【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本第1発明は、一方の管に形成された受口の内部に、他方の管に形成された挿口が挿入され、
挿口の外周面と受口の内周面との隙間に環状のシール部材が設けられ、
シール部材を受口の奥側へ押す押輪が挿口に外嵌されて受口の開口端部に外側から対向する管継手であって、
挿口は外周部に挿口突部を有し、
管軸方向において挿口突部に係合して、挿口が受口から離脱するのを防止する離脱防止部材が、押輪の内周と挿口の外周との間に設けられ、
シール部材は、挿口の外周面と受口の内周面とに挟まれて管径方向に圧縮される圧縮部を有するとともに、挿口突部の外周に位置しており、
シール部材の圧縮部が挿口突部よりも受口の奥側に位置するものである。
【0012】
これによると、管継手を介して管同士を接合した状態では、シール部材が挿口突部の外周に位置しているため、シール部材の位置と挿口突部の位置とが管径方向において重複し、挿口の先端部から挿口突部までの長さが短縮される。これにより、受口の開口端部から受口内の奥端までの長さを短縮することができ、管軸方向において管継手が小型化される。
【0013】
本第2発明における管継手は、シール部材の内周に、挿口突部が挿口の挿入方向から入り込む第1凹部が形成され、
第1凹部は、管軸方向において、シール部材の圧縮部よりも挿口の離脱方向側に存在しているものである。
【0014】
これによると、シール部材を挿口に外嵌し、挿口をシール部材に対して挿入方向へ移動して、挿口突部を第1凹部に挿入することにより、シール部材を容易に挿口突部の外周に位置させることができる。
【0015】
本第3発明における管継手は、離脱防止部材は、一箇所が切断された一つ割り構造の環状の部材であり、押輪の内周と挿口の外周との間に設けられた離脱防止本体部と、挿口突部に係合可能な係合部とを有し、
係合部は離脱防止本体部から挿口の挿入方向に突出し、
係合部の管径方向における肉厚が離脱防止本体部の管径方向における肉厚よりも薄いものである。
【0016】
これによると、一方の管と他方の管とを接合する際、離脱防止部材の径を拡大(拡径)し、離脱防止部材を、挿口の先端から挿口に外嵌し、挿口突部を通過して、挿口突部よりも挿口の離脱方向側へ移動させ、その後、拡径していた離脱防止部材の径を縮小(縮径)して、離脱防止部材を挿口の外周に抱き付かせる。
【0017】
離脱防止部材は係合部の肉厚が離脱防止本体部の肉厚よりも薄いため、離脱防止部材の強度が高くなり過ぎず、これにより、管接合時、離脱防止部材を拡径するのに要する力が低減され、離脱防止部材の拡径作業の手間が軽減されて、管の接合作業を短時間で行える。
【0018】
このようにして一方の管と他方の管とを接合した後、地震等によって挿口に離脱力が作用しても、挿口突部が離脱方向から離脱防止部材の係合部に係合することにより、挿口が受口から離脱するのを防止することができる。
【0019】
尚、離脱防止部材の取付姿勢を安定させるためには、管軸方向における離脱防止部材の幅を大きくすることが好ましく、この場合であっても、上記のように離脱防止部材の拡径作業の手間が軽減されて、管の接合作業を短時間で行える。
【0020】
本第4発明における管継手は、
シール部材の内周に、挿口突部が挿口の挿入方向から入り込む第1凹部が形成され、
第1凹部は、管軸方向において、シール部材の圧縮部よりも挿口の離脱方向側に存在しており、
離脱防止部材は、一箇所が切断された一つ割り構造の環状の部材であり、押輪の内周と挿口の外周との間に設けられた離脱防止本体部と、挿口突部に係合可能な係合部とを有し、
係合部は離脱防止本体部から挿口の挿入方向に突出し、
係合部の管径方向における肉厚が離脱防止本体部の管径方向における肉厚よりも薄く、
係合部が挿口の挿入方向からシール部材の第1凹部に入り込んでおり、
挿口突部は、管軸方向において、シール部材の圧縮部と離脱防止部材の係合部との間に位置するものである。
【0021】
これによると、離脱防止部材の係合部は挿口の挿入方向からシール部材の第1凹部に入り込んでいるため、シール部材の一端部が管径方向の内側へ変形し難くなり、シール部材の形状が安定するので、シール性(水密性)の低下を防止することができる。
【0022】
本第5発明における管継手は、シール部材と押輪との間にスペーサが設けられ、
シール部材はスペーサを介して押輪により受口の奥側へ押され、
スペーサは、シール部材に当接する側に、第2凹部を有しており、
シール部材の一端部がスペーサの第2凹部に嵌め込まれているものである。
【0023】
これによると、シール部材はスペーサを介して押輪により受口の奥側へ押されているため、管内の流体圧等によってシール部材が受口の外部へ押し出されるのを防止できる。
この際、シール部材の一端部がスペーサの第2凹部に嵌め込まれているため、シール部材の一端部が拡径方向へ過剰に変形(移動)するのを防止することができる。これにより、管継手を介して管同士を接合する際、シール部材の一端部が受口の開口端面とスペーサとの間に挟まれることはなく、シール部材を挿口の外周面と受口の内周面との間に確実に挿入することができる。
【0024】
本第6発明は、上記第1発明から第5発明のいずれか1項に記載の管継手を用いた管の接合方法であって、
押輪を挿口に外嵌して挿口突部よりも挿口の離脱方向側へ移動させ、
離脱防止部材を、挿口に外嵌して挿口突部よりも挿口の離脱方向側へ移動させ、押輪の内周と挿口の外周との間に配置し、
シール部材を挿口に外嵌して挿口突部の外周に位置させ、
押輪でシール部材を押しながら挿口を受口内に挿入するものである。
【0025】
これによると、挿口を受口内に挿入する際、シール部材の圧縮部が挿口の先端と受口内の奥端との間に挟まれてしまうといった装着不良や、シール部材を十分に受口内に挿入することができないといった装着不良の発生を防止することができる。