特許第6734168号(P6734168)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6734168
(24)【登録日】2020年7月13日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】固定部材
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/70 20060101AFI20200728BHJP
【FI】
   E06B3/70 Z
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-189625(P2016-189625)
(22)【出願日】2016年9月28日
(65)【公開番号】特開2018-53514(P2018-53514A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】森 俊明
(72)【発明者】
【氏名】京山 卓史
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−3414(JP,A)
【文献】 特開平9−4330(JP,A)
【文献】 実開昭63−54787(JP,U)
【文献】 実開昭60−91809(JP,U)
【文献】 実開平2−2986(JP,U)
【文献】 特開2002−187498(JP,A)
【文献】 実開昭50−102141(JP,U)
【文献】 特開2000−74020(JP,A)
【文献】 実開平2−144993(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/54−3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア本体の表面に設けられる意匠部材を固定するための固定部材において、
前記ドア本体に形成された孔部に係合可能な金属製のドア本体固定部と、
前記ドア本体固定部と連結され前記意匠部材と係合可能な樹脂製の意匠部材固定部と、を有し、
前記ドア本体固定部は、前記孔部を閉塞可能な閉塞部を有し、
前記ドア本体固定部は、前記孔部に挿入されて前記孔部の縁を押圧して前記ドア本体と係合可能な複数の爪部を有し、
前記複数の爪部は、前記孔部に挿入される方向の長さ寸法が異なることを特徴とする固定部材。
【請求項2】
ドア本体の表面に設けられる意匠部材を固定するための固定部材において、
前記ドア本体に形成された孔部に係合可能な金属製のドア本体固定部と、
前記ドア本体固定部と連結され前記意匠部材と係合可能な樹脂製の意匠部材固定部と、を有し、
前記ドア本体固定部は、前記孔部を閉塞可能な閉塞部を有し、
前記意匠部材固定部は、前記意匠部材が取り付けられる取り付け方向に直交する取り付け直交方向の両側それぞれに形成された弾性変形可能な一対の意匠部材係止片を有し、
前記一対の意匠部材係止片は、それぞれの前記取り付け方向の中間部に形成され、前記取り付け直交方向の外側に突出する角部と、
前記角部の前記取り付け方向の両側にそれぞれ形成され、前記角部から前記取り付け方向の両側に向かって漸次前記取り付け直交方向の内側に向かって延びる傾斜面と、を有し、
前記意匠部材は、一対の意匠部材係止片の前記取り付け直交方向の外側に配置される一対の側部材と、
前記一対の側部材それぞれから前記取り付け直交方向の内側に突出し前記傾斜面と当接して前記一対の意匠部材係止片を両側から挟持する一対の爪部と、を有し、
前記一対の意匠部材係止片にそれぞれ形成された前記角部は、前記取り付け方向の位置が互いに異なることを特徴とする固定部材。
【請求項3】
前記ドア本体固定部に設けられたドア本体側連結部と、前記意匠部材固定部に設けられた意匠部材側連結部と、を有し、
前記ドア本体側連結部と、前記意匠部材側連結部とが互いに係合可能に構成されている請求項1または2に記載の固定部材。
【請求項4】
前記ドア本体固定部と、前記意匠部材固定部とを正位置に配置する位置決め部を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の固定部材。
【請求項5】
前記ドア本体固定部には、前記ドア本体の芯材に突き刺し可能な先鋭部を有している請求項1から4のいずれか一項に記載の固定部材。
【請求項6】
前記ドア本体固定部および前記意匠部材固定部の少なくとも一方には、前記ドア本体の表面に設けられた板部を押圧する押圧部が設けられている請求項1から5のいずれか一項に記載の固定部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア本体の表面に意匠部材を固定するための固定部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドア本体の表面に意匠部材が設けられたドアが知られている。このようなドアの意匠部材は、ドア本体に固定された固定部材に取り付けられるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示された固定部材は、意匠部材が嵌合される樹脂製の固定ピースと、固定ピースをドア本体に固定するリベットやネジなどの金属製の固定具と、を有している。
固定具は、ドア本体に形成された孔部に挿入されることで固定ピースをドア本体に固定している。
このような固定部材は、金属製の固定具が孔部に挿入されていることにより、火災が生じて樹脂製の固定ピースが溶融したとしても金属製の固定具がドア本体の孔部に留まるため、火災時に発生した可燃性のガスが孔部を介してドア本体の一方側から他方側に漏れることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−86652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された固定部材では、複数の固定具で1つの固定ピースをドア本体に固定するため、ドア本体に対して多数の固定部材を取り付ける際に、固定ピースをドア本体に固定する作業に手間がかかり生産性が悪いという問題がある。
また、固定部材には、火災時に発生した可燃性のガスが固定部材が挿入された孔部を介してドア本体の一方側から他方側に漏れることを防止できることが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、意匠部材をドア本体に容易に固定することができるとともに、火災時に発生した可燃性のガスが固定部材が挿入された孔部を介してドア本体の一方側から他方側に漏れることを防止できる固定部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る固定部材は、ドア本体の表面に設けられる意匠部材を固定するための固定部材において、前記ドア本体に形成された孔部に係合可能な金属製のドア本体固定部と、前記ドア本体固定部と連結され前記意匠部材と係合可能な樹脂製の意匠部材固定部と、を有し、前記ドア本体固定部は、前記孔部を閉塞可能な閉塞部を有し、前記ドア本体固定部は、前記孔部に挿入されて前記孔部の縁を押圧して前記ドア本体と係合可能な複数の爪部を有し、前記複数の爪部は、前記孔部に挿入される方向の長さ寸法が異なることを特徴とする。
本発明に係る固定部材は、ドア本体の表面に設けられる意匠部材を固定するための固定部材において、前記ドア本体に形成された孔部に係合可能な金属製のドア本体固定部と、前記ドア本体固定部と連結され前記意匠部材と係合可能な樹脂製の意匠部材固定部と、を有し、前記ドア本体固定部は、前記孔部を閉塞可能な閉塞部を有し、前記意匠部材固定部は、前記意匠部材が取り付けられる取り付け方向に直交する取り付け直交方向の両側それぞれに形成された弾性変形可能な一対の意匠部材係止片を有し、前記一対の意匠部材係止片は、それぞれの前記取り付け方向の中間部に形成され、前記取り付け直交方向の外側に突出する角部と、記角部の前記取り付け方向の両側にそれぞれ形成され、前記角部から前記取り付け方向の両側に向かって漸次前記取り付け直交方向の内側に向かって延びる傾斜面と、を有し、前記意匠部材は、一対の意匠部材係止片の前記取り付け直交方向の外側に配置される一対の側部材と、前記一対の側部材それぞれから前記取り付け直交方向の内側に突出し前記傾斜面と当接して前記一対の意匠部材係止片を両側から挟持する一対の爪部と、を有し、前記一対の意匠部材係止片にそれぞれ形成された前記角部は、前記取り付け方向の位置が互いに異なることを特徴とする。
【0007】
本発明では、固定部材のドア本体固定部と意匠部材固定部とが連結されているとともに、ドア本体固定部がドア本体に形成された孔部に係合可能である。これにより、ドア本体固定部を孔部に挿入して係合させれば意匠部材固定部もドア本体固定部を介してドア本体に固定されるため、ドア本体に対して固定部材を容易に固定することができる。
また、意匠部材固定部が樹脂製であることにより、意匠部材固定部が金属製である場合と比べて意匠部材の形状に追従しやすく意匠部材と係合しやすいため、意匠部材を固定部材に容易に取り付けることができる。
また、ドア本体固定部が金属製であることにより、火災時に意匠部材固定部が溶融したとしてもドア本体固定部はドア本体の孔部に留まり、さらにドア本体固定部の閉塞部がドア本体の孔部を閉塞しているため、火災時に発生した可燃性のガスが孔部を介してドア本体の一方側から他方側に漏れることを防止できる。
また、本発明に係る固定部材では、前記ドア本体固定部は、前記孔部に挿入されて前記孔部の縁を押圧して前記ドア本体と係合可能な複数の爪部を有し、前記複数の爪部は、前記孔部に挿入される方向の長さ寸法が異なる。
このような構成とすることにより、ドア本体の表面部分に設けられ孔部が形成された板材などの部材の厚さが異なる場合でも、少なくとも長い爪部が孔部の縁を押圧してドア本体と係合可能なため、ドア本体に対して固定部材をぐらついたりせずに安定した状態に設置することができる。その結果、意匠部材をドア本体に安定した状態に設置することができる。
また、本発明に係る固定部材では、前記意匠部材固定部は、前記意匠部材が取り付けられる取り付け方向に直交する取り付け直交方向の両側それぞれに形成された弾性変形可能な一対の意匠部材係止片を有し、前記一対の意匠部材係止片は、それぞれの前記取り付け方向の中間部に形成され、前記取り付け直交方向の外側に突出する角部と、前記角部の前記取り付け方向の両側にそれぞれ形成され、前記角部から前記取り付け方向の両側に向かって漸次前記取り付け直交方向の内側に向かって延びる傾斜面と、を有し、前記意匠部材は、一対の意匠部材係止片の前記取り付け直交方向の外側に配置される一対の側部材と、前記一対の側部材それぞれから前記取り付け直交方向の内側に突出し前記傾斜面と当接して前記一対の意匠部材係止片を両側から挟持する一対の爪部と、を有し、前記一対の意匠部材係止片にそれぞれ形成された前記角部は、前記取り付け方向の位置が互いに異なる。
このような構成とすることにより、意匠部材の側部材や爪部の位置や形状が異なる場合でも、意匠部材の一対の爪部が、意匠部材係止片を弾性変形させて意匠部材係止片の傾斜面のいずれかの部分に当接するため、一対の意匠部材係止片を両側から挟持することができる。これにより、意匠部材を固定部材に確実に取り付けることができる。
【0008】
また、本発明に係る固定部材では、前記ドア本体固定部に設けられたドア本体側連結部と、前記意匠部材固定部に設けられた意匠部材側連結部と、を有し、前記ドア本体側連結部と、前記意匠部材側連結部とが互いに係合可能に構成されていてもよい。
このような構成とすることにより、ドア本体固定部と意匠部材固定部とを、確実に連結することができる。
【0009】
また、本発明に係る固定部材では、前記ドア本体固定部と、前記意匠部材固定部とを正位置に配置する位置決め部を有していてもよい。
このような構成とすることにより、ドア本体固定部と意匠部材固定部とを正位置において連結することができる。これにより、ドア本体固定部と意匠部材固定部との連結にバラツキがなく、固定部材の品質を安定させることができる。
【0012】
また、本発明に係る固定部材では、前記ドア本体固定部には、前記ドア本体の芯材に突き刺し可能な先鋭部を有していてもよい。
このような構成とすることにより、ドア本体固定部をドア本体の例えば発泡スチロールなどで形成された芯材に容易に挿入することができる。
【0013】
また、本発明に係る固定部材では、前記ドア本体固定部および前記意匠部材固定部の少なくとも一方には、前記ドア本体の表面に設けられた板部を押圧する押圧部が設けられていてもよい。
このような構成とすることにより、ドア本体の表面に設けられた板部の厚さが異なる場合でも、押圧部がドア本体の表面に設けられた板部と当接するため、ドア本体に対して固定部材をぐらついたりせずに安定した状態に設置することができる。その結果、意匠部材をドア本体に安定した状態に設置することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、意匠部材をドア本体に容易に固定することができるとともに、火災時に発生した可燃性のガスが固定部材が挿入された孔部を介してドア本体の一方側から他方側に漏れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態による固定部材が設けられたドアの一例を室外側から見た図である。
図2図1のA−A線断面図である。
図3図2のB部分の拡大図である。
図4図2のC部分の拡大図である。
図5】固定部材を奥行き方向から見た図である。
図6】固定部材を幅方向から見た図である。
図7】固定部材を厚さ方向の他方側から見た図である。
図8図7のD−D線断面図である。
図9図7のE−E線断面図である。
図10】本実施形態による固定部材の変形例を示す図である。
図11】本実施形態による固定部材の他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態による固定部材について、図1乃至図9に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態による固定部材1は、例えば、壁部に形成された開口部に設けられる玄関ドアなどのドア11のドア本体2とドア本体2の室外側の面に沿って設けられた意匠部材3とを固定するために設けられている。
【0017】
ドア本体2は、板面が長方形となるパネル状に形成されている。以下ではドア本体2の板面に沿った水平方向を見付け方向とし、見付け方向に直交する水平方向(ドア11の厚さ方向)を見込み方向とする。
ドア本体2は、見込み方向の一方側に設けられる室外板部21と、室外板部21と見付け方向に間隔をあけ見付け方向の他方側に設けられる室内板部22と、室外板部21と室内板部22の外縁部どうしを連結する側板部23と、室外板部21と室内板部22との間に配置される断熱材(芯材)24と、を有している。ドア11が壁部に形成された開口部を閉塞するように設けられると、室外板部21が室外側に配置され、室内板部22が室内側に配置される。
【0018】
室外板部21、室内板部22および側板部23は、例えば、鋼板などで形成されている。断熱材24は、発泡スチロールなどの樹脂で形成されている。なお、室外板部21と室内板部22との間には、断熱材24に代わってハニカム状のペーパーコアなどが配置されていてもよい。
本実施形態では、ドア本体2に見付け方向の略中央部に見込み方向に貫通し上下方向に長い開口部25が形成され、この開口部25には、ガラス26が嵌め込まれている。
室外板部21には、室外側から固定部材1が挿入される孔部27が複数形成されている。孔部27に挿入された固定部材1は、断熱材24に挿し込まれるように構成されている。孔部27は、見込み方向から見て、略長方形状に形成されている。
【0019】
意匠部材3は、アルミの押出し成形などによって長尺の部材に形成されて、上下方向に延在する向きでドア本体2に固定されている。意匠部材3は、1つのドア本体2に対して見込み方向に複数配列されている。
複数の意匠部材3,3…は、ドア本体2の開口部25と干渉しない位置に配置される複数の第1意匠部材31,31…と、ドア本体2の開口部25に隣接して配置される2つの第2意匠部材32,32と、から構成されている。
以下の説明では、第1意匠部材31,31…および第2意匠部材32,32は、ドア本体2に取り付けられた姿勢であるものとしている。
【0020】
図3に示すように、第1意匠部材31は、ドア本体2の室外板部21の室外側に間隔をあけて配置される本体部33と、本体部33の見付け方向の両端部33a,33aからそれぞれ室内側に突出する一対の突出部34,34と、本体部33の見付け方向の中間部からそれぞれ室内側に突出する2つの第1固定部材嵌合部35,35と、を有している。
【0021】
本体部33は、板面が略見込み方向を向く薄板状に形成されている。本体部33は、見付け方向の両端部33a,33aよりも見付け方向の中間部33bがやや室内側に凹むように湾曲している。
【0022】
一対の突出部34,34は、見付け方向に対称に形成されている。ここでは見付け方向一方側(図3の左側)の突出部34について説明し、見付け方向他方側の突出部34については説明を省略する。
突出部34は、本体部33と連続した薄板状に形成されている。突出部34は、本体部33の見付け方向の一方側の端部33aから室内側に向かって漸次見付け方向の一方側に斜めに延びる第1斜め部341と、第1斜め部341の室内側の端部から室内側に向かって漸次見付け方向の一方側に斜めに延びる第2斜め部342と、第2斜め部342の室内側の端部近傍から見付け方向の他方側に延びる見付け板部343と、を有している。
【0023】
第1斜め部341は、第2斜め部342よりも見込み方向に対して大きく傾斜している。このため、第1斜め部341と第2斜め部342との接続部分344は、見付け方向の一方側に突出するように屈曲している。
第2斜め部342は、室内側の端部342aがドア本体2の室外板部21と当接するように構成されている。
見付け板部343は、ドア本体2の室外板部21とわずかな隙間をあけて対向している。
【0024】
2つの第1固定部材嵌合部35,35は、見付け方向に間隔をあけて配置され、見付け方向に対称に形成されている。ここでは見付け方向一方側(図3の右側)の第1固定部材嵌合部35について説明し、見付け方向他方側の第1固定部材嵌合部35については説明を省略する。
第1固定部材嵌合部35は、本体部33から室内側に突出する第1突出板部351と、第1突出板部351の見付け方向他方側に間隔をあけて配置され本体部33から室内側に突出する第2突出板部352と、第1突出板部351の室内側の端部近傍から見付け方向他方側に突出する第1爪部353と、第2突出板部352の室内側の端部近傍から見付け方向一方側に突出する第2爪部354と、第1突出板部351の室内側の端部近傍から見付け方向一方側に延びる第1見付け板部355と、第2突出板部352の室内側の端部近傍から見付け方向他方側に延びる第2見付け板部356と、を有している。
【0025】
第1突出板部351は、室内側の端部351aが室外板部21と当接するように構成されている。第2突出板部352は、室内側の端部352aが室外板部21と当接するように構成されている。第1突出板部351と第2突出板部352との間には固定部材1の意匠部材固定部5が配置される。
第1爪部353および第2爪部354は、それぞれ室外板部21と隙間をあけるように配置されている。第1爪部353と第2爪部354とは、互いに近接するように第1突出板部351および第2突出板部352から突出している。
第1見付け板部355および第2見付け板部356は、それぞれドア本体2の室外板部21とわずかな隙間をあけて対向している。
【0026】
図4に示すように、第2意匠部材32は、ドア本体2の室外板部21の室外側に間隔をあけて配置される本体部36と、本体部36の見付け方向の一方側の端部36aから室内側に突出する突出部37と、本体部36の見付け方向の他方側の端部36b近傍から室内側に突出するガラス保持部38と、本体部33の見付け方向の中間部から室内側に突出する第2固定部材嵌合部39と、を有している。
以下に説明する第2意匠部材32は、ドア本体2の開口部25の見付け方向一方側に配置されているものとする。ドア本体2の開口部25の見付け方向他方側に配置された第2意匠部材32は、以下に説明する第2意匠部材32と見付け方向に対称に形成されたものとする。
【0027】
本体部36は、板面が略見込み方向を向く薄板状に形成されている。本体部36は、見付け方向の両端部36a,36bよりも見付け方向の中間部36cがやや室内側に凹むように湾曲している。
【0028】
突出部37は、本体部36と連続した薄板状に形成されている。突出部37は、本体部36の見付け方向の一方側の端部36aから室内側に向かって漸次見付け方向の一方側に斜めに延びる第1斜め部371と、第1斜め部371の室内側の端部から室内側に向かって漸次見付け方向の一方側に斜めに延びる第2斜め部372と、第2斜め部372の室内側の端部近傍から見付け方向の他方側に延びる見付け板部373と、を有している。
【0029】
第1斜め部371は、第2斜め部372よりも見込み方向に対して大きく傾斜している。このため、第1斜め部371と第2斜め部372との接続部分374は、見付け方向の一方側に突出するように屈曲している。
第2斜め部372は、室内側の端部372aがドア本体2の室外板部21と当接するように構成されている。
見付け板部373は、ドア本体2の室外板部21とわずかな隙間をあけて対向している。
【0030】
ガラス保持部38は、本体部36の見付け方向他方側の端部36bから室内側に向かって延びてガラス26の室外側の面と当接するガラス当接部381と、ガラス当接部381よりもやや見付け方向一方側に向かった位置から室内側に向かって延び、室内側からガラス26(図2参照)を保持する室内側ガラス保持部材261(図2参照)と連結される室内側ガラス保持部材連結部382と、室内側ガラス保持部材連結部382よりもやや見付け方向一方側に向かった位置から室外側に延びドア本体2の開口部25の縁部近傍と当接するドア本体当接部383と、を有している。
【0031】
第2固定部材嵌合部39は、第1意匠部材31の第1固定部材嵌合部35とほとんど同じ形状に形成されていて、第1固定部材嵌合部35の第1見付け板部355が無い形状に形成されている。このため、第2固定部材嵌合部39を構成する部材は、第1固定部材嵌合部35と同じ符号で示し、説明を省略する。
【0032】
図3および図4に示すように、固定部材1は、ドア本体2に形成された孔部27に嵌合するドア本体固定部4と、ドア本体固定部4と連結され第1意匠部材31の第1固定部材嵌合部35または第2意匠部材32の第2固定部材嵌合部39が嵌合する意匠部材固定部5と、を有している。
以下の固定部材1の説明では、ドア本体固定部4と意匠部材固定部5とを結ぶ方向を厚さ方向とし、厚さ方向に直交する一方向を幅方向とし、厚さ方向および幅方向に直交する方向と奥行き方向とする。
厚さ方向のうち、意匠部材固定部5に対してドア本体固定部4が設けられている側を厚さ方向の一方側とし、ドア本体固定部4に対して意匠部材固定部5が設けられている側を厚さ方向の他方側とする。
固定部材1は、幅方向がドア本体2の見付け方向となり、厚さ方向がドア本体2の見込み方向となり、奥行き方向がドア本体2の上下方向となる向きでドア本体2に固定される。
【0033】
ドア本体固定部4は、金属で形成され、弾性変形可能に構成されている。本実施形態では、ドア本体固定部4は、金属板を加工して製作されている。
図5から図7に示すように、ドア本体固定部4は、ドア本体2に孔部27(図1参照)から挿し込まれる挿入部41と、孔部27を室外側から覆う閉塞部42と、意匠部材固定部5と連結されるドア本体側連結部43と、を有している。
【0034】
閉塞部42は、板面が略長方形の板状で、ドア本体2に形成された孔部27を室外側から閉塞可能な大きさに形成されている。閉塞部42は、板面が厚さ方向を向くように配置され、奥行き方向の両縁部にそれぞれ挿入部41が接続され、幅方向の両縁部にそれぞれドア本体側連結部43が接続されている。閉塞部42の奥行き方向の両縁部はそれぞれ幅方向に直線状に延び、閉塞部42の幅方向の両縁部はそれぞれ奥行き方向に直線状に延びている。
【0035】
挿入部41は、閉塞部42の奥行き方向の両縁部からそれぞれ厚さ方向の一方側に延びる一対の第1挿入板部411,411と、一対の第1挿入板部411,411の厚さ方向の一方側の端部それぞれから厚さ方向の一方側に向かって互いに近接する斜め方向に延びる一対の第2挿入板部412,412と、一対の第2挿入板部412,412の厚さ方向の一方側の端部それぞれから厚さ方向の一方側に向かって延びる一対の第3挿入板部413,413と、を有している。
【0036】
一対の第1挿入板部411,411は、奥行き方向に間隔をあけて対向している。
一対の第3挿入板部413,413は、奥行き方向に対向し、当接またはわずかな隙間をあけて近接している。挿入部41のうち一対の第2挿入板部412,412および第3挿入板部413,413が構成する部分は、厚さ方向の一方側に尖った形状に形成されている。この挿入部41における一対の第2挿入板部412,412および第3挿入板部413,413が構成する部分を先鋭部414とする。
【0037】
第1挿入板部411,411には、それぞれ奥行き方向の外側(一対の第1挿入板部411,411が離間する側)に突出する2つの爪部411a,411bが幅方向に間隔をあけて形成されている。
2つの爪部411a,411bは、それぞれ第1挿入板部411に、厚さ方向の一方側に開口する略U字形状の切り込みを形成し、切り込みの内側の部分を厚さ方向の一方側から他方側に向かって漸次奥行き方向の一方側に突出するように折り曲げることで形成されている。爪部411a,411bは、厚さ方向の一方側の端部411cが、第1挿入板部411の爪部411a,411b以外の部分と連続している。
図8および図9に示すように、2つの爪部411a,411bのうち、幅方向の一方側に配置された爪部411aは、幅方向の他方側に配置された爪部411bよりも厚さ方向の長さが長く、先端部(厚さ方向他方側の端部)が厚さ方向他方側(閉塞部42に近接する側)に突出している。
【0038】
爪部411a,411bは、それぞれ一方側の端部411cを軸として回動し奥行き方向に弾性変形可能に構成されている。爪部411a,411bは、奥行き方向の内側(一対の第1挿入板部411,411が対向する側)に向かうように弾性変形すると、第1挿入板部411の爪部411a,411b以外の部分と略面一となるように構成されている。
【0039】
ドア本体側連結部43は、閉塞部42の幅方向の両縁部からそれぞれ厚さ方向の一方側に延びる一対の連結板部431,431を有している。一対の連結板部431は幅方向に対向して配置されている。
一対の連結板部431,431は、それぞれ閉塞部42の幅方向の一方側の縁部から幅方向の一方側に延びる接続板部432と、接続板部432の先端部(厚さ方向他方側の端部)近傍から奥行き方向の両側にそれぞれ伸びる係合板部433,433と、を有している。
接続板部432と一対の係合板部433,433とは、板面が面一となるように形成されている。連結板部431の板面(接続板部432と一対の係合板部433,433とを合せた板面)は、略T字形に形成されている。一対の係合板部433,433は、閉塞部42と厚さ方向に離間している。
【0040】
図5から図7に示すように、意匠部材固定部5は、例えば、ポリアセタールなどの樹脂で形成され、弾性変形可能に構成されている。意匠部材固定部5は、ドア本体固定部4のドア本体側連結部43と連結される意匠部材側連結部51と、第1意匠部材31の第1固定部材嵌合部35または第2意匠部材32の第2固定部材嵌合部39が嵌合する一対の意匠部材嵌合部52,52と、ドア本体2を押圧する一対の押圧部53,53と、を有している。意匠部材側連結部51、一対の意匠部材嵌合部52,52および一対の押圧部53,53は、一体に形成されている。
【0041】
意匠部材側連結部51は、ドア本体固定部4と厚さ方向に重なる位置に配置される。一対の意匠部材嵌合部52,52および一対の押圧部53,53は、意匠部材側連結部51の奥行き方向の両側に設けられている。
【0042】
意匠部材側連結部51は、本体部511と、本体部511と連結しドア本体固定部4との厚さ方向の位置決めを行う第1位置決め部512と、本体部511と連結しドア本体固定部4との奥行き方向の位置決めを行う第2位置決め部513と、本体部511と連結しドア本体固定部4と係合する係合部514と、を有している。
本体部511、第1位置決め部512、第2位置決め部513および係合部514は、一体に形成されている。
【0043】
本体部511は、底板部511aと、底板部511aから厚さ方向の他方側に突出する第1柱状部511bと、第1柱状部511bの幅方向の両側にそれぞれ連続して設けられ底板部511aから厚さ方向の他方側に突出する一対の第2柱状部511c,511c(図7参照)と、を有している。
底板部511aは、板面の外形が幅方向の寸法よりも奥行き方向の寸法が長い略長方形状に形成されている。
【0044】
第1柱状部511bは、略直方体状に形成されている。第1柱状部511bは、幅方向の寸法が底板部の幅寸法よりも小さく形成され、底板部511aの幅方向の中央に配置されている。第1柱状部511bは、奥行き方向の寸法が底板部511aの奥行き方向の寸法と略同じ寸法に形成されている。
第2柱状部511c,511cは、奥行き方向の寸法が第1柱状部511bの奥行き方向の寸法がよりも小さく、厚さ方向の寸法が第1柱状部511bの厚さ方向の寸法と同じ略直方体状に形成されている。第2柱状部511c,511cは、第1柱状部511bの奥行き方向の略中央部と連続している。
図7に示すように、第1柱状部511bと第2柱状部511c,511cとを合わせた形状は、厚さ方向から見ると、略十字形となっている。
【0045】
図8および図9に示すように、第1位置決め部512は、第2柱状部511cの厚さ方向の他方側の端部から幅方向外側に突出する第1突出部512aと、第1突出部512aの先端部からさらに厚さ方向の一方側に突出する第2突出部512bと、を有している。第2突出部512bは、第2柱状部511cと幅方向に離間し、第2柱状部511cとの間に隙間512cが形成されている。第1突出部512aの厚さ方向の他方側の面は、幅方向の内側から外側に向かうに従って漸次厚さ方向の一方側に傾斜している。
【0046】
第2位置決め部513は、板面が奥行き方向を向く平板状に形成され、本体部511を奥行き方向の両側から挟むように、本体部511の奥行き方向の両端部それぞれに設けられている。第2位置決め部513は、本体部511の底板部511aおよび第1柱状部511bと接続され、第2柱状部511cとは奥行き方向に離間している。第2位置決め部513は、幅方向の両端部がそれぞれ第1柱状部511bの幅方向の外側に配置されている。
【0047】
係合部514は、第1位置決め部512と第2位置決め部513との間にそれぞれ設けられていて、本実施形態では、1つの意匠部材側連結部51に対して4つの係合部514,514…が設けられている。
係合部514は、本体部511の底板部511aの幅方向の外側の縁部近傍から厚さ方向の他方側に突出する突出部514aと、突出部514aの先端部から幅方向外側に突出する爪部514bと、を有している。係合部514の厚さ方向他方側の先端部は、第1位置決め部512の第1突出部512aよりも厚さ方向の一方側に配置されている。係合部514は、第1柱状部511bと幅方向に離間し、第1柱状部511bとの間には空部が形成されている。
突出部514aの幅方向の外側の面は、第2柱状部511cの幅方向の外側の面と略同一平面状に配置されている。爪部514bの幅方向外側の端部は、突出部514aの幅方向の外側の面よりも幅方向外側に配置されている。
係合部514は、幅方向の内側に向かって押圧されると、底板部511aと連続する厚さ方向の一方側の端部を軸にして第1柱状部511bに近接するように弾性変形可能に構成されている。
【0048】
上記のようなドア本体固定部4と意匠部材固定部5とは、意匠部材固定部5の意匠部材側連結部51がドア本体固定部4のドア本体側連結部43の一対の連結板部431,431とに挟まれるようにして連結される。
ドア本体側連結部43と意匠部材側連結部51とを連結するには、意匠部材側連結部51に厚さ方向の一方側からドア本体側連結部43を近接させ、ドア本体側連結部43の一対の連結板部431,431の間に意匠部材側連結部51を挿入する。
【0049】
このとき、ドア本体側連結部43の接続板部432は、意匠部材側連結部51の第2柱状部511cの幅方向の外側の面に沿って厚さ方向の一方側から他方側移動する。ドア本体側連結部43の係合板部433,433は、意匠部材側連結部51の係合部514の突出部514a,514aの幅方向の外側および第2位置決め部の奥行き方向の内側の面に沿って厚さ方向の一方側から他方側に移動する。ドア本体側連結部43の係合板部433,433が意匠部材側連結部51の第2位置決め部513の奥行き方向の内側の面に沿って厚さ方向の一方側から他方側に移動することによって、ドア本体側連結部43が意匠部材側連結部51に対して奥行き方向の正位置に配置される。
【0050】
そして、ドア本体側連結部43と意匠部材側連結部51とがさらに近接し、ドア本体側連結部43の接続板部432が第1柱状部511bと第1位置決め部512の第2突出部512bとの隙間に入り、第1突出部512aと当接すると、ドア本体側連結部43が意匠部材側連結部51に対して厚さ方向の正位置に配置される。このとき、ドア本体側連結部43の係合板部433,433は、意匠部材側連結部51の係合部514の爪部514b,514bを幅方向内側に押圧して幅方向の内側に弾性変形させることで、爪部514b,514bを超えて爪部514b,514bの厚さ方向の他方側に配置される。ドア本体側連結部43の係合板部433,433が係合部514の爪部514b,514bの厚さ方向の他方側に移動すると、爪部514b,514bの弾性変形が復元し係合板部433,433の厚さ方向の一方側に爪部514b,514bが配置される。これにより、係合板部433,433が意匠部材側連結部51に対して厚さ方向の一方側に移動しないように拘束され、ドア本体固定部4と意匠部材固定部5とが固定される。
【0051】
一対の意匠部材嵌合部52,52は、互いに奥行き方向に対称に形成されている。このため、意匠部材側連結部51の奥行き方向一方側(図6および図7の右側)に配置された意匠部材嵌合部52について説明し、意匠部材側連結部51の奥行き方向他方側に配置された意匠部材嵌合部52については説明を省略する。
意匠部材嵌合部52は、意匠部材側連結部51から奥行き方向の一方側に突出するように意匠部材側連結部51に連結された連結板部521と、連結板部521の幅方向の両端部からそれぞれ厚さ方向の一方側に向かって漸次幅方向の外側(それぞれ連結板部521と離間する側)に伸びる一対の第1板部522,522と、一対の第1板部522,522それぞれの厚さ方向の一方側の端部から厚さ方向の一方側に延びる一対の第2板部523,523と、一対の第1板部522,522と一対の第2板部523,523との接続部分それぞれに形成され幅方向の外側に突出する一対の爪部524,524と、が形成されている。
本実施形態では、第1板部522,522の幅方向外側の面に、厚さ方向の他方側から一方側に向かって漸次幅方向の外側に向かう傾斜面が形成され、第2板部523,523の幅方向外側の面に、厚さ方向の他方側から一方側に向かって漸次幅方向の内側に向かう傾斜面が形成されている。また、一対の爪部524,524は、厚さ方向の位置が同じ位置となるように設けられている。
【0052】
意匠部材嵌合部52の連結板部521は、厚さ方向の一方側の面が意匠部材固定部5の意匠部材側連結部51の厚さ方向の一方側の面と面一となるように形成されている。
一対の意匠部材嵌合部52,52は、それぞれ連結板部521のみが意匠部材側連結部51と連結され、一対の第1板部522,522、一対の第2板部523,523および一対の爪部524,524が意匠部材側連結部51と離間している。
一対の第1板部522,522、一対の第2板部523,523および一対の爪部524,524は、意匠部材側連結部51に近接・離間する方向に弾性変形可能に構成されている。
【0053】
一対の爪部524,524それぞれの幅方向外側の端部どうしの間隔は、第1意匠部材31の第1固定部材嵌合部35および第2意匠部材32の第2固定部材嵌合部39における第1突出板部351と第2突出板部352との間の寸法よりもやや小さく、第1爪部353と第2爪部354との間の寸法よりもやや大きい寸法となるように設定されている。
また、一対の第2板部523,523それぞれの幅方向外側の面どうしの間隔は、第1固定部材嵌合部35および第2固定部材嵌合部39における第1爪部353と第2爪部354との間の寸法と略同じ寸法となるように設定されている。
【0054】
図6に示すように、一対の押圧部53,53は、一対の意匠部材嵌合部52,52の厚さ方向の一方側にそれぞれ設けられている。
一対の押圧部53,53は、意匠部材側連結部51の第2位置決め部513,513の厚さ方向の他方側の縁部近傍から奥行き方向の外側に向かって漸次厚さ方向の一方側に突出する板状に形成されている。一対の押圧部53,53は、それぞれ第2位置決め部513との接続部53aを軸として回動するように弾性変形可能に構成されている。
【0055】
次に、ドア本体2への意匠部材3の取付方法について説明する。
まず、ドア本体2の複数の孔部27,27…それぞれに固定部材1,1…のドア本体固定部4を固定する。
孔部27に挿入されたドア本体固定部4は、挿入部41の先鋭部414がドア本体2の内部の断熱材24に突き刺ささることで断熱材24に孔を開け、挿入部41がドア本体に挿入される。
【0056】
挿入部41の2つの爪部411a,411bは、挿入部41が室外板部21に形成された孔部27に挿し込まれると孔部27の縁に押されて弾性変形し、奥行き方向の内側に押し込まれた状態となる。そして、ドア本体固定部4がドア本体2に対して正位置に配置されると、室外板部21の厚さが厚い場合は、2つの爪部411a,411bのそれぞれが弾性変形して孔部27の縁に当接した状態に配置され、室外板部21の厚さが薄い場合は、2つの爪部411a,411bのうちの厚さ方向に長い方の爪部411aが弾性変形して孔部27の縁に当接した状態に配置される。また、ドア本体固定部4がドア本体2に取りつけられると、ドア本体固定部4の閉塞部42が孔部27を室外側から覆った状態となる。閉塞部42は、正位置に配置されると、室外板部21とは当接または、閉塞部42とわずかな隙間をあけて近接している状態となる。
【0057】
ここで、2つの爪部411a,411bは、いずれも弾性変形して孔部27の縁に当接した状態に配置されると、孔部27の縁を押圧し室外板部21に係合した状態となるように構成されている。
なお、室外板部21の厚さが薄い場合は、2つの爪部411a,411bのうちの厚さ方向に長い方の爪部411aが弾性変形して孔部27の縁に当接した状態に配置される。また、厚さ方向に短い方の爪部411bが孔部27の縁から外れて室外板部21の断熱材24側に配置され、弾性変形が復元されて先端部(厚さ方向他方側の端部)が厚さ方向から見て孔部27の縁よりも外側に配置される。これにより、短い方の爪部411bは、ドア本体固定部4が厚さ方向他方側に移動して浮き上がろうとした際に、室外板部21と当たるため、ドア本体固定部4の浮き上がりを防止することができる。
【0058】
また、固定部材1がドア本体2に固定されると、押圧部53がドア本体2の室外板部21と意匠部材固定部5の意匠部材嵌合部52に挟まれて厚さ方向他方側に向かうように弾性変形する。これにより、押圧部53は、弾性変形の復元力により室外板部21を室外側から押圧する。
【0059】
続いて、ドア本体2に固定された固定部材1に意匠部材3を固定する。
固定部材1に第1意匠部材31を固定する場合は、まず、第1意匠部材31をドア本体2と対向させ、第1意匠部材31の2つの第1固定部材嵌合部35,35をそれぞれ固定部材1,1…と対向させる。第1意匠部材31をドア本体2に向かって移動させて2つの第1固定部材嵌合部35,35とドア本体2に固定された固定部材1,1…の意匠部材嵌合部52,52とを嵌合させる。
【0060】
このとき、第1固定部材嵌合部35の第1爪部353および第2爪部354は、意匠部材嵌合部52の第1板部522,522に沿ってドア本体2に向かって移動し、第1板部522,522を互いに見付け方向に接する方向に押圧する。これにより、第1板部522,522が弾性変形するため、第1固定部材嵌合部35の第1爪部353および第2爪部354は、意匠部材嵌合部52の一対の爪部524,524を超えて一対の第2板部523,523の見付け方向の外側に配置され、意匠部材嵌合部52と係合する。
意匠部材嵌合部52の一対の爪部524,524が抜け止めとなり第1意匠部材31が固定部材1から外れることが防止され、第1意匠部材31が固定部材1,1…に嵌合して固定される。その結果、第1意匠部材31が固定部材1,1…を介してドア本体2に固定される。
【0061】
固定部材1に第2意匠部材32を固定する場合は、第2意匠部材32をドア本体2と対向させ、第2意匠部材32の第2固定部材嵌合部39を固定部材1,1…と対向させるとともに、第2意匠部材32のガラス保持部38をドア本体2の開口部25およびガラス26と対向させる。第2意匠部材32をドア本体2に向かって移動させて第2固定部材嵌合部39とドア本体2に固定された固定部材1,1…の意匠部材嵌合部52とを嵌合させる。 第2固定部材嵌合部39の意匠部材嵌合部52への固定は、第1固定部材嵌合部35の意匠部材嵌合部52への固定と同様に行う。
また、第2意匠部材32をドア本体2に向かって移動させてガラス保持部38のガラス当接部381をガラス26の室外側の面と当接させ、室内側ガラス保持部材連結部382を室内側ガラス保持部材261と連結させ、ドア本体当接部383とドア本体2の室外板部21と当接させる。
このようにして、第2意匠部材32が固定部材1,1…を介してドア本体2に固定される。
【0062】
次に、上述した固定部材の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した本実施形態による固定部材1では、固定部材1のドア本体固定部4と意匠部材固定部5とが連結されているとともに、ドア本体固定部4がドア本体に形成された孔部27に係合可能である。これにより、ドア本体固定部4を孔部27に挿入して係合させれば意匠部材固定部5もドア本体固定部4を介してドア本体に固定されるため、ドア本体2に対して固定部材1を容易に固定することができる。
また、意匠部材固定部5が樹脂製であることにより、意匠部材固定部5が金属製である場合と比べて意匠部材3の形状に追従しやすく意匠部材3と係合しやすいため、意匠部材を固定部材1に容易に取り付けることができる。
また、ドア本体固定部4が金属製であることにより、火災時に意匠部材固定部5が溶融したとしてもドア本体固定部4はドア本体2の孔部27に留まり、さらにドア本体固定部4の閉塞部42がドア本体2の孔部27を閉塞しているため、火災時に発生した可燃性のガスが孔部27を介してドア本体の一方側から他方側に漏れることを防止できる。
【0063】
ドア本体固定部4のドア本体側連結部43と、意匠部材固定部5の意匠部材側連結部51とが互いに係合して連結されることにより、ドア本体固定部4と意匠部材固定部5とを、確実に連結することができる。
【0064】
また、意匠部材固定部5には、第1位置決め部512および第2位置決め部513が設けられていることにより、ドア本体固定部4と意匠部材固定部5とを正位置において連結することができる。これにより、ドア本体固定部4と意匠部材固定部5との連結にバラツキがなく、固定部材1の品質を安定させることができる。
【0065】
また、ドア本体固定部4の挿入部41には厚さ方向の長さが異なる爪部411a,411bが形成されていることにより、ドア本体2の室外板部21の厚さにかかわらずドア本体固定部4をドア本体2に対して正位置に取り付けることができる。これにより、ドア本体固定部4に連結された意匠部材固定部5も正位置に配置することができる。その結果、複数の固定部材1,1…それぞれが正位置に固定され、複数の固定部材1,1…に対して意匠部材3を凹凸なく良好に取り付けることができる。
【0066】
また、室外板部21の厚さにかかわらず固定部材1および意匠部材3を均一に取り付けることができるため、施工を容易に行うことができる。
さらに、ドア本体2の室外板部21の厚さにかかわらずドア本体固定部4の閉塞部42がドア本体2の孔部27を正位置で閉塞できるため、閉塞部42と室外板部21との隙間が無いまたはわずかな状態となり、火災時に発生した可燃性のガスが孔部27を介してドア本体の一方側から他方側に漏れることを防止できる。
【0067】
また、ドア本体固定部4の挿入部41には、先鋭部414が設けられていることにより、挿入部41をドア本体2の断熱材24に容易に挿入することができる。
また、意匠部材固定部5には、ドア本体2の室外板部21を押圧する押圧部53が設けられていることにより、固定部材1がドア本体2固定された際の意匠部材固定部5と室外板部21との寸法が異なる場合でも押圧部53が室外板部21と当接するため、ドア本体2に対して固定部材1をぐらついたりせずに安定した状態に設置することができる。その結果、意匠部材3をドア本体2に安定した状態に設置することができる。
【0068】
以上、本発明による固定部材の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、ドア本体固定部4のドア本体側連結部43と意匠部材固定部5の意匠部材側連結部51とが互いに係合して連結されているが、ドア本体固定部4と意匠部材固定部5とを連結しているが、ドア本体固定部4と意匠部材固定部5との連結は上記以外の形態であってもよい。
【0069】
また、上記の実施形態では、意匠部材固定部5には、第1位置決め部512および第2位置決め部513が設けられているが設けられていなくてもよい。また、第1位置決め部512および第2位置決め部513のいずれか一方が設けられていてもよい。また、ドア本体固定部4と意匠部材固定部5とを正位置において連結するための位置決め部は上記以外であってもよい。
【0070】
また、上記の実施形態では、ドア本体固定部4の挿入部41には、厚さ方向の長さが異なる爪部411a,411bが形成され、爪部411a,411bがドア本体2の孔部27と係合するように構成されているが、ドア本体固定部4がドア本体2と係合する形態は上記以外であってもよい。また、爪部の数や長さは適宜設定されてよく、同じ長さの複数の爪部が設けられていてもよい。
また、本実施形態では、意匠部材嵌合部52の一対の爪部524,524は、厚さ方向の位置が同じ位置となるように設けられているが、異なる位置となるように設けられていてもよい。図10に示すように、意匠部材嵌合部(意匠部材係止片)52の一対の爪部(角部)524,524が厚さ方向に異なる位置に設けられている場合、意匠部材3の第1突出板部(側部材)351、第1突出板部(側部材)352、第1爪部(爪部)353,および第2爪部(爪部)354の位置や形状が異なる場合でも、第1爪部353,および第2爪部354が、意匠部材3の爪部524および第2板部523のいずれかに当接して意匠部材固定部5を挟持することができる。
【0071】
また、上記の実施形態では、ドア本体固定部4の挿入部41には、先鋭部414が設けられているが、挿入部41をドア本体2の断熱材24に挿入可能であれば、先鋭部414が設けられていなくてもよい。
また、上記の実施形態では、意匠部材固定部5には、ドア本体2の室外板部21を押圧する押圧部53が設けられているが設けられていなくてもよい。
また、図11に示すように、ドア本体固定部4に、一対の連結板部431,431それぞれから幅方向の外側に延びる板状に形成され、ドア本体2の室外板部21を弾性変形の復元力によって室外側から押圧する押圧部44が一体に設けられていてもよい。ドア本体固定部4に押圧部44が設けられていることにより、意匠部材固定部5に幅方向の力が作用しても、意匠部材固定部5が倒れたり移動したりする変位を抑えることができる。
【0072】
また、上記の実施形態では、ドア本体側連結部43と意匠部材側連結部51とを連結させる際に、ドア本体側連結部43の係合板部433,433が意匠部材側連結部51の爪部514b,514bを押圧して弾性変形させて爪部514b,514bと係合しているが、係合板部433,433が弾性変形して爪部514b,514bと係合するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 固定部材
2 ドア本体
3 意匠部材
4 ドア本体固定部
5 意匠部材固定部
6 隙間覆い部
11 ドア
21 室外板部
24 断熱材(芯材)
27 孔部
42 閉塞部
43 ドア本体側連結部
51 意匠部材側連結部
411a,411b 爪部
414 先鋭部
512 第1位置決め部
513 第2位置決め部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11