を好適に奏する構成としては、具体的には、軸線方向前方から後方へ向かって、雌螺子部、第2の弾性体、回り止め部がこの順で連設された雌螺子部材を備える構成が挙げられる。
【0011】
さらにまた、上記作用を好適に奏する構成としては、具体的には、容器後部は、容器前部の軸線方向途中から外挿される継ぎ具、及び、継ぎ具に外挿される本体筒を備え、継ぎ具は、その後部に第1の弾性体を備え、第1の弾性体より前側が、本体筒に軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動不能に装着され、第1の弾性体より後側が、容器前部の後部の外周側に軸線周りに回転可能且つ軸線方向に移動不能に装着され、雌螺子部材の第2の弾性体と回り止め部との間は、容器前部の後部の内周側に軸線周りに回転可能且つ軸線方向に移動不能に装着される構成も挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
このように本発明によれば、棒状化粧料を十分に保護でき、しかもコンパクト化も達成できる棒状化粧料繰出容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る棒状化粧料繰出容器を示す縦断面図である。
図2図1に示す棒状化粧料繰出容器からキャップを取り外し移動体を前進限まで前進させた状態を示す縦断面図である。
図3図1に示す棒状化粧料繰出容器の雌螺子部材に軸線方向前方への衝撃が作用した状態を示す縦断面図である。
図4図3に示す状態から雌螺子部材に弾性体の復元力による軸線方向後方への衝撃が作用した状態を示す縦断面図である。
図5図1中の容器後部を示す斜視図である。
図6図5に示す容器後部の縦断斜視図である。
図7図5及び図6に示す容器後部の縦断面図である。
図8図1中の雌螺子部材を示す斜視図である。
図9図8に示す雌螺子部材の縦断斜視図である。
図10図8に示す雌螺子部材の正面図である。
図11図10の平面図である。
図12図10の左側面図である。
図13】本発明の第2実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の雌螺子部材を示す斜視図である。
図14図13に示す雌螺子部材の正面図である。
図15図14の平面図である。
図16】本発明の第3実施形態に係る棒状化粧料繰出容器を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による棒状化粧料繰出容器の好適な実施形態について図1図16を参照しながら説明する。図1図12は、本発明の第1実施形態を、図13図15は、本発明の第2実施形態を、図16は、本発明の第3実施形態を各々示すものであり、各図において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
先ず、図1図12に示す第1実施形態を説明する。
【0016】
図1は、第1実施形態に係る棒状化粧料繰出容器を示す縦断面図、図2は、棒状化粧料繰出容器からキャップを取り外し移動体を前進限まで前進させた状態を示す縦断面図、図3は、図1に示す棒状化粧料繰出容器の雌螺子部材に軸線方向前方への衝撃が作用した縦断面図、図4は、図3の状態から雌螺子部材に弾性体の復元力による軸線方向後方への衝撃が作用した縦断面図、図5図7は、容器後部を示す各図、図8図12は、雌螺子部材を示す各図であり、本実施形態の棒状化粧料繰出容器は、例えば、アイライナー、アイブロー、リップライナー、コンシーラー等を始めとした種々の棒状化粧料を収容し、使用者が必要に応じて適宜出没可能とするものである。
【0017】
図1に示すように、棒状化粧料繰出容器100は、全体形状が筆記具の如き細長い丸棒状を呈するものである。ここでは、図1に示す棒状化粧料繰出容器100に対し説明していくが、この棒状化粧料繰出容器100を所謂棒状化粧料カートリッジとしてカートリッジ収容容器(不図示)の一方端側に着脱可能(若しくは着脱不能)に装着し使用することもできる。
【0018】
棒状化粧料繰出容器100は、容器前部を構成する先筒1と、容器後部を構成する本体筒2とにより外観が構成された筒状容器であり、これらの先筒1及び本体筒2内に、棒状化粧料Mと、棒状化粧料Mを支持すると共に螺合部を含む移動体である棒状化粧料支持体3と、螺合部及び弾性体4bを含む雌螺子部材4と、弾性体4bとは別の弾性体5と、を収容する。なお、先筒1を覆うように本体筒2の前側には、キャップ6が着脱可能に装着される。
【0019】
本体筒2は、図1及び図5図7に示すように、有底円筒状を呈し、先端側の内周面に、先筒1を軸線方向に係合するための凹部2aが円環状に設けられる。また、本体筒2の後部の内周面には、底部から軸線方向前側へ延びる突条2bが、雌螺子部材4を回転方向に係合するためのものとして周方向に沿って複数個設けられる。なお、本体筒2の符号2c,2d,2eに関しては後述する。
【0020】
雌螺子部材4は、樹脂により一体成形され、図1及び図8図12に示すように、略円筒状に構成され、その先端側から後端側に向かって、雌螺子部4a、弾性体(第2の弾性体)4b、回り止め部4cが、この順に連設される。
【0021】
雌螺子部4aは、円筒状を呈し、その先端側の内周面に、螺合部の一方を構成する一対の螺合突起(雌螺子)4d,4dが対向して設けられる。
【0022】
弾性体4bは、ここでは、雌螺子部4a及び回り止め部4cと一体成形された樹脂バネである。この樹脂バネ4bは、略矩形断面で一定太さ(一定厚)の環状部4eを軸線方向に離間して複数並べ、これらの環状部4eを、軸線方向に延び径方向に対向する一対の連結部4f,4fで連結したものである。環状部4eは、ここでは、円環状を成し、一対の連結部4f,4fは、軸線方向に隣り合う一対の連結部4f,4fに対して、軸線周りに90°互いにずれて配設される。そして、樹脂バネ4bは、上記のような環状部4e及び連結部4f,4fを有することにより、回転方向に捩れないように(捩れ難く)なっている。この樹脂バネ4bは、雌螺子部4aの軸線方向後方への移動を抑制する。
【0023】
回り止め部4cは、樹脂バネ4bの後端部に連設され樹脂バネ4bより大径の円筒部4gと、円筒部4gの外周面に周方向に沿って等間隔に設けられた複数(ここでは4個)の突起4hと、を備える。突起4hは、本体筒2の突条2bに回転方向に係合するためのものである。
【0024】
そして、雌螺子部材4は、図1に示すように、その後端側から本体筒2に内挿され、その突起4hが本体筒2の突条2b,2b(図6及び図7参照)同士の間に進入し回転方向に係合することにより、本体筒2に対して軸線方向に移動可能且つ軸線周りに回転不能(同期回転可能)に装着される。
【0025】
先筒1は、軸線方向中程の外周面に段差部1aを有する段付き円筒状に構成され、段差部1aより後側に続く小径の円筒部が、本体筒2に内挿される内挿部とされると共に、段差部1aより前側に続く大径で先端に向けて先細り形状となる円筒部が、本体筒2の先端から突出し使用者により摘まれる摘み部とされる。先筒1の段差部1aより後側の外周面には、本体筒2の凹部2aに軸線方向に係合するための凸部1bが円環状に設けられる。
【0026】
先筒1には、先端の開口1hから後方へ向かって延び棒状化粧料Mの摺動を可能とする棒状化粧料孔1cが設けられる。この棒状化粧料孔1cの周囲の複数箇所(ここでは四等配の位置)には、開口1hの近傍から先筒1の後部に亘って、棒状化粧料支持体3の後述する支持片3eを収容し摺動を可能とする支持片溝1dが連設される。そして、これらの棒状化粧料孔1c及び当該棒状化粧料孔1c周囲の支持片溝1d〜1dにより、棒状化粧料M及び支持片3eが摺動する進退孔1eが構成される。ここでは、棒状化粧料孔1cは棒状化粧料Mと同様な断面円形とされ、支持片溝1dは断面略矩形とされる。そして、支持片溝1dの先端面1gが、棒状化粧料支持体3の支持片3eの先端が突き当たる棒状化粧料支持体3の前進限とされる(図2参照)。
【0027】
なお、断面非円形の進退孔1eは、雌螺子部材4に軸線方向前方への衝撃が作用し雌螺子部材4が前方へ移動する際(詳しくは後述)に、当該雌螺子部材4が前方へ移動し得る位置(図3参照)まで設けられており、この断面非円形の進退孔1eの後端(雌螺子部材4が前方へ移動した位置)から先筒1の後端の開口に亘っては、棒状化粧料支持体3(特に後述の支持部3a)及び雌螺子部材4の雌螺子部4aが移動できる断面円形の筒孔が形成される。
【0028】
そして、先筒1は、その内挿部から本体筒2に内挿され、その段差部1aが本体筒2の先端面に突き当てられ、その凸部1bが本体筒2の凹部2aに軸線方向に係合することにより、本体筒2に対して軸線方向に移動不能且つ軸線周りに回転可能に装着される。
【0029】
棒状化粧料支持体3は、棒状化粧料Mの後端部を支持するための支持部3aと、支持部3aより後側の軸体部3bと、を備える。軸体部3bは、軸線方向に延在する軸体であり、当該軸体部3bの外周面には、螺合部の他方を構成する雄螺子3cが軸線方向に延びるように設けられる。なお、雄螺子3cの先端は、棒状化粧料支持体3の後退限においてそれ以上繰り戻し方向に回転操作された際の螺合突起4dとの螺合を解除すべく、先端より後側の雄螺子3cより低くされている。また、雄螺子3cの終端(後端)は、棒状化粧料支持体3の前進限においてそれ以上繰り出し方向に回転操作された際の螺合突起4dとの螺合を解除すべく、そのまま後方へ抜けるように構成される(詳しくは後述)。
【0030】
軸体部3bより前側の支持部3aは、その外形が棒状化粧料Mの外形に略一致する断面円形を成し棒状化粧料Mの後端面を突き当てるための基部3dと、この基部3dにおける外周面の周方向の複数位置(ここでは四等配の位置)に先端側に向かって突出するように設けられ、基部3dに突き当てられた棒状化粧料Mの後端部を相互間に挟んで支持する支持片3eと、を備える。
【0031】
そして、棒状化粧料支持体3は、その先端側から先筒1の後端側に内挿され、その基部3dが先筒1の棒状化粧料孔1cに進入すると共に、その支持片3eが先筒1の支持片溝1dに進入するようにして、進退孔1eに内挿される。従って、棒状化粧料支持体3の支持片3eが進入する支持片溝1dは、棒状化粧料支持体3の回り止めとされ、棒状化粧料支持体3は、先筒1に対して軸線方向に移動可能且つ軸線周りに回転不能に装着される。この状態で、棒状化粧料支持体3は、その軸体部3bが雌螺子部材4内に進入し、その雄螺子3cが雌螺子部材4の螺合突起4dに螺合する状態とされる。
【0032】
また、先筒1の後端面1fと雌螺子部材4の回り止め部4cの円筒部4gとの間には、弾性体(第1の弾性体)5が挟まれるように介装される。弾性体5は、ここでは、コイルバネ(圧縮コイルバネ)であり、上記樹脂バネ4bよりバネ定数が小さく設定される。このコイルバネ5は、雌螺子部材4の樹脂バネ4bを囲繞するように、換言すれば、軸線方向に沿って樹脂バネ4bの外方で径方向に重なるように配置される。なお、コイルバネ5の端部は、固定されていなくても、固定されていても良い。
【0033】
コイルバネ5は、棒状化粧料支持体3が図1に示す初期位置である後退限に位置する状態において、本体筒2の突条2b,2b同士の間に進入した突起4h及び円筒部4g、すなわち回り止め部4cを、本体筒2の底部に密着するように付勢(弾発)し、回り止め部4c(突起4h)を本体筒2に対して回転不能に係合する。そして、コイルバネ5は、先筒1と雌螺子部材4(雌螺子部4a)との間で付勢力(弾発力)を蓄積し、雌螺子部材4(雌螺子部4a)の軸線方向前方への移動を抑制する。
【0034】
なお、前述したように、棒状化粧料繰出容器100を棒状化粧料カートリッジとし、長尺な円筒状のカートリッジ収容容器(不図示)の一方端側に装着して使用することもできる。具体的には、特に図5図7に示すように、本体筒2の前側の外周面に向けられた鍔部2cより後側の部分を、カートリッジ収容容器の一方端側の開口に内挿して鍔部2cをカートリッジ収容容器の先端面に突き当て、本体筒2の鍔部2cより後側の外周面に設けられた円環状の凸部2dを、カートリッジ収容容器の内周面の凹部(不図示)に軸線方向に係合することによって、本体筒2をカートリッジ収容容器に対して軸線方向に着脱可能又は着脱不能とすると共に、本体筒2の後部の外周面に周方向に沿って凹凸が密に並設され軸線方向に所定長延びるローレット2eを、カートリッジ収容容器のローレット(不図示)に回転方向に係合することによって、本体筒2をカートリッジ収容容器に対して軸線周りに回転不能に装着し、棒状化粧料カートリッジとカートリッジ収容容器とを一体化した長尺な棒状化粧料繰出容器として使用することもできる。この場合は、先筒1が容器前部を構成し、本体筒2と一体化されたカートリッジ収容容器が容器後部を構成する。
【0035】
次に、棒状化粧料繰出容器100の作用を説明する。
【0036】
使用者により、図1に示すキャップ6が取り外され、先筒1と本体筒2とが一方向である繰り出し方向に相対回転(回転操作)されると、棒状化粧料支持体3の雄螺子3c及び雌螺子部材4の螺合突起4dより成る螺合部の螺合作用が働き、棒状化粧料支持体3が前進し、棒状化粧料Mが先筒1の先端の開口1hから出現して塗布に供することができる(図2参照)。このとき、棒状化粧料Mを塗布する際の圧力(筆圧)は、樹脂バネ4bにより吸収され、支障なく塗布できる。
【0037】
そして、塗布が終了し、使用者により、先筒1と本体筒2とが一方向の反対方向である繰り戻し方向に相対回転(回転操作)されると、棒状化粧料支持体3が後退し、棒状化粧料Mが先筒1の先端の開口1hから没入する。
【0038】
ここで、棒状化粧料繰出容器100を例えば先端側から落下した場合には、図3に示すように、その衝撃で先ず雌螺子部4a(雌螺子部材4)が軸線方向前方へ移動する。この雌螺子部4aの軸線方向前方への移動は、コイルバネ5により抑制されて付勢力(弾発力)が蓄積され、その衝撃が吸収(緩衝)される。その後、コイルバネ5には、元の形状に復元する(戻る)復元力が働き、雌螺子部4aは、図4に示すように、軸線方向後方へ移動する。この雌螺子部4aの軸線方向後方への移動は、樹脂バネ4bにより抑制されて付勢力(弾発力)が蓄積され、コイルバネ5の復元力による衝撃が吸収(緩衝)される。そして、この軸線方向の衝撃吸収動作が繰り返されて減衰する。
【0039】
また、棒状化粧料繰出容器100を例えば後端側から落下した場合には、図4に示すように、その衝撃で先ず雌螺子部4aが軸線方向後方へ移動する。この雌螺子部4aの軸線方向後方への移動は、樹脂バネ4bにより抑制されて付勢力(弾発力)が蓄積され、その衝撃が吸収(緩衝)される。その後、樹脂バネ4bには、元の形状に復元する(戻る)復元力が働き、雌螺子部4aは、図3に示すように、軸線方向前方へ移動する。この雌螺子部4aの軸線方向前方への移動は、コイルバネ5により抑制されて付勢力(弾発力)が蓄積され、樹脂バネ4bの復元力による衝撃が吸収(緩衝)される。そして、この軸線方向の衝撃吸収動作が繰り返されて減衰する。
【0040】
このように、本実施形態においては、雌螺子部4aに作用する軸線方向の衝撃は、一方のバネ4b(5)で吸収され、一方のバネ4b(5)が復元する際の復元力による衝撃は、他方のバネ5(4b)で吸収されるため、雌螺子部4a(螺合突起4d)に螺合する棒状化粧料支持体3に支持された棒状化粧料Mを十分に保護できる。しかも、バネ同士、すなわち、コイルバネ5と樹脂バネ4bとが、軸線方向に沿って、直列ではなく径方向に重なるように配置されるため、棒状化粧料繰出容器100を軸線方向にコンパクト化できる。
【0041】
なお、前述したように棒状化粧料繰出容器100を棒状化粧料カートリッジとしてカートリッジ収容容器と一体化した場合も、上記と同様な作用・効果を奏するのはいうまでもない。
【0042】
因みに、上記棒状化粧料繰出容器100において、使用者による繰り出し方向への回転操作が続けられ、図2に示すように、棒状化粧料支持体3が前進限に達しさらに同方向への回転操作が続けられると、樹脂バネ4bが捩れずに、雄螺子3cの終端がそのまま後方へ抜けていることから、樹脂バネ4bが縮退しながら螺合突起4dと雄螺子3cとの螺合が解除され、その後、螺合突起4dは樹脂バネ4bの付勢力により前方へ押され雄螺子3cと再度螺合し、この螺合/螺合解除を繰り返し、過負荷が作用しないようになっている。
【0043】
また、使用者による繰り戻し方向への回転操作が続けられ、棒状化粧料支持体3が図1に示す初期位置である後退限に達しさらに同方向への回転操作が続けられると、樹脂バネ4bが捩れずに、雄螺子3cの先端が低くされていることから、雄螺子3cと螺合突起4dの螺合が解除されて空転し、過負荷が作用しないようになっている。
【0044】
なお、上記進退限での回転操作でも捩れない樹脂バネ4bに代えて、進退限での回転操作により捩れてしまう例えば通常のコイルバネや螺旋状の樹脂バネ等を用いた場合には、棒状化粧料支持体3が前進限に達すると、コイルバネや螺旋状の樹脂バネが、ある程度捩れた後に、螺合突起4dと雄螺子3cとの螺合が解除されることになり、タイムラグが生じてしまう。また、棒状化粧料支持体3が後退限に達すると、コイルバネや螺旋状の樹脂バネが、ある程度捩れた後に、空転を開始することになり、タイムラグが生じてしまう。すなわち、雌螺子部材4においてコイルバネや螺旋状の樹脂バネ等を用いた場合には、進退限においてタイムラグを生じるが、本実施形態のように回転方向に捩れない樹脂バネ4bを用いることにより、進退限におけるタイムラグの発生を抑制でき、部品の損傷を防止できる。
【0045】
図13は、本発明の第2実施形態に係る棒状化粧料繰出容器の雌螺子部材を示す斜視図、図14は正面図、図15は平面図である。
【0046】
図13図15に示すように、第2実施形態の棒状化粧料繰出容器が第1実施形態の棒状化粧料繰出容器と違う点は、雌螺子部材4に代えて、樹脂バネ4bの形状を変更した樹脂バネ14bを有する雌螺子部材14を用いた点である。
【0047】
具体的には、樹脂バネ14bは、第1実施形態とは形状が異なる環状部14eを軸線方向に並べ、これらの環状部14eを、軸線方向に短尺に延び径方向に対向する一対の連結部14f,14fで連結したものであり、一対の連結部14f,14fは、第1実施形態と同様に、軸線方向に隣り合う一対の連結部14f,14fに対して、軸線周りに90°互いにずれて配設される。
【0048】
環状部14eは、一対の連結部14f,14fのうちの一方の連結部14fから他方の連結部14fに亘って周方向に沿って対向する(向かい合う)部分が、径方向外周側に行くに従い、相手側の対向する(向かい合う)環状部14eから離れていくように傾斜する傾斜面14iを有する構成とされる。
【0049】
より具体的には、一対の連結部14f,14fが重なる側面視において(例えば図14参照)、互いに対向する傾斜面14i,14iによりV字及び逆V字が連結部14fを間に挟み上下方向に並ぶように形成され、その隣に、一対の連結部14f,14fが重なる平面視において(例えば図15参照)、互いに対向する傾斜面14i,14iによりV字及び逆V字が連結部14fを間に挟み左右方向に並ぶように形成され、この並びが軸線方向に沿って繰り返し続くようになっている。
【0050】
このような樹脂バネ14bであっても、第1実施形態と同様に、回転方向に捩れないように(捩れ難く)なっており、第1実施形態と同様な作用・効果が得られるというのはいうまでもない。
【0051】
なお、第1、第2実施形態においては、特に好ましいとして、第1の弾性体をコイルバネとし、第2の弾性体を樹脂バネ4b,14bとしているが、第1の弾性体を例えば樹脂バネ等とし、第2の弾性体を例えば硬いコイルバネ等としても良い。
【0052】
また、第1、第2実施形態においては、構造の簡易化から、第1の弾性体を第2の弾性体の外側に配置しているが、内側に配置するようにしても良い。
【0053】
図16は、本発明の第3実施形態に係る棒状化粧料繰出容器を示す縦断面図である。この第3実施形態の棒状化粧料繰出容器300にあっては、容器後部が、継ぎ具16及び本体筒12を備えている。継ぎ具16は、その先端面が、容器前部を構成する先筒11の段差部11aに突き当てられるようにして、先筒11の軸線方向途中から外挿され、本体筒12は、継ぎ具16の軸線方向途中から外挿される。すなわち、継ぎ具16は、先筒11に外挿されると共に本体筒12に内挿される。
【0054】
先筒11は、段差部11aより後側の部分が第1実施形態の先筒1より後側へ長く延びている。先筒11において、棒状化粧料支持体3が図16に示す初期位置(後退限)に位置しているときの基部3dより後側は、拡径された拡径部11bとされ、当該拡径部11bに雌螺子部材24が収容される。
【0055】
先筒11の後部の外周面には、継ぎ具16の後端部に軸線方向に係合するための凹部11cが円環状に設けられる。また、先筒11の後部の上記凹部11cより前側の内周面には、雌螺子部材24の後述する中間部24kに軸線方向に係合するための凸部11dが円環状に設けられる。すなわち、先筒11の後部の外周側と内周側には、それぞれ係合部11c,11dが設けられる。
【0056】
雌螺子部材24は、樹脂により一体成形され、その先端側から後端側に向かって、上記螺合突起4dと同様な機能を奏する短尺な雌螺子24dを備えた雌螺子部24a、第1実施形態と同様な構成で短尺な樹脂バネ(第2の弾性体)4b、円筒状を成し軸線方向に長尺に延びる中間部24k、鍔部24m、本体筒12に回転方向に係合するための回り止め部24cが、この順に連設される。すなわち、樹脂バネ4bの後端部には、中間部24k、鍔部24mを介して回り止め部24cが連設されている。そして、中間部24kの外周面には、先筒11の凸部11dに軸線方向に係合する凹部24nが円環状に設けられる。なお、樹脂バネ4bに代えて第2実施形態の樹脂バネ14bを用いても良い。
【0057】
継ぎ具16は、樹脂により一体成形され、その先端側から後端側に向かって、略円筒状に形成された前半部16a、樹脂バネ(第1の弾性体)16b、短尺な後端部16cが、この順に連設される。樹脂バネ16bは、螺旋状を呈し、前半部16aと後端部16cに連結される。継ぎ具16の樹脂バネ16bより前側の部分である前半部16aの外周面には、本体筒12に回転方向及び軸線方向に係合するための凹部16dが円環状に設けられる。継ぎ具16の樹脂バネ16bより後側の部分である後端部16cの内周面には、先筒11の凹部11cに軸線方向に係合するための凸部16eが円環状もしくは複数個の突起として設けられる。なお、第1の弾性体である樹脂バネ16bのバネ定数は、第2の弾性体である樹脂バネ4bより小さく設定されている。
【0058】
本体筒12は、有底円筒状に構成され、先端部の内周面には、継ぎ具16の凹部16dを回転方向及び軸線方向に係合する凸部12aが円環状に設けられる。本体筒12の底部側の内周面には、雌螺子部材24の回り止め部24cに回転方向に係合する回り止め部12bが設けられる。また、本体筒12の底部側の内周面で回り止め部12bより前側には、雌螺子部材24の鍔部24mを突き当てるための段差部12cが設けられる。
【0059】
そして、継ぎ具16は、その先端側が先筒11の後端側から外挿され、その先端が先筒11の段差部11aに突き当てられ、その後端部16cの凸部16eが先筒11の凹部11cに軸線方向に係合することにより、その後端部16cが先筒11に対して軸線周りに回転可能且つ軸線方向に移動不能に装着される。
【0060】
棒状化粧料支持体3を螺合により装着した雌螺子部材24は、その先端側が先筒11及び継ぎ具16の後端側から内挿され、その鍔部24mより前側が、先筒11の拡径部11b内に収容され、当該鍔部24mに、先筒11の後端面及び継ぎ具16の後端部16cの後端面が突き当てられ、その樹脂バネ4bと回り止め部24cとの間の中間部24kの凹部24nが、先筒11の凸部11dに軸線方向に係合することにより、中間部24kが、先筒11に対して軸線周りに回転可能且つ軸線方向に移動不能に装着される。
【0061】
そして、これら先筒11、継ぎ具16及び雌螺子部材24の組立体は、その後端側が、本体筒12の先端側から内挿され、継ぎ具16の後端部16cが雌螺子部材24の鍔部24mと当接して、鍔部24mが、本体筒12の段差部12cに突き当てられ、継ぎ具16の前半部16aの凹部16dが、本体筒12の凸部12aに嵌合することにより、継ぎ具16の前半部16aが本体筒12に軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動不能に装着される。この状態で、雌螺子部材24は、その回り止め部24cが、本体筒12の回り止め部12bに回転方向に係合することにより、本体筒12に対して軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動可能に装着される。
【0062】
この状態で、雌螺子部材24の樹脂バネ4bの後部側と、継ぎ具16の樹脂バネ16bの先端部側とが、径方向に重なるように配置される。また、この状態で、樹脂バネ16bは、雌螺子部材24の鍔部24mとの間で付勢力(弾発力)を蓄積し、雌螺子部材24(雌螺子部24a)の軸線方向前方への移動を抑制している。
【0063】
このように構成された第3実施形態の棒状化粧料繰出容器300にあっても、先の実施形態と同様に、先筒11と本体筒12とが繰り出し方向に相対回転されると、棒状化粧料支持体3の雄螺子3c及び雌螺子部材24の雌螺子24dより成る螺合部の螺合作用が働き、棒状化粧料支持体3が前進し、棒状化粧料Mが先筒11の先端の開口1hから出現して塗布に供することができる。このとき、棒状化粧料Mを塗布する際の圧力(筆圧)は、樹脂バネ4bにより吸収され、支障なく塗布できる。そして、塗布が終了し、使用者により、先筒11と本体筒12とが繰り戻し方向に相対回転(回転操作)されると、棒状化粧料支持体3が後退し、棒状化粧料Mが先筒11の先端の開口1hから没入する。
【0064】
そして、棒状化粧料繰出容器300を例えば先端側から落下した場合には、その衝撃で雌螺子部24a(雌螺子部材24)が軸線方向前方へ移動する。ここで、雌螺子部材24の鍔部24mに継ぎ具16の後端部16cの後端面及び先筒11の後端面が当接すると共に、継ぎ具16の後端部16cと先筒11の後部が軸線方向に移動不能に装着され、さらに、先筒11の後部と雌螺子部材24の中間部24kが軸線方向に移動不能に装着され、加えて、継ぎ具16の前半部16aが本体筒12に軸線方向に移動不能に装着されているため、雌螺子部材24が前方へ移動すると、継ぎ具16の樹脂バネ16bが前方へ縮退しながら、先筒11は前方へ移動する。その結果、先筒11の段差部11aと継ぎ具16の先端面との間には隙間が生じる。
【0065】
すなわち、雌螺子部24aの軸線方向前方への移動は、継ぎ具16の樹脂バネ16bにより抑制されて付勢力(弾発力)が蓄積され、その衝撃が吸収(緩衝)される。その後、継ぎ具16の樹脂バネ16bには、元の形状に復元する(戻る)復元力が働き、雌螺子部24a及び先筒11は、軸線方向後方へ移動する。この雌螺子部24aの軸線方向後方への移動は、雌螺子部材24の樹脂バネ4bにより抑制されて付勢力(弾発力)が蓄積され、樹脂バネ16bの復元力による衝撃が吸収(緩衝)される。そして、この軸線方向の衝撃吸収動作が繰り返されて減衰する。
【0066】
また、棒状化粧料繰出容器300を例えば後端側から落下した場合には、その衝撃で雌螺子部24aが軸線方向後方へ移動する。この雌螺子部24aの軸線方向後方への移動は、雌螺子部材24の樹脂バネ4bにより抑制されて付勢力(弾発力)が蓄積され、その衝撃が吸収(緩衝)される。その後、樹脂バネ4bには、元の形状に復元する(戻る)復元力が働き、雌螺子部24a(雌螺子部材24)は、軸線方向前方へ移動する。前述したのと同様に、先筒11は、その段差部11aと継ぎ具16の先端面との間に隙間が生じるように前進し、雌螺子部24aの軸線方向前方への移動は、継ぎ具16の樹脂バネ16bにより抑制されて付勢力(弾発力)が蓄積され、樹脂バネ4bの復元力による衝撃が吸収(緩衝)される。そして、この軸線方向の衝撃吸収動作が繰り返されて減衰する。
【0067】
このように、第3実施形態においても、先の実施形態と同様に、雌螺子部24aに作用する軸線方向の衝撃は、一方のバネ4b(16b)で吸収され、一方のバネ4b(16b)が復元する際の復元力による衝撃は、他方のバネ16b(4b)で吸収されるため、雌螺子部24aに螺合する棒状化粧料支持体3に支持された棒状化粧料Mを十分に保護できる。しかも、バネ4b,16b同士が、軸線方向に沿って、直列ではなく径方向に重なるように配置されるため、棒状化粧料繰出容器100を軸線方向にコンパクト化できる。
【0068】
なお、前述したように棒状化粧料繰出容器300を棒状化粧料カートリッジとしてカートリッジ収容容器と一体化した場合も、上記と同様な作用・効果を奏するのはいうまでもない。
【0069】
また、第3実施形態では、容器後部が、継ぎ具16及び本体筒12を備える構成としているが、容器前部が、先筒11及び継ぎ具16を備え、容器後部を本体筒12としても良い。この場合には、継ぎ具16の樹脂バネ16bより前側が、本体筒12に軸線周りに回転可能且つ軸線方向に移動不能に装着され、継ぎ具16の樹脂バネ16bより後側が、先筒11の後部の外周側に軸線周りに回転不能且つ軸線方向に移動不能に装着されることになる。
【0070】
因みに、第3実施形態においては、特に好ましいとして、継ぎ具16が樹脂バネ16bを備える構成となっているが、樹脂バネ16bをコイルバネに代えることもできる。
【0071】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、雄螺子、雌螺子は、間欠的に配される突起群又は螺旋状且つ間欠的に配される突起群のように螺子山と同様な働きをするものであれば良く、また、螺合突起は、連続する螺子山であっても良い。
【符号の説明】
【0072】
1,11…先筒(容器前部)、1h…開口、2,12…本体筒(容器後部)、3…棒状化粧料支持体(移動体)、3c…雄螺子、4,14,24…雌螺子部材、4a,24a…雌螺子部、4b,14b…樹脂バネ(第2の弾性体)、4c,24c…回り止め部、4d…螺合突起(雌螺子)、5…コイルバネ(第1の弾性体)、16…継ぎ具(容器後部)、16b…樹脂バネ(第1の弾性体)、24d…雌螺子、100,300…棒状化粧料繰出容器、M…棒状化粧料。
図1
図2
図3
図4
図5
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