【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年10月13日から10月16日開催のJAPAN PACK 2015(2015 日本国際包装機械展)にて公開された
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
製袋されるべきフィルムが走行する走行経路に沿って前記フィルムを繰り出しながら筒状フィルムに成形し、前記筒状フィルム内に被包装品を包装する製袋包装機であって、
前記筒状フィルムを前記走行経路の幅方向にエンドシールして袋体に成形するエンドシーラを具備し、
前記エンドシーラは、
前記走行経路を挟んで対向配置された一対のシール部材を含むシーラユニットと、
前記一対のシール部材を離接方向に互いに前記筒状フィルムを介して離接させるべく前記シーラユニットを開閉作動させる開閉装置と
を含み、
前記開閉装置は、
前記シーラユニットの前記幅方向両側に配置された第1及び第2駆動モータと、
前記シーラユニットの前記幅方向両側にて前記第1及び第2駆動モータと前記シーラユニットとをそれぞれ連結し、前記第1及び第2駆動モータの駆動により前記各シール部材を前記離接方向に互いに離接させる第1及び第2リンク機構と
を有し、
前記エンドシーラは、
前記第1駆動モータを駆動制御する第1制御手段と、
前記第2駆動モータを駆動制御する第2制御手段と
をさらに備え、
前記第1及び第2制御手段は、前記第1及び第2駆動モータを個別に駆動制御することにより、前記一対のシール部材の前記幅方向の異なる領域に異なる押圧力を発生させ、前記筒状フィルムの前記幅方向の異なる領域を異なるシール圧力でシール可能である、製袋包装機。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態に係る製袋包装機の一例である縦形製袋充填包装機1について説明する。
図1に示すように、縦形製袋充填包装機1は、充填筒2と、縦シーラ3と、横シーラ(エンドシーラ)4とを備えている。また、縦形製袋充填包装機1の外方側(
図1の左側)には、オペレータが操作するスイッチ類やタッチパネル式ディスプレイ等の操作装置(不図示)が配されている。充填筒2は、鉛直な円筒形状に形成されている。充填筒2の上方には、被包装物を投入するためのホッパー(不図示)が備えられている。被包装物は、ホッパーを介して充填筒2内に投入され、充填筒2の内側を落下する(矢印A)。
【0012】
充填筒2の上部外側には、フォーマ6が設けられている。フォーマ6は、帯状のフィルムfを充填筒2を囲うようにガイドして筒状にするものである。フィルムfは、リール7から複数のローラ8a〜8eを介して走行経路5に沿って走行し、フォーマ6に繰り出される。具体的には、走行経路5では、フィルムfは複数のローラ8a〜8eに巻付きながら繰り出される。その後、フィルムfは、フォーマ6にて充填筒2の外周を覆うように筒状に成形され、その両側縁は互いに合掌状に重ね合わされる。
【0013】
充填筒2にはフィルムfの繰り出し手段として繰り出し装置9が配設されている。繰り出し装置9は、無端状の一対の繰り出しベルト10を有している。これら繰り出しベルト10は、サクションユニット(不図示)によってフィルムfを吸着しながら充填筒2に沿ってその下方に向けて繰り出す。
【0014】
充填筒2の近傍であってフォーマ6の下側に縦シーラ3が配設されている。この縦シーラ3は、超音波式であって、水平方向に走行経路5を介して対向配置されたアンビル11及びホーン13を有している。ホーン13は所定周波数にて振動する。縦シーラ3は、充填筒2の外周回りに筒状とされ且つ充填筒2の長手方向に沿って繰り出される筒状のフィルムfの合掌状に重ね合わされた両側縁をアンビル11とホーン13との間に挟み込んで鉛直方向にヒートシール(縦シール、センタシール)して接着して筒状フィルムfcに成形する。
【0015】
また、充填筒2の下方に横シーラ4が配設されている。この横シーラ4は、超音波式であって、横シーラ4は、走行経路5を挟んで対向配置されたアンビル(シール部材)16及びホーン(シール部材)17を含むシーラユニット18と、ホーン17を振動させる振動素子19とを備えている。
【0016】
横シーラ4は、充填筒2の下端から繰り出される筒状フィルムfcを水平方向にヒートシール(横シール、エンドシール)して接着する。この際、横シーラ4は後述する昇降軸受部20a、20bを介して
図1に矢印で示すように上下動することにより、走行経路5に順次繰り出される筒状フィルムfcの適所が連続的に横シールされるとともに切断され、次々に袋体12が製造される。このとき、横シールにおける切断箇所の下側は前回の製袋工程での袋体12のトップを形成し、その切断箇所の上側は今回の製袋工程での袋体12のボトムを形成する。
【0017】
図2に示すように、アンビル16側から順に、ホーン17、ブースタ22、1つの振動素子19が離接方向Xに直列接続され、ホーンユニット25を形成している。振動素子19は発振制御部39(
図3参照)からの指令により振動される。振動素子19は、高周波電気エネルギーを機械振動エネルギーに変換する。機械振動エネルギーは、ブースタ22で増幅された後、ホーン17を介して筒状フィルムfcを溶着する。
【0018】
また、横シーラ4は、アンビル16とホーン17とを水平な離接方向Xに互いに筒状フィルムfcを介して離接させるべくシーラユニット18を開閉作動させる開閉装置21を備えている。
図3にも示すように、開閉装置21は、ホーンユニット25、第1及び第2駆動モータ26a、26b、第1及び第2リンク機構27a、27bを有している。第1及び第2駆動モータ26a、26bと、第1及び第2リンク機構27a、27bとは、それぞれホーンユニット25の水平方向両側(つまり走行経路5の幅方向両側)にシーラユニット18を基準として線対称に配置されている。
【0019】
第1及び第2リンク機構27a、27bは、第1及び第2駆動モータ26a、26bとシーラユニット18とをそれぞれ連結し、第1及び第2駆動モータ26a、26bの駆動によりアンビル16とホーン17とを水平な離接方向Xに互いに離接させる。
【0020】
また、開閉装置21は、第1スライドバー28、第2スライドバー29、第3スライドバー30、一対の第1及び第2スライドロッド31a、31b、ベースプレート36(
図2参照)をさらに有している。
詳しくは、第1スライドバー28は、離接方向Xと交差する交差方向Y(例えば直交方向)に延び、ホーンユニット25が連結されるとともに第1及び第2リンク機構27a、27bを構成する後述の第1リンク(一端)32a、32bの一端が揺動自在に連結されている。
【0021】
第2スライドバー29は、交差方向Yに延びるとともにアンビル16が固定されている。第3スライドバー30は、交差方向Yに延びるとともに第1及び第2リンク機構28、29を構成する後述の第2リンク(他端)33a、33bの一端が揺動自在に連結されている。第3スライドバー30の長手方向中央には挿通孔30aが貫通されている。挿通孔30aには、シーラユニット18の開閉作動に伴いホーン17が離接方向Xに挿通される。
【0022】
また、ベースプレート36は、第1及び第2駆動モータ26a、26bが取り付けられるとともに、第1及び第2スライドロッド31a、31bを離接方向Xにスライド自在に支持している。第1及び第2スライドロッド31a、31bは、離接方向Xに延びるとともに第2及び第3スライドバー29、30の両端部をそれぞれ支持している。これら第1〜第3スライドバー28、29、30は何れもシーラユニット18の開閉作動に伴い離接方向Xにスライドする。また、第1及び第2スライドロッド31a、31bは、シーラユニット18の開閉作動に伴い離接方向Xにスライドして第1スライドバー28に対し離接する。
【0023】
また、第1及び第2リンク機構27a、27bは、前述した第1リンク32a、32b及び第2リンク33a、33bと、レバー34a、34bとからそれぞれ構成されている。
詳しくは、レバー34a、34bの中央部には、第1及び第2駆動モータ26a、26bの出力軸がそれぞれ連結されている。
【0024】
レバー34a、34bのそれぞれの一端部には、第2リンク33a、33bの一端部が揺動自在に連結されている。第2リンク33a、33bの他端部には、第3スライドバー30が揺動自在に連結されている。第3スライドバー30には、第1及び第2スライドロッド31a、31bが連結されている。第1及び第2スライドロッド31a、31bには、第2スライドバー29が連結され、第2スライドバー29にアンビル16が固定されている。
【0025】
一方、レバー34a、34bのそれぞれの他端部には、第1リンク32a、32bの一端部が揺動自在に連結されている。第1リンク32a、32bの他端部には、第1スライドバー28が揺動自在に連結されている。第1スライドバー28には、ホーンユニット25が連結されている。
【0026】
第1リンク32a、32b、第2リンク33a、33bは、それぞれ、ホーンユニット25(或いはシーラユニット18)の水平方向両側にホーンユニット(或いはシーラユニット18)25を基準として線対称形状をなすリンク部材であり、また、レバー34a、34bは同一形状をなすリンク部材である。第1及び第2リンク機構27a、27bを構成するこれらの線対称形状又は同一形状の各リンク部材は、ホーンユニット25の水平方向両側にホーンユニット25を基準として線対称に配置、連結されている。
【0027】
これより、第1及び第2リンク機構27a、27bは、ホーンユニット25の水平方向両側にホーンユニット25を基準として全体として線対称形状をなしている。また、第1及び第2駆動モータ26a、26bも、ホーンユニット25の水平方向両側にホーンユニット25を基準として線対称となる位置に配置されている。
【0028】
また、第1及び第2スライドロッド31a、31bは、第1スライドバー28側の一端に、シーラユニット18の開閉作動に伴い第1スライドバー28に当接し得る緩衝部35a、35bをそれぞれ有している。緩衝部35a、35bは離接方向Xが径方向となる円筒状をなし、弾性部材から形成されている。
【0029】
また、
図2に示すように、ベースプレート36には、軸受部37a、37b、前述した昇降軸受部20a、20bが設けられている。
軸受部37a、37bは、第1及び第2スライドロッド31a、31bをそれぞれ離接方向Xにスライド自在に支持している。
昇降軸受部20a、20bは、鉛直方向Zに延び、図示しないロッドで昇降軸受部20a、20bを上下にスライド自在に支持する昇降装置(不図示)によって、横シーラ4を
図1に矢印で示すように上下動させながら、開閉装置21がシーラユニット18を開閉作動させることにより、走行経路5に順次繰り出される筒状フィルムfcから袋体12を形成する。
【0030】
以下、
図3及び
図4を参照して、開閉装置21によるシーラユニット18を開閉作動について詳しく説明する。シーラユニット18は制御装置38を有し、制御装置38は、第1及び第2駆動モータ26a、26b及び振動素子19に電気的に接続されている。制御装置38は、振動素子19が接続された発振制御部39、第1駆動モータ26aが接続された第1駆動モータ制御部(第1制御手段)40a、第2駆動モータ26bが接続された第2駆動モータ制御部(第2制御手段)40b、第1駆動モータ26aが接続された第1噛み込み判定部(第1判定手段)42a、第2駆動モータ26bが接続された第2噛み込み判定部(第2判定手段)42bを備えている。
【0031】
開閉装置21は、第1及び第2駆動モータ制御部40a、40bからの指令により、第1及び第2駆動モータ26a、26bを個別に駆動制御し、レバー34a、34bを
図3の矢印の向きに回転させる。レバー34a、34bの当該回転により、第1リンク32a、32bはホーン17側に移動し、これに伴い第1スライドバー28は
図3の矢印の向き(第3スライドバー30側の向き)に引っ張られて
図4の状態となる。
【0032】
一方、レバー34a、34bの当該回転により、第2リンク33a、33bは第1スライドバー28側に移動し、これに伴い第3スライドバー30は
図3の矢印の向き(第1スライドバー28側の向き)に引っ張られて
図4の状態となる。第3スライドバー30は第1及び第2スライドロッド31a、31bに連結され、また、第1及び第2スライドロッド31a、31bは第2スライドバー29に連結されている。
【0033】
このことから、シーラユニット18の開閉作動に伴い第2、第3スライドバー29、30、及び、第1及び第2スライドロッド31a、31bは一体となって、それぞれ
図3の矢印の向き(第1スライドバー28側の向き)にスライドする。この際、第1及び第2スライドロッド31a、31bは第1スライドバー28に緩衝部35a、35bにて当接されて押圧される。この押圧時には、緩衝部35a、35bが径方向に湾曲することにより押圧による衝撃力が吸収される。
【0034】
このように、開閉装置21によりシーラユニット18の開閉動作を行うことで、
図3に示す筒状フィルムfcの中心位置Cを基準としたとき、
図4に示すように、アンビル16が筒状フィルムfcに接触する位置まで引っ張られるとともに、ホーン17が第3スライドバー30の挿通孔30aから完全に抜け出て筒状フィルムfcに接触する位置まで引っ張られ、横シーラ4による筒状フィルムfcの横シールが行われる。
【0035】
筒状フィルムfcの横シールの終了後は、制御装置38からの指令により第1及び第2駆動モータ26a、26bを駆動し、レバー34a、34bを
図3の向きとは逆回転となる
図4の矢印の向きに回転させる。レバー34a、34bの当該回転により、第1リンク32a、32bはホーン17と反対側に移動し、これに伴い第1スライドバー28は
図4の矢印の向き(開閉装置21の外側の向き)に押されて
図3の状態となる。
【0036】
一方、レバー34a、34bの当該回転により、第2リンク33a、33bは第1スライドバー28と反対側に移動し、これに伴い第3スライドバー30は
図4の矢印の向き(第2スライドバー29側の向き)に押されて
図3の状態となる。こうして、シーラユニット18の開閉作動に伴い第2、第3スライドバー29、30、及び、第1及び第2スライドロッド31a、31bは一体となって、それぞれ
図4の矢印の向き(第1スライドバー28と反対側の向き)にスライドする。
【0037】
この結果、
図4に示す筒状フィルムfcの中心位置Cを基準としたとき、
図3に示すように、アンビル16が筒状フィルムfcから離間する位置まで移動されるとともに、ホーン17が第3スライドバー30の挿通孔30aに位置付けられるまで筒状フィルムfcから離間した位置に移動され、順次繰り出される筒状フィルムfcの次の横シールの待機状態となる。
【0038】
ここで、第1及び第2駆動モータ26a、26bは、1及び第2駆動モータ制御部40a、40bにより個別に駆動制御される。従って、縦シール部が幅方向の片側にずれて形成される筒状フィルムfcや、片側のみにガゼットが形成される筒状フィルムfcなど、幅方向の厚みが異なったり非対称形状となる筒状フィルムfcの横シールを行う場合には、第1及び第2駆動モータ制御部40a、40bにより、第1及び第2駆動モータ26a、26bの駆動力に差を持たせることで、筒状フィルムfcは幅方向に異なる押圧力(シール圧力)で適切に横シールされる。
【0039】
また、第1噛み込み判定部42aは、開閉装置21が閉作動したとき、第1駆動モータ26aの負荷や回転位置を検出することで、シーラユニット18の第1駆動モータ26a側の領域における被包装物の噛み込みの有無を判定する。また、第2噛み込み判定部42bは、開閉装置21が閉作動したとき、第2駆動モータ26bの負荷や回転位置を検出することで、シーラユニット18の第2駆動モータ26b側の領域における被包装物の噛み込みの有無を判定する。
【0040】
以上のように本実施形態の横シーラ4の開閉装置21では、第1及び第2駆動モータ26a、26bは、第1及び第2駆動モータ制御部40a、40bにより個別に駆動制御される。このため、筒状フィルムfcは幅方向に異なる押圧力(シール圧力)で適切に横シール可能となる。従って、多様な袋体を製造可能とする汎用性の高い縦形製袋充填包装機1を実現することができる。
【0041】
また、第1及び第2リンク機構27a、27bを構成する第1リンク32a、32b、第2リンク33a、33b、レバー34a、34bのリンク部材は、シーラユニット18の水平方向両側にシーラユニット18を基準として線対称に配置、連結されている。これにより、第2リンク機構27a、27bは、シーラユニット18の水平方向両側にシーラユニット18を基準として全体として線対称構造となる。従って、シーラユニット18にて交差方向Yに作用する力を打ち消されるため、アンビル16と、ホーン17とが接触時にこじれたり、筒状フィルムfcにおける横シール部がずれて不均衡になるのを防止しながら、適切な横シールを施した高品質の袋体12を製造することができる。
【0042】
また、第1及び第2噛み込み判定部42a、42bにより、シーラユニット18の片側の領域のみの噛み込み検出が可能となるため、被包装物の噛み込み検出を精度良く行うことができ、袋体12の品質を向上することができる。
【0043】
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
例えば、第1及び第2リンク機構27a、27bと、これらに連動する第1〜第3スライドバー28、29、30、及び、第1及び第2スライドロッド31a、31bとを含む開閉装置21の構成は、上記実施形態に限定されず、種々の機構が考えられるのは勿論である。
【0044】
また、横シーラ4のシーラユニット18は、超音波式に限定されず、一対のヒータブロックやインパルスシーラ等のシーラユニットにしても良い。
【0045】
また、本発明は、縦形製袋充填包装機1に限らず、横形製袋包装機にも適用することができる。この場合には、複数のローラから繰り出されたフィルムを水平な走行経路に走行させながらフォーマにより走行経路の幅方向に折り畳んで被包装物を包み込む。そして、折り畳んだフィルムの両端をセンタシーラによりシールした後に、エンドシーラによりシールして切断することにより、次々にピロー形状の袋体が製造される。