(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
関節全置換術(TJR)(一次関節全置換術とも呼ばれる)は、関節の連接表面が、補綴コンポーネント、または移植片(implant)で置換される外科的手順である。TJRは、特に股関節、膝、肩、および足首に成功的な手順であることが証明されていて、人が、変形性関節症と関連する痛みを大いに低減させながら機能回復するのを可能にする。
【0004】
骨は、破骨細胞によるマトリックスの再吸収および骨芽細胞による新規マトリックスの沈着を通して絶えず変化する、生きた組織である。関節軟骨は、関節の表面上に見られる無血管組織であり、滑らかな界面を与えるのに役立ち、その上で骨が互いに連接することができる。TJRは、関節の典型的に摩耗した関節面が、補綴コンポーネント、または移植片で置換される、整形外科の手順である。TJRは典型的に、用いられる移植片および関節に応じて変化する量の骨を含む、関節の関節軟骨の除去を必要とする。この軟骨および骨は、それから、新たな関節表面を作るのに用いられる合成の移植片、典型的には金属またはプラスチックで置換される。
【0005】
関節置換術で用いられる置換移植片は、耐用年数が制限され、置き換えが必要な場合がある。TJR移植片の置き換えは、関節再全置換(RTJR)と呼ばれ、古い移植片(単数または複数)を骨から除去するステップ、TJR中に用いた任意の骨セメント(ポリ(メチルメタクリレート)またはPMMA)を除去するステップ、新たな修正(revision)移植片(単数または複数)に適合するように骨を再形成するステップ、および、新たな修正移植片(単数または複数)を骨の中に置くステップを含む。外科医は典型的に、以前のTJRからの骨セメントの位置および量についての情報量が制限されるので、RTJRは困難で長い手順であることが知られている。古い移植片および骨セメントの除去の両方とも、典型的に、骨刀、鋸、パンチ、電動鋸、電動バー、および超音波機器を含む、様々なハンドツールを用いて行なわれる。しかしながら、これらのツールは、特に、より深い空洞または小さな穴から骨セメントを除去しようとする場合に、使用するのが長々とし得る。加えて、これらのツールは、移植片または骨セメントを除去するときに、骨折する危険性が存在する。骨セメントおよび骨−移植片界面の視認性を高めるために、穴または窓を、骨の中に切断または穴あけすることができるが、これらの手順は骨を弱めて、その後の骨折の危険性を高める可能性がある。
【0006】
関節再形成術は、術中のチャレンジをしばしば示す、技術的に困難な手順である。例えば、以前の移植片または骨セメントの除去が困難であることは、健康な骨の過剰な除去をもたらし得る。加えて、骨構造はツールにより損傷され得て、骨セメントの全てを十分に除去するのに必要な時間の長さは、患者の安全性を危険にさらし得る。骨セメントまたは他の材料を除去するためのコンピューター実施システムおよび方法は、本出願の譲受人に割り当てられる米国特許第5,769,092号に記載される。しかしながら、関節再形成術中の、骨およびまたは骨セメントの除去の改善を可能にし得る、イメージングにおける前進が存在している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、整形外科の外科的処置を行なうためのシステムおよび方法として有用性がある。本発明の様々な実施態様の以下の説明は、本発明をこれらの具体的な実施態様に制限することを目的としないが、むしろ、その例示的な態様を通して任意の当業者が本発明を作成および使用するのを可能にさせる。患者の既存の移植片を、整形外科の外科的処置における登録ツールとして使用するシステムおよび方法が、本明細書において開示される。さらに、システムおよび方法は、骨、骨セメント、または骨の補綴の除去を支援するためのコンピューター支援システムまたはナビゲーションシステムで用いられ得て、典型的に、骨の補綴は、股関節置換術、膝関節置換術などにおいて用いられる。補綴の除去は、ナビゲーションシステム、ロボット支援、または連接型ハンドヘルドシステムを用いた従来の方法によりなされ得る。骨および/または骨セメントの除去は、ナビゲートシステム、ロボットシステム、連接型ハンドヘルドシステム、およびそれらの組み合わせを用いて行なわれ得る。開示される発明で用いられ得るロボットシステム、ナビゲーションシステム、および連接型ハンドヘルドシステムの例は、ROBODOC Surgical System(THINK Surgical,Inc.)、NavioPFS System(Blue Belt Technologies,Inc.)、RIO Robotic System(Mako Surgical Corp.)、OrthoMap ASM膝ナビゲーション(Stryker Corporation)、ナビゲートフリーハンド鋸(TRAK Surgical)、ナビゲート切断ガイド、4自由度の鋸、1〜7自由度のシステム、少なくとも1自由度の連接型ハンドヘルドシステム、その全体で参照により本明細書中に援用される、仮出願62/054,009において本出願の同一譲受人により開示される連接型ハンドヘルド穴あけシステム、または任意の他のコンピューター制御またはコンピューター支援の外科的デバイスを含んでよい。
【0013】
股関節および膝関節の置換に対する参照が本明細書においてなされ、本発明は、体内の他の関節および体内に見られる任意の他の骨に適用され得ることが理解される。本発明に頼って修復されるこれらの他の関節は、例示的に、股関節、肩関節、足首関節、手首関節、指関節、足指関節、または他の関節を含む。本明細書において用いられる対象は、ヒト;または非−ヒト霊長類の動物、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、齧歯類、および鳥として定義される。
【0014】
本発明の実施態様は、患者の移植片の公知の形状(geometry)を用いる方法を提供して、関節再形成術中に患者の術前プランに対して迅速かつ正確な術中の登録を提供する。本発明の概念の実施態様は、コンピューター断層撮影(CT)を介してスキャンされた患者の移植片の形状のセグメント化を含み、その後に、移植片製造元の三次元(3D)モデルの登録をして;したがって、正確で予測可能なデジタル化ターゲットが利用可能である。あるいは、CTよりむしろ二平面のX軸を用いて、移植片製造元の3Dモデルを患者上に登録し得る。術前プランは、二平面のX軸上に作成され得て、それはそれから、製造モデルに対して配置された3−D移植プランに変換される。移植片除去後の残存する骨ストックは、術前プランのセットから最良のプランが選択され得るように測定される。移植の形状は患者の手術される骨(operative bone)よりもずっと高い精度で知られているので、本発明の方法の実施態様は有利である。医用デジタル画像と通信(DICOM)標準的なファイルにおける移植片をセグメント化する方法は、骨のセグメント化と比較した場合、より少ないコンピューターによるステップおよび時間を要するので有利である。加えて、患者の移植片の製造元の3Dモデルの使用は、骨に対するデジタル化の従来の方法と比較して、術中の登録のために必要なデジタル化ポイントがよりいっそう少ない。正確な移植モデルは、術野の外側の解剖学的構造の任意の部分のデジタル化を必要とせずに、患者の全体的な手術される骨に対する正確なデジタル化を可能にする。骨をスキャンおよび/またはセグメント化する精度は、プランニング精度およびデジタル化精度の両方よりむしろ、プランニング精度のみに影響する。移植片がDICOM標準的なファイルに対して計画されて骨のソリッドモデルに対して計画されない場合、骨のセグメント化は必要でない。
【0015】
本発明の方法の特定の実施態様では、移植片の1つまたは複数の表面に沿ってナビゲート切断をするためのシステムおよび移植片モデルライブラリーのみを考慮すると、表面が平面、または、セメント接着されたまたはされていない他の任意の(arbitrary)形状である場合、表面ポイントの座標は、膝関節全置換術(TKR)の修正中、移植片の露出した表面、例えば脛骨トレイから集められる。続いて、システムは、移植片ライブラリーにおける3D移植モデルと集められた表面座標との間に、ベストフィットマッチを見つける。ベストフィットの移植片が決定された後に、3D移植モデルは、患者のデジタル化された移植片に対して、その結果患者の手術される骨に対して、登録される。ユーザーはそれから、従来の方法を用いて移植片を除去し得る。移植片除去後の残存する骨ストック(bone stock)を、術前プランのセットから最良のプランが選択され得るように測定して、ナビゲートシステム、ロボットシステム、または上述のもののような連接型ハンドヘルドシステムを用いて、新たな移植片のために骨が準備される。
【0016】
本発明の方法の一実施態様では、移植片の1つまたは複数の表面に沿ってナビゲート切断をするためのシステムおよび移植片モデルライブラリーのみを考慮すると、表面が平面、または、セメント接着されたまたはされていない他の任意の(arbitrary)形状である場合、表面ポイントの座標は、膝関節全置換術(TKR)の修正中、移植片の露出した表面、例えば脛骨トレイから集められる。続いて、システムは、移植片ライブラリーにおける3D移植モデルと集められた表面座標との間に、ベストフィットマッチを見つける。ベストフィットの移植片が決定された後に、3D移植モデルは、患者のデジタル化された移植片に対して、その結果患者の手術される骨に対して、登録される。ロボットシステムまたは連接ドリルシステムを用いたナビゲーションの下での切断デバイスをそれから用いて、さらに重大な損傷を骨に生じさせずに移植片を取り除くのに十分に分離されるまで、連結表面を分離させる。
【0017】
例えば、修正TKR術では、仮出願62/054,009に開示されるナビゲート型の自己連接型ハンドヘルド切断ツールのドリル先端を用いて、ナビゲーション空間内の3D座標を集めながら移植片の表面を(ライナーの除去後に)トレースする。集められた座標は、それから、脛骨トレイのライブラリーにベストフィットされて、平面は、トレイの底面が配置された空間において、今(now)登録されたトレイの形状から計算される。続いて、カッターが脛骨トレイの下の材料を取り除くように、平面が存在するおおよその(approximate)位置にカッターが配置されて、カッターは、自己連接、および、平面に対してトラッキングモードにロックすることが可能にされる。カッターのスイッチが入れられて、骨の動きがある場合でさえも、カッターの方向がロックされている平面を注意深く切断するのを開始する。操作者は、場合により、竜骨に対するドリルの現在の位置を特定するグラフィカルな特質のフィードバック情報を見直すことにより、竜骨の周りを注意深く切断する。竜骨の周りの切断が、外科医が十分であると感じる程度に終了した時点で、脛骨トレイが引かれて、平面状の骨表面を後に残す。脛骨表面上にセメントが残っている場合は、操作者はシステムに、平面をより低い深さまで切断して、それから、切断を繰り返してセメントの残りを削り取るべきであることを示し得る。このようにして、本発明は、骨セメントの手作業の除去を減少させる。一実施態様では、ハンドヘルド連接システムは、竜骨が切断されないことを確実にする自由度を有し得る。例えば、NavioPFSシステム(Blue Belt Technologies)はハンドヘルドデバイスを備え、それにより、カッターが直線状に作動する。システムは、ユーザーがカッターを動かすときに、能動的な直線状作動に起因して、脛骨ベースプレートの竜骨に衝撃を与えるのを能動的に避けることができる。
【0018】
あるいは、ユーザーは、移植片モデルを用いずに、例えば、ナビゲート型の自己連接型ハンドヘルド切断ツールのカッターの先を用いて、トレイまたはセメント層の底面を配置することができる。ユーザーは、脛骨ライナーを取り除いた後に、脛骨トレイの上部のポイントをデジタル化して、その平面をナビゲート空間内に規定し得る。ユーザーは、それから、脛骨トレイ平面とセメント層またはトレイ底面との間のオフセット距離をデジタル化する、トレイの底面またはセメント層におけるポイントを集める。ユーザーは、それから、連接カッターを、上部平面に対して平行だがトレイの底面またはセメント層に対してオフセットに下へ(offset down)保持して、移植片の除去またはセメントを通した切断をする。このようにして、本発明は、骨セメントの手作業の除去を減らして、製造元の移植片モデルを必要とせずに、健康な骨を維持する。
【0019】
さらに、大腿および大腿骨コンポーネントのいずれかまたは両方が欠損した場合、セメントは典型的に、分離した、平らでない表面を有するが、セメントは、骨にまだ付着している大腿および大腿骨コンポーネントの断片の上部に、平らな表面を有する。骨の上の移植片の位置は、セメントの平らな表面の上部を単純にデジタル化して、5個の平面の一般的なセットを作成するか、または移植片の内側表面の公知の形状を登録することにより決定され得て、それから、それを用いて、1)術前プラン、2)セメントを拭い去るための骨リサーフェイシング、または、3)例えば数ミリメートル大腿骨に関して近位の移植片の位置の変更を実行することができ、それから、ハンドヘルドデバイスを用いて実行し得る。
【0020】
移植片除去のための方法は、ナビゲートデバイスおよび/またはロボット支援デバイスを用いて同様に使用され得ることが理解されるべきである。例えば、脛骨トレイの3D座標、骨セメントの平らな表面、トレイのおよび/またはセメント層の底面は、光学的な追跡システム、ナビゲーションシステム、ロボットシステム、およびそれらの任意の組み合わせと通信した、光学的または機械的デジタイザープローブを用いて、規定および/または集められ得る。座標を用いて、移植片の除去、例えば、移植片と骨との間の切断を支援することができる。または、データを用いて5個の平面の一般的なセットを規定することができ、または、移植片の内側表面の公知の形状を登録して、それから、それを用いて、1)術前プラン、2)セメントを拭い去るための骨リサーフェイシング、または、3)例えば数ミリメートル大腿骨に関して近位の移植片の位置の変更を実行することができ、それらは全て、上述のもののようなナビゲートシステムまたはロボットシステムを用いて実行され得る。
【0021】
別の実施態様では、ロボットシステム上のクランプは、規定位置において既存の移植片に取り付けられ得る。移植片上のクランプの配置は、ロボットシステムに、移植片の位置および方向を提供し、したがって、デジタル化は必要でない。それから、ロボットシステムは、新たな移植片に関する術前プランを同時に実行しながら、例えば移植片の下または周りを切断することによって、移植片に対する術前プランを実行してそれを取り除く。
【0022】
また、本明細書に開示される実施態様は、膝関節片側再手術(revision unicompartmental knee surgery)でも用いられ得る。移植片は同様にスキャンされ、セグメント化され、登録に使用される。UKA移植片が術中に登録された後に、既存の移植片を、ナビゲートシステム、ロボットシステム、またはハンドヘルド連接システムを用いた従来の方法により取り除くことができる。それから、ナビゲーションシステム、ロボットシステム、またはハンドヘルド連接システムを用いて、既存の移植片があってその反対側には移植片がある骨を準備することができ、または、患者の必要性および診断に応じて、膝全体を修正する場合のために骨全体を準備することができる。例えば、患者が側部の膝関節片側置換術を有する場合、側部の移植片を、外科的手順に関する登録のために用いてよい。外科的手順は、膝の側部側の修正の場合であり得て、または、膝内側の一次膝関節片側置換術であり得て、または、膝関節全置換術の手順のためであり得る。移植片は、手術領域内の全ての解剖学的構造のための登録ツールを提供する。
【0023】
既存の補綴が骨にしっかり固定されて除去が困難である股関節再全置換術の場合、かなりの骨が、補綴の遠位部へ移動される必要があり得る。一実施態様では、ユーザーは、大腿骨の近位部内の露出した補綴をデジタル化して、製造元のモデルに補綴を登録して、それにより、術前プランに登録することができる。登録された時点で、システムは、外科医によって計画されたとおりの、補綴の遠位端における清潔な骨切り術(clean osteotomy)を可能にする。外科医は骨内の移植片を視覚的に見ることができないので、システムは、補綴位置を決定するために骨に多数の穴をあけるステップまたは任意の当て推量をなくす。続いて、システムは、二次補綴のための挿入のための露出した骨ストックを準備し得る。システムは、ナビゲートシステム、ロボットシステム、またはハンドヘルド連接システムのいずれかであり得る。
【0024】
加えて、股関節再全置換術では、セメント除去はしばしば、新たな移植片のための管を適切に準備することが要求される。一実施態様では、移植された補綴を製造元のモデルに登録した後に、システムを用いて、補綴の周りのナビゲート超音波セメント除去を提供して、補綴除去を促進し得る。システムは、移植片表面の特定の距離内に配置されると超音波ツールを活性化し得る。このことは、規定された「セーフゾーン」内でツールを操作するのを維持して、周辺組織に生じる任意の損害の危険性を低減させる。例えば、ナビゲートシステム、ロボットシステム、またはハンドヘルドシステムを用いて、OSCAR 3(Orthosonics)のような超音波デバイスを、術前画像において特定されている骨セメントを除去するのに安全な距離であるように配置し得る。
【0025】
別の実施態様では、移植片上に完全に固定する移植片特異的ガイドが作成され得る。ガイドは、新たな膝移植片が術前プランに対して正確に配置されるように、鋸スロットに関する位置を有する。あるいは、移植片特異的なピンガイドが用いられ得る。ガイドは、移植片上に完全に固定して、外科医に、術前プランの一部であるピンを置く場所を示す。次に、移植片が除去されて、それから、ガイドが配置されたピンに切断ガイドが固定されて、それを用いてプランが終了する。
【0026】
ロボット支援の外科的処置を行なうためのシステムおよび方法は、米国特許第5,086,401号に記載されている。コンピューター支援イメージングおよびプローブ追跡システムは、米国特許第5,383,454号;第5,198,877号;およびWO91/07726に記載されている。ここで
図1を参照して、ロボット支援の外科的処置のための本発明の修正方法を実施可能な例示的なシステムが、10に概して示される。システム10は、例えば、CADモデルデータセット15の形式での、術前プランニングワークステーション12および移植デザインのライブラリー14の両方を備える。骨画像データセット16、例えば代表的なCT骨画像が得られて、術前プランニングワークステーション12へ伝送される。ユーザー、例えば治療医師、または、治療医師と作業する助手は、術前プランニングワークステーションで作業して、適切な移植デザインを患者の骨内に選択および配置することができる。そのような術前プランニングの詳細は、上記に挙げたORTHODOC術前プランニングシステムに関する文献に十分記載されている。
【0027】
また、システム10は、プログラム可能なコンピューターの形式でのデジタルプロセッサのようなロボットコントローラー22、オンライン表示画面24、およびロボットアーム26を備える、ロボット外科的システム20を備える。ロボットアーム26は、少なくとも5個の軸を備えて高精度の配置が可能である操作可能なロボットアーム28を備える任意の従来の産業ロボットであり得る。一部の実施態様では、力−トルクセンサー30がアーム28の遠位端に備え付けられて、プローブ32または外科的切断ツール(示さず)の形態でのエンド−エフェクターが、力−トルクセンサーに取り付けられ得る。
【0028】
ロボットシステム20は、セーフティプロセッサ44、およびリアルタイムモニタリングコンピューター46をさらに備える。力−トルクセンサー30、セーフティプロセッサ44、リアルタイムモニター46、および骨動作モニター50は、それぞれ、操作可能なアーム28のエフェクター末端の、位置、滑り、および阻止を監視するのを助ける。一部の実施態様では、骨60(例えば、大腿骨)は、固定アセンブリ52内に所定の位置に保持される。これらのパラメーターのリアルタイムモニタリングは、ロボットシステムが計画されたとおりに操作していることを確認にするのを助け得る。これらのモニタリングシステムの詳細は、ROBODOCロボット外科的システムを記載する上記に挙げた文献に記載されている(THINK Surgical,Inc.,Fremont,California,USA)。
【0029】
本発明の実施態様の一部では、デジタル化された骨データのセットは、ロボット座標系に登録された骨デジタイザーアームによって測定される骨上の多くの表面位置の座標位置を含む。したがって、システム10は、例えば共同所有の米国特許第6,033,415号に記載される、骨デジタイザーアーム100をさらに備える。取得されるデジタル化された骨データセット17は、デジタイザーアーム100により得られて、骨画像データセット16をロボット座標系に変換するのに用いられる。DICOMのようなデータセットは、さらなるソースから容易に得られることが理解されよう。
【実施例】
【0030】
実施例1:修正TKR手順(現在の移植片の継ぎ目の復元)
患者の現在の移植片の継ぎ目を復元するための修正TKR手順のための本発明の方法の実施態様の実施では、手順は、術前プロトコル、術中プロトコル:登録、および術中プロトコル:外科的手順を含む、3ステップのプロトコルで行なわれる。
【0031】
修正TKRのための本発明の実施態様の術前プロトコルの実施態様は、設置された移植片を有する手術される骨のCTスキャンを取得するステップ;容積測定データから、設置された移植片をセグメント化するステップ;移植片の領域の外側の骨をセグメント化するステップ(術前プランニングのためだけであり、術中には必要でない);移植片の作成/モデル/サイズを決定するステップ、および、製造元の3Dモデルを患者内のセグメント化された移植片に登録するステップを含み、したがって、製造元の3Dモデルおよび患者のDICOMデータの間の変換行列を与える。移植片は、どの移植片の作成、モデル、およびサイズが、セグメント化された移植片に最も合うかを判定することにより自動的に決定され得て、または、移植片は、作成、モデル、およびサイズが公知である場合は、手作業で特定もされ得る。外科的処置は、任意の手順を用いて、DICOMデータに対して計画される。所定の移植片については、移植片除去後に残存している骨の量に依存したいくつかの事前にパッケージされたプランが存在する。外科的プランは、設置された(古い)移植片の関節面と並べて新たな移植片の関節面を配置する。外科的プランは、新たな平面状の切断が古い平面状の切断からオフセット(offset)される量が異なる。本発明の特定の実施態様では、プランは、古い移植片(製造元のモデル)に対して自動的に作成されて、全てのプランは手順が行われる手術室内で利用可能である。
【0032】
術中プロトコルの本発明の実施態様は、患者の手術される骨に堅く固定された患者の移植片をデジタル化するステップ;デジタル化された移植片を公称(nominal)3−Dモデルに登録して、その結果、デジタル化された移植片と製造元の3−Dモデルとの間の変換行列を提供するステップ;および、デジタル化された移植片と患者のDICOMデータとの間の変換行列を計算して、それにより、患者の手術される骨全体を術前プランのセットに登録するステップ、による、修正TKRのための本発明の実施態様の登録を含む。
【0033】
術中プロトコルの実施態様:TKA復元のための本発明の実施態様の外科的手順は:補綴コンポーネントを患者から除去するのを開始するステップ、および、コンポーネントを除去した後に、前部−後部、近位−遠位、および他の方向を例示的に含む様々な平面での摘出中に除去された骨の量を測定するステップ;残存する骨ストック内に新たな平面状の切断を配置するプランを選択するステップ;ロボットを用いて骨を切断して、髄内管に穴をあけるステップ;以前の移植片の関節面が復元されるように、加えられた骨除去を補うのに適切なシムを用いて、大腿骨コンポーネントを移植するステップ;および、以前の移植片の関節面が復元されるように、加えられた骨除去を補うのに適切なポリの厚さを用いて、大腿骨コンポーネントを移植するステップを含む。本明細書において用いられるポリは、様々な度合の架橋のポリエチレン;他のポリアルキレン、フッ素化ポリアルキレン、および、それらの共重合体を例示的に含む、TKA移植片に慣習のポリマー接触表面を指す。
【0034】
実施例2:修正TKR手順(機械軸に垂直な新たな継ぎ目)
機械軸に垂直な新たな継ぎ目を作成するための修正TKRのための本発明の方法の実施態様の実施では、手順は、術前プロトコル、術中プロトコル:登録、および術中プロトコル:外科的手順を含む3ステッププロトコルで行なわれ得る。
【0035】
修正TKRのための本発明の実施態様の術前プロトコルの実施態様は:設置された移植片を有する骨のCTスキャンを取得するステップ;設置された移植片をセグメント化するステップ;移植片の領域の外側の骨をセグメント化するステップ:術前プランニングのみであり術中は必要でない;移植片の作成/モデル/サイズを決定するステップ、および、製造元の3Dモデルを患者内のセグメント化された移植片に登録して、その結果、製造元の3Dモデルと患者のDICOMデータとの間の変換行列を提供するステップを含む。移植片は、どの移植片の作成、モデル、およびサイズが、セグメント化された移植片に最も合うかを判定することにより自動的に決定され得て、または、移植片は、作成、モデル、およびサイズが分かっている場合は、手作業で特定もされ得る。標認点は、手順が行われる手術室において利用可能なDICOMデータ上に置かれる。
【0036】
術中プロトコルの実施態様:TKA復元のための本発明の実施態様の登録は:患者の手術される骨に堅く固定された患者の移植片をデジタル化するステップ;デジタル化された移植片を公称3Dモデルに登録して、その結果、デジタル化された移植片と製造元の3Dモデルとの間の変換行列を提供するステップ;および、デジタル化された移植片と患者のDICOMデータとの間の変換行列を計算して、それにより、患者の手術される骨全体を標認点のセットに登録するステップを含む。
【0037】
術中プロトコルの実施態様:TKA復元のための本発明の実施態様の外科的手順は:補綴コンポーネントを患者から除去するのを開始するステップ;単一の点を用いて大腿骨の近位−遠位レベルをデジタル化して、機械軸に対してオルトゴナルの遠位の平面状の切断をして、それから、外科医が使用を望む新たな移植片モデルおよびサイズに特異的な面取り切断を行なうステップ(
図2A、2B、および2Cに、それぞれ、大腿骨102、面取り切断120、および移植片140が示される);および、単一の点を用いて脛骨の近位−遠位レベルをデジタル化して、機械軸に対してオルトゴナルの遠位の平面状の切断をして(大腿の準備と同様)、それから、外科医が使用を望む移植片モデルおよびサイズに特異的な脛骨を成形するステップを含む。上記のステップに対する変更において、特定の実施態様では、術前プランニングまたは標認点は実施または作成されず、切断位置は術中に作成される。
【0038】
実施例3:修正THR手順
股関節移植片を復元するための修正THRのための本発明の方法の実施態様の実施では、手順は、術前プロトコル、および、登録および外科的手順を有する術中プロトコルを含む、プロトコルステップにおいて行なわれ得る。
【0039】
修正THRのための本発明の実施態様の術前プロトコルの一実施態様は、設置された移植片を有する骨のCTスキャンを取得するステップ;設置された移植片をセグメント化するステップ;移植片の領域の外側の骨をセグメント化するステップ:術前プランニングのためのみであり術中は必要でない;移植片の作成/モデル/サイズを決定して、製造元の3Dモデルを患者内のセグメント化された移植片に登録して、その結果、製造元の3Dモデルと患者のDICOMデータとの間の変換行列を提供するステップを含む。移植片は、どの移植片の作成、モデル、およびサイズが、セグメント化された移植片に最も合うかを判定することにより自動的に決定され得て、または、移植片は、作成、モデル、およびサイズが分かっている場合は、手作業で特定もされ得る。外科的処置は、任意の手順を用いてDICOMデータに対して計画される。所定の移植片のために、移植片とセメントの両方の除去の後に残存している骨の量に依存する、いくつかの事前にパッケージされたプランが存在する。外科的プランニングの間、目標は、新たな移植片コンポーネントの位置が骨内に十分に固定されていることを確認しながら、所望の脚長、オフセット、前傾角度、および動作範囲を達成することである。残存している骨の量に依存する多数のプランが作成され得て、全てのプランが、手順が行われる手術室内で利用可能である。
【0040】
修正THR復元のための本発明の実施態様の術中プロトコルの実施態様は、以下を含む:
A)標準的な転子骨切り術(1)、転子スライド骨切り術(2)、または拡張転子骨切り術(3)が、
図3に示されるように行なわれるかどうか選択するステップ
B)以下を登録するステップ
i.移植片および骨の最も優位に露出した交差をデジタル化する(だいたい、
図3にドットがある箇所)
ii.必要な場合は、骨切り術の領域内にいくつかの穴をあけて、登録の改善のために、移植片に沿って追加の点をデジタル化する
iii.大腿骨の側部シャフトに沿って、転子骨切り術の「末端」または遠位、エンドポイントをデジタル化する、または、骨の表面上の骨切り術のパスをデジタル化する。
iv.デジタル化された移植片を公称3−Dモデルに対して登録して、その結果、デジタル化された移植片と製造元の3−Dモデルとの間の変換行列を提供する。
v.デジタル化された移植片と患者のDICOMデータとの間の変換行列を計算して、その結果、患者の手術される骨全体を術前プランのセットに対して登録する
C)移植片を除去するステップ
D)残存する骨ストックを測定して、適切なプランを選択するステップ
E)新たな移植片の3−Dモデルを用いて、ロボット外科的システムが、術前プランによって、患者の大腿骨を切断するステップ
F)任意のさらなる骨の準備を手作業で行なうステップ
G)所望の移植片を挿入するステップ。
【0041】
以前の詳細な説明から、および、図面および特許請求の範囲から、当業者が認識するように、以下の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲を逸脱せずに、本発明の好ましい実施態様に対して改変および変更を行なうことができる。