(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のコンクリート床面の施工方法を用いて、コンクリート床面を施工した場合、コンクリート床面が十分な防水性を有していなかった。
【0006】
このため、従来のコンクリート床面の施工方法を用いて、幼児用プール、手洗い場等の大量の水を使用する場所にコンクリート床面が施工された場合、コンクリートに水が染み込んでしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、防水性及び弾力性を有するコンクリート床面の施工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために請求項1に記載のコンクリート床面の施工方法は、コンクリート下地の上面に
人の歩行により加えられる力と前記コンクリート下地の収縮および膨張により生じる応力とを緩衝する機能と、前記コンクリート下地から発生する水蒸気の気体を通気させる機能とを有する通気緩衝シートを
両面テープにより貼り付ける第1の工程と、前記通気緩衝シートの上面に、
ウレタンゴム系の塗膜防水材を塗布又は吹き付ける第2の工程と、前記
塗膜防水材の上面に
シート状のウレタンクッションを
両面テープにより張り付ける第3の工程と、前記ウレタンクッションの上面に
硬化させることによって弾力性及び防水性のある塗膜を形成する発泡ウレタンを塗布又は吹き付ける第4の工程と、前記発泡ウレタンの上面に
硬化させることによって弾力性のある塗膜を形成するソフトウレタンを塗布又は吹き付ける第5の工程と、前記ソフトウレタンの上面にトップコートを塗布又は吹き付ける第6の工程とを備えて
おり、幼児用プールのコンクリート床面の施工に用いられ、施工現場に応じて、前記ウレタンクッションの厚さ寸法と前記発泡ウレタンの厚さ寸法とを合わせた厚さ寸法と、前記ソフトウレタンの厚さ寸法とを変更するものである。
【0009】
請求項2に記載のコンクリート床面の施工方法は、コンクリート床面の施工前に予め、
シート状のウレタンクッションの上面に
硬化させることによって弾力性及び防水性のある塗膜を形成する発泡ウレタンを塗布又は吹き付ける第4の工程と、前記発泡ウレタンの上面に
硬化させることによって弾力性のある塗膜を形成するソフトウレタンを塗布又は吹き付ける第5の工程を行うことにより第1の積層ユニットを作製し、コンクリート床面の施工時に、コンクリート下地の上面に
人の歩行により加えられる力と前記コンクリート下地の収縮および膨張により生じる応力とを緩衝する機能と、前記コンクリート下地から発生する水蒸気の気体を通気させる機能とを有する通気緩衝シートを貼り付ける第1の工程と、前記通気緩衝シートの上面に、
ウレタンゴム系の塗膜防水材を塗布又は吹き付ける第2の工程と、前記
塗膜防水材の上面に、前記ウレタンクッショ
ンの下面が付着するように、前記第1の積層ユニットを張り付ける第7の工程と、前記ソフトウレタンの上面にトップコートを塗布又は吹き付ける第8の工程とを備えて
おり、幼児用プールのコンクリート床面の施工に用いられ、施工現場に応じて、前記ウレタンクッションの厚さ寸法と前記発泡ウレタンの厚さ寸法とを合わせた厚さ寸法と、前記ソフトウレタンの厚さ寸法とを変更するものである。
【0010】
請求項3に記載のコンクリート床面の施工方法は、
前記請求項2に記載のコンクリート床面の施工方法において、前記第1の工程は、前記コンクリート下地の上面に前記通気緩衝シートを両面テープにより貼り付ける工程であり、前記第7の工程は、前記塗膜防水材の上面に、前記ウレタンクッションの下面が付着するように、前記第1の積層ユニットを両面テープにより張り付ける工程であるものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載のコンクリート床面の施工方法によれば、防水性及び弾力性を有するコンクリート床面の施工方法を提供することができる。
【0014】
請求項2
および3に記載のコンクリート床面の施工方法によれば、防水性及び弾力性を有するコンクリート床面の施工方法を提供することができると共に、施工現場における施工時間を短縮させることができるコンクリート床面の施工方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は本実施形態のコンクリート床面の施工方法1により施工したコンクリート床面の断面図であり、
図2はコンクリート床面の施工方法1の手順を示すフローチャートである。
【0018】
図2に示すように、本実施形態のコンクリート床面の施工方法1は、工程S1〜S7を備えている。工程S1〜S7の各処理について以下に説明する。
【0019】
工程S1においては、下地となるコンクリート下地2の上面に接着剤3(ボンド等)を塗布する処理を行っている。接着剤3は、後述する通気緩衝シート4をコンクリート下地2に張り付けるために塗布されている。
【0020】
工程S2(第1の工程)においては、工程S1の処理後に、コンクリート下地2の上面に通気緩衝シート4を貼り付ける処理を行っている。通気緩衝シート4は、人の歩行等により加えられる力や、コンクリートの収縮、膨張により生じる応力等を緩衝する機能を有すると共に、コンクリート下地2から発生する水蒸気等の気体を通気させる機能を有している。
【0021】
工程S3(第2の工程)においては、工程S2の処理後に、通気緩衝シート4の上面にウレタンゴム系塗膜防水材5(防水材)を塗布する処理を行っている。ウレタンゴム系塗膜防水材5は、塗付して硬化させることによって防水性のある塗膜を形成することができる材料である。
【0022】
工程S4(第3の工程)においては、工程S3の処理後に、硬化したウレタンゴム系塗膜防水材5の上面に接着剤10(ボンド等)を塗布し、ウレタンクッション6を貼り付ける処理を行っている。ウレタンクッション6は弾力性を有するシート状の部材である。
【0023】
工程S5(第4の工程)においては、工程S4の処理後に、ウレタンクッション6の上面に発泡ウレタン7を吹き付ける処理を行っている。発泡ウレタン7は硬化させることによって弾力性及び防水性のある塗膜を形成することができる材料である。
【0024】
工程S6(第5の工程)においては、工程S5の処理後に、硬化した発泡ウレタン7の上面に、ソフトウレタン8を吹き付ける処理を行っている。ソフトウレタン8は硬化させることによって弾力性のある塗膜を形成することができる材料である。
【0025】
工程S7(第6の工程)においては、工程S6の処理後に、硬化したソフトウレタン8の上面に、仕上げ材であるトップコート9を塗布する処理を行っている。トップコート9は、ソフトウレタン8を保護するために塗布されている。
【0026】
ウレタンクッション6と発泡ウレタン7を合わせた厚さT1(
図1参照)は、例えば、5〜30ミリメートルにして、ソフトウレタン8の厚さT2(
図1参照)は、例えば、1〜3ミリメートルにしている。
【0027】
上記のように、コンクリート床面の施工方法1は、通気緩衝シート4の上面に、防水性を有するウレタンゴム系塗膜防水材5を塗布する工程S3と、ウレタンクッション6の上面に、防水性を有する発泡ウレタン7を吹き付ける工程S5を備えているため、コンクリート床面の施工方法1により施工したコンクリート床面は、十分な防水性を有している。
【0028】
このため、コンクリート床面の施工方法1を用いて、幼児用プール、手洗い場等の大量の水を使用する場所にコンクリート床面を施工した場合でも、コンクリートに水が染み込むことを防止することができる。
【0029】
なお、本実施形態のコンクリート床面の施工方法1においては、ウレタンゴム系塗膜防水材5を塗布した(工程S3)後に、ウレタンゴム系塗膜防水材5が硬化するまで待ってから、再度ウレタンゴム系塗膜防水材5を塗布する処理は行っていない。
【0030】
このように、本実施形態のコンクリート床面の施工方法1においては、ウレタンゴム系塗膜防水材5を1回(一層)だけ塗布している(工程S3)ため、ウレタンゴム系塗膜防水材5を上記の方法により複数回(複数層)塗布する場合よりも、ウレタンゴム系塗膜防水材5が硬化するまで待つ時間が短くなり工期を短縮させることができる。
【0031】
また、コンクリート床面の施工方法1は、
図2に示すように、ウレタンクッション6を張り付ける工程S4と、発泡ウレタン7を吹き付ける工程S5と、ソフトウレタン8を吹き付ける工程S6を備えている。
【0032】
このように、コンクリート床面の施工方法1は、弾力性を有する材料(ウレタンクッション6、発泡ウレタン7、ソフトウレタン8)を積層させる工程S4〜S6を備えているため、コンクリート床面の施工方法1により施工したコンクリート床面は、人が転倒したときに充分にその衝撃を吸収できるほどの弾力性(クッション性)を有している。
【0033】
なお、本発明の実施の形態について具体的に述べてきたが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて、その他にも各種の変更が可能なものである。
【0034】
また、本実施形態のコンクリート床面の施工方法1においては、
図2に示すように、工程S3でウレタンゴム系塗膜防水材5を塗布していたが、ウレタンゴム系塗膜防水材5に限定される必要はなく、各種の市販塗膜防水材を使用してもよい。例えば、アクリルゴム系塗膜防水材、クロロプレンゴム系塗膜防水材、ゴムアスファルト系塗膜防水材、シリコーンゴム系塗膜防水材等の他の塗膜防水材を用いてもよい。
【0035】
また、本実施形態のコンクリート床面の施工方法1においては、ウレタンクッション6と発泡ウレタン7を合わせた厚さT1(
図1参照)を5〜30ミリメートルにして、ソフトウレタン8の厚さT2(
図1参照)を1〜3ミリメートルにしていたが、このような厚さに限定される必要はなく、施工現場に応じて厚さT1,T2の値をそれぞれ変更してもよい。そして、厚さT1,T2の値を変更するだけで、コンクリート床面の硬さを容易に調整できる。
【0036】
また、本実施形態のコンクリート床面の施工方法1は、
図2に示すように、下地となるコンクリート下地2の上面に接着剤3を塗布する工程S1と、コンクリート下地2の上面に通気緩衝シート4を貼り付ける工程S2を備えていたが、ボンド等の接着剤3ではなく、他の方法によりコンクリート下地2に通気緩衝シート4を付着させるようにしてもよい。例えば、両面テープを用いて、コンクリート下地2に通気緩衝シート4を付着させるようにしてもよい。
【0037】
また、本実施形態のコンクリート床面の施工方法1は、
図2に示すように、ウレタンゴム系塗膜防水材5の上面に接着剤10を塗布し、ウレタンクッション6を貼り付ける工程S4を備えていたが、ボンド等の接着剤10ではなく、他の方法によりウレタンゴム系塗膜防水材5の上面にウレタンクッション6を付着させるようにしてもよい。例えば、両面テープを用いて、ウレタンゴム系塗膜防水材5の上面にウレタンクッション6を付着させるようにしてもよい。
【0038】
また、本実施形態のコンクリート床面の施工方法1は、
図2に示すように、ウレタンゴム系塗膜防水材5を「塗布する」工程S3を備えていたが、このような工法に限定される必要はなく、工程S3の代わりに、ウレタンゴム系塗膜防水材5を「吹き付ける」工程を備えていてもよい。
【0039】
また、本実施形態のコンクリート床面の施工方法1は、
図2に示すように、ウレタンクッション6の上面に発泡ウレタン7を「吹き付ける」工程S5を備えていたが、このような工法に限定される必要はなく、工程S5の代わりに、ウレタンクッション6の上面に発泡ウレタン7を「塗布する」工程を備えていてもよい。
【0040】
また、本実施形態のコンクリート床面の施工方法1は、
図2に示すように、発泡ウレタン7の上面にソフトウレタン8を「吹き付ける」工程S6を備えていたが、このような工法に限定される必要はなく、工程S6の代わりに、発泡ウレタン7の上面にソフトウレタン8を「塗布する」工程を備えていてもよい。
【0041】
また、本実施形態のコンクリート床面の施工方法1は、
図2に示すように、ソフトウレタン8の上面に、仕上げ材であるトップコート9を「塗布する」工程S7を備えていたが、このような工法に限定される必要はなく、工程S7の代わりに、ソフトウレタン8の上面に、仕上げ材であるトップコート9を「吹き付ける」工程を備えていてもよい。
【0042】
また、本実施形態のコンクリート床面の施工方法1は、
図2に示すように、施工現場において、工程S1〜S7の処理を順番に行っていたが、このような順番に限定される必要はない。
【0043】
例えば、施工現場に入る前に予め、ウレタンクッション6の上面に発泡ウレタン7を吹き付ける処理(工程S5)と、発泡ウレタン7の上面にソフトウレタン8を吹き付ける処理(工程S6)を行うことによりユニット(第1の積層ユニット)を作製しておいてもよい。
【0044】
そして、そのユニットを施工現場に搬入し、ウレタンゴム系塗膜防水材5の上面に、ウレタンクッション6の下面が付着するように、そのユニットを張り付けて(第7の工程)、ソフトウレタン8の上面に、仕上げ材であるトップコート9を塗布する(第8の工程)ようにしてもよい。
【0045】
このように、施工現場に入る前に、ウレタンクッション6、発泡ウレタン7、ソフトウレタン8の順に積層させたユニットを作製することにより、施工現場でS5、S6の処理を行う必要が無くなるため、施工現場における施工時間を短縮させることができる。
【0046】
また、施工現場に入る前に予め、ウレタンクッション6の上面に発泡ウレタン7を吹き付ける処理(工程S5)と、発泡ウレタン7の上面にソフトウレタン8を吹き付ける処理(工程S6)と、ソフトウレタン8の上面に、仕上げ材であるトップコート9を塗布する処理(工程S7)を行うことによりユニット(第2の積層ユニット)を作製しておいてもよい。
【0047】
そして、そのユニットを施工現場に搬入し、ウレタンゴム系塗膜防水材5の上面に、ウレタンクッション6の下面が付着するように、そのユニットを張り付ける(第9の工程)ようにしてもよい。
【0048】
このように、施工現場に入る前に、ウレタンクッション6、発泡ウレタン7、ソフトウレタン8、トップコート9の順に積層させたユニットを作製することにより、施工現場でS5〜S7の処理を行う必要が無くなるため、施工現場における施工時間を短縮させることができる。
【0049】
また、本実施形態のコンクリート床面の施工方法1は、
図2に示すように、工程S1〜S7を備えていたが、人が滑って転倒することを防止するために、コンクリート床面にノンスリップ加工が施される工程(第10の工程)が追加されていてもよい。例えば、コンクリート床面に凸凹を設ける工程が追加されていてもよい。