(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記グレーインキの、25℃における静的表面張力が、前記シアンインキ、前記マゼンタインキ、及び、前記イエローインキそれぞれの25℃における静的表面張力のいずれよりも1mN/m以上低いことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシングルパス印刷用インキセット。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の
実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することがで
きる。
【0027】
<シングルパス印刷用インキセット>
本発明のシングルパス印刷用インキセットは、少なくともシアンインキ、マゼンタイン
キ、イエローインキ、及びグレーインキを含むシングルパス印刷用インキセットであって
、マゼンタインキの分光反射率が、式(1)〜式(3)を満たし、グレーインキの分光反
射率が、波長500nmにおいて20〜70%であり、かつ、式(4)及び式(5)を満
たすことを特徴とする。
(420nmの分光反射率)÷(700nmの分光反射率)×100≦40 式(1)
(500nmの分光反射率)÷(700nmの分光反射率)×100≦10 式(2)
(570nmの分光反射率)÷(700nmの分光反射率)×100≦20 式(3)
80≦(420nmの分光反射率)÷(500nmの分光反射率)×100≦110
式(4)
80≦(570nmの分光反射率)÷(500nmの分光反射率)×100≦110
式(5)
【0028】
以下、本発明のシングルパス印刷用インキセットについて詳細に説明する。
【0029】
本発明のシングルパス印刷用インキセットは、少なくともシアンインキ、マゼンタイン
キ、イエローインキ、及びグレーインキを含む。グレーインキを含むことで、シアン、マ
ゼンタインキ及びイエローインキでグレー色を再現する場合と比較して、メタメリズムが
改善される。また、ブラックのみでグレー色を再現する場合と比較して、粒状性が改善さ
れる。
【0030】
<分光反射率>
本発明のシングルパス印刷用インキセットは、マゼンタインキの分光反射率が、上記式
(1)〜式(3)を満たし、グレーインキの分光反射率が、波長500nmにおいて20
〜70%であり、かつ、上記式(4)及び式(5)を満たす。マゼンタインキとグレーイ
ンキの上述の分光反射率の関係を満たす場合、少なくともシアンインキ、マゼンタインキ
、イエローインキ、グレーインキで再現されるグレー色の分光反射率の曲線を平坦にでき
、効果的にメタメリズムが改善できる。
【0031】
中でも、メタメリズム改善の観点から、式(1)で表される分光反射率比が25以下で
あることがより好ましく、また、式(3)で表される分光反射率比が10以下であること
がより好ましい。
【0032】
色再現性の観点から、マゼンタインキの700nmの分光反射率が60%以上であるこ
とが好ましく、メタメリズムの観点からグレーインキの分光反射率が、波長500nmに
おいて30〜60%であることが好ましい。
【0033】
本明細書において、「分光反射率」は、網点面積率100%の画像(ウェット膜厚8μ
m相当)を形成し、視野角2°、光源D65、CIE表色系で波長400〜700nmの
反射率を測定することで算出された値である。また、測定器は、X−Rite,Inc社
製X Rite 500seriesを用いる。
【0034】
なお、網点面積率とは、単位面積あたりに占める網点の面積の割合を百分率で表したも
のを意味する。
【0035】
<色相角H°>
本発明のシングルパス印刷用インキセットは、CIELAB色空間において定義される
色相角H°において、シアンインキの色相角H°が200〜290°、マゼンタインキの
色相角H°が0〜45°、イエローインキの色相角H°が80〜110°の関係を満たす
ことが好ましい。より好ましくは、シアンインキの色相角H°が200〜270°、マゼ
ンタインキの色相角H°が10〜40°、イエローインキの色相角H°が90〜110°
である。上記範囲内であると、色再現性が高い画像が得られる。
【0036】
本明細書において、「色相角H°」は、JIS Z 8781−4:2013に準拠し
て計算される相関量を意味する。色相角H°は、H°=tan
-1(b
*/a
*)+180(
a
*<0の場合)、又は、H°=tan
-1(b
*/a
*)+360(a
*>0の場合)により
求められる。なお上記式における「a
*」及び「b
*」は、網点面積率が100%の画像を
形成した際のCIE1976L
*a
*b
*色空間における値である。また、測定器は、X−
Rite,Inc社製X Rite 500seriesを用いる。
【0037】
以下、本発明のシングルパス印刷用インキセットを構成するシアンインキ、マゼンタイ
ンキ、イエローインキ、及びグレーインキに含まれるか、又は含まれ得る成分について説
明する。
【0038】
シアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキ、及びグレーインキは、少なくとも顔料
を含む。
【0039】
<シアンインキ中の顔料>
本発明のシアンインキに用いることができる顔料としては、特に制限はなく、公知の顔
料を用いることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも用いることができる
。印刷用途及び塗料用途に一般的に使用される顔料であってよく、それら顔料から色再現
性及び耐候性等の必要となる用途に応じて適切な顔料を選択することができる。
【0040】
詳しくは、C.I.カラーインデックスで示すと、シアン色を呈する顔料としては、C
.I.Pigment Blue 1、2、14、15、15:1、15:2、15:3
、15:4、15:6、60、62などが挙げられる。中でも、色再現性の観点から、C
.I.Pigment Blue 15:3、15:4が好ましい。本発明において、上
記シアン色を呈する顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよ
い。
【0041】
シアンインキ中のシアン色を呈する顔料の含有量は、シアンインキの全質量に対して、
0.1〜10質量%であることが好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
【0042】
<マゼンタインキ中の顔料>
本発明のマゼンタインキに用いることができる顔料としては、分光反射率が上述の関係
を満たすことができるものであれば、特に制限はなく、公知の顔料を用いることができる
。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも用いることができる。印刷用途及び塗料用途
に一般的に使用される顔料であってよく、それら顔料から色再現性及び耐候性等の必要と
なる用途に応じて適切な顔料を選択することができる。
【0043】
分光反射率が上述の関係を満たすことができるマゼンタ色を呈する顔料としては、C.
I.カラーインデックスで示すと、C.I.Pigment RED 48:1、112
、146、166、177、179、202、237、242、254、255、264
、282、C.I.Pigment Violet 19などが挙げられる。中でも、C
.I.Pigment RED112、146、166、177、179、202、23
7、254、255、264が好ましい。
【0044】
本発明において、上記マゼンタ色を呈する顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上
組み合わせて用いてもよい。また、マゼンタインキの分光反射率が上述の関係を満たせば
、上記以外のマゼンタ色を呈する顔料と組み合わせて用いてもよい。
【0045】
特に赤領域の色再現性が高いC.I.Pigment RED146、166、254
などの顔料と、青領域の色再現が高いC.I.Pigment RED122、C.I.
Pigment Violet 19などの顔料を混合することで、メタメリズムを改善
しつつ、赤及び青領域に良好なガマットを再現することができる。
【0046】
マゼンタインキ中の上記マゼンタ色を呈する顔料の含有量は、マゼンタインキの全質量
に対して、0.1〜10質量%であることが好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
【0047】
<イエローインキ中の顔料>
本発明のイエローインキに用いることができる顔料としては、特に制限はなく、公知の
顔料を用いることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも用いることができ
る。印刷用途及び塗料用途に一般的に使用される顔料であってよく、それら顔料から色再
現性及び耐候性等の必要となる用途に応じて適切な顔料を選択することができる。
【0048】
詳しくは、C.I.カラーインデックスで示すと、イエロー色を呈する顔料としては、
C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、
18、24、73、74、75、83、93、95、97、98、100、108、10
9、110、114、120、128、129、138、139、174、150、15
1、154、155、167、180、185、213などが挙げられる。中でも、分光
反射率が、波長450nm付近から徐々に上がり始め、波長550〜600nmで高い分
光反射率を有する顔料が好ましく、このような分光反射率を有するイエロー顔料を用いる
ことで、シアンインキとイエローインキを使用した印刷物の分光反射率をより平坦にし、
メタメリズムを改善することができる。メタメリズムを改善する最適な分光反射率の観点
からC.I.Pigment Yellow 150、184、185が好ましく、耐候
性の色再現の観点からC.I.Pigment Yellow 150がより好ましい。
本発明において、上記イエロー色を呈する顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上組
み合わせて用いてもよい。
【0049】
イエローインキ中のイエロー色を呈する顔料の含有量は、イエローインキの全質量に対
して、0.1〜10質量%であることが好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
【0050】
<グレーインキ中の顔料>
本発明のグレーインキに用いることができる顔料としては、分光反射率が上述の関係を
満たすことのできるものであれば、特に制限はなく、公知の顔料を用いることができる。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも用いることができる。印刷用途及び塗料用途に
一般的に使用される顔料であってよく、それら顔料から色再現性及び耐候性等の必要とな
る用途に応じて適切な顔料を選択することができる。
【0051】
詳しくは、C.I.カラーインデックスで示すと、C.I.Pigment Blac
k 1、6、7、9、10、11、28、26、31などが挙げられる。中でも、C.I
.Pigment Black 7が好ましい。本発明において、上記顔料は、1種単独
で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0052】
グレーインキ中の顔料の含有量は、グレーインキの全質量に対して、0.2〜1質量%
であることが好ましく、0.35〜0.9質量%がより好ましい。
【0053】
さらに、グレーインキは、メタメリズムの改善の観点から、シアン色を呈する顔料又は
/及びマゼンタ色を呈する顔料を含んでもよい。
【0054】
本発明のシングルパス印刷用インキセットは、シアンインキ、マゼンタインキ、イエロ
ーインキ、及びグレーインキ以外のインキを含んでもよい。例えば、ブラックインキ、ホ
ワイトインキ、グリーンインキ、バイオレットインキ、オレンジインキなどが挙げられる
。中でも、メタメリズムの改善の観点から、ブラックインキを含むことが好ましい。
【0055】
上記ブラック色を呈する顔料としては、C.I.Pigment Black 1、6
、7、9、10、11、28、26、31などが挙げられる。中でも、C.I.Pigm
ent Black 7が好ましい。本発明において、上記ブラック色を呈する顔料は、
1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0056】
ブラックインキ中のブラック色を呈する顔料の含有量は、ブラックインキの全質量に対
して、1質量%より大きく10質量%以下であることが好ましく、2〜10質量%がより
好ましい。
【0057】
本発明において、上記グレーインキと上記ブラックインキの顔料は、同じC.I.カラ
ーインデックスである顔料を用いることがより好ましい。中でも、ブラックインキとグレ
ーインキとして、C.I.Pigment Black 7を用いることが好ましい。
【0058】
さらに、優れた画像品質形成の観点から、グレーインキ中の顔料の含有量は、ブラック
インキ中の顔料の含有量に対し5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%
であることがより好ましい。グレーインキとブラックインキの顔料の含有量が上記範囲を
満たすとき、効果的にメタメリズムが改善でき、かつ、高い画像品質が得られる。
【0059】
上記ホワイト色を呈する顔料としては、C.I.Pigment White 5、6
、7、12、28などが挙げられる。
【0060】
上記グリーン色を呈する顔料としては、C.I.Pigment Green 1、2
、3、4、7、8、10、15、17、26、36、45、50などが挙げられる。
【0061】
上記バイオレット色を呈する顔料としては、C.I.Pigment Violet
1、2、3、4、5:1、12、13、15、16、17、19、23、25、29、3
1、32、36、37、39、42などが挙げられる。
上記オレンジ色を呈する顔料としては、C.I.Pigment Orange 13
、16、20、34、36、38、39、43、51、61、63、64、74などが挙
げられる。
【0062】
顔料以外の成分としては、マゼンタインキ、グレーインキの分光反射率が、上述の関係
を満たすことができるものであれば特に制限はなく、例えば、水性インキの場合は、顔料
分散樹脂、水、有機溶剤、樹脂、表面張力調整剤、及び消泡剤などが挙げられ、活性エネ
ルギー線硬化性インキの場合は、顔料分散樹脂、重合性化合物、重合開始剤、有機溶剤、
表面張力調整剤、消泡剤、酸化防止剤、樹脂、及び水などが挙げられる。中でも、塗膜耐
性や生産性の観点から、重合性化合物及び重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性イン
キであることが好ましい。
【0063】
<重合性化合物>
本明細書において、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)
アクリレート」、及び「(メタ)アクリロイルオキシ」といった記載は、特に説明がない
限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル酸及び/又は
メタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、及び「アクリロイルオキ
シ及び/又はメタクリロイルオキシ」を意味する。また、「PO」は「プロピレンオキサ
イド」を、「EO」は「エチレンオキサイド」を表す。
【0064】
本発明に用いることができる重合性化合物は、特に制限はなく、ラジカル重合反応、カ
チオン重合反応、二量化反応など公知の重合性もしくは架橋性材料を用いることができる
。中でも、塗膜耐性、密着性、硬化性の観点から、ラジカル重合性化合物であることが好
ましく、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であるこ
とがさらに好ましい。具体的には、分子内に(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル
基、ビニルエーテル基、内部二重結合性基(マレイン酸など)を有する重合性化合物が好
ましい。中でも、硬化性の点で、(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物((メタ
)アクリロイル基及びビニルエーテル基を有する重合性化合物以外)、ビニル基を有する
重合性化合物、(メタ)アクリロイル基及びビニルエーテル基を有する重合性化合物がさ
らに好ましい。
また、本発明に用いることができる重合性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種
以上を組み合わせてもよい。
【0065】
(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物としては、具体的に、2−エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、β−カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、4−t
−ブチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレー
ト、アルコキシ化テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリ
レート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソアミル
(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ
)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート、シ
クロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル
(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル
(オキシエチル)(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノール(メタ)
アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノールアクリレート、(2−メチル−2−エ
チル−1、3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、アクリロイルモルフォリ
ン、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デ
カンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート
、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、(ネオペンチルグリコール変性)トリメチロールプ
ロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ
メチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジ
(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのEO付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフ
ェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ
)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジシクロペ
ンタニルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、
ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキ
シ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシ
アヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート
、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化(3)トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート
、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペン
タ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙
げられる
【0066】
ビニル基を有する重合性化合物としては、具体的に、N−ビニルカルバゾール、1−ビ
ニルイミダゾール、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニ
ルホルムアミドなどが挙げられる。
【0067】
(メタ)アクリロイル基及びビニルエーテル基を有する重合性化合物としては、具体的
には、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプ
ロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2
−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(
メタ)アクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビ
ニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロ
ピルなどが挙げられる。
【0068】
重合性化合物として、重合性オリゴマーを含有してもよい。重合性オリゴマーは、分子
内にエチレン性不飽和結合として、(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。オ
リゴマーに含まれるチレン性不飽和結合数は、柔軟性と硬化性のバランスの観点から、1
分子あたり1〜15が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4がさらに好ましく、2が
特に好ましい。オリゴマーの重量平均分子量は400〜10,000が好ましく、500
〜5,000がより好ましい。ここで、「重量平均分子量」は、一般的なゲルパーミッシ
ョンクロマトグラフィー(以下GPC)によりスチレン換算分子量として求めることがで
きる。
【0069】
重合性オリゴマーとしては、例えば、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、芳香族
ウレタンアクリレートオリゴマーなどのウレタンアクリレートオリゴマー、アクリルエス
テルオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマ
ーなどが挙げられる。延伸性の点から、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、芳香族
ウレタンアクリレートオリゴマーが好ましい。また、重合性オリゴマーは、1種単独で用
いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
【0070】
<重合開始剤>
本発明に用いることができる重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の重合開始剤
を用いることができる。また、重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み
合わせて用いてもよい。なお、重合開始剤は、活性エネルギー線等の外部エネルギーを吸
収して重合開始種を生成する化合物だけではなく、特定の活性エネルギー線を吸収して重
合開始剤の分解を促進させる化合物(いわゆる増感剤)も含まれる。
【0071】
重合開始剤としては、具体的に、アシルフォスフィンオキサイド系化合物としては、ジ
フェニルアシルフェニルフォスフィンオキサイド、エトキシ(2,4,6−トリメチルベ
ンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフ
ェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル
フォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン
、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオ
キサントン、2,4−ジエチルチオキサントンなどが挙げられる。
α−アミノアルキルフェノン系化合物としては、2−メチル−1−[4−(メトキシチ
オ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチル
アミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−
2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]
−1−ブタノンなどが挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イ
ソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィドなどが挙げら
れる。
α−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフ
ェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ
(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン
)などが挙げられる。
アミン系化合物としては、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノ
ールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、
p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン、エチル−4
−ジメチルアミノベンゾエート、及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
、及びエチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエートなどが挙げられる。本発明にお
いて、上記重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい
。
【0072】
重合開始剤の含有量は、重合性化合物の全質量に対して、5〜20質量%であることが
好ましく、5〜15質量%がより好ましい。
【0073】
活性エネルギー線硬化性インキは、使用する重合開始剤によって、インキ塗膜の色相や
メタメリズムが変化する。さらに、インキを硬化させるために、強い活性エネルギー線を
照射するため重合開始剤が分解することでも変化する。特に、インキの量が少ない画像領
域、グレーインキなどの淡い色において顕著である。
【0074】
重合開始剤の中でも、チオキサントン系化合物は、グレーインキなどの淡い色において
インキ塗膜が黄味になり色相がずれる。また、α−アミノアルキルフェノン系化合物は、
波長385nm付近で蛍光発光を有すためメタメリズムを引き起こす。
【0075】
そのため、本発明において、前記グレーインキは、色相とメタメリズムの観点から、チ
オキサントン系化合物、及び、α−アミノアルキルフェノン系化合物の総量が、インキ全
質量に対して3質量%未満であることが好ましい。より好ましくは、2質量%以下である
。特に本発明の場合、硬化性の観点から、α−アミノアルキルフェノン系化合物の配合量
を、チオキサントン系化合物の配合量より少なくすることがより好ましい。
【0076】
本発明において、前記シアンインキ、前記マゼンタインキ、前記イエローインキは、硬
化性の観点から、チオキサントン系化合物、及び、α−アミノアルキルフェノン系化合物
の総量が、インキ全質量に対して7質量%未満であることが好ましい。より好ましくは、
5質量%以下である。特に本発明の場合、硬化性の観点から、α−アミノアルキルフェノ
ン系化合物の配合量を、チオキサントン系化合物の配合量より少なくすることがより好ま
しい。
【0077】
<表面張力調整剤>
本明細書において表面張力調整剤とは、添加によってインキの表面張力を低下させる物
質を意味する。表面張力調整剤として、例えば、シリコーン系表面張力調整剤、フッ素系
表面張力調整剤、アクリル系表面張力調整剤、アセチレングリコール系表面張力調整剤等
が挙げられる。表面張力低下の能力の観点から、シリコーン系表面張力調製剤を使用する
ことが好ましい。
【0078】
シリコーン系表面張力調整剤としては、具体的に、ジメチルシロキサン骨格の変性体が
挙げられる。中でも、ポリエーテル変性シロキサン系表面張力調整剤が好ましい。なおポ
リエーテルとは、例えば、ポリエチレンオキサイド、及び/又はポリプロピレンオキサイ
ドであってよい。本発明の一実施形態では、市販品として入手できるポリエーテル変性シ
リコーン系界面活性剤を使用することができる。
好ましく使用できる代表的な製品の例として、ビックケミー社のBYK(登録商標)−
331、333、348、349、378、UV3500、及びUV3510等が挙げら
れる。また、エボニックデグサ社のTEGO(登録商標)GLIDE 450、440、
435、432、410、406、130、110、及び100等が挙げられる。これら
の中でも、画像品質向上の観点から、BYK−331、333、348、378、UV3
510、TEGO GLIDE 450、440、432、及び410等が好ましい。
【0079】
前記シリコーン系表面張力調整剤の含有量は、インキ全質量に対して前記グレーインキ
は0.1〜2.0質量%、前記シアンインキ、前記マゼンタインキ、前記イエローインキ
は0.01〜0.3質量%が好ましい。
【0080】
<その他の成分>
活性エネルギー線硬化性インキには、必要に応じて上記成分以外に、顔料分散剤、重合
禁止剤、有機溶剤、消泡剤、酸化防止剤、樹脂、及び水などを含有することができる。
【0081】
<顔料分散剤>
本発明において、顔料の分散性及びインキの保存安定性を向上させるために、顔料分散
剤を使用することが好ましい。本発明に用いることができる顔料分散剤としては、特に制
限はなく、公知の顔料分散剤を用いることができる。中でも、塩基性官能基を有する樹脂
型顔料分散剤が好ましく、前記塩基性官能基としては一級、二級、又は三級アミノ基、ピ
リジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素複素環などを挙げることができる。
【0082】
また、前記樹脂型顔料分散剤を構成する骨格としては、脂肪酸アミン骨格、及び/又は
、ウレタン骨格が、保存安定性良好な顔料分散体が容易に得られることからさらに好まし
い。
【0083】
上記顔料分散剤は、重量平均分子量が5,000〜50,000、酸価(mgKOH/
g)が5〜20、アミン価(mgKOH/g)が20〜50であることが好ましい。なお
「酸価」とは、分散剤固形分1gあたりの酸価を表し、JIS K 0070に準じ、電
位差滴定法によって求めることができる。また「アミン価」とは、分散剤固形1gあたり
のアミン価を表し、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めた後、水酸
化カリウムの当量に換算した値をいう。
【0084】
上記顔料分散剤としては、具体的に、ルーブリゾール社製のソルスパーズ32000、
76400、76500、J100、及びJ180;並びにDisperbyk−161
、162、163、164、165、166、167、168、及び190などが挙げら
れる。
【0085】
上記顔料分散剤の含有量は、所望の安定性を確保する上で任意に選択される。例えば、
インキの流動特性に優れるのは、顔料100質量部に対して顔料分散剤を25〜150質
量部とした場合である。上記範囲内で顔料分散剤を使用した場合、インキの分散安定性が
良好となり、長期経時後も初期と同等の品質を示す傾向があるため好ましい。
【0086】
<重合禁止剤>
インキの保存安定性を高めるため、重合禁止剤を使用することができる。重合禁止剤と
しては、ヒンダードフェノール系化合物、フェノチアジン系化合物、ヒンダードアミン系
化合物、リン系化合物が特に好適に使用される。具体的には、4−メトキシフェノール、
ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−
ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルア
ミンのアルミニウム塩などが挙げられる。中でも、ヒンダードフェノール系化合物及び/
又はフェノチアジン系化合物を含むことが好ましく、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチ
ルフェノール、フェノチアジンを含むことがより好ましい。
【0087】
硬化性を維持しつつ経時安定性を高める観点から、重合禁止剤の含有量は、インキの全
質量に対して、0.01〜2質量%であることが好ましい。
【0088】
<有機溶剤>
一実施形態において、活性エネルギー線硬化性インキの低粘度化、及び被記録媒体への
濡れ性を向上させるために、有機溶剤を含有させてもよい。有機溶剤の沸点は、120℃
〜300℃が好ましく、140〜270℃がより好ましく、160〜260℃がさらに好
ましい。
【0089】
有機溶剤としては、グリコール化合物の、モノアセテート類、ジアセテート類、ジオー
ル類、モノアルキルエーテル類、ジアルキルエーテル類、乳酸エステル等が挙げられる。
中でも、グリコール化合物の、モノアセテート類、モノアルキルエーテル類、ジアルキル
エーテル類が好ましい。さらに具体的には、テトラエチレングリコールジアルキルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチル
エーテルが好ましい。
【0090】
上記有機溶剤の含有量は、インキの全質量に対して、0.1〜10質量%含むことが好
ましい。含有量を、上記範囲内にすることによって、硬化性、吐出安定性及び密着性の各
特性について良好な結果を得ることが容易となる。硬化性の観点から、上記有機溶剤の含
有量は、インキの全質量に対して、0.2〜5質量%がより好ましい。さらに吐出安定性
の点から、0.5〜4質量%が好ましい。
【0091】
<インキ物性>
<静的表面張力>
本発明において、上記グレーインキの25℃における静的表面張力が、上記シアンイン
キ、上記マゼンタインキ、及び上記イエローインキそれぞれの25℃における静的表面張
力のいずれよりも低いことが好ましい。さらにメタメリズムの改善の観点から、上記グレ
ーインキの25℃における静的表面張力が、上記シアンインキ、上記マゼンタインキ、及
び上記イエローインキそれぞれの25℃における静的表面張力のいずれよりも1mN/m
以上低いことがより好ましい。静的表面張力が、上記関係を満たすと、シアンインキ、マ
ゼンタインキ、イエローインキによって形成された画像の上にグレーインキが濡れ拡がる
ため、効果的にメタメリズムが改善する。
【0092】
さらに、本発明において、インキの静的表面張力は18〜30mN/mが好ましく、よ
り好ましくは、グレーインキが19〜24mN/mで、シアンインキ、マゼンタインキ、
イエローインキが20〜25mN/mである。静的表面張力が上記範囲を満たすとき、シ
アンインキ、マゼンタインキ、イエローインキによって形成された画像の上にグレーイン
キが濡れ拡がるため、効果的にメタメリズムが改善し、かつ、インクジェット印刷での吐
出性が良好である。
【0093】
<粘度>
本発明のシングルパス印刷用インキセットを構成する前記シアンインキ、前記マゼンタ
インキ、前記イエローインキ、及び前記グレーインキは、インクジェット方式での印刷の
観点から、25℃における粘度が40mPa・s以下であることが好ましい。より好まし
くは5〜40mPa・s、さらに好ましくは7〜30mPa・sである。
【0094】
<記録方法>
本発明の記録方法は、本発明のシングルパス印刷用インキセットに含まれる前記シアン
インキ、前記マゼンタインキ、及び前記イエローインキを印刷する工程(以下、「インキ
印刷工程」ともいう)を行った後、前記グレーインキを印刷する工程(以下、「グレーイ
ンキ印刷工程」ともいう)を行う。
前記シアンインキ、前記マゼンタインキ、前記イエローインキで形成された画像の上に
、前記グレーインキで画像を形成することで、印刷物の反射率が平坦になり効果的にメタ
メリズムを改善できる。
【0095】
<インキ印刷工程>
本発明において、生産性の観点からインキ印刷工程はシングルパスのインクジェット方
式により印刷することが好ましい。印刷速度は、35m/min以上が好ましく、50m
/min以上がより好ましく、75m/min以上が特に好ましい。
【0096】
前記シアンインキ、前記マゼンタインキ、前記イエローインキを印刷する工程は、3色
全てのインキを印刷する必要はなく、また、前記シアンインキ、前記マゼンタインキ、前
記イエローインキの順で印刷する必要はない。所望の画像により適宜選択できる。
【0097】
本発明において、インクジェットヘッドの1つのノズルから吐出されるインキ量は、0
.1〜100pL/1滴が好ましく、0.5〜75pL/1滴がより好ましく、1〜40
pL/1滴がより好ましくさらに好ましい。
【0098】
本発明において、インクジェットヘッドのノズル密度は、180dpi以上が好ましく
、300dpi以上がより好ましく、600dpi以上がさらに好ましい。
【0099】
<半硬化又は半乾燥工程>
本発明の記録方法は、本発明のシングルパス印刷用インキセットに含まれる前記シアン
インキ、前記マゼンタインキ、及び前記イエローインキを印刷する工程の後、前記グレー
インキを印刷する工程の前に、半乾燥させる工程又は半硬化する工程を有することが好ま
しい。
【0100】
本発明において、「半硬化」とは、部分的な硬化を意味し、シアンインキ、マゼンタイ
ンキ、イエローインキが部分的に硬化しているが完全に硬化していない状態をいう。具体
的には、半硬化の終了後、普通紙を押し当てて、インキが転写したかどうかによって判断
できる。すなわち、転写した場合を半硬化の状態という。半硬化させることで、グレーイ
ンキが拡がりやすくなり、効果的にメタメリズムを改善できる。また、シアンインキ、マ
ゼンタインキ、イエローインキのドットとグレーインキのドットの混色(いわゆるビーデ
ィング)を抑制し、高品質の画像が得られる。
【0101】
半硬化を行うための方法は、特に制限がなく、活性エネルギー線を照射する方法など公
知の方法が挙げられる。活性エネルギー線としては、電子線、紫外線、赤外線などの被照
射体の電子軌道に影響を与え、ラジカル、カチオン、アニオンなどの重合反応を誘発する
エネルギー線であればよく、これらに限定しない。中でも、電子線、紫外線が好ましく、
紫外線がより好ましい。
【0102】
光源としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。具体的には、水銀
ランプ、キセノンランプ、メタルハイドライドランプ、UV−LED、紫外線レーザーダ
イオード(UV−LD)等のLED(発光ダイオード)やガス・固体レーザーなどが挙げ
られる。中でも、UV−LEDを使用することが好ましい。
【0103】
UV−LEDを使用する場合のピーク波長は、硬化性の観点から、380〜420nm
が好ましく、380〜410nmがより好ましい。380nm以上であると、安全性に優
れる。また、420nm以下であると、硬化性に優れるので好ましい。
【0104】
半硬化に必要なエネルギー量は、重合開始剤の種類や含有量などによって異なるが、1
〜500mJ/cm
2が好ましい。
【0105】
本発明において、「半乾燥」とは、部分的な乾燥を意味し、シアンインキ、マゼンタイ
ンキ、イエローインキが部分的に乾燥しているが完全に乾燥していない状態をいう。半乾
燥させることで、グレーインキが拡がりやすくなり、効果的にメタメリズムの改善できる
。
【0106】
半乾燥を行うための方法は、特に制限がなく、例えば加熱乾燥法、熱風乾燥法、赤外線
乾燥法、マイクロ波乾燥法、ドラム乾燥法などを挙げることができる。上記の乾燥法は単
独で用いても、複数を併用してもよい。例えば加熱乾燥法と熱風乾燥法を併用することで
、それぞれを単独で使用したときよりも素早く、インキを乾燥させることができる。
【0107】
上記半乾燥の具体的な条件は、モノマーや溶剤、水分量によって異なるが、例えば赤外
線乾燥法の場合、1500〜2500nmに最大吸収波長を持ち、エネルギー密度が20
〜200kw/m
2であるカーボンヒーターを用いて、0.5〜5秒程度乾燥させること
で、前記半乾燥状態とすることができる。
【0108】
<グレーインキ印刷工程>
本発明では、メタメリズムの改善の観点から、グレーインキの印字率が50%以上にな
るように処理・作成された画像を用いて印刷することが好ましい。なお、上記画像の処理
・作成方法の例として、X−rite社製のProfile makerを用い、本発明
の記録方法で用いるインキセットに関するICCプロファイルを作成する。次いで、前記
ICCプロファイルと、Adobe社製のフォトショップ(登録商標)とを使用して、前
記インキセットを構成する各インキの色に分解した、画像データを作成することができる
。
【0109】
<本硬化又は本乾燥工程>
本発明の記録方法は、上記した各工程の後に本硬化又は本乾燥する工程を有する。
【0110】
本発明において、「本硬化」とはインキの内部及び表面が完全に硬化した状態をいう。
具体的には、本硬化の終了後、普通紙を押し当てて、インキが転写したかどうかによって
判断できる。すなわち、全く転写しない場合を完全に硬化した状態という。
【0111】
本硬化を行うための方法は、上述の半硬化と同じ方法を用いることができる。本硬化に
必要なエネルギー量は、重合開始剤の種類や含有量などによって異なるが、100〜10
,000mJ/cm
2が好ましい。
【0112】
本発明において、「本乾燥」とはインキの内部及び表面が完全に乾燥した状態をいう。
具体的には、本乾燥の終了後、普通紙を押し当てて、インキが転写したかどうかによって
判断できる。すなわち、全く転写しない場合を完全に乾燥した状態という。
【0113】
本乾燥を行うための方法は、上述の半乾燥と同じ方法を用いることができる。
【実施例】
【0114】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこ
れらに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中、「部」及び「%」とは「質
量部」及び「質量%」をそれぞれ表す。
【0115】
<顔料分散体の作成>
顔料として、LIONOL BLUE FG−7919を20部、顔料分散剤として、
ソルスパーズ32000を10部、重合性化合物として、SR508を70部加え、ハイ
スピードミキサーで均一になるまで撹拌後、横型サンドミルで約1時間分散して、顔料分
散体CM1を作成した。
【0116】
また使用した原料を変えた以外は上記と同様の方法で、表1に記載の顔料分散体を作成
した。なお、表1中の数値は特に断りがない限り「質量部」を表し、空欄は配合していな
いことを表す。
【0117】
【表1】
【0118】
【表1】
【0119】
<インキの作成>
顔料分散体CM1を17.5部、重合性化合物としてSR508を27.4部、VEE
Aを35部、SR454を10部、重合開始剤として、Omnirad TPOを6部、
Omnirad 379を2部、Omnirad ITXを2部、表面張力調整剤として
BYK−3510を0.1部加え、ハイスピードミキサーで2時間の撹拌の後、固体成分
の溶解残りがないことを確認し、孔径1μmのメンブランフィルターで濾過を行い、シア
ンインキC1を作成した。
【0120】
また使用した原料を変えた以外は上記と同様の方法で、表2に記載のインキを作成した
。なお、表2中の数値は特に断りがない限り「質量部」を表し、空欄は配合していないこ
とを表す。
【0121】
【表2】
【0122】
【表2】
【0123】
【表2】
【0124】
表1〜2、及び、上記に記載した各成分の詳細は、以下の通りである。
・LIONOL BLUE FG−7919:トーヨーカラー株式会社製、C.I.
Pigment Blue15:3
・LIONOL BLUE FG−7400G:トーヨーカラー株式会社製、C.I
.Pigment Blue15:4
・LIONOL BLUE E:トーヨーカラー株式会社製、C.I.Pigmen
t Blue15:6
・PIGMENT YELLOW IRC:山陽色素株式会社、C.I.Pigme
nt Yellow 83
・Patliotol Yellow D 1819:BASF社製、C.I.Pi
gment Yellow 139
・BAYSCRIPT YELLOW 4GF:ランクセス社製、C.I.Pigm
ent Yellow 150
・Sicopal Yellow L 1100:BASF社製、C.I.Pigm
ent Yellow 184
・Patliotol Yellow D 1155:BASF社製、C.I.Pi
gment Yellow 185
・FASTOGEN Super Red 7100Y:DIC社製、C.I.Pi
gment Violet 19
・Irgalite Red D 3865:BASF社製、C.I.Pigmen
t Red 112
・FASTOGEN Super Magenta RG:DIC社製、C.I.P
igment Red 122
・Pigment Pink 4602:山陽色素株式会社、C.I.Pigmen
t Red 146
・Cromophtal Scarlet D 3540:BASF社製、C.I.
Pigment Red 166
・Pariogen Red L 4039:BASF社製、C.I.Pigmen
t Red 177
・Cinquasia Magenta L 4530:BASF社製、C.I.P
igment Red 202
・Pigment Scarlet BL:山陽色素株式会社、C.I.Pigme
nt Red 237
・Irgazin Red L 3670 HD:BASF社製、C.I.Pigm
ent Red 254
・Irgazin Scarlet L3550 HD:BASF社製、C.I.P
igment Red 255
・IrgazinRubine L 4020:BASF社製、C.I.Pigme
nt Red 264
・Cinquasia Magenta L 4400:BASF社製、C.I.P
igment Red 282
・Hostaperm Scarlet GO:CLARIANT社製、C.I.P
igment Red 168
・Special Black 350:エボニックデグサ社製、C.I.Pigm
ent Black 7
・ソルスパーズ32000:ルーブリゾール社製、樹脂型顔料分散剤
・BYK−190:BYK−Chemie社製、樹脂型顔料分散剤
・SR508:アルケマ株式会社製、ジプロピレングリコールジアクリレート
・VEEA:日本触媒株式会社製、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチ
ル
・SR454:アルケマ株式会社製、エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリ
アクリレート
・Omnirad TPO:iGM RESINS社製、2,4,6−トリメチルベ
ンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド
・Omnirad 379:iGM RESINS社製、2−(ジメチルアミノ)−
2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェ
ニル]−1−ブタノン
・Omnirad ITX:iGM RESINS社製、2−イソプロピルチオキサ
ントン
・BYK−UV3510:BYK−Chemie社製、ポリエーテル変性ポリジメチ
ルシロキサン
・BYK−333:BYK−Chemie社製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロ
キサン
・JONCRYL819:BASF社製、アクリル樹脂
・1,2PG:アデカ社製、1,2−プロピレングリコール
【0125】
<インキの評価>
京セラ株式会社製のインクジェットヘッド(解像度600dpi×600dpi)を搭
載した株式会社トライテック社製One Pass JETを使用し、作成したインキを
それぞれ充填したのち、各インキについて、王子製紙社製OKトップコート+上に、網点
面積率100%のベタ画像(膜厚8μm相当)を印刷した。なお、インキ液適量14pL
、印刷速度50m/minの条件とした。
印刷後、C5、Y7、M21、Gr15、K2以外については、ハリソン東芝ライティ
ング社製160W/cmメタルハイドライドランプ(365nm)を使用し、前記ベタ画
像を硬化させ、ベタ印刷物を得た。また、水性インキであるC5、Y7、M21、Gr1
5、K2に関しては、上記条件で印刷したのち、70℃エアオーブンを用いて3分間乾燥
させ、ベタ印刷物を得た。
【0126】
<インキの静的表面張力の測定>
協和界面科学社製のDY−300を用いて、作成したインキの25℃での静的表面張力
を測定した。
【0127】
<色相角H°の測定>
上記方法で作成したベタ印刷物について、X−Rite,Inc社製X Rite 5
00seriesを用いて色相角H°を測定した。ただしグレーインキについては、色相
角H°の測定は実施しなかった。
【0128】
<耐光性評価>
スガ試験機株式会社製キセノンウェザーメーターXL75を用いて、上記方法で作成し
たベタ印刷物を、ブラックパネル63℃、照射量70,000Luxの条件下で400時
間曝露した。曝露後、ベタ印刷物のOD値を、X−Rite,Inc社製X Rite
500seriesを用い、視野角2°、光源D65、フィルターTの条件にて測定した
。そして、曝露前のベタ印刷物のOD値を基準として、曝露後のベタ印刷物のOD値の減
少率を求め、下記の評価基準に基づき耐光性を評価した。なお、下記評価基準が3以上の
ものを、実用上問題ないレベルであるとした。
5:OD値の減少率 < 10%
4:10%≦ OD値の減少率 < 15%
3:15%≦ OD値の減少率 < 20%
2:20%≦ OD値の減少率 < 30%
1:OD値の減少率が30%以上
【0129】
<分光反射率の測定>
上記方法で作成した、マゼンタインキ及びグレーインキのベタ印刷物について、X−R
ite,Inc社製X Rite 500seriesを用い、視野角2°、光源D65
、CIE表色系にて、420nm、500nm、570nm、700nmの分光反射率を
測定した。ただし700nmの分光反射率は、マゼンタインキについてのみ測定を行った
。
【0130】
上記、色相角H°、静的表面張力、耐光性の評価結果は表2に、また、分光反射率の評
価結果は表3〜4に記載した通りであった。
【0131】
【表3】
【0132】
【表4】
【0133】
[実施例1〜42、比較例1〜11]
<インキセットの評価>
京セラ株式会社製のインクジェットヘッド(解像度600dpi×600dpi)を搭
載した株式会社トライテック社製One Pass JETを用い、表5の実施例1〜4
2、比較例1〜11に記載したインキの組み合わせを、それぞれインキセットとして充填
したのち、上記ベタ印刷物と同様の方法にて、カラーチャート印刷物を作製した。その後
、前記カラーチャート画像の各パッチを、測定器(X−rite製のX Rite 50
0series)で測定し、その結果に基づき、インキセットごとに最適なICCプロフ
ァイルを作成した。なお、作成にはX−rite社製のProfile makerを用
いた。このICCプロファイルを用いて、評価画像であるPantone Warm G
ray 4(グレー単一色画像)のRGBデータを、CMYK色空間データへ色変換し、
評価画像データとした。なお、変換には、Adobe社製のフォトショップ(登録商標)
を用いた。
次いで、作成した評価画像データを用い、上記カラーチャート印刷物と同様の装置にて
、王子製紙社製OKトップコート+上に、画像を印刷した。なお、インキ液適量14pL
、印刷速度50m/minの条件とした。また、表5において半硬化又は半乾燥「あり」
としたインキセットのうち、実施例42のインキセット以外のインキセットでは、3色目
を印刷した0.2秒後に、Phoseon社製のLEDランプ(395nm、4W/cm
2)を照射した。また、実施例42のインキセットでは、3色目を印刷した0.2秒後に
、120℃の熱風を吹き付けた。
そして、4色目又は5色目を印刷した後、GEW社製240W/cmメタルハライドラ
ンプを使用し本硬化するか(実施例42以外)、ヘレウス社製IRランプ(最大出力波長
2000nm、80kW/m
2)を2秒間照射して本乾燥する(実施例42)ことで、評
価画像印刷物を得た。
【0134】
<メタメリズム評価>
上記方法で得た評価画像印刷物の色相と、Pantone社製色見本であるPanto
ne Warm Gray 4(PANTONE[登録商標] Plus SERIES
)の色相とを、X−Rite,Inc社製X Rite 500seriesを用いて、
視野角2°、光源D65、CIE表色系にて測定し、前記評価画像印刷物と前記色見本と
の色差(ΔE
D65*とする)を得た。また、光源としてTL84を用いて測定した以外は上
記と同様にして、色差(ΔE
TL84*とする)を得た。そして、下記式により、2種類の光
源における色差(ΔE
*とする)を求め、メタメリズムの評価を行った。
ΔE
*={(ΔE
D65*)
2−(ΔE
TL84*)
2}
1/2
評価基準は下記の通りとし、3以上で、実用上問題ないレベルであるとした。
5:ΔE
*<0.5
4:0.5≦ΔE
*<1
3:1≦ΔE
*<2
2:2≦ΔE
*<3
1:3≦ΔE
*
【0135】
<粒状性評価>
上記方法で得た評価画像印刷物の粒状性を、目視にて評価した。評価基準は下記の通り
とし、3以上で、実用上問題ないレベルであるとした。
5:画像にざらつき感が見られない。
4:画像に僅かにざらつき感がみられる(比較例1のインキセットを用いて作製した
評価画像印刷物の粒状性と同程度)
3:画像に少しざらつき感がみられる。
2:画像にざらつき感がみられる(比較例4のインキセットを用いて作製した評価画
像印刷物の粒状性と同程度)
1:画像にかなりざらつき感が見られる。
【0136】
<ビーディング評価>
上記方法で得た評価画像印刷物のビーディングを、倍率50倍の光学顕微鏡及び目視に
て評価した。評価基準は下記の通りとし、3以上で、実用上問題ないレベルであるとした
。
5:顕微鏡で確認してもビーディングがなかった。
4:顕微鏡で確認するとごくわずかにビーディングがあるが、目視ではビーディング
はほぼ確認されなかった(実施例2のインキセットを用いて作製した評価画像印刷
物のビーディングと同程度)
3:目視で確認すると、ごくわずかにビーディングがあった。
2:目視で確認すると、ややビーディングがあり、色間の混色が明らかに存在した
(比較例2のインキセットを用いて作製した評価画像印刷物のビーディングと同程度)
1:目視で確認すると、はっきりとしたビーディングがあった。
【0137】
<色再現性評価>
得られたインキを用いて、以下に示すようにグリーン、レッド、オレンジ、ブルーの2
次色ステップチャートを印刷し、Pantone社製色見本と比較することで色再現性評
価を行った。評価基準は下記の通りとし、それぞれ、3以上で、実用上問題ないレベルで
あるとした。特に、グリーン、レッド、ブルーすべてにおいて色見本との差が小さいもの
が、色再現性が特に優れると評価した。
5:ΔE<5
4:5≦ΔE<7
3:7≦ΔE<9
2:9≦ΔE<11
1:ΔE≧11
【0138】
<グリーン色再現性評価>
比較例3〜5を除く各インキセットを構成する、シアンインキとイエローインキとを用
い、上記ベタ印刷物と同様の方法にて、グリーン2次色ステップチャート印刷物を作製し
た。なお、グリーン2次色ステップチャート印刷物は、シアンインキとイエローインキの
二色のインキについて、印字率を0〜200%の間で10%ずつ変更させたパッチを有す
る画像(ただし、シアンインキとイエローインキの印字率は同一とした)である。
次いで、得られたグリーン2次色ステップチャート印刷物を構成する各パッチの色相(
L
*、a
*、b
*)を、X−Rite,Inc社製X Rite 500seriesを用
いて、視野角2°、光源D65、CIE表色系にて測定した。
そして、前記各パッチの色相と、Pantone社製色見本であるPantone[登
録商標] HEXACHROME Greenの色相との差(ΔE)を、下記式により計
算した。
ΔE={(L−L
*)
2+(a−a
*)
2+(b−b
*)
2}
1/2
ただし上記式中、L,a,bは色見本の色相値であり、L
*、a
*、b
*は、2次色ステ
ップチャート印刷物の色相値である。
なお、上記ΔEの算出は、各パッチごとに行い、もっとも前記ΔEの小さかったパッチ
に関して、上記評価基準に基づく評価を行った。
【0139】
<レッド色再現性評価>
比較例3〜5を除く各インキセットを構成する、イエローインキとマゼンタインキとを
用いて、上記ベタ印刷物と同様の方法にて、レッド2次色ステップチャート印刷物を作製
した。そして、上記グリーン色再現性評価と同様の方法で、各パッチの色相を測定し、前
記各パッチの色相と、Pantone社製色見本であるPantone[登録商標] W
ARM REDの色相との差(ΔE)を、上記式により計算した。そして、各パッチごと
に上記ΔEの算出を行い、もっとも前記ΔEの小さかったパッチに関して、上記評価基準
に基づく評価を行った。
【0140】
<ブルー色再現性評価>
比較例3〜5を除く各インキセットを構成する、シアンインキとマゼンタインキとを用
いて、上記ベタ印刷物と同様の方法にて、ブルー2次色ステップチャート印刷物を作製し
た。そして、上記グリーン色再現性評価と同様の方法で、各パッチの色相を測定し、前記
各パッチの色相と、Pantone社製色見本であるPantone[登録商標]Ref
lex Blueの色相との差(ΔE)を、上記式により計算した。そして、各パッチご
とに上記ΔEの算出を行い、もっとも前記ΔEの小さかったパッチに関して、上記評価基
準に基づく評価を行った。
【0141】
<塗膜耐性評価>
濃度50%のエタノールに浸した綿棒を用いて、上記方法で得た評価画像印刷物を、約
100gの加重条件下で10回擦り、印刷物表面と綿棒への色移りの状態から、各インキ
セットにおける塗膜耐性を評価した。評価基準は下記の通りとし、それぞれ、3以上で、
実用上問題ないレベルであるとした。
5:印刷物表面に擦った跡がなく、綿棒への色移りがなかった。
4:印刷物表面に擦った跡がないが、綿棒への色移りがわずかにあった。
3:印刷物表面にわずかに擦った跡があり、綿棒への色移りが見られた。
2:印刷物表面に大きく擦った跡があり、また、綿棒に大きく色移りした。
1:印刷物表面からインキが剥がれ落ち、被記録媒体の表面が確認できた。
【0142】
<硬化性評価>
上記方法で得た評価画像印刷物の硬化膜表面を爪でこすり、また印刷物表面のタック感
を評価することで硬化性を確認した。評価基準は下記の通りとし、3以上で、実用上問題
ないレベルであるとした。
5:爪で強くこすっても硬化膜が剥がれず、また、表面にタック感がなかった。
4:爪で強くこすると硬化膜が一部剥がれるが、表面にタック感がなかった。
3:爪でこすると硬化膜が一部剥がれるが、表面にタック感がなかった。
2:爪でこすると硬化膜が一部剥がれ、また、表面に少しタック感があった。
1:爪をあてると簡単に硬化膜が剥がれ、また、表面にタック感があった。
【0143】
【表5】
【0144】
【表5】
【0145】
【表5】
【0146】
【表5】
【0147】
【表5】
【0148】
本発明の実施形態によれば、少なくともシアンインキ、マゼンタインキ、イエローイン
キ、及びグレーインキを含むシングルパス印刷用インキセットにおいて、優れた耐候性、
色再現性を有し、かつ、粒状性、メタメリズムを改善したインキセットを得ることができ
ることがわかった。
【課題】優れた耐候性、色再現性を有し、かつ、粒状性、メタメリズム、ビーディングの改善された印刷物が得られるインキセット、インクジェット記録方法、及び、印刷物の提供。
【解決手段】少なくともシアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキ、及びグレーインキを含むシングルパス印刷用インキセットであって、前記マゼンタインキが、分光反射率に関する特定の条件を満たし、前記グレーインキが、波長500nmにおける分光反射率が20〜70%であり、かつ、分光反射率に関する特定の条件を満たすことを特徴とする、シングルパス印刷用インキセット。