【文献】
宮崎洋、他,低消費電力ビーズ型接触燃焼式メタンセンサ,Chemical Sensors,2016年,Vol.32, Supplement A,p.135-137
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記絞り部材は、前記ガス導入路の開口端面よりも前記作用電極に近い位置に、前記流入口を形成するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の定電位電解式ガスセンサ。
前記検知対象ガスを設定する工程は、前記エージングを行う工程の後に、検知対象ガスの種類に応じて、前記絞り部材を前記ガス導入路に装着し、または装着しない工程を含む、請求項6に記載の定電位電解式ガスセンサの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の定電位電解式ガスセンサでは、特定の検知対象ガスを検知するように構成されているため、たとえばユーザが使用するガス種が変更された場合には、たとえ定電位電解式ガスセンサの寿命が十分に残っている場合でも、新たに使用されるガス種に合わせた別の種類のカートリッジ(定電位電解式ガスセンサ)に交換する必要がある。近年の技術改良により、定電位電解式ガスセンサの寿命が長くなり長期間にわたって利用可能になっていることもあり、使用するガス種が変更された場合でも対応できるような定電位電解式ガスセンサが望まれている。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、使用するガス種が変更された場合でも対応可能な定電位電解式ガスセンサおよび定電位電解式ガスセンサの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、この発明の第1の局面による定電位電解式ガスセンサは、電解液を収容する電解液収容部と、電解液に接するように配置された作用電極、対極および参照電極とを含む本体部と、本体部の表面に開口し、表面から作用電極にガスを通過させることが可能なガス導入路とを備え、ガス導入路の一部を塞ぐことにより、所定の検知対象ガスに対応した大きさの流入口をガス導入路内に形成する絞り部材を、ガス導入路に着脱可能なように構成されている。なお、ガス導入路は、本体部の表面から作用電極にガスを通過させることが可能な通路であればよく、本体部の表面と作用電極とを貫通する中空通路だけでなく、内部にガスを透過する部材(フィルタなど)を配置または充填した通路も含む広い概念である。
【0009】
ここで、定電位電解式ガスセンサは、定電位が印加された作用電極でのガスの電気化学反応に伴う電流を検知する方式により、特定種類以外の他の種類のガス種についても反応して電流出力することが可能である。その一方、警報濃度(範囲)およびフルスケール(最大検知濃度)は、ガス種によって全く異なるため、同じ構造のセンサでも、警報濃度(範囲)およびフルスケールが高いガス種については感度を低くし、警報濃度(範囲)およびフルスケールが低いガス種については感度を高くする。そこで、本発明の第1の局面では、上記のように、所定の検知対象ガスに対応した大きさの流入口をガス導入路内に形成する絞り部材をガス導入路に装着可能にすることにより、作用電極に導かれるガス量を調整し(絞り)、検知対象ガスの種類に応じた感度を実現することができる。その結果、複数種類のガスのうちから、ユーザが使用するガス種に応じた流入口が形成された絞り部材を選んで付け替えることにより、同一の定電位電解式ガスセンサで様々なガス検知を行うことが可能となるので、ユーザが使用するガス種が変更された場合でも対応することが可能となる。
【0010】
上記第1の局面による定電位電解式ガスセンサにおいて、好ましくは、ガス導入路は、第1種類の検知対象ガスに対応した大きさの導入路側流入口を含み、絞り部材の流入口は、導入路側流入口よりも小さく、かつ、第2種類の検知対象ガスに対応した大きさを有する。ここで、導入路側流入口および絞り部材の流入口は、ガス導入路において最も開口面積が小さくなる流路部分のことである。つまり、絞り部材の装着時には、絞り部材の流入口がガス導入路において最小開口面積の流路部分となり、絞り部材の非装着時には、導入路側流入口がガス導入路において最小開口面積の流路部分となる。このように構成すれば、ガス導入路(導入路側流入口)自体を第1種類のガスに対応するように形成することによって、絞り部材の種類が増大するのを抑制することができる。また、たとえば装着された絞り部材を取り外すだけで、容易に検知対象ガスを変更することができる。
【0011】
上記第1の局面による定電位電解式ガスセンサにおいて、好ましくは、絞り部材は、ガス導入路の開口に着脱可能に嵌め込まれる栓状部材である。このように構成すれば、栓状の絞り部材をガス導入路の内部に嵌め込むだけで、容易に絞り部材を装着することができる。また、たとえば絞り部材がガス導入路の開口を塞ぐ板部材などの場合、開口端面に絞り部材を密着させて固定する手段が別途必要になるのに対し、上記構成によれば、ガス導入路自体を絞り部材の位置決めや固定用の部材として利用できるので、構造の簡素化を図ることができる。
【0012】
上記第1の局面による定電位電解式ガスセンサにおいて、好ましくは、絞り部材は、ガス導入路の開口端面よりも作用電極に近い位置に、流入口を形成するように構成されている。このように構成すれば、流入口と作用電極とを接近させて、流入口と作用電極との間に形成される容積を小さくすることができる。ここで、たとえば外部のガスを吸引ポンプなどによって強制的にガス導入路内に引き込む場合に、脈流(周期性の圧力変動)が生じて検知精度がばらつくことがあるが、流入口と作用電極との間の容積を小さくすることにより、脈流の影響を抑制することができる。
【0013】
上記第1の局面による定電位電解式ガスセンサにおいて、好ましくは、絞り部材は、ガス導入路を塞ぐように配置され、かつ、作用電極側に向けて窪んだ凹部を有し、凹部の底部には流入口が形成されているとともに、凹部内に脈流を抑制するためのフィルタ部材が設けられている。このように構成すれば、作用電極側に向けて窪む凹状の絞り部材の底部に流入口を設けることにより、流入口と作用電極とを接近させて、流入口と作用電極との間に形成される容積を小さくすることができるので、外部のガスを強制的に引き込む場合の脈流を抑制することができる。さらに、絞り部材の凹部内に配置したフィルタ部材によって、急激な流量変化を抑制することができるので、より一層効果的に脈流を抑制することができる。
【0014】
この発明の第2の局面による定電位電解式ガスセンサの製造方法は、上記第1の局面による定電位電解式ガスセンサを製造する方法であって、本体部およびガス導入路を備えたガスセンサ構造体の電解液収容部内に電解液を収容する工程と、電解液を収容する工程の後、作用電極、対極および参照電極に電位を印加するエージングを行う工程と、エージングを行う工程の後に、定電位電解式ガスセンサの検知対象ガスを設定する工程と、を備える。なお、エージングとは、定電位電解式ガスセンサの初期使用前に、各電極間に電位を印加して出力のばらつきを減少させる工程を意味する。
【0015】
この第2の局面による定電位電解式ガスセンサの製造方法では、上記第1の局面と同様に、所定の検知対象ガスに対応した大きさの流入口をガス導入路内に形成する絞り部材をガス導入路に装着可能な定電位電解式ガスセンサを設けることにより、絞り部材によって作用電極に導かれるガス量を調整し(絞り)、検知対象ガスの種類に応じた感度を実現することができる。その結果、複数種類のガスのうちから、ユーザが使用するガス種に応じた流入口が形成された絞り部材を選んで付け替えることにより、同一の定電位電解式ガスセンサで様々なガス検知を行うことが可能となるので、使用するガス種が変更された場合でも対応することが可能となる。
【0016】
また、定電位電解式ガスセンサのエージングには、2〜4週間程度を要するのが一般的である。そのため、予め検知対象ガスが決まっている従来の定電位電解式ガスセンサではリードタイム(検知対象ガスを設定してから完成までに要する時間)が長く、2〜4週間以上前から製造に着手する必要がある。これに対して、上記第2の局面による定電位電解式ガスセンサの製造方法では、エージングを行う工程の後に、定電位電解式ガスセンサの検知対象ガスを設定する工程を設けることによって、エージングが完了した後で、絞り部材を装着することにより検知対象ガスを設定することができるので、特定の検知対象ガスの定電位電解式ガスセンサを製造するのに要するリードタイムを短縮することができる。
【0017】
上記第2の局面による定電位電解式ガスセンサの製造方法において、好ましくは、検知対象ガスを設定する工程は、エージングを行う工程の後に、検知対象ガスの種類に応じて、絞り部材をガス導入路に装着し、または装着しない工程を含む。このように構成すれば、エージング工程が完了済みのガスセンサに対して、絞り部材をガス導入路に装着し、または装着しないでおくという簡単な工程によって、様々な種類のガスを検知対象ガスとする定電位電解式ガスセンサを迅速かつ効率的に製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記のように、使用するガス種が変更された場合でも対応可能な定電位電解式ガスセンサを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1〜
図4を参照して、本発明の一実施形態によるセンサ100の構成について説明する。なお、センサ100は、特許請求の範囲の「定電位電解式ガスセンサ」の一例である。
【0022】
センサ100は、定電位電解式ガスセンサである。定電位電解式とは、定電位に保持された作用電極12におけるガスの電気化学反応に伴い発生する電流を検知するセンサ方式である。検知対象ガスの電気化学反応に応じて作用電極12と対極13との間に流れる電流を測定することにより、測定された電流値を検知対象のガスの濃度に変換することができる。
【0023】
センサ100は、電解液10を収容する電解液収容部11と、電解液10に接するように配置された電極(作用電極12、対極13および参照電極14)とを含む本体部1を備える。本体部1は、電解液収容部11が一体形成された液体容器として構成されている。
【0024】
電解液収容部11は、本体部1の内部に形成された中空の空間部である。電解液収容部11は、本体部1の上部に形成された電解液注入用の開口部15と連続している。また、電解液収容部11は、本体部1の下部において側面方向の両側に形成された開口部16および17と連続している。電解液10は、たとえば、酸性水溶液、または、中性塩水溶液等により構成されている。酸性水溶液としては、たとえば硫酸やリン酸等を用いることができる。また、中性塩水溶液としては、たとえば臭化リチウムや塩化カルシウム等を用いることができる。
【0025】
作用電極12は、検知対象ガスに電気化学反応を生じさせる機能を有する。対極13は、作用電極12と対になり、検知対象ガスの電気化学反応に伴って作用電極12との間で電流を流す機能を有する。参照電極14は、作用電極12の電位の基準となる電極である。
【0026】
作用電極12と、対極13および参照電極14とは、本体部1において互いに対向するように配置されている。具体的には、作用電極12は、本体部1の開口部16を塞ぐガス透過膜18の内側表面に配置され、対極13および参照電極14は、本体部1の開口部17を塞ぐガス透過膜19の内側表面に配置されている。ガス透過膜18および19は、撥水性を有しかつガス透過性を有する。これにより、ガス透過膜18および19は、電解液10が開口部16または17から外部に漏れるのを防止し、かつ、ガスを透過させる。ガス透過膜18および19は、たとえば撥水性を有する多孔質PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)により形成されている。検知対象ガスは、ガス透過膜18を透過して作用電極12へ導入される。
【0027】
作用電極12、対極13および参照電極14は、それぞれ、ガス透過膜(18、19)の表面に設けられている。たとえば、作用電極12、対極13、および、参照電極14は、ガス透過膜にペースト状の電極材料が塗布されて、焼成されることにより、形成されている。
【0028】
センサ100は、本体部1の表面に開口し、表面から作用電極12にガスを通過させることが可能なガス導入路2を備える。
図1の構成例では、ガス導入路2は、本体部1に固定的に設けられた蓋部材3に形成され、開口端面21から作用電極12が形成されたガス透過膜18まで貫通する円筒状通路として構成されている。
【0029】
蓋部材3は、開口部16を覆うように設けられており、本体部1の側端面において、Oリング6を介してガス透過膜18(作用電極12)を固定している。なお、開口部17には、蓋部材4が設けられている。蓋部材4は、Oリング6を介してガス透過膜19(対極13および参照電極14)を固定している。蓋部材4には通気孔41が形成され、ガス透過膜19は雰囲気ガスに曝されている。
【0030】
ここで、本実施形態では、センサ100は、絞り部材5をガス導入路2に着脱可能なように構成されている。
図2に示すように、絞り部材5は、ガス導入路2の一部を塞ぐことにより、所定の検知対象ガスに対応した大きさの流入口51をガス導入路2内に形成するように構成されている。絞り部材5をセンサ100に装着すると、絞り部材5によってガス導入路2に流入口51が形成される。
【0031】
本実施形態では、絞り部材5は、ガス導入路2の開口に着脱可能に嵌め込まれる栓状部材である。すなわち、絞り部材5は、ガス導入路2の内径d2(
図4(B)参照)に略一致する外形d1(
図4(A)参照)を有し、ガス導入路2の内部に嵌め込まれる。これにより、絞り部材5は、ガス導入路2の内周面に嵌りガス導入路2を塞ぐ一方、絞り部材5を貫通する流入口51の部分で、ガス導入路2の一部が塞がれずに開放される。
【0032】
絞り部材5は、ガス導入路2の開口端面21よりも作用電極12に近い位置に、流入口51を形成するように構成されている。すなわち、絞り部材5は、ガス導入路2の内部に装着された状態(
図2参照)で、開口端面21から距離D1の位置に流入口51を形成する。作用電極12から流入口51までの距離D2は、開口端面21から流入口51までの距離D1よりも小さい。つまり、開口端面21から作用電極12までの距離を距離Dとしたとき、D2<(D/2)となる。本実施形態では、距離D2は、距離Dの1/3よりも小さい(D2<(D/3))。
【0033】
これにより、流入口51は、作用電極12(ガス透過膜18)に近接した位置に配置されるので、絞り部材5が装着された状態では、ガス導入路2内で流入口51と作用電極12(ガス透過膜18)との間に形成される空間の容積が小さくなる。
図2の構成例では、絞り部材5の作用電極12側の端面(後述する底部54の外表面)と、蓋部材3の作用電極12側の端面(Oリング6との接触面)とが略面一になるように、絞り部材5が配置されている。
【0034】
図3に示すように、絞り部材5は、ガス導入路2を塞ぐように配置され、かつ、作用電極12側(
図2参照)に向けて窪んだ凹部52を有している。すなわち、絞り部材5は、円筒状の周壁部53と、周壁部53の端部に形成された底部54とを有し、周壁部53と底部54とによって囲まれる空間部として凹部52が構成されている。凹部52の底部54には流入口51が形成されている。流入口51は、底部54を貫通している。流入口51は、絞り部材5に1つまたは複数形成される。
【0035】
図3では、5つの流入口51が形成されている例を示している。5つの流入口51は、略等しい大きさ(直径)の円孔として形成されている。5つの流入口51は、底部54において均等に分散するように配置されている。すなわち、
図4(A)に示すように、中央の流入口51に対して、周囲の4つの流入口51が互いに略等しい間隔Dhを隔てて配置されている。また、周囲の4つの流入口51は、中央の流入口51を中心にして取り囲むように、略等角度(90度)間隔で配置されている。これにより、たとえば1つの流入口を設ける場合と比較して、ガスの流入経路が分散され、作用電極12の全表面に対して、より均一にガスを供給することが可能である。
【0036】
図1に示すように、凹部52内には、脈流を抑制するためのフィルタ部材55が設けられている。したがって、フィルタ部材55は、ガス導入路2内で、絞り部材5に対して、作用電極12とは反対側(ガス導入路2の上流側)の位置に配置される。フィルタ部材55は、ガスを透過可能な多孔質部材であり、ガス流れの急激な変動を抑制するように構成されている。フィルタ部材55は、たとえばPTFEウール(繊維束)を凹部52の形状に合わせて円柱状に成形したものである。
【0037】
ここで、本実施形態では、ガス導入路2は、第1種類の検知対象ガスに対応した大きさの導入路側流入口22を含む。絞り部材5の流入口51は、導入路側流入口22よりも小さく、かつ、第2種類の検知対象ガスに対応した大きさを有する。
【0038】
すなわち、
図1に示したように、ガス導入路2は、開口面積A1(
図4(B)参照)の導入路側流入口22を含んでいる。導入路側流入口22は、ガス導入路2において開口面積が最小となる流路部分である。
図1の構成例では、ガス導入路2は、特段の絞り形状が形成されておらず、内部の開口面積(流路断面積)は略一定のA1のままの円筒状流路として構成されている。そのため、ガス導入路2の全体が導入路側流入口22となっている。ガス導入路2の内径を拡げて、特定箇所に開口面積A1となる絞り部分(内径が小さくなる部分)を設けて導入路側流入口22としてもよい。
【0039】
絞り部材5は、5つの流入口51の合計で、開口面積A2を有する。
図4(A)および
図4(B)に示すように、開口面積A2は、開口面積A1よりも小さい。
【0040】
導入路側流入口22の開口面積A1は、第1種類の検知対象ガスに対応した大きさ(面積)となっている。流入口51の開口面積A2は、第2種類の検知対象ガスに対応した大きさ(面積)となっている。したがって、センサ100は、絞り部材5を装着しない状態で、第1種類の検知対象ガスを検知可能であり、絞り部材5を装着した状態で、第2種類の検知対象ガスを検知可能である。
【0041】
検知対象ガスとしては、様々なガスを設定することができる。たとえば、検知対象ガスは、SiH
4(シラン)、PH
3(ホスフィン)、NF
3、B
2H
6、AsH
3、H
2Se、Si
2H
6、SiH
2Cl
2、GeH
4、NH
3、HF、PF
3、HCl、HBr、F
2、Cl
2、ClF
3、O
3、CO、H
2S、CCl
4、H
2、O
2などであってよい。
【0042】
本実施形態では、一例として、導入路側流入口22は、第1種類の検知対象ガスとしてPH
3に対応しており、流入口51は、第2種類の検知対象ガスとしてSiH
4に対応している。PH
3とSiH
4とは、各電極や電解液が共通の本体部1によって検知可能(濃度に応じた信号出力が可能)なガス種である。一方、PH
3とSiH
4とは、警報濃度(範囲)およびフルスケール(最大検知濃度)が互いに異なっている。
【0043】
警報濃度(範囲)は、報知を行うガス濃度であり、作業環境許容濃度としてガス種毎に定められる濃度に応じて設定される。フルスケールは、警報濃度(範囲)を包含する十分広い範囲に設定され、たとえば警報濃度(範囲)の3〜5倍程度に設定される。
【0044】
PH
3は、警報濃度が0.3ppm、フルスケールが1ppmであり、SiH
4は、警報濃度が5ppm、フルスケールが25ppmである。そのため、警報濃度およびフルスケールが高いSiH
4では感度を相対的に低くし、警報濃度およびフルスケールが低いPH
3については感度を相対的に高くするように、各開口面積A1およびA2が設定されている。
【0045】
つまり、導入路側流入口22は、警報濃度0.3ppm、フルスケール1ppmのPH
3ガスに対応して、相対的に大きい開口面積A1を有している。流入口51は、警報濃度5ppm、フルスケール25ppmのSiH
4に対応して、相対的に小さい開口面積A2を有している。開口面積が小さい程、同じ濃度のガスに対する感度が低下し、フルスケールの範囲は大きくなる。そのため、流入口51は、導入路側流入口22よりも開口面積を絞ることにより、警報濃度およびフルスケールを広くしている。
【0046】
このような構成により、本実施形態のセンサ100では、絞り部材5を装着しないことによって、検知対象ガスがPH
3に設定され、警報濃度0.3ppm、フルスケール1ppmのPH
3ガスセンサとして機能する。そして、絞り部材5を装着することによって、検知対象ガスがSiH
4に設定され、警報濃度5ppm、フルスケール25ppmのSiH
4ガスセンサとして機能する。
【0047】
センサ100にSiH
4およびPH
3以外の他の検知対象ガスを設定する場合(3種以上のガスを検知可能とする場合)、開口面積の異なる別の絞り部材(図示せず)を用意して、センサ100に装着させればよい。
【0048】
本実施形態によるセンサ100は、単体で検知用回路と接続して使用されてもよいし、たとえば、吸引ポンプ、警報用の報知部、ガス検知判定を行う制御部などを備えたガス検知装置と組み合わせて使用されてもよい。その場合、センサ100は、ガス検知器の一部を構成し、ガス検知装置のセンサ部として機能する。
【0049】
(ガス検知装置の構成)
センサ100を備えたガス検知装置200の構成例を
図5に示す。
図5の構成例では、ガス検知装置200は、センサ100を含むセンサユニット110と、本体ユニット120とを含む。本体ユニット120は、制御部121と、報知部122と、電源部123と、吸引ポンプ124とを含む。
【0050】
制御部121は、接続端子部126を介して、センサユニット110のセンサ100から検知対象ガスの濃度に応じた出力値を取得するように構成されている。そして、制御部121は、取得した出力値に基づいて、報知部122により検知対象ガスを検知したことを報知させる制御を行うように構成されている。
【0051】
報知部122は、たとえば表示部、音声出力部、報知信号の外部出力部などを含む。制御部121は、センサ100から取得した出力値が所定の報知閾値を超える場合に、報知部122により警報を出力する。
【0052】
電源部123は、たとえば、外部電源や電池からの電力を本体ユニット120の各部に供給するとともに、接続端子部126を介して、センサユニット110(センサ100)に電力を供給するように構成されている。吸引ポンプ124は、ガス検知装置200の外部からガス(検知対象ガス)を本体ユニット120の内部に吸引する機能を有する。吸引ポンプ124は、本体ユニット120のガス通路125上に配置され、ガス通路125の入口からガスを吸引して、ガス通路125の出口から排出させる。センサ100のガス導入路2は、ガス通路125に接続される。これにより、吸引ポンプ124によって本体ユニット120内のガス通路125に引き込まれたガス(検知対象ガス)がセンサ100のガス導入路2に供給される。
【0053】
センサユニット110は、ガス検知装置200に着脱可能に構成されている。
図5の構成例では、ガス検知装置200の筐体に開閉式のカバー130が設けられ、カバー130を開くことによりガス検知装置200の内部へのセンサユニット110の着脱が可能である。
【0054】
センサユニット110は、センサ100と、センサ100を外部から覆うように構成されている筐体部111とを含む。センサユニット110が本体ユニット120に取り付けられる際、センサユニット110の接続端子112が、本体ユニット120の接続端子部126に接続されるとともに、センサユニット110(センサ100)のガス導入路2が、ガス通路125に接続される。
【0055】
また、センサユニット110には、ポテンショスタット回路113およびAD変換(アナログデジタル変換)回路114が設けられている。ポテンショスタット回路113は、接続端子112、接続端子部126を介して制御部121と接続される。ポテンショスタット回路113は、検知対象ガスの電気化学反応を検出するために、作用電極12と参照電極14との電位差を定電位(電位差を一定)にする制御を行うように構成されている。AD変換回路114は、ポテンショスタット回路113に流れる電流値をデジタル出力値として、本体ユニット120の制御部121に出力するように構成されている。
【0056】
センサユニット110の筐体部111には、内部に配置されたセンサ100のガス導入路2を外部に露出させるための開口が形成されている。これにより、ガス導入路2の開口端面21は、筐体部111の開口を貫通するようにして、外部に突出している。
図6に示すように、ガス導入路2が形成された蓋部材3の開口端面21側には、センサ100を固定するための筒状の固定部材115が取り付けられている。
【0057】
図6において、ガス検知装置200のガス通路125には、センサユニット110の固定部材115を嵌め込むことが可能な接続凹部125aが設けられており、ガス通路125の入口側通路および出口側通路がそれぞれ接続凹部125aに連通している。接続凹部125aにセンサユニット110の固定部材115を嵌め込むことにより、接続凹部125aが塞がれ、センサ100のガス導入路2がガス通路125に接続される。接続凹部125aと固定部材115との隙間は、固定部材115の外周面に設けられたOリング116によりシールされる。
【0058】
(ガス検知装置の検知動作)
ガス検知装置200の動作時には、吸引ポンプ124(
図5参照)が駆動されることにより、ガス通路125の入口側通路からガス導入路2にガスが強制的に導入される。センサ100に絞り部材5が装着されている場合、導入されたガスは、ガス導入路2内で絞り部材5のフィルタ部材55および流入口51を通過して、作用電極12に到達する。作用電極12では、検知対象ガスの電気化学反応が発生し、ポテンショスタット回路113により作用電極12と参照電極14との電位差が一定に保持されることにより、作用電極12と対極13との間において電流が流れる。そして、AD変換回路114により、電流値に応じたデジタル信号の出力値が制御部121に伝達される。出力値が所定の報知閾値を超える場合には、制御部121が報知部122により警報を出力する。
【0059】
本実施形態では、ガス検知装置200は、たとえば絞り部材5が装着されたセンサ100を含むセンサユニット110を装着することにより、SiH
4の検知を行うことが可能である。センサ100の交換時期(寿命)が到達した場合には、センサユニット110ごと、センサ100を交換することが可能である。したがって、センサ100の交換時期(寿命)の到達前にユーザが使用するガス種が変更された場合などでも、センサユニット110ごと、センサ100を交換することが可能であるが、その場合、元のセンサ100を使用し続けることはできない。本実施形態では、センサ100の交換時期(寿命)の到達前であれば、センサユニット110内のセンサ100に装着された絞り部材5を交換または取り外す(検知対象ガスがPH
3の場合)ことにより、同じセンサ100(同じセンサユニット110)で、変更後のユーザが使用するガス種に対応することが可能である。
【0060】
(センサの製造方法)
次に、本実施形態によるセンサ100の製造方法について説明する。
【0061】
図7のステップS1に示すように、まず、本体部1およびガス導入路2を備えたガスセンサ構造体が組み立てられる。ガスセンサ構造体とは、センサ100のうち、電解液10を除いた構造部分を意味する。
【0062】
ステップS2において、ガスセンサ構造体の電解液収容部11内に電解液10が収容(注入)される。これにより、センサ100がガスセンサとして機能し得る状態となる。ただし、電解液10の収容直後では、センサ100の出力が安定しないため、エージングを行う必要がある。
【0063】
そのため、ステップS2の後、ステップS3として、作用電極12、対極13および参照電極14に電位を印加するエージングが行われる。エージングは、センサ100の初期使用前に、各電極間に電位を印加して出力のばらつきを減少させる工程である。定電位電解式ガスセンサのエージング工程は、一般的には、2〜4週間程度の期間にわたって実施される。
【0064】
ステップS3のエージングが完了した後、ステップS4において、センサ100の検知対象ガスが設定される。
【0065】
本実施形態において、検知対象ガスを設定する工程は、エージングを行う工程の後に、検知対象ガスの種類に応じて、絞り部材5をガス導入路2に装着し、または装着しない工程である。
図1に示した構成例では、検知対象ガスがSiH
4であれば、絞り部材5がセンサ100に装着されることにより、センサ100の検知対象ガスがSiH
4に設定される。検知対象ガスがPH
3であれば、絞り部材5をセンサ100に装着しないことにより、センサ100の検知対象ガスがPH
3に設定される。また、図示しない他のガス種に対応した絞り部材5を装着すれば、SiH
4およびPH
3以外の他の検知対象ガスをセンサ100に設定することができる。
【0066】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0067】
本実施形態では、上記のように、所定の検知対象ガスに対応した大きさの流入口51をガス導入路2内に形成する絞り部材5を、ガス導入路2に着脱可能なようにセンサ100を構成する。これにより、作用電極12に導かれるガス量を調整し(絞り)、検知対象ガスの種類に応じた感度(警報濃度およびフルスケール)を実現することができる。その結果、ユーザが使用するガス種に応じた流入口51が形成された絞り部材5を選んで付け替えることにより、同一のセンサ100で様々なガス検知を行うことが可能となるので、ユーザが使用するガス種が変更された場合でも対応することが可能となる。
【0068】
ところで、たとえば
図1の構成例では、蓋部材3にガス導入路2が形成されているため、各種ガスに対応するようにガス導入路2の形状が異なる複数バリエーションの蓋部材3を設けておき、蓋部材3を交換可能にすることが考えられる。しかしながら、蓋部材3を本体部1から取り外す場合、ガス透過膜18が外れて電解液10が漏れるなどの恐れがあるため、構造上、蓋部材3の交換は困難である。これに対して、本実施形態のセンサ100では、蓋部材3とは別個の絞り部材5を着脱可能としていることにより、蓋部材3を本体部1に取り付けたまま、絞り部材5の着脱によって検知対象ガスを変更できる。その結果、本実施形態のセンサ100では、電解液10の漏れなどの恐れなく、検知対象ガスの種類を容易に変更することが可能である。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、第1種類の検知対象ガス(PH
3)に対応した大きさの導入路側流入口22をガス導入路2に設ける。そして、絞り部材5の流入口51を、導入路側流入口22よりも小さく、かつ、第2種類の検知対象ガス(SiH
4)に対応した大きさに形成する。これにより、ガス導入路2(導入路側流入口22)自体を第1種類のガスに対応するように形成することによって、絞り部材5の種類が増大するのを抑制することができる。また、たとえば装着された絞り部材5を取り外すだけで、容易に検知対象ガスを変更することができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、絞り部材5は、ガス導入路2の開口に着脱可能に嵌め込まれる栓状部材として形成する。これにより、栓状の絞り部材5をガス導入路2の内部に嵌め込むだけで、容易に絞り部材5を装着することができる。また、たとえば絞り部材がガス導入路2の開口を塞ぐ板部材などの場合、開口端面21に絞り部材を密着させて固定する手段が別途必要になるのに対し、ガス導入路2自体を絞り部材5の位置決めや固定用の部材として利用できるので、構造の簡素化を図ることができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、ガス導入路2の開口端面21よりも作用電極12に近い位置に、流入口51を形成するように絞り部材5を構成する。これにより、流入口51と作用電極12とを接近させて、流入口51と作用電極12との間に形成される容積を小さくすることができる。上記の通り、吸引ポンプ124などによって強制的にガスをガス導入路2内に引き込む場合に、脈流(周期性の圧力変動)が生じて検知精度がばらつくことがあるが、流入口51と作用電極12との間の容積を小さくすることにより、脈流の影響を抑制することができる。
【0072】
すなわち、たとえば
図8のように、絞り部材500の流入口501と作用電極12との間の距離D3(>D2)が大きい構造では、
図2(または
図6参照)の本実施形態と比較して、流入口501と作用電極12との間の容積が大きくなる。この場合、吸引ポンプ124の脈流(圧力変動)に起因して、センサの出力ばらつきが大きくなる傾向がある。これに対して、本実施形態のセンサ100では、流入口51と作用電極12との間の距離D2が小さくなることにより、脈流(圧力変動)の影響を小さくすることが可能である。
【0073】
また、本実施形態では、上記のように、絞り部材5に凹部52を設け、凹部52の底部54に流入口51を形成する。そして、凹部52内に脈流を抑制するためのフィルタ部材55を設ける。これにより、作用電極12側に向けて窪む凹状の絞り部材5の底部54に流入口51を設けることにより、流入口51と作用電極12とを接近させて、流入口51と作用電極12との間に形成される容積を小さくすることができるので、外部のガスを強制的に引き込む場合の脈流を抑制することができる。さらに、絞り部材5の凹部52内に配置したフィルタ部材55によって、急激な流量変化を抑制することができるので、より一層効果的に脈流を抑制することができる。
【0074】
ここで、たとえば
図8に示したように、流入口501と作用電極12との間(二点鎖線参照)にフィルタ部材55を配置する場合、フィルタ部材55の体積分だけ、流入口501と作用電極12との間の容積が大きくなる。そのため、フィルタ部材55を設けたとしても、流入口51と作用電極12との間に形成される容積が大きくなることによって、吸引ポンプ124の脈流の影響が大きくなる。これに対して、本実施形態では、
図2(または
図6)に示したように、流入口51を作用電極12に接近させて距離D2を小さくしつつ、流入口51の上流側のスペースにフィルタ部材55を配置して、効果的に脈流を抑制することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態では、上記のように、センサ100の製造工程において、エージングを行う工程の後に、センサ100の検知対象ガスを設定する工程を設ける。上記の通り、定電位電解式ガスセンサのエージングには、2〜4週間程度を要するのが一般的であるため、予め検知対象ガスが決まっている従来の定電位電解式ガスセンサではリードタイムが長く、2〜4週間以上前から製造に着手する必要がある。これに対して、本実施形態では、エージングが完了した後で、絞り部材5を装着することにより検知対象ガスを設定することができるので、特定の検知対象ガスのセンサ100を製造するのに要するリードタイムを短縮することができる。したがって、エージング工程後に、需要に応じて検知対象ガスを設定して速やかにセンサ100を提供することが可能となる点で有効である。
【0076】
また、本実施形態では、上記のように、検知対象ガスを設定する工程として、エージングを行う工程の後に、検知対象ガスの種類に応じて、絞り部材5をガス導入路2に装着し、または装着しない工程を設ける。これにより、エージング工程が完了済みのセンサ100に対して、絞り部材5をガス導入路2に装着し、または装着しないでおくという簡単な工程によって、様々な種類のガスを検知対象ガスとするセンサ100を迅速かつ効率的に製造することができる。
【0077】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0078】
たとえば、上記実施形態では、作用電極12と、対極13および作用電極12とを対向するように配置した構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。
図9に示す変形例のように、作用電極12、対極13および参照電極14を、平面上に並べて配置してもよい。
図9の変形例によるセンサ300では、電解液収容部11が1つのガス透過膜301によって覆われており、ガス透過膜301によって内部の電解液10を保持している。そして、作用電極12、対極13および参照電極14が、同じガス透過膜301の表面上に並ぶように形成されている。なお、センサ300は、特許請求の範囲の「定電位電解式ガスセンサ」の一例である。
【0079】
この他、本体部1の構造(電解液収容部11や各電極の配置)は、任意である。本発明では、ガス導入路2の一部を塞ぐ絞り部材5が着脱可能な定電位電解型ガスセンサであれば、どのような構造の本体部を有していてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、ガス導入路2が、第1種類の検知対象ガス(一例としてPH
3)に対応した大きさの導入路側流入口22を有する構成例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ガス導入路2が、どの種類の検知対象ガスにも対応していなくてもよい。その場合、ガス導入路2は、絞り部材5によって設定可能な検知対象ガスのうちで最も高感度を要するガスに必要とされる開口面積よりも大きい開口面積を有していればよい。これにより、絞り部材5によってガス導入路2の一部を塞ぐことによって、同一のセンサ100が各種のガスに対応可能となる。逆に、ガス導入路2に導入路側流入口22を設ける場合、導入路側流入口22は、設定可能な検知対象ガスのうちで最大の開口面積となるガス種に対応するように形成する。
【0081】
また、上記実施形態では、凹部52を有する絞り部材5の構成例を示したが、本発明はこれに限られない。
図10に示す変形例のように、板状形状の絞り部材510を設けてもよい。この変形例では、平板状の絞り部材5を貫通するように、流入口51が形成されている。
【0082】
また、上記実施形態では、ガス導入路2内に嵌め込まれる栓状の絞り部材5の構成例を示したが、本発明はこれに限られない。
図10に示した変形例のように、絞り部材510がガス導入路2の開口端面21を塞ぐように、蓋状に形成されていてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、絞り部材5に、5つの流入口51を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、流入口51の数はいくつでもよい。たとえば、
図10に示した変形例では、絞り部材5に、1つの流入口51を設けている。流入口51は、検知対象のガス種に対応する開口面積A2(流入口51が複数の場合、各開口面積の合計)を有していればよい。また、流入口51の開口形状も円形状に限らず、矩形形状など円形状以外の形状であってもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、絞り部材5に貫通孔からなる流入口51を形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。
図11(A)および
図11(B)に示す変形例のように、絞り部材520の外周部に切欠521を形成し、ガス導入路2の内面と切欠521とによって、流入口51が形成されてもよい。絞り部材の形状は、特に限定されず、ガス導入路2を絞る(開口面積を減少させる)構造を有していれば、どのような形状であってもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、絞り部材5にフィルタ部材55を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、絞り部材5にフィルタ部材55を設けなくてもよい。