(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ランディングパッドは、圧縮性であり、前記ランディングパッドは、前記ジョーが前記ジョー相互間に組織を把持して溶融させるときに圧縮される、請求項1に記載の電気外科的システム。
前記制御装置は、供給された前記RFエネルギーの前記位相角の変化率を定期的にモニタし、さらに、前記位相角の前記変化率が所定のしきい率を下回った場合、信号を前記RF増幅器に送って供給される前記RFエネルギーを停止させる、請求項1又は5に載の電気外科的システム。
前記制御装置は、前記モニタされた位相角が引き続き所定のしきい角を超えている場合、引き続き信号を前記RF増幅器に送って前記RFエネルギーの電圧を増大させる、請求項1、5及び6の何れか1項に記載の電気外科的システム。
前記RF増幅器は、前記RFエネルギーの電圧を増大させながら前記ジョー相互間の温度を100℃未満に維持し、且つ、前記ジョー相互間の温度が100℃を超えた場合、供給される前記RFエネルギーを停止させるように構成されている、請求項1、5乃至8の何れか1項に記載の電気外科的システム。
前記制御装置は、前記RF増幅器がRFエネルギーを供給し続けている間に前記モニタされた位相角が所定のしきい角を超えた場合、信号を前記RF増幅器に送って供給される前記RFエネルギーの電圧増加を停止させるように構成された、請求項1、5乃至9の何れか1項に記載の電気外科的システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
一般に、両極性電気外科的溶融/シーラ及び切開用器型器械、器具又はツールが提供され、これは、この器械のジョー相互間に捕捉された組織の溶融と切断を同時に行うよう構成されている。ジョーは、組織の溶融と切断を同時に行うよう圧縮性のランディングパッドと一緒に個別的に位置決めされ、形作られると共に差し向けられた電極を有する。両極性外科的溶融及び切開用器は又、組織の溶融又は組織の切断を別個に行っても良い。種々の実施形態としての組織の切断は、特に、機械的切断ブレードの使用なしで、特定の若しくは中央の切断電極の使用又ははさみの剪断力又は動作なしで行われる。種々の実施形態としての器械は、最大直径が5mmの腹腔鏡下手術で用いられるよう提供され、かくして、5mmトロカールを通って挿入可能である。
【0013】
加うるに、一般的に言って、電気外科的発生器及び取り外し可能に結合された電気外科的器械、例えば溶融及び切開用器を含む電気外科的システムが提供され、かかる電気外科的発生器及び電気外科的器械は、組織を最適に溶融させて切断するよう構成されている。RFエネルギーは、電気外科的発生器によって供給され、この電気外科的発生器は、適当なRFエネルギーを提供して組織を溶融させて切断するよう構成されている。種々の実施形態としての発生器は、特定の連結状態の電気外科的器械、この器械と接触状態にある特定の組織及び/又は特定の外科的処置のための適当なRFエネルギー及び適当なこのRFエネルギーの送り出し方を定める。動作上、ジョー相互間の組織のRF密封又は溶融は、密封時間、出力電圧、出力電力及び/又は熱的広がりを減少させるよう行われる。したがって、電力を組織に効果的に且つ一貫して送り出すことは、組織への影響にとって最適であることが判明した特定の割合で或る温度範囲で組織を加熱するために行われる。
【0014】
図1及び
図2を参照すると、電気外科的システムの例示の実施形態が示されており、この電気外科的システムは、電気外科的発生器10及び取り外し可能に接続可能な電気外科的器械20を含む。電気外科的器械20は、発生器に設けられたツール又は器具ポート12へのケーブル接続部30を介して発生器に電気的に結合されるのが良い。電気外科的器械20は、器械の特定の所定の状態、例えば溶融又は切断作業の開始及び/又は終了をユーザに知らせるための聴覚、触覚及び/又は視覚指標を有するのが良い。他の実施形態では、電気外科的器械20は、再使用可能であると共に/或いは別の外科的処置のために別の電気外科的発生器に接続可能であるのが良い。幾つかの実施形態では、例えば溶融又は切断作業を開始するために器械の所定の選択的制御を可能にするよう、手動制御装置、例えばハンド又はフットスイッチが発生器及び/又は器械に連結可能であるのが良い。
【0015】
種々の実施形態によれば、電気外科的発生器10は、高周波(RF)電気外科的エネルギーを発生させ、そして発生器に電気的に結合された電気外科的器械20からデータ又は情報を受け取るよう構成されている。発生器10は、一実施形態では、RFエネルギー(375VA、350kHzにおいて150V及び5A)を出力し、一実施形態では、作動中又はRFエネルギーの供給中、RF出力電圧とRF出力電流との位相角又は差を計算するよう構成されている。発生器は、電圧、電流及び/又は電力を調整すると共にRFエネルギー出力(例えば、電圧、電流、電力及び/又は位相)をモニタする。一実施形態では、発生器10は、既定の条件下、例えば器具スイッチがディアサートされたとき(例えば、フューズボタンが解除されたとき)、時間値が満たされたとき及び/又はアクティブな位相角及び/又は位相の変化が或る位相及び/又は位相停止値の変化以上になったとき、RFエネルギー出力を停止させる。
【0016】
電気外科的発生器10は、2つの新型両極性ツールポート12、標準型両極性ツールポート16、及び電力ポート14を有する。他の実施形態では、電気外科的ユニットは、これらとは異なる数のポートを有しても良い。例えば、幾つかの実施形態では、電気外科的発生器は、3個以上又は1個以下の新型両極性ツールポート、2個以上又は0個の標準型両極性ツールポート、及び2個以上又は0個の電力ポートを有することができる。一実施形態では、電気外科的発生器は、2個の新型両極性ツールポートだけを有する。
【0017】
種々の実施形態によれば、各新型両極性ツールポート12は、取り付け状態の又は一体形メモリモジュールを備えた電気外科的器械に結合されるよう構成されている。標準型両極性ツールポート16は、新型両極性ツールポート12に接続可能な新型両極性電気外科的器械とは異なる非特定型の両極性電気外科的ツールを受け入れるよう構成されている。電力ポート14は、非特定型の両極性電気外科的ツール及び新型電気外科的器械とは異なる直流(DC)アクセサリ装置を受け入れ又はこれに接続されるよう構成されている。電力ポート14は、直流電圧を供給するよう構成されている。例えば、幾つかの実施形態では、電力ポート14は、約12ボルトDCを提供することができる。電力ポート14は、外科的アクセサリ、例えば人工呼吸器、ポンプ、灯り、又は別の外科的アクセサリに電力供給するよう構成されているのが良い。かくして、標準型又は非特定型両極性ツールのための電気外科的発生器と置き換えることに加えて、電気外科的発生器は、外科的アクセサリ用電源に置き換わることができる。幾つかの実施形態では、既存の発生器及び電源を電気外科的発生器で置き換えることにより、外科的又は手術作業空間内で必要な多くの幹線コードにおいて貯蔵ラック、カード又は棚上に必要な貯蔵空間の量を減少させることができる。
【0018】
一実施形態では、標準型両極性ポート中への非特定型両極性ツールの結合によっては、発生器は、ツールをアクティブにチェックすることがない。しかしながら、発生器は、非特定型両極性ツールの情報を表示することができるよう接続を認識する。種々の実施形態によれば、発生器は、新型ツールポート12の各々に関する器具接続状態を認識し、そして接続状態の器具を認証し、その後、RFエネルギー起動要求(例えば、器械スイッチ、例えばフューズボタンの起動)を受け取る。発生器は、一実施形態では、接続状態の器具からの認証済みデータを読み取ると共に認証され且つ接続された器具からの電気制御値(例えば、電圧レベル設定値、電流レベル設定値、電力レベル設定値、アクティブ位相角レベル設定値、RFエネルギー出力起動タイミング限度、器械短絡限度、器械開路限度、器械モデル/識別、RFエネルギー出力ラインコンフィグレーション、スイッチ状態指令コンフィグレーション及び/又はこれらの組み合わせ)を読み取る。
【0019】
種々の実施形態によれば、電気外科的発生器10は、ディスプレイ15を有するのが良い。ディスプレイは、電気外科的システムの状態を指示するよう構成されるのが良く、かかる状態としては、情報のうちでとりわけ、1つ又は2つ以上の電気外科的器械及び/又はアクセサリ、コネクタ又はこれらへの接続の状態が挙げられる。幾つかの実施形態では、ディスプレイは、テキスト及び図形情報を提供することができるマルチラインディスプレイ、例えばLCDパネルディスプレイから成るのが良く、かかるLCDパネルディスプレイは、幾つかの実施形態では、バックライト又はサイドライトを介して照明可能である。幾つかの実施形態では、ディスプレイは、マルチカラーディスプレイから成るのが良く、このマルチカラーディスプレイは、電気外科的発生器に電気的に結合された特定の器械に関する情報及び特定の外科的処置(例えば、黄色のテキスト及び図形で表示される切断作業、紫色で表示される溶融又は溶接作業、及び青色で表示される凝固作業、黄色及び青色で表示可能な無血離断作業)に対応した色を表示するよう構成されるのが良い。
【0020】
幾つかの実施形態では、ディスプレイは、電気外科的発生器に電気的に結合されると共に/或いはツールポートに対応関係をなして接続された各器械に関する状態情報を表示するよう分割されている複数の器械に関する状態データを同時に表示するよう構成されているのが良い。視覚指標、例えば状態棒グラフを用いると、作動時に両極性電気外科的器械に及ぼされるべき全有効電気エネルギーの割合を図示することができる。種々の実施形態では、組織を切断し、密封し、凝固させ、又は溶融させるよう動作可能な電気外科的器械は、3つの着色ディスプレイ又は棒グラフを有する場合がある。幾つかの実施形態では、ユーザは、多数の電気的に接続された機械の状態の提供と単一の電気的に接続された機械の状態の提供との間でディスプレイを切り換えることができる。種々の実施形態によれば、器械及び/又はアクセサリをいったん接続すると共に/或いは検出すると、ユーザインターフェースディスプレイの窓が開き、器械の接続形式及び状態を示す。
【0021】
電気外科的発生器は、種々の実施形態によれば、ユーザインターフェース、例えば複数のボタン17を有するのが良い。これらボタンにより、電気外科的発生器とのユーザ対話が可能になり、例えば、電気外科的発生器に結合された1つ又は2つ以上の器械に供給される電気エネルギーの増減の要求が可能である。他の実施形態では、ディスプレイ15は、タッチスクリーンディスプレイであるのが良く、かくして、データディスプレイ及びユーザインターフェースの機能を組み込むことができる。種々の実施形態によれば、外科医は、ユーザインターフェースを介して1〜3つのレベルの選択によって電圧設定値を設定することができる。例えば、レベル1では、電圧が110Vに設定され、レベル2では、電圧が100Vに設定され、レベル3では、電圧が90Vに設定される。3つ全てレベルに関して電圧が5アンペアに設定され、電力が300VAに設定される。他の実施形態では、電圧は、特定のレベル、例えばレベル2にあらかじめ設定され又はこれをデフォルトとする。他の実施形態では、電流及び電力設定値と同様、電圧設定値は、発生器の作動を単純化するためにユーザによる調節可能ではなく、従って、所定のデフォルト電圧設定値が利用され、例えば、電圧が100Vに設定されている。
【0022】
一実施形態では、電気外科的ツール又は器械20は、1つ又は2つ以上のメモリモジュールを更に有するのが良い。幾つかの実施形態では、メモリは、この器械及び/又は他の器械に関する動作データを含む。例えば、幾つかの実施形態では、動作データは、電極構成/再構成、器械の使用法、動作時間、電圧、電力、位相及び/又は電流設定値、及び/又は特定の動作状態、条件、スクリプト、プロセス又は手順に関する情報を含むのが良い。一実施形態では、発生器は、メモリモジュールからの読み取り及び/又はメモリモジュールへの書き込みを開始する。
【0023】
一実施形態では、各新型両極性電気外科的器械には、機器の認証、コンフィグレーション、期限満了、及びロギングを提供するメモリモジュール及び/又は一体型回路が付属している。レセプタクル又はポート中へのかかる器械の結合により、器械検証及び認証プロセスが開始する。器械認証は、一実施形態では、チャレンジレスポンス方式及び/又は発生器によっても共有される記憶シークレットキーを介して提供される。他のパラメータは、完全性チェックのためのハッシュキーを有する。使用率が発生器及び/又は器械一体形回路及び/又はメモリにログ記録される。一実施形態では、エラーの結果として、非ログ記録使用が生じる場合がある。一実施形態では、ログ記録は、2進数で設定され、オフライン器械で又は発生器を介して解釈される。
【0024】
一実施形態では、発生器は、時間測定コンポーネントを用いて器械の満了をモニタする。かかるコンポーネントは、ブート時間でコンフィグされるポーリングオシレータ又はタイマ又は実時間カレンダークロックを利用する。タイマ割込みが発生器によって取り扱われ、かかるタイマ割込みをタイムアウトイベントについてスクリプトによって使用できる。ロギングは又、タイマ又はカウンタを利用してログ記録されたイベントを時刻表示する。
【0025】
種々の実施形態によれば、発生器は、RFエネルギーがアクティブである間、接続状態の電気外科的器械を介して送られたRFエネルギーの電圧と電流の位相差を読み取る能力を提供する。組織が溶融されている間、位相の読みを用いて溶融又は密封及び切断プロセス中、互いに異なる状態を検出する。
【0026】
一実施形態では、発生器は、ダウンロード可能な内部ログ中の使用率に関する詳細をログ記録する。発生器は、コード及び機器性能の記憶のためのメモリを有する。発生器は、特定の器械性能に関する命令を含む際プログラム可能なメモリを有する。メモリは、例えば、シリアル番号及び器械使用パラメータを保持する。発生器は、接続されている器械の形式に関する情報を記憶する。かかる情報としては、タイムスタンプ、接続状態の器械の使用回数又は使用持続時間、各器械の電力設定値及びデフォルト設定値に対してなされた変更と共に器械の識別子、例えば接続状態の器械のシリアル番号が挙げられるが、これには限定されない。メモリは、一実施形態では、約2ヶ月間、約10,000回の器械使用数又はログ記録された最大150回までの起動に関するデータを保持し、このメモリは、必要に応じてそれ自体上書きするよう構成されている。
【0027】
発生器は、種々の実施形態によれば、電流、電力又はインピーダンスをモニタし又は制御することはない。発生器は、電圧を調整し、また電圧を合わせることができる。送り出された電気外科的電力は、印加された電圧、電流及び組織インピーダンスの関数である。発生器は、電圧の調整を通じて、送り出されている電気外科的電力に影響を及ぼすことができる。しかしながら、電圧を増減することによって、送り出される電気外科的電力は、必ずしも増減することはない。電力リアクションは、電力を供給する発生器ではなく、発生器による制御が全くない状態で、組織と相互作用する電力又は組織の状態によって引き起こされる。
【0028】
発生器は、これがいったん電気外科的電力を送り出すと、故障が起こるまで又は特定の位相パラメータに達するまで、連続的に、例えば150msごとにかかる送り出しを行う。一実施例では、電気外科的器械のジョーを開くのが良く、かくして圧迫を電気外科的電力を加える前、加えている間、及び加えた後の任意の時点で弛めることができる。発生器は又、一実施形態では、電気外科的エネルギーの停止を開始するよう特定の持続時間又は所定の時間遅延を中断することはなく、又は待機することはない。
【0029】
図3〜
図14を参照すると、種々の実施形態によれば、両極性溶融及び切開用器型電気外科的器械20が提供されている。図示の実施形態では、器械20は、細長い回転可能なシャフト26に結合されたアクチュエータ24を有する。細長いシャフト26は、近位端部及び遠位端部を有し、遠位端部と近位端部との間には中心長手方向軸線が定められている。シャフト26の遠位端部のところにはジョー22が設けられ、近位端部のところにはアクチュエータが設けられている。一実施形態では、アクチュエータは、拳銃の握りのようなハンドルである。シャフト26及びジョー22は、一実施形態では、5mm径のトロカールカニューレ又はアクセスポート中に嵌まるよう寸法決めされると共に形作られている。
【0030】
アクチュエータ24は、可動ハンドル23及び静止ハンドル又はハウジング28を有し、可動ハンドル23は、静止ハウジングに結合された状態でこれに対して動くことができる。種々の実施形態によれば、可動ハンドル23は、静止ハウジングに摺動可能且つ回動可能に結合されている。動作にあたり、ユーザ、例えば外科医が可動ハンドル23を操作してジョーを作動させ、例えばジョーを選択的に開閉する。種々の実施形態によれば、アクチュエータ24は、閉じ形態において、ジョー22が所定の最小力と所定の最大力との間の把持力を送り出すよう構成された力調節機構体を有する。
【0031】
力調節機構体の一部として、可動ハンドル23は、力調節機構体を形成するよう2つの摺動ピボット場所のところで静止ハンドルに結合されている。可動ハンドルは、つかみ面が形成された第1の端部及び第1の端部と反対側の第2の端部を有する。可動ハンドルは、第2の端部に隣接して設けられたピンに結合されている。幾つかの実施形態では、可動ハンドルは、ピン表面を構成するようこの可動ハンドルから延びた突出部と一体に形成されるのが良い。他の実施形態では、ピンは、可動ハンドルに設けられた孔中に圧力嵌めされるのが良い。ピンは、静止ハウジングに設けられたスロット、例えば静止ハウジングの右側及び/又は左側ハンドルフレームに形成された対応のスロット内に収容されるのが良い。幾つかの実施形態では、スロットは、作動ハンドルが開いたジョーに対応した第1の位置から閉じられたジョーに対応した第2の位置まで動かされるときに、所望の作動ハンドル経路、例えば湾曲又は山形経路を定めるよう構成されるのが良い。力調節機構体は、ピンを近位側の方向に付勢する付勢部材、例えば引張りばねを含む。動作を説明すると、所定の力が可動ハンドルの運動によって及ぼされると、ばねにより及ぼされる付勢力に打ち勝ち、可動ハンドルの第2の端部は、スロット内のピンによって案内されながら全体として遠位側に並進することができる。
【0032】
種々の実施形態によれば、可動ハンドルは、作動ハンドルの第1の端部と第2の端部との間に位置する場所で静止ハウジング28に摺動可能に且つ回動可能に結合されている。アクチュエータ部材、例えばプルブロックが作動ハンドルに結合されている。可動ハンドルを近位側に動かすと、プルブロックも又、近位側の方向に且つ長手方向に動き、ジョー22を閉じ、それによりどのような組織であってもこれをジョー相互間にクランプする。プルブロックは、種々の実施形態によれば、開放頂部及び底部フェース並びに閉じられた近位端部を有する長方形である。可動ハンドルは、プルブロックの頂部フェース及び底部フェースを貫通している。可動ハンドルの縁部は、静止ハウジングに対する可動ハンドルの運動によりプルブロックが長手方向に動くようプルブロックの近位端部に当たっている。プルブロックの遠位端部は、一実施形態では、作動シャフト、例えばプルチューブ、バー、又はロッドに結合され、かかる作動シャフトは、細長いシャフト26に沿って長手方向に延びるのが良い。かくして、動作を説明すると、第1の位置から第2の位置への可動ハンドルの運動により、プルブロックは、静止ハウジング内で長手方向に並進し、それにより、これに対応してプルチューブが細長いシャフト26に対して長手方向軸線に沿って全体として直線状に並進する。このプルチューブの運動は、ジョー22の相対運動を制御することができる。
【0033】
種々の実施形態によれば、アクチュエータ24は、可動ハンドル23を静止ハウジング28に対して第2の位置に位置するラッチ機構体を有する。種々の実施形態では、可動ハンドルは、ラッチアームを有し、このラッチアームは、可動ハンドルを第2の位置又は閉じ位置に保持するために静止ハンドル内に収容された番い関係をなす相手方のラッチに係合する。アクチュエータは、種々の実施形態では、単一のシース内に納められた絶縁状態の個々の電線又はリードを含むワイヤハーネスを有する。ワイヤハーネスは、静止ハウジングからその下面のところで出ることができそしてケーブル式連結部の一部をなしている。ハーネス内の電線は、器械と電気外科的発生器及び/又はそのアクセサリ又は付属物との電気的連絡をもたらすことができる。
【0034】
種々の実施形態によれば、アクチュエータは、シャフトの無限回転を可能にするよう構成された回転結合クリップに取り付けられている1本又は2本以上のリードを有する。種々の実施形態では、スイッチがユーザにより操作される起動ボタン29に接続されていて、このスイッチは、起動ボタンを押すと、起動される。一観点では、いったん起動されると、スイッチは、少なくとも2本のリードを互いに電気的に結合することによって回路を構成する。したがって、次に電気経路がRFエネルギーを回転結合クリップに取り付けられているリードに供給するよう電気外科的発生器からアクチュエータまで確立される。
【0035】
一実施形態では、アクチュエータは、細長いシャフト26の外側カバー管上に設けられた回転ノブ27を含む回転シャフト組立体を有する。回転ノブにより外科医は、アクチュエータ24をつかんだ状態で器具のシャフトを回転させることができる。種々の実施形態によれば、細長いシャフト26は、ジョー22をアクチュエータに結合する作動管を有する。種々の実施形態では、作動管は、外側カバー管内に収容されている。作動管は、外側カバー管内に嵌め込み可能である全体として管状の部材として図示されているが、他の実施形態では、非管状作動部材、例えば、シャフト、剛性バンド等を用いることができ、この作動部材は、或る特定の実施形態では、外側カバー管内に配置されても良い。
【0036】
種々の実施形態によれば、外側カバー管の遠位端部には回転シャフト組立体が取り付けられ、この回転シャフト組立体は、2つの番い関係をなすハブ及び導電性スリーブを含む。ハブは、互いにスナップ嵌め関係をなし、外側カバー管に係合する。他の実施形態では、ハブは、一体形構造のものであるのが良く、また、ハブは、外側カバー管に設けられた番い関係をなす特徴部とインターフェースするよう構成されているのが良い。導電性スリーブは、組立て状態のハブを外側カバー管に取り付けた後に組立て状態のハブの近位部分に取り付けられるのが良い。導電性スリーブが組立て状態のハブの後部に取り付けられると、スリーブは、絶縁電線の露出端部を捕捉する。図示の実施例では、絶縁電線は、導電性スリーブの下に位置するその捕捉箇所から作動管に設けられたスロットを通り、そして次に保護スリーブ内に延びている。保護スリーブ及び絶縁電線は、ジョーに向かって作動管内で遠位側に延びている。他の実施形態では、絶縁電線は、保護シースと一体に形成されても良く、この場合、作動管内には別個の保護スリーブが存在しない。
【0037】
細長いシャフトの遠位端部にはジョー22が取り付けられ、ジョー22は、第1のジョー70と第2のジョー80から成る。一実施形態では、ジョーピボットピンが第1のジョーと第2のジョーを回動可能に結合し、かかるジョーピボットピンにより、第1のジョーは、第2のジョーに対して動くと共に回動することができる。種々の実施形態では、一方のジョーが細長いシャフトに対して固定されていて、対向したジョーが固定状態のジョーに対して開き位置と閉じ位置との間で回動するようになっている。他の実施形態では、両方のジョーが細長いシャフトに回動可能に結合されるのが良く、その結果、両方のジョーが互いに対して回動することができるようになっている。
【0038】
ジョーの幾何学的形状により、所要の溶融/密封及び切開効果を生じさせるよう特定の場所に特定の圧力プロフィール及び特定の電流密度を提供する。動作上、密封及び分割を達成するのに必要な温度は、最小限に抑えられ、他方、血管構造体内におけるタンパク質の架橋が最大にされ、それにより組織の溶融/シール及び分割の効果が最大になる。
【0039】
種々の実施形態によれば、生物学的反応の温度をモニタするため、位相角及び/又は位相角の変化率をモニタする。位相角は、生物学的反応の温度の指標を提供すると共に組織の分割が起こったということを知らせることが判明した。種々の実施形態によれば、電気外科的器具は、開閉時におけるジョー相互間に位置すると共に/或いはジョーを開閉したときに下側ジョーと接触状態にある組織の切断及び溶融のために電気手術用の両極性RFエネルギーを用いる。一実施形態では、密封及び/又は分割サイクル中における組織の温度をモニタする。
【0040】
種々の実施形態による新型両極性電気外科的器具は、組織の密封又は溶融と分割又は切断の両方のために両極性RFエネルギーを用いる。したがって、組織の分割に必要なエネルギーを加えている間、この器具は、組織の細胞構造を分割領域に隣接した状態に維持する。他のRF切離用器具は、組織を蒸発させて切開を達成するのに局所発弧又はスパークギャップを用いる。これは、真っ直ぐな組織切開にとっては許容可能である場合がある。と言うのは、周りの領域が密封され又は溶融されるようにはなっておらず、本発明の種々の実施形態としての溶融及び切開用器具及びシステムとは異なっているからである。
【0041】
種々の実施形態による新型両極性電気外科的器具は又、組織の蒸発又は組織の切開と関連した高い熱を考慮している。したがって、種々の実施形態としてのこの器具は、組織分割を達成するのに必要なエネルギーを最小限に抑えるために温度制御を利用する。必要なエネルギーを最小限に抑えることによって、反応中における温度が低くなり、細胞構造が高いエネルギー出力に起因して壊れる恐れが小さい。
【0042】
働いている組織の細胞構造を維持することは、密封が切開領域に隣接して起こることが必要なので溶融と切開又は分割を同時に行う場合に必要とされる。また、開放切断及び密封モードの追加により、それに応じて外科的処置の実施の際に用いられる器具の数又は器具の交換回数が減少し、或いは、個々のかかる器具のかかる機能の全てが単一の新型両極性腹腔鏡下器具に含められる。
【0043】
種々の実施形態では、電気外科的器械は、可動ジョーを有し、これら可動ジョーは、これらの間に組織を捕捉することができる。一実施形態では、ジョーは、少なくとも1つの上側ジョーを含み、この上側ジョーは、静止状態の下側ジョーの上に閉じる。種々の実施形態によれば、上側ジョーは、剛性上側ジョー部材41、上側導電性パッド42、剛性絶縁パッド43、電線44、及び圧縮性のランディングパッド45を有し、これらは全て、インサート成形法を用いて互いに結合され、この上側ジョーは、かくして、
図6に示されているように単一の構造体又は組立体として提供される。
【0044】
剛性の上側ジョー部材と上側導電性パッドは、両方とも、互いに反対の特性を備えたアクティブな電極である。圧縮性ランディングパッドは、接触及び圧力がランディングパッドと下側ジョーの長さとの間で起こるようにするために特定のばね定数を備えた表面を提供する。上側導電性パッド42は、ランディングパッド45及び絶縁パッド43によって剛性の上側ジョー部材41から電気的に絶縁されている。種々の実施形態では、上側ジョーは、ステンレス鋼で作られていて、剛性がランディングパッド45よりも高い。種々の実施形態では、ランディングパッド45は、シリコーンで作られていて、応従性が上側ジョー部材41又は導電性パッド42よりも高い。種々の実施形態では、絶縁パッドは、非導電性材料で作られていて、この絶縁パッドは、上側ジョー部材41又は導電性パッド42と同程度の剛性であり又は剛性がこれらよりも高い。種々の実施形態では、上側ジョー部材41及び導電性パッドは、同一の材料で作られている。
【0045】
上側ジョー部材41及び導電性パッドは、組織と接触関係をなすよう配置された下側の外面を有する。これら下面は、角度が付けられ又は傾斜しており、これら下面は、相互の鏡像であり、かかる位置決め又は向きは、電流密度の集中及び組織の固定を容易にしている。圧縮性ランディングパッド45は、組織及び/又は下側ジョーと接触関係をなすよう配置された下面を有する。ランディングパッドは、図示の実施形態では、扁平であり且つ上側ジョー部材及び導電性パッド42の傾斜した下面に対して平行ではない。ランディングパッドの下面の位置決め及び向きは、電流密度の集中を助け、組織の固定を助け、しかも組織の電気的切開を容易にする。ランディングパッドのばね定数は、種々の実施形態では、最適圧力又は力をもたらして組織の電気的分割を生じさせ又は容易にするようあらかじめ定められている。
【0046】
下側ジョーは、剛性の下側ジョー部材52、下側の導電性パッド53、切断電極55、2つの剛性絶縁体54,56並びに導電性パッドに通じる1本と切断電極に通じる1本の全部で2本の電線を有し、これら全て、インサート成形法を用いて互いに結合され、かくして、本発明の種々の実施形態に従って
図7に示されているように単一の構造体又は組立体として提供される。剛性下側ジョー部材52、下側導電性パッド53、及び切断電極55は全て、アクティブな電極であり又はアクティブな電極として働く。下側導電性パッド53及び切断電極55は、同一の極性を有し、これらは、2つの剛性絶縁体54,56によって逆の極性を有する剛性の下側ジョー部材から電気的に絶縁されている。
【0047】
下側ジョー部材52及び導電性パッド53は、組織と接触関係をなすよう配置された上側の外面を有する。これら上面は、角度が付けられ又は傾斜しており、しかも互いの鏡像であり、かかる位置決め又は向きは、電流密度の集中及び組織の固定を容易にしている。種々の実施形態では、下側ジョーは、ステンレス鋼で作られており、この下側ジョーは、導電性パッド53とほぼ同程度の剛性であり、又は合成が導電性パッド53よりも高い。種々の実施形態では、剛性絶縁体54,56は、非導電性材料で作られており、これら剛性絶縁体は、下側ジョー部材52又は導電性パッド53と同程度の剛性であり、又は合成がこれらよりも高い。種々の実施形態では、下側ジョー部材52及び導電性パッド53は、同一の材料で作られている。
【0048】
種々の実施形態としての全体的ジョー構造体が
図8に断面で示されており、かかる全体的ジョー構造体は、上側ジョーと下側ジョーとの幾何学的性質(例えば、最適溶融及び切開のための形状、寸法、材料及びこれらの任意の組み合わせ)の相互作用を実証している。作用を説明すると、導電性パッド42,53は、同一極性のものである。上側及び下側ジョー部材41,51,52は、同一極性のものであるが、導電性パッド42,53とは逆の極性のものである。一実施形態では、切断電極55は、開放切断及び溶融作業中にのみアクティブであり、この切断電極は、下側ジョー部材52とは逆の極性のものである。図示のように、ランディングパッド45は、ジョーの閉じの際に下側ジョー部材52及び導電性パッド53を邪魔してこれらに圧着する。下側ジョーと上側ジョーとの間に捕捉されている組織(図示せず)も又、ランディングパッド45と下側ジョー部材52と導電性パッド53との間で圧迫される。
【0049】
各電極の極性は、これら電極相互間に流れる電流に起因して適当なRFエネルギー及び加熱を生じさせるよう設定されている。
図9に示されているように、電流の流れ方向は、矢印101で例示されているように、導電性パッドとジョー部材との間における加熱を考慮に入れると共に下側ジョー構造体上における端から端までの加熱を生じさせるのを考慮に入れている。下側ジョー構造体上における端から端までの加熱は、矢印102によって例示されているように組織の分割のために行われる。組織をジョーの中間部の下で分割するため、組織を60℃〜100℃の温度に達するよう加熱して組織中に存在するコラーゲンを変性させる。コラーゲンをいったん変性させると、コラーゲンは、ゼラチン状の状態になる。
【0050】
組織が膠様又はゼラチン状の状態であるとき、シリコーン製のランディングパッドのばね定数及び妨害により、
図10に矢印103で例示されているように組織の機械的分離が生じる。種々の実施形態では、ばね係数は、パッド及び下側ジョーに対する妨害によって組織の分離を最適化するようあらかじめ定められており、その結果、ランディングパッドは、隣接の組織への影響を最小限に抑えた状態で又は全く影響を及ぼさない状態でパッドと下側ジョーとの間の組織に適合した所定の距離又は量縮むようになる。したがって、電極の形態は、密封領域(導電性パッドとジョー部材との間の領域)及び切断領域(下側ジョー上の端から端への電流領域)の同時加熱を考慮に入れている。コラーゲンの変性も又、組織密封又は溶融を生じさせるために用いられる仕組みである。密封は、切断と同一の温度(60℃〜100℃)を利用するが、導電性パッドとジョー部材との間のジョーシール間隔は、RF適用がいったん終わると、シールが再架橋するための型又はモールドを作る。注目されるように、高い温度に迅速に達することにより、細胞構造は、細胞間水分の迅速な加熱に起因して壊れる場合がある。したがって、温度の漸次増大及び適当な温度範囲内での長い滞留時間は、コラーゲンの完全な変性を考慮に入れている。
【0051】
種々の実施形態では、組織の適当な温度を達成して関連の組織に対する作用効果、例えば漸次増大及び/又は長い滞留時間を生じさせるため、組織の位相角及び/又は位相角の変化率をモニタする。
図11〜
図13は、種々の実施形態に従って例示の密封及び分割サイクルのグラフ図である。また、図示のように、位相111gが他の組織の読み又は指標、例えば電圧111a、電力111b、インピーダンス111c、エネルギー111d、温度111e、及び電流111fに対して示されている。加うるに、
図11〜
図13に示されているが、種々の実施形態では、発生器は、経常費及び電力費並びに電力消費量及び/又は発生器の部品数を減少させるために指標又は読みのうちの1つ又は2つ以上、例えば温度又はエネルギーを測定せず又は計算しないよう構成されている。追加の情報又は読みは、一般に、関連した目的のために提供され又は示されている。
【0052】
図11〜
図13に示されているように、ジョー相互間の組織111eの温度は、RFエネルギーの開始から最も高い位相角の点まで増大している。最も高い位相角のこの点(又は、位相角の変化率の変曲点)155では、電圧が減少した場合であっても、温度平坦域(プラトー)150は、瞬間的に(約0.75秒)続き、次に高い状態152を続ける。
【0053】
温度プロフィールの挙動に起因して、注目されることとして、温度の瞬間的平坦域は、組織中に存在する水又は水分の状態の変化を原因とする場合がある。水が沸騰し始めると、温度は、液体の水が水蒸気に変わるまでは増大しない。したがって、温度111eの算定は、位相角111gに基づかない場合がある。最大位相角前の温度は、100℃への安定加熱に関連している。温度の平坦域は、100℃及び2つの状態の水と関連する場合のある位相角の突然の減少と関連している。液体としての水は、導電性が高く、しかも水蒸気はそうではないので、この相転移は、水の状態の別の指標である場合がある。温度が引き続き100℃を超えていったん増大し(152)、そして第2の位相角変曲点160を超えて増大し続けると、注目できることとして、水の大部分は、水蒸気に変化している。
【0054】
RF出力で理解できる関心のある別の点は、例えば
図13に示されているようにRF適用の水部分の沸騰中における電力111b及び電流111fの突然のスパイク170である。このスパイクは、密封又は溶融プロセス中における組織の分割によるものであると言える。電力及び電流のこの増大は、組織がジョーの絶縁部分、例えばランディングパッドの下にもはや存在していないことによるものであると言える。この時点では、ジョーは、より閉じており、エネルギー位相は、シール表面を介してだけである。
【0055】
コラーゲンを変性させるために必要な温度は、60℃で始まるので、エネルギーの適用は、100℃に先立って時間を最大にするために最適化される。これは、コラーゲンの完全且つ徹底的な変性をもたらす。したがって、密封を分割に先立って完了させるよう電力及び電流におけるスパイク170に先立って全ての密封を完了させる必要がある。
【0056】
種々の実施形態によれば、電気外科的器械は又、RFエネルギーを用いて、そして一実施形態では、ジョーが完全開き位置にある状態でのみ下側ジョーを利用するだけで、上側ジョーの協調なしで又は組織が上側ジョーと下側ジョーとの間に捕捉されていない状態であるが下側ジョーと接触した状態で、組織を切断する能力を有する。
図14は、切断電極55から剛性の下側ジョー部材52までの電流の流れ方向(矢印140)を示している。
【0057】
組織切断を達成するため、切断電極55と下側ジョー部材52との間に高い電位差が作られる。これは、切断電極の周りの局所発弧により作られる熱に起因した組織の蒸発をもたらす。高い温度に遭遇すると、一実施形態において切断電極を絶縁するために用いられている絶縁材料は、高温に耐え又は高温で良好に動作する。また、高い電位差では、絶縁体は、一実施形態では、高い絶縁耐力を有する。電位差は、十分な発弧を達成するためには400V‐ピークを超える。しかしながら、実際の電位差は、切断電極と下側ジョー部材との間の間隔に直接関連付けられる。
【0058】
消弧が別の問題であり、従って、発弧に起因したRF波形ひずみの迅速な修正及び/又はジョーの構成に用いられる材料の劣化を阻止するための電力出力の制限が行われる。電弧(アーク)が100マイクロ秒を超えて持続する場合、器具劣化の恐れが増大する。また、局所発弧と関連した非常に高い熱に起因して、種々の実施形態に従うRFエネルギー適用は、所定のデューティサイクル又は高い波高率を有する波形を含む。正弦波形と関連した波高率が一定の出力を許容する場合には必ず器具の劣化を生じさせるということが判明した。デューティサイクル又は波高率の操作により、器具の作動全体にわたって平均出力電力が下げられる。
【0059】
種々の実施形態としての電気外科的器械は又、RFエネルギーを用いて、そして一実施形態ではジョーが完全開き位置にある状態でのみ、下側ジョーだけを利用して、上側ジョーの協働なしで又は組織が上側ジョーと下側ジョーとの間に捕捉されないが下側ジョーと接触した状態で組織を溶融させる。
図14は、切断電極55から剛性の下側ジョー部材52までの電流の流れ方向を例示的に示している。
【0060】
種々の実施形態によれば、組織凝固を生じさせるため、低電位差を切断電極55と下側ジョー部材52との間に維持する。局所発弧を阻止するために電位差を100V‐ピーク未満に設定するが、実際の電位は、切断電極と下側ジョー部材との間の間隔に直接関連付けられる。組織凝固は、2つの電極相互間のRF電流によって生じる熱によって引き起こされる。
【0061】
一実施形態では、絶縁電線44は、第1のジョーをアクチュエータ内の配線ハーネスに電気的に結合するよう引き回されている。絶縁電線は、第2のジョーの近位端部のところに収容された保護スリーブの遠位端部から伸びると共に第1のジョー中に延びている。第1のジョーは、絶縁電線を受け入れるよう位置決めされたスロットを有するのが良い。次に、絶縁電線は、第1のジョーに設けられた穴を貫通して非導電性部分に設けられたスロット内に落ち込んでいる。次に、絶縁電線は、非導電性部分の遠位端部まで延び、これを通って導電性パッドまで下っている。
【0062】
幾つかの実施形態では、ジョーの導電性パッドの又は導電性パッド上の電極の幾何学的形状は、密封領域がブレード切断経路の遠位部分を完全に包囲するようなものである。種々の実施形態によれば、ジョー表面の寸法は、力調節機構体が生じさせることができる潜在的な力のためにジョー相互間の組織に加えられる最適圧力に対して適切に比例するようなものである。その表面領域も又、組織に接触している表面領域に対して電気的に有意義である。表面領域のこの比率及び組織の厚さは、組織の電気的相対特性に対するその関係に関して最適化されている。
【0063】
一実施形態では、
図15に示されているように、電気外科的プロセス、例えば組織溶融プロセスが器械又はツールに設けられているスイッチを押して(151)始まり、それにより当初の測定シーケンスを開始する。ツールに設けられているスイッチを入れた状態で、発生器は、組織について当初の測定値(開路、短絡等)を取り(152)、そして当初の測定値に基づいて、RFエネルギーの供給を開始させ又は開始させない(153)。種々の実施形態によれば、発生器は、ツール及び/又は組織インピーダンス及び/又は定刻を測定すると共に/或いは位相角が許容範囲内に収まっているかどうかを判定する。一実施形態では、発生器は、心理学的効果(即ち、受動的な測定)を生じさせない低エネルギー範囲(例えば、約1〜10ボルトの電圧)でRFエネルギーを利用する発生器に接続された電気外科的器械の電極相互間の組織の測定を行う。種々の実施形態では、発生器は、器械が短絡しているかどうか、故障しているかどうか、開路しているかどうか等を判定するために当初のインピーダンス測定値を用いる。当初のチェックの肯定的な結果に基づいて、発生器は、発生器から電気外科的器械、そして最終的には組織へのRFエネルギーの供給を可能にする(154)。RF電力がターンオンされた後であって、RF電力が発生器によって連続的に供給されているとき、発生器は、供給されたRFエネルギーの電力と電圧との間の位相角又は位相角の差及び/又は変化をモニタする(155)。
【0064】
既定又は所定の時点で、既定又は所定の条件で又は既定又は所定のしきい値で(156)、RFエネルギーの供給を停止させる(157)。この場合、組織が溶融されていること(又は、エラー(例えば電極の短絡)が起こっていると共に/或いは予期せぬ状態(例えば、予期しないスイッチの解除にもかかわらず許容できる状態)が起きていること)を指示する音響信号及び/又は視覚信号が出される。種々の実施形態によれば、既定の時点、状態又はしきい値及び/又は初期化チェックを接続状態の電気外科的器械、手技又は好みについて提供された機器アルゴリズム又はスクリプトに基づいて決定する。種々の実施形態によれば、測定された組織の許容性及び導電性又は初期位相ずれの結果を利用して接続状態の器械に関するエンドポイントを求める。
【0065】
次に
図16を参照すると、一実施形態では、電気外科的発生器10は、AC主入力に接続され、電源141が発生器の種々の回路に電力供給するためにAC主入力からのAC電圧をDC電圧に変換する。電源は又、DC電圧をRF増幅器142に供給し、RF増幅器142は、RFエネルギーを発生させる。一実施形態では、RF増幅器142は、電源からの100VDCを350kHzの周波数で正弦波形に変換し、この周波数は、接続状態の電気外科的器械を通って送られる。RFセンス回路143が発生器の出力のところの電圧、電流、電力及び位相を測定/計算し、発生器内のRFエネルギーが接続状態の電気外科的器械20に供給される。測定/計算された情報が制御装置144に伝送される。
【0066】
一実施形態では、RFセンスは、測定されたAC電圧及びRF増幅器からの電流を分析し、そして次の処理のために制御装置に送られる制御信号のためのDC信号を発生させ、かかる制御信号としては、電圧、電流、電力及び位相が挙げられる。一実施形態では、RFセンス回路143は、出力電圧及び電流を測定し、そして電圧及び電流の二乗平均(RMS)、RF出力エネルギーの見かけの電力及び接続状態の電気外科的器械を通って供給されているRFエネルギーの電圧と電流の位相角を計算する。特に、出力RFエネルギーの電圧及び電流をRFセンスのアナログ回路によって処理して電圧と電流の両方の実数成分及び虚数成分を発生させる。これら信号をフィールド書き換え可能ゲートアレイ(FPGA)で処理して電圧及び電流に関する互いに異なる測定値を与え、かかる測定値としては、AC信号、電圧と電流の位相ずれ、及び電力のRMS測定値が上げられる。したがって、一実施形態では、出力電圧及び電流をアナログで測定し、ディジタルに変換し、FPGAで処理してRMS電圧及び電流、見かけの電力及び電圧と電流との間の位相角を計算し、次にかかる出力電圧及び電流を制御装置のために変換してアナログに戻す。
【0067】
各器具ポートに関し、RF増幅器142から来ている電圧のための1対の信号及び電流のための1対の信号が存在する。一実施形態では、発生器は、RF増幅器上の互いに異なる場所での各器具に関する電圧及び電流を測定する2つの冗長式RFセンス回路143a,143bを有する。第1のRFセンス回路は、器具ポート1か器具ポート2かのいずれか上の接続状態の電気外科的器械を通って送り出された電流をセンス抵抗器によって検知すると共に器具ポート1か器具ポート2かのいずれか上の出力へのリターン前後で測定された電圧を検知する。第2のRFセンス回路は、器具ポート1か器具ポート2かのいずれか上の接続状態の電気外科的器械から戻された電流をセンス抵抗器によって検知すると共に器具ポート1か器具ポート2かのいずれか上のリターンへの出力前後で測定された電圧146a,146bを検知する。電圧入力信号は、かかる信号上のDCバイヤスを除くために分圧器及び反転フィルタによって減衰されると共にAC結合される350kHzでの高電圧正弦波形である。反転フィルタが用いられる理由は、電圧及び電流入力がこれらを互いに逆の極性で測定したときに180°位相ずれがしているからである。各電圧入力信号に関し、2つの別々の反転及び非反転電圧センス信号を発生させる。一実施形態では、電圧入力信号相互間の差動電圧測定を行って2つの別々の対をなす反転及び非反転電流センス信号を発生させる。電流入力信号は、RF増幅器上の分流抵抗器前後の電圧を表し、RF増幅器内では、この電圧は、分流抵抗器を通って流れている電流に比例する。電流入力信号は、信号上のDCバイヤスを除くために非反転フィルタを用いて増幅される350kHzでの低電圧正弦波形である。RFセンスは、各電圧及び電流信号を所定の基準信号を乗算して得られた結果に類似した信号を発生させる。したがって、RFセンスは、波形が正である場合、非反転電圧及び電流センス信号を出し、波形が負である場合、反転電圧及び電流センス信号を出し、そして波形がゼロである場合にはアース信号を出す。
【0068】
RFセンスは、種々の実施形態によれば、RF増幅器を介して制御装置により供給される4つの基準同期信号を受け取る。同期信号は、同一のデューティサイクルを有するが、異なる位相ずれを持つ350kHzパルス信号であり、一実施形態では、互いに90°位相ずれしている。同期信号のうちの2つは、入力波形の実数成分を発生させるために同位相波形を生じさせるよう用いられ、2つの他の同期信号は、入力は形の虚数成分を発生させるよう直交波形を生じさせるよう用いられる。これら信号を更に処理して複数のスイッチへの制御信号を発生させる。スイッチの出力を互いに結合して信号出力を生じさせる。一実施形態では、スイッチへの制御信号は、どの入力信号が通って信号出力になるかを決定する。種々の実施形態によれば、第1の組み合わせにより、非反転電圧及び電流センス信号が通過することができ、これは、これらセンス信号に正のパルスを乗算することを表し又はこれに類似している。第2の組み合わせにより、反転電圧及び電流センス信号が通過することができ、これは、これらセンス信号に負のパルスを乗算することを表し又はこれに類似している。第3の組み合わせにより、アース信号が通過することができ、それによりセンス信号にゼロを乗算することを表し又はこれに類似したゼロ電圧出力を発生させる。各出力は、低域通過フィルタに送られ、低域通過フィルタは、検知された信号の実数又は虚数成分に対応したDC電圧を発生させる。これら信号は、ADCに供給され、ADCは、ディジタル信号をFPGAに送る。
【0069】
一実施形態では、制御装置144は、RF増幅器142を制御して出力RFエネルギーに影響を及ぼす。例えば、制御装置は、RFセンス143によって提供された情報を利用してRFエネルギーが出力されるべきかどうかを判定すると共にRFエネルギーの出力を停止させる時期を定める。一実施形態では、制御装置は、接続状態の電気外科的器具20と接触状態にある特定の組織に基づいて所定の位相しきい値を比較してRFエネルギーの出力を停止させる時期を求める。種々の実施形態では、制御装置は、以下に詳細に説明する溶融プロセスを実行し、幾つかの実施形態では、制御装置は、電気外科的器械から送られたデータから溶融プロセスを実施するための命令及び設定値又はスクリプトデータを受け取る。
【0070】
図17に示されている種々の実施形態によれば、発生器は、システム電力供給源又は電源145、制御装置144、前側パネルインターフェース146、新型両極性器具インターフェース147、RF増幅器142、及びRFセンス143を含む6つの主要なサブシステム又は回路モジュールを有する。種々の実施形態によれば、回路のうちの1つ又は2つ以上は、他の回路と組み合わされるのが良く又はこれと一体化されるのが良い。電源145は、制御信号と一緒にDC電圧を他の全ての回路又はサブシステムに提供して電源出力を制御するよう構成されている。電源は、90〜264VAC、47〜63HzであるAC電力入力を受け取り、一実施形態では、電源は、AC電力入力を発生器に接続し又は発生器から切り離すよう構成されている一体形又は別個のスイッチを有する。制御装置は、前側パネルインターフェース(FPI)及び新型両極性器具インターフェース(ABDI)を介してユーザインターフェース121及び電気外科的発生器に接続された電気外科的器具1,2のための器械接続部をサポートする。
【0071】
RF増幅器142は、高電力RFエネルギーを発生させ、これを接続状態の電気外科的器械及び一実施例では組織の溶融のための電気外科的器械に通す。RF増幅器は、種々の実施形態によれば、100VDC電源を350kHzの周波数を有する高電力正弦波形に変換し、この正弦波形は、ABDI147及び最終的には接続状態の電気外科的器具中に送り出される。RFセンス143は、RF増幅器142からの測定されたAC電圧及び電流を解釈し、そして制御装置144によって解釈されるDC制御信号を発生させ、かかるDC制御信号としては、電圧、電流、電力、及び位相が挙げられる。
【0072】
発生器は、新型両極性器具、例えば以下に詳細に説明する電気外科的溶融器械への接続のためにのみ用いられる複数の専用接続レセプタクル、図示の実施形態では、器具ポート1及び器具ポート2を有する。専用レセプタクルは各々、アレイばね押しプローブ又はポゴピンを含む。発生器は、種々の実施形態では、レセプタクルでのアクティブ出力端子の付勢に先立って、新型両極性器具の存在を検出する回路を有する。
【0073】
前側パネルインターフェース(FPI)146は、ディスプレイ、制御装置からの器具信号及び前側パネルボタンのためのLEDバックライトをドライブするよう構成されている。FPIは又、調整器を介して電力絶縁をもたらすと共に前側パネルスイッチ/ボタンのための機能を提供するよう構成されている。一実施形態では、ABDI147は、FPIを介する器具への接続部となるパススルー接続部として用いられる。FPIは又、ABDIを介する制御装置144と接続状態の電気外科的器具の接続を可能にする。この器具インターフェースは、一実施形態では、FPIの残部から電気的に絶縁されている。インターフェースは、種々の実施形態では、新型両極性器具上のFRAM(登録商標)の読み取り及びこれへの書き込みを行い、トリガスイッチを読み取ると共に/或いは器具が接続状態にあることを指示する信号を読み取るラインを有する。一実施形態では、新型両極性器具のFRAMを読み取る及びこれへの書き込みを行うよう制御装置のシリアル周辺インターフェース(SPI)を利用する器具メモリ回路が提供されている。一実施形態では、FRAMに代えてマイクロコントローラが用いられ、インターフェースは、割込みラインを有し、従って、全ての情報がディジタルインターフェースを介して電気外科的器具と発生器との間で伝えられる。FPIは、ABDIを介する新型両極性器具へのSPI信号及びかかる新型両極性器具からのSPI信号のための絶縁をもたらす。一実施形態では、SPI信号のための絶縁インターフェースは、2つの新型両極性器具で共有され、ポートピンは、チップセレクトとして用いられる。
【0074】
種々の実施形態によれば、発生器は、制御装置が複合プログラム可能論理デバイス(CPLD)及びRFセンスFPGAとの両方向通信関係を有することができるようにするSPI通信バスを有する。種々の実施形態では、FPIは、新型両極性器具上のFRAMと通信するよう、ABDIコネクタを介して制御装置と接続状態の器具との間にSPIインターフェースをもたらす。FPIは又、制御装置とABDIとの間からの低電圧信号のための電気的絶縁をもたらす。ABDI上の器具インターフェースは、SPI信号のための絶縁インターフェース通信と共にRFエネルギーを接続状態の器具に伝えるよう構成されている。一実施形態では、ABDIは、器具が接続されていることを指示する器具からの信号の接続を行う。
【0075】
FPI‐ABDIインターフェースは、発生器に接続されている器具に電力を提供し、制御装置と器具との間のSPI通信を可能にし、器具から制御装置への器具スイッチ信号を提供し、器具から制御器への器具接続信号を提供する。ABDIは、RFエネルギーを別個のポゴピンアレイを介して接続状態の各新型両極性器具に提供する。FPIは、FPI及びRF増幅器からの信号、低電圧電力及び高電圧RF電力をポゴピンアレイ経由でABDIコネクタを介して接続状態の器具に提供する。
【0076】
種々の実施形態によれば、動作エンジンにより、発生器は、種々の動作計画に対応するよう構成可能であり、かかる動作計画としては、互いに異なる且つ多くの電気外科的ツール、外科的処置及び好みが挙げられるが、これらには限定されない。動作エンジンは、外部源からデータを受け取って解釈し、それにより受け取ったデータに基づいて発生器の動作を具体的にコンフィグする。
【0077】
動作エンジンは、器具プラグ上のメモリデバイスから読み取られる器具データベーススクリプトファイルからコンフィグレーションデータを受け取る。スクリプトは、発生器によって用いられる状態論理を定める。発生器によって定められた状態及び発生器によって行われる測定に基づいて、スクリプトは、出力レベル並びにシャットオフ基準を定め又は設定することができる。スクリプトは、例えば一実施形態では、測定位相が70°を超える場合に短絡条件の指示又は例えば測定位相が−50°未満である場合には開路状態の指示を含むトリガイベント又は指標を含む。
【0078】
一実施形態では、動作エンジンは、システム状態及びユーザ状態を提供する。システム状態は、発生器の特定の既定の又は所定の動作条件を制御し又は管理する既定の状態であり、例えば首尾良くRFエネルギーを加え又はエラーを指示する状態である。システム状態は、一実施形態では、システムが働いているのが良く(例えば、アイドル(働いていない)に対して作動されている)、そしてその機能が電気外科的発生器中にハードコードされている(変更されないようコード化されている)既定の組をなすコンフィグレーションである。例えば、RF実施済み(Done)状態は、RFエネルギーサイクルがエラーなく完了したことを指示するシステム状態である。ユーザ状態は、カスタマイズされ又は特殊化された動作及び値を特定の器械、手技及び/又は好みに関する外部源からの指令によって確立することができる手段としての枠組みを提供する。
【0079】
一実施形態では、スクリプトは、システム状態及びこれらの出口条件、例えば満了時期又は別の状態への指令及びユーザ状態が始まる場所を記載している。各ユーザ状態の場合、特定の状態に関する動作パラメータ、例えば電力、電圧、及び電流設定値を定めることができ又は先の状態からキャリーオーバーする。一実施形態では、ユーザ状態は、器械、オペレータ又は手技上の特定の状態を提供することができ、一実施形態では、ユーザ状態は、試験のため又は診断学的な特定の状態のために提供されるのが良い。
【0080】
図18を参照すると、電気外科的器具又は器械20が接続されると、発生器10は、電気外科的器具又は器械20からスクリプト情報を受け取る。発生器は、このスクリプト情報を用いて状態の数及び状態の実行順序を定める。
【0081】
器具スクリプト作成者によって書き込まれ、器械又は発生器10上には存在していないスクリプト源ファイル又はスクリプト情報180は、テキスト又はユーザ可読性である。スクリプト情報は、スクリプトコンパイラ185を用いてコンパイルされて器具スクリプトデータベース又はバイナリファイル(SDB)101を生じさせる。スクリプトバイナリファイルは、器具キープログラマ187によってメモリモジュールに移され、メモリモジュールは、器具キー182により電気外科的器械20に接続可能であり又はこれに組み込み可能である。電気外科的器械が電気外科的発生器に接続されると、発生器は、スクリプトバイナリファイル及び/又は器械を認証する(188)。発生器は、スクリプトバイナリファイルを検証し(189)、検証された場合、動作エンジンは、接続状態の器械による作動によって開始されるスクリプトを利用する(190)。スクリプト源ファイルは、一実施形態では、特定の電気外科的器械、発生器及び/又は外科的処置に特有の器具スクリプトを含むテキストファイルである。器具のためのスクリプト源ファイルは、一実施形態では、電気外科的発生器及び/又は電気外科的器械に関するパラメータ及びスクリプト(状態、機能、イベント)の入った情報を含む。上首尾の検証後、スクリプトコンパイラは、データをアセンブリしてバイナリ形式にし、このバイナリ形式は、電気外科的発生器によって用いられる状態機械を構成する。
図18に示されているようなスクリプトコンパイラは、一実施形態では、電気外科的発生器とは別個であり、このスクリプトコンパイラは、スクリプト源ファイルからテキストで読み取ると共にその内容を検証する役割を担っている。
【0082】
メモリモジュールが発生器中に挿入されると、発生器は、モジュール内に設けられている強磁性読み取り書き込み記憶装置(FRAM)又はマイクロコントローラに記憶されているバイナリファイルをダウンロードする。バイナリは、治療アルゴリズムを実行するための論理を含む。発生器は、バイナリを処理して接続状態の器械を認証し、そして治療アルゴリズムを実施するためにバイナリを実行する役割を担うファームウェア/ソフトウェアを含む。このように、発生器は、認証済みの適合性のあるハンドツールでのみ動作するよう構成されている。
【0083】
一実施形態では、器械スクリプト又はスクリプトデータベースは、特定の又は所与の器械に関する器械プロセスを表している。器械スクリプトは、器械、制御装置又はこれらの組み合わせに接続され又はこれと一体になっているメモリ上に記憶されている。イベントハンドラは、特定のイベント、例えばスイッチ起動/起動解除、器械位置又は測定しきい値超過に応動する。所与のイベントの場合に該当する場合に検出されたイベントに基づく動作エンジンは、接続状態の器械に出力をもたらす。一実施形態では、イベントは、スイッチがアサートされ又はディアサートされているときに別個の変化である。
【0084】
スクリプト状態は、ブロック又は1組のスクリプト関数又は動作条件及びスクリプトイベント又は指標である。スクリプト関数は、発生器及び/又は器械を制御するための構成可能な命令である。スクリプトオペレータは、スクリプトイベント評価中に実施される論理的且つ比較動作である。スクリプトパラメータは、スクリプトの全ての状態及びイベントによって用いられるコンフィグレーションデータであり、一実施形態では、スクリプトファイルのこれら自体の専用区分内で宣言されている。スクリプトイベントは、電気外科的発生器測定における別個の変化である。スクリプトイベントが起こると、例えば、シーケンスをなすスクリプト関数が実行される。
【0085】
種々の実施形態によれば、電圧と電流との間の位相角及び/又は位相角の変化率は、組織が所定の温度範囲内にある時間の長さを最大にするために利用される。一実施形態では、所定の温度範囲は、60℃〜100℃である。一実施形態では、低電圧が密封又は溶融時間を早めながら温度効果を最小限に抑えるために利用される。
【0086】
種々の実施形態によれば、組織は、両極性電気外科的器具のジョー相互間に把持される。電気外科的発生器に取り外し可能に連結された両極性電気外科的器具は、指令時に組織に供給されるRFエネルギーを供給する。供給されたRFエネルギーは、組織を所定の速度で加熱する所定の電圧範囲を有する。一実施形態では、所定の電圧範囲は、20Vrms〜50Vrmsである。RFエネルギーの適用中、出力電圧と電流との間の位相角は、位相の増加又は減少を識別するためにモニタされる。当初、位相角は、増加から減少までの位相角の変化率を求めるためにモニタされる。この変曲点がいったん起こると、器具のジョー内の水が100℃に達し、そして所要の組織に対する影響を生じさせるための温度を超えていることが判定されるということが想定される。次に、RFエネルギーの供給を停止させるためにシャットオフ時点を定める。
【0087】
種々の実施形態に従って組織を溶融させるための電気外科的発生器及び関連の電気外科的ツールのための例示のRFエネルギー制御プロセスが
図19〜
図21に示されている。種々の実施形態では、
図19に示されているように、発生器によって接続状態の電気外科的ツールを通ってエネルギーを供給する(251)。発生器は、少なくとも、供給されたRFエネルギーの位相及び/又は位相の変化率をモニタする(252)。位相/位相変化がゼロよりも大きく又は正に傾いている場合(253)、電圧を増大させる(254)。発生器は、少なくとも、供給されたRFエネルギーの位相及び/又は位相の変化率をモニタし続ける(255)。位相及び/又は位相変化が引き続き増大している場合(256)、発生器は、引き続き位相及び/又は位相の変化をモニタする。位相及び/又は位相変化が減少した場合(257)、このプロセスは完了しており又は終了手順を開始させると共に/或いは発生器により供給されるRFエネルギーを停止させる(258)。
【0088】
一実施形態では、プロセスの開始に先立って、インピーダンスを測定して接続状態の電気外科的ツールに送り出される低電圧測定信号を介して短絡又は開路条件を判定する。一実施形態では、受動インピーダンスを測定して把持した組織が電気外科的ツールの動作範囲(2〜200Ω)内にあるかどうかを判定する。初期インピーダンスチェックに合格した場合、RFエネルギーを電気外科的ツールに供給する。その後においては、インピーダンス/抵抗は測定されず、或いは無視される。
【0089】
当初、初期パラメータは、ジョー相互間に配置された組織の密封のための準備を行うよう設定される。一実施形態では、電圧及び電流設定値は、特定のセッティングに合わせて設定される。一実施形態では、RFエネルギーの電圧をグローバル設定値又はユーザ選択レベルの30%(例えば、レベル1については27.5〜88V、レベル2については25.0〜80V、及びレベル3については22.5〜72V)から始まるランピング方式で印加する。電圧DACをレベル2(中程度)では25.5Vrmsである電圧設定値の30%に設定する。位相をモニタしてゼロ度を超える位相角を求めると共に電気外科的器具のジョー相互間の組織及び水を所定の遅い速度で加熱する。
【0090】
次に
図20及び
図21を参照すると、種々の実施形態では、発生器によって接続状態の電気外科的ツールを通ってエネルギーを供給する(251)。発生器は、少なくとも、供給されたRFエネルギーの位相及び/又は位相の変化率をモニタする(252)。位相/位相変化がゼロよりも大きく又は正に傾いている場合(253)、電圧を増大させる(254)。種々の実施形態では、電圧を所定の割合で、例えば、5秒間にわたり50%増大させ、この電圧は、位相がゼロ度を超えるよう増大した後、レベル2(中程度)では42.5Vrmsである。ランピングは、所定の条件が満たされるまで続く。一実施形態では、ランピングは、モニタされた位相角が約5°を超えるまで増大すると続行する。これは、位相が組織の加熱に基づいて予想されるように増大しているようにする。
【0091】
次に続く状態(265)では、モニタされた位相角が所定の位相値、例えば5°を超えて増大する場合、増大する状態又は条件について位相を引き続きモニタする。これにより想定されることとして、かかる増大条件は、ジョー相互間の組織及び水の温度が増大しているが、100℃未満であることの指標である。しかしながら、減少状態又は条件を指示しているモニタ対象の位相は、異なる指標をもたらす。想定されることとして、かかる指標は、ジョー相互間の組織及び水の温度が少なくとも100℃に達すると共に/或いは所望の組織に対する影響が完了し、例えば、組織の密封及び/又は切断が完了していることである。
【0092】
1つ又は2つ以上の次の状態では、モニタされた位相角を増大し又は減少する状態があるかどうかについてチェックする。種々の実施形態によれば、種々の小刻みな又は定期的なチェックを種々の所定のしきい値又は指標への種々の小刻みな又は定期的なアップデートと一緒に実施し、それにより増大する位相角若しくは増大する変化率条件又は減少する位相角若しくは変化率条件を求める。
【0093】
次の状態のうちの1つ又は2つ以上により位相角、位相角の変化率又は傾向が増大しているのではなく減少していることが判定された場合、指標は、所望の組織に対する影響が完了し、例えば組織の密封及び/又は切断が完了していることである。したがって、想定されることとして、かかる指標では、ジョー相互間の組織及び水の温度は、少なくとも100℃に達している。
【0094】
かかる状態又は次の状態では、出力RFエネルギーの電圧ランピング又は増大を下降させ又は減少させる。したがって、水の急速な沸騰を減少させ又は阻止し、温度を定常状態に又は一定に保ち、ついには、所定の条件に達するようにする。一実施形態では、所定の条件は、位相角が少なくとも5°まで減少することである。
【0095】
種々の実施形態によれば、次に続く状態(266)では、モニタされた位相角が所定の位相値、例えば10°を超えて増大している場合、位相を増大状態又は条件があるかどうかについてモニタし続ける。しかしながら、モニタされた位相角がこれとは異なり減少している状態を指示し、例えば、所定の位相値、例えば5°を下回って減少している場合(268)、又は所定の時間限度に達した場合、電圧の増大を停止させる(280)。次に、モニタされた位相角が減少状態を引き続き指示している場合、例えば、所定の位相値、例えば5°を下回って減少している場合(268)、又は所定の時間限度に達した場合、RFエネルギーを停止させ、プロセスが終了する(281)。
【0096】
モニタされた位相角が例えば次の後の状態(267)において増大している状態を指示している場合、モニタされた位相角が所定の位相値、例えば12.5°を超えて増大している場合、位相を増大状態又は条件の続行があるかどうかについてモニタし続ける。モニタされた位相角がこれとは異なり、今や、減少状態を指示している場合、例えば、所定の位相値、例えば7.5°を下回って減少している場合(269)、又は所定の時間限度に達した場合、電圧の増大を停止させる(280)。次に、モニタされた位相角が減少状態を指示し続けている場合、例えば、所定の位相値、例えば5°を下回って減少している場合(268)、又は所定の時間限度に達した場合、RFエネルギーを停止させ、プロセスが終了する(281)。
【0097】
次の後の状態(270)では、モニタされた位相角が増大状態を指示している場合、例えば所定の位相値、例えば15°を超えて増大している場合、電圧の増大を停止させ(271)、位相を増大状態又は条件があるかどうかについてモニタし続ける。しかしながら、モニタされた位相角がこれとは異なり、増大状態を指示した場合、例えば、所定の位相値、例えば10°を下回って減少している場合(277)、又は所定の時間限度に達した場合、電圧の増大を停止させる(280)。次に、モニタされた位相角が減少状態を指示し続けている場合、例えば、所定の位相値、例えば5°を下回って減少している場合(282)、又は所定の時間限度に達した場合、RFエネルギーを停止させ、プロセスが終了する(281)。次の後の状態(272)では、モニタされた位相角が増大状態を指示している場合、例えば所定の位相値、例えば20°を超えて増大している場合、位相を増大状態又は条件についてモニタし続ける。モニタされた位相角がこれとは異なり、減少状態を指示している場合、例えば、所定の位相値、例えば10°を下回って減少している場合(277)、又は所定の時間限度に達した場合、位相を減少状態又は条件についてモニタし続ける。次に、モニタされた位相角が所定の位相値、例えば5°を下回って減少している場合(282)、又は所定の時間限度に達した場合、RFエネルギーを停止させ、プロセスが終了する(281)。
【0098】
次の後の状態(273)では、モニタされた位相角が増大状態を指示し続けている場合、例えば所定の位相値、例えば25°を超えて増大している場合、位相を増大状態又は条件に関してモニタし続ける。モニタされた位相角がこれとは異なり、所定の位相値、例えば15°を下回って減少している場合(278)、又は所定の時間限度に達した場合、位相を減少状態又は条件についてモニタし続ける。次に、モニタされた位相角が所定の位相値、例えば5°を下回って増大している場合(282)、又は所定の時間限度に達した場合、RFエネルギーを停止させ、プロセスが終了する(281)。次の後の状態(274)では、モニタされた位相角が所定の位相値、例えば30°を超えて増大している場合、位相を増大状態又は条件についてモニタし続ける。モニタされた位相角がこれとは異なり、所定の位相値、例えば15°を下回って減少している場合(278)、又は所定の時間限度に達した場合、位相を減少状態又は条件についてモニタし続ける。次に、モニタされた位相角が所定の位相値、例えば5°を下回って減少している場合(285)、又は所定の時間限度に達した場合、RFエネルギーを停止させ、プロセスが終了する(281)。
【0099】
次の後の状態(275)では、モニタされた位相角が所定の位相値、例えば35°を超えて増大している場合、位相を増大状態又は条件についてモニタし続ける。しかしながら、モニタされた位相角がこれとは異なり、所定の位相値、例えば15°を下回って減少している場合(278)、又は所定の時間限度に達した場合、位相を減少状態又は条件についてモニタし続ける。次に、モニタされた位相角が5°を下回って減少した場合(282)、又は所定の時間限度に達した場合、RFエネルギーを停止させ、プロセスが終了する(281)。次の後の状態(276)では、モニタされた位相角が所定の位相値、例えば40°を超えて増大している場合、位相を減少状態又は条件があるかどうかについてモニタし、モニタされた位相角が所定の位相値、例えば15°を下回って減少している場合(278)、又は所定の時間限度に達した場合、位相を減少状態又は条件についてモニタし続ける。次に、モニタされた位相角が所定の位相値、例えば5°を下回って減少している場合(282)、又は所定の時間限度に達した場合、RFエネルギーを停止させ、プロセスが終了する(281)。想定されると共に注目されるように、上記において提供されると共に本願全体を通じて説明した例示の且つ動作的に密封/溶融及び切断/切開プロセス又はシステムに関し、小刻みなチェックの頻度及び/又は増大し又は減少する状態、例えば増大し又は減少する所定の角度又は変化率の指示は、特定の電気外科的機器、発生器、組織及び/又は外科的処置に基づいて所望の又は必要とされる互いに異なり且つ様々なレベル及び調整又は制御の細分性をもたらすよう様々であって良い。
【0100】
図22〜
図24は、本発明の種々の実施形態による例示の血管密封/溶融利用システム及びプロセスのグラフ図である。図示のように、約3×収縮期破裂圧力を超えて組織シールを提供する成功率223は、高く、血管を最高4mmのサイズまで密封する時間223は、短く、例えば2秒未満であった。血管を4〜7mmにわたって密封する時間も又、短縮されており、例えば5秒未満であった。位相角が最大値から所定の位相値、例えば5°まで減少する時間は、最高4mmまで密封する時間よりも長い。種々の実施形態に従って好結果の血管シールを提供し例えば3倍を超える収縮期破裂圧力に耐えながら密封時間におけるかかる変化又は減少は、位相傾向の導関数の変曲点のところでの識別及び/又はトリガによって改善されて小刻みなチェック、状態指標又はしきい値に組み込まれる。種々の実施形態では、位相傾向の導関数の変曲点は、位相傾向が増大状態から減少状態に変化する点で識別される。
【0101】
図23に示されているように、血管は直径が6.62mmであり、首尾良く密封され、例えば、12.7psiの破裂圧力を示している。加うるに、図示のように、位相角230gは、RFエネルギーを加えたときに増大する。増大速度並びに組織の温度230dは、迅速ではないが、むしろ十分に遅い。変曲点231、例えば位相が増大から減少に変化する点がRFエネルギーを停止させる前の約1.5秒で起こる。
図24に示されているように、血管は、直径が1.89mmであり、首尾良く密封され、例えば、13psiの破裂圧力を示した。位相角240g及び温度240dの全体的傾向は、先の血管密封とほぼ同じであるが、
図24に示されている時間スケールは、
図23の時間スケールの約1/4である。また、図示のように、位相230g,240gは、他の組織の読み又は指標、例えば電圧230a,240a、電力230b,240b、インピーダンス230e,240e、エネルギー230c,240c、温度230d,240d、及び電流230f,240fに対して示されている。加うるに、
図23及び
図24に示されているが、種々の実施形態では、発生器は、経常費及び電力費並びに電力消費量及び/又は発生器の部品数を減少させるために指標又は読みのうちの1つ又は2つ以上、例えば温度又はエネルギーを測定せず又は計算しないよう構成されている。追加の情報又は読みは、一般に、関連した目的のために提供され又は示されている。
【0102】
注目されるように、組織のインピーダンスは、全シールサイクルに関してその最小値の近くである。したがって、これにより、低電圧及び大電流が提供され、かくして、シールサイクル全体にわたって一貫した電力送り出しが得られる。効果的な又は一貫した電力送り出しにより、熱の広がりが減少する。種々の実施形態によれば、密封のための時間を減少させることができ、50Vrms未満への電圧出力の減少及び/又は50ワット未満への電力出力の減少が得られる。誤った読みを回避するため、種々の実施形態によれば、電気外科的発生器は、組織へのRFエネルギーの供給中、組織の抵抗又はインピーダンスを測定しない。
【0103】
種々の実施形態によれば、RFエネルギーの制御と共に効果的な供給によって両極性電気外科的器具と接触状態にある血管又は組織を密封するために熱の広がりを減少させ、低出力レベル及び効率的な電力送り出しを可能にする電気外科的システムが提供されている。
【0104】
本願全体を通じて説明したように、電気外科的発生器は、究極的には、RFエネルギーを接続状態の電気外科的器械に供給する。電気外科的発生器は、供給されたRFエネルギーが指定されたパラメータを超えることがないようにし、故障又はエラー条件を検出する。種々の実施形態では、電気外科的器械は、RFエネルギーを外科的処置のために適切に加えるために用いられる指令又は論理を提供する。電気外科的器械は、電気外科的発生器と関連して器械の動作を定める指令及びパラメータを有するメモリを含む。例えば、単純な場合、発生器は、RFエネルギーを供給することができるが、接続状態の器械は、エネルギーをどれほど加えるかを定める。しかしながら発生器は、RFエネルギーの供給が例え接続状態の器械によって定められている場合であっても設定されたしきい値を超えることができないようにし、それにより故障器械指令に対してチェック又は保証を提供する。
【0105】
次に種々の実施形態に従って本明細書において説明した電気外科的ツール又は器械の動作上の観点のうちの幾つかに着目すると、血管又は組織の束を溶融、切開又はこれら両方のためにいったん識別すると、第1のジョーと第2のジョーを組織の周りに配置する。可動ハンドル23を絞って可動ハンドルを静止ハウジング28に対して近位側に動かす。可動ハンドルが近位側に動くと、第1のジョーは、第2のジョーに向かって回動し、組織を効果的にクランプする。静止ハンドルに設けられている作動ボタンを押すことによって高周波エネルギーを組織に加える。組織をいったん溶融させ、切開し又はこれら両方を行うと、可動ハンドルを再び開く。
【0106】
代替的に又は追加的に、ジョーが完全開き位置に又は完全開き位置と係合位置との間の中間位置にある状態で、作動ボタン又は別個の作動ボタンを押すことによって高周波エネルギーを下側ジョーの下面又は一部分と接触状態にある組織に加えて組織の溶融及び/又は切開を行っても良い。
【0107】
概略的に上述すると共に以下に詳細に説明したように、種々の電気外科的器械、ツール又は器具を本明細書において説明した電気外科的システムに用いることができる。例えば、電気外科的把持器、はさみ、ピンセット、プローブ、針、及び本明細書において説明する観点のうちの1つ、幾つか、又は全てを含む他の器械は、電気外科的システムにおいて種々の利点をもたらすことができる。種々の電気外科的器械及び発生器の実施形態並びにこれらの組み合わせを本願全体を通じて説明した。一般的に本願全体にわたって説明した特徴のうちの1つ、幾つか、又は全てを以下において説明した器械、発生器及びこれらの組み合わせの実施形態のうちの任意のものに含めることができるということが想定される。例えば、説明した器械の各々が上述した発生器との対話のためにメモリを有し、またこの逆の関係が成り立つことが望ましい場合がある。しかしながら、他の実施形態では、説明した器械及び/又は発生器は、器械メモリの対話なしで、標準型両極性高周波電源と対話するよう構成されていても良い。さらに、説明を容易にするためにモジュール及び/又はブロックの観点で種々の実施形態を説明したが、かかるモジュール及び/又はブロックを1つ又は2つ以上のハードウェアコンポーネント、例えばプロセッサ、ディジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブル論理回路(PLD)、特定用途向け集積回路(ASIC)、開路、レジスタ及び/又はソフトウェアコンポーネント、例えばプログラム、サブルーチン、論理及び/又はハードウェアとソフトウェアコンポーネントの組み合わせによって具体化できる。同様に、かかるソフトウェアコンポーネントをハードウェアコンポーネント又はこれらの組み合わせと交換可能であり又はその逆の関係が成り立つ。
【0108】
電気外科的ユニット、器械及びこれら相互間の接続部並びにこれらの動作及び/又は機能の別の実施例が2009年4月1日に出願された米国特許出願第12/416,668号明細書(発明の名称:Electrosurgical System)、2009年4月1日に出願された同第12/416,751号明細書(発明の名称:Electrosurgical System)、2009年4月1日に出願された同第12/416,695号明細書(発明の名称:Electrosurgical System)、2009年4月1日に出願された同第12/416,765号明細書(発明の名称:Electrosurgical System)及び2009年3月31日に出願された米国特許出願第12/416,128号明細書(発明の名称:Electrosurgical System)に記載されており、これらの特許文献を参照により引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。これら電気外科的発生器、ツール及びシステムの或る特定の観点を本明細書において説明し、そして種々の実施形態に関する追加の細部及び実施例が2014年5月16日に出願された米国特許仮出願第61/994,215号明細書(発明の名称:Electrosurgical Fusion Device)、2014年5月16日に出願された同第61/944,185号明細書(発明の名称:Electrosurgical Generator with Synchronous Detector)、2014年5月16日に出願された同第61/994,415号明細書(発明の名称:Electrosurgical System)、及び2014年5月16日に出願された同第61/944,192号明細書(発明の名称:Electrosurgical Generator )に記載されており、これら米国特許仮出願を参照により引用し、これらの開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0109】
上述の説明は、当業者が手術用器械を製作して用い、そして本明細書において説明した方法を実施することができるようにするために提供されており、かかる説明は、発明を実施する本発明者によって想定される最適態様を記載している。しかしながら、種々の改造が当業者には明らかなままである。これら改造例は、本発明の範囲に含まれることが想定されている。加うるに、種々の実施形態又はかかる実施形態の観点は、種々の図に示されると共に明細書全体にわたって説明されていると言える。しかしながら、注目されるべきこととして、図示され又は別々に説明されているが、各実施形態及びその観点を別段の指定がなければ、他の実施形態のうちの1つ又は2つ以上及びその観点と組み合わせることができる。本明細書の読みやすさを高めるために各組み合わせを明示的に記載していないに過ぎない。また、本発明の実施形態は、あらゆる点で例示であって本発明を限定しないと考えられるべきである。