(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エンジンを搭載した走行機体と、前記走行機体に昇降可能に支持された刈取搬送部と、を備え、前記刈取搬送部は、前記走行機体に昇降可能に支持されて前記エンジンの動力により作物を刈り取る刈取部と、前記刈取部に昇降可能に支持されて前記エンジンの動力により回転して作物を前記刈取部に掻き込むリールと、を有する汎用型コンバインにおいて、
前記リールを前記刈取部に対して昇降させる昇降部と、
前記刈取搬送部による刈取作業を実行している場合に、前記走行機体の走行速度に追従して前記リールの回転速度を変更するリール回転追従制御を実行可能であり、前記リール回転追従制御を実行している場合に、前記リールが所定の高さに下降するように前記昇降部を制御すると共に前記リールの回転速度を所定の回転速度に設定するリール制御を実行可能な制御部と、
前記リール回転追従制御を実行している場合に、前記制御部に前記リール制御を実行させるリール制御指示の操作が可能であるリール操作部と、を備え、
前記制御部は、前記リール制御において、前記刈取搬送部により刈り取る作物に応じて、
前記所定の回転速度を、前記リール操作部による前記リール制御指示の操作が行われた時点における前記リールの回転速度以上の回転速度に設定する第1モードと、
前記所定の回転速度を、前記リール操作部による前記リール制御指示の操作が行われた時点における前記リールの回転速度に設定する第2モードと、のいずれか一方を実行する、
ことを特徴とする汎用型コンバイン。
エンジンを搭載した走行機体と、前記走行機体に昇降可能に支持された刈取搬送部と、を備え、前記刈取搬送部は、前記走行機体に昇降可能に支持されて前記エンジンの動力により作物を刈り取る刈取部と、前記刈取部に昇降可能に支持されて前記エンジンの動力により回転して作物を前記刈取部に掻き込むリールと、を有する汎用型コンバインにおいて、
前記リールを前記刈取部に対して昇降させる昇降部と、
前記刈取搬送部による刈取作業を実行している場合に、前記走行機体の走行速度に追従して前記リールの回転速度を変更するリール回転追従制御を実行可能であり、前記リール回転追従制御を実行している場合に、前記リールが所定の高さに下降するように前記昇降部を制御すると共に前記リールの回転速度を所定の回転速度に設定するリール制御を実行可能な制御部と、
前記リール回転追従制御を実行している場合に、前記制御部に前記リール制御を実行させるリール制御指示の操作が可能であるリール操作部と、を備え、
前記制御部は、前記リール制御において、前記刈取搬送部により刈り取る作物に応じて、
前記所定の回転速度を、前記リール操作部による前記リール制御指示の操作が行われた時点における前記リールの回転速度以上の回転速度に設定する第1モードと、
前記所定の回転速度を、前記リール操作部による前記リール制御指示の操作が行われた時点における前記リールの回転速度から所定速度減速した回転速度に設定する第2モードと、のいずれか一方を実行する、
ことを特徴とする汎用型コンバイン。
エンジンを搭載した走行機体と、前記走行機体に昇降可能に支持された刈取搬送部と、を備え、前記刈取搬送部は、前記走行機体に昇降可能に支持されて前記エンジンの動力により作物を刈り取る刈取部と、前記刈取部に昇降可能に支持されて前記エンジンの動力により回転して作物を前記刈取部に掻き込むリールと、を有する汎用型コンバインにおいて、
前記リールを前記刈取部に対して昇降させる昇降部と、
前記刈取搬送部による刈取作業を実行している場合に、前記走行機体の走行速度に追従して前記リールの回転速度を変更するリール回転追従制御を実行可能であり、前記リール回転追従制御を実行している場合に、前記リールが所定の高さに下降するように前記昇降部を制御すると共に前記リールの回転速度を所定の回転速度に設定するリール制御を実行可能な制御部と、
前記リール回転追従制御を実行している場合に、前記制御部に前記リール制御を実行させるリール制御指示の操作が可能であるリール操作部と、を備え、
前記制御部は、前記リール制御において、前記刈取搬送部により刈り取る作物に応じて、
前記所定の回転速度を、前記リール操作部による前記リール制御指示の操作が行われた時点における前記リールの回転速度以上の回転速度に設定する第1モードと、
前記所定の回転速度を、前記走行機体の走行速度に追従して変更する第2モードと、のいずれか一方を実行する、
ことを特徴とする汎用型コンバイン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の汎用型コンバインは、刈取作物が同じ豆である場合、走行速度等の刈取作業の状況に拘らずに強制掻込制御におけるリールの回転速度が一定であるので、強制掻込制御を実行した際にリールの回転速度が現在の刈取作業の状況に適さず、リールによる作物の掻込不良が発生する虞がある。例えば、強制掻込制御において、強制掻込制御におけるリールの回転速度に適した走行速度より速い走行速度で汎用型コンバインが刈取作業を実行している場合には、リールが掻き込むことができる量よりも多い量の作物がリールに案内されて、リールによる作物の掻込不良が発生する虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、穀粒の損傷を防止しつつリールによる作物の掻込不良の防止を図り、上述した課題を解決する汎用型コンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、エンジン(E)を搭載した走行機体(3)と、前記走行機体(3)に昇降可能に支持された刈取搬送部(5)と、を備え、前記刈取搬送部(5)は、前記走行機体(3)に昇降可能に支持されて前記エンジン(E)の動力により作物を刈り取る刈取部(4)と、前記刈取部(4)に昇降可能に支持されて前記エンジン(E)の動力により回転して作物を前記刈取部(4)に掻き込むリール(25)と、を有する汎用型コンバイン(1)において、
前記リール(25)を前記刈取部(4)に対して昇降させる昇降部(23)と、
前記刈取搬送部(5)による刈取作業を実行している場合に、前記走行機体(3)の走行速度に追従して前記リール(25)の回転速度を変更するリール回転追従制御を実行可能であり、前記リール回転追従制御を実行している場合に、前記リール(25)が所定の高さに下降するように前記昇降部(23)を制御すると共に前記リール(25)の回転速度を所定の回転速度に設定するリール制御を実行可能な制御部(100)と、
前記リール回転追従制御を実行している場合に、前記制御部(100)に前記リール制御を実行させるリール制御指示の操作が可能であるリール操作部(53B)と、を備え、
前記制御部(100)は、前記リール制御において、前記刈取搬送部(5)により刈り取る作物に応じて、
前記所定の回転速度を、前記リール操作部(53B)による前記リール制御指示の操作が行われた時点における前記リールの回転速度以上の回転速度に設定する第1モードと、
前記所定の回転速度を、前記リール操作部(53B)による前記リール制御指示の操作が行われた時点における前記リールの回転速度に設定する第2モードと、のいずれか一方を実行する、
ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、エンジン(E)を搭載した走行機体(3)と、前記走行機体(3)に昇降可能に支持された刈取搬送部(5)と、を備え、前記刈取搬送部(5)は、前記走行機体(3)に昇降可能に支持されて前記エンジン(E)の動力により作物を刈り取る刈取部(4)と、前記刈取部(4)に昇降可能に支持されて前記エンジン(E)の動力により回転して作物を前記刈取部(4)に掻き込むリール(25)をと、有する汎用型コンバイン(1)において、
前記リール(25)を前記刈取部(4)に対して昇降させる昇降部(23)と、
前記刈取搬送部(5)による刈取作業を実行している場合に、前記走行機体(3)の走行速度に追従して前記リール(25)の回転速度を変更するリール回転追従制御を実行可能であり、前記リール回転追従制御を実行している場合に、前記リール(25)が所定の高さに下降するように前記昇降部(23)を制御すると共に前記リール(25)の回転速度を所定の回転速度に設定するリール制御を実行可能な制御部(100)と、
前記リール回転追従制御を実行している場合に、前記制御部(100)に前記リール制御を実行させるリール制御指示の操作が可能であるリール操作部(53B)と、を備え、
前記制御部(100)は、前記リール制御において、前記刈取搬送部(5)により刈り取る作物に応じて、
前記所定の回転速度を、前記リール操作部(53B)による前記リール制御指示の操作が行われた時点における前記リール(25)の回転速度以上の回転速度に設定する第1モードと、
前記所定の回転速度を、前記リール操作部(53B)による前記リール制御指示の操作が行われた時点における前記リール(25)の回転速度から所定速度減速した回転速度に設定する第2モードと、のいずれか一方を実行する、
ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、エンジン(E)を搭載した走行機体(3)と、前記走行機体(3)に昇降可能に支持された刈取搬送部(5)と、を備え、前記刈取搬送部(5)は、前記走行機体(3)に昇降可能に支持されて前記エンジン(E)の動力により作物を刈り取る刈取部(4)と、前記刈取部(4)に昇降可能に支持されて前記エンジン(E)の動力により回転して作物を前記刈取部(4)に掻き込むリール(25)と、を有する汎用型コンバイン(1)において、
前記リール(25)を前記刈取部(4)に対して昇降させる昇降部(23)と、
前記刈取搬送部(5)による刈取作業を実行している場合に、前記走行機体(3)の走行速度に追従して前記リール(25)の回転速度を変更するリール回転追従制御を実行可能であり、前記リール回転追従制御を実行している場合に、前記リール(25)が所定の高さに下降するように前記昇降部(23)を制御すると共に前記リール(25)の回転速度を所定の回転速度に設定するリール制御を実行可能な制御部(100)と、
前記リール回転追従制御を実行している場合に、前記制御部(100)に前記リール制御を実行させるリール制御指示の操作が可能であるリール操作部(53B)と、を備え、
前記制御部(100)は、前記リール制御において、前記刈取搬送部(5)により刈り取る作物に応じて、
前記所定の回転速度を
、前記リール操作部(53B)による前記リール制御指示の操作が行われた時点における前記リール(25)の回転速度以上の回転速度に設定する第1モードと、
前記所定の回転速度を
、前記走行機体(3)の走行速度に追従して変更する第2モードと、のいずれか一方を実行する、
ことを特徴とする。
【0010】
例えば、
図7及び
図8を参照すると、前記刈取搬送部(5)により刈り取る作物を設定可能な作物設定手段(62)を備え、
前記制御部(100)は、前記リール制御において、前記作物設定手段(62)により設定された作物に応じて前記第1モードと前記第2モードとのいずれか一方を実行する。
【0011】
例えば、
図8を参照すると、前記制御部(100)は、前記刈取搬送部(5)により刈り取る作物が前記作物設定手段(62)により莢物に設定されている場合に、前記リール制御において、前記第2モードを実行する。
【0012】
例えば、
図1、
図3及び
図8を参照すると、前記刈取搬送部(5)により刈り取る作物に応じて調整可能な作物別調整要素(25,27)を備え、
前記制御部(100)は、前記リール制御において、前記作物別調整要素(25,27)の調整状態に応じて前記第1モードと前記第2モードとのいずれか一方を実行する。
【0013】
なお、上述カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲に記載の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る本発明によると、汎用型コンバインは、穀粒が損傷し易い作物をリール制御によるリールによって掻き込む場合でも、第2モードを実行することにより、第1モードと比較してリールの回転速度を低下させて穀粒の損傷を防止することができる。また、本発明の汎用型コンバインは、第2モードにおいて、リール制御を実行する前のリールの回転速度を保持する、すなわち、リール制御を実行する前のリールの回転速度に応じて所定の回転速度を設定するので、同じ作物であっても刈取作業の状況に合わせて、所定の回転速度を設定することができ、リールによる作物の掻込不良の防止を図ることができる。
【0015】
請求項2に係る本発明によると、汎用型コンバインは、穀粒が損傷し易い作物をリール制御によるリールによって掻き込む場合でも、第2モードを実行することにより、第1モードと比較してリールの回転速度を低下させて穀粒の損傷を防止することができる。また、本発明の汎用型コンバインは、第2モードにおいて、リール制御を実行する前のリールの回転速度から所定速度減速した回転速度を保持する、すなわち、リール制御を実行する前のリールの回転速度に応じて所定の回転速度を設定するので、同じ作物であっても刈取作業の状況に合わせて、所定の回転速度を設定することができ、リールによる作物の掻込不良の防止を図ることができる。
【0016】
請求項3に係る本発明によると、汎用型コンバインは、穀粒が損傷し易い作物をリール制御によるリールによって掻き込む場合でも、第2モードを実行することにより
、走行速度に応じて所定の回転速度を変更するので、同じ作物であっても刈取作業の状況に合わせて、所定の回転速度を設定することができ、リールによる作物の掻込不良の防止を図ることができる。
【0017】
請求項4に係る本発明によると、作業者は、作物設定手段を操作することにより、リール制御において第1モードと第2モードとのいずれを実行するのかを容易に設定することができ、利便性を向上させると共に作業効率を向上させることができる。
【0018】
請求項5に係る本発明によると、汎用型コンバインは、莢物の作物に関して、穀粒の損傷を防止しつつリールによる作物の掻込不良の防止を図ることができる。
【0019】
請求項6に係る本発明によると、汎用型コンバインは、作業者が刈取搬送部により刈り取る作物に応じて作物別調整要素を調整した際に、リール制御において第1モードと第2モードとのいずれを実行するのかも共に設定するので、作業者によって設定又は調整する項目を削減することができ、利便性を向上させると共に作業効率を向上させることができる。また、作業者は、リール制御において実行するモードの変更忘れを防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。コンバインの一種である汎用型コンバイン1は、
図1及び
図2に示すように、左右一対のクローラ走行装置2に支持された走行機体3と、走行機体3の前方に昇降可能に支持された前処理部(刈取搬送部)5と、を備える。
【0022】
走行機体3の左部には、脱穀選別部6が配置されており、脱穀選別部6の上部には、前処理部5が刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部7が設けられ、脱穀選別部6の下部には、脱穀部7が脱穀した処理物を穀粒とわら屑等の夾雑物とに選別する選別部9が設けられている。脱穀選別部6の後方には、選別部9により選別された夾雑物を機外に排出する排藁処理部10が配置される。走行機体3の右部の前方には、エンジンEが搭載されたエンジンルームSが配置され、エンジンルームSの上方には、作業者が搭乗する運転操作部11が配置され、エンジンルームS及び運転操作部11の後方には、選別部9によって選別された穀粒を貯留するグレンタンク12が配置されている。また、走行機体3の上部には、グレンタンク12に貯留された穀粒を機外に排出する排出オーガ13が配置される。
【0023】
前処理部5は、走行機体3の前方に昇降可能に支持されてエンジンEの動力により作物を刈り取る刈取部4と、刈取部4に支持部材20を介して昇降可能に支持され、エンジンEの動力により回転して作物を刈取部4に掻き込む掻込リール25と、を有する。刈取部4は、刈り取られた穀稈を脱穀部7に搬送する搬送フィーダ15を有する。搬送フィーダ15は、走行機体3に上下方向に揺動可能に支持されており、脱穀部7の前部から斜め前下方に向かって延びる。搬送フィーダ15の前端には、前方に延びる左右の刈取フレーム16が連結されており、左右の刈取フレーム16の間には、刈り取られた穀稈を搬送フィーダ15に搬送するプラットホームオーガ17が支持される。プラットホームオーガ17の前方には、圃場の穀稈を刈り取る刈刃45(
図4参照)が配置され、その刈刃45の前方である刈取フレーム16の前端には、刈取作物と未刈取作物とに分けるデバイダ19が取り付けられている。
【0024】
刈取フレーム16の上部左右には、リンク構造の支持部材20が支持されている。支持部材20は、一端が刈取フレーム16の後側上部に回動可能に支持されて上方に延びる左右のリンク21Aと、左右のリンク21Aの他端に回動軸21Bを介して回動可能に連結され、前方に向かって延びる左右のリンク21Cと、有する。回動軸21Bは、左右方向に延びて、左右のリンク21A及びリンク21Cに連結されており、搬送フィーダ15との間に油圧シリンダであるリールスライドアクチュエータ22が連結されている。また、左右のリンク21Cの前後中央と刈取フレーム16との間には、油圧シリンダであるリール昇降アクチュエータ(昇降部)23が連結されている。リンク21Cの前端、すなわち、支持部材20の前端は、リールスライドアクチュエータ22が伸縮することにより前後方向に移動し、リール昇降アクチュエータ23が伸縮することにより上下方向に移動する。
【0025】
支持部材20の前端には、掻込リール25が回転可能に支持されており、前後方向においてデバイダ19と刈刃45との間かつデバイダ19及び刈刃45の上方に位置する。デバイダ19によって分けられた刈取作物の穀稈は、掻込リール25によって後方に掻き込まれ、刈取部4の刈刃45によって刈り取られる。刈り取られた穀稈は、プラットホームオーガ17及び搬送フィーダ15によって脱穀部7に搬送される。
【0026】
脱穀部7は、
図3に示すように、搬送フィーダ15から搬送されてきた穀稈が投入される扱室26を有し、扱室26の内部には、前後方向に延びる円筒形状の扱胴27が回転可能に支持される。前後方向に延びる扱胴27の外周面には、前後方向に延びるラセン形状の扱歯29が形成され、扱胴27の前端部には、搬送フィーダ15から搬送されてきた穀稈を扱室26の奥に掻き込むためにラセン形状のラセン羽根30が形成されている。扱胴27の下方には、扱胴27の外周面に沿って、正面視にて円弧形状に形成された受網31が配置される。扱胴27が回転することによって、扱歯29は、刈り取られた穀稈を受網31に擦り付けて、穀稈から穀粒を削ぎ落として脱穀する。脱穀された穀粒及び夾雑物が混在する処理物は、受網31によって篩にかけられる。この篩により受網31に残された夾雑物は、扱歯29の外周に並んで形成された突起状の突起扱歯の間を通過して上記排藁処理部10に送られる。
【0027】
選別部9は、受網31から落下してきた処理物を受け取り、穀粒と夾雑物とに選別する揺動選別装置32を有する。揺動選別装置32の下方には、前方から順に、揺動選別装置32による選別に用いる選別風を発生させる唐箕ファン39と、揺動選別装置32によって選別された穀粒をグレンタンク12に搬送する1番ラセン40と、選別しきれなかった処理物を脱穀部7に戻す2番ラセン41と、が配置されている。1番ラセン40及び2番ラセン41は、左右方向に延びるラセン形状に形成されており、回転することによって、穀粒及び処理物を搬送する。
【0028】
揺動選別装置32は、前部に配置される揺動選別盤33と、揺動選別盤33の後方に配置されるチャフシーブ35と、チャフシーブ35の後方に配置されるストローラック36と、チャフシーブ35の下方に配置されるグレンシーブ37と、を有する。揺動選別盤33は、堆積して盛り上がった処理物の高さを均一化すると共に、処理物の比重選別を行う。比重選別によって、比重が重い穀粒は下に、比重が軽いわら屑等の夾雑物は上に分離される。
【0029】
比重選別された処理物は、チャフシーブ35によって漏下選別される。チャフシーブ35は、左右に延びる板形状の複数のフィンを有し、これらフィンは、前後方向に並んで配置される。処理物中の夾雑物は、チャフシーブ35の前下方に配置された唐箕ファン39の選別風によって後方に吹き飛ばされる。一方、処理物中の穀粒は、フィン同士の隙間を通ってグレンシーブ37に落下する。また、これらフィンは、前後方向に回動可能に支持されており、回動することによって開度が変更され、チャフシーブ35による選別の精度及び速度を変化させる。
【0030】
チャフシーブ35から落下してグレンシーブ37に堆積したものは、さらに細かく漏下選別される。グレンシーブ37によって選別された穀粒は、1番ラセン40に落下し、グレンタンク12に搬送される。グレンシーブ37の選別において残ったものは、2番ラセン41に落下し、脱穀部7に戻される。
【0031】
ストローラック36は、チャフシーブ35の漏下選別において残った夾雑物に混入した穀粒を2番ラセン41に落下させる。ストローラック36の後方には、上記排藁処理部10が配置されており、ストローラック36に残った夾雑物は、排藁処理部10に送られ、機外に排出される。
【0032】
上記扱胴27、揺動選別装置32及び唐箕ファン39等の脱穀選別部6の装置は、
図4に示すように、エンジンEからの動力により駆動するように構成されており、エンジンEに連結する伝達軸A1と脱穀選別部6の装置に連結する伝達軸A2との間の動力伝達経路に介在する脱穀クラッチ42の断接により、駆動及び停止される。また、エンジンEと扱胴27との間には、扱胴27の回転速度を変速する扱胴変速装置48が設けられている。扱胴変速装置48は、扱胴変速装置48に接続される扱胴変速レバー48Aが操作されることにより、稲や麦の脱穀に適した高速と、稲や麦よりも損傷し易い莢物である大豆の脱穀に適した低速と、の二段階に切換可能に構成されている。本実施形態においては、大豆、なたね、ごま及びはと麦を莢物と称する。
【0033】
また、エンジンEは、クローラ走行装置2との間にHSTの主変速機46及び多段式変速機である副変速機47が設けられており、主変速機46及び副変速機47によりクローラ走行装置2への動力が変速される。
【0034】
プラットホームオーガ17、刈刃45及び掻込リール25等の前処理部5の装置も、エンジンEからの動力により駆動しており、伝達軸A2と前処理部5の装置に連結する伝達軸A3との間の動力伝達経路に介在する刈取クラッチ(クラッチ)43及び脱穀クラッチ42の断接により、駆動及び停止される。なお、以下では、刈取クラッチ43及び脱穀クラッチ42を作業クラッチとも記述する。
【0035】
また、動力伝達経路において、伝達軸A3に対して動力伝達方向の下流には、ベルト式無段変速装置であるリール変速装置A6が設けられている。リール変速装置A6は、動力伝達方向の上流に設けられたプラットホームオーガ17、刈刃45及び刈取クラッチ43に他の動力伝達装置を介して連結する伝達軸A4と、下流に設けられ掻込リール25に連結する伝達軸A5との間に配置されており、伝達軸A4から伝達された動力を変速して伝達軸A5に伝達する。すなわち、掻込リール25の回転速度は、リール変速装置A6が操作されることにより、プラットホームオーガ17及び刈刃45の動作速度を維持したまま変更可能に構成されている。
【0036】
運転操作部11には、
図5に示すように、作業者が座る運転席49が設けられている。その運転席49の前方には、汎用型コンバイン1の走行速度及び燃料の残量等を示す表示計50が配置されている。表示計50の右方には、汎用型コンバイン1のステアリング操作を行うマルチステアリングレバー(上昇操作部)51が配置されている。マルチステアリングレバー51は、前後左右方向の中立位置である基準位置に対して前後方向及び左右方向に傾斜可能に構成されており、左右方向に傾斜することにより汎用型コンバイン1の操向操作が可能であり、前後方向に傾斜することにより前処理部5の昇降操作が可能である。
【0037】
マルチステアリングレバー51には、掻込リール25を刈取部4に対して昇降させる不図示のリール上昇スイッチ及びリール下降スイッチと、掻込リール25を刈取部4に対して前後方向に移動させる不図示のリール前進スイッチ及びリール後進スイッチと、が設けられている。リール上昇スイッチが押下操作されて押下状態である間は、リール昇降アクチュエータ23が伸びて、掻込リール25が刈取部4に対して上昇する。そして、リール上昇スイッチの押下状態が解放された場合又は掻込リール25が刈取部4に対して上昇可能なリール上限高さまで上昇した場合には、掻込リール25の上昇が停止される。また、リール下降スイッチが押下操作されて押下状態である間は、リール昇降アクチュエータ23が縮んで、掻込リール25が刈取部4に対して下降する。そして、リール下降スイッチの押下状態が解放された場合又は掻込リール25が刈取部4に対して下降可能なリール下限高さまで下降した場合には、掻込リール25の下降が停止される。
【0038】
また、リール前進スイッチが押下操作されて押下状態である間は、リールスライドアクチュエータ22が伸びて、掻込リール25が刈取部4に対して前進する。そして、リール前進スイッチの押下状態が解放された場合又は掻込リール25が刈取部4に対して前進可能なリール前進限界位置まで前進した場合には、掻込リール25の前進が停止される。また、リール後進スイッチが押下操作されて押下状態である間は、リール昇降アクチュエータ23が縮んで、掻込リール25が刈取部4に対して後進する。そして、リール後進スイッチの押下状態が解放された場合又は掻込リール25が刈取部4に対して後進可能なリール後進限界位置まで後進した場合には、掻込リール25の後進が停止される。
【0039】
運転席49の左側前方には、主変速機46を操作して汎用型コンバイン1の進行方向の切り換え及び細かい速度調整を行う主変速レバー53が設けられており、主変速レバー53の左方には、副変速機47を操作する副変速レバー56が設けられている。また、副変速レバー56の後方には、エンジンEの回転速度を調整するエンジンコントロールレバー57が配置されており、主変速レバー53の後方には、汎用型コンバイン1の各装置を操作するダイヤル等が設けられた操作パネル59が配置されている。運転操作部11には、上記以外にも汎用型コンバイン1の操作を行う操作部等が設けられている。
【0040】
操作パネル59には、
図6に示すように、複数のダイヤル及びスイッチが設けられている。操作パネル59には、前方から順に、リール回転ダイヤル60、パワークラッチスイッチ61、作物切換ダイヤル(作物設定手段)62及び選別ダイヤル63が設けられている。リール回転ダイヤル60は、ダイヤルスイッチ兼押圧スイッチであり、刈取作業時の掻込リール25の回転速度を調整するスイッチである。パワークラッチスイッチ61は、シーソー型スイッチであり、左右両端に押圧可能な押圧部61A及び押圧部61Bを有し、押圧部61A及び押圧部61Bが押圧されることにより、作業クラッチの断接を操作するスイッチである。
【0041】
選別ダイヤル63は、ダイヤルスイッチであり、チャフシーブ35のフィンの開度を調整して、チャフシーブ35による選別の精度及び速度を調整するスイッチである。作物切換ダイヤル62は、ダイヤルスイッチであり、汎用型コンバイン1により刈り取る作物を選択可能に構成されている。作物切換ダイヤル62は、刈り取る作物として、稲、麦、大豆、なたね及びそばを設定可能に構成されており、設定された作物の情報を
図7に示す制御部100に送信する。
【0042】
制御部100には、
図7に示すように、各装置の制御に用いるパラメータ等が記憶されている記憶装置101が設けられており、入力側に、上記リール回転ダイヤル60、パワークラッチスイッチ61、作物切換ダイヤル62及び選別ダイヤル63と共に、主変速レバー53に設けられたスイッチであるリール下降刈取スイッチ(リール操作部)53Aが接続されている。リール下降刈取スイッチ53Aは、押下操作によりON状態とOFF状態とに切り換わるスイッチである。また、制御部100の入力側には、扱胴27の回転速度を検出する扱胴回転センサ102と、掻込リール25の回転速度を検出するリール回転センサ103と、走行機体3に対する前処理部5の高さを検出する前処理部高さセンサ105と、リール昇降アクチュエータ23により刈取部4に対して昇降する掻込リール25の高さを検出するリール高さセンサ106と、が接続されている。
【0043】
制御部100の出力側には、リール昇降アクチュエータ23と、リール変速装置A6と、刈取クラッチ43及び脱穀クラッチ42と、が接続されている。制御部100は、パワークラッチスイッチ61からの信号に基づいて作業クラッチの断接を行う。制御部100は、刈取クラッチ43及び脱穀クラッチ42が切断されている際に押圧部61Aの押下操作を検出すると、脱穀クラッチ42を接続して脱穀選別部6の装置を駆動させ、さらに押圧部61Aの押下操作を検出すると、刈取クラッチ43を接続して前処理部5の装置も駆動させる。また、制御部100は、刈取クラッチ43及び脱穀クラッチ42が接続されている際に押圧部61Bの押下操作を検出すると、刈取クラッチ43を切断して前処理部5の装置を停止させ、さらに押圧部61Bの押下操作を検出すると、脱穀クラッチ42を切断して脱穀選別部6の装置も停止させる。
【0044】
また、制御部100は、リール回転ダイヤル60からの信号に基づいてリール変速装置A6を制御することにより掻込リール25の回転速度を調整する。制御部100は、刈取作業時に、走行速度に応じて掻込リール25の回転速度を自動的に変更するリール回転自動制御(リール回転追従制御)を実行可能に構成されており、リール回転ダイヤル60の押下操作により実行及び停止を切り換える。制御部100は、リール回転自動制御において、走行速度に追従して掻込リール25の回転速度を変更する。また、制御部100は、リール回転ダイヤル60が回転操作されることにより、掻込リール25の回転速度の変更が可能である。
【0045】
制御部100は、掻込リール25の回転速度を上昇させる回転速度上昇方向(
図6における時計回り方向)と、その反対の回転速度低下方向(
図6における反時計回り方向)に回転可能であり、リール回転自動制御の実行時に、リール回転ダイヤル60が回転速度上昇方向に回転すると、走行速度の上昇に応じて上昇する掻込リール25の回転速度の勾配を大きくして、掻込リール25の回転速度を上昇させ易くする。制御部100は、リール回転自動制御の実行時に、リール回転ダイヤル60が回転速度低下方向に回転すると、走行速度の上昇に応じて上昇する掻込リール25の回転速度の勾配を小さくして、掻込リール25の回転速度を上昇させにくくする。
【0046】
図8は、リール回転自動制御における走行速度に対する掻込リール25の回転速度を示すグラフである。例えば、走行速度と掻込リール25の回転速度との関係が現在ラインL3である場合に、制御部100は、リール回転ダイヤル60が回転速度上昇方向に操作されると、走行速度と掻込リール25の回転速度との関係をラインL2に変更し、リール回転ダイヤル60がさらに回転速度上昇方向に操作されると、走行速度と掻込リール25の回転速度との関係をラインL1に変更する。また、走行速度と掻込リール25の回転速度との関係が現在ラインL3である場合に、制御部100は、リール回転ダイヤル60が回転速度低下方向に操作されると、走行速度と掻込リール25の回転速度との関係をラインL4に変更し、リール回転ダイヤル60がさらに回転速度上昇方向に操作されると、走行速度と掻込リール25の回転速度との関係をラインL5に変更する。
【0047】
また、制御部100は、リール回転自動制御を実行していないリール回転手動調整状態で、リール回転ダイヤル60が回転上昇方向に回転すると、掻込リール25の回転速度を上昇させ、リール回転ダイヤル60が回転低下方向に回転すると、掻込リール25の回転速度を低下させる。そして、リール回転手動調整状態において、制御部100は、走行速度に拘らず、リール回転ダイヤル60により調整された掻込リール25の回転速度を維持して刈取作業を行う。稲や麦と比較して損傷し易い大豆の刈取作業が行われる場合には、作業者がリール回転ダイヤル60により掻込リール25の回転速度を低下させることにより、大豆の損傷の防止を図ることができる。このように、掻込リール25及び扱胴27は、前処理部5により刈り取る作物に応じて調整可能な作物別調整要素として構成されている。
【0048】
制御部100は、リール回転自動制御を実行している際に、リール下降刈取スイッチ53AがON状態に切り換わると、掻込リール25がリール下限高さ(所定の高さ)まで下降するようにリール昇降アクチュエータ23を制御するとともに、掻込リール25の回転速度を所定の回転速度に変更して刈取作業を行うリール下降刈取制御(リール制御)を実行する。制御部100は、リール下降刈取制御において、作物切換ダイヤル62により選択された作物に応じて、通常リール下降刈取制御(第1モード)及び特殊リール下降刈取制御(第2モード)のどちらか一方を実行する。なお、本実施形態では、リール下降刈取スイッチ53Aが押下操作されてON状態に切り換わる操作をリール下降刈取操作(リール制御指示)とする。
【0049】
作物切換ダイヤル62により稲、麦又はそばが選択されている場合に、制御部100は、通常リール下降刈取制御を実行し、掻込リール25の回転速度が上昇可能な上限速度(設定速度)まで上昇するようにリール変速装置A6を制御する。また、作物切換ダイヤル62により莢物である大豆又はなたねが選択されている場合に、制御部100は、特殊リール下降刈取制御を実行し、掻込リール25の回転速度を、リール下降刈取制御を開始した際の回転速度に固定し、走行速度に拘らず一定の回転速度に維持する。すなわち、制御部100は、特殊リール下降刈取制御において、通常リール下降刈取制御における掻込リール25の回転速度より低速になるように掻込リール25の回転速度を制御する。
【0050】
制御部100は、リール下降刈取制御を実行している際にリール下降刈取スイッチ53AがOFF状態に切り換わると、掻込リール25をリール下降刈取制御実行前の高さにまで上昇させ、掻込リール25の回転速度を走行速度に応じた回転速度に戻してリール下降刈取制御終了する。
【0051】
なお、本実施形態における制御部100は、リール回転手動調整状態においてリール下降刈取スイッチ53AがON状態に切り換わったとしても、リール下降刈取制御を実行しない。制御部100は、掻込リール25をリール下限高さまで下降させるが、掻込リール25の回転速度を保持する。リール回転手動調整状態において、リール下降刈取スイッチ53AがON状態である場合には、制御部100は、リール回転ダイヤル60が操作されることにより、掻込リール25の回転速度を変更するように構成されている。そして、制御部100は、リール回転手動調整状態でリール下降刈取スイッチ53AがOFF状態に切り換わると、掻込リール25を、リール下降刈取スイッチ53AがON状態に切り換わる前の高さにまで上昇させる。また、リール回転手動調整状態においてリール下降刈取スイッチ53AがOFF状態に切り換わった場合にも、制御部100は、掻込リール25の回転速度を保持する。
【0052】
本実施の形態は、以上のような構成からなる。ここで、リール下降刈取制御に係る処理について、
図9を参照して説明する。
【0053】
制御部100は、リール回転自動制御において、リール下降刈取スイッチ53AがON状態であるか否かを判定する(ステップS1)。この処理においてリール下降刈取スイッチ53AがOFF状態であると判定した場合に(NO)、制御部100は、リール下降刈取制御を実行する条件が成立していないと判定し、再度ステップS1の処理に戻り、リール下降刈取スイッチ53AがON状態になるまで待機する。
【0054】
ステップS1の処理においてON状態であると判定した場合に(YES)、制御部100は、パワークラッチスイッチ61から受信した信号から脱穀クラッチ42及び刈取クラッチ43の作業クラッチが接続されているか否かを判定する(ステップS2)。この処理において、脱穀クラッチ42及び刈取クラッチ43の少なくともいずれか一方が切断されている、すなわち作業クラッチが接続されていないと判定した場合に(NO)、制御部100は、リール下降刈取制御を実行する条件が成立していないと判定し、再度ステップS1の処理に戻り、作業クラッチが接続されるまで待機する。
【0055】
ステップS2の処理において、作業クラッチが接続されていると判定した場合に(YES)、制御部100は、リール下降刈取制御を実行する条件が成立していると判定し、リール下降刈取制御として、ステップS3〜ステップS8の処理を実行する。制御部100は、リール下降刈取制御において、まずリール高さセンサ106により検出された掻込リール25の高さ及びリール回転センサ103により検出された掻込リール25の回転速度を記憶装置101に設けられたリール高さ記憶値及びリール速度記憶値に記憶させる(ステップS3)。
【0056】
ステップS3の処理を実行した後に、制御部100は、作物切換ダイヤル62により莢物である大豆又はなたねが選択されているか否かを判定する(ステップS4)。この処理において、作物切換ダイヤル62により稲、麦又はそばが選択されている場合に(NO)、制御部100は、通常リール下降刈取制御を実行すると判定し、通常リール下降刈取制御処理を実行する(ステップS5)。
【0057】
制御部100は、通常リール下降刈取制御処理において、まず、
図10に示すように掻込リール25がリール下限高さまで下降するようにリール昇降アクチュエータ23を制御する。そして、制御部100は、掻込リール25をリール下限高さ(
図10の実線で示す位置)まで下降させた後に、掻込リール25の回転速度が上限速度まで上昇するようにリール変速装置A6を制御する。なお、通常リール下降刈取制御処理において、掻込リール25が既にリール下限高さに位置する場合には、制御部100は、掻込リール25をリール下限高さに維持するようにリール昇降アクチュエータ23を制御する。また、通常リール下降刈取制御処理において、掻込リール25の回転速度が既に上限速度である場合には、制御部100は、掻込リール25の回転速度を上限速度に維持するようにリール変速装置A6を制御する。
【0058】
ステップS4の処理において、大豆又はなたねが選択されていると判定した場合に(YES)、制御部100は、特殊リール下降刈取制御を実行すると判定し、特殊リール下降刈取制御処理を実行する(ステップS6)。
【0059】
制御部100は、特殊リール下降刈取制御処理において、まず、掻込リール25がリール下限高さまで下降するようにリール昇降アクチュエータ23を制御する。そして、制御部100は、掻込リール25をリール下限高さまで下降させた後に、掻込リール25の回転速度がリール速度記憶値に記憶されている回転速度に維持されるようにリール変速装置A6を制御する。すなわち、制御部100は、特殊リール下降刈取制御において、掻込リール25の回転速度を、リール下降刈取制御が実行される前の掻込リール25の回転速度に維持する。なお、特殊リール下降刈取制御処理において、掻込リール25が既にリール下限高さに位置する場合には、制御部100は、掻込リール25をリール下限高さに維持するようにリール昇降アクチュエータ23を制御する。
【0060】
ステップS5又はステップS6の処理を実行した後に、制御部100は、リール下降刈取スイッチ53AがON状態であるか否かを判定する(ステップS7)。この処理において、リール下降刈取スイッチ53AがON状態であると判定した場合に(YES)、制御部100は、リール下降刈取制御の終了条件が成立していないと判定し、再度ステップS4の処理を実行する。すなわち、制御部100は、リール下降刈取スイッチ53AがON状態である間リール下降刈取制御を継続する。
【0061】
ステップS7の処理において、リール下降刈取スイッチ53AがOFF状態であると判定した場合に(NO)、制御部100は、リール下降刈取制御の終了条件が成立したと判定し、掻込リール25がリール高さ記憶値に記憶されている高さにまで上昇するようにリール昇降アクチュエータ23を制御し、掻込リール25の回転速度を走行速度に応じた速度に戻してリール下降刈取制御終了する(ステップS8)。
【0062】
このように、本実施形態の汎用型コンバイン1は、莢物のように穀粒が損傷し易い作物をリール下降掻込制御による掻込リール25によって掻き込む場合でも、特殊リール下降刈取制御を実行することにより、通常リール下降刈取制御と比較して掻込リール25の回転速度を低下させて穀粒の損傷を防止することができる。また、汎用型コンバイン1は、特殊リール下降刈取制御において、リール下降掻込制御を実行する前の掻込リール25の回転速度を保持する、すなわち、リール下降刈取制御を実行する前の掻込リール25の回転速度に応じて特殊リール下降刈取制御における掻込リール25の回転速度を設定するので、同じ作物であっても刈取作業の状況に合わせて、特殊リール下降刈取制御における掻込リール25の回転速度を設定することができ、掻込リール25による作物の掻込不良の防止を図ることができる。
【0063】
また、本実施形態において、作業者は、作物切換ダイヤル62を操作することにより、リール下降刈取制御において通常リール下降刈取制御と特殊リール下降刈取制御とのいずれを実行するのかを容易に設定することができ、利便性を向上させると共に作業効率を向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態の汎用型コンバイン1は、作物切換ダイヤル62により莢物である大豆又はなたねが選択されている場合に、リール下降刈取制御において特殊リール下降刈取制御を実行するので、莢物の作物に関して、穀粒の損傷を防止しつつ掻込リール25による作物の掻込不良の防止を図ることができる。
【0065】
なお、本実施形態において、制御部100は、特殊リール下降刈取制御において、掻込リール25の回転速度を、リール下降掻込制御を実行する前の掻込リール25の回転速度に維持するように構成されているが、これに限らない。制御部100は、特殊リール下降刈取制御において、掻込リール25の回転速度を、リール速度記憶値に記憶されている回転速度から所定速度減速した回転速度に設定する、すなわちリール下降刈取スイッチ53Aによるリール下降刈取操作が行われた時点におけるリールの回転速度から所定速度減速した回転速度に設定するように構成されていてもよい。この場合には、汎用型コンバイン1は、莢物のように穀粒が損傷し易い作物をリール下降掻込制御による掻込リール25によって掻き込む場合でも、特殊リール下降刈取制御を実行することにより、通常リール下降刈取制御と比較して掻込リール25の回転速度を低下させて穀粒の損傷を防止することができる。また、汎用型コンバイン1は、特殊リール下降刈取制御において、リール下降掻込制御を実行する前の掻込リール25の回転速度から所定速度減速した回転速度を保持する、すなわち、リール下降刈取制御を実行する前の掻込リール25の回転速度に応じて所定の回転速度を設定するので、同じ作物であっても刈取作業の状況に合わせて、所定の回転速度を設定することができ、掻込リール25による作物の掻込不良の防止を図ることができる。
【0066】
また、制御部100は、特殊リール下降刈取制御において、掻込リール25の回転速度を、リール下降刈取制御を実行せずにリール回転自動制御を実行している場合と略同様に、走行速度に追従して変更するように構成されていてもよい。この場合には、汎用型コンバイン1は、莢物のように穀粒が損傷し易い作物をリール下降掻込制御による掻込リール25によって掻き込む場合でも、特殊リール下降刈取制御を実行することにより、通常リール下降刈取制御と比較して掻込リール25の回転速度を低下させて穀粒の損傷を防止することができる。また、汎用型コンバイン1は、特殊リール下降刈取制御において、走行速度に応じて掻込リール25の回転速度を変更するので、同じ作物であっても刈取作業の状況に合わせて、所定の回転速度を設定することができ、掻込リール25による作物の掻込不良の防止を図ることができる。
【0067】
また、本実施形態において、制御部100は、作物切換ダイヤル62により選択された作物に応じて、通常リール下降刈取制御と特殊リール下降刈取制御とのいずれを実行するかを決定しているが、これに限らず、扱胴回転センサ102により検出された扱胴27の回転速度に応じて、通常リール下降刈取制御と特殊リール下降刈取制御とのいずれを実行するかを決定するように構成されていてもよい。また、制御部100は、扱胴変速レバー48Aが高速と低速とのいずれに設定されているかに応じて、通常リール下降刈取制御と特殊リール下降刈取制御とのいずれを実行するかを決定するように構成されていてもよい。さらに、制御部100は、リール下降刈取制御が実行されていない状態においてリール回転センサ103により検出された掻込リール25の回転速度に応じて、通常リール下降刈取制御と特殊リール下降刈取制御とのいずれを実行するかを決定するように構成されていてもよい。このように、前処理部5により刈り取る作物に応じて調整可能な作物別調整要素である扱胴27や掻込リール25の調整状態に応じて、通常リール下降刈取制御と特殊リール下降刈取制御とのいずれを実行するかを決定する場合には、作業者が前処理部5により刈り取る作物に応じて扱胴27や掻込リール25を調整した際に、リール下降刈取制御において通常リール下降刈取制御と特殊リール下降刈取制御とのいずれを実行するのかも共に設定するので、作業者によって設定又は調整する項目を削減することができ、利便性を向上させると共に作業効率を向上させることができる。また、作業者は、リール下降刈取制御において実行する制御の変更忘れを防ぐことができる。
【0068】
また、制御部100は、作物別調整要素の調整状態として、扱胴27及び掻込リール25の回転に応じて、通常リール下降刈取制御と特殊リール下降刈取制御とのいずれを実行するかを決定することに限らず、チャフシーブ35のフィンの開度に応じて、通常リール下降刈取制御と特殊リール下降刈取制御とのいずれを実行するかを決定するように構成されていてもよい。また、制御部100は、刈り取る作物に応じて汎用型コンバイン1に取り付ける専用部品を検出可能に構成されており、作物別調整要素の調整状態として、その専用部品の取付状態に応じて、すなわち専用部品が取り付けられているか否かに応じて、通常リール下降刈取制御と特殊リール下降刈取制御とのいずれを実行するかを決定するように構成されていてもよい。このように、制御部100は、掻込リール25以外にも、作物に応じて調整可能な作物別調整要素の調整状態に応じて、通常リール下降刈取制御と特殊リール下降刈取制御とのいずれを実行するかを決定するように構成されていてもよい。さらに、制御部100は、複数種類の作物別調整要素のうちいずれか1種類の作物別調整要素の調整状態に応じて、通常リール下降刈取制御と特殊リール下降刈取制御とのいずれを実行するかを決定するように構成されていてもよく、複数の作物別調整要素の調整状態により、複合的に判断して通常リール下降刈取制御と特殊リール下降刈取制御とのいずれを実行するかを決定するように構成されていてもよい。
【0069】
また、本実施形態において、汎用型コンバイン1は、作物切換ダイヤル62により選択可能な作物として、稲、麦、そば、大豆及びなたねが設定されているが、これに限らず、ごま、はとむぎを設定可能に構成されていてもよい。
【0070】
また、本実施形態において、制御部100は、リール回転自動制御を実行している場合にリール下降刈取制御を実行可能に構成されているが、これに限らず、リール回転手動調整状態においてもリール下降刈取制御を実行可能に構成されていてもよい。
【0071】
また、本実施形態において、制御部100は、リール下降刈取制御において、掻込リール25をリール下限高さまで下降させたが、これに限らず、リール下降刈取制御において、掻込リール25をリール下限高さまで下降させると共に、掻込リール25を前後方向に移動させるようにリールスライドアクチュエータ22を制御するように構成されていてもよい。制御部100は、リール下降刈取制御において、
図11に示すように掻込リール25を上述したリール後進限界位置(
図11の2点鎖線で示す位置)に移動させることにより、作物を強制的に掻き込む強制掻込制御を実行することができ、掻込リール25を上述したリール前進限界位置(
図11の実線で示す位置)に移動させることにより、倒伏した作物を立たせて掻き込む倒伏刈制御を実行することができる。
【0072】
また、本実施形態において、リール操作部であるリール下降刈取スイッチ53Aは、主変速レバー53に設けられているが、主変速レバー53とは別に、リール下降刈取操作が可能なスイッチ等のリール操作部が運転操作部11内に設けられているように構成されていてもよい。