特許第6733592号(P6733592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6733592
(24)【登録日】2020年7月13日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 5/30 20060101AFI20200728BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20200728BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20200728BHJP
   H04N 1/21 20060101ALI20200728BHJP
【FI】
   B41J5/30 Z
   B41J29/42 F
   B41J29/46 Z
   H04N1/21
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-78660(P2017-78660)
(22)【出願日】2017年4月12日
(65)【公開番号】特開2018-176530(P2018-176530A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194146
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(72)【発明者】
【氏名】小原 秀平
【審査官】 大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−017010(JP,A)
【文献】 特開2005−047086(JP,A)
【文献】 特開平08−149215(JP,A)
【文献】 特開2012−078937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 5/30
B41J 29/38
B41J 29/42
B41J 29/46
H04N 1/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性メモリーと、
前記揮発性メモリーの画像データ記憶領域を管理し、前記画像データ記憶領域に画像処理データを記憶させる一時記憶固定領域を割り当てるメモリー管理部と、
前記メモリー管理部に対し、前記画像処理データのデータサイズに応じて前記一時記憶固定領域の割り当てを指示し、前記画像処理データに関わる処理が終了した後、前記メモリー管理部に対して前記一時記憶固定領域の解放を指示するシステム制御部とを備え、
前記メモリー管理部は、前記揮発性メモリーの画像データ記憶領域に一時記憶仮領域を設定し、
前記一時記憶仮領域は、容量の閾値が設定されており、前記画像処理データを記憶させる領域であって、プログラムの処理に基づいた演算処理において使用可能な領域であり、
前記システム制御部は、前記一時記憶仮領域に記憶させた前記画像処理データのデータサイズを算出し、前記メモリー管理部に対して前記一時記憶仮領域内での前記データサイズに応じた前記一時記憶固定領域の割り当てを指示する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
パネル部を備え、
前記システム制御部は、前記画像処理データのデータサイズが前記一時記憶仮領域のサイズを超えた場合、前記パネル部に対してエラーを表示させるとともに、前記一時記憶仮領域に記憶させた前記画像処理データを削除する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
メモリー管理部により、揮発性メモリーの画像データ記憶領域を管理し、前記画像データ記憶領域に画像処理データを記憶させる一時記憶固定領域を割り当てる工程と、
システム制御部により、前記メモリー管理部に対し、前記画像処理データのデータサイズに応じて前記一時記憶固定領域の割り当てを指示し、前記画像処理データに関わる処理が終了した後、前記メモリー管理部に対して前記一時記憶固定領域の解放を指示する工程とを、画像形成装置を制御するコンピューターに実行させ、
前記メモリー管理部は、前記揮発性メモリーの画像データ記憶領域に一時記憶仮領域を設定し、
前記一時記憶仮領域は、容量の閾値が設定されており、前記画像処理データを記憶させる領域であって、プログラムの処理に基づいた演算処理において使用可能な領域であり、
前記システム制御部は、前記一時記憶仮領域に記憶させた前記画像処理データのデータサイズを算出し、前記メモリー管理部に対して前記一時記憶仮領域内での前記データサイズに応じた前記一時記憶固定領域の割り当てを指示する
ことを特徴とする画像形成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RAM(Random Access Memory)ディスクの使用に適した画像形成装置及び画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、MFP(Multifunction Peripheral)などの画像形成装置においては、印刷機能、コピー機能、FAX機能、ネットワーク経由でのデータ送受信機能などが搭載されている。また、これらの各種機能を備えた画像形成装置では、既存のRAMの画像データ記憶領域の一部にRAMディスク用の領域を割り当てるメモリー管理機能を搭載した機種も存在している。このようなメモリー管理機能を搭載することで、SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)などの大容量ストレージを搭載していない画像形成装置であっても、RAMの画像データ記憶領域の一部に画像データを記憶させることができる。
【0003】
このようなメモリー管理機能に関するものとして、特許文献1では、画像データを記憶する領域を含む複数の領域が確保されるRAMと、RAM上の領域の配分の情報である配分情報を記憶するフラッシュメモリと、RAM上に領域を確保するOSと、OSをブートするブート手段と、フラッシュメモリに記憶されている配分情報を変更する配分情報変更手段とを備え、配分情報は、RAM上の配分の変更がOSの起動後に不可能な領域の配分の情報を含んでおり、ブート手段は、配分情報をOSの起動前にRAMに書き込み、OSは、ブート手段によってブートされるとき、フラッシュメモリにアクセス可能となる前に、RAMに記憶されている配分情報に基づいてRAM上に領域を確保する画像形成装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−078937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1での画像形成装置では、配分情報変更手段によって変更された配分情報に基づいてOSがブート時に揮発性記憶装置上に領域を確保するので、揮発性記憶装置上の配分の変更がOSの起動後に不可能な領域であるOS起動後配分変更不可領域に対して配分を変更できる。すなわち、OS起動後配分変更不可領域にRAMディスク用の領域を含んでいる場合、RAMディスク用の領域の配分を変更できる。
【0006】
ところが、特許文献1での画像形成装置では、RAMディスク用の領域の配分を変更できるものの、RAMに画像データを記憶させる際、RAMディスクのON/OFFの設定操作やRAMディスク用の領域のサイズの設定操作が必要となるため、設定操作が煩わしいという問題がある。また、RAMディスク用の領域が一旦設定されてしまうと、演算処理で使用されるRAMのワーク領域のサイズが縮小されてしまうという問題もある。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解消することができる画像形成装置及び画像形成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、揮発性メモリーと、前記揮発性メモリーの画像データ記憶領域を管理し、前記画像データ記憶領域に画像処理データを記憶させる一時記憶固定領域を割り当てるメモリー管理部と、前記メモリー管理部に対し、前記画像処理データのデータサイズに応じて前記一時記憶固定領域の割り当てを指示し、前記画像処理データに関わる処理が終了した後、前記メモリー管理部に対して前記一時記憶固定領域の解放を指示するシステム制御部とを備え、前記メモリー管理部は、前記揮発性メモリーの画像データ記憶領域に一時記憶仮領域を設定し、前記一時記憶仮領域は、容量の閾値が設定されており、前記画像処理データを記憶させる領域であって、プログラムの処理に基づいた演算処理において使用可能な領域であり、前記システム制御部は、前記一時記憶仮領域に記憶させた前記画像処理データのデータサイズを算出し、前記メモリー管理部に対して前記一時記憶仮領域内での前記データサイズに応じた前記一時記憶固定領域の割り当てを指示することを特徴とする。
また、パネル部を備え、前記システム制御部は、前記画像処理データのデータサイズが前記一時記憶仮領域のサイズを超えた場合、前記パネル部に対してエラーを表示させるとともに、前記一時記憶仮領域に記憶させた前記画像処理データを削除することを特徴とする。
本発明の画像形成プログラムは、メモリー管理部により、揮発性メモリーの画像データ記憶領域を管理し、前記画像データ記憶領域に画像処理データを記憶させる一時記憶固定領域を割り当てる工程と、システム制御部により、前記メモリー管理部に対し、前記画像処理データのデータサイズに応じて前記一時記憶固定領域の割り当てを指示し、前記画像処理データに関わる処理が終了した後、前記メモリー管理部に対して前記一時記憶固定領域の解放を指示する工程とを、画像形成装置を制御するコンピューターに実行させ、前記メモリー管理部は、前記揮発性メモリーの画像データ記憶領域に一時記憶仮領域を設定し、前記一時記憶仮領域は、容量の閾値が設定されており、前記画像処理データを記憶させる領域であって、プログラムの処理に基づいた演算処理において使用可能な領域であり、前記システム制御部は、前記一時記憶仮領域に記憶させた前記画像処理データのデータサイズを算出し、前記メモリー管理部に対して前記一時記憶仮領域内での前記データサイズに応じた前記一時記憶固定領域の割り当てを指示することを特徴とする。
これにより、画像処理データのデータサイズに応じて割り当てられた一時記憶固定領域に画像処理データを一時記憶させることができるとともに、画像処理データに関わる処理が終了した後、一時記憶固定領域を画像処理に関わるアプリケーションプログラムの処理に基づいた演算処理において使用される揮発性メモリーの画像データ記憶領域として解放できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像形成装置及び画像形成プログラムによれば、画像処理データのデータサイズに応じて割り当てられた一時記憶固定領域に画像処理データを一時記憶させることができるので、揮発性メモリーに対する画像処理データの一時記憶のための領域配分に関わる設定操作を無くすことができる。また、画像処理データに関わる処理が終了した後、一時記憶固定領域を揮発性メモリーの画像データ記憶領域として解放するので、画像処理に関わるアプリケーションプログラムの処理に基づいた演算処理において使用される揮発性メモリーの画像データ記憶領域のサイズの縮小を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の画像形成装置の一実施形態を説明するための図である。
図2図1のメモリー管理部が管理するRAMのメモリーマップの一例について説明するものであって、図2(a)はRAMのワーク領域に一時記憶固定領域が割り当てられる前のメモリーマップを示す図であり、図2(b)はRAMのワーク領域に一時記憶固定領域が割り当てられた後のメモリーマップを示す図である。
図3図1のRAMに対する従来のRAMディスクの設定の一例について説明するものであって、図3(a)はRAMディスクON/OFF設定画面を示す図であり、図3(b)はRAMディスクサイズ設定画面を示す図である。
図4図1のシステム制御部によるRAMに対する一時記憶固定領域の割り当て処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の画像形成装置の一実施形態を、図1図4を参照しながら説明する。なお、以下の説明においての画像形成装置の一例としては、たとえば印刷機能、コピー機能、FAX機能、ネットワーク経由でのデータ送受信機能などを搭載した複合的な周辺機器であるMFP(Multifunction Peripheral)であるものとする。
【0012】
まず、図1に示すように、MFP100は、スキャナー部101、プリンター部102、FAX部103、I/F(インターフェース)104、パネル部105及びHDD(Hard Disk Drive)106の動作を制御する制御部110を備えている。なお、本実施形態でのMFP100は、HDD106を搭載している場合としているが、HDD106は搭載していなくてもよい。
【0013】
スキャナー部101は、イメージセンサ(図示省略)によって読み取られる、図示しない用紙上の画像をデジタルの画像データに変換し、制御部110に入力するデバイスである。プリンター部102は、制御部110から出力される印刷データに基づき、図示しない用紙上に画像を印刷するデバイスである。FAX部103は、制御部110から出力されるデータを、電話回線を通じ相手方となるファクシミリへと送信し、また、相手方ファクシミリからのデータを受信して制御部110に入力するデバイスである。
【0014】
I/F104は、ネットワークを介し、他のMFP100やユーザー端末などとの通信を受け持つ。なお、I/F104は、図示しないコンテンツサーバーやウェブサーバーなどとの通信を受け持ってもよい。パネル部105は、たとえばMFP100の印刷機能、コピー機能、FAX機能、ネットワーク経由でのデータ送受信機能や、各種設定のための表示を行うタッチパネルとハードウェアキーとを有するデバイスである。HDD106は、MFP100の種々の機能を提供するためのアプリケーションプログラムなどを記憶している記憶デバイスである。
【0015】
制御部110は、認証プログラムなどのアプリケーションプログラム、画像形成プログラム、及び制御プログラムなどを実行してMFP100全体の動作を制御するプロセッサーである。制御部110は、スキャナー制御部111、プリンター制御部112、FAX(Facsimile)制御部113、通信制御部114、RAM(Random Access Memory)115、EEPROM(electrically erasable and programmable read−only memory)116、画像処理部117、メモリー管理部118、パネル操作制御部119、HDD制御部120、システム制御部121を備えている。また、これらは、データバス122に接続されている。なお、HDD制御部120については、MFP100がHDD106を搭載していない場合、省いてもよい。
【0016】
スキャナー制御部111は、スキャナー部101の読み取り動作を制御する。プリンター制御部112は、プリンター部102の印刷動作を制御する。FAX制御部113は、FAX部103によるデータの送受信動作を制御する。通信制御部114は、I/F104を介し、ネットワーク経由でのデータなどの送受信の制御を行う。RAM115は、プログラムを実行するためのワークメモリーである。また、RAM115は、画像処理部117によって画像処理された印刷データを記憶する。また、RAM115には、RAMディスクが設定される。EEPROM116には、各部の動作チェックや起動シーケンスを生成する制御プログラムなどが記憶されている。
【0017】
画像処理部117は、スキャナー部101が読み取った画像データに対する画像処理(ラスタライズ)を行う。また、画像処理部117は、HDD106のユーザーボックスに登録された印刷ジョブに対する画像処理(ラスタライズ)を行う。なお、システム制御部121は、画像処理部117が画像処理した印刷データを、一旦、RAM115に記憶させる。
【0018】
メモリー管理部118は、RAM115の画像データ記憶領域を管理する。なお、RAM115の画像データ記憶領域は、後述の図2(a)に示すワーク領域115aである。また、メモリー管理部118は、システム制御部121の指示により、後述の図2(b)に示すワーク領域115aの一時記憶仮領域115d内に一時記憶固定領域115cを割り当てる。なお、一時記憶固定領域115cは、たとえば図示しないユーザー端末からの印刷ジョブや、ページ記述言語による印刷データのデータサイズ、又はスキャナー部101が読み取った原稿の画像データなどのデータサイズに応じてメモリー管理部118が割り当てるものである。また、メモリー管理部118は、印刷ジョブ、又はページ記述言語による印刷データに対する印刷処理が終了するか、あるいはスキャナー部101が読み取った原稿の画像データのコピー処理が終了すると、システム制御部121の指示により、一時記憶固定領域115cを解放する。すなわち、メモリー管理部118は、一時記憶固定領域115cを消去し、消去によって解放された領域を後述の図2(b)に示すワーク領域115aに割り当てる。これにより、一時記憶固定領域115cは、後述の図2(b)に示すワーク領域115aとして使用可能となる。
【0019】
パネル操作制御部119は、パネル部105の表示動作を制御する。また、パネル操作制御部119は、パネル部105を介し、印刷、コピー、FAX、ネットワーク経由でのデータ送受信などの設定を受け付ける。HDD制御部120は、HDD106に対するデータの読み出し及び書き込みなどを制御する。システム制御部121は、各部の連携動作などを制御する。また、システム制御部121は、通信制御部114を介し、たとえば図示しないユーザー端末からの印刷ジョブや、ページ記述言語による印刷データなどを受け取ると、後述の図2(a)に示すワーク領域115aの一時記憶仮領域115d内に印刷ジョブや、ページ記述言語による印刷データを記憶させる。また、システム制御部121は、スキャナー部101が読み取った原稿の画像データをワーク領域115aの一時記憶仮領域115d内に記憶させる。また、システム制御部121は、一時記憶仮領域115d内に記憶させたユーザー端末からの印刷ジョブや、ページ記述言語による印刷データのデータサイズ、又はスキャナー部101が読み取った原稿の画像データのデータサイズに応じて、メモリー管理部118に対し一時記憶固定領域115cを割り当てさせる。この場合、システム制御部121は、印刷機能、コピー機能、FAX機能、ネットワーク経由でのデータ送受信機能を実行するためのアプリケーションプログラムの処理に基づいた演算処理において、一時記憶固定領域115cを除いたワーク領域115aを使用できる。
【0020】
また、システム制御部121は、印刷ジョブ、又はページ記述言語による印刷データに対する印刷処理が終了するか、あるいはスキャナー部101が読み取った原稿の画像データのコピー処理が終了すると、メモリー管理部118に対し、一時記憶固定領域115cの解放を指示する。これにより、一時記憶固定領域115cが解放される。システム制御部121は、印刷機能、コピー機能、FAX機能、ネットワーク経由でのデータ送受信機能を実行するためのアプリケーションプログラムの処理に基づいた演算処理において、解放された一時記憶固定領域115cを含むワーク領域115aを使用できる。
【0021】
次に、図2を参照し、メモリー管理部118が管理するRAM115のメモリーマップの一例について説明する。まず、図2(a)は、RAM115のワーク領域115aに一時記憶固定領域115cが割り当てられる前のメモリーマップを示している。すなわち、RAM115の記憶領域のサイズは、たとえば256MBとなっているとする。また、RAM115の記憶領域には、たとえば56MBのサイズのシステム領域115bが割り当てられているとする。これにより、RAM115のワーク領域115aは、200MBになる。また、ワーク領域115aには、閾値をたとえば100MBとする一時記憶仮領域115dが設定されている。この一時記憶仮領域115dは、たとえば図示しないユーザー端末から受け取った印刷ジョブ、ページ記述言語による印刷データ、又はスキャナー部101が読み取った原稿の画像データを一時的に記憶させる領域である。また、この一時記憶仮領域115dは、ワーク領域115aと同様に、システム制御部121が、印刷機能、コピー機能、FAX機能、ネットワーク経由でのデータ送受信機能を実行するためのアプリケーションプログラムの処理に基づいた演算処理において使用できる領域である。なお、一時記憶仮領域115dの閾値は、100MBに限定されるものではなく、任意に設定変更できる。
【0022】
図2(b)は、RAM115のワーク領域115aの一時記憶仮領域115d内に一時記憶固定領域115cが割り当てられた場合のメモリーマップを示している。すなわち、システム制御部121は、通信制御部114を介し、たとえば図示しないユーザー端末からの印刷ジョブや、ページ記述言語による印刷データなどを受け取ると、ワーク領域115aの一時記憶仮領域115d内にユーザー端末からの印刷ジョブや、ページ記述言語による印刷データを記憶させる。また、システム制御部121は、スキャナー部101が読み取った原稿の画像データをワーク領域115aの一時記憶仮領域115d内に記憶させる。なお、一時記憶仮領域115d内でのユーザー端末からの印刷ジョブや、ページ記述言語による印刷データ、又はスキャナー部101が読み取った原稿の画像データの記憶箇所は、一時記憶仮領域115d内の任意の箇所であってもよい。また、印刷ジョブ、印刷データ、又は画像データのデータサイズが一時記憶仮領域115dの閾値である100MBを超えた場合、システム制御部121はパネル操作制御部119を介しパネル部105にエラーを表示させる。この場合、システム制御部121は、ワーク領域115aの一時記憶仮領域115d内に記憶させたユーザー端末からの印刷ジョブや、ページ記述言語による印刷データ、又はスキャナー部101が読み取った原稿の画像データを削除する。これにより、ワーク領域115aの一時記憶仮領域115d内に新たなユーザー端末からの印刷ジョブや、ページ記述言語による印刷データ、又はスキャナー部101が読み取った原稿の画像データを記憶させることができる。
【0023】
また、システム制御部121は、一時記憶仮領域115d内に記憶させたユーザー端末からの印刷ジョブや、ページ記述言語による印刷データのデータサイズ、又はスキャナー部101が読み取った原稿の画像データのデータサイズに応じて、メモリー管理部118に対し一時記憶固定領域115cを割り当てさせる。ここで、システム制御部121は、ワーク領域115aの一時記憶仮領域115d内に記憶させた印刷ジョブ、ページ記述言語による印刷データ、又はスキャナー部101が読み取った原稿の画像データのデータサイズが16MBである場合、メモリー管理部118に対し、RAM115に対する一時記憶固定領域115cの割り当てを16MBとして指示する。
【0024】
これにより、メモリー管理部118は、ワーク領域115aの一時記憶仮領域115d内において、データサイズを16MBとした一時記憶固定領域115cを割り当てる。このように、メモリー管理部118が一時記憶固定領域115cを割り当てることで、一時記憶固定領域115c内に記憶されているユーザー端末からの印刷ジョブや、ページ記述言語による印刷データ、又はスキャナー部101が読み取った原稿の画像データを、それぞれのデータの処理が終了するまで記憶させておくことができる。なお、図2(b)においては、一時記憶固定領域115cが一時記憶仮領域115d内の前段に割り当てられている場合を示しているが、これに限定されるものではない。すなわち、メモリー管理部118は、一時記憶仮領域115d内でのユーザー端末からの印刷ジョブや、ページ記述言語による印刷データ、又はスキャナー部101が読み取った原稿の画像データの記憶箇所がたとえば一時記憶仮領域115d内の中段又は後段である場合、中段又は後段に一時記憶固定領域115cを割り当てる。
【0025】
また、メモリー管理部118は、システム制御部121の指示により、ワーク領域115aの一時記憶仮領域115d内に割り当てた一時記憶固定領域115cを消去する。すなわち、システム制御部121は、ユーザー端末からの印刷ジョブ、又はページ記述言語による印刷データに対する印刷処理が終了するか、あるいはスキャナー部101が読み取った原稿の画像データのコピー処理が終了すると、メモリー管理部118に対し、一時記憶固定領域115cの解放を指示する。すなわち、メモリー管理部118は、一時記憶固定領域115cを消去し、消去によって解放された領域を後述の図2(b)に示すワーク領域115aに割り当てる。これにより、一時記憶固定領域115cは、ワーク領域115aとして使用可能となる。
【0026】
ここで、図3を参照し、従来のRAM115に対するRAMディスクの設定の一例について説明する。まず、図3(a)は、パネル部105に表示されるRAMディスクON/OFF設定画面105Aの一例を示している。従来では、RAM115にRAMディスクを設定する場合、パネル部105にRAMディスクON/OFF設定画面105Aを表示させ、ON/OFF設定の選択欄105aでタッチ操作によりONを選択すると(この場合、図示はしていないが、点線枠が実線枠に変更されることで、ONが選択されたことを示す)、パネル部105の表示が図3(b)に示すRAMディスクサイズ設定画面105Bに切り替わる。
【0027】
RAMディスクサイズ設定画面105Bには、たとえば変更前のRAMディスクのサイズ(たとえば16MB)を1MBに変更する際にタッチ操作する選択欄105bと、たとえば1〜16MBの間でRAMディスクのサイズを任意に設定する際にタッチ操作する選択欄105cとが表示される。ここで、たとえば選択欄105bをタッチ操作すると、点線枠が実線枠に変更されることで、選択欄105bが選択されたことを示す。これにより、変更前のRAMディスクのサイズが1MBに変更される。また、たとえば選択欄105cをタッチ操作すると、点線枠が実線枠に変更されることで、選択欄105cが選択されたことを示す。ここで、1〜16MBの間で任意のサイズである、たとえば5MBを設定すると、変更前のRAMディスクのサイズが5MBに変更される。
【0028】
このように、従来でのRAMディスクの設定においては、RAMディスクON/OFF設定画面105AでのRAMディスクのONの設定と、RAMディスクサイズ設定画面105BにおいてのRAMディスクのサイズの設定に関わる操作が必要となる。しかも、一旦、RAMディスクのサイズが設定されると、たとえば図2(a)に示したワーク領域115aのサイズが設定されたRAMディスクのサイズ分だけ縮小されてしまう。
【0029】
そこで、本実施形態では、RAMディスクON/OFF設定画面105AでのRAMディスクのONの設定と、RAMディスクサイズ設定画面105BにおいてのRAMディスクのサイズの設定に関わる操作とを無くし、ワーク領域115aの一時記憶仮領域115d内に記憶させるデータサイズに応じた一時記憶固定領域115cを割り当てるとともに、記憶させたデータに対する処理の終了後、一時記憶固定領域115cを解放する方法を採用している。これにより、データの一時記憶のための一時記憶固定領域115cの領域配分に関わる設定操作を行うことなく、データを一時記憶させることができ、しかも、一時記憶固定領域115cに記憶させたデータに対する処理の終了後、一時記憶固定領域115cを解放することで、ワーク領域115aのサイズ縮小が避けられる。
【0030】
次に、図4を参照し、システム制御部121によるRAM115に対する一時記憶固定領域115cの割り当て処理について説明する。なお、以下では、図示しないユーザー端末からのたとえばページ記述言語で記述されている印刷データを受け取った場合として説明する。
【0031】
(ステップS101)
システム制御部121は、ページ記述言語で記述されている印刷データを受け取ったかどうかを判断する。
この場合、システム制御部121は、通信制御部114からのページ記述言語で記述されている印刷データを受け取ったことを示す通知が無ければページ記述言語で記述されている印刷データを受け取っていないと判断する(ステップS101:No)。
これに対し、システム制御部121は、通信制御部114からのページ記述言語で記述されている印刷データを受け取ったことを示す通知が有ればページ記述言語で記述されている印刷データを受け取ったと判断し(ステップS101:Yes)、ステップS102に移行する。
なお、システム制御部121は、通信制御部114が受け取ったページ記述言語で記述されている印刷データを、たとえば図2(a)のワーク領域115aの一時記憶仮領域115d内に記憶させる。
【0032】
(ステップS102)
システム制御部121は、データサイズを算出する。
この場合、システム制御部121は、たとえば図2(a)のワーク領域115aの一時記憶仮領域115d内に記憶させたページ記述言語で記述されている印刷データのデータサイズを算出する。
【0033】
(ステップS103)
システム制御部121は、一時記憶固定領域115cの割り当てを指示する。
この場合、システム制御部121は、メモリー管理部118に対し、一時記憶固定領域115cの割り当てを指示する。
すなわち、システム制御部121は、ワーク領域115aの一時記憶仮領域115d内に記憶させたページ記述言語で記述されている印刷データのデータサイズがたとえば16MBである場合、メモリー管理部118に対し、RAM115に対する一時記憶固定領域115cの割り当てを16MBとして指示する。
これにより、メモリー管理部118は、図2(b)に示したように、ワーク領域115aの一時記憶仮領域115d内において、データサイズを16MBとした一時記憶固定領域115cを割り当てる。
【0034】
(ステップS104)
システム制御部121は、割り当てが完了したかどうかを判断する。
この場合、システム制御部121は、メモリー管理部118からの割り当てが完了したことを示す通知が無ければ割り当てが完了していないと判断する(ステップS104:No)。
これに対し、システム制御部121は、メモリー管理部118からの割り当てが完了したことを示す通知が有れば割り当てが完了したと判断し(ステップS104:Yes)、ステップS105に移行する。
【0035】
(ステップS105)
システム制御部121は、印刷処理を指示する。
この場合、システム制御部121は、画像処理部117に対して画像処理を指示する。 このとき、システム制御部121は、画像処理部117に対し、ページ記述言語で記述されている印刷データの記憶箇所を通知する。
これにより、画像処理部117は、RAM115の一時記憶固定領域115cに記憶されているページ記述言語で記述されている印刷データを読み出し、印刷データに対する画像処理(ラスタライズ)を行う。また、画像処理部117は、画像処理(ラスタライズ)した印刷データを、一旦、たとえば図2(b)に示すワーク領域115aに記憶させる。
システム制御部121は、画像処理部117が画像処理(ラスタライズ)を行うと、プリンター制御部112に対して印刷処理を指示する。
このとき、プリンター制御部112は、画像処理部117がワーク領域115aに記憶させた画像処理(ラスタライズ)後の印刷データに基づき、プリンター部102の印刷動作を制御する。
【0036】
(ステップS106)
システム制御部121は、印刷処理が完了したかどうかを判断する。
この場合、システム制御部121は、プリンター制御部112からの印刷処理を示す通知が無ければ印刷処理が完了していないと判断する(ステップS106:No)。
これに対し、システム制御部121は、プリンター制御部112からの印刷処理を示す通知が有れば印刷処理が完了したと判断し(ステップS106:Yes)、ステップS107に移行する。
【0037】
(ステップS107)
システム制御部121は、一時記憶固定領域115cの解放を指示する。
この場合、システム制御部121は、メモリー管理部118に対し、ワーク領域115aの一時記憶仮領域115d内に割り当てた一時記憶固定領域115cを消去する。
これにより、ワーク領域115a内の一時記憶固定領域115cが解放されるため、ワーク領域115aのサイズ縮小が避けられる。
【0038】
(ステップS108)
システム制御部121は、一時記憶固定領域115cの解放が完了したかどうかを判断する。
この場合、システム制御部121は、メモリー管理部118からの一時記憶固定領域115cの消去が完了したことを示す通知が無ければ一時記憶固定領域115cの解放が完了していないと判断する(ステップS108:No)。
これに対し、システム制御部121は、メモリー管理部118からの一時記憶固定領域115cの消去が完了したことを示す通知が有れば一時記憶固定領域115cの解放が完了したと判断し(ステップS108:Yes)、処理を終了する。
【0039】
なお、システム制御部121は、ステップS102において、図2(a)のワーク領域115aの一時記憶仮領域115d内に記憶させたページ記述言語で記述されている印刷データのデータサイズを算出し、ステップS103において、メモリー管理部118に対し、一時記憶固定領域115cの割り当てを指示しているが、この例に限定されるものではない。すなわち、システム制御部121は、一時記憶仮領域115d内に記憶させるページ記述言語で記述されている印刷データのデータサイズが前もって分かっている場合、ステップS102の処理を省略し、メモリー管理部118に対し、一時記憶固定領域115cの割り当てを指示してもよい。この場合、メモリー管理部118が割り当てた一時記憶固定領域115cに、ページ記述言語で記述されている印刷データを記憶させることができる。
【0040】
このように、本実施形態では、メモリー管理部118により、RAM115(揮発性メモリー)のワーク領域115a(画像データ記憶領域)を管理し、ワーク領域115a(画像データ記憶領域)にユーザー端末からの印刷ジョブ、ページ記述言語で記述されている印刷データ、又はスキャナー部101が読み取った画像データ(画像処理データ)を記憶させる一時記憶固定領域115cを割り当て、システム制御部121により、メモリー管理部118に対し、ユーザー端末からの印刷ジョブ、ページ記述言語で記述されている印刷データ、又はスキャナー部101が読み取った画像データ(画像処理データ)のデータサイズに応じて一時記憶固定領域115cの割り当てを指示し、ユーザー端末からの印刷ジョブ、ページ記述言語で記述されている印刷データ、又はスキャナー部101が読み取った画像データ(画像処理データ)に関わる処理が終了した後、メモリー管理部118に対して一時記憶固定領域115cの解放を指示する。
【0041】
これにより、ユーザー端末からの印刷ジョブ、ページ記述言語で記述されている印刷データ、又はスキャナー部101が読み取った画像データ(画像処理データ)のデータサイズに応じて割り当てられた一時記憶固定領域115cに画像処理データを一時記憶させることができるので、RAM115(揮発性メモリー)に対する、ユーザー端末からの印刷ジョブ、ページ記述言語で記述されている印刷データ、又はスキャナー部101が読み取った画像データ(画像処理データ)の一時記憶のための領域配分に関わる設定操作を無くすことができる。また、ユーザー端末からの印刷ジョブ、ページ記述言語で記述されている印刷データ、又はスキャナー部101が読み取った画像データ(画像処理データ)に関わる処理が終了した後、一時記憶固定領域をRAM115(揮発性メモリー)のワーク領域115a(画像データ記憶領域)として解放するので、画像処理に関わるアプリケーションプログラムの処理に基づいた演算処理において使用されるRAM115(揮発性メモリー)のワーク領域115a(画像データ記憶領域)のサイズの縮小を抑制できる。
【符号の説明】
【0042】
100 MFP
101 スキャナー部
102 プリンター部
103 FAX部
104 I/F
105 パネル部
106 HDD
105A RAMディスクON/OFF設定画面
105B RAMディスクサイズ設定画面
105a〜105c 選択欄
110 制御部
111 スキャナー制御部
112 プリンター制御部
113 FAX制御部
114 通信制御部
115 RAM
115a ワーク領域
115b システム領域
115c 一時記憶固定領域
115d 一時記憶仮領域
116 EEPROM
117 画像処理部
118 メモリー管理部
119 パネル操作制御部
120 HDD制御部
121 システム制御部
122 データバス
図1
図2
図3
図4