【文献】
J. Org. Chem.,2005年,70,pp.4346-4353
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書中、「アルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等のC1−6アルキル基等が挙げられる。
【0010】
本明細書中、「シクロアルキル基」としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル等のC3−8シクロアルキル基等が挙げられる。
【0011】
本明細書中、用語「(シクロ)アルキル基」は、アルキル基及びシクロアルキル基を包含することを意図して用いられる。
本発明の、式(1):
【化5】
[式中、
Rは1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基を表す。]
で表される化合物の製造方法は、
式(2):
【化6】
[式中、
Xは臭素原子又は塩素原子を表す。]
で表される化合物を、
遷移金属触媒、及び塩基の存在下で、
式(3):
R−OH (3)
(式中の記号は前記と同意義を表す。)
で表されるアルコール及び一酸化炭素
と反応させて前記式(1)で表される化合物を得る工程Aを含む。
【0012】
Rで表される「1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基」のアルキル基は、好ましくは、メチル基又はエチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0013】
前記式(1)で表される化合物は、好ましくは、メチル−2−フルオロアクリレート又はエチル−2−フルオロアクリレートであり、特に好ましくは、メチル−2−フルオロアクリレートである。
【0014】
前記式(2)で表される化合物は、公知の化合物であり、公知の方法によって製造することができ、または商業的に入手可能である。
【0015】
前記式(3)で表されるアルコールは、好ましくは、メタノール又はエタノールであり、特に好ましくは、メタノールである。
前記式(3)で表されるアルコールは、工程Aの反応の溶媒としても機能し得る。
工程Aの反応原料としての前記式(3)で表されるアルコールの量は、前記式(2)で表される化合物1モルに対して、通常1〜100モル、好ましくは約1.2〜40モルである。
前記式(3)で表されるアルコールを工程Aの反応の溶媒としても用いる場合、当該アルコールは、通常、前記式(2)で表される化合物に対して大過剰に用いられる。具体的には、当該アルコール以外の溶媒を用いない場合、前記式(2)で表される化合物1モル当たり、当該アルコールの量は、通常0.2〜10L、好ましくは約0.4〜5Lであり、又は0.5〜10L、若しくは約1〜5Lであることもできる。
【0016】
工程Aは、好ましくは、オートクレーブ等の容器中で行われ、工程Aの反応原料としての一酸化炭素は、精製一酸化炭素ガス等の一酸化炭素を含有する気体によって当該容器中に導入できる。一酸化炭素圧は、通常0.1〜10MPaG、好ましくは0.5〜2MPaGである。
【0017】
工程Aは、遷移金属触媒の存在下で実施される。
工程Aで用いられる遷移金属触媒は、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウム及びコバルトからなる群より選択される1種以上の遷移金属を含有する遷移金属触媒である。
すなわち、工程Aで用いられる遷移金属触媒としては、例えば、ニッケル触媒、パラジウム触媒、白金触媒、ロジウム触媒、ルテニウム触媒、イリジウム触媒及びコバルト触媒である。
当該遷移金属は、好ましくは、ニッケル、コバルト及びパラジウムからなる群より選択される。ニッケル、コバルト及びパラジウムからなる群より選択される1種以上の遷移金属を含有する遷移金属触媒は、本発明の好適な一態様では、例えば、有機ニッケル錯体、有機コバルト錯体又は有機パラジウム錯体である。
【0018】
前記ニッケル錯体、前記コバルト錯体及び前記パラジウム錯体は、試薬として投入されるもの及び反応系中で生成するものの両方を意味し得る。
【0019】
パラジウム錯体としては、例えば、
0価パラジウム錯体;
II価パラジウム錯体から反応中に発生した0価パラジウム錯体;及び
これらとジケトン、ホスフィン、ジアミン及びビピリジルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(配位子)とを混合して得られる錯体
等が挙げられる。
【0020】
0価パラジウム錯体としては、特に限定はないが、例えば、Pd
2(DBA)
3(DBAはジベンジリデンアセトン)、Pd(COD)
2(CODはシクロオクタ−1,5−ジエン)、Pd(DPPE)(DPPEは1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン)、Pd(PCy
3)
2(Cyはシクロヘキシル基)、Pd(Pt−Bu
3)
2(t−Buはt-ブチル基)及びPd(PPh
3)
4(Phはフェニル基)等が挙げられる。
【0021】
II価パラジウム錯体としては、例えば、塩化パラジウム、臭化パラジウム、酢酸パラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム(II)、ジクロロ(η
4−1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)、又はこれらにトリフェニルホスフィン等のホスフィン配位子が配位した錯体等が挙げられる。これらのII価パラジウム錯体が、例えば、反応中に共存する還元種(例、ホスフィン、亜鉛、有機金属試薬等)により還元されて、0価パラジウム錯体が生成する。
【0022】
前記の、0価パラジウム錯体、又はII価パラジウム錯体から還元により生じた0価パラジウム錯体は、反応中、必要に応じ添加されるジケトン、ホスフィン、ジアミン、ビピリジル等の化合物(配位子)と作用して、反応に関与する0価のパラジウム錯体に変換することもできる。なお、反応中において、0価のパラジウム錯体にこれらの配位子がいくつ配位しているかは必ずしも明らかでなくてもよい。
【0023】
これらパラジウム錯体は、前記のような配位子を用いることで、反応基質との均一な溶液を形成させて、反応に用いることが多いが、これ以外にもポリスチレン、ポリエチレン等のポリマー中に分散又は担持させた不均一系触媒としても用いることが可能である。こ
のような不均一系触媒は、触媒の回収等のプロセス上の利点を有する。具体的な触媒構造としては、例えば、以下の化学式に示すような、架橋したポリスチレン(PS)鎖にホスフィンを導入したポリマーホスフィンなどで金属原子を固定したもの等が挙げられる。また、これ以外にも、以下:
1)Kanbaraら、Macromolecules, 2000年、33巻、657頁
2)Yamamotoら、J. Polym. Sci., 2002年、40巻、2637頁
3)特開平06−32763号公報
4)特開2005−281454号公報
5)特開2009−527352号公報
に示す文献に記載のポリマーホスフィンも利用可能である。
【0024】
【化7】
(式中、PSはポリスチレンを、Phはフェニル基を示す。)
【0025】
ジケトンとしては、例えば、アセチルアセトン、1−フェニル−1,3−ブタンジオン、1,3−ジフェニルプロパンジオン等のβジケトン等が挙げられる。
【0026】
ホスフィンとしては、例えば、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、及び置換されていてもよいアリール基等からなる群より選択される1個以上の置換基をリン原子上に有するホスフィンであることができる。なかでも、トリ(シクロ)アルキルホスフィン又はトリアリールホスフィンが好ましい。トリ(シクロ)アルキルホスフィンとしては、具体的には、例えば、トリシクロヘキシルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン、トリテキシルホスフィン、トリアダマンチルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、ジt−ブチルメチルホスフィン、トリビシクロ[2,2,2]オクチルホスフィン、トリノルボルニルホスフィン等のトリ(C3−20(シクロ)アルキル)ホスフィン等が挙げられる。トリアリールホスフィンとしては、具体的には、例えば、トリフェニルホスフィン、トリメシチルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン等のトリ(単環アリール)ホスフィン等が挙げられる。これらの中でも、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリt−ブチルホスフィンが好ましい。またこれ以外にも、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’4’6’−トリイソプロピルビフェニル、[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]ジ−tert−ブチルホスフィン;並びに4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチル−9H−キサンテン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、及び2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルのような二座配位子も有効である。
【0027】
また、前述したように、ホスフィン単位をポリマー鎖に導入した不均一系触媒用のアリ
ールホスフィンも好ましく用いることができる。具体的には、以下の化学式に示す、トリフェニルホスフィンの1つのフェニル基をポリマー鎖に結合させたトリアリールホスフィンが例示される。
【0028】
【化8】
(式中、PSはポリスチレンを、Phはフェニル基を示す。)
【0029】
ジアミンとしては、例えば、テトラメチルエチレンジアミン、及び1,2−ジフェニルエチレンジアミン等が挙げられる。
【0030】
これらの配位子のうち、ホスフィン、ジアミン、及びビピリジルが好ましく、トリアリールホスフィンがより好ましく、特にトリフェニルホスフィンが好ましい。通常、ホスフィンのように嵩高い配位子を有するパラジウム錯体を用いたほうが、より収率良く目的の式(1)で表される化合物を得ることができる。
【0031】
また、コバルト錯体としては、例えば、Co
2(CO)
8;及び
水素化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド(例、ナトリウムネオペントキシド、ナトリウムtert−アミロキシド、ナトリウムtert−ブトキシド)、酢酸コバルト、及び一酸化炭素を混合して得られる錯体(例、CoCRACO)
等が挙げられる。
【0032】
また、ニッケル錯体としては、例えば、
0価ニッケル錯体;
II価ニッケル錯体から反応中に発生した0価ニッケル錯体;及び
これらとジケトン、ホスフィン、ジアミン及びビピリジルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(配位子)とを混合して得られる錯体
等が挙げられる。
【0033】
0価ニッケル錯体としては、特に限定はないが、例えば、Ni(COD)
2、Ni(CDD)
2(CDDはシクロデカ−1,5−ジエン)、Ni(CDT)
2(CDTはシクロデカ−1,5,9−トリエン)、Ni(VCH)
2(VCHは4−ビニルシクロヘキセン)、Ni(CO)
4、(PCy
3)
2Ni−N≡N−Ni(PCy
3)
2、及びNi(PPh
3)
4等が挙げられる。
【0034】
II価ニッケル錯体としては、例えば、塩化ニッケル、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、
ビス(アセチルアセトナト)ニッケル(II)、又はこれらにトリフェニルホスフィン等のホスフィン配位子が配位した錯体等が挙げられる。これらのII価ニッケル錯体は、例えば、反応中に共存する還元種(ホスフィン、亜鉛、有機金属試薬等)により還元されて、0価ニッケル錯体が生成する。
【0035】
前記の0価ニッケル錯体、又はII価ニッケル錯体から還元により生じた0価ニッケル錯体は、反応中、必要に応じ添加される配位子と作用して、反応に関与する0価のニッケル錯体に変換することもできる。なお、反応中において、0価のニッケル錯体にこれらの配位子がいくつ配位しているかは必ずしも明らかでなくてもよい。ニッケル錯体としては、系中で生じる0価のニッケル錯体を安定化させる機能が高いものが望ましい。具体的には、ホスフィン、ジアミン、ビピリジル等の配位子を有しているものが好ましく、特にホスフィンを有しているものが好ましい。
【0036】
ここで、ホスフィンとしては、例えば、トリアルキルホスフィン又はトリアリールホスフィンが好ましい。
トリアルキルホスフィンとしては、具体的には、例えば、トリシクロヘキシルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン、トリテキシルホスフィン、トリアダマンチルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、ジt−ブチルメチルホスフィン、トリビシクロ[2,2,2]オクチルホスフィン、トリノルボルニルホスフィン等のトリ(C3−20アルキル)ホスフィン等が挙げられる。
トリアリールホスフィンとしては、具体的には、例えば、トリフェニルホスフィン、トリメシチルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン等のトリ(単環アリール)ホスフィン等が挙げられる。
これらのうち、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン及びトリイソプロピルホスフィンが好ましい。
【0037】
また、前述したように、ホスフィン単位をポリマー鎖に導入した不均一系触媒用のアリールホスフィンも好ましく用いることができる。具体的には以下の化学式に示す、トリフェニルホスフィンの1つのフェニル基をポリマー鎖に結合させたトリアリールホスフィンが例示される。
【0038】
【化9】
(式中、PSはポリスチレンを、Phはフェニル基を示す。)
【0039】
ジアミンとしては、例えば、テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジフェニルエチ
レンジアミン等が挙げられる。
【0040】
これらの配位子のうち、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン等のトリアリールホスフィン;トリシクロヘキシルホスフィン;及びトリt−ブチルホスフィン等の嵩高い配位子が好ましい。通常、トリアリールホスフィンのように嵩高い配位子を有するニッケル錯体を用いたほうが、より収率よく目的の式(1)で表される化合物を得ることができる。
【0041】
遷移金属触媒は、式(1)で表される化合物の収率、及び選択性等の観点から、好ましくは、有機パラジウム錯体である。
【0042】
また、遷移金属触媒は、前記遷移金属が担体に担持されている担持触媒であることができる。このような担持触媒は、触媒を再利用できるので、コストの点で有利である。
当該担体の例としては、例えば、炭素、アルミナ、シリカーアルミナ、シリカ、炭酸バリウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、又はゼオライト等が挙げられる。
当該担持触媒としては、特に好ましくは、例えば、パラジウム炭素である。
【0043】
遷移金属触媒の量は、前記式(2)で表される化合物1モルに対して、通常、0.002〜10モル、好ましくは、0.005〜5モル、更に好ましくは0.005〜1モル、更により好ましくは、0.01〜1モルである。
【0044】
工程Aは、塩基の存在下で実施される。
工程Aで用いられる塩基としては、例えば、アミン、及び無機塩基、及び有機金属塩基が挙げられる。
アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリ(n−プロピル)アミン、トリ(n−ブチル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ピリジン、ルチジン、γ−コリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン等が挙げられる。
無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウム等が挙げられる。
有機金属塩基としては、例えば、
ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、トリフェニルメチルナトリウム、エチルナトリウム等の有機アルカリ金属化合物;
メチルマグネシウムブロミド、ジメチルマグネシウム、フェニルマグネシウムクロリド、フェニルカルシウムブロミド、ビス(ジシクロペンタジエン)カルシウム等の有機アルカリ土類金属化合物;及び
ナトリウムメトキシド、t−ブチルメトキシド等のアルコキサイド
等が挙げられる。
塩基の好ましい例としては、水酸化リチウム、トリエチルアミン、炭酸カリウム、及び炭酸リチウムが挙げられる。塩基のより好ましい例としては、トリエチルアミン、炭酸カリウム、及び炭酸リチウムが挙げられる。
塩基は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
塩基の量は、前記式(2)で表される化合物1モルに対して、通常0.2〜5モル、好ましくは約0.5〜3モルである。
【0046】
工程Aで用いられる塩基は、好ましくは、
(a)アミン、及び
(b)無機塩基又は有機金属塩基を含有する。
工程Aで用いられる塩基は、より好ましくは、アミン、及び無機塩基を含有し、更に好ましくはアミン、及び無機塩基からなる。
本発明の好適な一態様においては、工程Aで用いられる塩基は、(a)トリエチルアミン、及び(b)水酸化リチウム、炭酸カリウム、及び炭酸リチウムからなる群より選択される1種以上の無機塩基を含有する。
本発明のより好適な一態様においては、工程Aで用いられる塩基は、(a)トリエチルアミン、及び(b)炭酸カリウム、及び炭酸リチウムからなる群より選択される1種以上の無機塩基からなる。
【0047】
アミンの量は、前記式(2)で表される化合物1モルに対して、通常0.2〜5モル、好ましくは約0.5〜3モルである。
【0048】
無機塩基の量は、遷移金属触媒1モルに対して、通常1〜10モル、好ましくは約2〜5モルである。
【0049】
工程Aは、通常、10〜150℃、好ましくは50〜120℃、より好ましくは60〜110℃、更に好ましくは60〜100℃、又は60〜90℃の範囲内の温度で実施される。
当該温度が低すぎる場合、原料転化率、及び収率が低くなる傾向がある。
一方、当該温度が高すぎる場合、後記の分析方法による分析において、工程Aの反応後の混合物中に、原料である前記式(1)で表される化合物、及び副生成物又は分解物の存在が推測される場合がある。
[分析方法]
反応終了後、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼンを加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させる。上澄みを重クロロホルムで希釈し、
19F−NMR積分値による定量を実施する。
【0050】
工程Aには、溶媒としても機能し得る前記式(3)で表されるアルコールに加えて、これ以外の溶媒を用いてもよい。この場合、前記式(3)で表されるアルコールの使用量を減らすことができる。
当該溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、n−デカン、イソドデカン、トリデカン等の非芳香族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、ベラトロール、ジエチルベンゼン、メチルナフタレン、ニトロベンゼン、o−ニトロトルエン、メシチレン、インデン、ジフェニルスルフィド等の芳香族炭化水素溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ジイソブチルケトン、イソホロン等のケトン;ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、メチル t−ブ
チルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグライム、フェネトール、1,1−ジメトキシシクロヘキサン、ジイソアミルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、マロン酸ジエチル、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、炭酸ジメチル、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等のエステル溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド系溶媒;及びN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド溶媒等が挙げられる。
【0051】
当該溶媒は、好ましくは、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、メチル t−ブチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグラ
イム、フェネトール、1,1−ジメトキシシクロヘキサン、ジイソアミルエーテル等のエーテル溶媒;又はN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド溶媒である。
【0052】
当該溶媒は、工程Aにおいて、原料化合物、触媒、及び生成物に対して不活性であることが好ましい。
【0053】
当該溶媒としては、前記式(1)で表される化合物の精製の容易さの観点からは、高沸点(例、100℃以上、より好ましくは120℃以上)の有機溶媒を用いることが好ましい。これにより、単なる蒸留によって前記式(1)で表される化合物を精製することが可能になる。
【0054】
当該溶媒の使用量は、反応温度において原料の一部あるいは全部が溶解する程度であればよく、特に限定されない。例えば、前記式(2)で表される化合物1重量部に対し0.2〜10重量部、又は0.5〜10重量部の溶媒を用いることができる。
【0055】
当該反応の反応時間は、例えば、所望する原料転化率、選択率、及び収率を基づいて設定すればよく、具体的には通常1〜24時間であり、好ましくは2〜12時間である。
当該反応時間は、より高い反応温度を採用することにより、より短くすることができる。
【0056】
本発明の製造方法によれば、原料の転化率は好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上であり、更に好ましくは97%以上であることができる。
本発明の製造方法によれば、式(1)で表される化合物の選択率は好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であることができる。
【0057】
本発明の製造方法によれば、式(1)で表される化合物の収率は好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上であることができる。
【0058】
本発明の製造方法で得られた式(1)で表される化合物は、所望により、溶媒抽出、乾燥、濾過、蒸留、濃縮、及びこれらの組み合わせ等の公知の精製方法によって精製することができる。
特に、本発明の製造方法では、副生成物及び分解物が極めて微量であるので、蒸留等の簡便な方法により、極めて純度の高い式(1)で表される化合物を得ることできる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0060】
実施例1
50mLのステンレス製オートクレーブに1−ブロモ−1−フルオロエテン 0.87g(6.96mmol)、トリエチルアミン 0.89g(8.8mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) 0.168g(0.24mmol)、炭酸リチウム 0.060g(0.80mmol)、及びメタノール 10mLを仕込み、一酸化炭素 1.0MPaGを導入し90℃で6時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標
準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、
19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステル(MFA)が6.31mmol(収率90.7%)及び未反応の1−ブロモ−1−フルオロエテンが0.19mmol(回収率3.0%)であった。
転化率は97%であった。
また、NMRにより4つの不明成分が認められ、MFAの選択率は94.5%であった。結果を次表に示す。
【表1】
【0061】
実施例2
50mLのステンレス製オートクレーブに1−ブロモ−1−フルオロエテン 1.02g(8.18 mmol)、トリエチルアミン 0.89g(8.8mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) 0.168g(0.24mmol)、炭酸リチウム 0.060g(0.80mmol)、及びメタノール 10mLを仕込み、一酸化炭素 1.0MPaGを導入し60℃で7時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、
19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステル(MFA)が3.69mmol(収率45%)及び未反応の1−ブロモ−1−フルオロエテンが4.49mmol(回収率55%)であった。
転化率は45%であり、選択率は100%であった。
【表2】
【0062】
実施例3
50mLのステンレス製オートクレーブに1−ブロモ−1−フルオロエテン 0.72g(5.78 mmol)、トリエチルアミン 0.89g(8.8mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) 0.028g(0.04mmol)、炭酸リチウム 0.009g(0.12mmol)、及びメタノール 10mLを仕込み、一酸化炭素 1.0MPaGを導入し90℃で8時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し
19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステル(MFA)が4.6mmol(収率80%)及び未反応の1−ブロモ−1−フルオロエテンが0.9
4mmol(回収率16%)であった。
転化率は83%であった。また、NMRにより1つの不明成分が認められ、選択率は95%であった。
【表3】
【0063】
実施例4
50mLのステンレス製オートクレーブに1−ブロモ−1−フルオロエテン 1.06g(8.48mmol)、トリエチルアミン 0.97g(9.6mmol)、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II) 59.1mg(0.08mmol)、及びメタノール 8mLを仕込み、一酸化炭素 1.0MPaGを導入し100℃で9時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、
19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステル(MFA)が6.67mmol(収率78.6%)及び未反応の1−ブロモ−1−フルオロエテンが1.59mmol(回収率18.8%)であった。
転化率は80.2%であった。
【0064】
実施例5
50mLのステンレス製オートクレーブに1−ブロモ−1−フルオロエテン 0.98g(7.84mmol)、トリエチルアミン 0.97g(9.6mmol)、ビス(ト
リt−ブチルホスフィン)パラジウム(0) 40.9mg(0.08mmol)、及び
メタノール 8mLを仕込み、一酸化炭素 1.0MPaGを導入し100℃で9時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、
19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステル(MFA)が4.95mmol(収率63.1%)及び未反応の1−ブロモ−1−フルオロエテンが2.60mmol(回収率33.1%)であった。
転化率は65.3%であった。
【0065】
実施例6
50mLのステンレス製オートクレーブに1−ブロモ−1−フルオロエテン 1.12g(8.96mmol)、トリエチルアミン 0.97g(9.6mmol)、塩化パラジウム(II) 14.2mg(0.08mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’4’6’−トリイソプロピルビフェニル 38.1mg(0.08mmol)、及びメタノール 8mLを仕込み、一酸化炭素 1.0MPaGを導入し100℃で8時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、
19F−NMR
積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステル(MFA)が7.64mmol(収率85.3%)及び未反応の1−ブロモ−1−フルオロエテンが1.08mmol(回収率12.0%)であった。
転化率は87.5%であった。
【0066】
実施例7
50mLのステンレス製オートクレーブに1−ブロモ−1−フルオロエテン 0.85g(6.80mmol)、トリエチルアミン 0.97g(9.6mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) 5.6mg(0.008mmol)、及びメタノール 8mLを仕込み、一酸化炭素 1.0MPaGを導入し100℃で7時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、
19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステル(MFA)が4.80mmol(収率70.6%)及び未反応の1−ブロモ−1−フルオロエテンが1.92mmol(回収率28.2%)であった。
転化率は71.4%であった。
【0067】
実施例8
50mLのステンレス製オートクレーブに1−ブロモ−1−フルオロエテン 0.93g(7.44mmol)、トリエチルアミン 0.97g(9.6mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) 56.2mg(0.08mmol)、及びエタノール 8mLを仕込み、一酸化炭素 1.0MPaGを導入し100℃で6時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、
19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸エチルエステル(MFA)が6.57mmol(収率88.3%)及び未反応の1−ブロモ−1−フルオロエテンが0.68mmol(回収率9.2%)であった。
転化率は90.1%であった。
【0068】
実施例9
50mLのステンレス製オートクレーブに1−ブロモ−1−フルオロエテン 1.04g(8.32mmol)、トリエチルアミン 0.97g(9.6mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) 56.2mg(0.08mmol)、メタノール 0.51g(16.0mmol)、及びテトラヒドロフラン 8mLを仕込み、一酸化炭素 1.0MPaGを導入し100℃で6時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、
19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステル(MFA)が7.47mmol(収率89.8%)及び未反応の1−ブロモ−1−フルオロエテンが0.62mmol(回収率7.4%)であった。
転化率は91.7%であった。
【0069】
実施例10
50mLのステンレス製オートクレーブに1−ブロモ−1−フルオロエテン 1.01g(8.08mmol)、トリエチルアミン 0.97g(9.6mmol)、ジクロロ
ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) 56.2mg(0.08mmol)、メタノール 0.51g(16.0mmol)、及びN−メチルピロリドン 8mLを仕込み、一酸化炭素 1.0MPaGを導入し100℃で6時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、
19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステル(MFA)が7.30mmol(収率90.3%)及び未反応の1−ブロモ−1−フルオロエテンが0.66mmol(回収率8.2%)であった。
転化率は91.5%であった。
【0070】
実施例11
50mLのステンレス製オートクレーブに1−ブロモ−1−フルオロエテン 0.97g(7.76mmol)、トリエチルアミン 0.97g(9.6mmol)、10%パラジウムカーボン 85.1mg(0.08mmol)、トリフェニルホスフィン 42.0mg(0.16mmol)、及びメタノール 8mLを仕込み、一酸化炭素 1.0MPaGを導入し100℃で6時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、
19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステル(MFA)が5.86mmol(収率75.5%)及び未反応の1−ブロモ−1−フルオロエテンが0.71mmol(回収率9.2%)であった。
転化率は87.0%であった。
【0071】
実施例12
50mLのステンレス製オートクレーブに1−クロロ−1−フルオロエテン 1.13g(14.0mmol)、トリエチルアミン 1.38g(13.7mmol)、ジクロロビス[ジ-t-ブチル(p-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)
0.44g(0.62mmol)、及びメタノール 6.2mLを仕込み、一酸化炭素
0.7MPaGを導入し100℃で13時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、
19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステル(MFA)が5.98mmol(収率42.7%)及び未反応の1−クロロ−1−フルオロエテンが5.07mmol(回収率36.2%)であった。
転化率は63.0%であった。
【0072】
実施例13
50mLのステンレス製オートクレーブに1−クロロ−1−フルオロエテン 0.92g(11.4mmol)、トリエチルアミン 1.38g(13.7mmol)、ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウム(0) 0.40g(0.62mmol)、及びメタノール 6.2mLを仕込み、一酸化炭素 0.7MPaGを導入し100℃で18時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、
19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステル(MFA)が8.82mmol(収率77.4%)及び未反応の1−クロロ−1−フルオロエテンが
1.89mmol(回収率16.6%)であった。
転化率は81.3%であった。
【0073】
実施例14
50mLのステンレス製オートクレーブに1−クロロ−1−フルオロエテン 0.99g(12.3mmol)、トリエチルアミン 1.38g(13.7mmol)、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II) 0.46g(0.62mmol)、及びメタノール 6.2mLを仕込み、一酸化炭素 0.7MPaGを導入し100℃で10時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、
19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステル(MFA)が2.80mmol(収率22.8%)及び未反応の1−クロロ−1−フルオロエテンが6.82mmol(回収率55.4%)であった。
転化率は39.0%であった。
【0074】
実施例15
50mLのステンレス製オートクレーブに1−クロロ−1−フルオロエテン 1.05g(13.0mmol)、トリエチルアミン 1.38g(13.7mmol)、塩化パラジウム 0.11g(0.62mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル 0.60g(1.24mmol)、及びメタノール 6.2mLを仕込み、一酸化炭素 0.7MPaGを導入し100℃で12時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、
19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステル(MFA)が1.04mmol(収率8.0%)及び未反応の1−クロロ−1−フルオロエテンが9.18mmol(回収率70.6%)であった。
転化率は20.7%であった。
【0075】
実施例16
50mLのステンレス製オートクレーブに1−クロロ−1−フルオロエテン 0.93g(11.6mmol)、トリエチルアミン 1.38g(13.7mmol)、ジクロロ[4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ) −9,9’−ジメチルキサンテン]パラジウ
ム(II) 47.0mg(0.06mmol)、及びメタノール 6.2mLを仕込み、一酸化炭素 0.7MPaGを導入し100℃で20時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、
19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステル(MFA)が2.19mmol(収率18.9%)及び未反応の1−クロロ−1−フルオロエテンが7.98mmol(回収率68.8%)であった。
転化率は20.0%であった。
【0076】
実施例17
50mLのステンレス製オートクレーブに1−クロロ−1−フルオロエテン 1.03g(12.8mmol)、トリエチルアミン 1.38g(13.7mmol)、塩化パラジウム 11.0mg(0.06mmol)、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)
プロパン 11.0mg(0.06mmol)、及びメタノール 6.2mLを仕込み、一酸化炭素 0.7MPaGを導入し100℃で19時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、
19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステル(MFA)が6.42mmol(収率50.2%)及び未反応の1−クロロ−1−フルオロエテンが5.15mmol(回収率40.2%)であった。
転化率は57.1%であった。
【0077】
実施例18
50mLのステンレス製オートクレーブに1−クロロ−1−フルオロエテン 1.01g(12.54mmol)、トリエチルアミン 1.38g(13.7mmol)、塩化パラジウム 11.0mg(0.06mmol)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル 38.7mg(0.06mmol)、及びメタノール 6.2mLを仕込み、一酸化炭素 0.7MPaGを導入し100℃で14時間撹拌した。
反応終了後、オートクレーブを冷却した後、未反応のガスをパージして開栓し、内部標準物質としてヘキサフルオロベンゼン 186mg(1.0mmol)を加えて撹拌し、しばらくの間静置して塩を沈殿させた。上澄みを重クロロホルムで希釈し、
19F−NMR積分値による定量を実施したところ、2−フルオロアクリル酸メチルエステル(MFA)が6.16mmol(収率49.1%)及び未反応の1−クロロ−1−フルオロエテンが4.89mmol(回収率39.0%)であった。
転化率は51.8%であった。