(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記タッチパネルは、更に、前記パラメータを上昇させるか又は下降させるかを決定するためのグラフィックを表示し、表示した前記グラフィック上において前記タップ操作、前記長押し操作又は前記フリック操作を検出し、
前記制御部は、前記グラフィック上において検出されたタップ操作、長押し操作又はフリック操作に応じて、前記医用画像上におけるタップ操作、長押し操作又はフリック操作によって前記パラメータを上昇させるか又は下降させるかの設定を変更する、
請求項1に記載の医用画像診断装置。
前記制御部は、前記タッチパネルにより検出された前記フリック操作の方向に応じて、前記パラメータの種類、及び、前記パラメータを上昇させるか下降させるかを決定する、
請求項1又は2に記載の医用画像診断装置。
前記制御部は、所定の強さ以上の前記タップ操作、前記長押し操作、又は前記フリック操作が検出されるごとに、前記パラメータの種類、及び、前記パラメータを上昇させるか下降させるかを決定する、
請求項1又は2に記載の医用画像診断装置。
前記制御部は、前記タッチパネルにより検出された前記タップ操作の回数、前記長押し操作の長押し時間、又は前記フリック操作の速さに応じて、前記パラメータの変化量を決定する、
請求項1乃至4のうちいずれか1つに記載の医用画像診断装置。
超音波診断装置、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、SPECT装置とX線CT装置とが一体化されたSPECT−CT装置、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET−CT装置、および検体検査装置のうち、いずれか一つである、
請求項1乃至5のうちいずれか1つに記載の医用画像診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態に係る医用画像診断装置および医用画像処理装置を説明する。なお、以下では、実施形態に係る医用画像診断装置の一例として超音波診断装置について説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、実施形態に係る医用画像診断装置は、超音波診断装置に限らず、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、SPECT装置とX線CT装置とが一体化されたSPECT−CT装置、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET−CT装置、検体検査装置等の医用画像診断装置であってもよい。更に、医用画像診断装置に限らず、医用画像に所定の処理(加工)を施したり、医用画像を表示させたりする医用画像処理装置や画像表示装置であってもよい。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、装置本体100と、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103と、タッチパネル104とを備える。超音波プローブ101、入力装置102、ディスプレイ103、およびタッチパネル104は、それぞれ装置本体100に接続される。
【0010】
超音波プローブ101は、被検体Pの体表面に接触され、超音波の送受信(超音波走査)を行う。例えば、超音波プローブ101は、所定方向に1次元で配列された複数の圧電振動子を有する1Dアレイプローブ(探触子)である。これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体100が有する送信回路110から供給される駆動信号に基づいて、超音波を発生させる。発生した超音波は、被検体内の音響インピーダンスの不整合面で反射され、組織内の散乱体によって散乱された成分等を含む反射波信号として複数の圧電振動子にて受信される。超音波プローブ101は、複数の圧電振動子にて受信した反射波信号を、受信回路120へ送る。
【0011】
なお、本実施形態では、超音波プローブ101として1Dアレイプローブを用いる場合を説明するが、これに限定されるものではない。例えば、超音波プローブ101としては、複数の圧電振動子が格子状に2次元で配置された2Dアレイプローブや、1次元で配列された複数の圧電振動子が機械的に揺動することで3次元領域を走査するメカニカル4Dプローブなど、如何なる形態の超音波プローブが用いられてもよい。
【0012】
入力装置102は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有し、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
【0013】
ディスプレイ103は、超音波診断装置1の操作者が入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データ等を表示したりする。
【0014】
タッチパネル104は、医用画像を表示し、表示した医用画像に対するタッチ操作を検出する装置である。例えば、タッチパネル104は、タップ操作、長押し操作、スライド操作等の操作を含むタッチ操作を受け付ける。言い換えると、タッチパネル104は、医用画像を表示し、表示した医用画像に対するタップ操作又は長押し操作を検出する装置である。具体的には、タッチパネル104は、タッチ操作の内容として、操作者がタッチ操作によって触れた位置(座標)、当該位置に接触していた時間、接触した回数等の情報を検出し、検出した情報を装置本体100へ出力する。なお、タッチ操作は、操作者が直接触れなくとも、例えば、スタイラス等のツールを用いて行われてもよい。
【0015】
装置本体100は、超音波プローブ101が受信した反射波信号に基づいて、超音波画像データを生成する装置である。
図1に示すように、装置本体100は、例えば、送信回路110と、受信回路120と、信号処理回路130と、画像処理回路140と、画像メモリ150と、記憶回路160と、制御回路170とを有する。送信回路110、信号処理回路130、画像処理回路140、画像メモリ150、記憶回路160、および制御回路170は、通信可能に互いに接続される。
【0016】
送信回路110は、超音波プローブ101による超音波の送信を制御する。例えば、送信回路110は、トリガ発生回路、送信遅延回路及びパルサ回路等を有し、超音波プローブ101に駆動信号を供給する。パルサ回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延回路は、超音波プローブ101から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルサ回路が発生する各レートパルスに対し与える。また、トリガ発生回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向を任意に調整する。
【0017】
受信回路120は、送信超音波が体内組織で反射された反射波信号の受信を制御する。例えば、受信回路120は、アンプ回路、A/D変換器、加算器、位相検波回路等を有し、超音波プローブ101が受信した反射波信号に対して各種処理を行なって反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換し、デジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、A/D変換器によって処理された反射波信号の加算処理を行う。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。位相検波回路は、加算器の出力信号をベースバンド帯域の同相信号(I信号、I:In-phase)と直交信号(Q信号、Q:Quadrature-phase)とに変換する。そして、位相検波回路は、I信号及びQ信号(IQ信号)を後段の信号処理回路130に出力する。なお、位相検波回路による処理前のデータは、RF信号とも呼ばれる。以下では、超音波の反射波に基づいて生成された「IQ信号、RF信号」をまとめて、「反射波データ」と記載する。
【0018】
信号処理回路130は、受信回路120が反射波信号から生成した反射波データに対して各種の信号処理を行う。例えば、信号処理回路130は、受信回路120から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理等を行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。また、信号処理回路130は、受信回路120から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
【0019】
ここで、信号処理回路130は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、信号処理回路130は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、信号処理回路130は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。
【0020】
画像処理回路140は、信号処理回路130が生成したデータから超音波画像データを生成したり、生成した超音波画像データに対する各種の画像処理を行う。すなわち、画像処理回路140は、Bモードデータから反射波の強度を輝度にて表したBモード画像データを生成する。また、画像処理回路140は、ドプラデータから移動体情報を表す平均速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらの組み合わせ画像としてのドプラ画像データを生成する。また、画像処理回路140は、超音波画像に、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディマーク等を合成した合成画像を生成することもできる。なお、画像処理回路140は、被検体に対する走査により収集されたデータに基づいて医用画像を生成する画像生成部の一例である。
【0021】
また、画像処理回路140は、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用画像としての超音波画像データを生成する。また、画像処理回路140は、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行う。
【0022】
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像処理回路140が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。
【0023】
また、画像処理回路140は、ボリュームデータをディスプレイ103やタッチパネル104にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行う。画像処理回路140が行うレンダリング処理としては、断面再構成法(MPR:Multi Planar Reconstruction)を行なってボリュームデータからMPR画像データを生成する処理がある。また、画像処理回路140が行うレンダリング処理としては、ボリュームデータに対して「Curved MPR」を行う処理や、ボリュームデータに対して「Intensity Projection」を行う処理がある。また、画像処理回路140が行うレンダリング処理としては、3次元の情報を反映した2次元画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理がある。
【0024】
画像メモリ150は、画像処理回路140が生成した画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ150は、信号処理回路130が生成したデータを記憶することも可能である。画像メモリ150が記憶するデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像処理回路140を経由して表示用の超音波画像データとなる。
【0025】
記憶回路160は、超音波送受信、画像処理および表示処理を行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディマーク等の各種データを記憶する。また、記憶回路160は、必要に応じて、画像メモリ150が記憶する画像データの保管等にも使用される。また、記憶回路160が記憶するデータは、図示しないインタフェース部を介して、外部装置へ転送することができる。
【0026】
制御回路170は、超音波診断装置1の処理全体を制御する。具体的には、制御回路170は、入力装置102やタッチパネル104を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路160から読み込んだ各種制御プログラムおよび各種データに基づき、送信回路110、受信回路120、信号処理回路130、画像処理回路140等の処理を制御する。また、制御回路170は、画像メモリ150が記憶する超音波画像データをディスプレイ103に表示させる。
【0027】
なお、第1の実施形態に係る画像処理回路140および制御回路170は、本実施形態にて説明する各処理機能を実行する。ここで、画像処理回路140および制御回路170が実行する各処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路160に記録されている。画像処理回路140および制御回路170は、各プログラムを記憶回路160から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の画像処理回路140および制御回路170は、各処理機能を有することとなる。画像処理回路140および制御回路170の各処理機能については、後述する。
【0028】
なお、画像処理回路140および制御回路170は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0029】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Preprocess Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路160にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0030】
ここで、深さ方向のゲインを調整するTGC(Time Gain Control)と、方位方向のゲインを調整するLGC(Lateral Gain Control)とについて、説明する。
【0031】
図2および
図3は、TGCおよびLGCについて説明するための図である。
図2には、超音波診断装置1においてTGCおよびLGCが設置される位置を例示する。また、
図3には、TGCおよびLGCによるゲイン調整について例示する。
図2に示すように、超音波診断装置1の操作パネル10に、TGCおよびLGCは配置される。
【0032】
図3に示すように、TGCおよびLGCは、それぞれ複数個のつまみを有しており、それらを個別に動かすことで、超音波画像の明るさを部分的に変更する。例えば、TGCは、縦方向に8つのつまみを有する。この8つのつまみのそれぞれは、超音波画像を深さ方向に8等分した各領域に対応している。また、LGCは、横方向に6つのつまみを有する。この6つのつまみのそれぞれは、超音波画像を方位方向に6等分した各領域に対応している。
【0033】
図3において、超音波画像の領域11の範囲内を明るくする場合を説明する。この場合、操作者は、TGCの上から4つ目のつまみ12を右に移動させるか、LGCの左から2つ目のつまみ15を上に移動させるか、或いはその両方の操作を行う。これらの操作により、領域11は明るくなるものの、領域11以外の領域にもその操作の影響が出てしまう。具体的には、つまみ12を右に移動させることにより、領域11と同じ深さ方向にある領域13,14も明るくなってしまう。また、つまみ15を上に移動させることにより、領域11と同じ方位方向にある領域16,17も明るくなってしまう。
【0034】
このように、TGCおよびLGCの操作では、操作者が所望の領域の明るさを調整する場合には、所望の領域以外の領域にも影響が出てしまう。このため、例えば、もともと適切な明るさであった領域についても明るさが変化してしまうと、診断にも影響が出てしまう可能性がある。すなわち、TGCおよびLGCの操作では、必ずしも所望の領域の明るさを変更できない場合があった。なお、上記の説明では画像の明るさについて説明したが、これに限らず、画像処理フィルタ、周波数、ダイナミックレンジなど、画像の表示に影響を与えるパラメータを変更する場合に広く共通するものである。
【0035】
そこで、本実施形態に係る超音波診断装置1は、所望の領域の画質を容易に変更するために、開示の構成を備える。
【0036】
タッチパネル104は、医用画像を表示し、表示した医用画像に対するタッチ操作を検出する。例えば、タッチパネル104は、超音波診断装置1の操作パネル10上に設置され、画像処理回路140によって生成された超音波画像を表示する。そして、タッチパネル104は、表示した超音波画像上において、操作者によるタッチ操作(画面への接触)による位置(座標)の指定を受け付ける。なお、タッチパネル104は、必ずしも操作パネル上に設置されなくてもよい。例えば、タッチパネル104は、ディスプレイ103の隣にサブディスプレイとして設置されてもよいし、ディスプレイ103と兼用のメインディスプレイとして設置されてもよい。また、タッチパネル104は、超音波診断装置1の外部装置として、別筐体で設けられてもよい。
【0037】
図4は、第1の実施形態に係るタッチパネル104の処理を説明するための図である。
図4には、超音波画像を表示するタッチパネル104を例示する。
図4に示すように、タッチパネル104は、操作者からのタッチ操作を検出する。具体的には、タッチパネル104は、操作者がタッチパネル104上の一点をタップすると、タップされた位置の座標(X,Y)を検出する。そして、タッチパネル104は、検出した座標(X,Y)を制御回路170へ出力する。
【0038】
なお、
図4は一例に過ぎず、例えば、タッチパネル104は、タップ以外のタッチ操作を受け付けてもよい。例えば、タッチパネル104は、タップ以外のタッチ操作として、長押し、スライド等の操作を受け付ける。ここで、長押しを受け付けた場合には、タッチパネル104は、操作者から指定された位置(座標)に加え、当該位置を長押ししている時間を出力する。また、スライドを受け付けた場合には、タッチパネル104は、スライドによりなぞられた複数の位置の座標を出力する。また、例えば、タッチパネル104は、複数回のタップを受け付けた場合には、その回数も出力可能である。
【0039】
制御回路170は、タップ操作又は長押し操作が検出された位置を基準とする領域において、医用画像の表示に影響を与えるパラメータを変更する。例えば、制御回路170は、タップ操作又は長押し操作が検出された位置を基準とする領域において、医用画像の表示に影響を与えるパラメータを、タップ操作の回数又は長押し操作の長押し時間に応じて変更する。
【0040】
例えば、制御回路170は、タッチ操作が検出された位置を含む領域において、パラメータを変更する。具体的には、制御回路170は、タップ操作又は長押し操作が検出された位置を含む正方領域、立方領域、円領域、又は球領域において、パラメータを変更する。
【0041】
図5Aから
図5Dは、第1の実施形態に係る制御回路170の処理を説明するための図である。
図5Aには、Rawデータ(スキャンコンバート前)における複数のスキャンラインを例示する。また、
図5Bおよび
図5Cには、基準(基準点)からの距離に応じたゲインの変化量を例示する。
図5Bおよび
図5Cにおいて、横軸は位置(方位方向、深さ方向)を示し、縦軸は変化量を示す。また、
図5Dには、超音波画像上(スキャンコンバート後)における複数のスキャンラインを例示する。なお、
図5Aから
図5Dでは、タッチパネル104が座標(X,Y)の位置を1回タップした場合を説明する。
【0042】
図5Aに示すように、制御回路170は、タッチパネル104によって出力された座標(X,Y)を受け付けると、その座標(X,Y)に対応するRawデータ上の座標(Xr,Yr)を算出する。そして、制御回路170は、算出した座標(Xr,Yr)を中心(基準点)とする矩形領域20を、パラメータを変更する領域として決定する。ここでは一例として、制御回路170は、座標(Xr,Yr)を中心とし、左右方向にx、上下方向にyに含まれる矩形領域20を、パラメータを変更する領域として決定する。なお、この矩形領域20の大きさは、予め操作者により設定され、例えば、記憶回路160に登録されている。
【0043】
図5Bおよび
図5Cに示すように、制御回路170は、基準(基準点)からの距離に応じたパラメータの変化量を決定する。例えば、制御回路170は、方位方向において、基準点(Xr)から離れるほどゲインの変化量が小さくなるように、変化量を決定する。また、制御回路170は、深さ方向についても同様に、基準点(Yr)から離れるほどゲインの変化量が小さくなるように、変化量を決定する。なお、ゲインの変化量は、予め操作者により設定され、例えば、記憶回路160に登録されている。
【0044】
そして、制御回路170は、決定した矩形領域20に含まれる各サンプル点に対応するゲインを、決定した変化量に応じて変更する。例えば、制御回路170は、受信回路120で行われるゲイン補正処理のゲインを、決定した変化量に応じてサンプル点ごとに変更する。具体的には、制御回路170は、受信回路120に登録されている各サンプル点のゲインを、決定した変化量に応じて変更する。
【0045】
これ以降、生成される超音波画像において座標(X,Y)を中心とする矩形領域20のゲインが変更される。なお、超音波画像における矩形領域20の形状は、スキャンコンバートによって歪んだ形状となる(
図5D参照)。この形状では、深さ方向が一致するサンプル点がパラメータの変更対象となるので、深さ方向に従って反射信号が減衰しやすい超音波画像診断の特性に適していると言える。
【0046】
このように、制御回路170は、タッチ操作の位置に基づく領域において、パラメータを変更する。なお、
図5Aから
図5Dは一例に過ぎない。例えば、パラメータの変更対象となる領域の形状は、矩形(例えば、正方領域)に限らず、例えば、円形(例えば、円領域)、楕円等、任意の形状が設定可能である。また、ここでは、スキャンコンバート前のRawデータ上で変更対象となる領域の形状を設定したが、これに限らず、例えば、スキャンコンバート後の超音波画像上で設定してもよい。超音波画像診断においては深さ方向に従って反射信号が減衰しやすいので、例えば、この形状は、超音波プローブ101の被検体との接触点の形状に合わせて設定されるのが好ましい。また、基準からの距離に応じたパラメータの変化量は、
図5Bおよび
図5Cのような曲線(S字変化)に限らず、線形であってもよいし、距離に関わらず一定の変化量であってもよい。
【0047】
また、上記の例では、Rawデータに関するパラメータが変更される場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、IQ信号(IQデータ)に関するパラメータが変更されてもよい。この場合、例えば、受信周波数などのパラメータが調整可能となる。つまり、局所的に高周波の画質にするなどの設定が可能となるため、画像中の腫瘍部分だけを高画質で見たい場合などに適している。また、スキャンコンバート後の超音波画像のパラメータが変更される場合であってもよい。
【0048】
また、上記の例では、タッチパネル104が1回のタップを受け付けた場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、複数回のタップを受け付けた場合には、制御回路170は、タップの回数に応じてパラメータを変更してもよい。また、長押しであれば、制御回路170は、長押しの時間に応じてパラメータを変更してもよい。これによれば、例えば、操作者がタップしている時間が長いほど、接触点を基準点とした領域内の画像の輝度が明るくなっていく。この場合、接触時間に対するゲインの上昇度合いがユーザ側で設定できてもよい。また、逆に接触時間に応じて暗くすることもできるように設定されてもよい。
【0049】
図6は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の処理手順を示すフローチャートである。
図6に示す処理手順は、例えば、超音波プローブ101が被検体Pの体表面に当接された状態において、Bモード撮影を開始する旨の指示を操作者から受け付けることにより開始される。
【0050】
ステップS101において、超音波診断装置1は、Bモード撮影を開始するか否かを判定する。例えば、制御回路170は、Bモード撮影を開始する旨の指示を操作者から受け付けると、Bモード撮影を開始する。なお、ステップS101が否定される場合には、制御回路170は、撮影を開始せず、待機状態である。
【0051】
ステップS101が肯定されると、ステップS102において、超音波診断装置1は、Bモード画像を生成し、タッチパネル104に表示する。
【0052】
ステップS103において、タッチパネル104は、タッチ操作を検知したか否かを判定する。例えば、タッチパネル104は、タッチ操作を検知すると、検知したタッチ操作により指定された座標を制御回路170へ出力する。なお、ステップS103が否定される場合には、制御回路170は、ステップS105の処理へ移行する。
【0053】
ステップS103が肯定されると、ステップS104において、制御回路170は、タッチ操作の位置に基づく領域において、パラメータを変更する。例えば、制御回路170は、タップされた位置を中心とする矩形領域20を、パラメータを変更する領域として決定する。そして、制御回路170は、基準(基準点)からの距離に応じたパラメータの変化量を決定する。そして、制御回路170は、決定した矩形領域20に含まれる各サンプル点に対応するゲインを、決定した変化量に応じて変更する。
【0054】
ステップS105において、制御回路170は、Bモード撮影を終了する旨の指示を操作者から受け付けたか否かを判定する。ここで、ステップS105が否定される場合には、制御回路170は、ステップS102の処理へ移行する。つまり、超音波診断装置1は、次のフレームの超音波走査を行って、次のフレームのBモード画像を生成し、表示する。
【0055】
ステップS105が肯定されると、超音波診断装置1は、Bモード撮影の処理を終了する。なお、
図6は一例に過ぎない。例えば、上記の処理手順は、必ずしも上述した順序で実行されなくてもよい。例えば、上記のステップS101〜S105は、処理内容が矛盾しない範囲で、適宜順序を変えて実行されてもよい。
【0056】
上述してきたように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1において、タッチパネル104は、医用画像を表示し、表示した医用画像に対するタッチ操作を検出する。制御回路170は、タッチ操作が検出された位置を基準とする領域において、医用画像の表示に影響を与えるパラメータを変更する。これによれば、超音波診断装置1は、所望の領域の画質を容易に変更することができる。
【0057】
(第1の実施形態の変形例)
なお、第1の実施形態では、パラメータを予め設定した値にしたがって変更する場合、つまり、パラメータを増加、若しくは減少させる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置1は、操作者にパラメータの増加/減少を選択させた上で、タッチ操作によるパラメータ変更を行ってもよい。
【0058】
図7は、第1の実施形態の変形例に係るタッチパネル104および制御回路170の処理を説明するための図である。
図7に例示のタッチパネル104は、超音波画像上に、パラメータの増加/減少を選択させるためのGUI30を表示する。なお、
図7に例示のGUI30は、現在、「Down」が表示されている。この「Down」の表示は、この状況下でタッチパネル104がタッチ操作を受け付けると、所定のパラメータが減少することを示す。
【0059】
図7に示すように、タッチパネル104は、GUI30を表示する。ここで、操作者がGUI30をタップすると、「Down」が「Up」に切り替わる。「Up」の表示は、この状況下でタッチパネル104がタッチ操作を受け付けると、所定のパラメータが増加することを示す。
【0060】
すなわち、タッチパネル104は、パラメータを上昇させるか又は下降させるかを決定するためのグラフィックを表示し、表示したグラフィック上においてタッチ操作を検出する。そして、制御回路170は、そのグラフィック上において検出されたタッチ操作に応じて、医用画像上におけるタッチ操作によってパラメータを上昇させるか又は下降させるかの設定を変更する。これによれば、操作者は、パラメータを上昇させるか下降させるかを選択した上で、タッチ操作によるパラメータ変更を行うことができる。
【0061】
なお、タッチパネル104上に表示されるGUIは、上記のGUI30に限定されるものではない。例えば、タッチパネル104は、操作内容を1回分戻すための「Undo」ボタンを表示してもよい。これは、操作者がゲインを上げすぎた場合に、直前の操作を無効にしたい場合に有用である。
【0062】
また、タッチパネル104は、パラメータの変更履歴を初期状態に戻す「Reset」ボタンを表示してもよい。これは、視野(操作範囲)を変更する場合などに有用である。例えば、超音波画像の一部のゲインを上げた状態で肝臓の断層像の閲覧後に、腎臓の閲覧に切り替える場合には、肝臓の閲覧において変更されたパラメータの変更履歴は不要となるはずである。この場合、「Reset」ボタンを一回押すことで、肝臓で設定されたパラメータの変更が初期設定に戻り、初期設定にて腎臓の断層像を描出することが可能となる。
【0063】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、タッチ操作が検出された位置を含む領域において、パラメータを変更する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置1は、タッチ操作により指定された複数の位置により囲まれる領域のパラメータを変更してもよい。
【0064】
第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、
図1に例示した超音波診断装置1と同様の構成を備え、制御部170の処理の一部が相違する。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、説明を省略する。
【0065】
図8は、第2の実施形態に係る制御回路170の処理を説明するための図である。
図8の矢印は、タッチパネル104上で操作者がなぞったタッチ操作の軌跡を表す。
【0066】
図8に示すように、操作者がタッチパネル104上を円形になぞるタッチ操作を行うと、タッチパネル104は、なぞられた軌跡上の複数の位置の座標を順次検出する。そして、タッチパネル104は、検出した複数の座標を制御回路170に出力する。
【0067】
そして、制御回路170は、タッチパネル104が複数の位置を指定するタッチ操作を検出すると、検出された複数の位置により囲まれる領域において、パラメータを変更する。具体的には、制御回路170は、
図8の矢印で囲まれた領域において、パラメータを変更する。これによれば、操作者は、任意の形状の領域について、パラメータを変更することができる。
【0068】
(第3の実施形態)
上記の実施形態では、2次元の超音波画像データにおいてパラメータを変更する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置1は、3次元の超音波画像データについてパラメータを変更してもよい。
【0069】
図9Aおよび
図9Bは、第3の実施形態に係るタッチパネル104および制御回路170の処理を説明するための図である。
図9Aおよび
図9Bにおいて、右下の画像は、胎児の様子が描出されたボリュームデータをVR処理した画像である。また、右上、左上、左下の各画像は、当該ボリュームデータのx、y、z方向における断面画像である。
【0070】
図9Aに示すように、例えば、タッチパネル104は、断面画像に対するタップによって、ボリュームデータにおける座標(X,Y,Z)を検出する。そして、タッチパネル104は、検出した座標(X,Y,Z)を制御回路170へ出力する。
【0071】
そして、制御回路170は、タッチパネル104により出力された座標(X,Y,Z)を基準とする領域において、所定のパラメータを所定量変更する。これにより、
図9Bに示すように、各領域40,41,42のパラメータが変更された画像が表示される。なお、変更された領域が断面に含まれない場合には、
図9Bの右上に示すように、パラメータ変更が行われた領域を含まない画像が表示される。このように、タッチ操作によるパラメータの変更は、3次元の超音波画像データについても適用可能である。
【0072】
また、VR画像(
図9Aの右下の画像)上でも、所定のアルゴリズムを設定しておくことにより、タッチ操作によるパラメータの変更を適用可能である。例えば、タップにより、立体表面上の点(位置)が指定される場合には、VR画像上でも位置を指定可能である。このため、上述してきた処理により、タッチ操作によるパラメータの変更を適用可能である。また、ここでは、球領域に対してパラメータを変更する場合を説明したが、これに限らず、例えば、立方領域に対してパラメータを変更してもよい。
【0073】
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
【0074】
(タッチ操作の組み合わせ)
例えば、上記の実施形態では、タップ操作、長押し操作、スライド操作等による各種のタッチ操作が個別に行われる場合を説明したが、これらの操作は適宜組み合わせて実施されてもよい。例えば、操作者は、長押し操作の時間に応じてゲインを上げた後に、ゲインの微調整を行うためにタップ操作を行って、タップ操作の回数に応じたゲイン変更を行ってもよい。また、タッチ操作ごとに変更対象となるパラメータが異なっていてもよい。例えば、操作者は、長押し操作の時間に応じてゲインを変更し、タップ操作の回数に応じてダイナミックレンジを変更してもよい。
【0075】
(タッチパネルに医用画像を表示しない場合)
例えば、タッチパネルは、医用画像を表示しなくとも、本実施形態を適用可能である。
【0076】
図10は、その他の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示す図である。
図10に示すように、タッチパネル50は、超音波診断装置1のディスプレイ103とは別の筐体に設けられ、ディスプレイ103に表示される医用画像に位置関係が対応する領域を有し、領域に対する操作者からのタッチ操作を検出する。例えば、タッチパネル50は、医用画像を表示していないが、その画面上の位置がディスプレイ103の医用画像の位置と対応づけられている。そして、タッチパネル50は、操作者からのタッチ操作を検出する。この操作により、タッチパネル50は、医用画像に対するタッチ操作を検出可能となる。
【0077】
そして、制御回路170は、タッチ操作が検出された位置に対応する医用画像内の位置を基準とする領域において、医用画像の表示に影響を与えるパラメータを変更する。例えば、制御回路170は、タッチパネル50において検出された位置に対応するディスプレイ103上の位置に基づいて、パラメータを変更する。
【0078】
(他の位置入力手段)
また、超音波診断装置1は、他の位置入力手段によっても、パラメータを変更可能である。すなわち、超音波診断装置1において、入力装置102は、医用画像内の位置を指定するための非接触操作を受け付ける。そして、制御回路170は、少なくとも非接触操作によって指定された位置における医用画像の表示に影響を与えるパラメータを変更する。
【0079】
図11は、その他の実施形態に係る位置入力手段について説明するための図である。
図11には、入力装置102としてHMD(Head Mounted Display)を装着した操作者による位置入力を説明する。
図11に示すように、HMD(Head Mounted Display)を装着した操作者は、医用画像上の一点を見ることで、当該位置(座標)を指定する。位置が検出されると、上述した実施形態と同様に、制御回路170は、位置に基づく領域において、パラメータを変更可能である。
【0080】
また、入力装置102として、空間に投影された医用画像に対する擬似接触による入力手段が適用されてもよい。これは、例えば、空間表示、空間投影等と呼ばれる技術により、空間に画像を結像させることで、何も存在しないはずの位置に画像を描出する手段である。そして、この画像に対する位置指定を、例えば、複数の赤外線センサで実現することで、位置入力が可能となる。例えば、空間投影された医用画像に対して、操作者が指先で位置を指定する。個々で指定された位置は、複数の赤外線センサで検出される。そして、赤外線センサにより検出される位置を、空間投影される画像の位置との位置関係に基づいて座標変換することで、医用画像に対する位置指定として検出可能となる。
【0081】
また、入力装置102として、音声入力手段が適用されてもよい。この場合、音声検出可能なキーワードと、医用画像上の位置(領域)とを予め対応づけて登録しておく。例えば、医用画像を4分割して、右上、右下、左上、左下というキーワードと対応づけておく。これにより、例えば、操作者が「右上」と発言した場合に、このキーワードを音声入力手段により検知し、医用画像の領域に変換する。この場合、医用画像の右上の領域のパラメータが変更される。
【0082】
(他の撮影モード)
また、上記の実施形態では、Bモード撮影においてパラメータが設定される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、Bモード、Mモード、ドプラモード、カラードプラモード、パワーモード、組織ドプラモード、およびエラストモード等においても適用可能である。
【0083】
この場合、制御回路170は、Bモードで医用画像が生成された場合には、ゲイン、ダイナミックレンジ、ノイズ低減フィルタレベル、および受信周波数のうちいずれかをパラメータとして変更し、Mモードで医用画像が生成された場合には、Mゲイン、Mダイナミックレンジ、ノイズ低減フィルタレベル、エッジ強調レベル、および受信周波数のうちいずれかをパラメータとして変更し、ドプラモードで医用画像が生成された場合には、ドプラゲイン、ドプラダイナミックレンジ、ノイズ低減フィルタレベル、および受信周波数のうちいずれかをパラメータとして変更し、カラードプラモードで医用画像が生成された場合には、カラーゲイン、モーションアーチファクト低減フィルタレベル、ローカットフィルタレベル、および受信周波数のうちいずれかをパラメータとして変更し、パワーモードで医用画像が生成された場合には、カラーゲイン、パワーダイナミックレンジ、ローカットフィルタレベル、および受信周波数のうちいずれかをパラメータとして変更し、組織ドプラモードで医用画像が生成された場合には、カラーゲイン、モーションアーチファクト低減フィルタレベル、および受信周波数のうちいずれかをパラメータとして変更し、エラストモードで医用画像が生成された場合には、パーシスタンスレベル、受信周波数、およびエラスト画像と混合対象の画像との混合比率のうちいずれかをパラメータとして変更する。なお、エラストモードは、2D画像の上にカラー画像(硬さ画像)を半透明で重ねて表示するため、見たい部位の周辺に触ると、触っている間だけ、触っている箇所周辺の重畳の透過度を上げる。これによれば、カラー画像の下層の2D画像の視認性を向上させることが可能となる。
【0084】
(フリック操作)
また、上記の実施形態では、タッチ操作の例として、タップ操作や長押し操作等が行われる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、タッチ操作として、フリック操作が行われてもよい。なお、フリック操作とは、例えば、操作者がタッチパネル104の画面上で指を素早くスライドさせる動作である。この場合、タッチパネル104は、フリック操作が検出された位置(最初に指が触れた位置が好適)、フリック操作の方向、フリック操作の速さ等の情報を取得可能である。なお、フリック操作は、例えば、予め規定された速さ以上の素早い操作として定義されても良く、当該速さに満たない速さの操作(スライド操作)と区別して定義されても良い。あるいは、フリック操作とスライド操作は同一の操作として定義されても良い。
【0085】
つまり、タッチパネル104は、医用画像を表示し、表示した医用画像に対するフリック操作を検出する。そして、制御部170は、フリック操作が検出された位置を基準とする領域において、医用画像の表示に影響を与えるパラメータを、フリック操作の方向及びフリック操作の速さのうち少なくとも一つに応じて変更する。
【0086】
図12は、その他の実施形態に係るタッチパネルの処理を説明するための図である。
図4には、超音波画像を表示するタッチパネル104を例示する。
図4に示すように、タッチパネル104は、超音波画像上の座標(X,Y)において、上方向、下方向、右方向、肥立ち方向のフリック操作をそれぞれ検出する。
図12において、制御部170は、座標(X,Y)を中心とする所定領域内のパラメータを変更する。
【0087】
ここで、制御部170は、タッチパネル104により検出されたフリック操作の方向に応じて、変更する変更するパラメータの種類、及び、パラメータを上昇させるか下降させるかを決定する。例えば、制御部170は、タッチパネル104が上方向のフリック操作を受け付けた場合には、パラメータの種類「ゲイン」と、パラメータを「上昇させる」とを決定する。つまり、操作者が上方向にフリック操作を行うと、制御部170は、超音波画像のゲインを上昇させることを決定する。また、例えば、制御部170は、タッチパネル104が下方向のフリック操作を受け付けた場合には、パラメータの種類「ゲイン」と、パラメータを「下降させる」とを決定する。つまり、操作者が下方向にフリック操作を行うと、制御部170は、超音波画像のゲインを下降させることを決定する。また、例えば、制御部170は、タッチパネル104が右方向のフリック操作を受け付けた場合には、パラメータの種類「ダイナミックレンジ」と、パラメータを「上昇させる」とを決定する。つまり、操作者が右方向にフリック操作を行うと、制御部170は、超音波画像のダイアミックレンジを上昇させることを決定する。また、例えば、制御部170は、タッチパネル104が左方向のフリック操作を受け付けた場合には、パラメータの種類「ダイナミックレンジ」と、パラメータを「下降させる」とを決定する。つまり、操作者が左方向にフリック操作を行うと、制御部170は、超音波画像のダイナミックレンジを下降させることを決定する。
【0088】
また、制御部170は、タッチパネル104により検出されたフリック操作の速さに応じて、変更するパラメータの変化量を決定する。一例としては、制御部170は、フリック操作の速さが速いほどパラメータを大きく変化(増減)させることを決定する。
【0089】
このように、制御部170は、タッチパネル104により検出されたフリック操作の方向及び速さに応じて、パラメータを変更する。
【0090】
なお、
図12は一例に過ぎない。例えば、フリック操作の方向に応じて決定されるパラメータの種類及びパラメータの増減方向は、上記の例に限定されるものではない。具体的には、パラメータの種類としては、エッジ強調レベルや受信周波数など、上述した任意の派他メータが変更されてよい。また、上方向のフリック操作により、パラメータが減少されてもよい。また、タッチパネル104が斜め方向のフリック操作を検知した場合には、その方向に応じた種類のパラメータが変更されても良い。
【0091】
(強押しの検知)
また、タッチパネル104がタッチ操作の強さを検知可能な場合には、制御部170は、タッチ操作の強さに基づいて、パラメータを変更してもよい。
【0092】
例えば、静電容量式の検出機構と、感圧式の検出機構とを組み合わせたタッチパネル104では、タッチ操作の強さを検出可能である。この場合、タッチパネル104は、操作者がタッチ可能な外層側に静電容量式の検出機構を備え、その内層側に感圧式の検出機構を備える。ここで、静電容量式の検出機構は、操作者がタッチ操作により接触した位置(座標)、当該位置に接触していた時間、接触した回数等の情報を検出する。これに対して、感圧式の検出機構は、一定以上の強さのタッチ操作(「強押し」又は「押し込み」とも称する)を検知する。感圧式の検出機構は、例えば、一定以上の強さの圧力により湾曲するガラスを備え、このガラスの湾曲を検知することで、タッチ操作が強押しであるか否かを検知する。
【0093】
この場合、制御部170は、所定の強さ以上のタップ操作、長押し操作、又はフリック操作が検出されるごとに、パラメータの種類、及び、パラメータを上昇させるか下降させるかを決定する。
【0094】
例えば、パラメータの種類、及び、パラメータを上昇させるか下降させるかのパターンが予め設定されており、制御部170は、強押しを検知するごとに、このパターンを切り替える。
【0095】
一例としては、第1パターン「ゲインを上昇させる」と、第2パターン「ゲインを下降させる」と、第3パターン「ダイナミックレンジを上昇させる」と、第4パターン「ダイナミックレンジを下降させる」とが予め設定されており、制御部170は、強押しの回数に応じて、第1パターン〜第4パターンを順番に切り替える。
【0096】
具体的には、制御部170は、1回も強押し(タップ操作)を受け付けていない場合には、第1パターンがプリセットされている。この場合、タッチパネル104がタップ操作を検知すると、制御部170は、そのタップ操作の位置や回数に応じて、ゲインを上昇させる。
【0097】
ここで、タッチパネル104が強押しを1回検知すると、制御部170は、第1パターンから第2パターンに切り替える。そして、この第2パターンが設定された状態でタッチパネル104がタップ操作を検知すると、制御部170は、そのタップ操作の位置や回数に応じて、ゲインを下降させる。
【0098】
続いて、タッチパネル104が強押しを1回検知すると(つまり、プリセットの状態から計2回の強押しを検知すると)、制御部170は、第2パターンから第3パターンに切り替える。そして、この第3パターンが設定された状態でタッチパネル104がタップ操作を検知すると、制御部170は、そのタップ操作の位置や回数に応じて、ダイナミックレンジを上昇させる。
【0099】
更に、タッチパネル104が強押しを1回検知すると(つまり、プリセットの状態から計3回の強押しを検知すると)、制御部170は、第3パターンから第4パターンに切り替える。そして、この第4パターンが設定された状態でタッチパネル104がタップ操作を検知すると、制御部170は、そのタップ操作の位置や回数に応じて、ダイナミックレンジを下降させる。
【0100】
このように、制御部170は、強押しを検知するごとに、パラメータの種類、及び、パラメータを上昇させるか下降させるかのパターンを切り替えることにより、パラメータの種類、及び、パラメータを上昇させるか下降させるかを決定する。なお、上記の例では、タップ操作の強押しについて説明したが、長押し操作の強押しやフリック操作の強押しをそれぞれ検知して、検知した操作に応じてパラメータを調整することも可能である。すなわち、制御部170は、所定の強さ以上のタップ操作、長押し操作、又はフリック操作が検出されるごとに、パラメータの種類、及び、パラメータを上昇させるか下降させるかを決定する。
【0101】
(組み合わせ)
以上、上述した各種の実施形態は適宜組み合わせて実施されてもよい。すなわち、タッチパネル104は、医用画像を表示し、表示した医用画像に対するタップ操作、長押し操作、又はフリック操作を検出する。制御部170は、タップ操作、長押し操作、又はフリック操作が検出された位置を基準とする領域において、医用画像の表示に影響を与えるパラメータを、タップ操作の強さ、タップ操作の回数、長押し操作の強さ、長押し操作の長押し時間、フリック操作の強さ、フリック操作の方向、及びフリック操作の速さのうち少なくとも一つに応じて変更する。
【0102】
(医用画像処理装置)
また、上述した実施形態において説明した処理は、医用画像処理装置において実行されてもよい。なお、以下に説明する医用画像処理装置は、画像表示装置として構成されてもよい。
【0103】
図13は、その他の実施形態に係る医用画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
図13に示すように、医用画像処理装置200は、入力装置201と、ディスプレイ202と、記憶回路210と、処理回路220とを備える。
【0104】
入力装置201は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有し、医用画像処理装置200の操作者からの各種設定要求を受け付け、受け付けた各種設定要求を各処理部へ転送する。
【0105】
ディスプレイ202は、医用画像処理装置200の操作者が入力装置201を用いて各種設定要求を入力するためのGUIを表示したり、医用画像処理装置200において生成された情報等を表示したりする。
【0106】
記憶回路210は、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等の不揮発性の記憶装置である。
【0107】
処理回路220は、ASICやFPGA等の集積回路や、CPUやMPU等の電子回路であり、医用画像処理装置200の処理全体を制御する。
【0108】
すなわち、タッチパネルとしての入力装置201は、被検体に対する走査に基づいて生成された医用画像を表示し、表示した医用画像に対するタッチ操作を検出する。制御部としての処理回路220は、タッチ操作が検出された位置を基準とする領域において、医用画像の表示に影響を与えるパラメータを変更する。
【0109】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0110】
また、上述した実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0111】
また、上述した実施形態で説明した医用画像イメージング方法は、予め用意された医用画像イメージングプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この医用画像イメージング方法は、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この医用画像イメージング方法は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0112】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、所望の領域の画質を容易に変更することができる。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。