(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6734669
(24)【登録日】2020年7月14日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20200728BHJP
F25D 23/06 20060101ALI20200728BHJP
F25D 19/00 20060101ALI20200728BHJP
【FI】
F25D23/00 305D
F25D23/06 V
F25D19/00 510C
F25D19/00 530A
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-43354(P2016-43354)
(22)【出願日】2016年3月7日
(65)【公開番号】特開2017-161100(P2017-161100A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2019年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 明裕
(72)【発明者】
【氏名】林 秀竹
【審査官】
飯星 潤耶
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第101762118(CN,A)
【文献】
特開平04−105734(JP,A)
【文献】
特許第3113100(JP,B2)
【文献】
特開2005−009825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 19/00,23/00,23/06−23/08
F25B 39/00−39/04
F28F 1/02
B21C
B21D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱の内側に設けられる放熱用の配管であって、複数の流路を含む扁平管と、
を備え、
前記扁平管は、扁平面に沿って曲げられているとともに、直線部および曲部を有し、
前記直線部と当該直線部の一端側の前記曲部について、当該曲部の外側の流路の断面積は、当該直線部の外側の流路の断面積よりも小さく、
当該直線部の外側の流路の断面積は、当該直線部の内側の流路の断面積よりも大きく、且つ、当該直線部の一端側の前記曲部の外側の流路の断面積よりも大きい冷蔵庫。
【請求項2】
前記直線部の外側の肉厚は、当該直線部の内側の肉厚よりも大きく、且つ、当該直線部の一端側の前記曲部の外側の肉厚よりも大きい請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記曲部の内側の流路の断面積は、当該曲部の外側の流路の断面積以上の大きさである請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記外箱の内側に設けられる断熱パネルを備え、
前記断熱パネルの前記外箱側の面は、前記扁平管を収容するための溝を有しない平面状となっている請求項1から3の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、放熱用の配管を金属製の外箱の内側に密着させることにより、配管内を流れる冷媒を放熱させて冷却する技術が考えられている。例えば特許文献1には、放熱用の配管を扁平管とし、その扁平管の平坦面を金属製の外箱に密着させることで放熱性能を高める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−52400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、放熱用の配管を扁平管とした場合、当該配管を曲げた部分において扁平管が潰れてしまい、流路抵抗が増大して流路が詰まり易くなる。そして、流路が詰まってしまうと、冷媒が流れなくなるため放熱性能が低下してしまうという課題がある。
【0005】
本実施形態は、放熱用の配管として扁平管を用いる場合であっても、放熱性能の低下を抑えることができる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る冷蔵庫は、外箱と、前記外箱の内側に設けられる放熱用の配管であって、複数の流路を含む扁平管と、を備え、前記扁平管が扁平面に沿って曲げられている
とともに、直線部および曲部を有し、前記直線部と当該直線部の一端側の前記曲部について、当該曲部の外側の流路の断面積は、当該直線部の外側の流路の断面積よりも小さく、当該直線部の外側の流路の断面積は、当該直線部の内側の流路の断面積よりも大きく、且つ、当該直線部の一端側の前記曲部の外側の流路の断面積よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る冷蔵庫の構成例を概略的に示す横断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、冷蔵庫に係る一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に例示する冷蔵庫10は、その外殻を構成する断熱箱体11の内部に、食品類が貯蔵される貯蔵室12を備える。また、冷蔵庫10は、貯蔵室12を開閉する図示しない扉を備える。貯蔵室12は、周知の冷蔵室、冷凍室、野菜室などである。冷蔵庫10には、貯蔵室を冷却するための図示しない冷凍サイクルが備えられている。冷凍サイクルは、圧縮機、凝縮器、キャピラリチューブ、冷却器などを冷媒管により接続した構成である。
【0009】
断熱箱体11は、金属製の外箱21と合成樹脂製の内箱22との間に、断熱材として、真空断熱パネル23および発泡ウレタン24を備えている。そして、断熱箱体11は、外箱21と真空断熱パネル23との間に、放熱用の配管として扁平管31を備えている。扁平管31は、冷凍サイクルの冷媒管の一部を構成するものであり、凝縮器とキャピラリチューブとの間に設けられている。真空断熱パネル23の外箱21側の面は、扁平管31を収容するための溝を有しない平面状となっている。
【0010】
図2に例示するように、扁平管31は、その平坦な面状の扁平面に沿って曲げられた構成となっており、直線状に延びる直線部32、および、直線部32間に設けられる曲部33を有する。直線部32および曲部33を有する扁平管31において、その扁平面は、直線部32および曲部33を含む連続した平坦な面状となっている。
【0011】
図3に例示するように、扁平管31は、冷媒が流れる複数の流路34を有している。なお、説明の便宜上、図には最も外側の流路34aと最も内側の流路34bのみを示している。即ち、扁平管31は、最も外側の流路34aと最も内側の流路34bとの間にさらに流路を備える構成であってもよいし、最も外側の流路34aおよび最も内側の流路34bのみを備える構成であってもよい。
【0012】
曲部33は、直線部32の一部を扁平管31の扁平面に沿って曲げることにより形成されたものである。よって、曲部33は、直線部32の外側部分が延ばされることで形成された部分となっている。即ち、
図3に例示するように、直線部32の外側の肉厚Daは、直線部32の内側の肉厚Dbよりも大きくなっている。また、直線部32の外側の流路34aの断面積Saは、直線部32の内側の流路34bの断面積Sbよりも大きくなっている。なお、流路の断面積とは、扁平管31の各部において流路34が延びる方向、つまり、冷媒が流れる方向に対し直交する方向に沿う断面の面積である。
【0013】
そして、このように構成されている直線部32の一部を曲げて曲部33を形成すると、曲げられた部分の外側が延ばされるような状態となるため、外側の肉厚は薄くなり、また、外側の流路34aの断面積は小さくなる。このように形成される曲部33において、当該曲部33の外側の流路34aの断面積Scは、直線部32の外側の流路34aの断面積Saよりも小さくなる。また、曲部33の内側の流路34bの断面積Sdは、曲部33の外側の流路34aの断面積Sc以上の大きさとなる。また、直線部32の外側の肉厚Daは、曲部33の外側の肉厚Dcよりも大きくなる。また、直線部32の外側の流路34aの断面積Saは、曲部33の外側の流路34aの断面積Scよりも大きくなる。
【0014】
本実施形態に係る冷蔵庫10によれば、扁平面に沿って曲げられた放熱用の扁平管31は、複数の流路34を有している。この構成によれば、仮に1つあるいはいくつかの流路34が詰まってしまったとしても、他の流路34により冷媒を流すことができるため、放熱性能の低下を抑えることができる。
【0015】
また、冷蔵庫10によれば、曲部33の外側の流路34aの断面積Scは、直線部32の外側の流路34aの断面積Saよりも小さくなっている。即ち、直線部32の外側の流路34aが引き延ばされることにより形成される曲部33の外側の流路34aは、その断面積Scが直線部32の断面積Saよりも小さくなるはずである。従って、曲部33の外側の流路34aの断面積Scと直線部32の外側の流路34aの断面積Saとの大小関係が「Sa>Sc」であることを確認することにより、曲部33が直線部32を引き延ばすことにより形成されたものであることを特定することができる。
【0016】
また、冷蔵庫10によれば、直線部32の外側の肉厚Daは、直線部32の内側の肉厚Dbよりも大きくなっている。即ち、曲部33を形成するために引き延ばされる直線部32の外側部分の肉厚Daを大きくしておくことにより、形成される曲部33の外側の肉厚Dcを十分に確保することができ、曲部33の強度を確保することができる。
【0017】
なお、直線部32が引き延ばされることにより形成される曲部33の外側の肉厚Dcは、引き延ばされる前の直線部32の外側の肉厚Daよりも薄くなる。換言すれば、直線部32の外側の肉厚Daは、曲部33の外側の肉厚Dcよりも大きくなる。即ち、直線部32の外側部分が引き延ばされることにより形成される曲部33の外側部分は、その肉厚Dcが直線部32の肉厚Daよりも薄くなるはずである。従って、曲部33の外側部分の肉厚Dcと直線部32の外側部分の肉厚Daとの大小関係が「Da>Dc」であることを確認することにより、曲部33が直線部32を引き延ばすことにより形成されたものであることを特定することができる。
【0018】
また、冷蔵庫10によれば、直線部32の外側の流路34aの断面積Saを、直線部32の内側の流路34bの断面積Sbよりも大きくしておくことで、直線部32が引き延ばされて形成された曲部33において、外側の流路34aの方が内側の流路34bよりもより大きく縮小するため、外側の流路34aの断面積Scと内側の流路34bの断面積Sdとをほぼ等しくすることができる。
【0019】
また、冷蔵庫10によれば、直線部32の外側の流路34aの断面積Saは、当該直線部32の外側部分が引き延ばされて形成される曲部33の外側の流路34aの断面積Scよりも大きくなるはずである。従って、直線部32の外側の流路34aの断面積Saと曲部33の外側の流路34aの断面積Scとの大小関係が「Sa>Sc」であることを確認することにより、曲部33が直線部32を引き延ばすことにより形成されたものであることを特定することができる。
【0020】
また、冷蔵庫10によれば、曲部33の内側の流路34bの断面積Sdは、曲部33の外側の流路34aの断面積Sc以上の大きさとなっている。即ち、上述した通り、本実施形態に係る冷蔵庫10によれば、曲部33の外側の流路34aの断面積Scと内側の流路34の断面積Sdとをほぼ等しくすることができるが、この場合、外側の流路34aは、引き延ばされて形成されることから、内側の流路34bに比べより大きく縮小する傾向がある。そのため、曲部33の外側の流路34aの方が内側の流路34bよりも若干小さくなる傾向がある。
【0021】
また、冷蔵庫10によれば、真空断熱パネル23の外箱21側の面は、扁平管31を収容するための溝を有しない平面状となっている。扁平管31を収容するための溝を真空断熱パネル23に設けた場合、その溝の形成に伴い真空断熱パネル23の断熱性能が低下する。本実施形態によれば、真空断熱パネル23に溝を形成することなく、扁平管31を外箱21と真空断熱パネル23との間に挟み込むように配置する構成であるため、真空断熱パネル23の断熱性能が低下してしまうおそれがない。
【0022】
本実施形態に係る冷蔵庫によれば、外箱と、前記外箱の内側に設けられる放熱用の配管であって、複数の流路を含む扁平管と、を備える。そして、前記扁平管は、扁平面に沿って曲げられている。この構成によれば、放熱用の配管として扁平管を用いる場合であっても、曲げた部分において複数の配管が全て詰まってしまう可能性は極めて少ないため、少なくとも何れかの流路により冷媒を流すことができ、放熱性能の低下を抑えることができる。
【0023】
なお、本実施形態は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように拡張または変形することができる。例えば、扁平管に備える流路の数や断面形状は、適宜変更して実施することができる。
【0024】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0025】
図面中、10は冷蔵庫、21は外箱、23は真空断熱パネル(断熱パネル)、31は扁平管、32は直線部、33は曲部を示す。