【実施例】
【0059】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例におけるアミラーゼ活性及びプロテアーゼ活性の評価は、以下のようにして行った。すなわち、玄米の保管温度(実施例1では9.5℃)の環境で精米機を一昼夜置き、その環境下で精米した後、精米時の米温度(実施例1では30.0℃)から10分程度の短時間で10℃下げたサンプル(実施例1では20.0℃)を使用して、アミラーゼ活性及びプロテアーゼ活性の評価を行った。
【0060】
〔実施例1〕
<保管条件>
玄米(平成26年産宮城県産ひとめぼれ)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の冷蔵庫(9.5℃)で保管した。
【0061】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)40.0になるように調整しながら、米温度30.0℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。精米後の胚芽残存率は5.1%であった。
【0062】
<保温条件>
前記条件にて精米した精白米を30.0℃のインキュベータで保温した。保温時間は30分、60分、120分、180分、240分とし、240分経過後はインキュベータをOFFにして翌日まで放置した。
【0063】
〔比較例1〕
<保管条件>
実施例1と同一の玄米(平成26年産宮城県産ひとめぼれ)1kgを、精米直前まで室温(23.4℃)で保管した。
【0064】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)40.0になるように調整しながら、米温度43.0℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。精米後の胚芽残存率は5.0%であった。
【0065】
<保温条件>
前記条件にて精米した精白米を43.0℃のインキュベータで保温した。保温時間は30分、60分、120分、180分、240分とし、240分経過後はインキュベータをOFFにして翌日まで放置した。
【0066】
〔比較例2〕
<保管条件>
実施例1と同一の玄米(平成26年産宮城県産ひとめぼれ)1kgを、精米直前まで室温(26.2℃)で保管した。
【0067】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)40.0になるように調整しながら、米温度47.5℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。精米後の胚芽残存率は5.0%であった。
【0068】
<保温条件>
前記条件にて精米した精白米を47.5℃のインキュベータで保温した。保温時間は30分、60分、120分、180分、240分とし、240分経過後はインキュベータをOFFにして翌日まで放置した。
【0069】
≪評価≫
<α−アミラーゼ活性>
実施例1及び比較例1,2で精米した精白米を用い、保温時間0分(精米直後)、30分、60分、120分、180分、240分について、α−アミラーゼ活性を測定した。Megazyme社製のアミラーゼ測定キットを用いて、吸光度400nmでα−アミラーゼ活性(Unit/g)を算出した。これらの結果を、下記の表1に示した。
【0070】
【表1】
【0071】
表1の結果から、α−アミラーゼ活性(平均)は、実施例1が0.028Unit/g以上であるのに対して、比較例1,2は0.028Unit/g未満であった。
また、比較例2のα−アミラーゼ活性(平均)を1とすると、比較例1のα−アミラーゼ活性(平均)は1.0872倍、実施例1のα−アミラーゼ活性(平均)は1.2017倍であった。このことから、精米時の米温度が低いほどα−アミラーゼ活性が高くなることがわかる。
【0072】
この理由は明らかではないが、以下のように推察される。すなわち、実施例1の低温精米では、精米時の摩擦熱の影響が小さく温度上昇を抑制することができるため、α−アミラーゼの変性、失活が抑制され、α−アミラーゼ活性が高くなる。これに対して、比較例1,2のように玄米を室温で保管した場合、精米時の摩擦熱の影響により温度上昇が大きくなり、α−アミラーゼが変性、失活するため、α−アミラーゼ活性が低くなる。
【0073】
<炊飯食味値>
実施例1及び比較例1で得た精白米について、炊飯食味値を評価した。すなわち、実施例1及び比較例1で得た精白米250gを1.4倍の加水量でふつうモードにて炊飯を行った。炊飯後、炊飯食味計(サタケ社製)により、炊飯食味値を評価した。その結果を、
図1に示した。
【0074】
図1の結果から、実施例1の低温精米は、比較例1の通常精米に対して炊飯食味値が高いことがわかった。
【0075】
<外観、硬さ、粘り、バランス>
実施例1及び比較例1で得た精白米について、外観、硬さ、粘り、バランスを評価した。すなわち、実施例1及び比較例1で得た精白米250gを1.4倍の加水量でふつうモードにて炊飯を行った。炊飯後、炊飯食味計(サタケ社製)により、外観、硬さ、粘り、バランスを評価した。その結果を、
図2に示した。
【0076】
図2の結果から、実施例1の低温精米は比較例1の通常精米に対して、外観が良く、硬くなりにくく、粘りがあり、全体のバランスに優れていることがわかった。
これは、上述のように実施例1の低温精米ではα−アミラーゼの変性、失活が抑制され、α−アミラーゼ活性が高いことに起因すると推察される。
【0077】
〔実施例2〕
<保管条件>
玄米(平成26年産宮城県産ひとめぼれ)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15℃で保管した。
【0078】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)40.0になるように調整しながら、米温度30℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。精米後の胚芽残存率は5.0%であった。
【0079】
〔比較例3〕
<保管条件>
実施例2と同一の玄米(平成26年産宮城県産ひとめぼれ)1kgを、精米直前まで室温(22℃)で保管した。
【0080】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)40.0になるように調整しながら、米温度40℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。精米後の胚芽残存率は5.0%であった。
【0081】
≪評価≫
<プロテアーゼ活性>
実施例2及び比較例3で得た精白米について、精米直後のプロテアーゼ活性(μg/ml)を測定した。すなわち、プロテアーゼ測定キット(Thermo Scientific社製、QuantiCleaveTM Protease Assay Kit)を用い、吸光度450nmで、トリプシン量(TPCK処理済みトリプシン)に換算して、プロテアーゼ活性(μg/ml)を測定した。これらの結果を、下記の表2に示した。
【0082】
【表2】
【0083】
表2の結果から、プロテアーゼ活性は、実施例2が92μg/ml以上であるのに対して、比較例3は92μg/ml未満であった。
また、比較例3のプロテアーゼ活性を1とすると、実施例2のプロテアーゼ活性は1.2422倍であった。このことから、精米時の米温度が低いほどプロテアーゼ活性が高くなることがわかる。
【0084】
この理由は明らかではないが、以下のように推察される。すなわち、実施例2の低温精米では、精米時の摩擦熱の影響が小さく温度上昇を抑制することができるため、プロテアーゼの変性、失活が抑制され、プロテアーゼ活性が高くなる。これに対して、比較例3のように玄米を室温で保管した場合、精米時の摩擦熱の影響により温度上昇が大きくなり、プロテアーゼが変性、失活するため、プロテアーゼ活性が低くなる。
【0085】
<アミノ酸分析>
実施例2及び比較例3で得た精白米について、アミノ酸分析を行った。すなわち、実施例2及び比較例3で得た精白米250gを1.4倍の加水量でふつうモードで炊飯を行った。炊飯後、アミノ酸分析システム(HPLC)を用いて、アミノ酸分析を行った。その結果、実施例2の低温精米は比較例3の通常精米に対して、アスパラギン酸、グルタミン酸がより多く生成した。
これは、上述のように実施例2の低温精米ではプロテアーゼの変性、失活が抑制され、プロテアーゼ活性が高いことに起因すると推察される。
【0086】
<包装>
実施例1及び実施例2で得た精白米(低温精米)を、脱酸素剤を同封した高気密性素材の袋(3合、150g)に包装し、食味官能評価及び炊飯食味値を評価した。その結果、精米後12ケ後でも食味上問題がなかった。また、ビタミンEの低下を抑制することができた。このことから、アンチエイジング効果が期待できる。
【0087】
〔実施例3〕
<保管条件>
玄米(平成26年産新潟県産こしひかり)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15.0℃で保管した。
【0088】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)41.2になるように調整しながら、米温度28.3℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。精米後の胚芽残存率は5.8%であった。
【0089】
〔比較例4〕
<保管条件>
実施例3と同一の玄米(平成26年産新潟県産こしひかり)1kgを、精米直前まで室温(22.0℃)で保管した。
【0090】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)41.2になるように調整しながら、米温度40.0℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。精米後の胚芽残存率は5.8%であった。
【0091】
≪評価≫
<α−アミラーゼ活性>
実施例3及び比較例4で精米した精白米について、精米直後のα−アミラーゼ活性を測定した。Megazyme社製のアミラーゼ測定キットを用いて、吸光度400nmでα−アミラーゼ活性(Unit/g)を算出した。これらの結果を、下記の表3に示した。
【0092】
【表3】
【0093】
表3の結果から、比較例4のα−アミラーゼ活性を1とすると、実施例3のα−アミラーゼ活性は1.20倍であった。このことから、低温精米による実施例3は、通常精米による比較例4に比べて、α−アミラーゼ活性が20%も高くなることがわかる。
【0094】
〔実施例4〕
<保管条件>
玄米(平成26年産宮城県産ひとめぼれ)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15.0℃で保管した。
【0095】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)38.6になるように調整しながら、米温度24.6℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。精米後の胚芽残存率は6.1%であった。
【0096】
〔比較例5〕
<保管条件>
実施例4と同一の玄米(平成26年産宮城県産ひとめぼれ)1kgを、精米直前まで室温(22.0℃)で保管した。
【0097】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)38.6になるように調整しながら、米温度40.0℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。精米後の胚芽残存率は6.1%であった。
【0098】
≪評価≫
<α−アミラーゼ活性>
実施例4及び比較例5で精米した精白米について、精米直後のα−アミラーゼ活性を測定した。Megazyme社製のアミラーゼ測定キットを用いて、吸光度400nmでα−アミラーゼ活性(Unit/g)を算出した。これらの結果を、下記の表4に示した。
【0099】
【表4】
【0100】
表4の結果から、比較例5のα−アミラーゼ活性を1とすると、実施例4のα−アミラーゼ活性は1.23倍であった。このことから、低温精米による実施例4は、通常精米による比較例5に比べて、α−アミラーゼ活性が23%も高くなることがわかる。
【0101】
〔実施例5〕
<保管条件>
玄米(平成26年産秋田県産あきたこまち)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15.0℃で保管した。
【0102】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)40.7になるように調整しながら、米温度25.7℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。精米後の胚芽残存率は6.2%であった。
【0103】
〔比較例6〕
<保管条件>
実施例5と同一の玄米(平成26年産秋田県産あきたこまち)1kgを、精米直前まで室温(22.0℃)で保管した。
【0104】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)40.7になるように調整しながら、米温度40.0℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。精米後の胚芽残存率は6.2%であった。
【0105】
≪評価≫
<α−アミラーゼ活性>
実施例5及び比較例6で精米した精白米について、精米直後のα−アミラーゼ活性を測定した。Megazyme社製のアミラーゼ測定キットを用いて、吸光度400nmでα−アミラーゼ活性(Unit/g)を算出した。これらの結果を、下記の表5に示した。
【0106】
【表5】
【0107】
表5の結果から、比較例6のα−アミラーゼ活性を1とすると、実施例5のα−アミラーゼ活性は1.26倍であった。このことから、低温精米による実施例5は、通常精米による比較例6に比べて、α−アミラーゼ活性が26%も高くなることがわかる。
【0108】
〔実施例6〕
<保管条件>
玄米(平成26年産山形県産つや姫)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15.0℃で保管した。
【0109】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)40.6になるように調整しながら、米温度28.8℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。精米後の胚芽残存率は6.3%であった。
【0110】
〔比較例7〕
<保管条件>
実施例6と同一の玄米(平成26年産山形県産つや姫)1kgを、精米直前まで室温(22.0℃)で保管した。
【0111】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)40.6になるように調整しながら、米温度40.0℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。精米後の胚芽残存率は6.3%であった。
【0112】
≪評価≫
<α−アミラーゼ活性>
実施例6及び比較例7で精米した精白米について、精米直後のα−アミラーゼ活性を測定した。Megazyme社製のアミラーゼ測定キットを用いて、吸光度400nmでα−アミラーゼ活性(Unit/g)を算出した。これらの結果を、下記の表6に示した。
【0113】
【表6】
【0114】
表6の結果から、比較例7のα−アミラーゼ活性を1とすると、実施例6のα−アミラーゼ活性は1.36倍であった。このことから、低温精米による実施例6は、通常精米による比較例7に比べて、α−アミラーゼ活性が36%も高くなることがわかる。
【0115】
〔実施例7〕
<保管条件>
玄米(平成26年産北海道産ななつぼし)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15.0℃で保管した。
【0116】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)41.4になるように調整しながら、米温度28.8℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。精米後の胚芽残存率は5.8%であった。
【0117】
〔比較例8〕
<保管条件>
実施例6と同一の玄米(平成26年産北海道産ななつぼし)1kgを、精米直前まで室温(22.0℃)で保管した。
【0118】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)41.4になるように調整しながら、米温度40.0℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。精米後の胚芽残存率は5.8%であった。
【0119】
≪評価≫
<α−アミラーゼ活性>
実施例7及び比較例8で精米した精白米について、精米直後のα−アミラーゼ活性を測定した。Megazyme社製のアミラーゼ測定キットを用いて、吸光度400nmでα−アミラーゼ活性(Unit/g)を算出した。これらの結果を、下記の表7に示した。
【0120】
【表7】
【0121】
表7の結果から、比較例8のα−アミラーゼ活性を1とすると、実施例7のα−アミラーゼ活性は1.19倍であった。このことから、低温精米による実施例7は、通常精米による比較例8に比べて、α−アミラーゼ活性が19%も高くなることがわかる。
【0122】
〔実施例8〕
<保管条件>
玄米(平成26年産北海道産ゆめぴりか)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15.0℃で保管した。
【0123】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)42.8になるように調整しながら、米温度31.4℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。精米後の胚芽残存率は6.1%であった。
【0124】
〔比較例9〕
<保管条件>
実施例6と同一の玄米(平成26年産北海道産ゆめぴりか)1kgを、精米直前まで室温(22.0℃)で保管した。
【0125】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)42.8になるように調整しながら、米温度40.0℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。精米後の胚芽残存率は6.1%であった。
【0126】
≪評価≫
<α−アミラーゼ活性>
実施例8及び比較例9で精米した精白米について、精米直後のα−アミラーゼ活性を測定した。Megazyme社製のアミラーゼ測定キットを用いて、吸光度400nmでα−アミラーゼ活性(Unit/g)を算出した。これらの結果を、下記の表8に示した。
【0127】
【表8】
【0128】
表8の結果から、比較例9のα−アミラーゼ活性を1とすると、実施例8のα−アミラーゼ活性は1.14倍であった。このことから、低温精米による実施例8は、通常精米による比較例9に比べて、α−アミラーゼ活性が14%も高くなることがわかる。
【0129】
〔実施例9〕
<保管条件>
玄米(平成26年産宮城県産ひとめぼれ)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15.0℃で保管した。
【0130】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度29.7℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。得られた精米300gを炊飯器(アイリスオーヤマ社製、IHうまみ炊飯鍋)で炊飯(加水量は米重量の1.4倍)した。炊飯後、鍋中央部から直径50mm×長さ80mmのアルミ缶で還元糖定量用サンプル(ご飯)を採取した。残りをほぐした後、炊飯食味計用サンプル(ご飯)、テンシプレッサー用サンプル(ご飯)をそれぞれ採取した。
【0131】
〔比較例10〕
<保管条件>
実施例9と同一の玄米(平成26年産宮城県産ひとめぼれ)1kgを、精米直前まで室温(22.0℃)で保管した。
【0132】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度48.4℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。得られた精米300gを炊飯器(アイリスオーヤマ社製、IHうまみ炊飯鍋)で炊飯(加水量は米重量の1.4倍)した。炊飯後、鍋中央部から直径50mm×長さ80mmのアルミ缶で還元糖定量用サンプル(ご飯)を採取した。残りをほぐした後、炊飯食味計用サンプル(ご飯)、テンシプレッサー用サンプル(ご飯)をそれぞれ採取した。
【0133】
≪評価≫
<α−アミラーゼ活性>
実施例9及び比較例10で精米した精白米について、精米直後のα−アミラーゼ活性を測定した。Megazyme社製のアミラーゼ測定キットを用いて、吸光度400nmでα−アミラーゼ活性(Unit/g)を算出した。これらの結果を、下記の表9に示した。
【0134】
実施例9及び比較例10の各サンプル(ご飯)を用いて、還元糖量、テンシプレッサー及び炊飯食味計の評価を行った。これらの結果を、下記の表9に示した。また、還元糖量の評価を
図3に示し、炊飯食味値の評価を
図4に示し、テンシプレッサーによる硬さの評価を
図5に示した。
【0135】
<還元糖量>
実施例9及び比較例10の還元糖定量用サンプル(ご飯)50gをホモジナイズした後、80%エタノールで抽出し、遠心分離して固形分を取り除き、ソモギーネルソン法にて還元糖量(ブドウ糖として)を定量した。
【0136】
<炊飯食味計>
実施例9及び比較例10の炊飯食味計用サンプル(ご飯)を、炊飯完了後、30分間室温に慣らした後、炊飯食味計(サタケ社製)により、炊飯食味値、外観、硬さ、粘り、バランスを評価した。
【0137】
<テンシプレッサー>
実施例9及び比較例10のテンシプレッサー用サンプル(ご飯)を、炊飯完了後、3時間室温に慣らした後、食感測定器(タケトモ電機社製、TENSIPRESSER)で、米飯2×3測定の条件にて食感(硬さ、こし、付着、粘り)測定を行った。
【0138】
【表9】
【0139】
表9の結果から、比較例10の還元糖量を1とすると、実施例9の還元糖量は1.43倍であった。このことから、低温精米による実施例9は、通常精米による比較例10に比べて、還元糖量が43%も高くなることがわかる。
また、実施例9は比較例10と比べて、α−アミラーゼ活性が23%も高くなることがわかる。
実施例9は比較例10と比べて、炊飯食味計による炊飯食味値の評価が特に優れていた。
実施例9は比較例10と比べて、テンシプレッサーよる硬さ、こしの評価が特に優れていた。
【0140】
〔実施例10〕
<保管条件>
玄米(平成26年産山形県産つや姫)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15.0℃で保管した。
【0141】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度28.7℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。得られた精米300gを炊飯器(アイリスオーヤマ社製、IHうまみ炊飯鍋)で炊飯(加水量は米重量の1.4倍)した。炊飯後、鍋中央部から直径50mm×長さ80mmのアルミ缶で還元糖定量用サンプル(ご飯)を採取した。残りをほぐした後、炊飯食味計用サンプル(ご飯)、テンシプレッサー用サンプル(ご飯)をそれぞれ採取した。
【0142】
〔比較例11〕
<保管条件>
実施例10と同一の玄米(平成26年産山形県産つや姫)1kgを、精米直前まで室温(22.0℃)で保管した。
【0143】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度47.3℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。得られた精米300gを炊飯器(アイリスオーヤマ社製、IHうまみ炊飯鍋)で炊飯(加水量は米重量の1.4倍)した。炊飯後、鍋中央部から直径50mm×長さ80mmのアルミ缶で還元糖定量用サンプル(ご飯)を採取した。残りをほぐした後、炊飯食味計用サンプル(ご飯)、テンシプレッサー用サンプル(ご飯)をそれぞれ採取した。
【0144】
≪評価≫
実施例10及び比較例11について、実施例9と同様にして、α−アミラーゼ活性、還元糖量、炊飯食味計及びテンシプレッサーによる評価を行った。これらの結果を、下記の表10、
図3、
図4及び
図5に示した。
【0145】
【表10】
【0146】
表10の結果から、比較例10の還元糖量を1とすると、実施例10の還元糖量は1.23倍であった。このことから、低温精米による実施例10は、通常精米による比較例11に比べて、還元糖量が23%も高くなることがわかる。
また、実施例10は比較例11と比べて、α−アミラーゼ活性が36%も高くなることがわかる。
実施例10は比較例11と比べて、炊飯食味計による炊飯食味値の評価が特に優れていた。
実施例10は比較例11と比べて、テンシプレッサーよる硬さ、こしの評価が特に優れていた。
【0147】
〔実施例11〕
<保管条件>
玄米(平成26年産秋田県産あきたこまち)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15.0℃で保管した。
【0148】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度25.7℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。得られた精米300gを炊飯器(アイリスオーヤマ社製、IHうまみ炊飯鍋)で炊飯(加水量は米重量の1.4倍)した。炊飯後、鍋中央部から直径50mm×長さ80mmのアルミ缶で還元糖定量用サンプル(ご飯)を採取した。残りをほぐした後、炊飯食味計用サンプル(ご飯)、テンシプレッサー用サンプル(ご飯)をそれぞれ採取した。
【0149】
〔比較例12〕
<保管条件>
実施例11と同一の玄米(平成26年産秋田県産あきたこまち)1kgを、精米直前まで室温(22.0℃)で保管した。
【0150】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度45.0℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。得られた精米300gを炊飯器(アイリスオーヤマ社製、IHうまみ炊飯鍋)で炊飯(加水量は米重量の1.4倍)した。炊飯後、鍋中央部から直径50mm×長さ80mmのアルミ缶で還元糖定量用サンプル(ご飯)を採取した。残りをほぐした後、炊飯食味計用サンプル(ご飯)、テンシプレッサー用サンプル(ご飯)をそれぞれ採取した。
【0151】
≪評価≫
実施例11及び比較例12について、実施例9と同様にして、α−アミラーゼ活性、還元糖量、炊飯食味計及びテンシプレッサーによる評価を行った。これらの結果を、下記の表11、
図3、
図4及び
図5に示した。
【0152】
【表11】
【0153】
表11の結果から、比較例12の還元糖量を1とすると、実施例11の還元糖量は1.19倍であった。このことから、低温精米による実施例11は、通常精米による比較例12に比べて、還元糖量が19%も高くなることがわかる。
また、実施例11は比較例12と比べて、α−アミラーゼ活性が27%も高くなることがわかる。
実施例11は比較例12と比べて、炊飯食味計による炊飯食味値の評価が特に優れていた。
実施例11は比較例12と比べて、テンシプレッサーよる硬さ、こしの評価が特に優れていた。
【0154】
〔実施例12〕
<保管条件>
玄米(平成26年産北海道産ななつぼし)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15.0℃で保管した。
【0155】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度31.1℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。得られた精米300gを炊飯器(アイリスオーヤマ社製、IHうまみ炊飯鍋)で炊飯(加水量は米重量の1.4倍)した。炊飯後、鍋中央部から直径50mm×長さ80mmのアルミ缶で還元糖定量用サンプル(ご飯)を採取した。残りをほぐした後、炊飯食味計用サンプル(ご飯)、テンシプレッサー用サンプル(ご飯)をそれぞれ採取した。
【0156】
〔比較例13〕
<保管条件>
実施例12と同一の玄米(平成26年産北海道産ななつぼし)1kgを、精米直前まで室温(22.0℃)で保管した。
【0157】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度46.6℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。得られた精米300gを炊飯器(アイリスオーヤマ社製、IHうまみ炊飯鍋)で炊飯(加水量は米重量の1.4倍)した。炊飯後、鍋中央部から直径50mm×長さ80mmのアルミ缶で還元糖定量用サンプル(ご飯)を採取した。残りをほぐした後、炊飯食味計用サンプル(ご飯)、テンシプレッサー用サンプル(ご飯)をそれぞれ採取した。
【0158】
≪評価≫
実施例12及び比較例13について、実施例9と同様にして、α−アミラーゼ活性、還元糖量、炊飯食味計及びテンシプレッサーによる評価を行った。これらの結果を、下記の表12、
図3、
図4及び
図5に示した。
【0159】
【表12】
【0160】
表12の結果から、比較例13の還元糖量を1とすると、実施例12の還元糖量は1.39倍であった。このことから、低温精米による実施例12は、通常精米による比較例13に比べて、還元糖量が39%も高くなることがわかる。
また、実施例12は比較例13と比べて、α−アミラーゼ活性が19%も高くなることがわかる。
実施例12は比較例13と比べて、炊飯食味計による炊飯食味値の評価が特に優れていた。
実施例12は比較例13と比べて、テンシプレッサーよる硬さ、こしの評価が特に優れていた。
【0161】
〔実施例13〕
<保管条件>
玄米(平成26年産新潟県産こしひかり)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15.0℃で保管した。
【0162】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度29.6℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。得られた精米300gを炊飯器(アイリスオーヤマ社製、IHうまみ炊飯鍋)で炊飯(加水量は米重量の1.4倍)した。炊飯後、鍋中央部から直径50mm×長さ80mmのアルミ缶で還元糖定量用サンプル(ご飯)を採取した。残りをほぐした後、炊飯食味計用サンプル(ご飯)、テンシプレッサー用サンプル(ご飯)をそれぞれ採取した。
【0163】
〔比較例14〕
<保管条件>
実施例13と同一の玄米(平成26年産新潟県産こしひかり)1kgを、精米直前まで室温(22.0℃)で保管した。
【0164】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度31.7℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。得られた精米300gを炊飯器(アイリスオーヤマ社製、IHうまみ炊飯鍋)で炊飯(加水量は米重量の1.4倍)した。炊飯後、鍋中央部から直径50mm×長さ80mmのアルミ缶で還元糖定量用サンプル(ご飯)を採取した。残りをほぐした後、炊飯食味計用サンプル(ご飯)、テンシプレッサー用サンプル(ご飯)をそれぞれ採取した。
【0165】
≪評価≫
実施例13及び比較例14について、実施例9と同様にして、α−アミラーゼ活性、還元糖量、炊飯食味計及びテンシプレッサーによる評価を行った。これらの結果を、下記の表13に示した。
【0166】
【表13】
【0167】
表13の結果から、比較例14の還元糖量を1とすると、実施例13の還元糖量は1.22倍であった。このことから、低温精米による実施例13は、通常精米による比較例14に比べて、還元糖量が22%も高くなることがわかる。
また、実施例13は比較例14と比べて、α−アミラーゼ活性が15%も高くなることがわかる。
実施例13は比較例14と比べて、炊飯食味計による炊飯食味値の評価が特に優れていた。
実施例13は比較例14と比べて、テンシプレッサーよる硬さ、こしの評価が特に優れていた。
【0168】
〔実施例14〕
<保管条件>
玄米(平成26年産北海道産ゆめぴりか)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15.0℃で保管した。
【0169】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度31.7℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。得られた精米300gを炊飯器(アイリスオーヤマ社製、IHうまみ炊飯鍋)で炊飯(加水量は米重量の1.4倍)した。炊飯後、鍋中央部から直径50mm×長さ80mmのアルミ缶で還元糖定量用サンプル(ご飯)を採取した。残りをほぐした後、炊飯食味計用サンプル(ご飯)、テンシプレッサー用サンプル(ご飯)をそれぞれ採取した。
【0170】
〔比較例15〕
<保管条件>
実施例14と同一の玄米(平成26年産北海道産ゆめぴりか)1kgを、精米直前まで室温(22.0℃)で保管した。
【0171】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度46.8℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。得られた精米300gを炊飯器(アイリスオーヤマ社製、IHうまみ炊飯鍋)で炊飯(加水量は米重量の1.4倍)した。炊飯後、鍋中央部から直径50mm×長さ80mmのアルミ缶で還元糖定量用サンプル(ご飯)を採取した。残りをほぐした後、炊飯食味計用サンプル(ご飯)、テンシプレッサー用サンプル(ご飯)をそれぞれ採取した。
【0172】
≪評価≫
実施例14及び比較例15について、実施例9と同様にして、α−アミラーゼ活性、還元糖量、炊飯食味計及びテンシプレッサーによる評価を行った。これらの結果を、下記の表14に示した。
【0173】
【表14】
【0174】
表14の結果から、比較例15の還元糖量を1とすると、実施例14の還元糖量は1.45倍であった。このことから、低温精米による実施例14は、通常精米による比較例15に比べて、還元糖量が45%も高くなることがわかる。
また、実施例14は比較例15と比べて、α−アミラーゼ活性が13%も高くなることがわかる。
実施例14は比較例15と比べて、炊飯食味計による炊飯食味値の評価が特に優れていた。
実施例14は比較例15と比べて、テンシプレッサーよる硬さ、こしの評価が特に優れていた。
【0175】
<まとめ>
低温精米による実施例9〜14は、通常精米による比較例10〜15に比べて、還元糖量が19%〜45%も上昇し、柔らかく炊け、炊飯食味値が向上することがわかる。
【0176】
〔実施例15〕
<保管条件>
玄米(平成26年産新潟県産こしひかり)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15℃で保管した。
【0177】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度30℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0178】
〔比較例16〕
<保管条件>
実施例15と同一の玄米(平成26年産新潟県産こしひかり)1kgを、精米直前まで室温(22℃)で保管した。
【0179】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度50℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0180】
≪評価≫
<プロテアーゼ活性>
実施例15及び比較例16で得た精白米について、精米直後のプロテアーゼ活性(μg/g)を、プロテアーゼ測定キット(Pierce社製、Colorimetric Protease Assay Kit)を用いて、以下のように測定した。これらの結果を、下記の表15及び
図6に示した。
【0181】
(1)検量線
トリプシン溶液で調整した。50μg/mlから2倍希釈を繰り返して調整した。
【0182】
(2)抽出
(2−1)米50gをミルサーに量りとり、冷蔵庫で10℃以下に冷やした。
(2−2)ミルサーで1分間粉砕した後、3.0gを遠沈管に量りとり、50mM Tris-HCl bufferを10.0ml加えた。
(2−3)振とう機を用い室温で100rpm×10分間振とうした後、40℃で20分間抽出した。
(2−4)高速冷却遠心機を用い4℃で15,000G×5分間遠心した。
(2−4)0.2μmフィルターでろ過した。
【0183】
(3)測定
(3−1)
検量線:スクシニルカゼイン溶液100μlと検量線シリーズ50μlを加えた。
サンプル:スクシニルカゼイン溶液100μlと抽出溶液50μlを加えた。
Blank1:スクシニルカゼイン溶液100μlとAssay buffer50μlを加えた。
Blank2:スクシニルカゼイン溶液100μlと50mM Tris-HCl buffer50μlを加えた。
(3−2)40℃で20分間反応させた。
(3−3)セルに50μlのTNBSA溶液を加えた。
(3−4)室温で20分間放置した。
(3−5)450nmの吸光度をマイクロプレートリーダで30分おきに測定した。
【0184】
(4)評価
3時間後のデータを使用した。サンプル吸光度からBlank2吸光度を引いたものを検量線(-Blank1)から計算し、米1g中のトリプシン量(μg/g)に換算した。
【0185】
【表15】
【0186】
表15の結果から、比較例16のプロテアーゼ活性(μg/g)を1とすると、実施例15のプロテアーゼ活性(μg/g)は1.34倍であった。このことから、低温精米による実施例15は、通常精米による比較例16に比べて、プロテアーゼ活性(μg/g)が34%も高くなることがわかる。
【0187】
〔実施例16〕
<保管条件>
玄米(平成26年産宮城県産ひとめぼれ)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15℃で保管した。
【0188】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度30℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0189】
〔比較例17〕
<保管条件>
実施例16と同一の玄米(平成26年産宮城県産ひとめぼれ)1kgを、精米直前まで室温(22℃)で保管した。
【0190】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度50℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0191】
≪評価≫
<プロテアーゼ活性>
実施例16及び比較例17で得た精白米について、実施例15と同様にして、精米直後のプロテアーゼ活性(μg/g)を測定した。これらの結果を、下記の表16及び
図6に示した。
【0192】
【表16】
【0193】
表16の結果から、比較例17のプロテアーゼ活性(μg/g)を1とすると、実施例16のプロテアーゼ活性(μg/g)は1.49倍であった。このことから、低温精米による実施例16は、通常精米による比較例17に比べて、プロテアーゼ活性(μg/g)が49%も高くなることがわかる。
【0194】
〔実施例17〕
<保管条件>
玄米(平成26年産山形県産つや姫)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15℃で保管した。
【0195】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度30℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0196】
〔比較例18〕
<保管条件>
実施例17と同一の玄米(平成26年産山形県産つや姫)1kgを、精米直前まで室温(22℃)で保管した。
【0197】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度50℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0198】
≪評価≫
<プロテアーゼ活性>
実施例17及び比較例18で得た精白米について、実施例15と同様にして、精米直後のプロテアーゼ活性(μg/g)を測定した。これらの結果を、下記の表17及び
図6に示した。
【0199】
【表17】
【0200】
表17の結果から、比較例18のプロテアーゼ活性(μg/g)を1とすると、実施例17のプロテアーゼ活性(μg/g)は1.65倍であった。このことから、低温精米による実施例17は、通常精米による比較例18に比べて、プロテアーゼ活性(μg/g)が65%も高くなることがわかる。
【0201】
〔実施例18〕
<保管条件>
玄米(平成26年産秋田県産あきたこまち)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15℃で保管した。
【0202】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度30℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0203】
〔比較例19〕
<保管条件>
実施例18と同一の玄米(平成26年産秋田県産あきたこまち)1kgを、精米直前まで室温(22℃)で保管した。
【0204】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度50℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0205】
≪評価≫
<プロテアーゼ活性>
実施例18及び比較例19で得た精白米について、実施例15と同様にして、精米直後のプロテアーゼ活性(μg/g)を測定した。これらの結果を、下記の表18及び
図6に示した。
【0206】
【表18】
【0207】
表18の結果から、比較例19のプロテアーゼ活性(μg/g)を1とすると、実施例18のプロテアーゼ活性(μg/g)は1.32倍であった。このことから、低温精米による実施例18は、通常精米による比較例19に比べて、プロテアーゼ活性(μg/g)が32%も高くなることがわかる。
【0208】
〔実施例19〕
<保管条件>
玄米(平成26年産北海道産ななつぼし)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15℃で保管した。
【0209】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度30℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0210】
〔比較例20〕
<保管条件>
実施例19と同一の玄米(平成26年産北海道産ななつぼし)1kgを、精米直前まで室温(22℃)で保管した。
【0211】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度50℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0212】
≪評価≫
<プロテアーゼ活性>
実施例19及び比較例20で得た精白米について、実施例15と同様にして、精米直後のプロテアーゼ活性(μg/g)を測定した。これらの結果を、下記の表19及び
図6に示した。
【0213】
【表19】
【0214】
表19の結果から、比較例20のプロテアーゼ活性(μg/g)を1とすると、実施例19のプロテアーゼ活性(μg/g)は1.23倍であった。このことから、低温精米による実施例19は、通常精米による比較例20に比べて、プロテアーゼ活性(μg/g)が23%も高くなることがわかる。
【0215】
〔実施例20〕
<保管条件>
玄米(平成26年産宮城県産ササニシキ)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15℃で保管した。
【0216】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度30℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0217】
〔比較例21〕
<保管条件>
実施例20と同一の玄米(平成26年産宮城県産ササニシキ)1kgを、精米直前まで室温(22℃)で保管した。
【0218】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度50℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0219】
≪評価≫
<プロテアーゼ活性>
実施例20及び比較例21で得た精白米について、実施例15と同様にして、精米直後のプロテアーゼ活性(μg/g)を測定した。これらの結果を、下記の表20及び
図6に示した。
【0220】
【表20】
【0221】
表20の結果から、比較例21のプロテアーゼ活性(μg/g)を1とすると、実施例20のプロテアーゼ活性(μg/g)は1.74であった。このことから、低温精米による実施例20は、通常精米による比較例21に比べて、プロテアーゼ活性(μg/g)が74%も高くなることがわかる。
【0222】
〔実施例21〕
<保管条件>
玄米(平成26年産青森県産つがるロマン)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15℃で保管した。
【0223】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度30℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0224】
〔比較例22〕
<保管条件>
実施例21と同一の玄米(平成26年産青森県産つがるロマン)1kgを、精米直前まで室温(22℃)で保管した。
【0225】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度50℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0226】
≪評価≫
<プロテアーゼ活性>
実施例21及び比較例22で得た精白米について、実施例15と同様にして、精米直後のプロテアーゼ活性(μg/g)を測定した。これらの結果を、下記の表21及び
図6に示した。
【0227】
【表21】
【0228】
表21の結果から、比較例22のプロテアーゼ活性(μg/g)を1とすると、実施例21のプロテアーゼ活性(μg/g)は2.29であった。このことから、低温精米による実施例21は、通常精米による比較例21に比べて、プロテアーゼ活性(μg/g)が129%も高くなることがわかる。
【0229】
〔実施例22〕
<保管条件>
玄米(平成26年産北海道産ゆめぴりか)1kgを、精米直前まで室温よりも低温の15℃で保管した。
【0230】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度30℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0231】
〔比較例23〕
<保管条件>
実施例22と同一の玄米(平成26年産北海道産ゆめぴりか)1kgを、精米直前まで室温(22℃)で保管した。
【0232】
<サンプル作製>
前記条件にて保管した玄米を、米温度50℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0233】
≪評価≫
<プロテアーゼ活性>
実施例22及び比較例23で得た精白米について、実施例15と同様にして、精米直後のプロテアーゼ活性(μg/g)を測定した。これらの結果を、下記の表22及び
図6に示した。
【0234】
【表22】
【0235】
表22の結果から、比較例23のプロテアーゼ活性(μg/g)を1とすると、実施例22のプロテアーゼ活性(μg/g)は1.38であった。このことから、低温精米による実施例22は、通常精米による比較例23に比べて、プロテアーゼ活性(μg/g)が38%も高くなることがわかる。
【0236】
次に、精米直後の冷却効果について実験を行った。すなわち、精米直前まで室温よりも低温環境下で保管した玄米を、室温よりも低温環境下で精米して得られた精白米について、精米直後に急冷した場合(実験例)と、精米後に自然冷却した場合(比較実験例)のα−アミラーゼ活性を比較した。
【0237】
〔実験例1〕
<玄米の保管条件>
玄米(平成26年産新潟県産こしひかり)を、精米直前まで室温よりも低温環境下(22.5℃)で保管した。
【0238】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、搗精度90.7%になるように調整しながら、室温よりも低温環境下(22.5℃)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0239】
<精白米の保管条件>
上記で得られた精米直後の精白米を、室温よりも低温環境下(15℃)でアルミパッドに広げて冷却(急冷)した状態で12時間放置した。
【0240】
〔比較実験例1〕
<玄米の保管条件>
玄米(平成26年産新潟県産こしひかり)を、精米直前まで室温よりも低温環境下(23.4℃)で保管した。
【0241】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、搗精度90.7%になるように調整しながら、室温よりも低温環境下(23.4℃)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0242】
<精白米の保管条件>
上記で得られた精白米を、室温よりも低温環境下(23℃)で12時間放置(自然冷却)した。
【0243】
≪評価≫
<α−アミラーゼ活性>
実験例1及び比較実験例1で保管した精白米について、α−アミラーゼ活性を測定した。Megazyme社製のアミラーゼ測定キットを用いて、吸光度400nmでα−アミラーゼ活性(Unit/g)を算出した。これらの結果を、下記の表23及び
図7に示した。
【0244】
【表23】
【0245】
〔実験例2〕
<玄米の保管条件>
玄米(平成26年産宮城県産ひとめぼれ)を、精米直前まで室温よりも低温環境下(22.8℃)で保管した。
【0246】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、搗精度91.7%になるように調整しながら、室温よりも低温環境下(22.8℃)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0247】
<精白米の保管条件>
上記で得られた精米直後の精白米を、室温よりも低温環境下(15℃)でアルミパッドに広げて冷却(急冷)した状態で12時間放置した。
【0248】
〔比較実験例2〕
<玄米の保管条件>
玄米(平成26年産宮城県産ひとめぼれ)を、精米直前まで室温よりも低温環境下(22.7℃)で保管した。
【0249】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、搗精度91.7%になるように調整しながら、室温よりも低温環境下(22.7℃)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0250】
<精白米の保管条件>
上記で得られた精白米を、室温よりも低温環境下(23℃)で12時間放置(自然冷却)した。
【0251】
≪評価≫
<α−アミラーゼ活性>
実験例2及び比較実験例2で保管した精白米について、α−アミラーゼ活性を測定した。Megazyme社製のアミラーゼ測定キットを用いて、吸光度400nmでα−アミラーゼ活性(Unit/g)を算出した。これらの結果を、下記の表24及び
図7に示した。
【0252】
【表24】
【0253】
〔実験例3〕
<玄米の保管条件>
玄米(平成26年産秋田県産あきたこまち)を、精米直前まで室温よりも低温環境下(21.9℃)で保管した。
【0254】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、搗精度90.4%になるように調整しながら、室温よりも低温環境下(21.9℃)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0255】
<精白米の保管条件>
上記で得られた精米直後の精白米を、室温よりも低温環境下(15℃)でアルミパッドに広げて冷却(急冷)した状態で12時間放置した。
【0256】
〔比較実験例3〕
<玄米の保管条件>
玄米(平成26年産秋田県産あきたこまち)を、精米直前まで室温よりも低温環境下(23.5℃)で保管した。
【0257】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、搗精度90.4%になるように調整しながら、室温よりも低温環境下(23.5℃)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0258】
<精白米の保管条件>
上記で得られた精白米を、室温よりも低温環境下(23℃)で12時間放置(自然冷却)した。
【0259】
≪評価≫
<α−アミラーゼ活性>
実験例3及び比較実験例3で保管した精白米について、α−アミラーゼ活性を測定した。Megazyme社製のアミラーゼ測定キットを用いて、吸光度400nmでα−アミラーゼ活性(Unit/g)を算出した。これらの結果を、下記の表25及び
図7に示した。
【0260】
【表25】
【0261】
〔実験例4〕
<玄米の保管条件>
玄米(平成26年産山形県産つや姫)を、精米直前まで室温よりも低温環境下(22.3℃)で保管した。
【0262】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、搗精度90.8%になるように調整しながら、室温よりも低温環境下(22.3℃)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0263】
<精白米の保管条件>
上記で得られた精米直後の精白米を、室温よりも低温環境下(15℃)でアルミパッドに広げて冷却(急冷)した状態で12時間放置した。
【0264】
〔比較実験例4〕
<玄米の保管条件>
玄米(平成26年産山形県産つや姫)を、精米直前まで室温よりも低温環境下(23.7℃)で保管した。
【0265】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、搗精度90.8%になるように調整しながら、室温よりも低温環境下(23.7℃)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0266】
<精白米の保管条件>
上記で得られた精白米を、室温よりも低温環境下(23℃)で12時間放置(自然冷却)した。
【0267】
≪評価≫
<α−アミラーゼ活性>
実験例4及び比較実験例4で保管した精白米について、α−アミラーゼ活性を測定した。Megazyme社製のアミラーゼ測定キットを用いて、吸光度400nmでα−アミラーゼ活性(Unit/g)を算出した。これらの結果を、下記の表26及び
図7に示した。
【0268】
【表26】
【0269】
〔実験例5〕
<玄米の保管条件>
玄米(平成26年産北海道産ななつぼし)を、精米直前まで室温よりも低温環境下(22.1℃)で保管した。
【0270】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、搗精度90.5%になるように調整しながら、室温よりも低温環境下(22.1℃)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0271】
<精白米の保管条件>
上記で得られた精米直後の精白米を、室温よりも低温環境下(15℃)でアルミパッドに広げて冷却(急冷)した状態で12時間放置した。
【0272】
〔比較実験例5〕
<玄米の保管条件>
玄米(平成26年産北海道産ななつぼし)を、精米直前まで室温よりも低温環境下(23.5℃)で保管した。
【0273】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、搗精度90.5%になるように調整しながら、室温よりも低温環境下(23.5℃)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて精米(搗精)した。
【0274】
<精白米の保管条件>
上記で得られた精白米を、室温よりも低温環境下(23℃)で12時間放置(自然冷却)した。
【0275】
≪評価≫
<α−アミラーゼ活性>
実験例5及び比較実験例5で保管した精白米について、α−アミラーゼ活性を測定した。Megazyme社製のアミラーゼ測定キットを用いて、吸光度400nmでα−アミラーゼ活性(Unit/g)を算出した。これらの結果を、下記の表27及び
図7に示した。
【0276】
【表27】
【0277】
<まとめ>
精米直後に急冷した実験例1〜5は、自然冷却した比較実験例1〜5に比べて、α−アミラーゼ活性(Unit/g)が5%〜15%も上昇することがわかった。
【0278】
次に、精米後の精白米を、脱酸素剤を同封した高気密性素材の袋に包装して保管した場合について、脂肪酸、ヘキサナール、香りの評価を行った。
【0279】
〔実験例6〕
<玄米の保管条件>
玄米(平成27年産山形県産つや姫)を、精米直前まで室温よりも低温環境下(15℃)で約4ケ月間保管した。
【0280】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)41になるように調整しながら、米温度35℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて、室温よりも低温環境下(15℃)で精米(搗精)した。
【0281】
〔実験例7〕
<玄米の保管条件>
玄米(平成25年産山形県産つや姫)を、精米直前まで室温よりも低温環境下(15℃)で約4ケ月間保管した。
【0282】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)41になるように調整しながら、米温度35℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて、室温よりも低温環境下(15℃)で精米(搗精)した。
【0283】
<精白米の保管条件>
上記で得られた精米直後の精白米を、室温よりも低温環境下(15℃)で脱酸素剤(一般名:サンソカット)を同封した高気密性素材(ハイバリア仕様)の袋(3合サイズ)に包装し、室温よりも低温環境下(15℃)にて約2年間保管した。
【0284】
〔実験例8〕
<玄米の保管条件>
玄米(平成25年産山形県産つや姫)を、精米直前まで室温よりも低温環境下(15℃)で約1年間保管した。
【0285】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)41になるように調整しながら、米温度35℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて、室温よりも低温環境下(15℃)で精米(搗精)した。
【0286】
<精白米の保管条件>
上記で得られた精米直後の精白米を、室温よりも低温環境下(15℃)で脱酸素剤(一般名:サンソカット)を同封した高気密性素材(ハイバリア仕様)の袋(3合サイズ)に包装し、室温よりも低温環境下(15℃)にて約1年間保管した。
【0287】
〔実験例9〕
<玄米の保管条件>
玄米(平成25年産山形県産つや姫)を、精米直前まで室温よりも低温環境下(15℃)で約2年間保管した。
【0288】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)40になるように調整しながら、米温度35℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて、室温よりも低温環境下(15℃)で精米(搗精)した。
【0289】
〔実験例10〕
<玄米の保管条件>
玄米(平成25年産山形県産つや姫)を、精米直前まで室温よりも低温環境下(15℃)で約2年間保管した。
【0290】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)41になるように調整しながら、米温度35℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて、室温よりも低温環境下(15℃)で精米(搗精)した。
【0291】
〔実験例11〕
<玄米の保管条件>
玄米(平成25年産山形県産つや姫)を、精米直前まで室温よりも低温環境下(15℃)で約2年間保管した。
【0292】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)42になるように調整しながら、米温度35℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて、室温よりも低温環境下(15℃)で精米(搗精)した。
【0293】
〔実験例12〕
<玄米の保管条件>
玄米(平成25年産山形県産つや姫)を、精米直前まで室温よりも低温環境下(15℃)で約2年間保管した。
【0294】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)43になるように調整しながら、米温度35℃(放射温度計で測定)で精米機(サタケ社製、ワンパス)にて、室温よりも低温環境下(15℃)で精米(搗精)した。
【0295】
〔実験例13〕
<玄米の保管条件>
玄米(平成25年産山形県産つや姫)を、精米直前まで室温よりも低温環境下(15℃)で約2年間保管した。
【0296】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、白度(白度計で測定)43になるように調整しながら、室温よりも低温環境下(15℃)で精米(搗精)した。
【0297】
<無洗米加工>
上記で得られた精白米に、精白米に対して5%ほどの水を加えた後、加圧して攪拌を行い、攪拌の後、高温にした粒状のタピオカを精白米の重量の50%〜100%程度加え、精白米に残っている肌糠を水とともに吸着させた。肌糠が除去された米を乾燥させ無洗米に加工した。熱付着剤で表面の糠を取り、無洗米加工した。
【0298】
≪評価≫
実験例7〜13について、以下のようにして脂肪酸(リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸)を測定した。その結果を、
図8に示した。
【0299】
<脂肪酸(リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸)の測定>
9−アンスリルジアゾメタン(ADAM)試薬で誘導体化して高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。すなわち、米粒50gを粉砕した後、3gを取り分けメタノール10mlで20分、100rpmで振とうした。4℃、15,000rpm、10分遠心し、抽出液25μlをADAM試薬メタノール溶液25μl(0.1w/v%)と1時間反応させた。反応後、950μlのメタノールで希釈した後、20μlをHPLCで測定、定量した。
0分(CH
3CN100%)−15分(CH
3CN/H
2O=95/5)−40分(CH
3CN/H
2O=95/5)
カラム温度25℃、使用カラムLaChromC18(5μm)4.6mmI.D.×250mml
検出器 蛍光検出器E×365nm Em412nm
【0300】
≪評価≫
実験例6〜12について、以下のようにしてヘキサナールを測定した。その結果を、
図9に示した。
【0301】
<ヘキサナールの測定>
2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)試薬で誘導体化してHPLCで分析した。すなわち、米粒50gを粉砕した後、5gを取り分けエタノール10mlで30分、100rpmで振とうした。4℃、15,000rpm、10分遠心し、抽出液500μlをDNPH試薬溶液500μl(0.05w/v%)と45℃、40分反応させた。反応後、HPLCに20μl注入し、測定、定量した。
0分−13分(CH
3CN/H
2O=83/17),13.1分−20分(CH
3CN100%)
カラム温度30℃、使用カラムLaChromC18(5μm)4.6mmI.D.×250mml
検出器 DAD検出器365nm
【0302】
図8、
図9の結果から、実験例7,8は実験例9〜12に対して、脂肪酸(リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸)の値が高く、ヘキサナールの値が小さかった。このことから、脱酸素剤を同封した高気密性素材の袋に包装した場合は、脂肪酸(リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸)の酸化を抑制して、古米臭の原因と言われるヘキサナールの生成を抑制できることがわかった。
【0303】
また、実験例12,13の対比から、無洗米加工すると、脂肪酸(特にオレイン酸、パルミチン酸)の値が小さくなることもわかった(
図8参照)。
【0304】
≪評価≫
実験例6〜9について、以下のようにして香りの評価を行った。その結果を、
図10に示した。
【0305】
<食味官能試験>
実験例6〜9の精白米を炊飯器(象印社製、NP−NV10、炊飯モード:ふつう)にて炊飯し、パネル11名による香りの評価を行った。評価は実験例6を基準として相対評価で示した。
【0306】
図10の結果から、実験例7は香りの評価が最も高かった。また、実験例8は実験例9よりも香りの評価が高かった。このことから、脱酸素剤を同封した高気密性素材の袋に包装した場合は、香りの評価が高いことがわかった。
【0307】
〔実験例14〜21〕
下記の表28に示すように、玄米の保管温度、精米時の環境温度、精米時の米温度、精白米の保管温度等を変化させた場合の酵素活性を評価した。
【0308】
<保管条件>
玄米(平成26年産新潟県産こしひかり)を精米直前まで室温よりも低温(表28に示す玄米の保管温度)で保管した。
【0309】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、室温よりも低温(表28に示す精米時の環境温度)で、サタケ社製テスト精米機(ダイヤル4)で3回精米(搗精)し、所定の搗精度(表28に示す搗精度)になるように調整した。
【0310】
<精白米の保管>
下記の急冷もしくは自然冷却により、精白米を保管した。
(急冷)
上記で得られた精米直後の精白米を、室温よりも低温環境下(15℃)でアルミパッドに広げて冷却した状態で12時間放置した。
【0311】
(自然冷却)
上記で得られた精米直後の精白米をステンレスボウルに受けて、25℃で12時間放置した。
【0312】
≪評価≫
<α−アミラーゼ活性>
実験例14〜21で保管した精白米について、α−アミラーゼ活性を測定した。Megazyme社製のアミラーゼ測定キットを用いて、波長450nmにおける吸光度(A450)、Δ450、比率を算出した。これらの結果を、下記の表28に示した。
【0313】
【表28】
【0314】
表28の結果から、玄米の保管温度が低い方が酵素活性は高くなる傾向にあることがわかった。また、精米時の環境温度が低い方が酵素活性は高い傾向にあることがわかった。特に実験例20は、玄米の保管温度および精米時の環境温度が低く、しかも急冷しているため、酵素活性が最も高くなる傾向にあることがわかった。
【0315】
〔実験例22〜29〕
下記の表29に示すように、玄米の保管温度、精米時の環境温度、精米時の米温度、精白米の保管温度等を変化させた場合の酵素活性を評価した。
【0316】
<保管条件>
玄米(平成26年産宮城県産ひとめぼれ)を精米直前まで室温よりも低温(表29に示す玄米の保管温度)で保管した。
【0317】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、室温よりも低温(表29に示す精米時の環境温度)で、サタケ社製テスト精米機(ダイヤル4)で3回精米(搗精)し、所定の搗精度(表29に示す搗精度)になるように調整した。
【0318】
<精白米の保管>
下記の急冷もしくは自然冷却により、精白米を保管した。
(急冷)
上記で得られた精米直後の精白米を、室温よりも低温環境下(15℃)でアルミパッドに広げて冷却した状態で12時間放置した。
【0319】
(自然冷却)
上記で得られた精米直後の精白米をステンレスボウルに受けて、25℃で12時間放置した。
【0320】
≪評価≫
<α−アミラーゼ活性>
実験例22〜29で保管した精白米について、α−アミラーゼ活性を測定した。Megazyme社製のアミラーゼ測定キットを用いて、波長450nmにおける吸光度(A450)、Δ450、比率を算出した。これらの結果を、下記の表29に示した。
【0321】
【表29】
【0322】
表29の結果から、玄米の保管温度が低い方が酵素活性は高くなる傾向にあることがわかった。また、精米時の環境温度が低い方が酵素活性は高い傾向にあることがわかった。特に実験例28は、玄米の保管温度および精米時の環境温度が低く、しかも急冷しているため、酵素活性が最も高くなる傾向にあることがわかった。
【0323】
〔実験例30〜37〕
下記の表30に示すように、玄米の保管温度、精米時の環境温度、精米時の米温度、精白米の保管温度等を変化させた場合の酵素活性を評価した。
【0324】
<保管条件>
玄米(平成26年産秋田県産あきたこまち)を精米直前まで室温よりも低温(表30に示す玄米の保管温度)で保管した。
【0325】
<精米条件>
前記条件にて保管した玄米を、室温よりも低温(表30に示す精米時の環境温度)で、サタケ社製テスト精米機(ダイヤル4)で3回精米(搗精)し、所定の搗精度(表30に示す搗精度)になるように調整した。
【0326】
<精白米の保管>
下記の急冷もしくは自然冷却により、精白米を保管した。
(急冷)
上記で得られた精米直後の精白米を、室温よりも低温環境下(15℃)でアルミパッドに広げて冷却した状態で12時間放置した。
【0327】
(自然冷却)
上記で得られた精米直後の精白米をステンレスボウルに受けて、25℃で12時間放置した。
【0328】
≪評価≫
<α−アミラーゼ活性>
実験例30〜37で保管した精白米について、α−アミラーゼ活性を測定した。Megazyme社製のアミラーゼ測定キットを用いて、波長450nmにおける吸光度(A450)、Δ450、比率を算出した。これらの結果を、下記の表30に示した。
【0329】
【表30】
【0330】
表30の結果から、玄米の保管温度が低い方が酵素活性は高くなる傾向にあることがわかった。また、精米時の環境温度が低い方が酵素活性は高い傾向にあることがわかった。特に実験例36は、玄米の保管温度および精米時の環境温度が低く、しかも急冷しているため、酵素活性が最も高くなる傾向にあることがわかった。
【0331】
以上、実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限られるものではなく、実施形態に記載していない例や、要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。