(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水平面内で回転する回転テーブル、および前記回転テーブルに載置された円板状搬送物の前記回転テーブルの基準位置に対するずれの情報を取得するセンサ部を有する搬送物載置装置と、
前記円板状搬送物を搬送物収納容器から取り出し、前記回転テーブル上に搬送して載置するロボットと、を備え、
前記搬送物収納容器における前記円板状搬送物の取出し位置及び前記回転テーブルの基準位置として予め暫定的に設定された位置に基づき前記回転テーブル上に載置された前記円板状搬送物について、前記センサ部により取得した前記回転テーブル上に載置された前記円板状搬送物の前記回転テーブルの基準位置に対するずれの情報に基づいて、前記搬送物収納容器における前記円板状搬送物の取出し位置及び前記回転テーブルの基準位置の情報を取得して、それら取得した位置情報に基づいて、前記ロボットによる前記搬送物収納容器から前記回転テーブルへの前記円板状搬送物の搬送動作を教示し、
前記センサ部により取得した前記回転テーブル上に載置された前記円板状搬送物の前記回転テーブルの基準位置に対するずれの情報が、
前記回転テーブルの基準位置として予め暫定的に設定された位置に基づき前記円板状搬送物が前記回転テーブル上に載置された第一載置位置の前記回転テーブルの前記基準位置に対するずれと、
前記円板状搬送物を前記第一載置位置から前記ロボットにより予め設定された距離を水平直線移動して前記回転テーブル上に載置された第二載置位置において前記円板状搬送物の前記回転テーブルの前記基準位置に対するずれと、
前記円板状搬送物を、前記ロボットにより前記第一載置位置から予め設定された角度の水平旋回移動を行って前記回転テーブル上に載置された第三載置位置において前記円板状搬送物の前記回転テーブルの前記基準位置に対するずれとの3つである、ことを特徴とする搬送システム。
前記回転テーブルの前記基準位置が前記回転テーブルの回転中心であり、前記円板状搬送物の前記回転テーブルの前記基準位置に対するずれが、前記円板状搬送物の中心の前記回転テーブルの回転中心からの距離と方向である、ことを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
水平面内で回転する回転テーブル、および前記回転テーブル上に載置された円板状搬送物の前記回転テーブルの基準位置に対するずれの情報を取得するセンサ部を有する搬送物載置装置と、
前記円板状搬送物を搬送物収納容器から取り出し、前記回転テーブル上に搬送して載置するロボットと、を備える搬送システムにおける前記ロボットの搬送動作の教示方法であって、
前記円板状搬送物の第一載置位置において前記円板状搬送物の前記回転テーブルの前記基準位置に対するずれを取得する第一のずれ取得工程と、
前記円板状搬送物を前記第一載置位置からロボットにより水平面内で予め設定した距離を直線移動して前記回転テーブル上に載置した第二載置位置において前記円板状搬送物の前記回転テーブルの前記基準位置に対するずれを取得する第二のずれ取得工程と、
前記ロボットにより、前記円板状搬送物を前記第一載置位置から予め設定された角度の水平旋回移動を行って前記回転テーブル上に載置された第三載置位置において前記円板状搬送物の前記回転テーブルの前記基準位置に対するずれを取得する第三のずれ取得工程と、
前記第一のずれ取得工程で取得したずれと前記第三のずれ取得工程により取得したずれとに基づいて、前記搬送物収納容器における前記円板状搬送物の取出し位置及び前記回転テーブルの基準位置の情報を取得する工程と、を有することを特徴とする搬送システムにおけるロボットの教示方法。
前記回転テーブルの前記基準位置が前記回転テーブルの回転中心であり、前記円板状搬送物の前記回転テーブルの前記基準位置に対するずれが、前記円板状搬送物の中心の前記回転テーブルの回転中心からの距離と方向である、ことを特徴とする請求項3に記載の搬送システムにおけるロボットの教示方法。
円板状搬送物を搬送物収納容器から取り出し、水平面内で回転する回転テーブルおよび前記回転テーブルに載置された前記円板状搬送物の前記回転テーブルの基準位置に対するずれの情報を取得するセンサ部を有する搬送物載置装置の前記回転テーブル上に搬送して載置する搬送ロボットであって、
前記搬送物収納容器における前記円板状搬送物の取出し位置及び前記回転テーブルの基準位置として予め暫定的に設定した位置に基づき前記センサ部により取得した前記回転テーブル上に載置された前記円板状搬送物の前記回転テーブルの基準位置に対するずれの情報に基づいて、前記搬送物収納容器における前記円板状搬送物を取り出すべき位置及び前記回転テーブルへの載置すべき位置の情報を取得して、それら取得した位置情報に基づいて、前記ロボットによる前記搬送物収納容器における前記円板状搬送物の取出し位置及び前記回転テーブルの基準位置の情報を取得し、
前記センサ部により取得した前記回転テーブル上に載置された前記円板状搬送物の前記回転テーブルの基準位置に対するずれの情報が、
前記円板状搬送物の前記回転テーブルにおける第一載置位置において前記円板状搬送物の前記回転テーブルの前記基準位置に対するずれと、
前記円板状搬送物を前記第一載置位置から前記ロボットにより予め設定した距離を水平直線移動して前記回転テーブル上に載置した第二載置位置における前記円板状搬送物の前記回転テーブルの前記基準位置に対するずれと、
前記円板状搬送物を前記ロボットにより前記第一載置位置から予め設定された角度の水平旋回移動を行って前記回転テーブル上に載置された第三載置位置における前記円板状搬送物の前記回転テーブルの前記基準位置に対するずれとの3つである、ことを特徴とする搬送ロボット。
前記回転テーブルの前記基準位置が前記回転テーブルの回転中心であり、前記円板状搬送物の前記回転テーブルの前記基準位置に対するずれが、前記円板状搬送物の中心の前記回転テーブルの回転中心からの距離と方向である、ことを特徴とする請求項5に記載の搬送ロボット。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、半導体基板(ウエハ)を搬送する搬送システムを事例として説明する。ただし、本発明は、搬送対象物が、半導体基板に限定されず、円板状搬送物一般に適用可能である。また、ロボットやその他の装置等についても、同様な機能等を実現できるものであれば、以下の形態や構成に限定されるものではない。
【0021】
本実施形態に係る搬送システム1では、
図1に示すように、ロボット10とそのロボット制御装置11、アライナ等の基板位置決め装置20、FOUP等の基板収納容器30を備えている。
【0022】
まず、本実施形態に係る搬送システムの搬送対象(被搬送物)である半導体基板(以下、主として単に「基板」という。)について、説明する。
【0023】
基板2は、単結晶構造の薄板円板形状であり、基板2を処理室40において処理するためには、処理室4の処理装置内に基板2のその位置と結晶構造の方向を正確に位置合わせして載置する必要がある。位置合わせの方法としては、一般的には、次の方法が採用されている。位置に関しては、基板の中心を処理装置上の基準点に合わせる(芯だし)が使用される。結晶軸の方向に関しては、結晶軸の方向に対応した半径方向の円周上の端部に設けた切り欠き(ノッチ)を処理装置等の所定の位置又は方向に一致させることにより行われている。
【0024】
ロボット10は、ロボット制御装置11からの指示に従い、基板2を、基板収納容器30から基板位置決め装置(以下「アライナ」という。)20への移送、アライナ20から処理室40への移送、その他の移送やハンドリングを行う。
【0025】
基板収納容器30は、基板2を1つ又は複数収納できる箱状の容器であり、具体的にはSEMI規格に規定されているFOUP(Front-Opening Unified Pod)と呼ばれる容器であり、以下「フープ」という。
【0026】
図2に示したように、アライナ20は、回転軸中心まわりに回転する回転テーブル21を有し、回転テーブル21の上に載置された基板2の中心の位置と当該中心位置のアライナ20に対する方向(角度)を、センサ部23を用いて検出し、および/又はアライナ20又はロボット10に対して、基板2の中心についての所定の位置決めを行う。
【0027】
また、基板2の外周部のノッチ位置を検出すること、およびアライナ20及び/又はロボット10に対して、基板2のノッチを所定の位置決めを行うこともある。
【0028】
<ロボット>
本実施形態におけるロボット10の概要を、
図3を用いて説明する。
【0029】
本実施形態におけるロボット10は、
図3に示すように、基台12とアーム部13を備え、アーム部13は、鉛直軸を中心に水平旋回する2つのアーム(基台側の第一アーム14及び第一アーム14に接続する第二アーム15)を備えている水平(旋回)多関節型ロボットである。また、アーム部13の第二アーム15には、被搬送物である基板2を把持するハンド16が備えられている。なお、本実施形態におけるロボットの軸構成については、水平旋回型に限定されず、水平面内での移動、位置決めができるロボットであれば足りる。
【0030】
ハンド16には、真空吸引式などのものが使用される。
【0031】
基台12は、アーム部13を昇降させるための昇降機構を有している。
【0032】
次に、ロボット10の機構と動作を具体的に説明する。
【0033】
第一アーム14は、その根元部が基台12の上部に第一回転軸17により回転可能に連結され、第二アーム15は、その根元部が第一アーム14の先端部に第二回転軸18により回転可能に連結され、ハンド16は、その根元部が第二アーム15の先端部に第三回転軸19により回転可能に連結されている。
【0034】
これらの回転軸は、お互いに独立して、位置決めや速度の動作制御が可能であり、モータや減速機等の駆動装置を介して制御駆動される。
【0035】
ロボット10は、以上のような機構により、ハンド16を、水平面内における移動及び姿勢(ハンドの向く方向(角度))並びに鉛直上下方向の移動について制御可能である。したがって、ロボット10を使用して、フープ30から基板2を取り出してアライナ20へ搬送したり、アライナ20上に載置された基板2を処理室40へ搬送したり、その他の搬送を行うことができる。
【0036】
なお、前記で説明した基板2の搬送については、すべて同一の1つのロボット10を使用して実施してもよく、複数のロボット10を使用して実施しても良い。例えば、フープ30からアライナ20への搬送のためには第1のロボット10、アライナ20から処理室40への搬送は第2のロボット10のように、異なるロボットを使用してもよい。
【0037】
<アライナ>
基板2は、前記のとおり、所定の結晶構造を有しているため、基板2を処理室40において処理するためには、処理室40の処理装置内に基板2の中心位置と結晶軸方向を確保して搬送・載置する必要がある。
【0038】
しかしながら、フープ30に収納された基板2は、その中心の位置や結晶軸方向に対応したノッチの方向が正確に位置決めされておらず、ロボット10が搬送のためにハンド16で把持した基板2のハンド16に対する中心位置とノッチ方向を把握できない。
【0039】
このため、基板2を所定の中心位置とノッチ方向を確保して処理室4に搬送して載置することができない。
【0040】
したがって、正確な位置と方向が把握できないフープ30内の基板2を、アライナ20に搬送し、ハンド16に対して所定の中心位置とノッチ方向を検出・特定し、及び/又は所定の位置と方向に位置決めするために、アライナ20が使用される。
【0041】
したがって、アライナ20は、回転テーブル21上に載置された基板2について、回転テーブル21の回転中心(以下「アライナ基準点」という。)に対する基板2の中心のずれ(以下「トータルオフセット」という。)の大きさ及び/又は方向を検出ないし特定する機能を有する。さらに、アライナ20を使用して、基板2を、その中心がアライナ基準点と一致させること、及び/又は、基板2のノッチを所定の方向に位置合わせすることを行うこともある。
【0042】
アライナ20は、
図2に示されるように、その上に載置された基板2を回転し、所定の角度で位置決めすることのできる回転テーブル21、ノッチ3の位置を検出するためのセンサ部23を備えている。
【0043】
先ず、ノッチの位置の検出について説明する。
【0044】
センサ部23は、回転テーブル21に載置された基板2の外周部において、基板2を挟んでその上方(又は下方)に投光部(図示せず)、下方(又は上方)に受光部(図示せず)を配置し、投光部からの照射光を受光部で受光する。
【0045】
投光部からの照射光は、基板2により遮られているが、ノッチの部分では、遮光が少なくなり、受光部により受光される光量が増大する。そこで、回転テーブル21により回転される基板2の光量の変化に基づいて、ノッチの位置を検出する。
【0046】
次に、回転テーブル21の回転中心に対する基板2の位置ずれ(トータルオフセット)の大きさおよび角度の検出方法について説明する。
【0047】
回転テーブル21の回転中心(アライナ基準点)を基準として、回転テーブル21上に載置された基板2の外周部端面までの距離Lは、
図4に示されるように、回転テーブル21の中心と基板2の中心とを結ぶ直線上であって、回転テーブル21の中心から基板2の中心に向かう方向のものが最長(具体的な最長距離L
maxは、基板2の半径+ずれ量、である。)、その逆の方向のものが最短(具体的な最短距離L
minは、基板2の半径−ずれ量、である。)であり、最長点と最短点との間では、回転テーブル21の回転に応じて連続的に変化している。なお、L
max−L
min=2xずれ量、である。
【0048】
したがって、回転テーブル21の回転に応じたセンサ部23部における受光部の受光量の変化に基づいて、その光量の極大及び/又は極小となる回転テーブル21の回転角度により回転テーブル21の中心に対する基板2の中心方向の方向(角度)、すなわちトータルオフセットの方向が検出できる。
【0049】
また、前記最長距離L
max又は前記最短距離L
minは、前記のとおり、基板2の中心の回転テーブル21の中心に対する位置ずれの大きさの増加に対応して、それぞれ増加又は減少するため、前記最長点及び/又は最短点におけるセンサ部23の受光部の受光量の絶対値の大きさに基づいて位置ずれ量、すなわちトータルオフセットの大きさを検出する。
【0050】
なお、位置ずれをより正確に検出するためには、受光量の変化をより精密ないし正確に検出できることが望ましい。このためには、相対する投光部および受光部に複数の発光素子及び受光素子を直線状に配置するリニアアレイセンサを使用することが望ましい。
【0051】
なお、前記説明では、ノッチ位置の検出と位置ずれ量の測定を同一のセンサ部23を使用することしているが、それぞれ別のセンサ部23aとセンサ部23bを備えてもよい。
【0052】
<ロボット座標系とアライナ座標系との関係>
ロボット座標系とアライナ座標系との関係について、
図5を参照しつつ説明する。
【0053】
本実施形態に係るロボット10は、水平旋回多関節型であり、また、アライナ20も水平面内で回転する機構であるため、ロボット10およびアライナの位置決め等の動作は、基本的に水平面内で検討すれば足りる。したがって、ロボット座標系およびアライナ座標系とも、両者のxy座標系における関係について検討する。そこで、以下では、特に断らない限り、ロボット座標系、アライナ座標系は、それぞれロボット座標系のxy座標系及びアライナ座標系のxy座標系を意味するものとする。
【0054】
ロボット座標系とアライナ座標系とは、一般には、原点の位置のずれ(以下「原点オフセット」という。)と両座標軸の間には相対角度(θ)が存在するので、アライナ座標系における座標(X
A, Y
A)
Tをロボット座標系における座標(X
R, Y
R)
Tで表すと次式となる。
【0056】
ここで、O
oは、原点オフセットベクトルであり、具体的には、ロボット座標系原点を始点、アライナ座標系原点を終点とするベクトル、具体的には、アライナ座標系原点O
a(X
C,
Y
C)
Tのロボット座標系で表した座標(X
C, Y
C)
RTである。
【0057】
なお、次式で表される行列Hを、ロボット座標系とアライナ座標系との座標変換行列という。
【0059】
原点オフセット(ベクトル)O
oおよび変換行列Hが定まれば、アライナ座標系における位置がロボット座標系における位置として、またはその逆が特定できる。したがって、ハンドリングや搬送等のロボットの教示作業においては、原点オフセットや座標変換行列を求める作業が必要となり、このような作業をキャリブレーションということがある。
【0060】
一方、従来は、この作業を治具等を使用して行っており、前記のとおり作業に熟練を要する等の課題があった。
【0061】
そこで、本実施形態においては、以下に説明する方法により、この作業の効率化、簡略化等を実現したものである。
【0062】
以上を踏まえて、次にロボット教示の手順を説明する。
<ロボット教示の手順>
ロボット10、アライナ20、基板2及びフープ30を使用した教示の手順について、
図6を参照しつつ説明する。なお、
図6は、アライナ20におけるロボット10や基板2の中心位置等の教示点や動作点を示している。
【0063】
ステップ1
フープ30内に、基板2の中心が正確になるように配置して収納する。
【0064】
ステップ2
フープ30内の取出し位置として予め暫定的に設定したフープ位置P
0(以下「仮設定されたフープ位置」という。)に基づき、ロボット10により基板2を、フープ30から取り出す。ここで、P
0は、基板2を取り出すための仮設定されたフープ位置であるため、ロボット10により基板2の中心位置の把握はなされていない。
【0065】
なお、仮設定されたフープ位置は、ロボット座標系で特定されている。
【0066】
ステップ3
回転テーブル21の基準位置(回転テーブルの回転中心)として予め暫定的に設定したアライナ位置O
ac(以下、「仮設定されたアライナ位置」という。)に基づき、ロボット10により基板2を、アライナ20の回転テーブル21に搬送し載置する。以下、仮設定されたアライナ位置に基づき回転テーブル21の上に載置された基板2の中心位置を「第一の基板載置位置」といい、A
1とし、ロボット座標系における座標を(X
1, Y
1)
Tであらわす。
【0067】
第一の基板載置位置A
1は、仮設定されたフープ位置P
0および仮設定されたアライナ位置O
acを使用してアライナ上に載置されているため、アライナ座標系原点O
aからずれている。第一の基板載置位置A
1のアライナ座標系原点O
aからのずれ(以下「トータルオフセット1」という。)(ベクトル)O
t1は、フープ30において基板2を取り出すべき真のフープ位置(以下「真のフープ位置」という。)Pに対する仮設定されたフープ位置P
0のずれ(以下「フープオフセット1」という。)(ベクトル)と、仮設定されたアライナ位置O
acのアライナ座標系原点O
aに対するずれ(以下「アライナオフセット」という。)(ベクトル)との(ベクトル)和である。
【0068】
なお、仮設定されたアライナ位置O
acは、ロボット座標系により特定されている。
【0069】
また、ロボット座標系においては、真のフープ位置Pとアライナ基準点(アライナ座標系原点)O
aは不明であるため、この時点では、フープオフセット1(O
f1)、アライナオフセット(O
a)およびトータルオフセット1(O
t1)も不明である。
【0070】
ステップ4
前記<アライナ>において説明した方法により、すなわち回転テーブル21を回転させてセンサ部23により最長距離L
max及び/又は最短距離L
minに基づいて、第一の基板載置位置A
1におけるトータルオフセット1(O
t1)の大きさ及びその方向(角度)を測定する。
【0071】
なお、トータルオフセット1(O
t1)の測定値は、アライナ座標系において測定されているため、その座標はアライナ座標系として特定されている。
【0072】
ステップ5
回転テーブル21を回転させて基板2の中心位置を第一の基板載置位置A
1に戻す。
【0073】
ステップ6
回転テーブル21上の基板2をロボットハンド16で把持して、ロボット10を使用して、ロボット座標系において、x軸と平行な方向に予め設定した距離d移動して回転テーブル21上に載置する。この移動後の基板2の中心位置を第二の基板載置位置A
2とし、ロボット座標系における座標を(X
2, Y
2)
Tであらわす。なお、本実施形態では、前記ロボット10による基板2の移動方向をx軸と平行な方向としたのは、以下の式の変形や誘導を簡略化するためであって、原理的ないし数学的には、予め設定する距離dが特定できれば、移動方向は任意の方向であって構わない。
【0074】
ステップ7
前記<アライナ>において説明した方法により、すなわち回転テーブル21を回転させてセンサ部23により最長距離L
max及び/又は最短距離L
minに基づいて、第二の基板載置位置A
2におけるアライナ座標系原点に対する基板2の中心の位置ずれ(ベクトル)(以下「トータルオフセット2」という。)O
t2の大きさ及び方向を測定する。
【0075】
なお、トータルオフセット2(O
t2)の測定値は、アライナ座標系において測定されているため、その座標はアライナ座標系として特定されている。
【0076】
次に、基板2の第一の基板載置位置A
1から第二の基板載置位置A
2への移動ベクトルについて、
図7を参照しつつアライナ座標系とロボット座標系で特定し、関係を検討する。
【0077】
トータルオフセット1(O
t1)は、第一の基板載置位置A
1における基板中心の位置ずれ(トータルオフセット1)ベクトルである。
【0078】
B
aは、第一の基板載置位置A
1から第二の基板載置位置A
2への基板2の移動についてのアライナ座標系における移動ベクトル、B
rは、当該移動についてのロボット座標系における移動ベクトルである。なお、これら2つの移動ベクトルは、物理的には同一であるが、ロボット座標系における移動ベクトル(B
r)は既知であるが、アライナ座標系における移動ベクトル(B
a)は既知ではない。
【0079】
ここで、トータルオフセット1(O
t1)はステップ4により、またトータルオフセット2(O
t2)は本ステップにおける前記測定により特定され、いずれも既知であるため、B
a=O
t2−O
t1(
図7左のアライナ座標系)より、アライナ座標系における移動ベクトルB
aを求めることができる。
【0080】
また、前記のとおり、B
rとB
aとは、物理的には同一であるから、B
rとB
aとの関係は、アライナ座標系とロボット座標系との座標変換行列Hを用いて、次式で表現することができる。
【0082】
ここで、B
a=(X
a1, Y
a1)
Tとおくと、B
r=(d, 0)
Tであるから、式3から誘導した次式により、アライナ座標系とロボット座標系との相対角度θを求めることができる。
【0084】
したがって、式4により算出されたθを式2に代入することにより、アライナ座標系とロボット座標系との座標変換行列Hが求まる。
【0085】
ステップ8
基板2をロボット10のハンド16で把持して第一の基板載置位置A
1に戻す。したがって、このときの基板2の中心位置はA
1である。
【0086】
ステップ9
仮設定されたアライナ位置(O
ac)を通りz線に平行な直線のまわりにハンド16を予め設定した角度αだけ回転する。
【0087】
ステップ10
角度αの回転が終了したら、基板2を回転テーブル21の上に載置する。このときの基板2の中心位置を第三の基板載置位置A3とし、ロボット座標系における座標を(X
3, Y
3)
Tとする。
【0088】
ステップ11
前記<アライナ>において説明した方法により、すなわち回転テーブル21を回転させてセンサ部23により最長距離L
max及び/又は最短距離L
minに基づいて、第三の基板載置位置A
3の位置における基板中心位置ずれ(トータルオフセット3)O
t3の大きさ及び方向を測定する。
【0089】
アライナ座標系におけるトータルオフセット1(O
t1)及びトータルオフセット3(O
t3)は、アライナによる測定(ステップ4及びステップ7)により既知である。
【0090】
一方、ロボット座標系におけるアライナオフセット(O
a)、フープオフセット1(O
f1)及びフープオフセット3(O
f3)は、未知である。ここで、アライナオフセットとは、アライナ座標系原点(回転テーブル21の中心)に対する仮設定されたアライナ位置O
acのずれであり、アライナ座標系原点O
aを始点、仮教示されたアライナ位置O
acを終点とするベクトルをいう。
【0091】
以上において、未知数が3であるから、これらの未知数を求めるためには、3つの方程式が必要となる。
【0092】
トータルオフセット1(O
t1)及びトータルオフセット3(O
t3)は、それぞれ、フープオフセット1(O
f1)及びフープオフセット3(O
f3)と、アライナオフセット(O
a)とのベクトル和であるから、以下の関係となっている。
【0095】
また、第三の基板載置位置A
3は、仮設定されたアライナ位置O
acを中心として、ロボット10のハンド16を回転して生成されたものであるため、O
f1とO
f3の大きさ(絶対値)は等しい。
【0096】
そこで、|O
f1|=|O
f3|=O
fとおく。
【0097】
したがって、点O
ac、点A
1及び点A
3から形成される三角形が、点O
acを頂点とする二等辺三角形であることから、以下の関係式が導かれる。
【0098】
(X
3−X
1)
2+(Y
3−Y
1)
2=b
2 (7)
【0101】
ここで、φは、点A
1から点A
3へ向かうベクトルがロボット座標系のx軸(正)方向となす角度、bは、第一の基板載置位置A
1と第三の基板載置位置A
3との距離である。
【0102】
式7ないし式9により、それぞれb、O
f1の大きさ(O
f)及びφを求めることができる。
【0103】
したがって、それらの値から、次式を用いて仮設定されたアライナ位置O
acの座標(X
a, Y
a)
Tの値を求めることができる。
【0106】
これらの座標値を使用して、次式により、フープオフセット1(O
f1)を求めることができる。
【0108】
したがって、仮設定されたフープ位置P
0に式12で求められたO
f1を加えることにより、真のフープ位置Pを求めることができる。
【0109】
また、アライナ20において基板を真に載置すべき位置(以下「真のアライナ載置位置」という。)Aであるアライナ座標系原点O
a、すなわち回転テーブル21の中心位置の座標(X
c, Y
c)
Tが次式により求めることができる。
【0111】
以上の結果、真のフープ位置Pおよび真のアライナ載置位置Aを教示情報として求めることができるので、これらの教示位置を使用してロボットによる正確な搬送動作を実行(再生)することができる。
【0112】
本実施形態によれば、次の効果が実現できる。
− 教示用治具等を必要とせずに、教示作業が可能となるため、システムが簡素化できるとともに、制御に際してハンド等の情報が不要となり、制御が容易となる。
【0113】
− 教示用治具等を装置と接触する必要がなく、特にクリーン環境下で使用されるロボットでは、接触によるパーティクルの発生が防止できる。
【0114】
− オペレータが介在せずに自動教示が可能であり、オペレータの技量に依存せずに安定した高精度な教示が可能となる。