特許第6735227号(P6735227)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6735227
(24)【登録日】2020年7月15日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20200728BHJP
   G05G 1/08 20060101ALI20200728BHJP
   G05G 5/04 20060101ALI20200728BHJP
【FI】
   B60K20/02 A
   B60K20/02 E
   G05G1/08 B
   G05G5/04 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-251699(P2016-251699)
(22)【出願日】2016年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-103775(P2018-103775A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】望月 秀一
(72)【発明者】
【氏名】牧村 宗年
【審査官】 山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0167827(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0027861(US,A1)
【文献】 特表2008−511063(JP,A)
【文献】 特開2016−094082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
G05G 1/08
G05G 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転されてシフト位置が変更される回転体と、
一つが回転されることで他が回転されると共に、各々が回転される際に前記回転体が回転される複数の回転部材と、
前記回転部材が回転されることで前記回転体の回転規制及び回転規制解除を行う回転規制部と、
複数の前記回転部材の何れか一つに設けられて、該回転部材の位置が検出されることで前記回転規制部の位置が検出される検出部と、
を備え、前記回転部材がロータカムであり、該ロータカムが回転されて前記回転体を所定シフト位置に回転させると共に、該ロータカムの位置が前記検出部によって検出されるシフト装置。
【請求項2】
回転されてシフト位置が変更される回転体と、
一つが回転されることで他が回転されると共に、各々が回転される際に前記回転体が回転される複数の回転部材と、
前記回転部材が回転されることで前記回転体の回転規制及び回転規制解除を行う回転規制部と、
前記回転部材に設けられて、該回転部材の位置が検出されることで前記回転規制部の位置が検出される検出部と、
を備え、前記回転部材がロックギアであり、前記ロックギアが回転されて前記回転規制部に前記回転体の回転規制及び回転規制解除を行わせると共に、前記ロックギアに前記検出部が設けられるシフト装置。
【請求項3】
前記回転部材が回転されることで前記回転体が所定シフト位置に回転される請求項2記載のシフト装置。
【請求項4】
減速されて回転される前記回転部材に前記検出部が設けられる請求項1から請求項3の何れか1項記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体が回転されてシフト位置が変更されるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のシフト装置において、ノブが「P」位置に配置されてブレーキが操作されない際には、ロータカムが一方向に回転されて、ロックバーがロック方向に回転されることで、ロックバーの先端部がノブの凹部内に挿入されて、ノブの回転がロックされる。また、ノブが「P」位置に配置されてブレーキが操作された際には、ロータカムが他方向に回転されて、ノブの回転ロックが解除される。また、ロックセンサがロックバーの位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−094082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなシフト装置では、ロータカム及びロックバーの位置を検出できるのが好ましい。
【0005】
本発明は上記事実を鑑みて成されたものであり、回転部材及び回転規制部の位置を検出できるシフト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1及び請求項2のシフト装置は、回転されてシフト位置が変更される回転体と、一つが回転されることで他が回転されると共に、各々が回転される際に前記回転体が回転される複数の回転部材と、前記回転部材が回転されることで前記回転体の回転規制及び回転規制解除を行う回転規制部と、前記回転部材に設けられて該回転部材の位置が検出されることで前記回転規制部の位置が検出される検出部と、を備えている。
【0007】
請求項1及び請求項2のシフト装置では、回転体が回転されてシフト位置が変更される。また、複数の回転部材のうち一つが回転されることで他が回転されると共に、複数の回転部材の各々が回転される際に回転体が回転される。さらに、回転部材が回転されることで、回転規制部が回転体の回転規制及び回転規制解除を行う。
【0008】
ここで、回転部材に検出部が設けられて回転部材の位置が検出されることで、回転規制部の位置が検出される。これにより、回転部材の位置及び回転規制部の位置を検出できる。
【0009】
請求項3のシフト装置は、請求項2のシフト装置において、前記回転部材が回転されることで前記回転体が所定シフト位置に回転される。
【0010】
請求項3のシフト装置では、回転部材が回転されることで回転体が所定シフト位置に回転される。これにより、回転体を所定シフト位置に回転できる。
【0011】
請求項1のシフト装置は、前記回転部材がロータカムであり、前記ロータカムが回転されて前記回転体を所定シフト位置に回転させる。
【0012】
請求項1のシフト装置では、回転部材がロータカムであり、ロータカムが回転されて回転体を所定シフト位置に回転させる。これにより、ロータカムの位置を検出できる。
【0013】
請求項2のシフト装置は、前記回転部材がロックギアであり、前記ロックギアが回転されて前記回転規制部に前記回転体の回転規制及び回転規制解除を行わせると共に、前記ロックギアに前記検出部が設けられる。
【0014】
請求項2のシフト装置では、回転部材がロックギアであり、ロックギアが回転されて回転規制部に回転体の回転規制及び回転規制解除を行わせると共に、ロックギアに検出部が設けられる。これにより、ロックギアの位置が検出されることで、回転規制部の位置を高精度に検出できる。
【0015】
請求項4のシフト装置は、請求項1から請求項3の何れかのシフト装置において、減速されて回転される前記回転部材に前記検出部が設けられる。
【0016】
請求項4のシフト装置では、回転が減速されて回転される回転部材に検出部が設けられている。これにより、回転部材の位置及び回転規制部の位置を高精度に検出できる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1及び請求項2のシフト装置によれば、回転部材及び回転規制部の位置を検出できる、という効果を有する。
【0018】
請求項3のシフト装置によれば、回転体を所定シフト位置に回転できる。請求項1のシフト装置によれば、ロータカムの位置を検出できる。
【0019】
請求項2記載のシフト装置によれば、回転規制部の位置を高精度に検出できる。請求項4のシフト装置によれば、回転部材の位置及び回転規制部の位置を高精度に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施の形態に係るシフト装置を示す斜視図である。
図2】シフト装置の主要部を示す平面図である。
図3】シフト装置の主要部を示す下面図である。
図4】シフト装置の主要部を示す斜め下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1には、本実施の形態に係るシフト装置10が上側から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、シフト装置10の前方を矢印FRで示し、シフト装置10の右方を矢印RHで示し、シフト装置10の上方を矢印UPで示している。
【0022】
本実施の形態に係るシフト装置10は、所謂バイワイヤ式のものにされている。シフト装置10は、車両(自動車)のインストルメントパネルに設置されて、車両の運転席(図示省略)の車両前側かつ車幅方向内側に配置されており、シフト装置10の前方、右方及び上方は、それぞれ車両の前斜め上方、右方及び後斜め上方に向けられている。
【0023】
シフト装置10には、箱状に形成されていると共に、後述するノブ12及びノブ12を回転可能に支持するノブ支持部14等が取付けられたノブベース16を備えている。このノブベース16には、図示しないボルトが挿通される複数の挿通部16Aが設けられている。そして、この挿通部16Aに挿通されたボルトがインストルメントパネル内に配置されたシフト装置固定部に螺入されることで、シフト装置10がシフト装置固定部に固定される。なお、シフト装置10がシフト装置固定部に固定された状態では、ノブ12がインストルメントパネルに形成された開口から車室内に突出される。
【0024】
ノブベース16には、回転体としての略円筒状のノブ12がノブ支持部14を介して回転可能に支持されており、このノブ12は、車両の乗員(特に運転席に着座する運転者)から回転操作可能になっている。ノブ12は、一方向(矢印Aの方向)及び他方向(矢印Bの方向)に所定範囲(所定角度範囲)で回転可能とされている。そして、ノブ12が、一方向及び他方向に回転されることで、ノブ12のシフト位置が変更されるようになっている。本実施の形態では、ノブ12は、他方向側から一方向側に向けて、所定シフト位置としての「P」位置(パーキング位置)、「R」位置(リバース位置)、「N」位置(ニュートラル位置)、「D」位置(ドライブ位置)に配置可能にされている。
【0025】
ノブベース16内には、シフト検出手段としてのシフトセンサ(図示省略)が設けられており、シフトセンサは、ノブ12に設けられるマグネット(図示省略)の回転位置を検出して、ノブ12のシフト位置を検出する。シフトセンサは、車両の制御装置(図示省略)に電気的に接続されていると共に、制御装置には、車両の自動変速機(図示省略)が電気的に接続されている。そして、ノブ12のシフト位置が変更されることで、制御装置の制御により自動変速機がノブ12のシフト位置に対応するシフトレンジ(「P」レンジ(パーキングレンジ)、「R」レンジ(リバースレンジ)、「N」レンジ(ニュートラルレンジ)、「D」レンジ(ドライブレンジ))に変更される。
【0026】
また、制御装置には、図示しないエンジンスタートストップスイッチが電気的に接続されている。そして、エンジンが停止された状態で、乗員によってエンジンスタートストップスイッチが操作された際には、エンジンが始動される。一方、エンジンが掛かっている状態で、乗員によってエンジンスタートストップスイッチが操作された際には、エンジンが停止される。
【0027】
さらに、制御装置には、車両の制動手段としてのブレーキが乗員によって操作されているか否かを検出するための検出手段が電気的に接続されており、乗員によってブレーキが操作された際には、車両が制動される。
【0028】
次に、作動手段としての作動機構18を説明する。図2には、作動機構18が平面図にて示されており、図3には、作動機構18が下面図にて示されている。また、図4には、作動機構18が斜め下方から見た斜視図にて示されている。
【0029】
作動機構18は、ノブベース16内に設けられている。図2から図4に示されるように、作動機構18は、オートコレクト機構20とシフトロック機構22とを含んで構成されている。
【0030】
オートコレクト機構20は、駆動手段としてのモータ24と、このモータ24の駆動力をノブ12に伝達するための伝達機構26とを含んで構成されている。モータ24には、通電されることで回転される回転部材としての回転軸24Aを有する直流モータが用いられると共に、モータ24は、制御装置に電気的に接続されている。このモータ24は、回転軸24Aの軸方向がノブ12の回転軸直角方向に向けられた状態で、ノブ12及びノブ支持部14(図1参照)の下側(ノブ12に対して当該ノブ12の回転軸方向一側)に配置されている。また、モータ24は、制御装置により制御されて、回転軸24Aが正転方向及び逆転方向へ回転される。
【0031】
伝達機構26は、モータ24の回転軸24Aに設けられた回転部材としてのウォームギア28と、ウォームギア28に噛合う回転部材としてのハスバギア30と、ハスバギア30と一体に回転する回転部材としての中間ギア32と、回転部材としてのロータカム34と、を含んで構成されている。
【0032】
ロータカム34は、中間ギア32よりも大径の略円筒状に形成されており、ロータカム34は、ノブ12の下方において軸線がノブ12の軸線上に配置されて、回転位置が規定回転位置に配置される。ロータカム34の外周部には、中間ギア32と噛合う外歯34Aが形成されている。本実施の形態では、ロータカム34の回転周方向の所定範囲に外歯34Aが形成されている。また、ロータカム34の外周部において外歯34Aが形成されていない部位には、ロータカム34の回転径方向内側かつ上方に向けて突出する回転板34Bが形成されている。
【0033】
そして、オートコレクト機構20では、モータ24の回転軸24Aの回転が、ウォームギア28、ハスバギア30及び中間ギア32を介してロータカム34に伝達されることでロータカム34が回転される。また、ロータカム34が他方向(矢印B方向)に回転された際に、ロータカム34の回転板34Bがノブ12の所定部位に当接されることで、ロータカム34の回転がノブ12に伝達されて、ノブ12が回転するようになっている。
【0034】
シフトロック機構22には、回転部材としての平歯車のロックギア36が設けられている。ロックギア36は、ロータカム34より小径とされ、かつ中間ギア32よりも大径とされており、ロックギア36は、ロータカム34とは反対側において中間ギア32に噛合されている。このため、ロックギア36は、中間ギア32が回転されることにより、減速されてロータカム34と共に回転され、ロータカム34が一方向(矢印A方向)及び他方向(矢印B方向)に回転されることで、それぞれロックギア36がロック方向(矢印D方向)及びロック解除方向(矢印C方向)に回転される。
【0035】
ロックギア36の上面には、規制部及び規制解除部としてのカム38が一体に設けられており、カム38は、ロックギア36と一体回転する。カム38は、ロックギア36の上面から上側に突出されており、外周にカム面38A及びカム面38Bが形成されている。カム面38Aは、径寸法がロックギア36の歯底面の径寸法よりも僅かに小さくかつ略一定とされて、カム38の略半周に渡って形成されている。また、カム面38Bは、カム面38Aのロック解除方向(ロックギア36のロック解除方向)の端部から連続されており、カム面38Bの径寸法は、カム面38Aからロック解除方向に離れるに従って減少される。
【0036】
シフトロック機構22には、回転規制部としてのブロック状のロックバー40が設けられており、ロックバー40は、長手方向がロータカム34(ノブ12)の略径方向とされて、ロックギア36の上側においてロータカム34(ノブ12)の略径方向に移動可能にノブベース16に支持されている。ロックバー40には、略三角形状のスライド突起40Aが一体に設けられており、スライド突起40Aがロックバー40の基部から突出されて、ロータカム34とは反対側においてカム38の周面(カム面38A、38B)に対向されている。
【0037】
スライド突起40Aは、カム38側の面がロータカム34の径方向に対して略直交されており、スライド突起40Aは、カム38側の面が接触面40Bとされている。
【0038】
ロックバー40のロータカム34とは反対側には、付勢手段としてのコイルスプリング(圧縮スプリング、図示省略)が設けられており、ロックバー40は、コイルスプリングによりロータカム34の径内側に向けて付勢されて、スライド突起40Aの接触面40Bがカム38の周面(カム面38A、38B)に当接されている。
【0039】
また、図2に示す如く、ロックバー40には、規制部としての矩形柱状のロック突起40Cが一体に設けられており、ロック突起40Cは、ロックバー40の基部からロータカム34(ノブ12)の径内側に向けて突出されている。スライド突起40Aの接触面40Bがカム38のカム面38Aに当接されたロックバー40の係合状態では、ロック突起40Cは、コイルスプリングの付勢力に抗してロータカム34(ノブ12)から離間されている。また、カム38がロックギア36と一体でロック方向へ回転されて、スライド突起40Aの接触面40Bがカム38のカム面38Bに当接されたロックバー40の係合解除状態では、コイルスプリングの付勢力によりロック突起40Cがロータカム34(ノブ12)側へ向けて移動される。ロータカム34の上側に配置されたノブ12(図1参照)には、下端部外周にロック孔(図示省略)が形成されている。ロックバー40の係合解除状態では、ロック突起40Cがノブ12のロック孔に入込んで、ロックバー40(ロック突起40C)がノブ12の回転を規制する。
【0040】
図3及び図4に示す如く、ロックギア36の下面には、検出部としての円板状のマグネット42が設けられている。マグネット42は、ロックギア36と同軸上に配置されて、ロックギア36の下面に固定されており、マグネット42は、ロックギア36と一体に回転される。
【0041】
図4に示す如く、ロックギア36の下側には、検出手段としてのセンサ基板44(図2及び図3では、図示省略)が設けられており、センサ基板44がマグネット42に対向されている。マグネット42は、中心位置より一側がN極に着磁され、他側がS極に着磁されており、マグネット42は、周方向に磁場の方向(極性)及び磁場の強さ(磁束密度)が変化する。
【0042】
センサ基板44には、ホール素子(ホールIC)等を用いた磁気センサ(図示省略)が設けられており、磁気センサは、マグネット42の外周部分に対向されている。センサ基板44は、磁気センサにより検出されるマグネット42の磁場(磁力線の方向を含む磁束密度)に比例した電気信号(アナログ又はデジタルの電圧信号)を出力する。
【0043】
センサ基板44は、制御装置に接続されており、制御装置では、センサ基板44が出力する電気信号からマグネット42の回転位置が判定(検出)される。制御装置では、マグネット42の回転位置からロックギア36の回転位置及びカム38の回転位置が検出されると共に、中間ギア32の回転位置及びロータカム34の回転位置が検出される。また、制御装置では、カム38の回転位置からロックバー40の移動位置(ロック位置及びロック解除位置)が検出される。
【0044】
次に本実施の形態の作用を説明する。
以上説明したシフト装置10では、ノブ12が「P」位置に配置された場合(ノブ12のシフト位置が「P」位置であることをシフトセンサが検出した場合)で、かつ、ブレーキが操作されない際には、作動機構18のオートコレクト機構20において、制御装置の制御により、モータ24が逆転駆動されて、ロータカム34がウォームギア28、ハスバギア30及び中間ギア32を介して矢印A方向へ回転される。
【0045】
また、作動機構18のシフトロック機構22において、モータ24が逆転駆動されると、ロックギア36がウォームギア28、ハスバギア30及び中間ギア32を介して矢印D方向に回転されて、カム38がロックバー40との係合解除方向(矢印D方向)へ回転される。これにより、カム38のカム面38Bがロックバー40の接触面40Bに対向すると、ロックバー40がコイルスプリングの付勢力によりノブ12の径内側へ向けて移動されて、ロックバー40が係合解除状態とされることで、ロック突起40Cがノブ12のロック孔に入込んで、ノブ12の回転が規制される。なお、ロックギア36が回転されることで、カム38がロックバー40との係合解除位置となった際には、制御装置の制御により、モータ24の逆転駆動が停止される。
【0046】
一方、ノブ12が「P」位置に配置された場合に、ブレーキが操作された際には、作動機構18のオートコレクト機構20において、制御装置の制御により、モータ24が逆転駆動されて、ロータカム34がウォームギア28、ハスバギア30及び中間ギア32を介して矢印B方向に回転される。なお、ロータカム34が回転されることで、ロータカム34の回転位置が規定回転位置となったことが検出された際には、制御装置の制御により、モータ24の逆転駆動が停止される。
【0047】
また、シフトロック機構22において、モータ24が正転駆動されると、ロックギア36がウォームギア28、ハスバギア30及び中間ギア32を介して矢印C方向に回転されて、カム38がロックバー40との係合方向(矢印C方向)へ回転される。これにより、カム38のカム面38Aがロックバー40の接触面40Bに対向すると、ロックバー40がコイルスプリングの付勢力に抗してノブ12の径外側へ移動されて、ロックバー40が係合状態にされることで、ロック突起40Cがノブ12のロック孔から引出されて、ノブ12の回転の規制が解除される。
【0048】
また、ノブ12が「P」位置以外のシフト位置(「R」位置、「N」位置又は「D」位置)に配置された場合(ノブ12のシフト位置が「P」位置以外であることをシフトセンサが検出した場合)に、エンジンスタートストップスイッチが操作されてエンジンが停止された際には、制御装置の制御によって、自動変速機のシフトレンジが「P」レンジに変更される。さらに、この自動変速機のシフトレンジが「P」レンジに変更された状態は、次にエンジンスタートストップスイッチが操作されてエンジンが始動された後に、ノブ12が「P」位置以外のシフト位置に回転されるまで(ノブ12のシフト位置が「P」位置以外に変更されたことをシフトセンサが検出するまで)、維持される。このため、エンジンスタートスイッチが操作された際には、常に自動変速機のシフトレンジが「P」レンジにされる。
【0049】
ノブ12が「P」位置以外のシフト位置に配置された場合に、エンジンスタートストップスイッチが操作された際(エンジンが停止又は始動の少なくとも一方が行われた際である所定の機会)には、作動機構18のオートコレクト機構20において、制御装置の制御により、モータ24が逆転駆動されて、ロータカム34が矢印B方向に回転される。このため、ロータカム34の回転板34Bがノブ12の所定部位に当接して、ノブ12を矢印B方向に回転させることで、ノブ12が「P」位置に回転される。これにより、エンジンスタートストップスイッチが操作された際に、ノブ12を「P」位置に配置(復帰)でき、ノブ12のシフト位置と自動変速機のシフトレンジとを一致させることができる。なお、シフトロック機構22では、モータ24が逆転駆動されて、カム38がロック解除方向(矢印C方向)に回転されることで、カム38のカム面38Bがロックバー40の接触面40Bに対向する状態が維持されて、ロックバー40の係合解除状態が維持される。
【0050】
ノブ12が「P」位置に回転された際(ノブ12のシフト位置が「P」位置であることをシフトセンサが検出した際)には、制御装置の制御により、モータ24が正転駆動されて、ロータカム34が矢印A方向に回転される。さらに、ロータカム34が規定回転位置に回転されたことが検出されると、制御装置の制御により、モータ24の正転駆動が停止される。このため、ロータカム34の回転板34Bがノブ12の所定部位から離間されることで、ノブ12が「P」位置から「D」位置に回転されても、ロータカム34の回転板34Bがノブ12の所定部位に当接不能にされる。なお、シフトロック機構22では、モータ24が正転駆動されて、カム38がロック方向(矢印D方向)に回転されても、カム38のカム面38Bがロックバー40の接触面40Bに対向する状態が維持されて、ロックバー40の係合解除状態が維持される。
【0051】
ここで、作動機構18では、モータ24が作動されることで、回転軸24Aの回転がウォームギア28、ハスバギア30、中間ギア32、ロータカム34、及びロックギア36に伝達されて、回転軸24Aと共に、ウォームギア28、ハスバギア30、中間ギア32、ロータカム34、及びロックギア36が回転される。また、ロックギア36が回転されることで、カム38及びマグネット42が回転されると共に、ロックバー40が、ロック突起40Cによるノブ12の回転の回転規制位置、及びノブ12の回転の規制解除位置に移動される。さらに、マグネット42の回転位置が、制御装置により検出される。
【0052】
これにより、マグネット42の回転位置からロックギア36の回転位置、及びカム38の回転位置ひいてはロックバー40の移動位置を検出できる。また、マグネット42の回転位置からロータカム34の回転位置を検出できる。従って、マグネット42の回転位置から、ロータカム34の回転位置が規定回転位置となったかを検出できると共に、ロータカム34によって回転されたノブ12が「P」位置に回転されたか否かを検出できる。
【0053】
また、マグネット42の回転位置から、カム38がロックバー40との係合位置となったか、及び係合解除位置となったかを検出できて、モータ24の逆転駆動の停止、及びモータ24の正転駆動の停止を行うことができる。さらに、マグネット42が設けられたロックギア36にカム38が一体に設けられているので、ロックバー40の位置を高精度に検出できる。また、ロックギア36は、ウォームギア28、ハスバギア30、及び中間ギア32により減速されて回転されるので、ロックギア36のマグネット42の回転位置を高精度に検出できて、ロックバー40の位置を一層高精度に検出できる。
【0054】
ロータカム34の回転位置の検出、及びロックバー40の移動位置の検出を、ロックギア36に設けたマグネット42により行うことができるので、ロータカム34の回転位置の検出、及びロックバー40の移動位置の検出のための検出部を削減できる。さらに、検出部としてマグネットを用いる場合に、検出部を削減できるので、シフト装置10内における磁力の発生を抑制できて、磁場を抑制でき、ロータカム34の回転位置及びロックバー40の移動位置の検出に他の磁場が影響を与えることを抑制できる。しかも、ロータカム34の回転位置とロックバー40の移動位置との検出にばらつきが発生することを抑制できると共に、作動機構18の制御ロジックを簡略化でき、かつシフト装置10の体格を減少できる。
【0055】
なお、本実施の形態では、ロックギア36(カム38を含む)に検出部としてのマグネット42を設けたが、検出部は、マグネット42に限らず、検出されることでロックギア36の回転位置を検出できる任意の構成を適用することができる。また、検出部は、ロックギア36に限らず、ロータカム34に設けても良く、モータ24の回転軸24A、ウォームギア28、ハスバギア30、及び中間ギア32の何れに設けても良い。
【0056】
さらに、本実施の形態では、車両のインストルメントパネルに設けられるシフト装置10を例に説明したが、これに限らず、シフト装置は、車両の床面に設けられても良く、車両のコラム(ステアリングコラム)に設けられても良い。
【符号の説明】
【0057】
10 シフト装置
12 ノブ(回転体)
24A 回転軸(回転部材)
28 ウォームギア(回転部材)
30 ハスバギア(回転部材)
32 中間ギア(回転部材)
34 ロータカム(回転部材)
36 ロックギア(回転部材)
40 ロックバー(回転規制部)
42 マグネット(検出部)
図1
図2
図3
図4