(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6733964
(24)【登録日】2020年7月13日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】コージェネレーションシステム
(51)【国際特許分類】
F02G 5/04 20060101AFI20200728BHJP
F02C 9/28 20060101ALI20200728BHJP
F02C 6/18 20060101ALI20200728BHJP
F02C 6/00 20060101ALI20200728BHJP
F02G 5/02 20060101ALI20200728BHJP
【FI】
F02G5/04 U
F02C9/28 Z
F02C6/18 A
F02C6/00 C
F02G5/02 A
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-40653(P2018-40653)
(22)【出願日】2018年3月7日
(65)【公開番号】特開2019-157639(P2019-157639A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2018年11月1日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504236994
【氏名又は名称】鹿島動力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126505
【弁理士】
【氏名又は名称】佐貫 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100151596
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 文尚
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 昌哉
【審査官】
中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−325765(JP,A)
【文献】
実開昭61−096106(JP,U)
【文献】
特開2006−118368(JP,A)
【文献】
特開2003−052127(JP,A)
【文献】
特開平08−021206(JP,A)
【文献】
特開2002−371914(JP,A)
【文献】
特開平08−232681(JP,A)
【文献】
特開2005−163704(JP,A)
【文献】
特開2006−268102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02G 5/04
F02C 6/00
F02C 6/18
F02C 9/28
F02G 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを燃料として電力及び熱を生成する、ガスタービン及びガスエンジン、並びに該ガスタービン及びガスエンジンのそれぞれの出力を制御する制御手段、を備えたコージェネレーションシステムであって、
前記ガスタービン及びガスエンジンは、排ガスから熱を回収する排熱ボイラを備え、
前記制御手段は、月毎に平均温度を設定し、該平均温度に基づいて電力需要を予測して運転効率テーブルを作成し、該運転効率テーブルを参照して、夏季には、ガスエンジンの出力を増やし、冬季には、ガスタービンの蒸気生成量を増やすよう、季節に応じて該ガスタービン及びガスエンジンのそれぞれの出力を制御する、コージェネレーションシステム。
【請求項2】
副生油を燃料として蒸気を生成するパッケージボイラを更に備える、請求項1に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項3】
前記制御手段は、ガスタービンを優先的に稼働し、不足する電力を補うためにガスエンジンを稼働させるように制御する、請求項1又は2に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項4】
前記ガスタービンの排熱ボイラは、追い焚きバーナを備える、請求項1から3のいずれか1項に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項5】
ガスを燃料として電力及び熱を生成する、ガスタービン及びガスエンジン、並びに、月毎に平均温度を設定し、該平均温度に基づいて電力需要を予測して運転効率テーブルを作成し、該運転効率テーブルを参照して、夏季には、ガスエンジンの出力を増やし、冬季には、ガスタービンの蒸気生成量を増やすよう、該ガスタービン及びガスエンジンのそれぞれの出力を制御する制御手段、を備えたコージェネレーションシステムであって、
前記ガスタービン及びガスエンジンは、排ガスから熱を回収する排熱ボイラを備え、
前記制御手段は需要予測手段を有し、該需要予測手段の需要予測に基づき該ガスタービン及びガスエンジンのそれぞれの出力を制御する、コージェネレーションシステム。
【請求項6】
ガスを燃料として電力及び熱を生成する、ガスタービン及びガスエンジン、並びに、月
毎に平均温度を設定し、該平均温度に基づいて電力需要を予測して運転効率テーブルを作成し、該運転効率テーブルを参照して、夏季には、ガスエンジンの出力を増やし、冬季には、ガスタービンの蒸気生成量を増やすよう、該ガスタービン及びガスエンジンのそれぞれの出力を制御する制御手段、を備えたコージェネレーションシステムであって、
前記ガスタービン及びガスエンジンは、排ガスから熱を回収する排熱ボイラを備え、
前記制御手段は、コスト因子入力部、及びコストシミュレート部、を含み、該コストシミュレート部のシミュレート結果に基づき、コストミニマムとなるよう該ガスタービン及びガスエンジンのそれぞれの出力を制御する、コージェネレーションシステム。
【請求項7】
前記コスト因子は、ガス燃料料金、受電料金、及び修繕費からなる群から選択される1つ以上を含む、請求項6に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項8】
前記制御手段は、更に外部環境因子入力部を有し、該外部環境因子は、最高気温、最低気温、予測電力需要、及び予測蒸気需要からなる群から選択される1つ以上を含む、請求項5から7のいずれか1項に記載のコージェネレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスを燃料として、電力及び熱を生成するコージェネレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力および熱をエネルギーとして消費する工場などでは、省エネルギーや、エネルギーソースの有効利用のため、コージェネレーションシステムの導入が進んでいる。
特許文献1では、ガスを燃料として電力及び動力を発生するコージェネレーション装置において、ガスタービン発電手段と、ガスエンジン発電手段によって切換可能に駆動される動力発生手段とを有し、動力発生手段を夏場及び冬季で切換手段によって切り換えることで、エネルギー使用を効率化することが提案されている。
【0003】
また、特許文献2では、一般家庭用コージェネレーションシステムにおいて、コージェネレーション装置の運転コストと商用コストを比較するなどして、高い省エネルギー性及び環境性を維持可能なコージェネレーションシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−232681号公報
【特許文献2】特開2005−248820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ガスを燃料として電力及び熱を生成するコージェネレーションシステムにおいて、様々な要因を考慮したエネルギー効率が非常に高いシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ガスタービン及びガスエンジンの異なるエネルギー生成特性を利用し、季節ごとにその出力を制御することで、季節ごとの蒸気及び電気の需要の変化に適切に対応が可能であり、エネルギー効率が高いシステムが提供できることに到達した。また、更に他の要因、例えば需要、コスト、外部環境等の情報に基づいて、最適なシステム稼働をすることで、エネルギー効率が高いシステムを提供できることに想到した。
【0007】
すなわち、本発明の概要は、以下のとおりである。
[1]ガスを燃料として電力及び熱を生成する、ガスタービン及びガスエンジン、並びに該ガスタービン及びガスエンジンのそれぞれの出力を制御する制御手段、を備えたコージェネレーションシステムであって、
前記ガスタービン及びガスエンジンは、排ガスから熱を回収する排熱ボイラを備え、
前記制御手段は、季節に応じて該ガスタービン及びガスエンジンのそれぞれの出力を制御する、コージェネレーションシステム。
[2]副生油を燃料として蒸気を生成するパッケージボイラを更に備える、[1]に記載のコージェネレーションシステム。
[3]前記制御手段は、一年を通じて総合効率の優れるガスタービンを優先的に稼働し、不足する電力を補うためにガスエンジンを稼働させるように制御する、[1]または[2]に記載のコージェネレーションシステム。
[4]前記ガスタービンの排熱ボイラは、追い焚きバーナを備える、[1]から[3]のいずれかに記載のコージェネレーションシステム。
[5]ガスを燃料として電力及び熱を生成する、ガスタービン及びガスエンジン、並びに該ガスタービン及びガスエンジンのそれぞれの出力を制御する制御手段、を備えたコージェネレーションシステムであって、
前記ガスタービン及びガスエンジンは、排ガスから熱を回収する排熱ボイラを備え、
前記制御手段は需要予測手段を有し、該需要予測手段の需要予測に基づき該ガスタービン及びガスエンジンのそれぞれの出力を制御する、コージェネレーションシステム。
[6]ガスを燃料として電力及び熱を生成する、ガスタービン及びガスエンジン、並びに該ガスタービン及びガスエンジンのそれぞれの出力を制御する制御手段、を備えたコージェネレーションシステムであって、
前記ガスタービン及びガスエンジンは、排ガスから熱を回収する排熱ボイラを備え、
前記制御手段は、コスト因子入力部、及びコストシミュレート部、を含み、該コストシミュレート部のシミュレート結果に基づき、コストミニマムとなるよう該ガスタービン及びガスエンジンのそれぞれの出力を制御する、コージェネレーションシステム。
[7]前記コスト因子は、ガス燃料料金、受電料金、及び修繕費からなる群から選択される1つ以上を含む、[6]に記載のコージェネレーションシステム。
[8]前記制御手段は、更に外部環境因子入力部を有し、該外部環境因子は、最高気温、最低気温、予測電力需要、及び予測蒸気需要からなる群から選択される1つ以上を含む、[5]から[7]のいずれかに記載のコージェネレーションシステム。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、ガスを燃料として電力及び熱を生成するコージェネレーションシステムにおいて、様々な要因を考慮したエネルギー効率が非常に高いシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】コージェネレーションシステムの一実施形態を示す模式図である。
【
図2】ハイブリッド電力供給システムの一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図を参酌し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は具体的な実施態様にのみ限定されない。
【0011】
図1に、本実施形態のコージェネレーションシステム100の一例を示す。コージェネレーション100は、ガスを燃料として電力及び熱を生成する、ガスタービン2及びガスエンジン1、並びに該ガスタービン及びガスエンジンのそれぞれの出力を制御する制御手段20、を備える。本実施形態のコージェネレーションシステムは、上記以外の装置や手段を備えてもよく、例えば、ガスタービン2及びガスエンジン1で発生した動力を基に発電する発電機10、副生油を燃料として蒸気を生成するパッケージボイラ4、ガスタービン2及びガスエンジン1の排ガスから熱を回収し、蒸気や温水を生成する排熱ボイラ11、排熱ボイラ11を追い焚きする追い焚きバーナ12などがあげられるが、これらに限られない。
【0012】
ガスタービン2では、コンプレッサ3で圧縮された大量の空気に対し、燃焼器(図示せず)内で燃料ガスを噴射し燃焼させることで、高温高圧の気体を生成させてガスタービン中のタービンを回転させる。この回転力を発電機10の軸回転に利用し発電する。一方で、タービンを回転させた高温高圧の気体(排ガス)は、排熱ボイラ11に送られ、排ガスが保有する熱を回収し、蒸気や温水を生成する。発電機10で発電された電力、及び排熱ボイラ11により生成された蒸気は、回収され、電力及び蒸気の使用又は供給に供される
。
この際、排熱ボイラ11に追い焚きバーナ12を備えることが、蒸気の生成効率が向上するため、好ましい。追い焚きバーナ12の種類は特に限定されず、既知のものを適宜使用することができる。また、排熱ボイラ11で使用する水は、コスト低減の観点から、工業用水をイオン交換して用いることが好ましい。
【0013】
ガスエンジン1は、都市ガス等をレシプロエンジンの燃料として用いることで、燃焼によって得られたエネルギーを回転運動に変換して、発電機10を回転させ発電する。一方で、燃焼により生じた排ガスは、排熱ボイラ11に送られ、排ガスが保有する熱により蒸気を生成する。発電機10で発電された電力、及び排熱ボイラ11で生成された蒸気は、回収され、電力及び蒸気の使用又は供給に供される。ガスエンジン1は、その本体内部に冷水系統を有していてもよく、冷水系統の冷水がガスエンジン1の内部を通過することで温められ、温水を得ることができる。
【0014】
制御手段20は、ガスタービン2及びガスエンジン1の出力を制御する手段であり、制御手段20によりガスタービン2及びガスエンジン1の稼働、非稼働及びその出力の程度が支配される。
本実施形態に係るコージェネレーションシステム100はガスタービン2及びガスエンジン1を有するが、それぞれ特徴的な性能を有する。具体的には、ガスタービン2は蒸気の生成効率が非常に高く、電力の生成効率はそれほど高くない。一方で、ガスエンジン1は、電力の生成効率は非常に高く、蒸気の生成効率はそれほど高くない。また、ガスエンジン1は夏季の電力出力低下が起きにくいが、ガスタービンは吸気温度の上昇に伴い電力出力が冬季と比べて2、3割低下する。これを防止するためには、吸気冷却装置を設置する方法があるが、蒸気や電力を消費するので、総合エネルギー効率が1、2割低下することから、望ましくない。これに加え、電力及び蒸気の需要は、夏場は冷房設備等の使用増大により電力需要が比較的大きく、蒸気の需要が比較的小さい。冬季は逆に、冷房設備等の使用が無く電力需要が比較的小さく、大気温が低いため蒸気の需要が比較的大きい。
【0015】
このような状況を考慮し、例えば、夏季にはガスエンジン1の稼働を増やし、冬季にはガスタービン2の蒸気生成量を増やすよう、制御手段によってガスタービン2及びガスエンジン1の出力を制御することで、電力及び蒸気の需要に応じた、極めてエネルギー効率の高いコージェネレーションシステムを提供できることに想到した。
より具体的には、季節毎、好ましくは月毎に平均温度を設定し、該平均温度に基づいて電力需要を予測して運転効率テーブルを作成し、制御手段が該運転効率テーブルを参照してガスタービン2及びガスエンジン1の出力を制御する。
なお、夏季及び冬季は日本国での夏季及び冬季を意味し、一般的に夏季は4月〜9月、冬季は10月〜3月であるが、より狭い範囲であってよく、例えば夏季は5月〜9月、6月〜9月、5月〜8月、または6月〜8月であり得る。冬季は、11月〜3月、12月〜3月、11月〜2月、または12月〜2月であり得る。
ガスタービン、及びガスエンジンが複数存在する場合、それぞれを制御手段が制御することが好ましい。
また、一年を通じて総合効率が優れるガスタービン2を優先的に稼働させる形態も好ましい。
【0016】
制御手段20は、ガスタービン2及びガスボイラ1以外の設備を制御することもできる。例えば、副生油を燃料として蒸気を生成するパッケージボイラ4を、蒸気需要の低い夏季にその稼働を抑えるように制御し、蒸気需要の高い冬季にその稼働を上げる制御を行ってもよい。
【0017】
制御手段20は、上記ガスタービン2及びガスエンジン1の出力を制御することができ
ればよく、また、必要に応じパッケージボイラ4等の出力を制御してもよい。制御の方法は、例えばコンピュータによる制御であってよく、管理者による制御であってよい。
【0018】
本発明の別の実施形態では、制御手段20は需要予測手段を有し、需要予測に基づき該ガスタービン2及びガスエンジン1のそれぞれの出力を制御することができる。需要予測は、電力需要予測及び蒸気需要予測を含み、これらの予測は、過年の需要実績に基づくものであってよく、更に最低気温や最高気温などの温度変化;平日、休日、祝日の別;日中、夜間の別;などの外部環境因子を考慮して行ってもよい。このような形態の場合には、制御手段は外部環境因子入力部を有し、該外部環境因子入力部から因子の情報を入力することができる。例えば、外気温をパラメータとすれば、開発した予測手段によって各コージェネ設備の期待される電力及び蒸気出力を正確かつ容易に予測することができる。
【0019】
また、需要予測手段を有する制御手段は、一日単位で需要を予測するDSS(Daily Start and Stop)を実施してもよく、週単位で需要を予測するWSS(Weekly Start and Stop)を実施してもよい。このように、制御手段20が需要予測手段を有することで、電
力及び蒸気を安定して安価に供給することが可能となる。
【0020】
本発明の別の実施形態では、制御手段20はコスト因子入力部、及びコストシミュレート部を有し、コストシミュレート部でのシミュレーション結果に基づいて、コストミニマムとなるように、電力及び蒸気の供給が可能となる。シミュレーション結果は運転効率テーブルに表され、制御手段が該運転効率テーブルを参照してガスタービン2及びガスエンジン1の出力を制御する。
コスト因子入力部で入力し得るコスト因子は、ガス燃料料金、受電料金、修繕費などを含んでもよい。修繕費は、ガスエンジン1の修繕費、ガスタービン2の修繕費、パッケージボイラの修繕費、排熱ボイラの修繕費等を含み得る。特に、ガスエンジン1は、一定時間稼働毎に高額の修繕費が発生するため、コスト因子としてガスエンジン1の修繕費を考慮することは、システムを安価に稼働させるためには重要である。更にコスト因子として、副生油を使用する場合には副生油燃料料金を含み得る。
【0021】
また、本発明の別の側面は、安定した電力供給を可能とする、ハイブリッドコージェネレーション電力供給システムであり、その概略を
図2に示す。
図2に示すコージェネレーションシステムは、上記説明したコージェネレーションであってよく、例えば、ガスを燃料として電力及び熱を生成する、ガスタービン及びガスエンジン、並びに該ガスタービン及びガスエンジンのそれぞれの出力を制御する制御手段、を備えたコージェネレーションシステムであってよい。
本実施形態の電力供給システムは、外部電源からの電気、及びコージェネレーションで製造した電気を併せて供給し得るシステムである。そして、外部電源の送電線にサーキットブレーカー30が設置される。サーキットブレーカー30は、外部電源からの電力供給が停止、或いは電圧が低下した際に、外部電源からの送電を遮断する。サーキットブレーカー30は既存のものを用いることができる。
【0022】
また、電力供給システムは、外部電源からの電気供給及びコージェネレーションで製造した電気供給を制御し得る制御部(図示せず)を有する。該制御部は上記サーキットブレーカー30が遮断した際には、コージェネレーションにおける電力製造を増大し、電力供給に見合う電力をコージェネレーションシステムで製造するよう、制御する。
また、該制御部は、台風及び/又は雷を検知する検知手段を有してもよく、検知手段が台風及び/又は雷を検知した際には、該制御部は、コージェネレーションにおける電力製造を増大する制御を行う。検知手段は既存のものを用いることができる。
【0023】
このような制御により、台風及び/又は雷などにより外部電源からの電力供給が停止し
た場合や、電圧が低下して、サーキットブレーカー30が送電を遮断した場合であっても、安定した電力供給を続けることができる。その停電確率は、米国発電所の運転基準である「1日/10年」を遥かに凌駕する「1日/100年」を達成することができる。
すなわち、本発明の別の側面は、
外部電源からの電気、並びにガスを燃料として電力及び熱を生成する、ガスタービン及びガスエンジンを有するコージェネレーションで製造した電気、を併せて供給し得るハイブリッド電力供給システムであって、
サーキットブレーカー、並びに外部電源からの電気供給及びコージェネレーションで製造した電気供給を制御し得る制御部、を有し、
該制御部はサーキットブレーカーが遮断した際に、コージェネレーションにおける電力製造を増大し、電力供給に見合う電力をコージェネレーションシステムで製造するよう制御する、ハイブリッド電力供給システム、である。
また、該制御部は、台風及び/又は雷を検知する検知手段を有し、検知手段が台風及び/又は雷を検知した際には、該制御部は、コージェネレーションにおける電力製造を増大する制御を行うことが好ましい。
【0024】
以下、本発明を用いたコージェネレーションシステムを稼働させた例を示す。
図1に示すコージェネレーションシステムを稼働させた。ガスタービンは4台(GT1、GT2、GT7、GT8)、ガスエンジンは4台(GE3、GE4、GE5、GE6)用意し、ガスタービンのうちGT7とGT8には追い焚きバーナを備え、ガスエンジンのうちGE3とGE4には、内部に冷水系統を備えた。また、それぞれのガスタービン及びガスエンジンは排熱ボイラと排ガスボイラを備える。
制御手段には、予め過去7年分の電力受領、蒸気需要、気温、日照時間に関するデータを入力し、需要予測を行った。また、現在のガス燃料料金、受電料金、修繕費、副生油燃料料金、をコスト因子として入力した。これらの需要予測とコスト因子とに基づき、制御手段において、最適な設備負荷、ガスエンジン、ガスタービンの台数、運転時間を算出し、これに基づいてコージェネレーションシステムを稼働させた。
【符号の説明】
【0025】
1 ガスエンジン
2 ガスタービン
3 コンプレッサ
4 パッケージボイラ
10 発電機
11 排熱ボイラ
12 追い焚きバーナ
20 制御手段
30 サーキットブレーカー