(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1配管を前記旋回フレームに対して保持する第1保持部と、前記第2配管を前記旋回フレームに対して保持する第2保持部とを有する保持具を前記第1区間においてさらに備える、請求項6または7に記載の作業機械。
前記第1分岐部は、前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータと、前記制御弁との間の、前後方向における前記第1配管の中心位置に対して、前記制御弁に近い側に設けられる、請求項2から8のいずれか1項に記載の作業機械。
前記第1管路と、前記第2管路および前記第3管路の各々とは、前記第1分岐部において、90°よりも大きく、180°以下の分岐角度をなす、請求項1から10のいずれか1項に記載の作業機械。
前記第2管路における作動油の流通路の断面積と、前記第3管路における作動油の流通路の断面積との和は、前記第1管路における作動油の流通路の断面積よりも大きい、請求項1から15のいずれか1項に記載の作業機械。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1における油圧ショベルを示す斜視図である。
図1に示されるように、油圧ショベル100は、本体11と、油圧により作動する作業機12とを有する。本体11は、旋回体13と、走行装置15とを有する。
【0011】
走行装置15は、一対の履帯15Crと、走行モータ15Mとを有する。油圧ショベル100は、履帯15Crの回転により走行可能である。走行モータ15Mは、走行装置15の駆動源として設けられている。走行モータ15Mは、油圧により作動する油圧モータである。なお、走行装置15が車輪(タイヤ)を有していてもよい。
【0012】
旋回体13は、走行装置15上に設けられ、かつ、走行装置15により支持されている。旋回体13は、旋回中心210を中心として走行装置15に対して旋回可能である。旋回中心210は、上下方向に延びる軸である。旋回体13は、運転室14を有する。運転室14には、オペレータが着座する運転席14Sが設けられている。オペレータは、運転室14において油圧ショベル100を操作可能である。
【0013】
旋回体13は、エンジンルーム19と、旋回体13の後部に設けられるカウンタウェイトとを有する。エンジンルーム19には、後述するエンジン41、油圧ポンプ42および制御弁46などが設けられている。
【0014】
作業機12は、旋回体13により支持されている。作業機12は、ブーム16と、アーム17と、バケット18とを有する。ブーム16は、旋回体13に接続されている。アーム17は、ブーム16に接続されている。バケット18は、アーム17に接続されている。
【0015】
ブーム16の基端部は、ブームピン23を介して旋回体13に接続されている。アーム17の基端部は、アームピン24を介してブーム16の先端部に接続されている。バケット18は、バケットピン25を介してアーム17の先端部に接続されている。
【0016】
ブーム16は、ブームピン23を中心に回転可能である。アーム17は、アームピン24を中心に回転可能である。バケット18は、バケットピン25を中心に回転可能である。
【0017】
前後方向とは、運転室14内の運転席に着座したオペレータの前後方向である。運転席に着座したオペレータが正対する方向が、前方であり、運転席に着座したオペレータの背後方向が、後方である。また、前後方向において、油圧ショベル100の本体11から作業機12が突き出している側が前方であり、前方と反対の方向が、後方であるとも定義することができる。油圧ショベル100の左右方向とは、上面視において前後方向と直交する方向である。
【0018】
作業機12は、第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bと、アクチュエータ21と、アクチュエータ22とを有する。第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bは、ブーム16を駆動する。アクチュエータ21は、アーム17を駆動する。アクチュエータ22は、バケット18を駆動する。第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bと、アクチュエータ21と、アクチュエータ22とは、油圧により作動する油圧シリンダである。
【0019】
図2は、油圧ショベルの旋回フレーム上に設けられた各種機器を示す上面図である。
図3は、油圧ショベルの旋回フレーム上に設けられた各種機器を示す側面図である。
【0020】
図2および
図3に示されるように、旋回体13は、旋回フレーム31を有する。旋回フレーム31は、旋回体13の土台をなすフレームであり、走行装置15の直上に設けられている。旋回フレーム31は、旋回中心210を中心にして旋回可能である。
【0021】
旋回フレーム31は、その構成部位として、底板部36と、縦板37および縦板38とを有する。底板部36は、旋回中心210に直交する方向に平面状に広がる平板形状を有する。縦板37および縦板38は、底板部36に立設されている。縦板37および縦板38は、左右方向において互いに間隔を設けて対向している。旋回中心210は、縦板37および縦板38の間に位置している。
【0022】
旋回フレーム31には、開口部32が設けられている。開口部32は、底板部36を貫通している。開口部32は、旋回中心210の軸上に重なって設けられている。
【0023】
油圧ショベル100は、エンジン41と、油圧ポンプ42と、作動油タンク43と、制御弁46とを有する。エンジン41、油圧ポンプ42、作動油タンク43および制御弁46は、旋回フレーム31上に設けられている。
【0024】
作業機12は、旋回フレーム31の旋回中心210よりも前方に配置されている。エンジン41、油圧ポンプ42、作動油タンク43および制御弁46は、旋回フレーム31の旋回中心210よりも後方に配置されている。制御弁46は、縦板37および縦板38の間に配置されている。
【0025】
作動油タンク43には、作動油が貯留されている。油圧ポンプ42は、エンジン41に連結されている。油圧ポンプ42は、エンジン41の動力を受けて作動する。油圧ポンプ42が作動することにより、作動油タンク43内の作動油が制御弁46に送られる。制御弁46の内部には、スプール(不図示)が内蔵されている。制御弁46は、スプールがその軸方向に移動することによって作動油の流量および方向を制御する。制御弁46は、作業機12の駆動用アクチュエータ、走行モータ15Mおよび後述する旋回モータ47などに作動油を供給する。これら各種のアクチュエータおよびモータからの油は、オイルクーラ(不図示)を経て、作動油タンク43に戻される。
【0026】
油圧ショベル100は、スイベルジョイント48を有する。スイベルジョイント48は、旋回フレーム31の旋回中心210の軸上に重なって設けられている。スイベルジョイント48は、開口部32に配置されている。スイベルジョイント48の頂部が、開口部32を通じて底板部36上に突出している。スイベルジョイント48は、回転継手である。スイベルジョイント48は、制御弁46および走行モータ15Mの間を繋ぐ油圧配管などを支持している。
【0027】
油圧ショベル100は、旋回モータ47を有する。旋回モータ47は、旋回フレーム31の旋回中心210よりも後方に配置されている。旋回モータ47は、前後方向において、スイベルジョイント48(旋回中心210)と、制御弁46との間に配置されている。旋回モータ47は、縦板37および縦板38の間に配置されている。旋回モータ47は、左右方向において、縦板38よりも縦板37に寄った位置に配置されている。旋回モータ47は、旋回フレーム31を旋回させる駆動源として設けられている。旋回モータ47は、油圧によって作動する油圧モータである。
【0028】
図4は、ブームの駆動用アクチュエータと、制御弁とを繋ぐ配管を模式的に示す図である。
図5は、ブームの駆動用アクチュエータと、制御弁とを繋ぐ配管を示す斜視図である。
図6は、
図3中の2点鎖線VIで囲まれた範囲を示す斜視図である。
【0029】
図4から
図6に示されるように、第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bは、ブーム16の基端側において、左右方向に並んで設けられている。油圧ショベル100では、2つのアクチュエータ20A,20Bが同期して動作することにより、被駆動体としてのブーム16が動作する。
【0030】
第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bの各々は、シリンダ30と、ピストン29と、ピストンロッド26とを有する。
【0031】
シリンダ30は、筒形状を有する。シリンダ30は、その筒状に延びる一端にて、旋回フレーム31に回転可能に接続されている。ピストン29は、シリンダ30に対してその軸方向に移動可能に嵌め合わされている。ピストンロッド26は、ピストン29から、シリンダ30の軸方向に沿った一方向に向けて延出し、その先端にてブーム16に回転可能に接続されている。
【0032】
第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bの各々には、ロッド側油圧室27と、ボトム側油圧室28とが形成されている。ロッド側油圧室27およびボトム側油圧室28は、制御弁46から作動油が供給される密閉空間である。ロッド側油圧室27およびボトム側油圧室28は、ピストン29を挟んだ両側に設けられている。ロッド側油圧室27には、ピストンロッド26が配置されている。ロッド側油圧室27は、シリンダ30の径方向において、シリンダ30の内周面とピストンロッド26の外周面との間に区画形成されている。ボトム側油圧室28には、ピストンロッド26が配置されていない。ボトム側油圧室28は、シリンダ30の径方向において、シリンダ30の内周面の内側に区画形成されている。
【0033】
油圧ショベル100は、第1配管51と、第2配管71とを有する。第1配管51は、第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bと、制御弁46との間で作動油を流通させる。第1配管51は、第1アクチュエータ20Aのボトム側油圧室28および第2アクチュエータ20Bのボトム側油圧室28と、制御弁46との間で作動油を流通させる。第2配管71は、第1配管51とは独立して、第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bと、制御弁46との間で作動油を流通させる。第2配管71は、第1アクチュエータ20Aのロッド側油圧室27および第2アクチュエータ20Bのロッド側油圧室27と、制御弁46との間で作動油を流通させる。
【0034】
図7は、ブームの駆動用アクチュエータと、制御弁とを繋ぐ配管を示す上面図である。
図8は、ブームの駆動用アクチュエータと、制御弁とを繋ぐ配管を示す側面図である。
図9は、第1配管を示す上面図、側面図および正面図である。
【0035】
第1配管51の構造について説明する。
図5から
図9に示されるように、第1配管51は、第1管路110と、第2管路120および第3管路130と、第1分岐部140とを有する。
【0036】
第1管路110は、制御弁46に接続されている。第2管路120は、第1アクチュエータ20Aに接続されている。第2管路120は、第1アクチュエータ20Aのボトム側油圧室28に接続されている。第3管路130は、第2アクチュエータ20Bに接続されている。第3管路130は、第2アクチュエータ20Bのボトム側油圧室28に接続されている。第1分岐部140は、第1管路110と、第2管路120および第3管路130との間に設けられている。第1分岐部140は、第1管路110を第2管路120および第3管路130に分岐させている。
【0037】
第2管路120における作動油の流通路の断面積と、第3管路130における作動油の流通路の断面積との和は、第1管路110における作動油の流通路の断面積よりも大きい。
【0038】
第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bを伸長駆動させる際、制御弁46からの作動油が、第1管路110を通って第1分岐部140に向かう。作動油は、第1分岐部140において第2管路120および第3管路130に分岐し、第2管路120を通って第1アクチュエータ20Aのボトム側油圧室28に供給され、第3管路130を通って第2アクチュエータ20Bのボトム側油圧室28に供給される。第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bを短縮駆動させる際、第1アクチュエータ20Aのボトム側油圧室28からの作動油と、第2アクチュエータ20Bのボトム側油圧室28からの作動油とが、それぞれ、第2管路120および第3管路130を通って、第1分岐部140において合流する。作動油は、第1管路110を通って制御弁46に戻る。
【0039】
第1配管51を構成する配管部品について説明する。第1配管51は、鋼管61と、三方管継手64と、鋼管62と、鋼管63と、油圧ホース57と、油圧ホース58とから構成されている。油圧ホース57および油圧ホース58は、可撓性を有する。
【0040】
各配管部品における制御弁46側の端部を「一方端」といい、第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20B側の端部を「他方端」という。
図9に示されるように、鋼管61の一方端61pは、制御弁46に接続されている。三方管継手64には、鋼管61の他方端61qと、鋼管62の一方端62pと、鋼管63の一方端63pとが接続されている。鋼管62の他方端62qは、油圧ホース57の一方端57pに接続されている。鋼管63の他方端63qは、油圧ホース58の一方端58pに接続されている。油圧ホース57の他方端57qは、第1アクチュエータ20Aのボトム側油圧室28に接続されている。油圧ホース58の他方端58qは、第2アクチュエータ20Bのボトム側油圧室28に接続されている。
【0041】
このような構成において、鋼管61により、第1管路110が構成されている。三方管継手64により、第1分岐部140が構成されている。鋼管62および油圧ホース57により、第2管路120が構成されている。鋼管63および油圧ホース58により、第3管路130が構成されている。
【0042】
鋼管61と、鋼管62と、鋼管63とでは、作動油の流通路の断面積が互いに等しい。油圧ホース57と、油圧ホース58とでは、作動油の流通路の断面積が互いに等しい。鋼管62および油圧ホース57(第2管路120)の任意の位置における作動油の流通路の断面積と、鋼管63および油圧ホース58(第3管路130)の任意の位置における作動油の流通路の断面積との和は、鋼管61(第1管路110)の任意の位置における作動油の流通路の断面積よりも大きい。
【0043】
油圧ショベル100の上面視において、旋回フレーム31の旋回中心210を通る仮想直線260を挟んだ一方の側に、作業機12が配置される第1領域270が規定され、旋回フレーム31の旋回中心210を通る仮想直線260を挟んだ他方の側に、制御弁46と、第1分岐部140(三方管継手64)とが配置される第2領域280が規定される。
【0044】
仮想直線260は、旋回フレーム31の旋回中心210を通り、作業機12が配置される第1領域270と、制御弁46および第1分岐部140が配置される第2領域280とを規定することが可能な任意の直線である。本実施の形態では、仮想直線260が、旋回フレーム31の旋回中心210を通り、左右方向に延びている。第1領域270は、旋回フレーム31の旋回中心210を挟んだ前方側に位置し、第2領域280は、旋回フレーム31の旋回中心210を挟んだ後方側に位置している。
【0045】
なお、本開示において、作業機と、制御弁および第1分岐部とを、互いに反対側に隔てる仮想直線は、上記の左右方向に延びる仮想直線に限られず、たとえば、右斜め前方から左斜め後方に向けて延びる仮想直線であってもよいし、左斜め前方から右斜め後方に向けて延びる仮想直線であってもよい。
【0046】
第1分岐部140は、旋回フレーム31の旋回中心210よりも後方に配置されている。第1分岐部140は、前後方向において、旋回フレーム31の旋回中心210と、制御弁46との間に配置されている。
【0047】
第1分岐部140は、スイベルジョイント48よりも後方に配置されている。第1分岐部140は、第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bと、制御弁46との間の、前後方向における第1配管51の中心位置(
図9中に示す中心位置220)に対して、制御弁46に近い側に設けられている。第1配管51の中心位置220は、旋回フレーム31の旋回中心210よりも前方に位置している。第1配管51の中心位置220は、旋回フレーム31の旋回中心210よりも後方に位置してもよい。
【0048】
第1配管51における作動油の流通路の断面積が小さい時、圧力損失が大きくなる。これに対して、第1分岐部140を、旋回フレーム31の旋回中心210を通る仮想直線260に対して制御弁46と同じ側に配置することにより、第1管路110の長さをより短く、第1管路110からの分岐後の第2管路120および第3管路130の長さをより長く設定することができる。ここで、第2管路120における作動油の流通路の断面積と、第3管路130における作動油の流通路の断面積との和は、第1管路110における作動油の流通路の断面積よりも大きい。このため、仮想直線260に対して制御弁46と同じ側に第1分岐部140を配置することにより、第1配管51では、断面積の大きい区間を増やすことができるため、圧力損失を低減することができる。
【0049】
また、第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bの2つのアクチュエータを作動させる作動油が、第1管路110を通じて制御弁46に出入りするため、作動油が第1管路110を流れる間の圧力損失が大きくなる。これに対して、第1分岐部140を、旋回フレーム31の旋回中心210を通る仮想直線260に対して制御弁46と同じ側に配置することにより、第1管路110の長さをより短く設定することができる。これにより、作動油が第1管路110を流れる間の圧力損失を低減させることができる。
【0050】
なお、本実施の形態においては、第1管路110の長さと、第2管路120および第3管路130の各長さとの大小関係は、特に限定されない。第1管路110の長さは、第2管路120および第3管路130の各長さ以下であってもよいし、第2管路120および第3管路130の各長さよりも大きくてもよい。
【0051】
第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bにおいて、ロッド側油圧室27にはピストンロッド26が配置され、ボトム側油圧室28にはピストンロッド26が配置されない。このため、ピストン29を一定長さストロークさせるために必要な作動油の量は、ロッド側油圧室27よりもボトム側油圧室28で大きくなる。これにより、ロッド側油圧室27に作動油を出入りさせる第2配管71よりも、ボトム側油圧室28に作動油を出入りさせる第1配管51において、作動油の圧力損失が顕著となる。したがって、第1配管51において、第1分岐部140を旋回フレーム31の旋回中心210よりも後方に配置することによって、圧力損失を低減する効果をより効果的に奏することができる。
【0052】
図10は、第1分岐部における作動油の流れを示す側面図である。
図10に示されるように、第1管路110から第2管路120および第3管路130に向かう作動油の流れが、それぞれ、矢印241および矢印242によって示され、第2管路120および第3管路130から第1管路110に向かう作動油の流れが、それぞれ、矢印243および矢印244によって示されている。
【0053】
第1管路110と第2管路120とは、第1分岐部140において、90°よりも大きく、180°以下の分岐角度αをなす(90°<α≦180°)。第1管路110と第3管路130とは、第1分岐部140において、90°よりも大きく、180°以下の分岐角度βをなす(90°<β≦180°)。
【0054】
なお、分岐角度αは、第1分岐部140の前後において第1管路110および第2管路120を流れる作動油の方向の変化を表す角度である。分岐角度βは、第1分岐部140の前後において第1管路110および第3管路130を流れる作動油の方向の変化を表す角度である。
【0055】
このような構成によれば、第1分岐部140において分岐および合流する作動油の流れをより円滑にして、圧力損失のさらなる低減を図ることができる。
【0056】
さらに、第1管路110と第2管路120とは、第1分岐部140において、180°の分岐角度αをなす(α=180°)。第1管路110と第3管路130とは、第1分岐部140において、鈍角の分岐角度βをなす(90°<β<180°)。
【0057】
このような構成によれば、第1分岐部140において第1管路110と第2管路120との間を流れる作動油の圧力損失を、より効果的に低減させることができる。
【0058】
次に、第2配管71の構造について説明する。
図5から
図8に示されるように、第2配管71は、第4管路160と、第5管路170および第6管路180と、第2分岐部190とを有する。
【0059】
第4管路160は、制御弁46に接続されている。第5管路170は、第1アクチュエータ20Aに接続されている。第5管路170は、第1アクチュエータ20Aのロッド側油圧室27に接続されている。第6管路180は、第2アクチュエータ20Bに接続されている。第6管路180は、第2アクチュエータ20Bのロッド側油圧室27に接続されている。第2分岐部190は、第4管路160と、第5管路170および第6管路180との間に設けられている。第2分岐部190は、第4管路160を第5管路170および第6管路180に分岐させている。
【0060】
第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bを短縮駆動させる際、制御弁46からの作動油が、第4管路160を通って第2分岐部190に向かう。作動油は、第2分岐部190において第5管路170および第6管路180に分岐し、第5管路170を通って第1アクチュエータ20Aのロッド側油圧室27に供給され、第6管路180を通って第2アクチュエータ20Bのロッド側油圧室27に供給される。第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bを伸長駆動させる際、第1アクチュエータ20Aのロッド側油圧室27からの作動油と、第2アクチュエータ20Bのロッド側油圧室27からの作動油とは、それぞれ、第5管路170および第6管路180を通って、第2分岐部190において合流する。作動油は、第4管路160を通って制御弁46に戻る。
【0061】
第2配管71を構成する配管部品について説明する。第2配管71は、鋼管81と、三方管継手84と、鋼管82と、鋼管83と、油圧ホース77と、油圧ホース78とから構成されている。油圧ホース77および油圧ホース78は、可撓性を有する。
【0062】
鋼管81の一方端は、制御弁46に接続されている。三方管継手84には、鋼管81の他方端と、鋼管82の一方端と、鋼管83の一方端とが接続されている。鋼管82の他方端は、油圧ホース77の一方端に接続されている。鋼管83の他方端は、油圧ホース78の一方端に接続されている。油圧ホース77の他方端は、第1アクチュエータ20Aのロッド側油圧室27に接続されている。油圧ホース78の他方端は、第2アクチュエータ20Bのロッド側油圧室27に接続されている。
【0063】
このような構成において、鋼管81により、第4管路160が構成されている。三方管継手84により、第2分岐部190が構成されている。鋼管82および油圧ホース77により、第5管路170が構成されている。鋼管83および油圧ホース78により、第6管路180が構成されている。
【0064】
第2分岐部190(三方管継手84)は、作業機12とともに第1領域270に配置されている。第2分岐部190は、旋回フレーム31の旋回中心210よりも前方に配置されている。
【0065】
続いて、第1配管51および第2配管71を配索する経路について説明する。
図5から
図9に示されるように、第1配管51を構成する鋼管61、鋼管62および鋼管63は、旋回フレーム31上に設けられている。第1配管51を構成する油圧ホース57は、旋回フレーム31と、第1アクチュエータ20Aとの間に架け渡されている。第1配管51を構成する油圧ホース58は、旋回フレーム31と、第2アクチュエータ20Bとの間に架け渡されている。
【0066】
鋼管61は、制御弁46から前方に向けて延出されるとともに、縦板37に近接するように斜め下方向に延びている。鋼管61は、縦板37に平行に斜め下方向に延び、三方管継手64に達している。
【0067】
鋼管62は、三方管継手64から前方に向けて延出されるとともに、縦板37に沿って斜め下方向に延びている。鋼管62は、鋼管62の最低高さに達したあと、縦板37より離れながら、前方に向けて斜め上方向に延びている。そして、鋼管62は、縦板37と平行な方向に進行方向を変えて、前方に向けて斜め上方向に延び、油圧ホース57に達している。鋼管62は、前後方向において、旋回フレーム31の旋回中心210を跨ぐように設けられている。
【0068】
鋼管63は、三方管継手64から前方に向けて延出されるとともに、縦板37に沿って斜め上方向に延びている。鋼管63は、鋼管63の最高高さに達したあと、縦板37から離れながら、前方に向けて斜め下方向に延びている。そして、鋼管63は、縦板37と平行な方向に進行方向を変えて、前方に向けて斜め上方向に延び、油圧ホース58に達している。鋼管63は、前後方向において、旋回フレーム31の旋回中心210を跨ぐように設けられている。
【0069】
三方管継手64は、鋼管62の他方端62qおよび鋼管63の他方端63qよりも高い位置に位置している。鋼管61の一方端61pは、三方管継手64よりも高い位置に位置している。左右方向における縦板37から三方管継手64までの距離は、左右方向における縦板37から鋼管61の一方端61pまでの距離よりも小さく、左右方向における縦板37から、鋼管62の他方端62qおよび鋼管63の他方端63qの各々までの距離よりも小さい。鋼管61、鋼管62および鋼管63は、全体として、スイベルジョイント48および旋回モータ47等との干渉を避けるように、縦板37に沿った迂回経路を辿りながら、制御弁46から油圧ホース57,58に向けて斜め下方向に延びている。
【0070】
油圧ホース57は、鋼管62から前方に向けて延出している。油圧ホース57は、斜め上方向に延び、第1アクチュエータ20Aに達している。油圧ホース58は、鋼管63から前方に向けて延出している。油圧ホース58は、斜め上方向に延び、第2アクチュエータ20Bに達している。油圧ホース58は、油圧ホース57と左右方向に並んで設けられている。
【0071】
図5から
図8に示されるように、第2配管71を構成する鋼管81、鋼管82および鋼管83は、旋回フレーム31上に設けられている。第2配管71を構成する油圧ホース77は、旋回フレーム31と、第1アクチュエータ20Aとの間に架け渡されている。第2配管71を構成する油圧ホース78は、旋回フレーム31と、第2アクチュエータ20Bとの間に架け渡されている。
【0072】
鋼管81は、制御弁46から前方に向けて延出されるとともに、縦板37に近接するように斜め下方向に延びている。鋼管81は、縦板37に沿って斜め下方向に延びている。この間、鋼管81は、第1配管51の鋼管61、鋼管62および鋼管63の上方に位置している。鋼管81は、縦板37から離れる方向に延び、三方管継手84に達している。
【0073】
鋼管82は、三方管継手84から前方に向けて延び、油圧ホース77に達している。鋼管83は、三方管継手84から、縦板37から離れる方向に延びている。鋼管83は、縦板37と平行な方向に進行方向を変えて、前方に向けて延び、油圧ホース78に達している。
【0074】
鋼管81、鋼管82および鋼管83は、全体として、スイベルジョイント48および旋回モータ47等との干渉を避けるように、縦板37に沿った迂回経路を辿りながら、制御弁46から油圧ホース77,78に向けて斜め下方向に延びている。
【0075】
油圧ホース77は、鋼管82から前方に向けて延出している。油圧ホース77は、斜め上方向に延び、第1アクチュエータ20Aに達している。油圧ホース78は、鋼管83から前方に向けて延出している。油圧ホース78は、斜め上方向に延び、第2アクチュエータ20Bに達している。油圧ホース78は、油圧ホース77と左右方向に並んで設けられている。油圧ホース77,78は、油圧ホース57,58と左右方向に並んで設けられている。
【0076】
図11は、
図8中の2点鎖線XIで囲まれた範囲を拡大して示す斜視図である。
図12は、
図11中の矢印XIIに示す方向から見た第1配管および第2配管を示す上面図である。
図12中では、
図11中の保持具86の図示が省略されている。
【0077】
図11および
図12に示されるように、第1配管51および第2配管71は、上面視において互いに重なって延びる第1区間310を有する。第1分岐部140(三方管継手64)は、第1区間310に設けられている。
【0078】
第1区間310においては、第2配管71が、第1配管51の上方に位置している。第1区間310において、第4管路160(鋼管81)が、第1管路110(鋼管61)、第2管路120(鋼管62)および第3管路130(鋼管63)の上方に位置している。第1区間310において、第1配管51および第2配管71は、縦板37に沿って設けられている。
【0079】
第1区間310において、第1配管51が、第2配管71の上方に位置する構成であってもよい。また、第1区間310において、第1配管51の第2管路120(鋼管62)および第3管路130(鋼管63)のいずれか一方と、第2配管71の第4管路160(鋼管81)とが、上面視において互いに重なり合う構成であってもよい。
【0080】
なお、本開示では、第1区間において、第1配管および第2配管が互いに部分的に重なり合って延びる構成であってもよい。第1配管および第2配管が、上面視において単に交わっている構成は、第1区間に対応しない。
【0081】
第1分岐部140(三方管継手64)を旋回フレーム31の旋回中心210よりも後方に配置した場合、旋回フレーム31上に配置される旋回モータ47等の機器の周囲の空間に、より多くの配管を通す必要が生じる。これに対して、第1配管51および第2配管71に、上面視において互いに重なって延びる第1区間310を設けることによって、旋回フレーム31上の空間を有効に活用しつつ、第1配管51および第2配管71を配索することができる。さらに、第1管路110、第2管路120および第3管路130が交わる第1分岐部140(三方管継手64)を、第1区間310に設けることによって、旋回フレーム31上の空間をより有効に活用することができる。
【0082】
図9から
図11に示されるように、第2管路120および第3管路130は、上面視において、第1分岐部140から互いに重なって延びる第2区間320を有する。
【0083】
第2区間320においては、第3管路130(鋼管63)が、第2管路120(鋼管62)の上方に位置している。第1分岐部140(三方管継手64)は、第1管路110を第2管路120および第3管路130に
図10中の鉛直面360内で分岐させる。
【0084】
このような構成により、旋回フレーム31上の空間をさらに有効に活用しつつ、第1配管51を配索することができる。
【0085】
なお、上記構成に限られず、たとえば、第1配管51および第2配管71を水平方向に並べて配置する構成としてもよいし、第1配管51の第2管路120および第3管路130を水平方向に並べて配置する構成としてもよい。この場合、第1配管51および第2配管71が配索される空間の高さ方向の寸法を抑えることができる。
【0086】
図11および
図12に示されるように、油圧ショベル100には、第1配管51および第2配管71を保持するための保持具86が設けられている。保持具86は、ベース部87と、第1保持部88および第2保持部89とを有する。
【0087】
ベース部87は、旋回フレーム31の縦板37に固定されている。ベース部87は、その構成部位として、板状部87sと、第1柱状部87tおよび第2柱状部87uとを有する。板状部87sは、ボルトにより旋回フレーム31の縦板37に締結されている。第1柱状部87tおよび第2柱状部87uは、板状部87sに立設されている。第1柱状部87tおよび第2柱状部87uは、縦板37から離れる方向に柱状に延びている。
【0088】
第1保持部88および第2保持部89は、ベース部87に設けられている。第1保持部88および第2保持部89は、それぞれ、ボルトにより第1柱状部87tおよび第2柱状部87uに取り付けられている。第1保持部88および第2保持部89は、第1配管51および第2配管71を保持している。第1保持部88および第2保持部89は、配管を保持可能なクランプ部材から構成されている。
【0089】
第1保持部88および第2保持部89は、第1区間310において、第1配管51および第2配管71を保持している。第1保持部88は、第1配管51の第3管路130(鋼管63)を保持している。第2保持部89は、第2配管71の第4管路160(鋼管81)を保持している。
【0090】
このような構成によれば、単一部品である保持具86を用いて、第1配管51および第2配管71を簡易かつ安価な構成で保持することができる。
【0091】
なお、上記構成に限られず、たとえば、保持具を、第1配管51の第1管路(鋼管61)と、第2配管71の第4管路160(鋼管81)とを保持するように設けてもよい。
【0092】
次に、第1配管51を構成する配管部品の変形例について説明する。
図13は、
図8中に示す第1配管を構成する配管部品の変形例を模式的に示す図である。
図13に示されるように、本変形例では、第1配管51が、油圧ホース91と、分岐ブロック92と、鋼管93および鋼管94と、油圧ホース95および油圧ホース96とから構成されている。
【0093】
油圧ホース91の一方端は、制御弁46に接続されている。油圧ホース91の他方端は、分岐ブロック92に接続されている。鋼管93および鋼管94の一方端は、分岐ブロック92に接続されている。分岐ブロック92には、油圧ホース91からの油路を、鋼管93および鋼管94への油路に分岐する油路が形成されている。鋼管93および鋼管94の他方端は、それぞれ、油圧ホース95および油圧ホース96の一方端に接続されている。油圧ホース95および油圧ホース96の他方端は、それぞれ、第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bに接続されている。
【0094】
このような構成において、油圧ホース91により、第1管路110が構成されている。分岐ブロック92により、第1分岐部140が構成されている。鋼管93および油圧ホース95により、第2管路120が構成されている。鋼管94および油圧ホース96により、第3管路130が構成されている。第1分岐部140(分岐ブロック92)は、制御弁46とともに第2領域280に配置されている。
【0095】
本変形例に示されるように、本開示における第1配管を構成する配管部品は、特に限定されない。第1配管は、鋼管、樹脂製配管、ホース、継手、コネクタおよびブロック等の配管部品を含んでもよい。
【0096】
以上に説明した、本開示の実施の形態1における作業機械としての油圧ショベル100の構成および効果についてまとめて説明する。本開示の実施の形態1における油圧ショベル100は、旋回フレーム31と、作業機12と、制御弁46と、第1配管51とを備える。作業機12は、第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bを有する。制御弁46は、旋回フレーム31上に設けられる。第1配管51は、第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bと、制御弁46との間で作動油を流通させる。第1配管51は、第1管路110と、第2管路120と、第3管路130と、第1分岐部140とを有する。第1管路110は、制御弁46に接続される。第2管路120は、第1アクチュエータ20Aに接続される。第3管路130は、第2アクチュエータ20Bに接続される。第1分岐部140は、第1管路110を第2管路120および第3管路130に分岐させる。上面視において、旋回フレーム31の旋回中心210を通る仮想直線260を挟んだ一方の側に、作業機12が配置される第1領域が270が規定され、仮想直線260を挟んだ他方の側に、制御弁46および第1分岐部140が配置される第2領域280が規定される。
【0097】
このように構成された油圧ショベル100によれば、第1分岐部140が、旋回フレーム31の旋回中心210を通る仮想直線260に対して制御弁46と同じ側に配置されるため、第1配管51における圧力損失を低減することができる。これにより、作業機12(ブーム16)を駆動させる際のエネルギー効率を高めて、エンジン41の燃費を向上させることができる。
【0098】
作業機12は、旋回フレーム31の旋回中心210よりも前方に配置される。制御弁46は、旋回フレーム31の旋回中心210よりも後方に配置される。第1分岐部140は、旋回フレーム31の旋回中心210よりも後方に配置される。
【0099】
このように構成された油圧ショベル100によれば、第1分岐部140が制御弁46と同じ後方側に配置されるため、第1配管51における圧力損失を低減することができる。
【0100】
第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bは、油圧シリンダである。
このように構成された油圧ショベル100によれば、油圧シリンダにより作業機12を駆動させる際のエネルギー効率を高めることができる。
【0101】
第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bの各々は、ピストンロッド26を有する。第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bの各々には、ロッド側油圧室27と、ボトム側油圧室28とが形成される。ロッド側油圧室27には、ピストンロッド26が配置される。ボトム側油圧室28には、ピストンロッド26が配置されない。第1配管51は、第1アクチュエータ20Aのボトム側油圧室28および第2アクチュエータ20Bのボトム側油圧室28と、制御弁46との間で油を流通させる。
【0102】
このように構成された油圧ショベル100によれば、第1配管51上での圧力損失を低減させる効果をより有効に奏することができる。
【0103】
油圧ショベル100は、第2配管71をさらに備える。第2配管71は、第1配管51とは独立して、第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bと、制御弁46との間で作動油を流通させる。第1配管51および第2配管71は、上面視において互いに重なって延びる第1区間310を有する。
【0104】
このように構成された油圧ショベル100によれば、第1配管51および第2配管71をコンパクトな空間に配索することができる。
【0105】
第1分岐部140は、第1区間310に設けられる。
このように構成された油圧ショベル100によれば、第1配管51および第2配管71をさらにコンパクトな空間に配索することができる。
【0106】
油圧ショベル100は、第1配管51を旋回フレーム31に対して保持する第1保持部88と、第2配管71を旋回フレーム31に対して保持する第2保持部89とを有する保持具86を第1区間310においてさらに備える。
【0107】
このように構成された油圧ショベル100によれば、簡易な構成により、第1配管51および第2配管71を保持することができる。
【0108】
第2管路120および第3管路130は、第1分岐部140から、上面視において互いに重なって延びる第2区間320を有する。
【0109】
このように構成された油圧ショベル100によれば、第1配管51をコンパクトな空間に配索することができる。
【0110】
第1分岐部140は、第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bと、制御弁46との間の、前後方向における第1配管51の中心位置220に対して、制御弁46に近い側に設けられる。
【0111】
このように構成された油圧ショベル100によれば、第1配管51上での圧力損失を低減させることができる。
【0112】
第1管路110と、第2管路120および第3管路130の各々とは、第1分岐部140において、90°よりも大きく、180°以下の分岐角度をなす。
【0113】
このように構成された油圧ショベル100によれば、第1分岐部140での圧力損失を低減させることができる。
【0114】
第1管路110と、第2管路120とは、第1分岐部140において、180°の分岐角度をなす。第1管路110と、第3管路130とは、第1分岐部140において、鈍角の分岐角度をなす。
【0115】
このように構成された油圧ショベル100によれば、第1分岐部140における第1管路110と第2管路120との間での圧力損失を、より効果的に低減させることができる。
【0116】
第2管路120における作動油の流通路の断面積と、第3管路130における作動油の流通路の断面積との和は、第1管路110における作動油の流通路の断面積よりも大きい。
【0117】
このように構成された油圧ショベルによれば、作動油の流通路の断面積が相対的に小さい第1管路110の長さをより短く、作動油の流通路の断面積の和が相対的に大きい第2管路120および第3管路130の長さをより長く設定することにより、第1配管51における圧力損失を低減することができる。
【0118】
なお、ブーム16が3以上のアクチュエータにより駆動される場合には、制御弁46からの管路を、3以上のアクチュエータに向かって延びる複数の管路に分岐させる分岐部を、旋回フレーム31の旋回中心210よりも後方に設ける構成とすればよい。アーム17またはバケット18が複数のアクチュエータにより駆動される場合には、アーム17またはバケット18に油圧供給する配管に本開示を適用してもよい。
【0119】
(実施の形態2)
図14は、本開示の実施の形態2における油圧ショベルにおいて、ブームの駆動用アクチュエータと、制御弁とを繋ぐ配管を示す斜視図である。
図15は、ブームの駆動用アクチュエータと、制御弁とを繋ぐ配管を示す側面図である。
図16は、
図15中の2点鎖線XVIで囲まれた範囲を拡大して示す側面図である。
図17は、
図16中の矢印XVIIに示す方向から見た第2配管を示す正面図である。
【0120】
本開示の実施の形態2における油圧ショベルは、実施の形態1における油圧ショベル100と比較して、第2配管71において第2分岐部190が設けられる位置が異なる。以下、実施の形態1における油圧ショベル100と重複する構造については、その説明を繰り返さない。
【0121】
図14から
図17に示されるように、第2配管71において、第2分岐部190(三方管継手84)が、制御弁46とともに第2領域280に配置されている。
【0122】
第2分岐部190は、旋回フレーム31の旋回中心210よりも後方に配置されている。第2分岐部190は、前後方向において、旋回フレーム31の旋回中心210と、制御弁46との間に配置されている。
【0123】
第2分岐部190は、前後方向において、第1分岐部140からずれた位置に配置されている。第2分岐部190は、第1分岐部140から前方にずれた位置に設けられている。第2分岐部190は、高さ方向において、第1分岐部140からずれた位置に設けられている。第2分岐部190は、第1分岐部140よりも高い位置に設けられている。
【0124】
第2分岐部190は、第1分岐部140から後方にずれた位置に設けられてもよい。第2分岐部190は、第1分岐部140よりも低い位置に設けられてもよい。
【0125】
このような構成によれば、作動油が第1配管51の第1管路110を流れる間の圧力損失を低減させることに加えて、作動油が第2配管71の第4管路160を流れる間の圧力損失を低減させることができる。
【0126】
このように構成された、本開示の実施の形態2における油圧ショベルによれば、実施の形態1に記載の効果を同様に奏することができる。
【0127】
以上に説明した、本開示の実施の形態2における油圧ショベルの構成および効果についてまとめて説明する。本開示の実施の形態2における油圧ショベルは、第2配管71をさらに備える。第2配管71は、第1アクチュエータ20Aのロッド側油圧室27および第2アクチュエータ20Bのロッド側油圧室27と、制御弁46との間で油を流通させる。第2配管71は、第4管路160と、第5管路170および第6管路180と、第2分岐部190とを有する。第4管路160は、制御弁46に接続される。第5管路170は、第1アクチュエータ20Aに接続される。第6管路180は、第2アクチュエータ20Bに接続される。第2分岐部190は、第2領域280に配置され、第4管路160を第5管路170および第6管路180に分岐させる。
【0128】
このように構成された油圧ショベルによれば、第1配管51上での圧力損失に加えて、第2配管71上での圧力損失を低減させることができる。
【0129】
(実施の形態3)
図18は、本開示の実施の形態3における油圧ショベルにおいて、ブームの駆動用アクチュエータと、制御弁とを繋ぐ配管を示す上面図である。
図19は、本開示の実施の形態3における油圧ショベルにおいて、ブームの駆動用アクチュエータと、制御弁とを繋ぐ配管を示す側面図である。
【0130】
本実施の形態における油圧ショベルは、
図1から
図12に開示された油圧ショベル100と同一の配管構造を有する一方で、第1管路110の長さと、第2管路120および第3管路130の長さとの間に、以下に説明する大小関係が存在する。
【0131】
図18および
図19に示されるように、第1管路110の長さは、第2管路120の長さよりも短い。第1管路110の長さは、第3管路130の長さよりも短い。
【0132】
第1管路110の長さは、鋼管61の一方端61pから鋼管61の他方端61qまでの鋼管61の長さである。第2管路120の長さは、鋼管62の一方端62pから油圧ホース57の他方端57qまでの鋼管62および油圧ホース57の長さである。第3管路130の長さは、鋼管63の一方端63pから油圧ホース58の他方端58qまでの鋼管63および油圧ホース58の長さである。
【0133】
第1配管51における作動油の流通路の断面積が小さい時、圧力損失が大きくなる。これに対して、第1配管51において作動油の流通路の断面積が小さくなる第1管路110の長さが、第1配管51において作動油の流通路の断面積が大きくなる第2管路120および第3管路130の各々の長さよりも短いため、作動油が第1配管51を流れる間の圧力損失を低減させることができる。
【0134】
第2管路120は、第1部位410を有する。第1部位410は、旋回フレーム31上に存在する。第1部位410は、油圧ショベルを上面視した場合に、旋回フレーム31と重なり合う第2管路120の部位である。第1部位410は、鋼管62の全部と、油圧ショベルを上面視した場合に旋回フレーム31と重なり合う油圧ホース57の一部とである。
【0135】
第3管路130は、第2部位420を有する。第2部位420は、旋回フレーム31上に存在する。第2部位420は、油圧ショベルを上面視した場合に、旋回フレーム31と重なり合う第3管路130の部位である。第2部位420は、鋼管63の全部と、油圧ショベルを上面視した場合に旋回フレーム31と重なり合う油圧ホース58の一部とである。
【0136】
さらに好ましくは、第1管路110の長さは、第1部位410の長さよりも短い。第1管路110の長さは、第2部位420の長さよりも短い。このような構成によれば、第1管路110の長さをより短く設定することによって、作動油が第1配管51を流れる間の圧力損失をより効果的に低減させることができる。
【0137】
以上に説明した、本開示の実施の形態3における作業機械としての油圧ショベルの構成および効果についてまとめて説明する。本開示の実施の形態3における油圧ショベルは、車体フレームとしての旋回フレーム31と、作業機12と、制御弁46と、配管としての第1配管51とを備える。作業機12は、第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bを有する。制御弁46は、旋回フレーム31上に設けられる。第1配管51は、第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bと、制御弁46との間で作動油を流通させる。第1配管51は、第1管路110と、第2管路120と、第3管路130と、分岐部としての第1分岐部140とを有する。第1管路110は、制御弁46に接続される。第2管路120は、第1アクチュエータ20Aに接続される。第3管路130は、第2アクチュエータ20Bに接続される。第1分岐部140は、第1管路110を第2管路120および第3管路130に分岐させる。第1管路110の長さは、第2管路120の長さよりも短く、第3管路130の長さよりも短い。
【0138】
このように構成された油圧ショベルによれば、第1管路110の長さが、第2管路120の長さよりも短く、第3管路130の長さよりも短いため、第1配管51における圧力損失を低減することができる。これにより、作業機12を駆動させる際のエネルギー効率を高めて、エンジン41の燃費を向上させることができる。
【0139】
また好ましくは、第2管路120は、旋回フレーム31上に存在する第1部位410を有する。第3管路130は、旋回フレーム31上に存在する第2部位420を有する。第1管路110の長さは、第1部位410の長さよりも短く、第2部位420の長さよりも短い。
【0140】
このように構成された油圧ショベルによれば、第1配管51における圧力損失をさらに低減することができる。
【0141】
なお、本開示における車体フレームは、旋回可能な旋回フレーム31に限られず、固定式のフレームであってもよい。また、本実施の形態では、作業機12と、制御弁46とが、旋回フレーム31の旋回中心210に対してその前後に配置される構成であるが、本開示は、これに限られない。たとえば、作業機12および制御弁46の双方が、旋回フレーム31の旋回中心210よりも前方に配置される構成であってもよい。
【0142】
(実施の形態4)
図20は、本開示の実施の形態4における油圧ショベルにおいて、ブームの駆動用アクチュエータと、制御弁とを繋ぐ配管を示す側面図である。
【0143】
本実施の形態における油圧ショベルは、
図1から
図12に開示された油圧ショベル100と同一の配管構造を有する一方で、第1分岐部140の位置が、旋回フレーム31に対する作業機12の回動中心230との関係で規定される。
【0144】
図20に示されるように、旋回フレーム31には、開口部34が設けられている。開口部34は、縦板37および縦板38を貫通している。開口部34には、ブームピン23が挿入されている(
図1を参照のこと)。開口部34の中心には、旋回フレーム31に対する作業機12(ブーム16)の回動中心230が規定される。回動中心230は、左右方向に延びる軸である。
【0145】
第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bは、旋回フレーム31に対する作業機12の回動中心230よりも前方に配置されている。制御弁46は、旋回フレーム31に対する作業機12の回動中心230よりも後方に配置されている。
【0146】
第1分岐部140は、旋回フレーム31に対する作業機12の回動中心230よりも後方に配置されている。第1分岐部140は、前後方向において、旋回フレーム31に対する作業機12の回動中心230と、制御弁46との間に配置されている。
【0147】
第1配管51における作動油の流通路の断面積が小さい時、圧力損失が大きくなる。これに対して、第1分岐部140を、旋回フレーム31に対する作業機12の回動中心230よりも後方に配置することによって、第1管路110の長さをより短く、第1管路110からの分岐後の第2管路120および第3管路130の長さをより長く設定することができる。ここで、第2管路120における作動油の流通路の断面積と、第3管路130における作動油の流通路の断面積との和は、第1管路110における油の流通路の断面積よりも大きい。このため、旋回フレーム31に対する作業機12の回動中心230に対して制御弁46と同じ側に第1分岐部140を配置することにより、第1配管51では、断面積の大きい区間を増やすことができるため、圧力損失を低減することができる。
【0148】
以上に説明した、本開示の実施の形態4における作業機械としての油圧ショベルの構成および効果についてまとめて説明する。本開示の実施の形態4における油圧ショベルは、車体フレームとしての旋回フレーム31と、作業機12と、制御弁46と、配管としての第1配管51とを備える。作業機12は、第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bを有し、旋回フレーム31に対して回動可能に接続される。制御弁46は、旋回フレーム31上に設けられる。第1配管51は、第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bと、制御弁46との間で作動油を流通させる。第1アクチュエータ20Aおよび第2アクチュエータ20Bは、旋回フレーム31に対する作業機12の回動中心230よりも前方に配置される。制御弁46は、旋回フレーム31に対する作業機12の回動中心230よりも後方に配置される。第1配管51は、第1管路110と、第2管路120と、第3管路130と、分岐部としての第1分岐部140とを有する。第1管路110は、制御弁46に接続される。第2管路120は、第1アクチュエータ20Aに接続される。第3管路130は、第2アクチュエータ20Bに接続される。第1分岐部140は、旋回フレーム31に対する作業機12の回動中心230よりも後方に配置される。第1分岐部140は、第1管路110を第2管路120および第3管路130に分岐させる。
【0149】
このように構成された油圧ショベルによれば、第1分岐部140が、旋回フレーム31に対する作業機12の回動中心230よりも後方に配置されるため、第1配管51における圧力損失を低減することができる。これにより、作業機12を駆動させる際のエネルギー効率を高めて、エンジン41の燃費を向上させることができる。
【0150】
なお、本開示における車体フレームは、旋回可能な旋回フレーム31に限られず、固定式のフレームであってもよい。
【0151】
本開示は、作業機を備える各種の作業機械に適用される。本開示における作業機械は、ブルドーザ、ホイールローダ、モータグレーダ、クレーンおよび林業機械などを含んでもよい。本開示における作業機は、リッパー、リッパーバケット、フォークおよびカッターなどを含んでもよい。本開示におけるアクチュエータは、油圧エネルギーにより、伸縮、屈伸および回転などの動作を行なう装置であれば特に限定されず、たとえば、油圧モータなどを含んでもよい。
【0152】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。