(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記動画の少なくとも一部は、表示させる複数の静止画と、当該静止画を表示する際に適用するエフェクトであるトランジションとを少なくとも含む設定に基づいて作成される
請求項1から4のいずれか一項に記載の動画生成・送信方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、本発明は下記の構成には限定されない。
【0021】
<システム構成>
図1は、本実施形態に係るシステムの一例を示す図である。本システムは、動画生成・送信サーバ1と、企業ユーザ装置2と、企業ウェブサーバ3と、閲覧ユーザ装置4と、レコメンドエンジン5とを含み、これらの装置がインターネット等のネットワーク6を介して通信可能に接続されている。本実施形態では、何らかの製品を製造するメーカーのユーザや、EC(Electronic Commerce)サイトを運営する企業等のユーザが、製品やキャン
ペーンを宣伝するために自社のサイトに掲載する動画を生成するものとして説明する。生成する動画は、いわゆるバナーやカルーセルパネル等のようにウェブページ内に配置することができる。また、動画に対してクリック又はタップ等のようなユーザの操作を受けた場合、インターネットブラウザ(単に「ブラウザ」とも呼ぶ)が所定のリンク先へアクセスしたり、ユーザの装置が所定の電話番号へ発呼したりする等のような予め定められた動作を行う。なお、後述する通り、本実施形態に係る主な処理は動画生成・送信サーバ1によって実行される。また、
図1における処理は一例であり、結果が変わらない限りにおいて順序を変更したり並列に処理したりしてもよい。
【0022】
動画生成・送信サーバ1は、ネットワークに接続されたコンピュータであり、動画を構成するフレームの各々に相当する静止画を複数含む複数のフレームデータ(「部分動画」とも呼ぶ)、及び当該部分動画の表示順及び各静止画に対応付けられたリンク先を定義する制御データを企業ユーザ装置2からの要求に応じて生成する(
図1(1))。また、制御データに基づいて部分動画に含まれる静止画を順に表示することで動画を再生するプログラムと共に生成したデータを閲覧ユーザ装置4に送信する(
図1(5))。
【0023】
企業ユーザ装置2は、動画をウェブページ内に組み込んで掲載するユーザ(「企業ユーザ」とも呼ぶ)が操作するコンピュータの一例である。企業ユーザ装置2は、ユーザの操作に応じて、上述した部分動画や制御データを動画生成・送信サーバ1に生成させる(
図1(1))。また、生成された動画へのアクセス先を示す情報を動画生成・送信サーバ1から取得し(
図1(1))、取得したアクセス先を示す情報を組み込んだウェブページを表す文書を、ユーザの操作に応じて企業ウェブサーバ3へアップロードする(
図1(2))。なお、一例として「企業」という名称を用いているが、ユーザの所属する団体はこれ
に限定されず、また、ユーザは企業等に所属しない個人であってもよい。また、企業ウェブサーバ3は、ウェブページをインターネット上に公開するサーバ装置である。
【0024】
閲覧ユーザ装置4は、ウェブページを閲覧するユーザ(「閲覧ユーザ」とも呼ぶ)が操作するコンピュータである。具体的には、閲覧ユーザ装置4はPC(Personal Computer
)、タブレット、スレートPC、スマートフォン、携帯電話機等である。また、各々の装置において動作するOS(Operating System)やウェブページを表示するブラウザは、特に限定されない。また、閲覧ユーザ装置4は、企業ウェブサーバ3が公開するウェブページへアクセスすることで(
図1(3))、ブラウザが実行可能なスクリプト言語で記述されたプログラムを受信する(
図1(5))。また、受信したプログラムを実行することで、制御データに規定された順序で部分動画に含まれる画像を表示し、ウェブページ中において動画を再生する(
図1(5))。また、動画に対してクリック又はタップ等のようなユーザの操作を受けた場合、ブラウザが所定のリンク先へアクセスしたり、閲覧ユーザ装置4が携帯電話機やスマートフォン等の場合は所定の電話番号へ発呼したりする等のような制御データに規定された動作を行う。
【0025】
レコメンドエンジン5は、閲覧ユーザ装置4のインターネットアクセスに関する情報を収集し、ユーザの閲覧履歴や購買履歴に基づいてユーザをクラスタに分類する。そして、閲覧ユーザ装置4から企業ウェブサーバ3へのアクセスがあった場合(
図1(3))、当該閲覧ユーザ装置4のユーザのクラスタに関する情報を動画生成・送信サーバ1へ通知する(
図1(4))。ユーザのクラスタに関する情報は、例えば企業の製品のうち、閲覧ユーザに推薦すべき製品を特定する情報を含む。なお、閲覧ユーザのクラスタに関する情報に応じて、動画生成・送信サーバ1は、送信する動画の内容を決定することができる。また、動画生成・送信サーバ1は、閲覧ユーザが関心を示しそうな複数の製品を特定し、複数の製品に関する動画の組み合わせをリアルタイムに生成及び送信するようにしてもよい。
【0026】
<動画生成・送信サーバ>
図2は、動画生成・送信サーバ1の一例を示す機能ブロック図である。動画生成・送信サーバ1は、素材受信部11と、記憶部12と、テンプレート適用部13と、アクション設定部14と、属性データ受信部15と、動画データ生成部16と、動画データ公開部17とを備える。
【0027】
素材受信部11は、企業ユーザ装置2から動画又は静止画のファイルを受信し、記憶部12に格納する。
【0028】
記憶部12は、例えば補助記憶装置(外部記憶装置)又は主記憶装置等によって構成され、本実施形態で生成する部分動画や制御データ、これらを生成するために企業ユーザが設定する情報、その他の中間的に生成されるファイル等を記憶する。
【0029】
テンプレート適用部13は、静止画と組み合わせて動画を作成するためのテンプレートを、企業ユーザの操作に応じて適用する。本実施形態では、既存の動画を用いるだけでなく、1以上の静止画と、フェード、スライド、ワイプ、オーバーラップ等のような、静止画を表示させる際のエフェクト(効果)である「トランジション」とを組み合わせて、簡易的に動画を作成することもできる。
【0030】
図3は、テンプレートの一例を説明するための図である。
図3のテンプレート1は、まず、静止画である素材1(破線の長方形)が左下からスライドして動画表示領域(実線の長方形)まで移動し(スライドイン)、次に素材2が上からスライドインし、最後に素材3が右上からスライドインするという動作が定義されたひな形である。テンプレート2は
、まず、企業ユーザが設定する任意の文字列1が左から動画表示領域の中央右寄りにスライドインし、次に素材1が動画表示領域の中央左寄りにフェードインし、最後に素材2が動画表示領域の左端に上からスライドインすると共に素材3が動画表示領域の右端に下からスライドインするという動作が定義されたひな形である。動画生成・送信サーバ1は、予めフェード、スライド、ワイプ、オーバーラップ、変形等のようなトランジションを用いて静止画又は文字列の表示方法を定義したテンプレートを記憶部12に複数保持しているものとする。なお、素材を表示する形状は長方形に限らず、円形その他の任意の形状がテンプレートに定義され、素材の一部が切り出されて(トリミングされて)表示されるようにしてもよい。また、使用する素材の数は3には限定されず、文字列の内容のほか素材が移動する方向、速度等のパラメータを詳細に設定できるようにしてもよい。このようなテンプレートを用いることで、企業ユーザは、静止画の少なくとも一部の領域とテンプレートとを組み合わせた動画を作成することもできる。
【0031】
図2のアクション設定部14は、動画の各フレーム(各コマ)に対して、閲覧ユーザがクリック又はタップ等の操作をした場合の動作を設定する。本実施形態に係る動画は、企業ユーザの操作に応じて、例えば動画の1コマであるフレーム全体又はフレーム中の任意の領域に対して、リンク先を設定することができる。また、閲覧ユーザ装置4が携帯電話機又はスマートフォン等である場合に発呼する先の電話番号を設定するようにしてもよい。フレーム内の一部の領域に対して動作を設定する場合は、各フレームに対して、例えばクリッカブルマップのように領域を表す情報とリンク先等の情報との組み合わせを設定するようにすればよい。領域を表す情報(「領域情報」とも呼ぶ)は、例えば多角形を規定する頂点座標列や、円を規定する中心座標及び半径等によって記述することができる。また、1フレームごとに設定を行うのは企業ユーザにとって煩わしいため、指定期間に対してまとめて動作を設定できるようにしてもよい。設定は、記憶部12に記憶される。
【0032】
属性データ受信部15は、レコメンドエンジン5から閲覧ユーザの属性に関する情報を取得する。例えば、商品の購買履歴やウェブの閲覧履歴に基づいて閲覧ユーザを分類したクラスタを示す情報を取得する。なお、クラスタとは、例えば閲覧ユーザの属性に応じて分類された集団を示す概念である。
【0033】
動画データ生成部16は、企業ユーザが設定した情報に基づいて、本実施形態に係る動画を構成する情報である制御データ及び部分動画を生成する。本実施形態では、例えば複数の製品のように内容の異なる動画を複数連続して再生できるよう、閲覧ユーザの属性に関する情報に応じて制御データ及び部分動画をリアルタイムに生成するようにしてもよいし、例えばバッチ処理によって複数のクラスタそれぞれの閲覧ユーザに対して送信する制御データ及び部分動画を生成しておくようにしてもよい。
【0034】
動画データ公開部17は、閲覧ユーザ装置4に対して制御データ及び部分動画を送信する。なお、動画は、動画生成・送信サーバ1がネットワーク6上に公開する。企業ユーザは、動画を表示させるためのタグをウェブページ内に組み込むことにより、ウェブページの任意の位置に動画を配置することができる。
【0035】
<制御データ及び部分動画>
図4は、制御データ及び部分動画の一例を説明するための図である。一点鎖線の角丸長方形で囲われた内容は、部分動画に含まれる情報を表している。二点鎖線の角丸長方形で囲われた内容は、制御データに含まれる情報を表している。部分動画は、動画を構成するフレームの各々である静止画を複数含む。
図4の例では、乗用車及びトラックが走行する動画が、複数の部分動画に分割されている。そして、部分動画を所定の順序で接続することで、1つの動画全体が構成される。なお、1つの動画を複数の部分動画に分割することで、動画全体のダウンロードが完了しなくても、後の部分動画を受信しつつ受信が完了し
た先の部分動画から順に再生するプログレッシブダウンロードが可能になる。このとき、複数の部分動画のうち、最先にダウンロードして再生する部分動画のファイルサイズを、それ以降に再生する部分動画よりも小さくすることで、閲覧ユーザ装置4において動画の再生開始を早めることができる。
【0036】
制御データは、動画のフレームを更新する速度を示すフレームレート、部分動画の表示順を示す情報、各フレーム又は各フレーム内の領域に対する操作に応じて実行する動作等を含む。
図4の例では、部分動画2の2コマ目のフレームまでは、各フレームに対してタップした場合のリンク先URI(Uniform Resource Identifier)が設定されている。ま
た、部分動画2の3コマ目のフレーム以降は、乗用車が描かれた部分を表す領域情報と、トラックが描かれた部分を表す領域情報とに対して、異なるリンク先URIが設定されている。また、部分動画3の最後のフレーム(nコマ目のフレーム)は、「フリックで続きを再生」という文字列に対して、ユーザがフリック操作をした場合に再生する別動画のURIが設定されている。なお、領域情報は、例えば多角形を規定する頂点座標列や、円を規定する中心座標及び半径等によって記述することができる。また、1つのフレーム又は1つの領域に対して、タップした場合の動作とフリックした場合の動作とが設定されていてもよく、タップやフリックのほか、クリックやマウスオーバー等、様々な操作に対して動作が設定されていてもよい。制御データは、例えばテキストデータによって実装することができる。具体的には、JSON(JAVASCRIPT(登録商標) Object Notation)のようなデータ記述言語を採用してもよい。同様に、バイナリデータである部分動画も、例えばBase64のようなエンコード方式によってテキストデータに変換し、JSONフォーマットでファイルを扱うことができる。このようにすれば、ブラウザとプログラム(例えば、JAVASCRIPT)、との間でのデータの交換が容易になる。ただし、制御データ及び部分動画のファイルフォーマットはJSONに限定されるものではない。
【0037】
<閲覧ユーザ装置>
図5は、閲覧ユーザ装置4の一例を示す機能ブロック図である。閲覧ユーザ装置4は、ウェブアクセス部41、記憶部42、動画再生部43、アクション実行部44を含む。ウェブアクセス部41は、ブラウザによって実現され、閲覧ユーザの操作に基づいてウェブページを取得する。記憶部42は、例えば補助記憶装置(外部記憶装置)又は主記憶装置等によって構成され、ウェブページを表す文書や、ウェブページ内に記述され、又はウェブページからリンクする外部ファイルに記述されたスクリプト(プログラム)、上述した制御データ及び部分動画等を記憶する。また、動画再生部43は、閲覧ユーザ装置4のプロセッサが所定のプログラムを実行することで実現され、制御データに従って部分動画に含まれるフレームを順に表示することで動画を再生する。アクション実行部44もプロセッサが所定のプログラムを実行することで実現され、動画に対して閲覧ユーザからクリック又はタップ等の操作を受け付けた場合、所定のリンク先へのアクセスや所定の電話番号への発呼等の動作を実行する。
【0038】
<レコメンドエンジン>
レコメンドエンジン5は、企業ウェブサーバ3のコンテンツの中から、アクセス元の閲覧ユーザ装置4のユーザに対し推薦すべきコンテンツを特定し、動画生成・送信サーバ1へ通知する。推薦すべきコンテンツとは、閲覧ユーザ装置4のユーザが関心を示す可能性が高いコンテンツであり、例えばユーザの行動履歴(ウェブサイトの閲覧履歴や購買履歴等)に基づいてクラスタ解析を行うことにより特定される。なお、レコメンドエンジン5は、いわゆる協調フィルタリング、コンテンツベースフィルタリング、又はこれらの組み合わせ等、様々な既存の技術を用いてユーザに推薦すべき情報を特定することができる。本実施形態では、閲覧ユーザ装置4から企業ウェブサーバ3のウェブページへアクセスがあると、アクセス元のユーザの属性を示す情報を動画生成・送信サーバ1へ送信されるものとする。なお、レコメンドエンジン5は、単独のASP(Application Service Provid
er)でなく、動画生成・送信サーバ1内、企業ウェブサーバ3内等に構築されていてもよい。
【0039】
図6は、レコメンドエンジン5から動画生成・送信サーバ1へ送信される情報の一例を示す図である。レコメンドエンジン5は動画生成・送信サーバ1へ、
図6の表の1レコードに相当する情報を送信する。なお、レコメンドエンジン5は、動画生成・送信サーバ1、企業ウェブサーバ3、又は閲覧ユーザ装置4と連携して閲覧ユーザの属性情報を収集しておくものとする。
図6の表は、ユーザ、クラスタ、及びコンテンツ1〜3の各属性を含む。「ユーザ」のフィールドには、閲覧ユーザを一意に特定する識別情報が格納される。「クラスタ」のフィールドには、当該ユーザをクラスタ解析して分類したグループを示す情報が格納される。また、コンテンツ1〜3の各々は、商品、URL、及び素材パスの各属性を含む。「商品」のフィールドには、当該クラスタに分類されたユーザに推薦すべき商品を特定する情報が格納される。「URL」のフィールドには、当該商品を紹介するウェブページのURLが登録される。「素材パス」のフィールドには、当該商品の動画を生成するための素材(すなわち、動画又は静止画)のパスが登録される。
【0040】
<装置構成>
図7は、コンピュータの一例を示す装置構成図である。動画生成・送信サーバ1、企業ユーザ装置2、企業ウェブサーバ3、閲覧ユーザ装置4、及びレコメンドエンジン5は、例えば
図7に示すようなコンピュータである。
図7に示すコンピュータ1000は、CPU(Central Processing Unit)1001、主記憶装置1002、補助記憶装置(外部記
憶装置)1003、通信IF(Interface)1004、入出力IF(Interface)1005、ドライブ装置1006、通信バス1007を備えている。CPU1001は、プログラムを実行することにより本実施の形態に係る処理等を行う。主記憶装置1002は、CPU1001が読み出したプログラムやデータをキャッシュしたり、CPUの作業領域を確保したりする。主記憶装置は、具体的には、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等である。補助記憶装置1003は、CPU1001により実行されるプログラムや、本実施の形態で用いる設定情報などを記憶する。補助記憶装置1003は、具体的には、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、eMMC(embedded Multi-Media Card)、フラッシュメモリ等である。主記憶装置1002や補
助記憶装置1003は、動画生成・送信サーバ1の記憶部12、閲覧ユーザ装置4の記憶部42等として働く。通信IF1004は、他のコンピュータとの間でデータを送受信する。各コンピュータは、通信IF1004を介してネットワーク6に接続される。通信IF1004は、具体的には、有線又は無線のネットワークカード等である。入出力IF1005は、入出力装置と接続され、ユーザから入力を受け付けたり、ユーザへ情報を出力したりする。入出力装置は、具体的には、キーボード、マウス、ディスプレイ、タッチパネル等である。ドライブ装置1006は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク等の記憶媒体に記録されたデータを読み出したり、記憶媒体にデータを書き込んだりする。そして、以上のような構成要素が、通信バス1007で接続されている。なお、これらの構成要素はそれぞれ複数設けられていてもよいし、一部の構成要素(例えば、ドライブ装置1006)を設けないようにしてもよい。また、入出力装置がコンピュータと一体に構成されていてもよい。また、ドライブ装置1006で読み取り可能な可搬性の記憶媒体や、フラッシュメモリのような可搬性の補助記憶装置1003、通信IF1004などを介して、本実施の形態で実行されるプログラムが提供されるようにしてもよい。そして、CPU1001がプログラムを実行することにより、上記のようなコンピュータを例えば
図2に示した動画生成・送信サーバ1、又は
図5に示した閲覧ユーザ装置4等として働かせる。
【0041】
<設定入力処理>
図8は、設定入力処理の一例を示す処理フロー図である。まず、企業ユーザ装置2は、
企業ユーザの操作に応じて、素材となる動画又は静止画のファイルやファイルパスを動画生成・送信サーバ1へアップロードする(
図8:S1)。例えば、
図4に示したフレームを含む動画ファイルがアップロードされる。一方、動画生成・送信サーバ1の素材受信部11は、企業ユーザ装置2から素材となるファイルを受信すると、記憶部12へ記憶させる(S2)。なお、素材となるファイルの形式は特に限定されない。
【0042】
また、企業ユーザ装置2は、企業ユーザの操作に応じて、動画に対する閲覧ユーザからの操作を受け付けた場合の動作の設定や、素材が静止画の場合は適用するテンプレートの選択等の設定を動画生成・送信サーバ1へ送信する(S3)。例えば、
図4の制御データに記述される情報のうち、フレームレート、フレーム又はその中の領域と対応付けて登録されるリンク先等の動作に関する情報等が送信され、動画生成・送信サーバ1のアクション設定部14は、記憶部12に設定を格納する(S4)。なお、素材として静止画を用いる場合は、動画生成・送信サーバ1のテンプレート適用部13がテンプレート及び静止画の選択を受け付け、動画を定義した上でリンク先等の動作に関する情報を登録するものとする。
【0043】
また、動画生成・送信サーバ1の動画データ公開部17は、企業ユーザ装置2へ、動画をウェブページに組み込むためのタグを通知する(S5)。また、企業ユーザは、HTML(HyperText Markup Language)文書の任意の位置に当該タグを記述することで、ウェ
ブページ内に本実施形態に係る動画を組込むことができる。タグは、JAVASCRIPT等のような所定のスクリプト(本実施形態に係るプログラム)をウェブページ内に埋め込むものであり、ブラウザ上でスクリプトを実行することにより、制御データ及び部分動画をダウンロードして動画を再生することができる。作成したウェブページ(HTML文書)は、企業ウェブサーバ3にアップロードされ(S6)、企業ウェブサーバ3によってインターネット上に公開される(S7)。
【0044】
<動画生成・送信処理>
図9は、動画生成・送信処理の一例を示す処理フロー図である。閲覧ユーザ装置4のウェブアクセス部41は、閲覧ユーザの操作に応じて、ブラウザを介し企業ウェブサーバ3のウェブページを要求する(
図9:S11)。一方、企業ウェブサーバ3は、要求されたウェブページを閲覧ユーザ装置4に送信する(S12)。そして、閲覧ユーザ装置4のウェブアクセス部41がブラウザ上にウェブページを表示すると共に、動画生成・送信サーバ1へアクセスし、ウェブページ内に埋め込まれたスクリプト等を要求する(S13)。
【0045】
また、動画生成・送信サーバ1の属性データ受信部15は、レコメンドエンジン5から閲覧ユーザの属性に関する情報を取得する(図示せず)。ここでは、
図6に示したような、閲覧ユーザのクラスタに基づいて当該ユーザに推薦すべきコンテンツを所定数特定する情報を取得するものとする。そして、動画生成・送信サーバ1の動画データ生成部16は、コンテンツを組み合わせて、閲覧ユーザ装置4に送信する動画を生成する(S14)。具体的には、制御データと部分動画が生成される。
【0046】
図10は、部分動画の生成を説明するための図である。レコメンドエンジン5によって閲覧ユーザに対して推薦すべきコンテンツが特定されると、各コンテンツに対応する動画(
図10:コンテンツ1〜3)が抽出される。ここで抽出される動画は、静止画を素材としてテンプレートを適用して作成したものであってもよいし、動画を素材として各フレームに分割したものであってもよい。そして、抽出された複数の動画は、例えば推薦すべき優先順位に基づいて連結され、1つの連続するフレーム群が生成される。また、生成されたフレーム群は、例えば予め定められたファイルサイズや分割数に基づいて、複数の部分動画に分割される(
図10:部分動画1〜N)。複数の部分動画に分割することでプログレッシブダウンロードが可能になり、このとき最先にダウンロードして再生する部分動画
のファイルサイズを、それ以降に再生する部分動画よりも小さくすることで、閲覧ユーザ装置4における動画の再生開始を早めることができる。
【0047】
また、S14においては、
図4において二点鎖線の角丸長方形で示した制御データも生成される。制御データは、動画のフレームレート、部分動画の表示順を示す情報、各フレーム又は各フレーム内の領域に対する操作に応じて実行する動作等を定義する。
【0048】
そして、動画生成・送信サーバ1の動画データ生成部16は、動画再生スクリプト、並びに生成した制御データ及び部分動画を閲覧ユーザ装置4に送信する(
図9:S15)。一方、閲覧ユーザ装置4の動画再生部43は、制御データに記述された順序に従い、部分動画に含まれるフレームをウェブページ内に表示する(S16)。
【0049】
また、閲覧ユーザ装置4のアクション実行部44は、動画の再生中において閲覧ユーザが動画をクリック又はタップしたか判断する(S17)。なお、クリック及びタップしていないと判断された場合(S17:NO)、S16の処理に戻って動画の再生を継続する。
【0050】
一方、閲覧ユーザがウェブページ内における動画をクリック又はタップしたと判断された場合(S17:YES)、アクション実行部44は、クリック又はタップされたフレーム及び当該フレーム内の領域に基づいて、制御データに定義された動作を実行する(S18)。
【0051】
図11〜
図13は、動画に対する閲覧ユーザの操作を受けた場合の動作を説明するための図である。
図11の例では、1つのフレーム内に任意の形状の領域111及び領域112を定義し、各領域内をクリック又はタップした場合、各々に対応付けられたリンク先のウェブサイトを表示する動作を行う。この場合、
図4において二点鎖線で示した制御データには、領域情報として領域の外形を規定する頂点列が記述され、領域情報に対応付けてリンク先のURIが記述されるものとする。また、
図12の例は、リンク先のウェブサイトを表示する領域121と、所定の電話番号へ発呼する領域122とを含む。例えば閲覧ユーザ装置4がスマートフォン等のように通話機能を有する場合において、領域122をタップ等されたとき、制御データに記述された電話番号を引数として渡して通話を行うアプリケーションを起動させる。
【0052】
<効果>
本実施形態に係るシステムは、一般的なブラウザが実行可能なスクリプト言語で記述されたプログラムにより動画を構成するフレームの表示切替えを制御するため、閲覧者が使用する装置やブラウザ等によらず様々な環境でウェブページ上に動画を表示させることができる。
【0053】
また、動画を構成するフレーム又はフレーム内の領域にリンク先の表示等の動作を関連付けておくことができ、従来のバナーやカルーセルパネル等よりも自由かつ複雑な処理を実行させることができる。
【0054】
また、閲覧ユーザの属性に応じて動画の内容や動作の内容(リンク先等)を決定することができ、いわゆる、動画によるワントゥワンマーケティングの実現ができるとともに広告効果を向上させることができる。
【0055】
<変形例>
通信速度のような通信環境や、閲覧ユーザ装置4の処理性能のような再生環境に応じて動画を変更するようにしてもよい。具体的には、動画のフレームレートや表示サイズを変
更することにより、環境に応じた品質の動画を再生できるようになる。また、閲覧ユーザ装置4のIPアドレス等の地域情報に基づいて再生する動画を変更したり、地域情報によっては再生制限を行うように構成してもよい。
【0056】
また、
図9のS14では、閲覧ユーザの属性に関する情報をアクセスの都度レコメンドエンジン5から取得しないようにしてもよい。例えば、1度閲覧ユーザの属性に関する情報を取得した場合、当該ユーザについては属性に関する情報を動画再生・送信サーバ1の記憶部12に所定期間保持しておき、動画データ生成部16は記憶部12が保持している情報を利用する。また、
図1において、閲覧ユーザ装置4がレコメンドエンジン5から閲覧ユーザの属性を示す情報を取得するようにしてもよい。この場合、閲覧ユーザ装置4が動画生成・送信サーバ1へ属性情報を送信する。このように、動画生成・送信サーバ1の属性取得部15が、レコメンドエンジン5以外の様々な装置から閲覧ユーザの属性を示す情報を取得する構成であってもよい。
【0057】
また、レコメンドエンジン5から取得する情報は一例であり、
図6の例には限定されない。例えば、レコメンドエンジン5は、閲覧ユーザの識別情報と、クラスタ又はセグメントのような当該ユーザの属性を示す情報とを動画生成・送信サーバ1に通知し、動画生成・送信サーバ1がユーザの属性を示す情報に基づいて、送信するコンテンツを決定するようにしてもよい。
【0058】
また、閲覧ユーザの識別情報に応じて送信するコンテンツの内容や組み合わせ(すなわち、部分動画)を変更するだけでなく、閲覧ユーザの識別情報に応じて、ある動画をタップ等した場合のリンク先を変更する等、ユーザの操作に対して行う動作を変更するようにしてもよい。このような処理は、閲覧ユーザの識別情報に応じて、送信する制御データの内容を変更することで実現できる。また、閲覧ユーザの識別情報に応じて、部分動画及び制御データの両者を変更するようにしてもよい。
【0059】
動画生成・送信サーバ1の処理は、複数の装置によって形成されるシステムによって実行されるようにしてもよい。例えば、動画再生スクリプト、制御データ、及び全体の動画における一部のフレーム(静止画)や部分動画の少なくとも一部が、異なる装置から閲覧ユーザ装置4へ送信されるようにしてもよい。これらのデータを取得するためのアクセス先は、ウェブページのタグに記述されるパスに定義することができる。
図13は、システム構成の変形例を示す図である。
図13に示すように、動画生成・送信サーバ1から閲覧ユーザ装置4へ制御データを送信し、企業ウェブサーバ3から閲覧ユーザ装置4へ動画再生スクリプト及びフレーム(静止画)や部分動画を送信するようにしてもよい。具体的には、企業ユーザ装置2は、企業ユーザの操作に応じて素材から部分動画を生成すると共に、動画生成・送信サーバ1に記憶された制御データにアクセスするためのタグを取得する(
図13(1))。そして、取得したタグを組み込んだウェブページを表す文書、及び生成した部分動画を、ユーザの操作に応じて企業ウェブサーバ3へアップロードする(
図13(2))。また、閲覧ユーザ装置4が、企業ウェブサーバ3が公開するウェブページ及び動画再生スクリプトにアクセスすると(
図13(3))、レコメンドエンジン5は、当該閲覧ユーザ装置4のユーザの属性に関する情報を動画生成・送信サーバ1へ通知する(
図13(4))。そして、閲覧ユーザ装置4は、動画生成・送信サーバ4から制御データを取得すると共に(
図13(5))、制御データに従って企業ウェブサーバ3からフレーム(静止画)や部分動画を取得し(
図13(6))、制御データに基づきフレーム(静止画)や部分動画を組み立てて(動的に生成し)動画として再生する(
図13(7))。このようにすれば、リアルタイムに様々な情報元より素材画像を取得し多様な動画を自動生成でき、かつ、動画生成・送信サーバ1におけるデータの送信にかかる負荷を分散させることができる。
【0060】
また、動画の生成に必要な設定(動画に対する閲覧ユーザからの操作を受け付けた場合の動作の設定や、素材が静止画の場合は適用するテンプレートの選択等の設定)は、企業ユーザ装置2からネットワーク6を介して操作を受け付けるのでなく、動画生成・送信サーバ1が直接操作を受け付けるようにしてもよい。
【0061】
また、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において変更することができる。また、実施形態及び変形例は、可能な限り組み合わせて実施することができる。
【0062】
例えば、動画生成・送信サーバ1は、複数のサーバによって構成される態様であってもよい。また、実施の形態に示した処理フローは、結果が変わらない限りにおいて処理の順序を変更してもよい。
【0063】
また、本発明は、上述した処理を実行するコンピュータプログラムや、当該プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を含む。当該プログラムが記録された記録媒体は、プログラムをコンピュータに実行させることにより、上述の処理が可能となる。
【0064】
ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータから読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータから取り外し可能なものとしては、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、光ディスク、磁気テープ、メモリカード等がある。また、コンピュータに固定された記録媒体としては、ハードディスクドライブやROM等がある。