【実施例】
【0032】
図8は、実施例1に係る発光装置10を示す平面図である。
図9(a)は、
図8のA−A断面図である。
図9(b)は、
図8のB−B断面図である。本実施例に係る発光装置10は、以下の点を除いて、実施形態に係る発光装置10と同様である。
【0033】
発光装置10は、基板100、複数の発光部140、複数の絶縁層150、光散乱層160、複数の第1導電層210及び複数の第2導電層230を有している。各発光部140は、第1電極110、有機層120及び第2電極130を有している。
【0034】
基板100は、第1面102及び第2面104を有している。第2面104は、第1面102の反対側にある。基板100は、光透過性の絶縁材料からなり、具体的には例えばガラス基板である。
【0035】
複数の第1導電層210は、基板100の第1面102上にある。複数の第1導電層210は、第1方向(図中、X方向)に並んでいる。各第1導電層210は、第2方向(図中、Y方向)に延伸している。第1導電層210は、光透過性を有する導電性材料からなり、例えば、金属を含む材料、例えば金属酸化物、より具体的には、例えばITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IWZO(Indium Tungsten Zinc Oxide)又はZnO(Zinc Oxide)からなる。
【0036】
各第1導電層210は、第1端子112及び第1電極110を有している。第1端子112は、第1導電層210の一端である。第1電極110は、第1導電層210の一部であり、有機層120及び第2電極130と重なっている。外部からの電圧は、第1端子112を介して第1電極110に印加される。
【0037】
複数の絶縁層150は、第1方向(図中、X方向)に並んでいる。各絶縁層150は、第1電極110及び基板100の第1面102上にある。絶縁層150は、第1導電層210の一部(第1電極110)を露出する開口152を有している。すなわち、発光部140は、絶縁層150の開口152によって画定されている。
【0038】
有機層120は、第1電極110上において絶縁層150の開口152内に位置している。有機層120は、第1電極110と第2電極130の間の電圧によって光を発する。具体的には、有機層120は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び電子注入層を有している。この場合、正孔注入層及び正孔輸送層は第1電極110に接続し、電子注入層及び電子輸送層は第2電極130に接続する。なお、正孔注入層及び正孔輸送層の一方はなくてもよい。電子注入層及び電子輸送層の一方もなくてもよい。発光部142(発光部142a、発光部142b及び発光部142c)の有機層120(発光層)は、第1電極110と第2電極130の間の電圧によって赤色の光を発する。発光部144の有機層120(発光層)は、第1電極110と第2電極130の間の電圧によって緑色の光を発する。発光部146の有機層120(発光層)は、第1電極110と第2電極130の間の電圧によって青色の光を発する。
【0039】
複数の第2導電層230は、第1方向(図中、X方向)に並んでいる。各第2導電層230は、第2方向(図中、Y方向)に延伸している。各第2導電層230は、有機層120上及び絶縁層150上にある。第2導電層230は、Al、Au、Ag、Pt、Mg、Sn、Zn及びInからなる第1群の中から選択される金属又はこの第1群から選択される金属の合金を含んでいる。第2導電層230の一部(第2電極130)は、絶縁層150の開口152と重なっている。第2導電層230の一端は、第2端子132に接続している。第2端子132は、発光部140を挟んで第1端子112の反対側にある。外部からの電圧は、第2端子132を介して第2電極130に印加される。
【0040】
光散乱層160は、基板100の第2面104上にある。光散乱層160は、複数の発光部140が並んでいる領域と重なっており、例えば第2面104の全体に位置している。光散乱層160は、例えば、絶縁層及びこの絶縁層中の粒子を有している。光散乱層160の絶縁層は、例えば有機材料(例えば、イミド系、アクリル系、エーテル系、シラン系、又はシロキサン系の有機材料)又は無機材料(ガラスペースト、ガラスフリット又はSiO
2ゾル)からなる。光散乱層160の粒子は、例えば無機材料、具体的には、例えば酸化物(例えば酸化チタン、酸化ジルコニウム、又は酸化シリコン)からなる。
【0041】
各発光部140からの光は、基板100から光散乱層160に入射する。光は、光散乱層160内で(例えば、上記した粒子によって)散乱する。これにより、基板100の第2面104に対向する領域から見た場合、各発光部140からの光は、均一なものとなる。
【0042】
図9(a)及び
図9(b)に示すように、発光部142bにおける開口152の幅は、発光部142aにおける開口152の幅よりも狭い。これにより、発光部142bの幅は、発光部142aの幅よりも狭くなる。言い換えると、開口152の幅に基づいて、発光部140の幅を調整することができる。
【0043】
なお、
図8に示す例において、発光部142b及び発光部142cは、複数の発光部140の列の最も外側に位置している。言い換えると、基板100の第1面102上では、発光部142bの外側及び発光部142cの外側には、発光部140が位置していない。
【0044】
(実施例2)
図10は、実施例2に係る発光装置10を示す図であり、実施例1の
図8に対応する。本実施例に係る発光装置10は、以下の点を除いて、実施例1に係る発光装置10と同様である。
【0045】
発光装置10は、回路170、第1配線172及び第2配線174を備えている。第1配線172は、複数の発光部142(複数の発光部142a、発光部142b及び発光部142c)に接続しており、具体的には各発光部142の第1端子112(第1電極110)に接続している。第2配線174は、複数の発光部142(発光部142a、発光部142b及び発光部142c)に接続しており、具体的には発光部142の第2端子132(第2電極130)に接続している。複数の発光部142は、第1配線172と第2配線174の間で電気的に並列に接続している。回路170は、複数の発光部142を駆動するための電圧を第1配線172と第2配線174の間に印加する。
【0046】
なお、回路170は、基板100に取り付けられていてもよいし、又は基板100の外側に位置していてもよい。回路170が基板100に取り付けられている場合、回路170は、例えば、基板100の第1面102上に搭載されている。
【0047】
本図に示す例においては、第1配線172と第2配線174の間に電圧を印加した場合、発光部142bの輝度及び発光部142cの輝度が複数の発光部142aの輝度と等しくなる。これは、第1配線172と第2配線174の間に電圧を印加した場合の発光部142の電流密度が発光部142の幅によらず一定となるためである。より詳細には、第1方向(図中、X方向)において、発光部142bの幅及び発光部142cの幅は、発光部142aの幅よりも狭い。このため、発光部142a、発光部142b及び発光部142cに一定の電圧を印加すると、発光部142bを流れる電流及び発光部142cを流れる電流は、発光部142aを流れる電流よりも小さくなる。例えば、発光部142bの幅及び発光部142cの幅が発光部142aの幅の半分である場合、発光部142bの電流及び発光部142cの電流は、発光部142aの電流の半分となる。このような場合においても、上記したように、発光部142aの電流密度、発光部142bの電流密度及び発光部142cの電流密度は、互いに等しい。このため、発光部142aの輝度、発光部142bの輝度及び発光部142cの輝度は、互いに等しくなる。
【0048】
(実施例3及び4)
図11は、実施例3に係る発光装置10を示す平面図である。
図12は、実施例4に係る発光装置10を示す平面図である。
図13は、比較例に係る発光装置10を示す平面図である。
図14は、
図11に示した発光装置10、
図12に示した発光装置10及び
図13に示した発光装置10のシミュレーション方法を説明するための図である。
【0049】
実施例3(
図11)において、基板100は、厚さ0.7mmのガラス基板とした。複数の発光部140の一端の発光部140は、発光部142bとした。複数の発光部140の他端の発光部140は、発光部142cとした。各発光部140(発光部142b及び発光部142cを除く。)の幅は、互いに等しくした。発光部142bの幅及び発光部142cの幅は、他の発光部140の幅の半分とした。発光部142、発光部144及び発光部146は、発光部142、発光部144及び発光部146の順で繰り返し配置させた。発光部142a(複数の発光部142のうち発光部142b及び発光部142c以外の発光部142)の数は、8つとした。発光部144の数は9つとした。発光部146の数は9つとした。光散乱層160の厚さは、0.2mmとした。基板100の第2面104に対向する領域に輝度計300を置いた。輝度計300のアパーチャの半径は、14mmとした。輝度計から光散乱層160の表層までの距離は、10cmとした。
【0050】
なお、
図14に示す例において、各発光部140は、面140a(基板100の第1面102と同じ方向を向いている面)から光を出射しないようにした。具体的には、面140a上に反射膜を位置させた。
【0051】
実施例4に係る発光装置10(
図12)は、以下の点を除いて、実施例3に係る発光装置10(
図11)と同様にした。複数の発光部140の一端の発光部140は、発光部142bとした。複数の発光部140の他端の発光部140は、発光部146cとした。各発光部140(発光部142b及び発光部146cを除く。)の幅は、互いに等しくした。発光部142bの幅及び発光部146cの幅は、他の発光部140の幅の半分とした。発光部142、発光部144、発光部146は、発光部142、発光部144及び発光部146の順で第1方向(図中、X方向)に沿って9回繰り返して配置させた。
【0052】
比較例に係る発光装置10(
図13)は、以下の点を除いて、実施例3に係る発光装置10(
図11)と同様とした。各発光部140の幅は、互いに等しくした。発光部142、発光部144、発光部146は、発光部142、発光部144及び発光部146の順で第1方向(図中、X方向)に沿って9回繰り返して配置させた。
【0053】
図11〜
図13において、Dは、互いに隣接する発光部140の中心間距離を示す。
【0054】
図15(a)は、実施例3に係る発光装置10(
図11)のシミュレーション結果の第1例を示す図である。
図15(b)は、比較例に係る発光装置10(
図13)のシミュレーション結果の第1例を示す図である。本図(a)及び本図(b)では、互いに隣接する発光部140の中心間距離D(
図11及び
図13)は0.50mmとした。
【0055】
本図(a)及び本図(b)において、Δu´v´は、CIE 1976 USCにおいて、以下の式(1)によって定義される値である。
【数1】
ただし、(u
k´,v
k´)は、第kの位置における色度を示す。本図(a)及び本図(b)では、光散乱層160からの光について、第1方向(
図11〜
図13のX方向)に沿って並ぶ第1の位置から第nの位置までの色度を算出した(1≦k≦n)。第1の位置から第nの位置は、第1の位置、第2の位置、・・・、第nの位置の順で等間隔に並んでいる。光散乱層160は、第1の位置(複数の発光部140の一端)から第nの位置(複数の発光部140の他端)まで位置する領域(第1領域)を含んでいる。光散乱層160は、第1領域内の中央たとえば、7/9の領域(中央領域)を含んでいる。ここで中央領域は発光装置10に形成された発光部140のセット数Aから両端の発光部140の2セットを引いた値であるが、たとえば両端から同じセット数だけ引いた値であればこれに限定されない。上記した式(2)の(u´
AVG,v´
AVG)は、光散乱層160の中央領域の色度の平均を示す。具体的には、本図に示す例では、第1の位置から第90の位置までの色度を算出した(n=90)。この場合、上記した式(2)においてa=10となり、光散乱層160の中央領域は、第11の位置から第80の位置までの領域である。
【0056】
本図(a)に示すように、実施例3の第1例では、Δu´v´は、いずれの位置においても0.02以下となった。これに対して、本図(b)に示すように、比較例の第1例では、第1の位置から第nの位置までの領域の端部において、Δu´v´が0.02よりも大きくなった。この結果は、複数の発光部140からなる列の端部における色度と複数の発光部140からなる列のその他の領域における色度の差が小さくなった理由が、列の端部の発光部140の幅を狭くしたことに起因していることを示唆している。
【0057】
図16(a)は、実施例3に係る発光装置10(
図11)のシミュレーション結果の第2例を示す図である。
図16(b)は、比較例に係る発光装置10(
図13)のシミュレーション結果の第2例を示す図である。本図(a)及び本図(b)では、互いに隣接する発光部140の中心間距離D(
図11及び
図13)は0.40mmとした。
【0058】
本図(a)に示すように、実施例3の第2例では、Δu´v´は、いずれの位置においても0.02以下となった。これに対して、本図(b)に示すように、比較例の第2例では、第1の位置から第nの位置までの領域の端部において、Δu´v´が0.02よりも大きくなった。この結果は、複数の発光部140からなる列の端部における色度と複数の発光部140からなる列のその他の領域における色度の差が小さくなった理由が、列の端部の発光部140の幅を狭くしたことに起因していることを示唆している。
【0059】
図17(a)は、実施例3に係る発光装置10(
図11)のシミュレーション結果の第3例を示す図である。
図17(b)は、比較例に係る発光装置10(
図13)のシミュレーション結果の第3例を示す図である。本図(a)及び本図(b)では、互いに隣接する発光部140の中心間距離D(
図11及び
図13)は0.35mmとした。
【0060】
本図(a)に示すように、実施例3の第3例では、Δu´v´は、いずれの位置においても0.02以下となった。これに対して、本図(b)に示すように、比較例の第3例では、第1の位置から第nの位置までの領域の端部において、Δu´v´が0.02よりも大きくなった。この結果は、複数の発光部140からなる列の端部における色度と複数の発光部140からなる列のその他の領域における色度の差が小さくなった理由が、列の端部の発光部140の幅を狭くしたことに起因していることを示唆している。
【0061】
図18は、実施例4に係る発光装置10(
図12)のシミュレーション結果の一例を示す図である。本図では、互いに隣接する発光部140の中心間距離D(
図12)は0.50mmとした。
【0062】
本図に示すように、実施例4では、Δu´v´は、いずれの位置においても0.02以下となった。これに対して、
図15(b)に示したように、比較例の第1例(D=0.50mm)では、第1の位置から第nの位置までの領域の端部において、Δu´v´が0.02よりも大きくなった。この結果は、複数の発光部140からなる列の端部における色度と複数の発光部140からなる列のその他の領域における色度の差が小さくなった理由が、列の端部の発光部140の幅を狭くしたことに起因していることを示唆している。
【0063】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。