特許第6734170号(P6734170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6734170
(24)【登録日】2020年7月13日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】物品収納庫用棚板
(51)【国際特許分類】
   A47B 61/04 20060101AFI20200728BHJP
   A47B 46/00 20060101ALI20200728BHJP
   A47B 96/02 20060101ALI20200728BHJP
   A47G 25/00 20060101ALI20200728BHJP
【FI】
   A47B61/04 501E
   A47B46/00 501E
   A47B96/02 J
   A47G25/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-191821(P2016-191821)
(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公開番号】特開2018-51046(P2018-51046A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】操野 文孝
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−030064(JP,U)
【文献】 実公昭03−012478(JP,Y1)
【文献】 実公昭46−003821(JP,Y1)
【文献】 実開昭60−142646(JP,U)
【文献】 特開2002−65495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 61/04
A47B 46/00
A47B 96/02
A47G 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の板体と第2の板体とを備え、
前記第1の板体と前記第2の板体とは、固定端において互いに固定され、
前記第2の板体は、前記固定端と反対側の自由端が、前記第1の板体と接する収納位置と、前記第1の板体から離間した使用位置とをとることができ
前記第1の板体は、前記第2の板体を下側にして、物品収納庫内に水平に保持される、物品収納庫用棚板。
【請求項2】
前記第2の板体における前記第1の板体側の面は、滑り止めの凸部を有し、
前記第1の板体における前記第2の板体側の面は、前記滑り止めの凸部と対応した凹部を有する、請求項に記載の物品収納庫用棚板。
【請求項3】
前記第1の板体及び前記第2の板体は、それぞれ互いに解除可能に係合し、前記自由端の移動を禁止するストッパ部を有している、請求項1又は2に記載の物品収納庫用棚板。
【請求項4】
第1の板体と第2の板体とを備え、
前記第1の板体と前記第2の板体とは、固定端において互いに固定され、
前記第2の板体は、前記固定端と反対側の自由端が、前記第1の板体と接する収納位置と、前記第1の板体から離間した使用位置とをとることができ、
前記第1の板体は、前記第2の板体を上側にして、物品収納庫内に水平に保持され、
前記第1の板体及び前記第2の板体は、それぞれ互いに解除可能に係合し、前記自由端の移動を禁止するストッパ部を有している、物品収納庫用棚板。
【請求項5】
前記第2の板体は、互いに独立して前記収納位置と前記使用位置とをとることができる、複数の部分に分割されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の物品収納庫用棚板。
【請求項6】
前記第1の板体と前記第2の板体とは、一体に成形されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の物品収納庫用棚板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品収納庫用棚板に関する。
【背景技術】
【0002】
履物を収納する収納庫は、一般に、複数の棚板が水平に配置されており、この棚板に履物を載置して収納する。一方、通常の履物は、つま先側が低く、かかと側が高くなっている。このため、水平の棚板に履物を載置して収納すると、履物のつま先側にはデッドスペースが発生し、収納効率が低下する。
【0003】
履物の収納効率を向上させることを目的として、水平の棚板と、斜めの棚板とを組み合わせて、デッドスペースを縮小することが検討されている(例えば、特許文献1及び2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−93270号公報
【特許文献2】特開2011−254950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、履物には様々な高さの物があり、棚板を斜めに配置することができない場合もある。水平の棚板と斜めの棚板とが固定的に組み合わされている場合には、このような場合に対応することができないという問題がある。水平の棚板と斜めの棚板とが互いに独立している場合には、斜めの棚板を使用しないことにより対応できるが、使用しない斜めの棚板が邪魔になるという問題がある。また、棚板の配置の切り換えも面倒である。
【0006】
このような問題は、履物を収納する収納庫に限らず、他の物品を収納する収納庫においても起こり得る。
【0007】
本開示の課題は、状況に応じて容易に配置の切り替えが可能な物品収納庫用の棚板を実現できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の物品収納庫用棚板の一態様は、第1の板体と第2の板体とを備え、第1の板体と第2の板体とは、固定端において互いに固定され、第2の板体は、固定端と反対側の自由端が、第1の板体と接する収納位置と、第1の板体から離間した使用位置とをとることができる。
【0009】
物品収納庫用棚板の一態様において、第1の板体は、第2の板体を下側にして、物品収納庫内に水平に保持されるようにできる。
【0010】
この場合において、第2の板体における第1の板体側の面は、滑り止めの凸部を有し、第1の板体における第2の板体側の面は、滑り止めの凸部と対応した凹部を有していてもよい。
【0011】
物品収納庫用棚板の一態様において、第1の板体は、第2の板体を上側にして、物品収納庫内に水平に保持されるようにもできる。
【0012】
物品収納庫用棚板の一態様において、第1の板体及び第2の板体は、それぞれ互いに解除可能に係合し、自由端の移動を禁止するストッパ部を有していてもよい。
【0013】
物品収納庫用棚板の一態様において、第2の板体は、互いに独立して収納位置と使用位置とをとることができる、複数の部分に分割されていてもよい。
【0014】
物品収納庫用棚板の一態様において、第1の板体と第2の板体とは、一体に成形されていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本開示の物品収納庫用棚板によれば、状況に応じて容易に配置の切り替えが可能となり、収納効率をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係る棚板において、第2の板体を収納位置とした状態を示す断面図である。
図2】一実施形態に係る棚板において、第2の板体を使用位置とした状態を示す断面図である。
図3】棚板の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示すように、本実施形態の物品収納庫用棚板は、第1の板体101と第2の板体102とを備えている。第1の板体101と第2の板体102とは、固定端111において互いに固定されている。固定端111と反対側の自由端112は、図2に示すように、固定端111を支点として自由に回動可能であり、第2の板体102は、自由端112が第1の板体101と接する収納位置と、自由端112が第1の板体101から離間した使用位置とをとることができる。
【0018】
収納する履物の数が少ない場合又は背の高い履物を収納する場合には、図1に示すように、第1の板体101を物品収納庫内に水平に保持し、第2の板体102を収納位置とする。このようにすれば、第1の板体101の上に履物150を載せて通常の棚板として使用することができる。なお、この場合の水平とは、履物の出し入れを容易にする等のために、僅かに傾斜させたような場合を含む。
【0019】
一方、収納する履物の数を増やしたい場合には、図2に示すように、第2の板体102を使用位置とする。これにより、第1の板体101と第2の板体102との間に空間が生じ、第2の板体102の上に履物150を載せることができる。また、第2の板体102は斜めに配置されるため、第2の板体102と下側の棚板との間にも空間が生じ、下側の棚板の上にも履物150を載せることができる。下側の棚板も、本実施形態の棚板とすることができる。
【0020】
本実施形態の棚板は、第2の板体102を使用しない場合及び履物の大きさ等により使用できない場合には、収容位置とすればよく、取り外しの手間や、取り外した板体の保管場所の確保等が不要である。また、デッドスペースを活用したい場合には、第2の板体102の自由端111を移動させて使用位置にすればよく、容易に配置の切り替えができる。
【0021】
第2の板体102の第1の板体101側の面には、滑り止めの凸部121を設けることができる。滑り止めの凸部121を設けることにより、使用位置とした第2の板体102の上に載せた履物を滑り落ちにくくすることができる。第1の板体101の第2の板体102側の面には、滑り止めの凸部121と対応する位置に、凹部122を設けることができる。このようにすれば、第2の板体102を収納位置とした際に、棚板が厚くなることを防ぐことができる。
【0022】
滑り止めの凸部121は、個々に独立した凸部とすることも、筋状に繋がった凸部とすることもできる。また、滑り止めの凸部121を設けるのではなく、表面の粗度を大きくしたり、表面に摩擦が大きいシート等を貼り付けたりすることもできる。滑り止めの凸部121を収容する凹部122は、個々の凸部に対応して設けることができるが、複数の凸部を収容する大きな凹部を設けることもできる。なお、第1の板体101の第2の板体102と反対側の面にも滑り止めが設けられた構成とすることができる。
【0023】
第1の板体101及び第2の板体102は、それぞれ互いに解除可能に係合するストッパ部123を有している。本実施形態において、ストッパ部123は、第1の板体101の自由端側に設けられた凹部123Aと、第2の板体102に設けられ、凹部123Aと嵌合する凸部123Bとにより構成されている。凸部123Bを凹部123Aと嵌合させることにより、第2の板体102を収納位置に保持することができる。第2の板体102の設けられた凸部123Bは、滑り止めとしての機能も有する。但し、第1の板体101側に凸部を設け、第2の板体102側に凹部を設けることもできる。また、互いに嵌合する凸部と凹部とに限らず、互いに解除可能に係合し、自由端の移動を禁止できれば他の構成とすることもできる。
【0024】
第2の板体102を使用位置とした場合に、第2の板体102を支えるような機構を物品収納庫の側に設けることができる。例えば、物品収納庫の側板に設けられたダボにより第2の板体102を支えるようにできる。この場合、第2の板体102の下面にダボがはまる窪みを設けることができる。また、第2の板体102側に突起を設け、物品収納庫の側板に突起を受ける凹部を設けることもできる。支える位置は特に限定されないが、自由端112に近い位置とすることが好ましい。但し、第2の板体102の中央部付近や、固定端111に近い位置とすることもできる。
【0025】
使用位置とした第2の板体102を支える機構を、物品収納庫の側に設けるのではなく他の構成とすることもできる。例えば、下側の棚板が使用位置とした第2の板体102を支えるような構成とすることができる。また、第1の板体101と第2の板体102との間をひも又はチェーン等により接続することにより使用位置とした第2の板体102を支えるような構成とすることもできる。さらに、固定端111側に所定の角度以上に第2の板体102が開かないようにする機構を設けることもできる。
【0026】
また、使用位置とした第2の板体102を支える機構により、使用位置とした際の第1の板体101と第2の板体102とがなす角を調整できるようにしてもよい。このようにすれば、空間の大きさ又は履物の大きさ等に応じて第2の板体102の使用位置を変えることが可能となり、収納効率をより向上させることができる。
【0027】
第2の板体102が第1の板体101の下側になるように配置し、第1の板体101の下側の空間を使用位置とした第2の板体102により利用する例を示したが、第2の板体102が第1の板体101の上側になるように配置し、第1の板体101の上側の空間を使用位置とした第2の板体102により利用する構成とすることもできる。この場合、第2の板体102の第1の板体101と反対側の面に滑り止めの凸部を設けることができる。また、第1の板体101の第2の板体102側の面にも滑り止めの凸部を設け、第2の板体102の第1の板体101側の面に滑り止めの凸部を収容する凹部を設けることができる。
【0028】
第2の板体102を第1の板体101の上側に配置する場合にも、物品収納庫の側に使用位置とした第2の板体102を支える機構を設けることができる。また、上側の棚板に、使用位置とした第2の板体102を支える機構を設けることもできる。例えば、互いに係合するフック等により第2の板体102を支えるようにすることができる。
【0029】
本実施形態の棚板は、固定端が収納庫の奥側になり、自由端が収納庫の履物を出し入れする側になるように配置することができる。しかし、これに限らず収納庫の奥行き及び幅等に応じて、種々の方向に配置することができる。例えば、固定端及び自由端が収納庫の側面側になるように配置することができる。
【0030】
第2の板体102は、図3に示すように、互いに独立して収納位置と使用位置とをとることができる、複数の部分に分割されている構成とすることもできる。このようにすれば必要な部分においてのみ第2の板体102を使用位置にすることができ、さらに収納効率を向上させることができる。図3において、第2の板体102を第1の部分102Aと第2の部分102Bとに分割しているが、3つ以上の部分に分割することもできる。第2の板体102を第1の板体101の上側に配置して、第1の板体101の上側の空間を利用する場合にも同様にすることができる。
【0031】
本実施形態の棚板は、特に限定されないが、樹脂成形体とすることができる。樹脂成形体とすることにより、棚板を容易に製造することができる。樹脂成形体とする場合、第1の板体101と第2の板体102とを、固定端111であるヒンジ部を含めて一体成形により製造することができる。これにより、組み立て工程が不要となり、非常に容易に棚板を製造することが可能となる。但し、第1の板体101と第2の板体102とを別々に形成して、組み立てて棚板とすることもできる。この場合、第1の板体101と第2の板体102とは、互いに組み合わせることにより固定端111において接続された蝶番状となるようにすることができる。また、第1の板体101と第2の板体102とを別の部品を介して互いに組み合わせることにより固定端111において接続された蝶番状となるようにすることもできる。
【0032】
樹脂材料は、特に限定されず一般的な樹脂成形品用の材料を用いることができる。中でもポリプロピレンは、第1の板体101と第2の板体102とを一体成形した場合にも、十分な強度が得やすく好ましい。
【0033】
本実施形態の棚板は、軽量化のために中空構造とすることができる。また、強度が必要な場合には、中実構造とすることもできる。
【0034】
棚板の、幅、奥行き及び厚さ等は、使用する収納庫の大きさ、履物の大きさ等に応じて自由に設定することができる。
【0035】
物品収納庫が履物を収納する収納庫である例を説明したが、本実施形態の棚板は、履物以外の物品を収納する物品収納庫においても同様に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本開示の棚板は、状況に応じて容易に配置の切り替えが可能であり、履物等の物品を収納する物品収納庫用棚板として有用である。
【符号の説明】
【0037】
101 第1の板体
102 第2の板体
102A 第1の部分
102B 第2の部分
111 固定端
112 自由端
121 凸部
122 凹部
123 ストッパ部
123A 凹部
123B 凸部
150 履物
図1
図2
図3