特許第6734809号(P6734809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6734809多色3Dオブジェクトのスライスプリント方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6734809
(24)【登録日】2020年7月14日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】多色3Dオブジェクトのスライスプリント方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/386 20170101AFI20200728BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20200728BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20200728BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20200728BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20200728BHJP
【FI】
   B29C64/386
   B29C64/112
   B29C64/118
   B33Y10/00
   B33Y50/00
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-82090(P2017-82090)
(22)【出願日】2017年4月18日
(65)【公開番号】特開2018-108718(P2018-108718A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2018年12月26日
(31)【優先権主張番号】106100238
(32)【優先日】2017年1月5日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】514008930
【氏名又は名称】三緯國際立體列印科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】XYZprinting, Inc.
(73)【特許権者】
【識別番号】511262603
【氏名又は名称】金寶電子工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】謝世森
【審査官】 國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−215577(JP,A)
【文献】 特開2016−215576(JP,A)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)多色3Dオブジェクトの座標情報を読み取るとともに、前記座標情報に対して経路スライス処理を実行して、複数のプリント層の複数の経路データを生成するステップと、
b)前記多色3Dオブジェクトの色情報を読み取るとともに、前記色情報に基づきそれぞれ前記複数のプリント層に対応した複数の連続階調画像を生成するステップと、
c)複数のシフト値及び初期マスクに基づき、それぞれ前記複数のプリント層に対応した複数のディザリングマスクを算出するステップと、
d)各層の前記ディザリングマスクに基づいて、同一層の前記連続階調画像をハーフトーン処理して、それぞれ前記複数のプリント層に対応した複数のハーフトーン画像を生成するステップと、
e)前記複数の経路データに基づき層ごとに前記複数のプリント層をプリントするように多色3Dプリンタの成形噴射ヘッドを制御するとともに、各前記プリント層のプリントが完了すると、対応する前記ハーフトーン画像に基づき、着色を実施するように多色3Dプリンタの着色噴射ヘッドを制御するステップと、各前記経路データは各前記プリント層のプリント経路を記述し、前記成形噴射ヘッドは各前記プリント経路に沿って各前記プリント層を印刷し、
前記ステップcは、
c1)各前記プリント層の層数値及び単位シフト値に基づき、各層の前記シフト値を算出するステップと、
c2)各前記シフト値及び前記初期マスクに基づき、各層の前記ディザリングマスクを算出するステップと、
を含む、多色3Dオブジェクトのスライスプリント方法。
【請求項2】
前記ステップbは、前記色情報に基づき、複数の第1連続階調画像、複数の第2連続階調画像、複数の第3連続階調画像及び複数の第4連続階調画像を生成する、請求項1に記載の多色3Dオブジェクトのスライスプリント方法。
【請求項3】
前記ステップcは、前記複数のシフト値及び第1初期マスクに基づき、それぞれ前記複数のプリント層に対応した複数の第1ディザリングマスクを算出し、前記複数のシフト値及び第2初期マスクに基づき、それぞれ前記複数のプリント層に対応した複数の第2ディザリングマスクを算出し、前記複数のシフト値及び第3初期マスクに基づき、それぞれ前記複数のプリント層に対応した複数の第3ディザリングマスクを算出し、前記複数のシフト値及び第4初期マスクに基づき、それぞれ前記複数のプリント層に対応した複数の第4ディザリングマスクを算出し、前記第1初期マスク、前記第2初期マスク、前記第3初期マスク及び前記第4初期マスクは、それぞれ異なる4つの傾斜角度値に対応している、請求項2に記載の多色3Dオブジェクトのスライスプリント方法。
【請求項4】
前記ステップdは、各前記第1ディザリングマスク及び同一の前記プリント層に対応した前記第1連続階調画像に基づき、それぞれ前記複数のプリント層に対応した複数の第1ハーフトーン画像を生成し、各前記第2ディザリングマスク及び同一の前記プリント層に対応した前記第2連続階調画像に基づき、それぞれ前記複数のプリント層に対応した複数の第2ハーフトーン画像を生成し、各前記第3ディザリングマスク及び同一の前記プリント層に対応した前記第3連続階調画像に基づき、それぞれ前記複数のプリント層に対応した複数の第3ハーフトーン画像を生成するとともに、各前記第4ディザリングマスク及び同一の前記プリント層に対応した前記第4連続階調画像に基づき、それぞれ前記複数のプリント層に対応した複数の第4ハーフトーン画像を生成する、請求項3に記載の多色3Dオブジェクトのスライスプリント方法。
【請求項5】
前記ステップeは、同一の前記プリント層に対応した前記第1ハーフトーン画像、前記第2ハーフトーン画像、前記第3ハーフトーン画像及び前記第4ハーフトーン画像に基づき、すでにプリントされた前記プリント層に対して着色を実施するように異なる色の4つの着色噴射ヘッドをそれぞれ制御する、請求項4に記載の多色3Dオブジェクトのスライスプリント方法。
【請求項6】
前記第1ハーフトーン画像、前記第2ハーフトーン画像、前記第3ハーフトーン画像及び前記第4ハーフトーン画像は、それぞれシアン画像、マゼンタ画像、イエロー画像及びブラック画像である、請求項5に記載の多色3Dオブジェクトのスライスプリント方法。
【請求項7】
前記ステップeは、
e1)1つの前記経路データを読み取るステップと、
e2)前記経路データに基づき、1層の前記プリント層をプリントするように前記成形噴射ヘッドを制御するステップと、
e3)前記プリント層に着色が必要であると判断すると、前記プリント層に対応した前記ハーフトーン画像に基づき、前記プリント層に対して着色を実施するように前記着色噴射ヘッドを制御するステップと、
e4)前記プリント層が最後の1層ではない場合は、前記ステップe1〜前記ステップe4を再度実行して、次の前記プリント層をプリントするとともに、次の前記プリント層に対して着色を実施するステップと、を含む、請求項1に記載の多色3Dオブジェクトのスライスプリント方法。
【請求項8】
各前記経路データは、複数の座標値を含み、前記ハーフトーン画像に、それぞれ前記複数の座標値に対応した複数の色調が記録されている、請求項1に記載の多色3Dオブジェクトのスライスプリント方法。
【請求項9】
前記ステップeは、各前記座標値に基づき、前記着色噴射ヘッドが移動して対応する前記色調に基づき着色を実施するように制御する、請求項に記載の多色3Dオブジェクトのスライスプリント方法。
【請求項10】
各前記経路データ、各前記連続階調画像、各前記ディザリングマスク及び各前記ハーフトーン画像に、それぞれ対応する前記プリント層の層数値が記録されている、請求項1に記載の多色3Dオブジェクトのスライスプリント方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dプリントに関するものであり、特に多色3Dオブジェクトのスライスプリント方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、すでに多色3Dオブジェクトをプリント可能な多色3Dプリンタが提出されており、多色3Dプリンタは以下のプリント方法を採用してプリントする。
先ず、多色3Dプリンタに3Dデータをロードするとともに、3Dデータに対してスライス処理を実行してそれぞれ異なるプリント層に対応した複数の経路情報及び複数のハーフトーン画像を生成する。次に、多色3Dプリンタが、成形噴射ヘッドが複数の経路情報に基づき層ごとに複数のプリント層をプリントするように制御するとともに、着色噴射ヘッドが同一層のハーフトーン画像に基づきすでにプリントされたプリント層に対して着色を実施するように制御する。それにより、多色3Dプリンタは着色された複数のプリント層が積層されてなる多色3D実体モデルを生成することができる。
【0003】
多色3Dプリンタがスライス処理を実行する際は、同一のハーフトーンマスクを使用して各層のハーフトーン画像を生成し、それにより各層のハーフトーン画像の疑似輪郭が各層の同一水平位置に発現するため、生成される多色3DモデルはZ軸方向に明確な疑似輪郭現象が発現して、着色品質が不良となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、異なるディザリングマスクを使用して異なる層のハーフトーン画像を生成することができる、多色3Dオブジェクトのスライスプリント方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施例において、多色3Dオブジェクトのスライスプリント方法は、a)多色3Dオブジェクトの座標情報を読み取るとともに、座標情報に対して経路スライス処理を実行して、複数のプリント層の複数の経路データを生成するステップと、b)多色3Dオブジェクトの色情報を読み取るとともに、色情報に基づきそれぞれ複数のプリント層に対応した複数の連続階調画像を生成するステップと、c)複数のシフト値及び初期マスクに基づき、それぞれ複数のプリント層に対応した複数のディザリングマスクを算出するステップと、d)同一層の各ディザリングマスク及び各連続階調画像に基づき、それぞれ複数のプリント層に対応した複数のハーフトーン画像を生成するステップと、e)複数の経路データに基づき層ごとに複数のプリント層をプリントするように多色3Dプリンタの成形噴射ヘッドを制御するとともに、各プリント層のプリントが完了すると、対応するハーフトーン画像に基づき、プリント層に着色を実施するように多色3Dプリンタの着色噴射ヘッドを制御するステップとを含む。
【0006】
本発明は、異なるディザリングマスクを使用して異なる層の着色用のハーフトーン画像を生成することにより、疑似輪郭現象を効果的に回避することができ、着色品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】グレースケール画像の概略図である。
図1B】ハーフトーンマスクの画像概略図である。
図1C】ハーフトーン画像の概略図である。
図1D】ハーフトーンマスクのマトリックス概略図である。
図1E】グレースケール画像のマトリックス概略図である。
図1F】ハーフトーン画像のマトリックス概略図である。
図2】本発明の第1実施例における多色3Dプリンタの構造図である。
図3】本発明の第1実施例におけるスライスプリント方法の流れ図である。
図4】本発明の第2実施例におけるスライスプリント方法の一部流れ図である。
図5】本発明の第3実施例におけるスライスプリント方法の一部流れ図である。
図6】本発明の第4実施例におけるスライスプリント方法の一部流れ図である。
図7A】本発明における多色3Dオブジェクトの概略図である。
図7B】本発明における経路スライス処理の概略図である。
図7C】本発明における経路データの概略図である。
図7D】本発明における連続階調画像の概略図である。
図8】本発明におけるハーフトーンマスクのシフト概略図である。
図9A】本発明におけるハーフトーンマスクの画像の第1概略図である。
図9B】本発明におけるハーフトーンマスクの画像の第2概略図である。
図9C】本発明におけるハーフトーンマスクの画像の第3概略図である。
図9D】本発明におけるハーフトーンマスクの画像の第4概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここにおいては、本発明の好適な実施例について、図面を組み合わせて、以下の通り詳細に説明する。
先ず、インクジェットプリント技術について説明すると、ハーフトーンプリント技術を使用しているため、2Dインクジェットプリンタの各噴射ヘッドはジェットプリントするかまたはジェットプリントをしないかを選択することができるだけであり、各プリント点にはプリント材の原色及びインク色の2種類の色を示すことができるだけであるとともに、単一回のジェットプリントのインク量を制御して単一点の連続色調プリントを実現することができない。従って、一般に2Dプリンタは、ハーフトーン画像(halftone image、画素値はわずかに0及び1の2種類)を出力することができるだけであり、一般にディスプレイ上でみられる連続階調画像(continuous tone image、画素値は連続範囲であり、例えば0〜255)を出力することができない。
【0009】
出力されるハーフトーン画像に連続階調画像の視覚効果を備えさせるため、ハーフトーンプリント技術は、人の眼の高周波数に対する非鋭敏性を利用し(人類の視覚システムはローパスフィルタに類似)、ジェットプリント点の密度を調整することにより、人類の視覚システムにおいて連続階調画像の視覚効果を実現している。
【0010】
例を挙げると、均一分布したジェットプリント点は人類の視覚システムにおいては灰色領域であると誤認されるため、ジェットプリント点が密集しているほど、人類の視覚システムにおいては色が濃いと誤認され、逆もまた然りである。
【0011】
図1A図1Fを参照すると、図1Aはグレースケール画像の概略図であり、図1Bはハーフトーンマスクの画像概略図であり、図1Cはハーフトーン画像の概略図であり、図1Dはハーフトーンマスクのマトリックス概略図であり、図1Eはグレースケール画像のマトリックス概略図であり、図1Fはハーフトーン画像のマトリックス概略図であり、ハーフトーン画像の疑似輪郭現象を説明するために用いられる。
【0012】
一般のハーフトーンマスクと同様に、図1Bに示されているハーフトーンマスクは、複数の要素(element)が規則的に配列(本例においては格子状配列)されてなる。図1Bに示されているハーフトーンマスクを使用して図1Aに示されているグレースケール画像に対してハーフトーン処理を実行した後に、図1Cに示されているハーフトーン画像を得ることができる。かつ、人類の視覚システムでは特定の距離でハーフトーン画像を目視すると、このハーフトーン画像上にの規則的配列に対応して疑似輪郭(本例においては格子状疑似輪郭)を察知することができ、これがハーフトーン画像の疑似輪郭現象である。
【0013】
次に、疑似輪郭現象の形成原因について説明する。画像処理技術において、マスク及び画像は共にマトリックスにより表示することができる(図1D図1Fに示されている通り)。ハーフトーン処理を実施する場合は、ハーフトーンマスク(図1Dに示されている組織的ディザリング法(Orderd Dithering Method)マスク)の各要素値とグレースケール画像(図1Eに示されている通り)の対応する位置の画素値とを逐一比較する。グレースケール画像の画素値が対応する位置のハーフトーンマスクの要素値未満でない場合は、ハーフトーン画像(図1Fに示されている通り)の対応する位置の画素値を1と設定し、グレースケール画像の画素値が対応する位置のハーフトーンマスクの要素値未満である場合は、ハーフトーン画像の対応する位置の画素値を0と設定し、それによりハーフトーン画像を得ることができる。
【0014】
例を挙げると、グレースケール画像の右上画素値(127)がハーフトーンマスクの右上画素値(160)未満であるため、ハーフトーン画像の右上画素値は0となり、グレースケール画像の左上画素値(127)がハーフトーンマスクの左上画素値(0)未満ではないため、ハーフトーン画像の左上画素値は1となり、グレースケール画像の右下画素値(127)がハーフトーンマスクの右下画素値(80)未満ではないため、ハーフトーン画像の右下画素値は1となる。
【0015】
ハーフトーンマスクの要素値の大きさとハーフトーン画像の画素値とには密接な関係が存在しているため、要素値の分布に特定の規則がある場合(例えば図1Dにおける要素値分布は比較的大きな値と比較的小さな値との対角交差配列である)、生成されるハーフトーン画像の画素値分布も特定の規則を有することになる。
【0016】
更に、その他の例のハーフトーン処理において、グレースケール画像のサイズは往々にしてハーフトーンマスクのサイズを大きく上回っているため、ハーフトーンマスクを逐一グレースケール画像の異なる領域ブロックと比較する必要がある。やはり同一のハーフトーンマスクを使用するため、上記方式では生成されるハーフトーン画像が格子状の疑似輪郭を有する現象となる(格子状疑似輪郭の範囲はハーフトーンマスクのサイズに対応している)。
【0017】
従って、ハーフトーン技術を多色3Dプリントに用いる場合は、同一のハーフトーンマスクを使用して各層のハーフトーン画像を生成するため、各層のハーフトーン画像の疑似輪郭が各層の同一水平(つまりX−Y平面)位置に発現することになり、生成される多色3Dモデルの側壁にZ軸方向において疑似輪郭現象が発現して品質不良となる。
【0018】
続いて図2を参照すると、それは本発明の第1実施例における多色3Dプリンタの構造図である。本実施例では、多色3Dプリンタ1及びスライスソフトウェア20を含む多色3Dプリントシステムが開示されている。スライスソフトウェア20は電子装置2(例えば、デスクトップ型パソコン、ノート型パソコン、クラウドサーバまたはスマートフォン)で実行された後、多色3Dオブジェクトの3Dデータをロードして、3Dデータを更新して多色3Dオブジェクトに対してスライス処理を実施するとともに、3Dプリントデータ(つまり後述の経路データまたはハーフトーン画像であり、3DプリントデータはG−codeで示すことができる)を生成することができる。多色3Dプリンタ1は3Dプリントデータに基づきプリントして、多色3Dオブジェクトに対応した多色3D実体モデルを生成する。
【0019】
多色3Dプリンタ1は、主に成形噴射ヘッド100、着色噴射ヘッド102、記憶モジュール104、接続モジュール106、ヒューマンマシンインターフェイス108及び制御モジュール110を含む。
【0020】
成形噴射ヘッド100は、消費材供給装置(図内未表示)に接続されるとともに、消費材を使用して3Dプリントを実施することができる。
【0021】
1つの実施例において、多色3Dプリンタ1は、溶融堆積成形(Fused Deposition Modeling、FDM)3Dプリンタであり、消費材供給装置は熱可塑性消費材(例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)またはポリ乳酸(PLA))を成形噴射ヘッド100に提供することができ、成形噴射ヘッド100は消費材を半溶融状態まで加熱して3Dプリントを実施することができる。
【0022】
1つの実施例において、多色3Dプリンタ1は、光硬化成形(Stereo−Lithography、SL)3Dプリンタであり、消費材供給装置は液状の感光性樹脂(UV curable resin)を成形噴射ヘッド100に提供することができ、成形噴射ヘッド100は感光性樹脂をジェットプリントするとともに、ジェットプリントした感光性樹脂に光(例えば紫外光またはレーザ光)を照射し、それを硬化させて3Dプリントを実施することができる。
【0023】
着色噴射ヘッド102は、インクを貯留したインクカートリッジ(図内未表示)に接続される。1つの実施例において、着色噴射ヘッド102は複数のサブ噴射ヘッドを含むことができ、各サブ噴射ヘッドにそれぞれ異なる色(例えば、シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)及びブラック(black))の複数のインクカートリッジが接続されるとともに、混色することによりフルカラープリントを実現することができる。
【0024】
記憶モジュール104は、データ(例えば、3Dプリントデータ)の格納に用いられる。接続モジュール106(例えば、USBモジュール、PCI busモジュール、Wi−Fiモジュールまたはブルートゥース(登録商標)モジュール)は、電子装置2への接続に用いられるとともに、電子装置2から3Dプリントデータを受信する。ヒューマンマシンインターフェイス108(例えば、キーボード、ディスプレイ、指示ランプ、ブザーまたは上記の任意の組み合わせ)は、使用者の操作を受け付けるとともに、プリント関連情報の出力に用いられる。
【0025】
制御モジュール110は、3Dプリントデータに基づき、成形噴射ヘッド100及び着色噴射ヘッド102を制御してプリントを実施する。
【0026】
続けて図3を参照すると、それは本発明の第1実施例におけるスライスプリント方法の流れ図である。の疑似輪郭問題を解決するため、本発明では多色3Dオブジェクトのスライスプリント方法(以下においては、スライスプリント方法と称する)が提出されている。本発明の各実施例におけるスライスプリント方法は、主に図2に示されている多色3Dプリントシステムにより実現される。
【0027】
図3の実施例において、スライスソフトウェア20は、電子装置2または多色3Dプリンタ1(以下においては、電子装置2でスライスソフトウェア20を実行することを例とする)で実行された後、電子装置2または多色3Dプリンタ1がステップS10〜S12を実行するように制御することができる。
【0028】
ステップS10:電子装置2に多色3Dオブジェクト(例えば、図7Aに示されている多色3Dオブジェクト22)の3Dデータをロードする。具体的に述べると、3Dデータは、使用者が予め編集を完了したOBJファイルまたはPLYファイルであり、かつ、使用者がプリントしようとする多色3Dオブジェクトが記録されている。電子装置2は、3Dデータがロードされた後、多色3Dオブジェクトの座標情報及び色情報を読み取ることができる。
【0029】
1つの実施例において、座標情報には、多色3Dオブジェクトの各点の多色3Dプリンタ1におけるX軸、Y軸及びZ軸上の座標が含まれ、色情報には、多色3Dオブジェクト上の各点の特定色彩空間(例えば、RGB色彩空間)における色調が含まれる。
【0030】
ステップS12:電子装置2がロードされた3Dデータに対してスライス処理を実行するとともに、スライス処理により生成された3Dプリントデータを多色3Dプリンタ1に伝送して3Dプリントを実施する。
【0031】
1つの実施例において、電子装置2は、多色3Dオブジェクトの座標情報及び色情報を取得した後、多色3Dオブジェクトの本体に対して実施する経路スライス処理(ステップS20)及び多色3Dオブジェクトの画像に対して実施する画像スライス処理(ステップS22)を含む2種類の異なる型式のスライス処理をそれぞれ実行する。
【0032】
かつ、本実施例において、スライスプリント方法は、経路スライス処理を実行した後に複数のプリント層の複数の経路データを生成することができ、画像スライス処理を実行した後に複数のプリント層にそれぞれ対応した複数のハーフトーン画像を生成することができる。
【0033】
1つの実施例において、各経路データ及び各ハーフトーン画像は、それぞれ層数値を更に記録しており、層数値は各経路データ及びハーフトーン画像に対応するプリント層の層数を記述するために用いられる。例を挙げると、第1層経路データ/ハーフトーン画像の層数値は「1」であり、第10層経路データ/ハーフトーン画像の層数値は「10」であり、第100層経路データ/ハーフトーン画像の層数値は「100」であり、以下同様である。
【0034】
1つの実施例において、経路データの総数量、ハーフトーン画像の総数量及びプリント層の総数量は同一である。
ステップS14:多色3Dプリンタ1が、スライス処理により生成された3Dプリントデータに基づき層ごとに3Dプリントを実施して多色3D実体モデルを生成する。
【0035】
1つの実施例において、多色3Dプリンタ1は、先ず1層の経路データ(例えば、第1層経路データ)に基づき、成形噴射ヘッド100が1層のプリント層をプリントするように制御し(ステップS24)、更に同一層(つまり同一層数値または対応する同一のプリント層)のハーフトーン画像に基づき、着色噴射ヘッド102がプリントされた層プリント層に対して着色を実施するように制御し(ステップS26)、それにより1層のプリント層のプリント及び着色を完了する。次に、多色3Dプリンタ1がすべてのプリント層がいずれもプリント(着色を含む)を完了した(つまり、多色3D実体モデルがすでに完璧に生成されている)か否かを判断する。多色3Dプリンタ1がプリントを完了していると判断するとプリントを終了するとともに、プリントが完了していないと判断した場合は、ステップS24を再度実行し、引き続き次のプリント層をプリントする。
【0036】
続いて図3図4図7A図7Cを同時に参照すると、図4は本発明の第2実施例におけるスライスプリント方法の一部流れ図であり、図7Aは本発明における多色3Dオブジェクトの概略図であり、図7Bは本発明における経路スライス処理の概略図であり、図7Cは本発明における経路データの概略図である。図3に示されている実施例に比べ、図4の実施例において、スライスプリント方法のステップS20は以下のステップを含む。
【0037】
ステップS30:電子装置2が座標情報中の複数の座標値を読み取る。具体的に述べると、複数の座標値は、多色3Dオブジェクト22(図7Aに示されている通り)の外形構造を記述している。
ステップS32:電子装置2が、予め設定されたスライス厚またはスライス層数に基づき経路スライス処理を実行して、複数のプリント層の複数の経路データを生成し、多色3Dオブジェクトは複数のプリント層が堆積してなる。
【0038】
1つの実施例において、各経路データは複数の座標値を含む。かつ、複数の経路データの数量はスライス層数と同一である。例を挙げると、多色3Dオブジェクトを100層のプリント層に分割可能である場合は、経路スライス処理後に100個の経路データが生成される。100個の経路データはそれぞれ100個のプリント層に対応しているとともに、対応するプリント層のプリント経路がそれぞれ記述されている。
【0039】
例を挙げると、図7Bに示されている通り、経路スライス処理を実行する際、多色3Dオブジェクト22は、先ず色情報のない3Dオブジェクト24に転換され、3Dオブジェクト24は経路スライス処理後に3層のプリント層S1〜S3に分割される。各プリント層S1〜S3は、それぞれ複数の座標値により構成される1組のプリント経路により記述することができる。図7Cに示されている通り、プリント層S2はプリント経路30に対応しており、成形噴射ヘッド100がプリント経路30に沿ってプリントを実施すると、プリント層S2に対応した1層の実体プリント層をプリントアウトすることができる。
【0040】
続いて図3図5図7A図7B及び図7Dを同時に参照すると、図5は本発明の第3実施例におけるスライスプリント方法の一部流れ図であり、図7Dは本発明における画像スライス処理の概略図である。図3に示されている実施例に比べ、図5の実施例において、スライスプリント方法のステップS22は以下のステップを含む。
【0041】
ステップS40:電子装置2が、色情報を読み取り、色情報には多色3Dオブジェクト22上の各点の特定色彩空間における色調が含まれる。
ステップS42:電子装置2が、色情報に基づきそれぞれ複数のプリント層に対応する複数の連続階調画像を生成する。
【0042】
1つの実施例において、各連続階調画像には、それぞれ層数値が記録されているとともに、各プリント層の色を記述するために用いられる。
例を挙げると、図7Dに示されている通り、連続階調画像は、プリント層S2の着色領域32における各画素の位置及び色調を記述することができる。かつ、同一層の経路データの各座標値は、連続階調画像の着色領域32の各画素に対応している。そのため、連続階調画像を参考とすることにより各座標値の色調(つまり、対応する画素の画素値)を知ることができる。
【0043】
ステップS44:電子装置2が、色情報に対して色彩空間転換処理を実行して、生成された複数の連続階調画像を表示に適した色彩空間からプリントに適した別の色彩空間に転換する。
【0044】
例を挙げると、着色噴射ヘッド102がブラックインクカートリッジに接続されている場合、電子装置2は、色情報をRGB色彩空間からグレースケール(gray−scale)色彩空間に転換しなければならない。かつ、グレースケール色彩空間に転換される前の連続階調画像には、各層のレッド(R)画像、各層のグリーン(G)画像及び各層のブルー(B)画像が含まれ、単色のインクカートリッジを有しているだけであるため、グレースケール色彩空間に転換された後の連続階調画像は、各層のグレースケール画像のみを含む。
【0045】
そのため、本実施例は、効果的に色情報をプリントに適した色彩空間に転換することができる。
ステップS46:電子装置2が、複数のシフト値及び初期マスクに基づき、それぞれ複数のプリント層に対応した複数のディザリングマスクを算出する。具体的に述べると、電子装置2が、先ずそれぞれ複数のプリント層に対応した複数のシフト値を取得し、更に各プリント層のシフト値と初期マスクとに基づき、それぞれ各プリント層に対応したディザリングマスクを算出する。
【0046】
1つの実施例において、各ディザリングマスクにはそれぞれ層数値が記録されている。
1つの実施例において、初期マスクは使用者により予め設定される。かつ、複数のシフト値は、使用者が予め設定し、初期マスクに基づき算出することにより取得するかまたは乱数で生成することができ、かつ、完全に異なっていてもよくまたは一部が異なるだけでもよく、それらに限定されない。
【0047】
1つの実施例において、電子装置2が、各プリント層の層数値及び予め設定された単位シフトに基づきそのプリント層のシフト値を算出し、更に算出されたシフト値及び初期マスクに基づきそのプリント層のディザリングマスクを算出する。具体的に述べると、電子装置2が、下記式(1)により特定プリント層のシフト値(Sx,Sy)を算出することができる。
(Sx,Sy)=(n×x,n×y)……式(1)
式中、SxはX軸のシフト値であり、SyはY軸のシフト値であり、nはプリント層の層数であり、xはX軸の単位シフト値であり、yはY軸の単位シフト値である。
【0048】
単位シフト値(x,y)が(2,1)である場合を例とすると、第5層プリント層のシフト値は(5×2,5×1)つまり(10,5)であり、第8層プリント層のシフト値は(16,8)であり、…以下同様である。
【0049】
1つの実施例において、単位シフトは初期マスクに基づき決定される。具体的に述べると、X軸の単位シフト値は初期マスクの水平最大要素差であり、Y軸の単位シフト値は初期マスクの垂直最大要素差である。
【0050】
次に、電子装置2は、算出された各プリント層のシフト値及び初期マスクに基づき、そのプリント層のディザリングマスクを算出することができる。
図8を参照すると、それは本発明におけるハーフトーンマスクのシフト概略図である。1つの実施例において、電子装置2は、先ず初期マスク(下記のマトリックス(数1)を例とする)を無限に循環するマトリックスMとなるまで繰り返し取りまとめ(図8は4回繰り返して取りまとめた例である)、更に各プリント層のシフト値に基づき対応するディザリングマスクを算出する。
【0051】
【数1】
【0052】
例を挙げると、第1層プリント層のシフト値が(0,0)、第2層プリント層のシフト値は(2,1)、かつ、第3層プリント層のシフト値が(4,2)である場合、電子装置2がマトリックスMに基づきシフト計算を実施した後に得られる第1層プリント層のディザリングマスクはマトリックスM1であり、第2層プリント層のディザリングマスクはマトリックスM2(つまりM1の所在位置からX軸で2シフトし、Y軸で1シフトしている)であり、第3層プリント層のディザリングマスクはマトリックスM3(つまりM1の所在位置からX軸で4シフトし、Y軸で2シフトしている)である。
【0053】
そのため、本発明は、単一マスクのみを使用して複数の異なるディザリングマスクを生成することができる。
改めて図5を参照し、次に、電子装置2が各プリント層のディザリングマスクを使用して同一プリント層の連続階調画像に対してハーフトーン処理を実行して、各プリント層のハーフトーン画像を得る、ステップS48を実行する。
【0054】
ここで提起すべきは、生成される複数のハーフトーン画像は、着色噴射ヘッド102に接続されているインクカートリッジの色に対応している点である。例を挙げると、ブラックインクカートリッジである場合、複数のハーフトーン画像はブラックのハーフトーン画像であるとともに、対応してブラックのジェットプリント点が分布しており、多色3Dプリンタ1が着色する際は、ハーフトーン画像の画素値に基づきプリント層の各位置にブラックインク点をジェットプリントする(例えば、画素値が0の位置にジェットプリントし、画素値が1の位置にはジェットプリントしない)。別の例において、ブルーインクカートリッジである場合、複数のハーフトーン画像はブルーのハーフトーン画像であるとともに、対応してブルーのジェットプリント点が分布している。
【0055】
ここで提起すべきは、本発明で生成される複数のハーフトーン画像に対応した複数のディザリングマスクは完全に同一ではない点であり、3Dプリントを実施する場合(つまりステップS14)は、すべてのハーフトーン画像に基づきそれぞれすべてのプリント層に着色した後、疑似輪郭を各プリント層の異なる水平位置に発現させることができ、生成される多色3Dモデルの側壁にZ軸方向において一致して疑似輪郭現象が発現することはないため、プリント品質を高めることができる。
【0056】
続いて図3及び図6を同時に参照すると、図6は本発明の第4実施例におけるスライスプリント方法の一部流れ図である。図3に示されている実施例に比べ、図6の実施例において、スライスプリント方法のステップS14は以下のステップを含む。
ステップS500:多色3Dプリンタ1の制御モジュール110が1つの経路データを読み取る。
ステップS502:制御モジュール110が、読み取った経路データに基づき、成形噴射ヘッド100が1層のプリント層をプリントするように制御する。
【0057】
1つの実施例において、制御モジュール110は、成形噴射ヘッド100が経路データに記述されているプリント経路に沿って1層のプリント層をプリントするように制御し、つまり、成形噴射ヘッド100がそのプリント経路に含まれている複数の座標値の間を移動してプリントするように制御する。
【0058】
ステップS504:制御モジュール110が、ステップS502において読み取った経路データと同一層のハーフトーン画像を読み取るとともに、読み取ったハーフトーン画像に基づきプリント層に着色が必要であるか否かを判断する。
【0059】
1つの実施例において、制御モジュール110は、読み取ったハーフトーン画像の各画素の画素値に基づきプリント層に着色が必要であるか否かを判断し、つまり任意の画素の画素値が1(ジェットプリントが必要)であると、そのプリント層に着色が必要であると判定する。
【0060】
1つの実施例において、そのプリント層に着色が必要ではない場合は、画像スライス処理においてそのプリント層のハーフトーン画像を生成せず、つまりステップS42においてそのプリント層のハーフトーン画像を生成せず、ステップS46においてそのプリント層のディザリングマスクを算出せず、かつ、ステップS48においてそのプリント層のハーフトーン画像を生成しない。そのため、制御モジュール110は、そのプリント層に対応するハーフトーン画像がないかまたは空白画像であると判断すると、そのプリント層に着色が必要ではないと速やかに判定することができる。
【0061】
制御モジュール110がプリント層に着色が必要であると判断すると、ステップS506を実行する。必要ない場合と判断されると、制御モジュール110はステップS508を実行する。
ステップS506:制御モジュール110が、読み取ったハーフトーン画像に基づき、着色噴射ヘッド102がプリントされたプリント層に対して着色を実施するように制御する。
【0062】
1つの実施例において、各経路データには複数の座標値が含まれ、同一層のハーフトーン画像にはそれぞれその複数の座標値に対応した複数の色調(例えば1または0)が記録されている。制御モジュール110は、着色噴射ヘッド102(ブラックインクカートリッジに接続されている場合を例とする)が各色調に基づきプリントされたプリント層上において座標値に対応した位置にインク点をジェットプリントするように制御する。
【0063】
1つの実施例において、制御モジュール110は、色調が0である場合に、はじめて着色噴射ヘッド102がその座標値の位置まで移動するように制御するとともに、対応する色調に基づき現在位置でジェットプリントを実施し、色調値が1の場合は、その座標値の位置でジェットプリントは実施しない。
【0064】
ステップS508:制御モジュール110が、層数値に基づきすでにプリント・着色されたプリント層が最後の1層であるか否かを判断する。
制御モジュール110がそのプリント層は最後の1層ではないと判断すると、ステップS500〜S508を再度実行して、次のプリント層をプリントするとともに、次のプリント層に対して着色を実施する。
【0065】
そのため、本実施例では異なるディザリングマスクに応じて生成されたハーフトーン画像に基づき異なるプリント層に対して着色を実施しているため、明らかな疑似輪郭現象を有していない多色3D実体モデルを効果的にプリントアウトすることができる。
【0066】
実施例においては、単色インクカートリッジのインクに対応した複数の異なる層のハーフトーン画像のみを生成しているが、それらに限定されるべきではない。
【0067】
1つの実施例においては、それぞれ異なる色の複数のインクカートリッジに対応した複数組の異なる色のハーフトーン画像を生成することもでき、各組ハーフトーン画像は、複数の異なる層の同色ハーフトーン画像からなる。
例を挙げると、着色噴射ヘッド102は、複数組のサブ噴射ヘッド(4つのサブ噴射ヘッドを例とする)を含み、各サブ噴射ヘッドにそれぞれ異なる色のインクカートリッジが接続される(CMYKの4色を例とする)。
【0068】
電子装置2が図5に示されている画像スライス処理を実行する場合は、先ず連続階調画像をRGB色彩空間からCMYK色彩空間に転換することができる(ステップS44)。
具体的に述べると、CMYK色彩空間に転換する前に、複数の連続階調画像は、各層のレッド(R)画像、各層のグリーン(G)画像及び各層のブルー(B)画像を含む。CMYK色彩空間に転換した後、複数の連続階調画像は、各層のシアン(C)画像(第1連続階調画像)、各層のマゼンタ(M)画像(第2連続階調画像)、各層のイエロー(Y)画像(第3連続階調画像)及び各層のブラック(K)画像(第4連続階調画像)を含む。
【0069】
次に、電子装置2が、すべての色の連続階調画像のディザリングマスクを算出する(ステップS46)。
1つの実施例において、電子装置2は、異なる初期マスクを使用して異なる色の連続階調画像を算出する。更に、電子装置2は、同一の初期マスクを異なる角度回転させるとともに、それぞれ異なる色の連続階調画像に用いられるハーフトーン処理とする。
【0070】
例を挙げると、図9A図9Dを同時に参照すると、図9Aは本発明におけるハーフトーンマスクの画像の第1概略図であり、図9Bは本発明におけるハーフトーンマスクの画像の第2概略図であり、図9Cは本発明におけるハーフトーンマスクの画像の第3概略図であり、図9Dは本発明におけるハーフトーンマスクの画像の第4概略図である。
【0071】
電子装置2は、初期マスクを異なる傾斜角度値だけ回転させてそれぞれ異なる色の初期マスクとすることができる。例を挙げると、電子装置2は、初期マスクを15度回転させるとともに(図9Aに示されている通り)、シアン初期マスク(第1初期マスク)とし、初期マスクを75度回転させるとともに(図9Bに示されている通り)、マゼンタ初期マスク(第2初期マスク)とし、初期マスクを90度回転させるとともに(図9Cに示されている通り)、イエロー初期マスク(第3初期マスク)とし、初期マスクを45度回転させるとともに(図9Dに示されている通り)、ブラック初期マスク(第4初期マスク)とすることができる。
【0072】
かつ、電子装置2は、複数のシフト値及びシアン初期マスクに基づき各層のシアンディザリングマスク(第1ディザリングマスク)を算出し、同一組の複数のシフト値及びマゼンタ初期マスクに基づき各層のマゼンタディザリングマスク(第2ディザリングマスク)を算出し、同一組の複数のシフト値及びイエロー初期マスクに基づき各層のイエローディザリングマスク(第3ディザリングマスク)を算出し、同一組の複数のシフト値及びブラック初期マスクに基づき各層のブラックディザリングマスク(第4ディザリングマスク)を算出することができ、各色のディザリングマスクにはそれぞれ層数値が記録されている。
【0073】
次に、電子装置2は、図5のステップS48を実行して、各層のシアン連続階調画像及び各層のシアンディザリングマスクに基づき、各層のシアンハーフトーン画像(第1ハーフトーン画像)を生成し、各層のマゼンタ連続階調画像及び各層のマゼンタディザリングマスクに基づき、各層のマゼンタハーフトーン画像(第2ハーフトーン画像)を生成し、各層のイエロー連続階調画像及び各層のイエローディザリングマスクに基づき、各層のイエローハーフトーン画像(第3ハーフトーン画像)を生成するとともに、各層のブラック連続階調画像及び各層のブラックディザリングマスクに基づき、各層のブラックハーフトーン画像(第4ハーフトーン画像)を生成することができ、各色のハーフトーン画像にもそれぞれ層数値が記録されている。
【0074】
かつ、3Dプリンタ1が図6のステップS508を実行する場合は、対応する同一プリント層(つまり対応するプリントされたそのプリント層)のシアンハーフトーン画像、マゼンタハーフトーン画像、イエローハーフトーン画像及びブラックハーフトーン画像に基づき、それぞれ異なる色の4つのサブ噴射ヘッドがプリントされたプリント層に対して着色を実施するように制御する。
そのため、本実施例は、フルカラー3Dプリントを効果的に実現することができる。かつ、プリントアウトされたフルカラー3D実体モデルは明らかな疑似輪郭現象は有していない。
【0075】
以上の記載は本発明の好適かつ具体的な実施例に過ぎず、それにより本発明の特許請求の範囲が制限されないため、本発明の内容を運用して行われた等価な変化は、いずれも同様に本発明の範囲内に含まれることを、併せて表明する。
【符号の説明】
【0076】
1 多色3Dプリンタ
100 成形噴射ヘッド
102 着色噴射ヘッド
104 記憶モジュール
106 接続モジュール
108 ヒューマンマシンインターフェイス
110 制御モジュール
2 電子装置
20 スライスソフトウェア
22 多色3Dオブジェクト
24 3Dオブジェクト
S1〜S3 プリント層
30 プリント経路
32 着色領域
M、M1〜M3 マトリックス
S10〜S14 スライスプリントステップ
S20〜S22 スライスステップ
S24〜S28 プリントステップ
S30〜S32 経路スライスステップ
S40〜S48 画像スライスステップ
S500〜S508 プリント着色ステップ
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9A
図9B
図9C
図9D