【課題を解決するための手段】
【0007】
器具の位置と組織型の両方が表示される、画像が表示されるシステムを実現することが有利であり得る。概して、本発明は好適には上述の欠点の一つ以上を単独で若しくは任意の組み合わせで軽減、緩和、若しくは除外することを目指す。特に、従来技術の上述の問題若しくは他の問題を解決する方法を提供することが本発明の目的とみなされ得る。
【0008】
これらの懸念の一つ以上によりよく対処するために、本発明の第一の態様において、体内で器具をナビゲート及び位置決めするためのシステムが提示される。システムにおいて器具は組織の光学検査のためのセンサを有し、器具は組織信号を生成するように構成される。システムは時間Tsにおいて器具から組織信号を受信するように構成される組織型決定装置を有し、組織型決定装置は器具からの組織信号に基づいて組織型を示すパラメータのセットを決定するように構成される。システムは体の内部の画像を形成するように構成される医用画像装置を有し、医用画像装置は各々タイムスタンプTfで画像の時系列を記録する。システムは、体の内部の複合画像が現在の器具位置と時間Tsでの器具の位置における組織型の表示を有するように、タイムスタンプTfにおける体の内部とタイムスタンプTsに対する器具の空間位置における組織型の表示との複合画像を確立するように構成される画像処理ユニットを有する。システムは体の内部の複合画像を表示するための表示ユニットを有する。タイムスタンプTf間の間隔はタイムスタンプTs間の間隔よりも比較的低い。体の内部の画像は最新の画像であり、組織信号が記録された時間は計算処理のためにそれより前の時点になり得る。さらに、組織型の表示は信号が記録されたその時点における器具の位置に対応する位置において表示される。従って組織型の表示は複合画像において器具に遅れをとっているように見られ得る。
【0009】
装置に、器具が存在する体の内部の画像を提供させることによって、器具を使用する人が大幅に体を切開する必要なく体の内部の所望の位置へ器具をガイドすることができる。
【0010】
このようにして得られる画像、例えばx線画像若しくは超音波画像では、器具において、例えば組織境界においてどの組織型が存在するかを正確に決定することは困難であるか、若しくは不可能ですらあり得る。組織決定装置はこの情報を提供する。こうした二種の情報を単一画像に組み合わせることによって、器具を操作する人が高精度で器具が目的位置にあるかどうかを決定することができる。組織情報の取得はある量の時間を要し、表示データが器具先端の実際の位置でもはや更新されていないということを生じ得る。特に器具が比較的速く進められるとき、組織情報は遅れをとっている可能性がある。
【0011】
組織型パラメータを決定するために必要な時間のかかる計算があり得るので、システムは例えばライブビデオ若しくはリアルタイムビデオとして見られる画像を提供し、組織情報はそれが利用可能になるときにあらわれる。二つの技術をこのシステムに組み合わせることによって、体に対する現在の器具の位置及びそれより前の位置における組織情報の両方が表示され得る。
【0012】
器具はこの文脈においてインターベンション装置であり得る。器具若しくはインターベンション装置は光源からの光子をインターベンション装置の遠位端上の出口位置へガイドするための第1のガイドであって、光子は出口位置から放出可能である、第1のガイドと、インターベンション装置の遠位端上の入口位置から光学検出器へ光子をガイドするための第2のガイドとを有し得る。
【0013】
一つの特定の実施形態において、第1のガイドと第2のガイドは、第1のガイドが第2のガイドと同一であるなど、一つのガイドであり得ることが理解される。別の特定の実施形態において、第1のガイドと第2のガイドは二つの個別ガイドである。
【0014】
インターベンション装置は一般に従来技術で知られており、内視鏡、カテーテル、生検針のいずれか一つを含み得る。光ファイバをインターベンション装置に組み込むことは組織標本の光学特性の検査を可能にし、正常組織と病変組織の区別を可能にし得る。特定の実施形態において、拡散反射分光法(DRS)及び/又は蛍光分光法の両方に適したインターベンション装置が提供される。インターベンション装置が蛍光分光法に適用可能であるべきであるという制約は、インターベンション装置にさらに追加の制約を課すことが留意される。例えば蛍光分光法に使用されるファイバはそれ自体が過剰な自己蛍光を生じてはならず、各々光源と検出器に接続されるファイバに対するファイバ端間の分離は、DRSの場合の同じ距離と比較して短くなり得る。
【0015】
別の実施形態において、インターベンション装置の遠位端が関連試料の近傍に置かれるとき、出口位置から放出される弾道光子によって入口位置が交差されないように、出口位置と入口位置は空間的に分離され空間的に方向づけられる。入口位置は出口位置から、少なくとも実際の視点から放出される弾道光子によって交差されないことが理解される。事実上、入口位置に衝突する弾道光子の数は非ゼロであるが無視できるものである。
【0016】
組織の光学検査用のセンサは水分量、脂肪量、及び/又は血液を決定するように構成され得る。これらのタイプの組織情報は、器具を操作する人が、器具がどこにあるか、及び場合によりどの臓器に器具が、若しくは器具の先端が位置するかを決定するのに役立ち得る。器具内のセンサは有利には器具の先端に位置し得る。器具は針の形であり得る。器具は細長い形状を持ち、円形断面を持ち得る。
【0017】
いかなる手順中も、針先端の位置についての正確な知識が重要であるが、画像に対する正確なガイダンスが利用可能でない場合がある。例えば、CTガイド生検の場合、取得される画像の数は患者への放射線被爆の心配のために制限される。正確な情報の欠如のために、誤った組織が標的とされる場合、誤診のリスク若しくは度重なる手順の必要性があり、これは患者へのさらなるリスクとコストの増加を伴う。
【0018】
術前画像に対する針先端の位置を追跡する一つの方法は患者の外部の針の部分上に(複数の)マーカを置き、様々なセンサを用いてリアルタイムにマーカを追跡することであり、針形状の推定を仮定すると計算された針先端位置が術前画像にリアルタイムにマップされ得る。例えば、針の光学追跡は二つ以上のイメージングカメラを用いてビジュアルマーカで実行され得る。代替的に、針上におかれる小型EMコイルマーカを用いて電磁(EM)ナビゲーションが実行され、針の外部のセンサのセットによって追跡され得る。
【0019】
先端の位置及び配向が重要である一方、器具の前にある組織に関するリアルタイム情報も、器具を操作する人にとって重要である。
【0020】
有利には彩度レベルが組織パラメータの測定量の表示として使用され得る。これは測定量の直観的表示を与える。
【0021】
システムにおいて組織型決定装置は組織型決定装置からの信号をスペクトルに変換するように構成される分光器に接続され得る。光信号を用いることは組織パラメータを決定するための安全な非侵襲的方法である。従ってスペクトルに基づいて組織パラメータを決定することが有利であり得る。
【0022】
ドットを表示する代わりに、組織パラメータは実線として表示され得、線の幅が不正確さの指標である。これは組織パラメータが器具の経路を示す曲線として表示され得る画像を提供し得る。
【0023】
X線器具ガイダンスにより、例えば蛍光透視下で器具ガイダンスのほとんどリアルタイムのモニタリングを可能にすることができる。フォトニックニードルの分光技術は組織フィードバックを提供する方法の一例である。二つの技術を組み合わせることによって、体に対する器具先端位置だけでなくその位置における組織情報の両方が表示され得る。フォトニックニードル組織情報の取得はある量の時間を要し、表示データがもはや器具先端の実際の位置で更新されていないことを生じ得る。特に器具が比較的速く進められるとき、組織情報は遅れをとっている可能性がある。
【0024】
本発明は遅れた組織情報に属する器具先端の"古い"若しくは以前の位置を見つけるためにビデオ処理を用いることを提案する。そしてこの情報は組織先端の現在の位置の代わりにこの"古い"位置において表示される。(X Yピクセル)のビデオフレームがタイムスタンプTfにおいてキャプチャされる。各ビデオフレームに対し、コンピュータアルゴリズムはフレーム(XY)における器具先端の位置(x,y)を決定する。Tfは(x,y)と一緒に器具位置リストに記憶される。現在のビデオフレームが表示ユニット上に表示され、現在の器具位置(Xc,Yc)とともに体を示す。
【0025】
組織型決定装置は光学コンソールであり得、ガイダンスシステムは光学コンソールから拡散反射スペクトル及び/又は蛍光分光スペクトル及び/又はラマンスペクトルを得るように構成され得る。光は可視、紫外(UV)、近赤外(NIR)、赤外(IR)、X線を含む波長間隔を有する電磁放射として広義に解釈されるものとする。光学という語は光に関するものと理解される。
【0026】
光学スペクトルは、複数の波長の光に対して与えられる強度パラメータ、吸収パラメータ、散乱パラメータ、若しくは透過パラメータなど、複数の波長の光に関する情報であると理解される。連続スペクトルがスペクトル情報をあらわすが、離散波長における光に関する情報が光学スペクトルをあらわし得ることがさらに理解される。
【0027】
分光器は当技術分野で一般的であるように理解される。分光器は透過フィルタ若しくは格子など、波長を選択するための手段を有することが理解される。代替的に、発光ダイオード若しくはLASER(レーザ)などの波長特異的光源が使用され得るか、又は波長特異的光学検出器が使用され得る。スペクトルフィルタはシステム内の異なる場所で起こり得る、例えばこれは第2の光源とインターベンション装置の間で起こり得るか、インターベンション装置内で起こり得るか、若しくはインターベンション装置と光学検出器の間で起こり得る。
【0028】
一実施形態において組織型を示すパラメータのセットの決定はPCA若しくは部分最小二乗法判別分析などの多変量統計解析を実行することを有する。多変量解析は当技術分野で一般に知られ、主成分分析(PCA)及び最小二乗法判別分析を含むと理解される。
【0029】
第2の態様において方法が提示され、方法は以下のステップを有する:時間Tfにおいて体の内部の画像のシーケンスを決定するステップ、時間Tfでの体の内部の画像におけるセンサ位置のシーケンスを決定するステップ、時間TsにおいてタイムスタンプTsに対するセンサの空間位置における組織型の表示を決定するステップ、時間Ts周辺の期間に対するセンサ位置の時系列の部分に基づいて推定センサ位置を時間Tsに対して決定するステップ、及びTfにおける体の内部の画像と時間Tsでのセンサ位置における組織パラメータの表現の組み合わせである画像を表示ユニット上に表示するステップ。これにより方法は体内の器具の位置についての情報を組織パラメータと組み合わせ、これは器具を使用する人が、器具の位置、及びどの組織が器具のところに存在するかについての情報の両方についての情報を得ることを可能にする。方法は両方に関する少なくとも最新の情報を表示するステップを含む。
【0030】
有利には決定された組織パラメータの量をあらわす彩度レベルが決定され得る。彩度レベルは量の直観的表現であり、画面上で容易に見ることができる。
【0031】
組織パラメータは光学センサを用いて決定され得、方法は組織パラメータを決定するために光学センサからの信号から決定されるスペクトルを使用するステップを有する。上述の通り光信号の使用は組織パラメータを決定する安全で非侵襲的な方法である。
【0032】
ドットの表示の代わりに、組織パラメータは実線として表示され、線の幅が不正確さの指標であり得る。パラメータを線として表示するとき、パラメータの連続表現がユーザに示され得る。これはユーザが体を通る器具の経路をたどる、すなわち'バックトラック'することを可能にする。
【0033】
第2の態様にかかる方法はソフトウェアにおいて実施され、第1の態様にかかるシステムを制御するのに使用され得る。これはデジタルプロセッサ上で実行されるためのソフトウェア実施方法として表現され得、ソフトウェア実施方法は、時間Tfにおいて体の内部の画像のシーケンスを決定するステップと、時間Tf(30,32,34)での体の内部の画像におけるセンサ位置のシーケンスを決定するステップと、時間Tsにおいて器具のセンサ位置における組織パラメータを決定するステップと、時間Tsに対して時間Ts周辺の期間に対するセンサ位置の時系列の部分に基づいて推定センサ位置を決定するステップと、時間Tfでの体の内部の画像と時間Tsでのセンサ位置における組織パラメータの表現の組み合わせである画像を表示ユニット上に表示するステップとを有する。ソフトウェア実施方法は第2の態様に関して述べた任意の特徴を含み得る。ソフトウェア実施方法は第1の態様にかかるシステムにおいてプロセッサ上で実行され得る。
【0034】
本発明の第4の態様は体内で器具をガイドするためのシステムにおいて使用するための器具に関し、器具は光学プローブを有し、器具をガイドするためのシステムは、時間Tsにおいて器具からの組織信号を受信するように構成される組織型決定装置であって、器具からの組織信号に基づいて組織型を示すパラメータのセットを決定するように構成される、組織型決定装置と、体の内部の画像を形成するように構成される医用イメージング装置であって、各々タイムスタンプTf(30,32,34)で画像の時系列を記録する医用イメージング装置と、タイムスタンプTf(30,32,34)での体の内部の画像とタイムスタンプTsに対するセンサの空間位置における組織型の表示を組み合わせる画像処理ユニットと、体の複合画像を表示するための表示ユニットとを有する。第4の態様にかかる器具は有利には第1の態様にかかるシステムと使用され得る。第4の態様にかかる器具は他の態様のいずれかに関して述べた任意の特徴を含み得る。
【0035】
概して本発明の様々な態様は本発明の範囲内で可能ないかなる方法でも組み合わされ結合され得る。本発明のこれらの及び他の態様、特徴、及び/又は利点は以降に記載の実施形態から明らかとなり、それらを参照して解明される。
【0036】
本発明の実施形態はほんの一例として図面を参照して記載される。