特許第6735114号(P6735114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6735114
(24)【登録日】2020年7月15日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20200728BHJP
   F16K 31/44 20060101ALI20200728BHJP
   F16K 31/60 20060101ALI20200728BHJP
【FI】
   E03C1/042 C
   F16K31/44 B
   F16K31/60 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-31260(P2016-31260)
(22)【出願日】2016年2月22日
(65)【公開番号】特開2017-150158(P2017-150158A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2019年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】加藤 喜好
(72)【発明者】
【氏名】北村 大介
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−021374(JP,A)
【文献】 実開昭61−152871(JP,U)
【文献】 特開2012−241315(JP,A)
【文献】 特開2006−275248(JP,A)
【文献】 特開平10−212744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00− 1/10
F16K 31/44−31/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルの回転操作によって吐水量を調節できるようにした水栓であって、
前記ハンドルと水栓本体との間には、ハンドルの吐水側の回転端位置を規定するための規制機構を備えるとともに、前記規制機構を構成する部材として、前記規制機構による前記回転端位置を変更するためにハンドルの回転方向に操作される操作部材が設けられており、
前記規制機構は、水栓本体側に設けられた固定側セレーションと、その固定側セレーションに対して係合離脱可能に前記操作部材に設けられた可動側セレーションを有し、
さらに、前記規制機構は、
前記操作部材に設けられた第1ストッパと、
前記ハンドルに設けられ、前記第1ストッパと係合してハンドルの回転端位置を規定する第2ストッパと、
前記第1ストッパをセレーションの係合方向に付勢するスプリングと、
第1ストッパをセレーションの離脱方向に移動させるように操作可能にした解除部材とを備え、
前記操作部材が前記解除部材としても機能している水栓。
【請求項2】
前記第2ストッパは、一対備えられ、両第2ストッパ間の位置に前記第1ストッパが位置する請求項に記載の水栓。
【請求項3】
水栓本体は、ハンドル操作に従い、吐水量ゼロの位置を境にして、シャワー側吐水とカラン側吐水とを切り換えるとともに、シャワー吐水量及びカラン吐水量を変更する切換弁を有する請求項に記載の水栓。
【請求項4】
前記水栓本体はカバーを有し、そのカバーには、吐水量を示す目盛が付され、前記解除部材が目盛を指す指標機能を有する請求項のうちのいずれか一項に記載の水栓。
【請求項5】
前記水栓本体とハンドルとの間に、ハンドルと同方向に回転可能にしたリングが設けられ、そのリング内には、前記解除部材がハンドルと一体回転可能で、ハンドルの回転方向と交差する方向に直線移動可能に設けられ、その解除部材には、前記第1ストッパが設けられるとともに、前記リングの周壁の孔から出没方向に移動可能にした解除ボタンが備えられ、前記リングと解除部材との間に前記スプリングが介在された請求項のうちのいずれか一項に記載の水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最大吐水量が任意の量となるように、手動設定できるようにした水栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常の湯水混合水栓においては、ハンドルの回転操作によって吐水量を調節できるようになっているが、ハンドルの最大回転角度を任意の位置に設定することはできない。このため、吐水量が必要以上に多くなって、節水できないことがあるだけではなく、シャワーの場合、肌に対する当たりが強くなって不快感を覚えることもあった。これを防止するためには、ハンドルを全開手前の任意の開放位置にして吐水量を調節すればよいのであるが、この場合、使用の都度、開放位置の調節を強いられ、使い勝手の良いものではない。
【0003】
そこで、これらの問題を解決するために、特許文献1に記載の水栓が開発された。
この特許文献1の水栓の実施形態においては、ハンドルを任意の開放位置に回転させた状態で、ハンドルの端面に設けられた押しボタンを押すことにより、ハンドルがそれ以上全開側に回転されないように規制されて、最大吐水量の位置を任意に規定するものである。また、押しボタンを再度押すことにより任意位置の規定状態が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−21374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の実施形態の水栓においては、ハンドルが任意の開放位置に規定される状態であるか否かは、ハンドルの端面のボタンが押し込み位置にあるか否かを確認しなければならず、水栓の正面の位置から判別しにくい。また、規定の有無を確認できたとしても、ハンドルの規定位置を確認できない。すなわち、ハンドルの規定された最大吐水量の位置の所在は、ハンドルを操作することによって判別できるものであるため、操作する前には確認できない。従って、この水栓は、使いやすいものとは言い難い。また、前記押しボタンは、ハートカム機構によって操作位置と非操作位置とに保持されるものであるため、バネやカム部品などが必要になって、部品点数が多くなり、構成が複雑になるばかりでなく、これらの部品はハンドル内に組み込まれるため、ハンドルが大形化して使い難いものとなった。
【0006】
さらに、各部品間の隙間にスケールやゴミが溜まることもあり、このような場合は、スケールやゴミがハンドル操作の抵抗になってハンドル操作しにくくなり、場合によっては、抵抗に逆らう無理な操作により、部品変形等の不都合を生じるおそれもある。
【0007】
本発明の目的は、前述した問題点を解決して、使いやすくした水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明においては、ハンドルの回転操作によって吐水量を調節できるようにした水栓であって、前記ハンドルと水栓本体との間には、ハンドルの吐水側の回転端位置を規定するための規制機構を備えるとともに、前記規制機構を構成する部材として、前記規制機構による前記回転端位置を変更するためにハンドルの回転方向に操作される操作部材が設けられており、前記規制機構は、水栓本体側に設けられた固定側セレーションと、その固定側セレーションに対して係合離脱可能に前記操作部材に設けられた可動側セレーションを有し、さらに、前記規制機構は、前記操作部材に設けられた第1ストッパと、前記ハンドルに設けられ、前記第1ストッパと係合してハンドルの回転端位置を規定する第2ストッパと、前記第1ストッパをセレーションの係合方向に付勢するスプリングと、第1ストッパをセレーションの離脱方向に移動させるように操作可能にした解除部材とを備え、前記操作部材が前記解除部材としても機能していることを特徴とする。
【0009】
以上の構成においては、ハンドルの吐水側の回転端位置を規定するための規制機構と、その規制機構による前記回転端位置を変更するためにハンドルの回転方向に操作される操作部材とがハンドルと水栓本体との間に位置する。このため、操作部材を見やすい位置に配置できて、操作部材の位置や状態を一目で判別できる。また、操作部材がハンドルに隣接してハンドルと同方向に回転されるため、ハンドルを操作する手で操作部材をハンドル操作とほぼ同じ動作で操作することができて、その操作が容易である。また、押しボタンをハートカム機構によって位置保持する必要がないため、構成が簡単になり、ハンドルが大径化したり、部品間にスケール等が溜まったりすることを抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、水栓として使いやすいものとすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】水栓の斜視図。
図2】水栓の一部破断平面図。
図3】水栓の分解斜視図。
図4図2の4−4線断面図。
図5図2の5−5線断面図。
図6】ハンドルがカラン及びシャワーの最大吐水量の位置にセットされた状態を示すものであって、(a)は、シャワー吐水側を示す断面図、(b)は、カラン吐水側を示す断面図。
図7】ハンドルがシャワーの任意の最大吐水量位置に規定された状態を示すものであって、(a)は、吐水量ゼロ位置を示す断面図、(b)は、規定された最大吐水量の位置を示す断面図。
図8】ハンドルがカランの任意の最大吐水量の位置に規定された状態を示すものであって、(a)は、吐水量ゼロ位置を示す断面図、(b)は、規定された最大吐水量の位置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
本実施形態は、水,湯及び水と湯との混合水(以下、単に水と総称する)をカラン吐水及びシャワー吐水できるようにした湯水混合水栓(以下、単に水栓という)において具体化したものである。
【0013】
図1及び図2に示すように、水栓本体11は、水栓の外側面を形成するカバー12により覆われ、水栓本体11の後部における給水口111及び給湯口112には、給水源から延びる配管(図示しない)及び給湯源から延びる配管(図示しない)がそれぞれ連結される。水栓本体11の後部のシャワー吐出口113には、シャワーホース(図示しない)が接続され、そのシャワーホースの先端にはシャワーヘッド(図示しない)が接続されている。水栓本体11の下面のカラン吐出口114には、管体よりなるカラン吐水口(図示しない)が接続されている。
【0014】
図3に示すように、水栓本体11の左端内部には、温度調節弁(図示しない)が設けられ、水栓本体11の右端内部には、シャワー吐水及びカラン吐水の切換弁と、吐水量の調節弁とを兼ねる切換弁13が設けられている。それらの弁は、それぞれ水栓本体11の左右の温度調節ハンドル14及び吐水切換ハンドル15により、動作される。すなわち、温度調節ハンドル14の手動操作により、吐水の温度が調節される。吐水切換ハンドル15の手動操作により、シャワー吐水及びカラン吐水の双方において吐水量が調節される。なお、本実施形態においては、図2における左右を左右とする。
【0015】
図1及び図2に示すように、水栓本体11と温度調節ハンドル14及び吐水切換ハンドル15との間に位置するように、水栓本体11の両端部には、それぞれカラー16,17が固定されている。吐水切換ハンドル15側のカラー17には、前記切換弁13のスピンドル18が挿通される挿通孔171が透設されている。
【0016】
図2及び図3に示すように、吐水切換ハンドル15のハンドル本体19の水栓本体11側には、スリーブ20が爪201と凹部191との係合により、ハンドル本体19と一体回転可能に設けられている。スリーブ20の左側部には、連結筒21が突設され、この連結筒21はセレーションの係合関係(図示しない)を介して前記切換弁13のスピンドル18に一体回転可能に連結されている。従って、吐水切換ハンドル15を回転させることにより、切換弁13が回転されて、前述したシャワー吐水及びカラン吐水の切換えと、両吐水の吐水量の調節とが行われる。
【0017】
図3及び図4に示すように、前記カラー17の右側面には凹部173が形成され、その凹部173の内周面には、ほぼ90度の角度範囲にわたってセレーション22が形成されている。凹部173の周囲において、カラー17の外側面には環状突部172が形成されている。
【0018】
図2及び図3に示すように、前記ハンドル本体19とカラー17との間において、前記スリーブ20及び環状突部172の外周には、外側リング23が回転可能に嵌合されている。外側リング23の内周には、フランジ231が形成され、そのフランジ231の右側において外側リング23の内周には、一対の平行なガイド面24が形成されている。外側リング23の表面は、目立つ色、例えば赤色になっている。
【0019】
図3及び図5に示すように、外側リング23のフランジ231の右側において、外側リング23の内部には、操作部材及び解除部材としての内側リング25が設けられ、この内側リング25の外周には、前記ガイド面24によって案内される一対の被ガイド面26が形成されている。内側リング25の外周面には、外側リング23の透孔27から外部に突出する解除ボタン28が一体形成されている(図1参照)。この解除ボタン28と透孔27との係合を介して外側リング23と内側リング25とは一体回転される。
【0020】
解除ボタン28から180度離れた位置において、外側リング23と内側リング25との間にはスプリング29が介在され、このスプリング29により、内側リング25は解除ボタン28が突出する方向に押圧付勢されている。そして、解除ボタン28を押すことにより、ガイド面24及び被ガイド面26の作用によって、内側リング25は、スプリング29のバネ力に抗して、吐水切換ハンドル15の回転軸線と交差する方向に移動可能である。
【0021】
図3及び図5に示すように、前記解除ボタン28の内側の位置において、内側リング25には第1ストッパ30が一体形成され、その外周面には、前記スプリング29のバネ力により、図4に示す前記カラー17のセレーション22と噛合可能なセレーション31が形成されている。
【0022】
図2に示すように、前記連結筒21は、前記内側リング25内を通っている。図4及び図5に示すように、連結筒21の外周面には、前記第1ストッパ30に係合可能にした一対の第2ストッパ32が一体形成されている。そして、吐水切換ハンドル15の回転により、第2ストッパ32が第1ストッパ30に係合することにより、ハンドル15の回転角度範囲がほぼ180度に規制される。前記セレーション22,31,内側リング25,第1ストッパ30及び第2ストッパ32により、ハンドル15の回転端位置を規制するための規制機構が構成されている。前記第2ストッパ32には規制突起33が一体形成されており、第2ストッパ32が第1ストッパ30によって位置規制される位置に達したときに、この規制突起33上に前記第1ストッパ30が位置して、解除ボタン28の押圧操作による内側リング25及び第1ストッパ30の移動が阻止される。
【0023】
図3に示すように、吐水切換ハンドル15の右端面には凹部151が形成され、その凹部151には装飾機能を有するキャップ34が嵌合されている。キャップ34の内側面には軸部341が一体形成され、その軸部341には、図5に示すように、前記スリーブ20の内周の突部202に嵌合される溝部342と、スリーブ20の突部202間の部分に嵌入される突部343とが形成されており、これらの嵌合及び嵌入により、吐水切換ハンドル15に対するキャップ34の相対回転が阻止されている。
【0024】
図1に示すように、前記カバー12の外側面の右端部には、目盛35が付されており、この目盛35は、ゼロ位置350を境にして、上側にシャワー吐水量目盛351,下側にカラン吐水量目盛352に区分けされている。前記外側リング23の回転にともない、解除ボタン28は、この目盛35の配列に沿って移動される。
【0025】
次に、本実施形態の水栓の作用を説明する。
図1においては、指標を兼ねる解除ボタン28が目盛35のゼロ位置350に対向している状態を示している。この状態においては、図4及び図5に示すように、第1ストッパ30がその移動範囲の中間位置に配置され、スプリング29のバネ力により、内側リング25が上方側に移動されて、第1ストッパ30のセレーション31が内側リング25のセレーションに噛み合っている。このため、第1ストッパ30がこの中間位置に保持され、この結果、外側リング23及び内側リング25が回転不能に保持される。
【0026】
一方、吐水切換ハンドル15がその回転範囲の中間位置に配置されている状態においては、切換弁13がシャワー側とカラン側との間において、吐水量ゼロの位置に配置される。
【0027】
この状態において、図6(a),(b)に示すように、吐水切換ハンドル15は、一方または他方の第2ストッパ32が第1ストッパ30によって阻止される位置まで、シャワー側及び吐水側に回転させることができる。このため、水栓使用者は、吐水切換ハンドル15を、流量ゼロの位置からカラン側及びシャワー側の全開位置までの任意の位置に回転操作できて、吐水量を任意に調節することができる。
【0028】
解除ボタン28が押圧操作されると、スプリング29のバネ力に抗して第1ストッパ30が、図4に2点鎖線で示すように、中心側に移動されて、両セレーション22,31の噛み合いが解除される。従って、この状態で外側リング23及び内側リング25を回転操作でき、第1ストッパ30が周方向に移動される。このため、目盛35に従って、任意の位置で、解除ボタン28に対する操作を解除して、スプリング29のバネ力により第1ストッパ30を外周側に戻して、両セレーション31を係合させれば、第1ストッパ30,すなわち解除ボタン28を任意の吐水量を示す目盛35と対応する位置に固定できる。
【0029】
例えば、図7(a),(b)に示すように、第1ストッパ30及び解除ボタン28をシャワー側の任意の位置にセットすれば、シャワーからの吐水量が目盛35に従う水量、すなわち最大吐水量より少ない任意の最大水量の位置において、吐水切換ハンドル15の回転が第1ストッパ30と第2ストッパ32との係合によって制止される。
【0030】
また、図8(a),(b)に示すように、第1ストッパ30及び解除ボタン28をカラン側の任意の位置にセットすれば、カランからの吐水量が目盛35に従う吐水量、すなわち最大吐水量より少ない任意の最大水量の位置で吐水切換ハンドル15の回転が制止される。
【0031】
このため、解除ボタン28を目盛35に従って任意の位置にセットすれば、シャワー及びカランの最大吐水量を切換弁13の最大吐水量より少ない吐水量に任意に規定できる。なお、図7(b)及び図8(b)にそれぞれ2点鎖線で示すように、第1ストッパ30が前記中間位置からシャワー側及びカラン側の任意位置に配置されて、シャワー吐水及びカラン吐水の位置が規定された状態においては、吐水切換ハンドル15を規定位置の反対側に回転した場合、吐水切換ハンドル15及び切換弁13が最大吐水量位置を越える。しかし、この場合、切換弁13は、同切換弁13の最大吐水量状態に維持される。
【0032】
本実施形態においては、以下の効果がある。
(1)指標機能を兼備する解除ボタン28を目盛35に従って任意の位置にセットすれば、シャワー及びカランからの最大吐水量を任意流量に規定できて、使い勝手に優れた水栓となる。
【0033】
(2)解除ボタン28を有する外側リング23が、水栓本体11を覆うカバー12と吐水切換ハンドル15との間において、吐水切換ハンドル15と隣接して配置されているため、使用者のハンドル15を持つ側の手により、解除ボタン28の押し込み操作と、解除ボタン28の回転操作とを簡単に行なうことができる。
【0034】
(3)前記のように、解除ボタン28を有する外側リング23がカバー12と吐水切換ハンドルとの間に位置しているため、カバー12に目盛35を設けることができ、この目盛35により、任意に設定された流量位置をひと目で容易に視認できる。
【0035】
(4)吐水切換ハンドル15の軸部に外側リング23を設けるとともに、内側リング25とスプリング29とを設けただけであるから、部品点数が少なく、構成が簡単であり、従って、組み付けも容易である。
【0036】
(5)ハンドル15内にハートカム機構などの部品を内装する必要がないため、ハンドル15が太くなることを防止でき、ハンドル操作し易く、デザイン性に優れた水栓とすることができる。
【0037】
(6)ハンドル15内にハートカム機構のような細かい部品や、カム溝を設ける必要がないため、スケールやゴミが溜まって、ハンドル操作の動作不良などが生じることを防止できて、使いやすいものとなる。
【0038】
(7)ハンドル15が設定された任意の最大吐水位置に回転されたときには、規制突起33により解除ボタン28の押し込み操作ができなくなるため、ハンドル15が設定された任意の最大吐水位置から不用意に移動することを防止でき、誤操作を防止できて、使いやすいものとなる。
【0039】
(8)本体11に目盛35を設けるとともに、その目盛35に隣接して指標としての解除ボタン28が設けられているため、その解除ボタン28を指標にして、吐水量を容易に確認できる。
【0040】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様で具体化してもよい。
・スプリング29として、外側リング23または内側リング25と一体の樹脂スプリングを用いること。
【0041】
・外側リング23に解除ボタンとは別に専用の指標を付して、その指標により目盛35を指示するように構成すること。
・カランの吐水のみ、あるいはシャワーの吐水のみを行なうハンドルに関連して任意の最大吐水量を設定する機構を設けること。
【符号の説明】
【0042】
11…水栓本体、12…カバー、13…切換弁、15…吐水切換ハンドル、22…セレーション、23…外側リング、26…被ガイド面、28…解除ボタン、29…スプリング、30…第1ストッパ、31…セレーション、32…第2ストッパ、35…目盛。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8