【実施例】
【0074】
[実施例1]
A32の合成
A32を調製するために使用した合成経路を
図1に示す。簡単に述べると、5-ブロモ-2-ヒドロキシベンズアルデヒドとフェニルボロン酸との間の鈴木クロスカップリング反応によって2-ヒドロキシ-5-フェニルベンズアルデヒド13を生じ、次いでそれをN-フェニルトリフルアミドと反応させて、2-ホルミルアリールトリフレート14を調製した。2-ホルミルアリールトリフレート14と3-ベンジルオキシフェニルボロン酸との間の別の鈴木反応により、テルフェニルアルデヒド15を得、これをジエチル5-ヒダントイルホスホネート(diethyl 5-hydantoylphosphonate)を用いたホーナー・ワズワース・エモンズ(HWE)反応に供して、不飽和ヒダントイン16を形成した。水素及びPd/Cの存在下、化合物16を同時のオレフィン還元及びフェノール脱保護に供して、A32を生成した。
【0075】
2-ヒドロキシ-5-フェニルベンズアルデヒド(13)の生成
5-ブロモサリチルアルデヒド(2.49g、12.4mmol)、フェニルボロン酸(1.51g、12.4mmol)、酢酸パラジウム(II)(14mg、0.5mol%)、及び炭酸カリウム(5.14g、37.2mmol)を脱気水(75mL)に加え、アルゴン雰囲気下、周囲温度で2時間撹拌した。TLC(1:1 ジクロロメタン/ペンタン)により反応をモニターした。水(75mL)を添加し、反応混合物を10% HClで酸性(pH6)にしてから、酢酸エチルで抽出(3回)した。合わせた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄してから、乾燥させ、濃縮した。この粗物質をシリカショートカラムに通し、1:1 ジクロロメタン/ペンタンで溶出し、次いで酢酸エチル/ペンタンから再結晶して、2-ヒドロキシ-5-フェニルベンズアルデヒド(1.89g、77%)を暗黄色の結晶として得た(所望であれば、再結晶する代わりに、ペンタンと共に粉砕してもよい)。融点100〜101℃。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 10.99 (s, 1H); 9.97 (s, 1H); 7.78-7.73 (m, 2H); 7.56-7.52 (m, 2H); 7.47-7.41 (m, 2H); 7.37-7.32 (m, 1H); 7.09-7.04 (m, 1H).
13C NMR (100 MHz, CDCl
3) δ196.9, 161.2, 139.6, 136.0, 133.6, 132.1, 129.2, 127.6, 126.8, 121.0, 118.4. EIMS: m/z 198 [M]
+. HRMS: C
13H
10O
2の計算値198.0675, 実測値198.0677.
【0076】
3-ホルミルビフェニル-4-イルトリフルオロメタンスルホネート(14)の生成
2-ヒドロキシ-5-フェニルベンズアルデヒド(100mg、0.50mmol)、N-フェニルトリフルイミド(180.0mg、0.51mmol)、及び炭酸カリウム(209mg、1.51mmol)を封管に入った無水THFに加えて撹拌し、マイクロ波照射を用いて120℃で6分間加熱した。減圧下で溶媒を除去し、水及びジクロロメタンを添加し、層を分離した。水層をジクロロメタンで更に抽出(2回)した。合わせた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄(1回)してから、乾燥させ、濃縮した。ラジアルクロマトグラフィーにより、1: 1 ジクロロメタン/ペンタンで溶出して精製して、3-ホルミルビフェニル-4-イル-トリフルオロメタンスルホネート(143mg、86%)を無色澄明の油として得た。
1H NMR (200 MHz, CDCl
3) δ 10.32 (s, 1H); 8.17 (d, 1H, J=2.4 Hz); 7.89 (dd,1H, J=8.6, 2.5 Hz); 7.63-7.36 (m, 6H).
13C NMR (125 MHz, CDCL
3) δ 186.5, 149.1, 142.3, 138.0, 134.1, 129.2, 129.1, 128.8, 128.6, 127.2, 122.9, 118.7 (q, J
CF-=320.9 Hz).
19F NMR (188 MHz, CDCl
3) δ -73.2. ElMS: m/z 330 [M]
+. HRMS: C
14H
9F
3O
2Sの計算値330.0168, 実測値330.0163.
【0077】
2'-[3-ベンジルオキシ-(1,1':4',1"テルフェニル)]カルバルデヒド(15)の生成
3-ホルミルビフェニル-4-イルトリフルオロメタンスルホネート(153mg、0.463mmol)、3-ベンジルオキシフェニルボロン酸(116mg、0.51mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(13mg、2.5 mol%)、及び無水リン酸カリウム(147mg、0.695mmol)をアルゴン雰囲気下でシュレンクフラスコに入れた。脱気1,4-ジオキサン(2mL)を添加し、混合物をアルゴンでパージした。この反応混合物を完全変換が観察されるまで(GCMSによりモニターした)85℃で加熱したが、これは概して一晩の反応時間を要した。この反応混合物をベンゼン(4mL)で希釈し、30%過酸化水素水溶液(10mL)で処理した。この生成物をジエチルエーテルで抽出(3回)し、合わせた有機抽出物を飽和食塩水で洗浄してから、乾燥させ、濃縮した。ラジアルクロマトグラフィーにより、1:1 ジクロロメタン/ペンタンで溶出して精製して、2'-[3-ベンジルオキシ-(1,1':4',1"-テルフェニル)]カルバルデヒド(122mg、72%)を無色澄明の粘性油として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 10.02 (s, 1H); 8.24 (dd, 1H, J=2.1, 0.3 Hz); 7.86 (dd, 1H, J=8.0, 2.1 Hz); 7.68-7.64 (m, 2H); 7.56-7.30 (m, 10H); 7.08-7.02 (m, 2H); 7.01-6.97 (m, 1H); 5.11 (s, 2H).
13C NMR (100 MHz, CCl
3) δ 192.6, 159.0, 144.8, 141.0, 139.7, 139.1, 136.9, 134.2, 132.2, 131.4, 129.8, 129.2, 128.9, 128.4, 128.2, 127.8, 127.3, 126.1, 123.2, 116.9, 114.9, 70.4. EIMS: m/z 364 [M]
+. HRMS: C
26H
20O
2の計算値: 364.1458, 実測値364.1450.
【0078】
(E/Z)-5-((3-(ベンジルオキシ)-[1,1':4',1"-テルフェニル]-2'-イル)メチレン)イミダゾリジン-2,4-ジオン(16)の生成
2'-[3-ベンジルオキシ-(1,1':4',1"-テルフェニル)]カルバルデヒド(15)(978mg、2.7mmol)、ジエチル5-ヒダントイルホスホネート(949mg、4.0mmol)、粉末水酸化カリウム(301mg、5.4mmol)、エタノール(20mL)、及び水(0.5mL)を20mLの反応バイアル中で混ぜ合わせ、マイクロ波照射(300ワット)を用いて150℃で1時間加熱した。この混合物を水に注ぎ入れ、ワットマン542硬質無灰濾紙を用いた濾過によって固体を回収し、水でよく洗浄した。この固体を温エタノールに溶解し、再び撹拌しながら水にゆっくりと注ぎ入れて、微細沈殿物を生成した。この固体を濾過(ワットマン542硬質無灰濾紙)により回収し、水でよく洗浄してから、真空中、40℃で乾燥させて、(E/Z)-5-((3-(ベンジルオキシ)-[1,1':4',1"-テルフェニル]-2'-イル)メチレン)イミダゾリジン-2,4-ジオン(16)(1.04g、87%)を淡黄色の固体として得た。さらなる精製は必要なかった。
1H NMR (200 MHz, DMSO-d
6) δ 10.99 (br s, 2H); 7.90 - 7.21 (m, 14H), 7.17 - 6.89 (m, 3H), 6.21 (s, 1H), 5.14 (s, 2H).
13C NMR (50 MHz, DMSO-d
6) δ 165.5, 158.3, 155.9, 141.0, 140.5, 139.8, 139.6, 137.0, 131.2, 130.5, 129.5, 129.2, 128.8, 128.4, 127.8, 127.6 (2つのシグナルは一致), 127.1, 126.9, 122.1, 115.9, 114.2, 106.8, 69.4 (1つのシグナルは認められず). EIMS: m/z 実測値: M
+・ 446.1619, C
29H
22N
2O
3計算値446.1625. EIMS: m/z 446 (M
+・, 8%), 383 (5), 356 (15), 355 (57), 313 (10), 312 (42), 284 (13), 258 (6), 257 (24), 228 (6), 92 (8), 91 (100).
【0079】
5-((3-ヒドロキシ-[1,1':4',1"-テルフェニル]-2'-イル)メチル)イミダゾリジン-2,4-ジオン(A32)の生成
(E/Z)-5-((3-(ベンジルオキシ)-[1,1':4',1"-テルフェニル]-2'-イル)メチレン)イミダゾリジン-2,4-ジオン(16)(1.02g、2.3mmol)及びメタノール(50mL)中の10%パラジウム炭素(H
2O中50質量%、200mg)を50psiの水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。メタノールを除去し、残渣をDCMに溶解し、GF紙で重力濾過した。ラジアルクロマトグラフィー(3:97 メタノール:DCM→5:95 メタノール:DCM)及び分取HPLC(化合物をChromatorex C
18シリカに予め吸着させる、45% ACN/H
2O、80mL/分、240nm、300×40mm Deltaprep C
18カラム)により精製して、5-((3-ヒドロキシ-[1,1':4',1"-テルフェニル]-2'イル)メチル)イミダゾリジン-2,4-ジオン(A32)(285mg、35%)を白色の微粉末として得た。融点214〜216℃。
1H NMR (200 MHz, DMSO-d
6) δ 10.59 (br s, 1H), 9.54 (br s, 1H), 7.90 (m, 1H), 7.80 - 7.31 (m, 7H), 7.30 - 7.15 (m, 2H), 6.84 - 6.67 (m, 3H), 4.22 (m, 1H), 3.12 (dd, 1H, J 4.5, 14.6 Hz), 2.81 (dd, 1H, J 9.0, 14.6 Hz).
13C NMR (50 MHz, DMSO-d
6) δ 175.4, 157.3, 157.1, 141.8, 141.3, 139.9, 139.1, 134.4. 130.3, 129.2, 128.8, 128.0, 127.4, 126.8, 124.8, 119.8, 116.0, 114.1, 57.9, 34.8. EIMS: m/z 実測値: M
+・ 358.1306, C
22H
18N
2O
3計算値358.1312. EIMS: m/z 358 (M
+・, 50%), 260 (23), 259 (100). HPLC純度 (40% ACN / H
2O, 263 nm): 99.26%.
【0080】
[実施例2]
A6の合成
A6を調製するために使用した合成経路を
図2に示す。
【0081】
ジエチル[2-アミノ-3,3,3-トリフルオロプロパ-1-エン-1-イル]ホスホネートの生成
無水テトラヒドロフラン(33mL)中のジエチルメチルホスホネート(1.000g、6.57mmol)の溶液を窒素下で調製し、-80℃の冷却浴中で冷却した。ジエチルエーテル中の1.21Mのメチルリチウム溶液(5.5mL、6.6mmol)を滴加した。この混合物を窒素下、-80℃で1時間撹拌した。
【0082】
トリフルオロ酢酸(0.71mL、9.6mmol)を無水ピリジン(11.7mL、145mmol)に窒素下で滴加した。窒素流下で、雲状の蒸気を除去した。50mLの丸底フラスコにトリフルオロアセトアミド(3.177g、33.4mmol)を入れ、窒素下で、ピリジン/トリフルオロ酢酸混合物に溶解させた。この溶液上の頭隙にカニュラを挿入し、このカニュラの他端はホスホネート溶液中に挿入した。トリメチルアセチルクロリド(7.3mL、59.3mmol)をトリフルオロアセトアミド溶液に80分間かけて滴加した。ホスホネート溶液は、添加中-80℃で撹拌し、その後更に4時間撹拌してから、一晩室温に戻した。
【0083】
この反応混合物をジクロロメタン(20mL)と水(60mL)とに分配した。相を分離した。水層をジクロロメタン(10mL)で抽出した。合わせたジクロロメタン層を飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、表題化合物を淡黄色の粉末として得た(638mg、39%)。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 5.71 (br. s, 2H), 4.46 (d, J=8.6 Hz, 1H), 3.98 - 4.15 (m, 4H), 1.34 (t, J=7.0 Hz, 6H).[参考文献: F. Palaciosら、J. Org. Chem. 2004、69、8767〜8774頁]。
【0084】
1,1,1-トリフルオロ-4-[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]ブタ-3-エン-2-アミンの生成
無水テトラヒドロフラン(7.7mL)中のジエチル[2-アミノ-3,3,3-トリフルオロプロパ-1-エン-1-イル]ホスホネート(638mg、2.58mmol)の溶液及び無水テトラヒドロフラン(7.7mL)中の3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1''-テルフェニル-2'-カルバルデヒド(944mg、2.59mmol)の溶液を窒素下で調製した。ホスホネート溶液を-5℃に冷却した。ヘキサン中の1.47Mのブチルリチウム溶液(1.8mL、2.65mmol)を滴加した。この混合物を窒素下、-5℃で1時間撹拌した。アルデヒド溶液をシリンジで滴加した。この混合物を窒素下、-5℃で15分間撹拌してから、室温で70分間撹拌した。
【0085】
反応混合物を-78℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(196mg、5.18mmol)を添加し、続いてメタノール(15mL)を滴加した。この混合物を-78℃で80分間撹拌してから、一晩室温に戻した。
【0086】
塩酸(1M、5mL)を慎重に添加した。この混合物を室温で45分間撹拌し、水酸化ナトリウム(253mg、6.33mmol)を添加してpH11(万能指示薬)に調整し、酢酸エチル(30mL)で抽出した。水層を酢酸エチル(10mL)と水(10mL)とに分配し、相を分離した。合わせた酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し(2×20mL)、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン)により精製して、標題化合物(72mol%)と出発アルデヒドの還元に由来するベンジルアルコール(28mol%)の混合物を得た(467mg、39%)。
1H NMR (400MHz、CDCl
3;選択した共鳴)標題化合物C(3)H:6.14(dd、J=15.8、6.8 Hz、1 H) 、ベンジルアルコールArCH
2OH:4.65(d、J=5.7 Hz、2H)。
【0087】
2'-(3-アミノ-4,4,4-トリフルオロブチル)-1,1':4',1"-テルフェニル-3-オール(A6)の生成
酢酸(20mL)中の粗1,1,1-トリフルオロ-4-[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]ブタ-3-エン-2-アミン(576mg、1.25mmol)の溶液を10%パラジウム炭素(Pdに関して、131mg、0.12mmol)に添加した。この混合物を2.1バールで18時間水素化した。この混合物をセライトで濾過した。濾過ケーキを酢酸で洗浄した(2×20mL)。合わせた濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣を酢酸エチル(20mL)と飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)とに分配した。酢酸エチル層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)及び飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、表題化合物を淡橙褐色の油として得、これは静置時に凝固した(323mg、69%)。この生成物を7.5%ジクロロメタン/ヘキサンに懸濁させ、濾過によって単離して、オフホワイトの粉末を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 7.58 - 7.67 (m, 2H), 7.42 - 7.55 (m, 4H), 7.33 - 7.40 (m, 1H), 7.27 - 7.33 (m, 2H), 6.88 - 6.95 (m, 1H), 6.79 - 6.87 (m, 2H), 5.26 (br. s, 1H), 2.93 - 3.08 (m, 2H), 2.69 - 2.82 (m, 1H), 1.85 - 1.98 (m, 1H), 1.48 - 1.61 (m, 1H), 1.17 (br. s, 2H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220nmに99.40%; LCMS [M+H]
+ = 372.2.
【0088】
[実施例3]
A30の合成
A30を調製するために使用した合成経路を
図3に示す。
【0089】
3-(トリフェニル-l
5-ホスファニリジン)ピロリジン-2,5-ジオンの生成
アセトン(165mL)中のマレイミド(3.17g、32.7mmol)及びトリフェニルホスフィン(8.56g、32.6mmol)の懸濁液を窒素下、1時間加熱還流した。この反応混合物を室温に冷まし、濾過した。濾過ケーキをアセトンで洗浄し(3×20mL)、真空下で乾燥させて、表題化合物を白色の粉末として得た(7.21g、61%)。
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6) 9.73 (br. s, 1H), 7.66 - 7.75 (m, 3H), 7.53 - 7.65 (m, 12H), 2.89 (s, 2H).
【0090】
上記からの濾液を合わせ、濃縮して約120mLの溶媒を除去した。残った物質を窒素下で2時間加熱還流し、室温に冷まし、濾過した。濾過ケーキをアセトンで洗浄し(3×10mL)、真空下で乾燥させて、さらなる収量の表題化合物を白色の粉末として得た(2.63g、22%)。[参考文献: G. Brackmanら、Bioorg. Med. Chem. 2013、21、660〜667頁]。
【0091】
3-{[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]メチリデン}ピロリジン-2,5-ジオンの生成
【0092】
メタノール(15mL)の3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-カルバルデヒド(1.71g、4.69mmol)及び3-(トリフェニル-l
5-ホスファニリジン)ピロリジン-2,5-ジオン(1.69g、4.69mmol)の混合物を窒素下で1.5時間加熱還流した。この反応混合物を熱いまま濾過した。濾過ケーキをメタノールで洗浄し(2×25mL)、風乾して、表題化合物を黄色の粉末として得た(1.05g、50%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) 8.18 (s, 1H), 7.67-7.69 (m, 3H), 7.61 (d, J=8.0 Hz, 2H), 7.33 - 7.51 (m, 10H), 7.02 (dd, J=8.0, 2.0 Hz, 1H), 6.95 (s, 1H), 6.92 (d, J=7.6 Hz, 1H), 5.10 (s, 2H), 3.56 (s, 2H); LCMS [M+H]
+ = 446.3, [M+Na]
+ = 468.2, [M-H]
- = 444.2.
【0093】
3-[(3-ヒドロキシ-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル)メチル]ピロリジン-2,5-ジオン(A30)の生成
3-{[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]メチリデン}ピロリジン-2,5-ジオン(2.25g、5.05mmol)、酢酸エチル(200mL)、及びトリエチルアミン(40滴)の混合物を通して窒素(2L)を5〜10分間バブリングすることにより、この混合物を脱気した。10%パラジウム炭素(0.23g)を窒素下で添加した。この混合物を還流状態で大気圧で一晩水素化した。この熱い反応混合物をセライトで濾過し、濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した(3×50mL)。合わせた濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)により精製した。この生成物をエタノール(100mL)から濃縮し、高真空下で3日間乾燥させて、表題化合物を無色のガラスとして得た(1.61g、89%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) 7.89 (br. s, 1H), 7.61 (d, J=6.8 Hz, 2H), 7.53 (dd, J=8.0, 2.0 Hz, 1H), 7.44 - 7.48 (m, 3H), 7.37 (t, J=7.2 Hz, 1H), 7.31 (t, J=7.2 Hz, 2H), 6.81 - 6.90 (m, 3H), 5.40 (br. s, 1H), 3.51 (dd, J= 14.0, 4.8 Hz, 1H), 3.01 (m, 1H), 2.87 (dd, J=14.0, 10.4 Hz, 1H), 2.56 (dd, J=18.4, 9.2 Hz, 1H), 2.25 (dd, J= 18.4, 5.6 Hz, 1H); HPLC 220nmに99.01%; LCMS [M+H]
+ = 358.2, [M+Na]
+ = 380.1, [M-H]
- = 356.2.
【0094】
[実施例4]
A56f、A56g、及びA56の合成
A56f、A56g、及びA56を調製するために使用した合成経路を
図4に示す。
【0095】
2-[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]-1-(メチルスルファニル)エテニルメチルスルホキシドの生成
3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-カルバルデヒド(5.330g、14.6mmol)をテトラヒドロフラン(65mL)に溶解させた。メチル(メチルスルフィニル)メチルスルフィド(2.745g、22.1mmol)及び水酸化ナトリウム(654mg、16.4mmol)を添加した。この混合物を窒素下で一晩加熱還流した。この反応混合物を酢酸エチル(400mL)と水(200mL)とに分配した。水層を酢酸エチルで抽出した(2×200mL)。合わせた酢酸エチル層を水(2×200mL)及び飽和食塩水(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)により精製して、表題化合物を淡橙色の油として得た(3.733g、54%)。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 8.14 (d, J=1.4 Hz, 1H), 7.62 - 7.72 (m, 4H), 7.42 - 7.53 (m, 5H), 7.39 (t, J=7.3 Hz, 3H), 7.29 - 7.36 (m, 2H), 6.90 - 7.01 (m, 3H), 5.10 (s, 2H), 2.70 (s, 3H), 2.28 (s, 3H).
【0096】
エチル[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]アセテートの生成
2-[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]-1-(メチルスルファニル)エテニルメチルスルホキシド(3.733g、7.93mmol)をエタノール(70mL)に溶解させた。濃塩酸(6.6mL)を添加し、混合物を5日間加熱還流した。この反応混合物を酢酸エチル(500mL)と水(250mL)とに分配した。酢酸エチル層を水(200mL)及び飽和食塩水(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン)により精製して、表題化合物を黄橙色の油として得た(2.129g、64%)。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 7.60 - 7.68 (m, 2H), 7.59 (br. s, 1H), 7.55 (dd, J=8.0, 1.6 Hz, 1H), 7.42 - 7.50 (m, 4H), 7.29 - 7.42 (m, 6H), 6.92 - 7.04 (m, 3H), 5.09 (s, 2H), 4.10 (q, J=7.0 Hz, 2H), 3.65 (s, 2H), 1.21 (t, J=7.1 Hz, 3H); LCMS [M+H]
+ = 423.1.
【0097】
2-[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]エタノールの生成
エチル[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]アセテート(2.129g、5.04mmol)を無水テトラヒドロフラン(20mL)に窒素下で溶解させた。無水テトラヒドロフラン(10mL)中の水素化アルミニウムリチウム(306mg、8.06mmol)の懸濁液を窒素下で調製し、氷/水浴中で冷却した。エステル溶液を水素化アルミニウムリチウム懸濁液に滴加した。この混合物を窒素下、室温で一晩撹拌した。この反応混合物を氷/水浴中で冷却した。水(0.37mL)、15%水酸化ナトリウム溶液(0.37mL)、及び水(1.5mL)を滴加することによって、過剰量の水素化アルミニウムリチウムをクエンチした。この混合物を30分間撹拌した。酢酸エチル(60mL)を添加し、混合物をセライトで濾過した。濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した(2×30mL)。合わせた濾液を乾燥するまで蒸発させて、表題化合物を淡橙色の油として得た(2.046g、107%)。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 7.59 - 7.67 (m, 2H), 7.55 (d, J=1.6 Hz, 1H), 7.50 (dd, J=7.9, 1.9 Hz, 1H), 7.43 - 7.48 (m, 4H), 7.28 - 7.42 (m, 6H), 6.92 - 7.03 (m, 3H), 5.11 (s, 2H), 3.66 - 3.74 (m, 2H), 2.92 (t, J=6.8 Hz, 2H), 1.21 (t, J=5.9 Hz, 1H); LCMS [M+H-H
2O]
+ = 363.3, [2M+H]
+ = 761.6.
【0098】
2-{2-[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]エトキシ}-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオンの生成
2-[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]エタノール(2.046g、5.38mmol)、トリフェニルホスフィン(1.707g、6.51mmol)、及びN-ヒドロキシフタルイミド(1.053g、6.45mmol)の混合物を無水テトラヒドロフラン(30mL)に窒素下で懸濁させた。この混合物を氷/水浴中で冷却した。アゾジカルボン酸ジエチル(1.130g、6.49mmol)を滴加した。この混合物を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を乾燥するまで蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘキサン)により精製して、表題化合物を淡黄色のろう状固体として得た(2.509g、89%)。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 7.75 - 7.82 (m, 2H), 7.69 - 7.74 (m, 2H), 7.61 - 7.68 (m, 3H), 7.43 - 7.53 (m, 5H), 7.32 - 7.43 (m, 4H), 7.28 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.21 (t, J=7.9 Hz, 1H), 6.86 - 6.96 (m, 2H), 6.79 (dd, J=8.3, 1.9 Hz, 1H), 5.06 (s, 2H), 4.26 (t, J=7.6 Hz, 2H), 3.19 (t, J=7.5 Hz, 2H).
【0099】
O-{2-[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]エチル}ヒドロキシルアミンの生成
2-{2-[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]エトキシ}-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン(1.769g、3.37mmol)を無水エタノール(65mL)に懸濁させた。ヒドラジン水和物(230μL、3.69mmol)を添加し、混合物を窒素下、65℃で8時間加熱してから、室温で一晩静置した。この反応混合物を濾過した。濾過ケーキをエタノールで洗浄した(2×30mL)。合わせた濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をジクロロメタン(60mL)に懸濁させ、混合物を濾過した。濾過ケーキをジクロロメタンで洗浄した(2×30mL)。合わせた濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)により精製して、表題化合物を澄明油として得た(1.317g、99%)。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 7.59 - 7.68 (m, 2H), 7.55 (d, J=1.8 Hz, 1H), 7.42 - 7.52 (m, 5H), 7.27 - 7.42 (m, 6H), 6.93 - 7.03 (m, 3H), 5.22 (br. s, 2H), 5.11 (s, 2H), 3.77 (t, J=6.9 Hz, 2H), 2.96 (t, J=6.9 Hz, 2H).
【0100】
2'-(2-ヒドロキシエチル)-1,1':4',1"-テルフェニル-3-オール(A56f)の生成
酢酸エチル(40mL)中のO-{2-[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]エチル}ヒドロキシルアミン(1.317g、3.33mmol)の溶液を10%パラジウム炭素(Pdに関して、346mg、0.33mmol)に添加した。この混合物を2.1バールで65時間水素化した。この混合物をセライトで濾過した。濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した(2×40mL)。合わせた濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン)により精製して、表題化合物を白色の粉末として得た(864mg、89%)。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 7.59 - 7.68 (m, 2H), 7.53 - 7.58 (m, 1H), 7.41 - 7.53 (m, 3H), 7.33 - 7.40 (m, 1H), 7.26 - 7.33 (m, 2H), 6.88 - 6.96 (m, 1H), 6.79 - 6.87 (m, 2H), 5.14 (br. s, 1H), 3.71 - 3.84 (m, 2H), 2.97 (t, J=6.8 Hz, 2H), 1.35 - 1.48 (m, 1H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220nmに99.19%; LCMS [M+H-H
2O]
+ = 273.2, [M+Na]
+ = 313.2.
【0101】
2-[2-(3-ヒドロキシ-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル)エトキシ]-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン(A56g)の生成
2'-(2-ヒドロキシエチル)-1,1':4',1"-テルフェニル-3-オール(864mg、2.98mmol)、トリフェニルホスフィン(946mg、3.61mmol)、及びN-ヒドロキシフタルイミド(587mg、3.60mmol)の混合物を無水テトラヒドロフラン(30mL)に窒素下で懸濁させた。この混合物を氷/水浴中で冷却した。アゾジカルボン酸ジエチル(626mg、3.59mmol)を滴加した。この混合物を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を乾燥するまで蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)により精製して、表題化合物を白色の粉末として得た(1.265g、98%)。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 7.79 - 7.88 (m, 2H), 7.71 - 7.79 (m, 2H), 7.56 - 7.68 (m, 3H), 7.41 - 7.54 (m, 3H), 7.31 - 7.40 (m, 2H), 7.23 (t, J=7.9 Hz, 1H), 6.93 - 7.00 (m, 1H), 6.88 (d, J=7.6 Hz, 1H), 6.75 (dd, J=8.1, 2.1 Hz, 1H), 5.72 (s, 1H), 4.40 (t, J=7.7 Hz, 2H), 3.21 (t, J=7.7 Hz, 2H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220nmに98.52%; LCMS [M+Na]
+ = 458.1.
【0102】
2'-[2-(アミノオキシ)エチル]-1,1':4',1"-テルフェニル-3-オール(A56)の生成
2-[2-(3-ヒドロキシ-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル)エトキシ]-1H-イソインドール-1,3(2H)-ジオン(999mg、2.29mmol)を無水エタノール(45mL)に懸濁させた。ヒドラジン水和物(150μL、2.40mmol)を添加した。この混合物を窒素下、65℃で4時間加熱してから、一晩室温で静置した。この反応混合物を濾過した。濾過ケーキをエタノールで洗浄した(2×20mL)。合わせた濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をジクロロメタン(40mL)に懸濁させ、混合物を濾過した。濾過ケーキをジクロロメタンで洗浄した(2×20mL)。合わせた濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン)により精製して、表題化合物を白色の粉末として得た(648mg、92%)。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 7.60 - 7.66 (m, 2H), 7.54 (d, J=1.6 Hz, 1H), 7.41 - 7.51 (m, 3H), 7.33 - 7.39 (m, 1H), 7.26 - 7.32 (m, 2H), 6.89 - 6.96 (m, 1H), 6.79 - 6.87 (m, 2H), 5.29 (br. s, 3H), 3.82 (t, J=6.9 Hz, 2H), 2.98 (t, J=7.0 Hz, 2H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220nmに95.36%; LCMS [M+H]
+ = 306.2, [M+Na]
+ = 328.1.
【0103】
[実施例5]
A56kの合成
A56kを調製するために使用した合成経路を
図5に示す。
【0104】
2-[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]-1-(メチルスルファニル)エテニルメチルスルホキシドの生成
3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-カルバルデヒド(5.330g、14.6mmol)をテトラヒドロフラン(65mL)に溶解させた。メチル(メチルスルフィニル)メチルスルフィド(2.745g、22.1mmol)及び水酸化ナトリウム(654mg、16.4mmol)を添加した。この混合物を窒素下で一晩加熱還流した。この反応混合物を酢酸エチル(400mL)と水(200mL)とに分配した。水層を酢酸エチルで抽出した(2×200mL)。合わせた酢酸エチル層を水(2×200mL)及び飽和食塩水(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)により精製して、表題化合物を淡橙色の油として得た(3.733g、54%)。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 8.14 (d, J=1.4 Hz, 1H), 7.62 - 7.72 (m, 4H), 7.42 - 7.53 (m, 5H), 7.39 (t, J=7.3 Hz, 3H), 7.29 - 7.36 (m, 2H), 6.90 - 7.01 (m, 3H), 5.10 (s, 2H), 2.70 (s, 3H), 2.28 (s, 3H).
【0105】
エチル[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]アセテートの生成
2-[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]-1-(メチルスルファニル)エテニルメチルスルホキシド(3.733g、7.93mmol)をエタノール(70mL)に溶解させた。濃塩酸(6.6mL)を添加し、混合物を5日間加熱還流した。この反応混合物を酢酸エチル(500mL)と水(250mL)とに分配した。酢酸エチル層を水(200mL)及び飽和食塩水(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン)により精製して、表題化合物を黄橙色の油として得た(2.129g、64%)。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 7.60 - 7.68 (m, 2H), 7.59 (br. s, 1H), 7.55 (dd, J=8.0, 1.6 Hz, 1H), 7.42 - 7.50 (m, 4H), 7.29 - 7.42 (m, 6H), 6.92 - 7.04 (m, 3H), 5.09 (s, 2H), 4.10 (q, J=7.0 Hz, 2H), 3.65 (s, 2H), 1.21 (t, J=7.1 Hz, 3H); LCMS [M+H]
+ = 423.1.
【0106】
[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]酢酸の生成
エチル[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]アセテート(414mg、0.98mmol)をエタノール(15mL)に溶解させた。水酸化ナトリウム溶液(1M、3mL、3mmol)を添加し、混合物を70℃で1時間加熱した。この反応混合物を酢酸エチル(45mL)と塩酸(1M、15mL)とに分配した。酢酸エチル層を水(15mL)及び飽和食塩水(15mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を乾燥するまで蒸発させて、表題化合物を薄茶色の粉末として得た(350mg、91%)。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 7.59 - 7.65 (m, 2H), 7.53 - 7.59 (m, 2H), 7.40 - 7.48 (m, 4H), 7.27 - 7.39 (m, 6H), 6.96 - 7.02 (m, 2H), 6.91 - 6.96 (m, 1H), 5.08 (s, 2H), 3.68 (s, 2H).
【0107】
(3-ヒドロキシ-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル)酢酸(A56k)の生成
[3-(ベンジルオキシ)-1,1':4',1"-テルフェニル-2'-イル]酢酸(350mg、0.89mmol)を酢酸(9mL)及び濃塩酸(2.2mL)中に懸濁させた。この混合物を100℃で2.25時間加熱した。この反応混合物を水(60mL)に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(60mL)で抽出した。酢酸エチル層を水(2×30mL)及び飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をトルエン(20mL)に懸濁させ、乾燥するまで蒸発させた。この工程を繰り返した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル/ジクロロメタン)により精製して、表題化合物を茶色のろう状固体として得た(189mg、70%)。この生成物を7.5%ジクロロメタン/ヘキサンに懸濁させ、濾過によって単離して、薄ベージュ色の粉末を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 7.58 - 7.65 (m, 2H), 7.51 - 7.58 (m, 2H), 7.40 - 7.48 (m, 2H), 7.31 - 7.39 (m, 2H), 7.26 - 7.30 (m, 1H), 6.87 - 6.92 (m, 1H), 6.79 - 6.86 (m, 2H), 3.69 (s, 2H); HPLC (水/ACN + 0.1% TFA勾配) 220nmに95.58%; LCMS [M-H]
- = 303.1, [2M-H]
- = 607.3.
【0108】
[実施例6]
中間体A31-4の合成
A31-4を調製するために使用した合成経路を
図6に示す。
【0109】
メチル2-ブロモ-5-ヨードベンゾエートの生成
2-ブロモ-5-ヨード安息香酸(20.070g、61.4mmol)及び炭酸カリウム(12.698g、91.9mmol)の混合物をDMF(45mL)に懸濁させた。ヨードメタン(11.373g、80.1mmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。この反応混合物をジエチルエーテル(400mL)と水(250mL)とに分配した。エーテル層を水(2×120mL)及び飽和食塩水(120mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を乾燥するまで蒸発させて、表題化合物を橙色の油として得た(20.451g、98%)。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 8.10 (d, J=2.0 Hz, 1H), 7.62 (dd, J=8.4, 2.1 Hz, 1H), 7.38 (d, J=8.2 Hz, 1H), 3.93 (s, 3H).
[参考文献: WO 2004/048314]。
【0110】
メチル4-ブロモビフェニル-3-カルボキシレートの生成
メチル2-ブロモ-5-ヨードベンゾエート(10.019g、29.4mmol)、フェニルボロン酸(3.571g、29.3mmol)、及び炭酸カリウム(8.112g、58.7mmol)をトルエン(200mL)、無水エタノール(50mL)、及び水(25mL)の混合物に溶解した。反応フラスコを窒素でパージし、混合物を通して30分間窒素をバブリングした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(3.401g、2.94mmol)を窒素流下で添加した。この反応混合物を通して15分間窒素をバブリングした。この混合物を12時間加熱還流してから、室温で静置した。この反応混合物をトルエン(100mL)と水(300mL)とに分配した。水層をトルエン(100mL)で抽出した。合わせたトルエン層を飽和食塩水(150mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濾過した。濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘキサン)により精製して、表題化合物を橙色の油として得た(8.092g、84%)。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 8.01 (d, J=2.3 Hz, 1H), 7.72 (d, J=8.4 Hz, 1H), 7.52 - 7.60 (m, 3H), 7.43 - 7.49 (m, 2H), 7.36 - 7.42 (m, 1H), 3.96 (s, 3H).
【0111】
(4-ブロモビフェニル-3-イル)メタノールの生成
無水テトラヒドロフラン(80mL)中のメチル4-ブロモビフェニル-3-カルボキシレート(6.992g、24.0mmol)の溶液を窒素下で調製した。無水テトラヒドロフラン(60mL)中の水素化アルミニウムリチウム(692mg、18.2mmol)の懸濁液を窒素下で調製し、氷/水浴中で冷却した。エステル溶液をカニュラを介して水素化アルミニウムリチウム懸濁液に移した。この混合物を氷/水浴中で40分間撹拌した。水(1.75mL)、15%水酸化ナトリウム溶液(1.75mL)、及び水(7mL)を滴加することによって、過剰量の水素化アルミニウムリチウムをクエンチした。この混合物を室温で40分間撹拌した。酢酸エチル(290mL)を添加し、混合物をセライトで濾過した。濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄した(2×140mL)。合わせた濾液を乾燥するまで蒸発させた。残渣をメチル4-ブロモビフェニル-3-カルボキシレート(1.024g、3.51mmol)を用いた同様の反応から得た粗生成物と合わせ、混合物をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘキサン)により精製して、表題化合物を淡橙色の油として得、これは静置時に凝固した(6.729g、93%)。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 7.71 (d, J=2.1 Hz, 1H), 7.53 - 7.64 (m, 3H), 7.41 - 7.48 (m, 2H), 7.32 - 7.41 (m, 2H), 4.82 (d, J=6.4 Hz, 2H), 2.01 (t, J=6.4 Hz, 1H).
【0112】
4-ブロモビフェニル-3-カルバルデヒド(A31-4)の生成
活性酸化マンガン(IV)(19.279g、222mmol)をトルエン(90mL)中の(4-ブロモビフェニル-3-イル)メタノール(5.844g、22.2mmol)の溶液に添加した。この混合物を窒素下、60℃で16時間撹拌した。この反応混合物をセライトで濾過した。濾過ケーキをトルエンで洗浄した(2×20mL)。合わせた濾液を乾燥するまで蒸発させて、表題化合物を淡黄色の油として得、これは静置時に凝固した(4.782g、82%)。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) 10.41 (s, 1H), 8.14 (d, J=2.1 Hz, 1H), 7.70 - 7.74 (m, 1H), 7.65 - 7.70 (m, 1H), 7.56 - 7.63 (m, 2H), 7.43 - 7.51 (m, 2H), 7.36 - 7.43 (m, 1H).
【0113】
[実施例7]
A26及びA27の合成
A26及びA27を調製するために使用した合成経路を
図7に示す。
【0114】
ステップ1 - i)1-カルボエトキシシクロプロピルトリフェニルホスホニウムテトラフルオロボレート、DMF、2時間、80℃、ii)A31-4、18時間、80℃(Chungら、Org. Letts、2011 Vol. 13、No. 19、5338〜5341頁に基づく)。
ステップ2 - TFA、DCM(WO2009/89359に基づく)。
ステップ3 - 3-ヒドロキシベンゼンボロン酸、K
2CO
3、H
2O、1,4-ジオキサン、Pd(PPh
3)
4、18時間、75℃。
ステップ4 - H
2(バルーン)、MeOH中5mol% Pd/C、18時間、50℃(WO2005/90300に基づく)。
【0115】
[実施例8]
A31の合成
A31を調製するために使用した合成経路を
図8に示す。
【0116】
ステップ1 - N-アシルグリシン、Ac
2O、AcONa、加熱、6時間。
ステップ2 - 3M HCl、加熱。
ステップ3 - MeI、DBU、DMF、加熱。
ステップ5 - メトキシカルボニルメチルトリフェニルホスホラン、トルエン、E及びZ-異性体の混合物を得る。
ステップ5 - NaOH、加熱。
(ステップ1〜5は、Wongら、Synthesis、1992、793〜797頁及びQueffe’lecら、Eur. J. Chem.、2008、43(10)、2268〜2271頁に基づく)。
ステップ6 - 尿素、トルエン、加熱。(E-異性体は未反応のまま-WO2008/15139に記載の通り)
ステップ7 - 3-ヒドロキシベンゼンボロン酸、K
2CO
3、H
2O、1,4-ジオキサン、Pd(PPh
3)
4、18時間、75℃。
【0117】
[実施例9]
A35の合成
A35を調製するために使用した合成経路を
図9に示す。
【0118】
ステップ1 - NaBH
4、MeOH、室温。
ステップ2 - PBr
3、THF(Yuら、Org. Letts、2009、vol.11(2)、469〜472頁に記載の通り)。
ステップ3 - (4-ホルミル-5-メチル-イソオキサゾール-3-イル)-カルバミン酸tert-ブチルエステル、nBuLi、THF(Konoikeら、Tet. Letts、Vol. 37、No. 19、3339〜3342頁、1996に記載の通り)。
ステップ4 - TFA、DCM、室温。
ステップ5 - 3-ヒドロキシベンゼンボロン酸、K
2CO
3、H
2O、1,4-ジオキサン、Pd(PPh
3)
4、18時間、75℃。
【0119】
[実施例10]
A45の合成
A45を調製するために使用した合成経路を
図10に示す。
【0120】
ステップ1 - HNMeOMe.HCl、CDI、DIPEA、DCM(WO2011/119518に基づく)
ステップ2 - ベンゼンボロン酸、Pd(PPh
3)
4、K
2CO
3、トルエン:エタノール:水、加熱、12時間。
ステップ3 - MeMgBr、THF、0℃(EP2455380に記載の通り)
ステップ4 - Br
2、EtOH、室温(WO2008/157726に記載の通り)
ステップ5 - 1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン、K
2CO
3、TBAI、DMF、室温、2時間(Nagarapuら、Euro. J. Med. Chem. 71、(2014)、91〜97頁に基づく)。
ステップ6 - MeOH中のNaOH又はEtOH中のNEt
3(Shvaikaら、J. Org. Chem. USSR、1983、vol. 19、# 8、1533〜1543頁に基づく)。
ステップ7 - 3-ヒドロキシベンゼンボロン酸、K
2CO
3、H
2O、1,4-ジオキサン、Pd(PPh
3)
4、18時間、75℃。
【0121】
[実施例11]
A79の合成
A79を調製するために使用した合成経路を
図11に示す。
【0122】
ステップ1 - 4-オキサゾリジノン-2-チオン、NaOAc、HOAc。
ステップ2 - MeI、(i-Pr)
2NEt
ステップ3 - HCl、EtOH、H
2O
(ステップ1〜3は、Unangstら、J. Med. Chem. 1994、37、322〜328頁に基づく)。
ステップ4 - 3-ヒドロキシベンゼンボロン酸、K
2CO
3、H
2O、1,4-ジオキサン、Pd(PPh
3)
4、18時間、75℃
ステップ5 - H
2(バルーン)、MeOH中5mol% Pd/C、18時間、50℃。
【0123】
[実施例12]
A81の合成
A81を調製するために使用した合成経路を
図12に示す。
【0124】
ステップ1:
i)5.02gのA31-3は、所望の生成物A31-4を生じた(5.027g、収率96%)。
ii)20.1g,molのA31-3は、所望の生成物A31-4を生じた(20.451g、収率98%)。
ステップ2:
i)0.984gA31-4(1.0当量のPhB(OH)
2、0.05当量のPd(dppf)Cl
2、2当量のK
2CO
3、ジオキサン/エタノール/水、85℃、16時間)。TLCによりA31-4の完全消費が観察された。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで分画した。純粋な試料は得られなかったが、A31-5と一致するビフェニルを含む少なくとも4種の生成物が1H NMR分析により検出された。
ii)10gのA31-4は、所望の生成物A31-5を生じた(8.1g、84%)。
ステップ3:
i)0.809gのA31-5(1.5当量のLiAlH
4、室温、16時間)は、所望の生成物A31-6(0.340g、47%)及び望ましくない脱ブロモ化合物(ビフェニル-3-イルメタノール)(0.208g、41%)を生じた。
ii)0.510gのA31-5(1.5当量のLiAlH
4、0℃、50分)は、所望の生成物(粗)A31-6を生じた(0.435g、95%)。1H NMRによると、10mol%の脱ブロモ化合物を含有。大規模バッチでの精製は保留中。
iii)0.514gのA31-5(0.75当量のLiAlH
4、0℃、50分)は、所望の生成物(粗)A31-6を生じた(0.453g、98%)。1H NMRによると、5.5mol%の脱ブロモ化合物を含有。
iv)6.992gのA31-5(0.75当量のLiAlH
4、0℃、40分)は、1H NMRによると5.5mol%の脱ブロモ化合物を含有する粗生成物A31-6(6.183g)を生じた。2回の試験反応から得られた生成物と合わせて、カラムクロマトグラフィーで精製し、A31-6を得た(6.729g、93%)。
ステップ4:
0.102gのA31-6(1.2当量の3-(HO)C
6H
4B(OH)
2、0.1当量のPd(PPh
3)
4、3当量のK
2CO
3、トルエン/エタノール/水、Δ、17時間)は、所望の生成物A81を生じた(0.054g、50%収率)。
【0125】
[実施例13]
化合物のin vitroスクリーニング
xCELLigence SPシステム(Roche社)を用いて、ウシ大動脈内皮細胞(European Collection of Cell Cultures)を試験化合物で処理したあとの細胞インピーダンス(細胞指数)の変化を測定した。このin vitro細胞ベース実験系では、負のインピーダンスプロファイルが、ラットでの血圧低下と相関する。インピーダンスの減少は血管拡張と関連し、インピーダンスの増加は血管収縮と関連する(Stallaert W、Dorn JF、van der Westhuizen E、Audet M、及びBouvier M. Impedance responses reveal β-adrenergic signaling pluridensitometry and allow classification of ligands with distinct signalling profiles PLoS ONE 2012; 7(1):e29420、doi:10.1371/journal.pone.0029420)。
【0126】
簡単に述べると、50μlの細胞培養培地(37℃の15%ウシ胎児血清を補充したDMEM低グルコース)をE-Plate 96(Roche社)の各ウェルに添加し、各ウェルのバックグラウンドインピーダンスを測定した。次に、50μlのウシ大動脈内皮細胞懸濁液(10,000細胞/ウェル)をE-Plate 96の適当なウェルに添加した。細胞培養インキュベーター内で、RTCA SP StationのE-Plate 96の各ウェルについて、細胞指数をモニターした。一晩インキュベーション(16〜20時間、5% CO
2及び湿度95%)後、100μlの試験化合物溶液(DMSO中の試験化合物を調製し、細胞培養培地で試験化合物を62.5μM、125μM、又は250μMの濃度まで希釈し、最終DMSO濃度0.25%とした)をE-Plate 96の適当なウェルに添加し、化合物処理後即座に、細胞指数値を20秒ごとに3時間にわたり測定した。細胞指数値は、ビヒクルで処理した細胞の細胞指数を引くことによってベースライン補正し、化合物添加直前の時点での細胞指数で割ることによって正規化した。時間の関数としてのベースライン正規化細胞指数を、Roche RTCAソフトウェアを用いてプロットする。
【0127】
ウシ大動脈内皮細胞の負のインピーダンス応答が、A6、A26、A27、A30、A32、A35、A56、A56f、A56g、A56k、及びA81で観察され(
図13)、これらの化合物が血管拡張剤であることを示した。
【0128】
(それぞれKeratinocyte Medium II+Keratinocyte Growth Supplement+5ng/mlのヒト組み換え型上皮成長因子+5% FBS+2mMのグルタミン又はDMEM+10% FBS+1% NEAA+2mMのグルタミン)で成長させたヒト(HPCT-wt-05)及びラット(NRK-52E)の腎近位尿細管細胞を10,000細胞/ウェルで96ウェルプレートに入れ、37℃、5% CO
2で一晩インキュベートした。濃度32μM又は63μMの試験化合物をヒト又はラットの腎近位尿細管細胞と共に、37℃及び5%CO
2で2時間インキュベートした。次に、シス-ジアンミンジクロロ白金(III)(シスプラチン)をヒト細胞には濃度5μg/mlで、ラット細胞には濃度12.5μg/mlで添加した。次に、それぞれの細胞集団を37℃、5% CO
2で24時間インキュベートした。試験化合物A32は、その元の濃度を維持した。ヒト及びラットの腎近位尿細管細胞に対するシスプラチンの細胞毒性効果を評価するために、細胞中のデヒドロゲナーゼによって還元されて水溶性の黄色の指示染料ホルマザンを生成する高水溶性テトラゾリウム塩WST-8を、製造業者の指示に従って使用した(具体的には、Sigma社製Cell Count Kit-8(CCK-8)アッセイ)。次に、Thermo Scientific Multiskan EXプレートリーダーを使用して、WST-8(CCK-8)試薬のプレート吸光度を450nmで測定した。
【0129】
32μM又は63μMのA32で24時間処理したヒト及びラットの腎近位尿細管細胞の培養物におけるシスプラチン誘導細胞死は減少し(
図14)、この化合物が腎近位尿細管細胞死を減少させることを示した。
【0130】
[実施例14]
化合物のin vivoスクリーニング
2.2%食塩食(Glen Forrest Stockfeeders社)摂取14週齢SHRをゼロ時間対照、飲用溶液に加えた試験化合物で処置(500pmol/kg/分)、又は対照飲用溶液(5%エタノールを加えた脱イオン蒸留水)に無作為に割り当てた(各群n=5)。ゼロ時間対照群に割り当てられたラット(14週齢ラット)は、麻酔をかけて腎臓及び心臓を摘出し、対照及び試験化合物処置に割り当てられたラットは、週2回秤量し、その飲用溶液の摂取をモニターすることにより、4週間の試験期間(18週齢ラット)にわたり一定用量が維持されるよう飲用溶液中の試験化合物濃度を調節した。試験期間終了時に、ラットに麻酔をかけて腎臓及び心臓を摘出した。
【0131】
高脂肪食(Glen Forrest Stockfeeders社)摂取14週齢SHRを試験化合物飲用溶液(10%エタノールを加えた脱イオン蒸留水中の500pmol/kg/分の試験化合物)、又は対照飲用溶液(10%エタノールを加えた脱イオン蒸留水)に無作為に割り当てた。4週間後、ラットに麻酔をかけて、血漿アミノトランスフェラーゼ(AST)レベルの分析のために血液試料を採取し、肝臓を摘出した。
【0132】
組織の線維化及び/又は脂肪含有量を定量化するために、厚さ3mm以下の組織の薄片を10%緩衝ホルマリンで24時間固定し、処理し、パラフィンに包埋した。3ミクロンの横断切片を、マッソントリクローム染色法を用いて染色した。横断切片(2つのレベルそれぞれで5個)からの倍率20倍でのランダム視野を最低20個デジタル化し、Image-Pro Plus V.7(Media Cybernetics社、米国メリーランド州ベセスダ)を使用して、それぞれのデジタル化画像の視野面積の百分率として、線維化の程度を決定し、次いで平均化して各ラットの線維化のレベル及び/又は脂肪含有量を決定した。
【0133】
機器によって認識される磁気アッセイ識別子を含む消耗型ストリップを用いるRefloVET Plus(Roche社)機器を使用して、血漿ASTレベルを測定した。使用前に毎回較正標準物質を使用し、製造業者の指示に従って装置を操作した。結果を1L当たりの国際単位(IU/L)として提示する。
【0134】
500pmol/kg/分のA32での4週間の処置後の腎臓の線維症は、18週齢の対照と比較して減少しており(
図15)、この化合物が腎線維症の発症を予防することが示された。
【0135】
500pmol/kg/分のA32での4週間の処置後の心筋線維症は、14週齢及び18週齢の対照と比較して減少しており(
図16)、この化合物が心筋線維症の発症を予防し、既存の心筋線維症を反転させることが示された。
【0136】
500pmol/kg/分のA6、A27、A32、及びA56fでの6週間の処置後の肝線維症は、対照と比較して減少しており(
図17、*p<0.025、**p<0.01、***p<0.005)、これらの化合物が肝線維症の発症を予防することが示された。
【0137】
門脈路を示すマッソントリクローム染色切片では、対照において、線維帯が門脈路から延び(矢印)、組織構造を乱しているのが見られる(
図18A)。A32(
図18B)、A6(
図18C)、A27(
図18D)、A56(
図18E)、及びA56f(
図18F)で処置したラットの切片では、正常な組織構造が回復していた。
【0138】
対照ラットの心臓組織を示すマッソントリクローム染色切片では(
図19A)、線維化は、筋線維間に散在して切片全体に存在し、場合によっては、筋線維を取り囲み、筋線維に取って代わっている(矢印)。A32(
図19B)で処置したラットの心臓組織を示す切片では、ごくわずかな線維性組織が存在し、正常な組織構造が回復していた。
【0139】
500pmol/kg/分のA27、A32、及びA56での4週間の処置後の肝臓中の脂肪は、18週齢の対照と比較して減少しており(
図20、*p<0.05)、これらの化合物が肝脂肪の蓄積を減少させることが示された。
【0140】
血漿ASTレベルは、A32及びA56fで処置したラットで、対照と比較して減少しており(
図21、*p<0.025)、これらの化合物が肝臓障害を予防することが示された。
【0141】
[実施例15]
化合物のin vitroスクリーニングとin vivoスクリーニングとの比較
さまざまな試験化合物で処理したウシ大動脈内皮細胞における細胞インピーダンスと、さまざまな試験化合物で処置したSHRにおける肝線維症のレベルとの比較は、in vitroアッセイが試験化合物の肝臓線維症を減少させる能力を予測することを示した(
図22、R
2=0.925)。
本発明は、以下の実施形態を包含する。
(実施形態1)
式:
【化7】
[式中、
Aは、場合により置換された飽和、部分飽和、若しくは不飽和5員若しくは6員ヘテロシクリル、場合により置換されたC1〜6アルコキシルアミン、場合により置換されたC1〜6アルキルアミン、場合により置換されたC0〜6アルキルカルボン酸、場合により置換されたC1〜6アルキルヒドロキシル、場合により置換された飽和若しくは不飽和C0〜6アルキル二環式ヘテロシクリル、及び場合により置換された飽和若しくは不飽和C1〜6アルコキシル二環式ヘテロシクリルから選択される]の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物、及び/若しくは溶媒和物。
(実施形態2)
前記飽和、部分飽和、又は不飽和5員又は6員ヘテロシクリルが、1つ以上のオキソ、C1〜6アルキル、アミノ、ヒドロキシル、又はハロ置換基で場合により置換されたN、S、又はOのうちの1つ以上を含有する、実施形態1に記載の化合物。
(実施形態3)
前記飽和、部分飽和、又は不飽和5員又は6員ヘテロシクリルが、1つ以上のオキソ、C1〜6アルキル、アミノ、ヒドロキシル、又はハロ置換基で場合により置換されたピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、ピロリジニリデン、ジヒドロピロリル、イソオキサゾリル、ジヒドロオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、オキサゾリジニル、及びオキサゾリルから選択される、実施形態1に記載の化合物。
(実施形態4)
前記C1〜6アルコキシルアミンがアミノオキシメチルである、実施形態1に記載の化合物。
(実施形態5)
前記C1〜6アルキルアミンが、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、ヒドロキシル、又はハロ、好ましくは一置換、二置換、若しくは三置換ハロアルキル、最も好ましくはトリフルオロメタンのうちの1つ以上で場合により置換されている、実施形態1に記載の化合物。
(実施形態6)
前記C0〜6アルキルカルボン酸がカルボン酸である、実施形態1に記載の化合物。
(実施形態7)
前記C1〜6アルキルヒドロキシルがメチルヒドロキシルである、実施形態1に記載の化合物。
(実施形態8)
前記C0〜6アルキル二環式ヘテロシクリルが、1つ以上のオキソ、好ましくはジオキソで場合により置換されたインドリル、イソインドリル、インソリニル、及びイソインドリニルから選択される、実施形態1に記載の化合物。
(実施形態9)
前記C1〜6アルコキシル二環式ヘテロシクリルが、1つ以上のオキソで場合により置換されたインドリル、イソインドリル、インソリニル、及びイソインドリニルから選択され、前記C1〜6アルコキシルがメトキシ又はエトキシである、実施形態1に記載の化合物。
(実施形態10)
Aが、
【化8】
から選択される、実施形態1に記載の化合物。
(実施形態11)
【化9】
又はその薬理学的に許容される塩、立体異性体、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体、水和物、及び/若しくは溶媒和物からなる群から選択される、実施形態1から10のいずれか一項に記載の化合物。
(実施形態12)
実施形態1から11のいずれか一項に記載の化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
(実施形態13)
実施形態1から11のいずれか一項に記載の化合物又は実施形態12に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む、対象における線維症の予防的又は治療的処置のための方法。
(実施形態14)
前記処置が、線維症の進行を予防、軽減、又は遅延する、実施形態13に記載の方法。
(実施形態15)
前記処置が既存の線維症を軽減する、実施形態13に記載の方法。
(実施形態16)
前記処置が正常な組織構造を回復させる、実施形態13に記載の方法。
(実施形態17)
前記線維症が、心筋線維症、腎線維症、及び/又は肝線維症である、実施形態13から15のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態18)
線維症の処置のための医薬を製造するための、実施形態1から11のいずれか一項に記載の化合物の使用。
(実施形態19)
前記医薬が線維症の進行を予防、軽減、又は遅延する、実施形態18に記載の使用。
(実施形態20)
前記医薬が既存の線維症を軽減する、実施形態18に記載の使用。
(実施形態21)
前記医薬が正常な組織構造を回復させる、実施形態18に記載の使用。
(実施形態22)
前記線維症が、心筋線維症、腎線維症、及び/又は肝線維症である、実施形態18から20のいずれか一項に記載の使用。
(実施形態23)
実施形態1から11のいずれか一項に記載の化合物又は実施形態12に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む、対象の肝臓における脂肪蓄積を予防、軽減、又は遅延するための方法。
(実施形態24)
実施形態1から11のいずれか一項に記載の化合物又は実施形態12に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む、対象における腎尿細管細胞死を予防、軽減、又は遅延するための方法。
(実施形態25)
実施形態1から11のいずれか一項に記載の化合物又は実施形態12に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む、対象における正常な組織構造を回復させるための方法。
(実施形態26)
肝臓における脂肪蓄積を予防、軽減、又は遅延するための医薬を製造するための、実施形態1から11のいずれか一項に記載の化合物の使用。
(実施形態27)
腎尿細管細胞死を予防、軽減、又は遅延するための医薬を製造するための、実施形態1から11のいずれか一項に記載の化合物の使用。
(実施形態28)
正常な組織構造を回復するための医薬を製造するための、実施形態1から11のいずれか一項に記載の化合物の使用。
(実施形態29)
式
【化10】
の化合物。