(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者らは、所定量の(A)成分及び(B)成分を用いることで、機機械洗浄前の洗浄において食器に付着した汚れ、とりわけ油性成分を含む汚れに対する洗浄力が高くなると共に、機械洗浄した際に泡立ちが抑制できることを見出した。
このような効果が発現される理由は定かではないが、(A)成分は曇点が低いため、通常の機械洗浄の温度では、消泡効果を有するために、泡立ちを抑制することができたものと考えらえる。
【0010】
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物で、食器を前洗浄した後、すすぎ工程を必ずしも必要とせずに、機械洗浄機を用いて該食器を洗浄することができる。
これにより、機械洗浄前の洗浄において、高い洗浄力およびその後のすすぎ工程の省略により、掛かる労力の低減および時間短縮を実現できる。また、すすぎ工程を有さないことで、本発明の組成物が洗浄機に持ち込まれて機械洗浄が行われるが、そのようにして持ち込まれた本発明の組成物も洗浄力の向上に貢献するため、十分な洗浄が可能となり、機械洗浄機用の洗浄剤の削減およびまたは削除ができ、さらには洗浄時間短縮も可能となる。つまりは、洗浄工程全体での労力、時間、ひいてはトータルコストの低減が実現できる。
【0011】
〔機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物〕
<(A)成分>
本発明の(A)成分は、下記一般式(a)で表されるノニオン界面活性剤である。(A)成分は、洗浄力及び機械洗浄機を用いた際の泡立ち抑制の観点から、好ましい成分である。
R
1aO−(EO)
z−H (a)
〔式中、R
1aは、炭素数6以上18以下の分岐鎖のアルキル基であり、EOはエチレンオキシ基であり、zはEOの平均付加モル数を示し、0超6以下の数である。〕
【0012】
一般式(a)中のR
1aの炭素数は、洗浄力及び機械洗浄機を用いた際の泡立ち抑制の観点から、6以上、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは14以下である。
一般式(a)中のR
1aの分岐鎖のアルキル基は、アルキル基の末端がイソ分岐していてもよく、第2級アルコール由来のアルキル基(第2級アルコールから水酸基を除去した残基)であってもよい。
一般式(a)中のR
1aは、洗浄力及び機械洗浄機を用いた際の泡立ち抑制の観点から、第2級アルキル基が好ましい。ここで、第2級アルキル基とは、第2級アルコールから水酸基を除去した残基であり、一般式(a)中のR
1aOにおいてOと結合するR
1aの炭素原子が第2級炭素原子となっている。本発明では第2級アルキル基を分岐鎖のアルキル基に含める。
一般式(a)中、EOの平均付加モル数zは、洗浄力及び機械洗浄機を用いた際の泡立ち抑制の観点から、0超であり、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは5以上、そして、機械洗浄機を用いた際の泡立ち抑制の観点から、6以下であり、好ましくは5以下、より好ましくは4以下である。
【0013】
前記一般式(a)で表されるノニオン界面活性剤の調製方法としては、特に限定されるものではないが、例えばR
1a−OHで示される脂肪アルコールにエチレンオキシドを所定量付加させればよい。
前記一般式(a)で表されるノニオン界面活性剤は、単独のエチレンオキシド付加物であってもよく、複数のエチレンオキシド付加物の混合物であってもよい。
尚、一般式(a)の化合物は、本発明の効果を損なわない限り、更にプロピレンオキサイドが付加されていてもよい。
【0014】
(A)成分の曇点は、機械洗浄機を用いた際の泡立ち抑制の観点から、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下、さらに好ましくは10℃以下、よりさらに好ましくは0℃以下である。
曇点は、例えば2質量%となるようにイオン交換水で調製した水溶液を、1℃/分の割合で昇温したときに、該水溶液が濁りだす温度をいう。
【0015】
<(B)成分>
本発明の(B)成分はアニオン界面活性剤である。
(B)成分は、好ましくは、炭素数8以上21以下の炭化水素基と、硫酸エステル基又はスルホン酸基とを有するアニオン界面活性剤である。
(B)成分の炭化水素基としては、洗浄力の観点から、炭素数が8以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして21以下、好ましくは18以下、より好ましくは14以下、さらに好ましくは12以下のアルキル基又はアリール基が好ましい。
【0016】
(B)成分のアニオン界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、及びアルカンスルホン酸塩から選ばれる一種以上が好ましい。
【0017】
アルキル硫酸エステル塩は、硫酸エステル基を有するアニオン界面活性剤である。洗浄力の観点から、炭素数が8以上、好ましくは10以上、そして21以下、好ましくは18以下、より好ましくは14以下、さらに好ましくは12以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するアルキル硫酸エステル塩が好適である。
【0018】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩は、硫酸エステル基を有するアニオン界面活性剤である。洗浄力の観点から、炭素数8以上、好ましくは10以上、そして21以下、好ましくは18以下、より好ましくは14以下、さらに好ましくは12以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有し、炭素数2以上3以下のオキシアルキレン基の平均付加モル数が好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、そして、好ましくは6以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.7以下であるポリオキシアルキレン基を有する、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好適である。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩は、炭素数3のオキシアルキレン基、すなわちオキシプロピレン基を含むことが、洗浄力及び機械洗浄機を用いた際の泡立ち抑制の観点から、好ましい。
【0019】
アルキルベンゼンスルホン酸塩及びアルカンスルホン酸塩は、スルホン酸基を有するアニオン界面活性剤である。洗浄力の観点から、炭素数6以上15以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、及び炭素数8以上、好ましくは10以上、そして21以下、好ましくは18以下、より好ましくは14以下、さらに好ましくは12以下のアルカンスルホン酸塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が好適である。
【0020】
(B)成分のアニオン界面活性剤の塩として、ナトリウム塩、アンモニウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等から選ばれる無機塩、モノエタノールアンモニウム塩、ジエタノールアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、モノホリン塩等から選ばれる有機アンモニウム塩が好適である。
【0021】
(B)成分は、洗浄力及び機械洗浄機を用いた際の泡立ち抑制の観点から、アルキル硫酸エステル塩、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましく、下記一般式(b)で表されるアニオン界面活性剤がより好ましい。
R
1b−O−(PO)
m−SO
3−M (b)
〔式中、R
1bは、炭素数8以上21以下のアルキル基又はアルケニル基であり、POはプロピレンオキシ基であり、mはPOの平均付加モル数を示し、0以上1.5以下の数である。Mは水素原子又は陽イオンである。〕
【0022】
一般式(b)中、R
1bは、洗浄力及び機械洗浄機を用いた際の泡立ち抑制の観点から、炭素数8以上、好ましくは10以上、そして21以下、好ましくは18以下、より好ましくは14以下、さらに好ましくは12以下のアルキル基又はアルケニル基であり、好ましくは直鎖アルキル基である。具体的には、R
1bは、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、及びテトラデシル基から選ばれるアルキル基が好ましく、ドデシル基がより好ましい。R
1bは、直鎖又は分岐鎖の何れでもよいが、直鎖が好ましい。
一般式(b)中、mは、POの平均付加モル数を示し、洗浄力及び機械洗浄機を用いた際の泡立ち抑制の観点から、1.5以下、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.7以下、そして、0以上、すなわち、0又は0超である。0超の場合は、洗浄力及び機械洗浄機を用いた際の泡立ち抑制の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上である。
一般式(b)中、Mは、水素原子又は陽イオンであり、塩を形成する陽イオンとして、例えば、アルカリ金属イオン、アルカノールアンモニウムイオン、アンモニウムイオン等が挙げられる。アルカリ金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンが挙げられ、アルカノールアンモニウムイオンとしては、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン等が挙げられる。これらの中では、ナトリウムイオン又はカリウムイオンが好ましい。
【0023】
一般式(b)の化合物の調製方法としては、特に限定されるものではないが、例えばR
1b−OHで示される脂肪アルコールにプロピレンオキシドを所定量付加させた後、三酸化硫黄(液体又は気体)、三酸化硫黄含有ガス、発煙硫酸、クロルスルホン酸から選ばれる硫酸化剤で硫酸エステル化し、所定のアルカリ剤で中和して製造される。
【0024】
<その他の成分、組成等>
<(C)成分>
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、洗浄力、特に油脂の洗浄力の観点から、(C)下記一般式(c)で表される非イオン界面活性剤〔以下、(C)成分という〕を含有することが好ましい。
R
1cO−(EO)
n−H (c)
〔式中、R
1cは、炭素数6以上18以下の直鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、EOはエチレンオキシ基であり、nはEOの平均付加モル数を示し、0超6以下の数である。〕
【0025】
一般式(c)中のR
1cの炭素数は、洗浄力の観点から、6以上、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは14以下である。R
1cは、アルキル基が好ましい。
一般式(c)中、EOの平均付加モル数nは、洗浄力と機械式洗浄機での泡立ちの抑制の観点から、0超であり、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、そして、機械洗浄機を用いた際の泡立ち抑制の観点から、6以下であり、好ましくは5以下である。
尚、一般式(c)の化合物は、本発明の効果を損なわない限り、更にプロピレンオキサイドが付加されていてもよい。
(C)成分の曇点は、機械洗浄機を用いた際の泡立ち抑制の観点から、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下、さらに好ましくは10℃以下であり、よりさらに好ましくは0℃以下である。(C)成分の曇点は、(A)成分と同様に測定できる。
(c)成分は、(a)成分と同様にして製造することができる。
【0026】
<(D)成分>
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、組成物を低粘度化し、取扱い性を向上させる観点から、(D)成分として、溶媒を含有することが好ましい。
(D)成分は、有機溶媒が好ましい。有機溶媒は、炭素数2以上、好ましくは炭素数3以上、そして、炭素数10以下、好ましくは炭素数8以下の有機溶媒が好ましい。(D)成分の具体例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、フェニルグリコール、フェノキシイソプロパノール、及びブチルジグリコール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)から選ばれる有機溶媒がより好ましく、ブチルジグリコールがより好ましい。
(D)成分は、オクタノール/水分配係数(LogPow)が3.5以下の親水性が好ましい。
【0027】
<水>
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、好ましくは水を含有する。水は、組成物の残部となる量で用いられる。水は、イオン交換水又は蒸留水を用いることが出来る。また、水を殺菌又は滅菌する目的から少量の塩素を含有してもよい。
【0028】
<その他の成分>
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、分散剤、pH調整剤、増粘剤、粘度調整剤、香料、着色剤、酸化防止剤、防腐剤、抑泡剤、漂白剤、漂白活性化剤などの成分(ただし、(A)〜(D)成分を除く)を配合することができる。
【0029】
<組成等>
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、(A)成分及び(B)成分を、所定の比率で配合してなる。
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、(A)成分を、洗浄力と機械式洗浄機での泡立ちの抑制の観点から、5質量%以上、好ましくは8質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは11質量%以上、そして、同様の観点から、25質量%以下、好ましくは21質量%以下、より好ましくは18質量%以下、更に好ましくは15質量%以下含有する。
【0030】
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、(B)成分を、洗浄力の観点から、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、そして、機械式洗浄機での泡立ちの抑制の観点から、8質量%以下、好ましくは6質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは4質量%以下含有する。
【0031】
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、(C)成分を、洗浄力の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、より更に好ましくは6質量%以上、そして、機械式洗浄機での泡立ちの抑制の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは8質量%以下、より更に好ましくは6質量%以下含有する。
【0032】
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、(D)成分を、保存安定性、取扱い性の向上の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは12質量%以上、そして、コストを低減する観点及び泡立ちに優れる観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下含有する。
【0033】
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、水を、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは55質量%以上、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下含有する。
【0034】
機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、(A)成分/(B)成分の質量比が、機械式洗浄機での泡立ちの抑制の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上、より更に好ましくは6以上、そして、洗浄力の観点から、好ましくは15以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは10以下、より更に好ましくは8以下、より更に好ましくは6以下、より更に好ましくは5以下である。この質量比は、(A)成分の含有量/(B)成分の含有量の質量比である。
【0035】
機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、(C)成分/(A)成分の質量比が、洗浄力の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上、より更に好ましくは0.4以上、そして、機械式洗浄機での泡立ちの抑制の観点から、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1以下、より更に好ましくは0.8以下、より更に好ましくは0.6以下、より更に好ましくは0.4以下である。この質量比は、(C)成分の含有量/(A)成分の含有量の質量比である。
【0036】
機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物は、〔(A)成分+(C)成分〕/(B)成分の質量比が、洗浄力及び機械式洗浄機での泡立ちの抑制の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは5以上、そして、同様の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、より更に好ましくは8以下である。この質量比は、〔(A)成分の含有量と(C)成分の含有量の合計〕/(B)成分の含有量の質量比である。この質量比は、(C)成分を含有しない場合にも適用できる。
【0037】
本発明により、(A)成分を配合原料中5質量%以上25質量%以下、及び(B)成分を配合原料中1質量%以上8質量%以下の割合で用いて混合する、機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の製造方法が提供される。前記した機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物についての好ましい含有量や質量比は、ここでの配合原料中の割合に読み替えて適用することができる。
【0038】
<pH>
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、洗浄力の観点から、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは5.5以上、より更に好ましくは6以上であり、手洗いした際の皮膚への負担を低減する観点から、好ましくは10以下、より好ましくは9以下、更に好ましくは8以下、より更に好ましくは7以下である。pHは、JIS K 3362:2008 8.3の記載に準じて測定することができる。
【0039】
<粘度>
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の25℃における粘度は、ハンドリング性の観点から、好ましくは200mPa・s以下、より好ましくは100mPa・s以下であり、そして、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上である。粘度は、JIS Z 8803:2011の記載に準じて測定することができ、具体的には、TOKIMEC社製B型粘度計を用いて、ローター:No.1、回転数:30rpmの条件で測定することができる。
【0040】
〔食器の洗浄方法〕
本発明の洗浄剤組成物は、機械式洗浄機、即ち、自動食器洗浄機による洗浄の前の処理剤組成物として用いるものである。
本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物を用いる前処理の洗浄方法としては、例えば、(1)該組成物を含む可撓性材料、例えば、該組成物と水とを含むスポンジ等の可撓性道具で、硬質表面を洗浄する手洗い洗浄法、(2)該組成物を含む浸漬洗浄剤中に、硬質表面を有する物品、例えば、食器を浸漬させる浸漬洗浄法、(3)該組成物を、食器、例えばスプレー等で、噴霧又は塗布して接触させる洗浄法などが挙げられる。これらを組み合わせて用いてもよい。好ましくは、洗浄力の観点から、(1)の方法である。
何れの方法でも、手洗いは、スポンジでの手洗いが好ましい。
(1)の食器を手洗い洗浄する場合は、スポンジに含まれる水で希釈された後の該洗浄剤組成物の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
(2)の浸漬洗浄する場合は、浸漬洗浄剤中、該洗浄剤組成物の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、そして、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
【0041】
本発明の好ましい洗浄方法は、本発明の洗浄剤組成物で、スポンジ等の可撓性道具で、食器を手洗い洗浄する工程と、該食器を機械により洗浄する工程とを有する。以下、より具体的な洗浄方法について説明する。
【0042】
本発明は、下記工程1の終了後、下記工程2を行う、食器の洗浄方法に関する。
工程1:本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物を水で希釈した処理液で、食器を手洗い又は浸漬洗浄する工程
工程2:機械洗浄機を用いて、工程1で洗浄した食器を洗浄する工程
【0043】
<工程1>
手洗い、浸漬洗浄のいずれの場合も、工程1での処理液の温度は、洗浄力の観点から、好ましくは40℃未満、より好ましくは35℃以下、さらに好ましくは30℃以下、そして、好ましくは5℃以上である。
【0044】
工程1で手洗い洗浄する場合は、水を含んだスポンジ等の可撓性材料で食器を洗浄することが好ましい。
工程1で手洗い洗浄する場合は、処理液中の本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。この含有量となるように、本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物を水で希釈する。
【0045】
工程1で、浸漬洗浄する場合は、処理液中の本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、そして、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。この含有量となるように、本発明の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物を水で希釈する。
工程1で、浸漬洗浄する場合、洗浄力の観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上、そして、同様の観点から、好ましくは120分以下、より好ましくは90分以下、更に好ましくは60分以下、より更に好ましくは30分以下、食器を処理液中に浸漬する。また浸漬の際、食器類をスポンジ等で手洗いしても良い。すなわち、工程1は、前記処理液で食器を手洗い洗浄及び浸漬洗浄する工程であってもよい。この場合、手洗い洗浄と浸漬洗浄の順序や回数は問わない。
食器の浸漬は、処理液を収容した浸漬槽を用いて行うことができる。浸漬槽は、一般的にシンクと表現されているものを使用することができる。業務用で使用されるシンクの容積は、厨房に於ける洗浄室の広さにより異なるが、例えば、0.1m
3以上3m
3以下のものが挙げられる。食器は、処理液に完全に浸漬することが好ましい。食器を完全に浸漬する容積を有する浸漬槽と処理液の量を組み合わせることが好適である。
【0046】
<工程2>
工程2では、機械洗浄機を用いて、工程1で洗浄した食器を洗浄する。
工程2で抑泡性に優れる観点から、工程1で洗浄した食器は水ですすぐ必要がない。
工程2で用いる機械洗浄機は、例えば自動食器洗浄機として知られている装置が挙げられる。自動食器洗浄機は、一般に市場で入手可能な自動食器洗浄機であればよく、家庭用自動食器洗浄機を用いることも可能であるが、好ましくは業務用自動食器洗浄機である。
また、工程2での洗浄条件は特に限定されず、洗浄剤の種類、洗浄温度、洗浄時間などは、自動食器洗浄機による公知の洗浄条件に準じて行うことができる。工程2で用いる洗浄液は、工程1で用いる処理液とは異なる組成であることが好ましい。
工程2では洗浄を40℃以上で行うことが好ましい。具体的には、工程2で用いる洗浄水の温度は、抑泡性の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは60℃以上、そして、好ましくは90℃以下である。
【実施例】
【0047】
<機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の調製方法>
下記の成分を用いて、表1記載の機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物を、下記のように調製した。
常温にて、水と表1の成分を配合し撹拌する。先ず、水に(D)成分を添加、撹拌し、均一になったところで、(A)成分又は(A’)成分及び(C)成分を添加し均一に撹拌する。そこに(B)成分を添加、撹拌し、均一になったところで、pHの調整を行った。これらの成分以外の成分は、pH調整後に一括で添加した。
機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物(原液)のpHは、安定性確保のために、25℃で6.5とした。pHは、「JIS Z 8802 7.2」のpH測定法により測定した。pHの測定には、堀場製作所製のpHメーター F−52を用いた。
【0048】
ここで、用いた成分は以下のものである。
・(A)成分
A−1:一般式(a)中のR
1aが炭素数12〜14の第2級アルキル基、zが3の非イオン界面活性剤、商品名「ソフタノール33」(株式会社日本触媒製)、曇点0℃以下
・(B)成分
AS:ラウリル硫酸ナトリウム(商品名エマール0、花王株式会社製)
ApS:アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(商品名エマールP−170J、花王株式会社製、プロピレンオキシ基の平均付加モル数0.6)
AES(EO4):アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(商品名ES−4.0K(100)H、花王株式会社製、エチレンオキシ基の平均付加モル数4)
AES(EO2):アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(商品名エマール227HP、花王株式会社製、エチレンオキシ基の平均付加モル数2)
LAS:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(商品名ネオペレックスGS、花王株式会社製)
・(C)成分
C−1:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名エマルゲン103、花王株式会社製、エチレンオキシ基の平均付加モル数3)、曇点0℃以下
C−2:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名エマルゲン105、花王株式会社製、エチレンオキシ基の平均付加モル数5)、曇点0℃以下
・(D)成分
ブチルジグリコール(LogPow=0.56):商品名BDG−NS、日本乳化剤株式会社製
・(A’)成分
A’−1:一般式(a)中のR
1aが炭素数12〜14の第2級アルキル基、zが7の非イオン界面活性剤、商品名「ソフタノール70」(株式会社日本触媒製)、曇点33℃
A’−2:アルキルポリグルコシド(商品名マイドール12、花王株式会社製)
・その他
フェノキシエタノール(防腐剤):商品名ダワノール EPH、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製
ヘキシルデカノール(抑泡剤):商品名リソノール 16SP、高級アルコール工業株式会社製
【0049】
<洗浄力の評価>
プラスティック製洗い桶に、水(温度30℃、ドイツ硬度3.5°DH)を10L張り、機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物の所定量(洗浄剤組成物濃度0.04質量%)を溶かし良く攪拌する。予め用意しておいたモデル汚れ付き食器〔牛脂/ナタネ油=1/1(質量比)の2gを陶器皿に塗布し、室温で24時間放置したもの〕を、洗い桶中の洗浄水浴(希釈した組成物)に浸漬した状態で、新品のスポンジ(キクロン株式会社製の商品名キクロン、115mm×75mm×35mmの可撓性吸収体)にて擦り洗いする。ヌルつきを感じなくなった時点で次の皿に移り、これを繰り返す。洗浄中、洗い桶中の洗浄水浴は、汚れが溜まってくるため洗浄力が低下する。洗浄の終点は、スポンジで洗浄するときにヌルつきが取れなくなった皿の1つ前の皿数とした。結果を表1に示した。
【0050】
通常、皿等の食器類を機械洗い前に大まかに前洗いした後に機械洗浄機にセットして本洗浄を行うが、本実施例では、前洗い洗浄の効果、洗浄力の持続性を明確にするために、機械洗浄にかける前の時点での評価を行った。
【0051】
<機械洗浄での泡立ち抑制の評価>
ドア型自動洗浄機(DW−DR53:SANYO製)の槽内に、機械洗浄前洗い用食器洗浄剤組成物1gを滴下し、所定の運転(50℃/40秒間噴射工程、その後80℃/5秒間すすぎ工程)を行った。これを同様に繰り返して累積運転して、噴射工程途中に噴射ポンプ音の異常または噴射間隔(噴射圧)の低下が見られた回数の前を累積運転回数とした。結果を表1に示した。累積運転回数が多いほど、機械洗浄での泡立ち抑制に優れていることを意味する。
尚、実施例の洗浄剤組成物を用いて、前記の洗浄力の評価の条件で洗浄した皿16枚を、すすぎ工程なしに、上記自動洗浄機で洗浄を行ったところ、泡立ちによる運転の異常もなく、洗浄を行うことができた。
【0052】
【表1】