【実施例】
【0092】
実施例1
臨床試験プロトコル
[00113] 腫瘍がアンドロゲン受容体陽性(AR+)かつトリプルネガティブである患者におけるエンザルタミド処置の臨床的有用性を決定するために、臨床試験が実施された。この試験では、AR+は、免疫組織化学(IHC)によるあらゆる核AR染色として定義されており、TNBCは、エストロゲン受容体(ER)およびプロゲステロン受容体(PgR)に関するIHCによる1%未満の染色、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)に関するIHCによる0もしくは1+、または2+IHC疾患に関するインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)によるHER2増幅に関する陰性として定義されている。AR染色は、それぞれが個々に乳癌組織に対して最適化された2種類の異なる抗体を用いるIHCにより実施された。エンザルタミド(160mg/日)は、4個の40mg軟ゼラチンカプセルとして、1日1回、食物と共に、または食物を伴わずに経口投与された。患者は、処置が試験プロトコルにおいて明記されている他の理由により中止されない限り、固形腫瘍における反応評価基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)バージョン1.1(RECIST 1.1)に従う疾患進行が実証されるまで、エンザルタミドを与えられた。試験期間は、プレスクリーニング(患者は、彼らの疾患の過程におけるあらゆる時点においてAR発現に関する試験のために組織を提出するという同意に署名することができた);スクリーニング(試験薬物の最初の用量の前の28日間);処置(1日目〜中止まで);安全性の追跡(試験薬物の最後の用量後または新規の抗腫瘍処置の開始前(いずれか早い方)のおおよそ30日間);および長期の追跡(処置の中止後3〜6ヵ月ごとの、その後の乳癌療法および生存状態の評価)を含んでいた。客観的反応−完全な反応(CR)または部分的な反応(PR)が、研究者によりRECIST 1.1に従って決定された。
【0093】
[00114] 試験は、サイモンの2ステージ試験であり、ここで、試験をより大きい規模へと拡張する前に、最低限の有用性が、予め定められた患者集団において要求された。ステージ1において、42人の患者が、予め定められた26人の評価可能な患者を得るために試験に登録された。ステージ2に進むための必要な臨床的有用性が、ステージ1において観察され、追加の76人の患者が、全体で合計118人の患者に関して登録された。アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤を用いた先行する処置を受けており、中枢神経系(CNS)転移を有していた患者は、除外された;先行する療法の数に対する制限は存在せず、患者が測定可能な疾患または骨のみの測定不能な疾患を有する患者は、適格であった。16週間における臨床的有用率(CBR16)は、完全緩解(CR)の最高の反応、部分的反応(PR)または安定疾患(SD)≧16週間(CBR16)を有する評価可能な患者の割合として定義された。24週間以上の臨床的有用率(CBR16)も、評価された。
【0094】
[00115] ステージ1において、42人の患者が、26人の評価可能な患者(n=26)を得るために登録された。評価可能な患者は、腫瘍の10%以上におけるAR染色および少なくとも1回のポストベースライン腫瘍評価の両方を有する患者であった。治療企図(ITT)集団(ステージ1におけるn=42)は、中心的に評価されたAR+ TNBCを有し、少なくとも1用量の試験薬物を与えられた全ての登録された患者として定義された。42人のITT患者の内の26人(62%)は、評価可能であり、一方で42人の内の16人は、評価可能ではなかった。評価可能に関する基準を満たさなかった16人の内で、10人は、10%未満のAR発現を有し;6人は、10%以上のAR発現を有していたがポストベースライン評価を有していなかった(2人は、試験登録の直後にCNS転移を有することが発見され、ポストベースライン腫瘍評価を有する前に処置から撤退した)。患者の50%より多くは、エンザルタミドを彼らの療法の第1または第2選択として与えられ、一方で30%より多くは、エンザルタミドを与えられる前に3回以上の先行する計画を有していた。
【0095】
内在性遺伝子発現分析
[00116] TNBC患者からのヒト乳房腫瘍は、AR拮抗薬であるエンザルタミドの前記の臨床試験から得られた。患者の乳癌組織は、AR発現に関して染色された。患者の染色は、病理学者により、標準的な操作手順において与えられるように染色された腫瘍細胞の染色強度(3+、2+および1+)ならびに百分率の両方において等級を付けられた。AR染色は、核および細胞質の両方において評価された。
【0096】
[00117] この試験において利用されたRNA−seqデータは、以下のように前処理された。RNA−seqデータは、UC Santa Cruzのゲノム生物情報学グループにより作成されたヒトゲノムブラウザー(Human Genome Browser)−hg19アセンブリー(https://genome.ucsc.edu/cgi-bin/hgGateway?db=hg19)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/assembly/GCF_000001405.25/)からのヒト(ホモ・サピエンス)ゲノム配列hg19に対して、MapSplice(Nucleic Acids Res. 2010 Oct;38(18):e178. doi: 10.1093/nar/gkq622)を用いてアラインメントされた。遺伝子およびイソ型のレベル計数は、期待値最大化によるRNA−seq(RSEM)(
http://deweylab.biostat.wisc.edu/rsem/)を用いて推定された。遺伝子計数の推定値は、一定の上位四分位値に対して正規化された。結果として得られた正規化された遺伝子発現の推定値は、それぞれの遺伝子の発現値の中央値が“Comprehensive Molecular Portraits of Human Breast Tumors”The Cancer Genome Atlas Network, Nature 490, 61-70 (October 4, 2012) (http://www.nature.com/nature/journal/v490/n7418/full/nature11412.html)において報告されたTCGA RNA−Seqデータのトリプルネガティブ部分集合の中央値と同等であるように調節された。
【0097】
[00118] 内在性亜型分類が、LumA、LumB、基底、HER2および正常群に入るように、Parker et al. J Clin Oncol., 27(8):1160-7 (2009)において記載されているようなPAM50分類モデルを用いて実施された。内在性亜型分類は、ホルマリン固定されパラフィン包理された患者の乳房腫瘍から収集された組織から得られたRNAのRNA配列決定から得られた。そのデータは、上記で示されたように前処理された。亜型分類は、“訓練および試験”セットおよびさらなる“検証”セットに対して実施された。訓練および試験セットは、122人の患者の試料からなり、その内の42人の患者は、プレスクリーニングされた集団由来であるが試験に登録されず、80人の患者の試料は、臨床試験における登録された集団由来であった。検証セットは、55人の患者の試料からなり、それは、プレスクリーニングされた集団由来であり試験に登録されなかった15人の患者および登録された集団由来の40の試料を有していた。
【0098】
[00119] データは、Parker et al.(上記)により記載されたようなPAM50内在性遺伝子セットデータを分析するための既知の方法に従って分析された。本質的には、患者の腫瘍試料からの表1の50の亜型予測因子遺伝子のセットの発現の検出および推定が、実施された。基底様、HER2、LumA、LumBおよび正常亜型分類を提供する記載された方法による50の亜型予測因子遺伝子のセットの発現プロフィールが、分析された。スピアマン相関が、それぞれの試料およびPAM50重心に関して計算された。これらの値は、試料のそれぞれの重心に対する距離または類似性の連続的な推定値として用いられた。それぞれの試料の亜型は、最も近い(最も大きい正の相関)重心として割り当てられた。それぞれの亜型に対する相関の基礎となる尺度が、試料を4種類の腫瘍亜型(基底様、HER2、LumAおよびLumB)または正常様の1つとして分類するために用いられた。
【0099】
[00120] さらに、基底様遺伝子発現重心に対するスピアマンの順位相関が、評価された。試料および基底様重心の間のスピアマンの順位相関は、“基底重心分類器スコア”として割り当てられた。ルミナルA遺伝子発現重心に対するスピアマンの順位相関が、評価された。試料およびルミナルA重心の間のスピアマンの順位相関は、“ルミナルA分類器スコア”として割り当てられた。
【0100】
[00121] 登録された患者(治療企図(ITT)集団)において、基底様亜型は、一般にエンザルタミド療法に対する無反応と相関しており、一方で、他の亜型の1つの存在は、一般にエンザルタミド療法への反応と相関していた。
図1を参照、ここで、“診断−”は、基底様亜型の患者を表し、“診断+”は、Her2、LumA、LumBまたは正常亜型を有する患者を表す。従って、非基底様腫瘍型を示すPAM50遺伝子発現分類器の結果は、TNBCにおけるエンザルタミド療法への反応性を予測するためのマーカーである。
【0101】
実施例2
実施例1の臨床試験の結果は、患者の基底重心分類器スコアを利用してさらに分析された。療法反応データは、一連の閾値カットオフを基底重心分類器スコアに課して評価された。エンザルタミド反応/無反応データは、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.65、0.7、0.8および0.9の基底重心分類器スコアカットオフを用いて分析された。そのデータは、
図2A/B〜10A/Bにおいて示されている。それぞれの図において、“診断+”は、試料が示された閾値カットオフを含む示された予後サインを満たした患者を表す。“診断−”は、試料が示された閾値カットオフを満たさなかった患者を表す。
【0102】
【表3】
【0103】
[00122]
図2A/B〜10A/Bにおいて示されているように、Dx+およびDx−患者の定義に関する0.6以下の標的基底重心分類器スコアは、エンザルタミド療法に対する反応と最もよく相関し、一方で0.2〜0.9のスコアに基づくDx+およびDx−の定義は、いくらか低く予測値を富化した。従って、反応者および非反応者の集団を0.2〜0.9の範囲である基底重心分類器カットオフスコアに基づいて定義することは、TNBCにおけるエンザルタミド療法への反応性を予測するためのさらなる基礎であり、0.6以下の試料の基底重心分類器スコアは、反応性を予測するためのマーカーに関する好ましい態様である。
図6Aにおいて示されているように、Dx+およびDx−を0.6の相対的基底重心分類器スコアに従って定めることは、結果として診断+集団中のほとんどの反応者および診断−集団中の高い無反応者を有する大きい診断+集団を生じる予測をもたらした。
【0104】
実施例3
[00123] 実施例1の臨床試験の結果は、
図11においてさらに分析および要約されており、それは、様々な患者の部分群のエンザルタミド療法への反応を、24週間以上の時点での臨床的有用率(CBR24)に関して示している。部分群は、全ての治療企図(ITT)患者;評価可能な患者;AR染色10%以上であった乳房腫瘍組織を有する患者(IHC AR>=10%);乳房腫瘍組織がPAM50亜型分類器により非基底様亜型として分類された患者(PAM50 非基底);腫瘍が基底様亜型として分類された患者(PAM50 基底);ならびに基底重心分類器スコアに対して<0.6、≧0.6、<0.7、≧0.7、<0.75、≧0.75の示されたカットオフを適用することにより分析された患者試料を含む。“DX−”は、試料が示された閾値カットオフを満たさなかった患者を示す。“DX+”は、試料が示された閾値カットオフを満たした患者を示す。
図11において、IHC AR>=10%およびDX+<0.6の組み合わせた基準を満たす試料、すなわち(i)10%より多くのARに関する染色および(ii)0.6以下のPAM50遺伝子発現基底重心分類器スコアの基準を満たした試料に関するデータも示されている。
【0105】
実施例4
[00124] 実施例1の臨床試験の結果は、
図12においてさらに分析および要約されており、それは、様々な患者の部分群のエンザルタミド療法に対する反応を、24週間以上の時点での臨床的有用率(CBR24)に関して示している。部分群は、治療企図(ITT)患者;評価可能な患者;10%以上のAR染色であった乳房腫瘍組織を有する患者(IHC AR>=10%);およびエンザルタミド療法が唯一(第1選択)または2番目(第2選択)の療法である患者を含む。部分群は、さらに、0.6未満の基底重心分類器スコアカットオフを適用することにより分析された患者試料の部分群(“新規DX+”)および0.6未満のカットオフを適用した第1および第2選択療法からの試料を含む部分群を含む。0.6未満の予後的基底重心分類器スコアを用いる42%(ならびに第1選択および第2選択の患者の両方を含む群において用いられた場合は60%)のCBRは、TNBCにおける療法への反応性を予測するための典型的な基準を超えており、ER+/PgR+乳癌におけるホルモン性薬剤療法への反応を予測するために用いられるモデルの予測能力と同等である。
【0106】
実施例5
[00125] AR阻害剤療法に対する反応の予測因子としての0.6未満の基底重心分類器スコアを利用する新規の予後サインの作用が、56週間までの患者の無増悪生存時間に関する
図13においてさらに図説されている。その結果は、0.6以上の距離のスコアを有する患者(“新規DX Neg”)に対する0.6未満の基底重心分類器スコアの新規予後サイン条件を満たすものとして同定された患者(“新規DX Pos”)における延長された無増悪生存を実証している。
【0107】
実施例6
[00126] 実施例1の臨床試験の結果は、さらに、患者の基底重心分類器およびルミナルA分類器スコアを利用して分析された。分類器スコアおよび反応データが、分析された。分析の結果として、臨床試験におけるアンドロゲン受容体阻害剤療法に対する反応性を予測する加重された基底およびルミナルA分類器スコアが、実験的に考案された。患者試料の加重された基底およびルミナルA分類器スコアは、次の式から決定された:
加重された基底およびルミナルA分類器スコア=−0.2468275(基底重心分類器スコア)+0.2667110(ルミナルA重心分類器スコア)。
【0108】
[00127] 次いで、療法反応データは、一連の閾値カットオフを加重された基底およびルミナルA分類器スコアに課して評価された。具体的には、エンザルタミド反応/無反応データは、以下の加重された基底およびルミナルA分類器スコアのカットオフを用いて分析された:−0.2より大きい、−0.25より大きい、−0.3より大きい、および−0.35より大きい。データは、
図14A(>−0.2)、14B(>−0.25)、14C(>−0.3)、および14D(>−0.35)において示されている。それぞれの図において、“診断+”は、試料が示された閾値カットオフを含む示された予後サインを満たした患者を表す。“診断−”は、試料が示された閾値カットオフを満たさなかった患者を表す。
【0109】
[00128]
図14A〜14Dにおいて示されているように、xより大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアの基準(xは−0.2〜−0.3の範囲)が、エンザルタミド療法への反応と最もよく相関し、−0.25より大きいスコアの基準が最適であった。従って、反応者および無反応者の集団を、−0.2より大きい、または−0.3より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアに基づいて定めることは、TNBCにおけるエンザルタミド療法への反応性を予測するための基礎であり、−0.25より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアは、反応性を予測するための基準の好ましい態様である。
【0110】
実施例7
[00129] 実施例1の臨床試験の結果は、
図15においてさらに分析および要約されており、それは、様々な患者の部分群のエンザルタミド療法に対する反応を、24週間以上の時点での臨床的有用率(CBR24)に関して示している。部分群は、治療企図(ITT)患者;評価可能な患者;乳房腫瘍組織試料が加重された基底およびルミナルA分類器スコアに対して>−0.2、>−0.25、>−0.3、および>−0.35の示されたカットオフを適用することにより分析された患者を含む。“PR−AR DX−”は、試料が示された閾値カットオフを満たさなかった患者を示す。“PR−AR DX+”は、試料が示された閾値カットオフを満たした患者を示す。従って、例えば、“PR−AR DX+>−0.25”は、試料が−0.25より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアの基準を満たした患者を示す。
【0111】
[00130] (i)アンドロゲン受容体阻害剤以外の薬物によるTNBCの処置のための0〜1回の先行する療法を受けた後(“および0〜1回の先行する療法”)または(ii)アンドロゲン受容体阻害剤以外の薬物によるTNBCの処置のための2回以上の先行する療法を受けた後(“および2回以上の先行する療法”)にエンザルタミド療法を受ける試験における患者からの試料に関するデータも、
図15において示されている。>−0.25の加重された基底およびルミナルA分類器スコアのカットオフが、これらの患者試料に適用された。
【0112】
実施例8
[00131] >−0.2の加重された基底およびルミナルA分類器スコアのカットオフをAR阻害剤療法への反応の予測因子として利用する新規の予後サインの作用が、
図16において、56週間までの患者の無増悪生存時間に関してさらに図説されている。その結果は、−0.2以下の分類器スコアの予後サイン条件を満たすものとして同定された患者(“PR−AR DX−:<=−0.2”、下の曲線)に対する−0.2より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアの予後サイン条件を満たすものとして同定された患者(“PR−AR DX+:>−0.2”、上の曲線)における延長された無増悪生存を実証している。
【0113】
実施例9
[00132] >−0.25の加重された基底およびルミナルA分類器スコアのカットオフをAR阻害剤療法への反応の予測因子として利用する新規の予後サインの作用が、
図17において、56週間までの患者の無増悪生存時間に関してさらに図説されている。その結果は、−0.25以下の加重された基底およびルミナルA分類器スコアの予後サイン条件を満たすものとして同定された患者(“PR−AR DX−:<=−0.25”、下の曲線)に対する−0.25より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアの予後サイン条件を満たすものとして同定された患者(“PR−AR DX+:>−0.25”、上の曲線)における延長された無増悪生存を実証している。
【0114】
実施例10
[00133] >−0.3の加重された基底およびルミナルA分類器スコアのカットオフをAR阻害剤療法への反応の予測因子として利用する新規の予後サインの作用が、
図18において、56週間までの患者の無増悪生存時間に関してさらに図説されている。その結果は、−0.3以下の分類器スコアの予後サイン条件を満たすものとして同定された患者(“PR−AR DX−:<=−0.3”、下の曲線)に対する−0.3より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアの予後サイン条件を満たすものとして同定された患者(“PR−AR DX+:>−0.3”、上の曲線)における延長された無増悪生存を実証している。
【0115】
実施例11
[00134] >−0.35の加重された基底およびルミナルA分類器スコアのカットオフをAR阻害剤療法への反応の予測因子として利用する新規の予後サインの作用が、
図19において、56週間までの患者の無増悪生存時間に関してさらに図説されている。その結果は、−0.35以下の加重された基底およびルミナルA分類器スコアの予後サイン条件を満たすものとして同定された患者(“PR−AR DX−:<=−0.35”、下の曲線)に対する−0.35より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアの予後サイン条件を満たすものとして同定された患者(“PR−AR DX+:>−0.35”、上の曲線)における延長された無増悪生存を実証している。
【0116】
実施例12
[00135] −0.25より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアカットオフをAR阻害剤療法への反応の予測因子として利用する新規の予後サインの作用が、
図20において、アンドロゲン受容体阻害剤以外の薬物によるTNBCの処置のための0〜1回の先行する療法を受けている患者における56週間までの患者の無増悪生存時間に関して、さらに図説されている。その結果は、−0.25以下の加重された基底およびルミナルA分類器スコアの予後サイン条件を満たすものとして同定された患者(“PR−AR DX−:<=−0.25”、下の曲線)に対する−0.25より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアの予後サイン条件を満たすものとして同定された患者(“PR−AR DX+:>−0.25”、上の曲線)における延長された無増悪生存を実証している。
図17および20の比較から、−0.25のカットオフは、全試験患者の集団を特性づける無増悪生存のより短い期間(
図17)に対する0〜1回の先行する療法の群を特性づける無増悪生存のより長い期間(
図20)を同定することができたことが、理解されることができる。
【0117】
[00136] −0.25より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアカットオフをアンドロゲン受容体阻害剤以外の薬物によるTNBCの処置のための0〜1回の先行する療法を受けた患者におけるAR阻害剤療法への反応の予測因子として利用する新規の予後サインの作用が、
図23においてさらに示されている。
図23は、試験における無増悪生存時間が
図23では
図20における56週間を超えて64週間まで決定されていることを除いて、
図20と類似している。
【0118】
実施例13
[00137] −0.25より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアカットオフをAR阻害剤療法への反応の予測因子として利用する新規の予後サインの作用が、
図21Aおよび21Bにおいて、アンドロゲン受容体阻害剤以外の薬物によるTNBCの処置のための0〜1回(0〜1先行ライン)または2回以上(2+先行ライン)の先行する療法を受けている患者の進行のない処置における時間に関してさらに図説されている。−0.25より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアのサイン条件を満たすものとして同定された56人の患者が、
図21Bにおいて表わされている。−0.25以下の分類器スコアにより同定された62人の試験患者が、
図21Aにおいて同定されている。図中のそれぞれの棒は、1人の患者を表す。疾患の進行のない処置における時間の最高値は、1回の療法の先行ラインを受けたかまたは療法の先行ラインを受けていない反応者の患者において明らかである(
図21B)。三角形(“有効”)で印を付けられた患者の棒は、試験において有効である。星で印を付けられた患者の棒は、完全な反応(CR)または部分的な反応(PR)を示す。
【0119】
実施例14
[00138] −0.25より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアカットオフをAR阻害剤療法への反応の予測因子として利用する新規の予後サインの作用が、さらに
図22Aおよび22Bにおいて、64週間までの患者の無増悪生存時間(
図22A)および84週間までの全生存(
図22B)に関して図説されている。
図22Aの結果は、−0.25以下の加重された基底およびルミナルA分類器スコアの予後サイン条件を満たすものとして同定された患者(“PR−AR DX−:<=−0.25”、下の曲線)に対する−0.25より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアの予後サイン条件を満たすものとして同定された患者(“PR−AR DX+:>−0.25”、上の曲線)における延長された無増悪生存を実証している。
図22Bの結果は、−0.25以下の加重された基底およびルミナルA分類器スコアの予後サイン条件を満たすものとして同定された患者(“PR−AR DX−:<=−0.25”、下の曲線)に対する−0.25より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアの予後サイン条件を満たすものとして同定された患者(“PR−AR DX+:>−0.25”、上の曲線)における延長された全生存を実証している。予後サイン条件を満たさない患者は、8.1週間の無増悪生存中央値および32.1週間の全生存中央値により特性付けられた。対照的に、予後サイン条件を満たしている患者は、16.1週間の無増悪生存中央値および84週目の時点でまだ達していない全生存中央値により特性付けられた。
【0120】
実施例15
[00139] アンドロゲン受容体拮抗薬ビカルタミドの第II相臨床試験が、報告されている。Ayca et al., “Phase II Trial of Bicalutamide in Patients with Androgen Receptor Positive, Hormone Receptor Negative Metastatic Breast Cancer”, Clin Cancer Res 19: 5505-5512 (October 1, 2013)。その試験は、AR陽性、エストロゲン受容体(ER)陰性、およびプロゲステロン受容体(PgR)陰性である転移性乳癌の処置におけるビカルタミドの作用を試験するように設計された。
【0121】
[00140] 簡潔には、Aycaらにより記載されたように、ER陰性/PgR陰性進行乳癌を有する452人の患者からの腫瘍が、ARに関して免疫組織化学(IHC)により中心的に試験された(10%より多い核染色が陽性と考えられた)。追加の適格基準に関してAyca et al., p. 5506を参照。原発部位または転移部位のどちらかが陽性であった場合、患者は、AR拮抗薬ビカルタミドを1日150mgの用量で与えられるために適格であった。28人の患者が、試験において処置された。ビカルタミド150mgが、連続する毎日のスケジュールにおいて経口投与された。患者は、疾患の進行または許容できない有害事象まで処置された。患者は、疾患進行または許容できない有害事象まで処置された。グレード3以上の毒性に関する最大2用量の低減が、許容された(100および50mg)。最大2週間が、毒性による処置の遅延に関して許容された。ビカルタミドを開始した2人の患者が、試験から外され、AR(+) ER/PgR(−)転移性乳癌を有する26人の試験候補者が残った。5人の患者は、6ヶ月間より長い安定疾患(完了したサイクルの数:6、8、10+、13、57+)を彼らの処置に対する最高の反応として有していた。標的集団(n=26)において19%(95%CI、7〜39%)の臨床的有用率をもたらす確証された完全または部分的反応は存在しなかった。治療企図分析において、18%(95%CI、6%〜37%)のCBRが観察された。Ayca et al., p. 5507を参照。
【0122】
[00141] 26人のビカルタミドで処置された試験患者は、HER−2陰性でもあることが決定され、すなわち、21人の患者は、トリプルネガティブ(Her−2(−)、ER(−)およびPgR(−))である乳癌を有していた。試験後に、ビカルタミド療法を受けた21人のTNBC患者からの患者の腫瘍試料が、PAM50分類モデルを用いたルミナルA、ルミナルB、基底様、HER2富化および正常様群への内在性亜型分類を施された。それぞれの試料に関するそれぞれの亜型スコアが、表3において列挙されている。表3において、それぞれの試料の加重された基底およびルミナルA分類器スコアも示されている。実施例6においてAR受容体拮抗薬エンザルタミドの臨床試験から得られた結果に基づいて、−0.25より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコア(“PR−AR DX+>−0.25”)は、そのような患者が−0.25以下の加重された基底およびルミナルA分類器スコアを有する患者よりもビカルタミド処置に応答する可能性がより高いことを示している。8人の患者が、この基準を満たし、表3においてビカルタミド処置における有望である可能性の高い(“POS”)予後を有するものとして示されている。21人の患者の試料のそれぞれは、0.99の信頼水準を有していた試料番号16を除いて、1の信頼水準を示した。
【0123】
【表4-1】
【0124】
【表4-2】
【0125】
実施例16
[00142] 以下の試験は、−0.25より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアの予後マーカーに関して陽性の細胞におけるエンザルタミド+パクリタキセルの組み合わせの高められた抗腫瘍作用を実証している。
【0126】
[00143] トリプルネガティブ乳癌細胞株BT549、MDA−MB−436、MDA−MB−453が、試験のために選択された。その細胞株に関するメッセンジャーRNAデータセットは、Cancer Cell Line Encyclopedia(CCLE)のデータベースからダウンロードされた。それぞれの細胞株に関する加重された基底およびルミナルA分類器スコアは、そのダウンロードされたデータセットから決定された。−0.25より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアをAR阻害剤療法への反応性に関する予後マーカーとして適用して、MDA−MB−453はこの基準を満たすが、BT549およびMDA−MB−436は満たさないことが決定された。
【0127】
[00144] 細胞は、10%FBSを補った成長培地中で維持された。生存度アッセイは、10%FBS中で実施され、CellTiter−Glo試薬により製造業者のプロトコル(Promega)に従って測定された。エンザルタミドの単独またはパクリタキセルとの組み合わせでのアンドロゲン受容体シグナル伝達に対する分子作用を決定するため、細胞(BT549、MDA−MB−436またはMDA−MB−453)を、1日目に10%FBS中でまいた。細胞は、エンザルタミドまたはパクリタキセルまたは組み合わせにより2%木炭除去処理済み血清(charcoal−stripped serum)中で処理され、10nM DHTで4時間刺激された。細胞の分画は、細胞質および核画分に関して分離された。タンパク質発現レベルが、ウェスタンブロッティング法を用いて決定された。それぞれの細胞株に関するエンザルタミドまたはパクリタキセルに関するIC
50が、表4において示されている。平均値が、それぞれの細胞株に関して示されている(n=3)。予後マーカー陽性のMDA−MB−453細胞は、予後マーカー陰性のBT549およびMDA−MB−463細胞と比較してエンザルタミドに対するより大きい感受性を示した。
【0128】
【表5】
【0129】
[00145] 細胞の生存度が、
図24A〜Cにおける濃度のエンザルタミド(Enza)およびパクリタキセル(PTX)の存在下で測定された。平均値が、それぞれの細胞株に関して示されている(n=5)。予後マーカー陽性のMDA−MB−453細胞株において、エンザルタミド+パクリタキセルの組み合わせは、結果として高められた細胞毒性をもたらした。
図24C参照。
【0130】
実施例17
[00146] マウス異種移植モデルを生成するため、5〜6週齢のメスのNOD−SCIDマウスが、乳腺中に6.0×10
6個のMDA−MB−453細胞を同所的に注入された。DHT(60日放出植込錠中10.5mg)または対照の植込錠が、動物中に移植された。腫瘍サイズが約100mm
3に達した際に、マウスは、(i)3mg/kg/日のエンザルタミド(“Enza”)の経口強制摂取(PO)(n=10)、(ii)6mg/kg QMWF(IP)のパクリタキセル(“PTX”)(n=7)、または(iii)(i)および(ii)の組み合わせ(n=10)により処置された。対照群のマウス(n=8)は、ビヒクル(0.5%Methocel溶液)で処理された。腫瘍の大きさが、カリパスにより測定された。腫瘍の重量が、35日目に決定された。結果が、
図25A(腫瘍体積対時間)および
図25B(腫瘍重量)において示されている。
図25Aにおけるデータの点は、それぞれの群に関する平均腫瘍体積を表し、エラーバーは、データのSEMを反映している。スチューデントのT検定が、p値を計算するために用いられた:
図25A:対照対エンザルタミド、0.007;対照対パクリタキセル、0.0007;エンザルタミド対エンザルタミド+パクリタキセル、0.074;パクリタキセル対エンザルタミド+パクリタキセル、0.013;
図25B:対照対エンザルタミド、0.001;対照対パクリタキセル、0.0001;エンザルタミド対エンザルタミド+パクリタキセル、0.08;パクリタキセル対エンザルタミド+パクリタキセル、0.017。そのデータは、エンザルタミド+パクリタキセルの組み合わせは、結果としてどちらかの薬物単独と比較して高められた抗腫瘍作用をもたらすことを実証している。
【0131】
[00147] それぞれの処置群からの代表的な腫瘍が、AR、Ki67またはp−AKTに対する免疫組織化学を実施するために選択された。Ki67またはAKTのリン酸化に関する免疫組織化学染色は、エンザルタミド+パクリタキセルの腫瘍において、エンザルタミドまたはパクリタキセル単独で処置された群と比較して有意に低減した(データは示されていない)。
【0132】
[00148] 本明細書で引用されたそれぞれの、および全ての特許、特許出願、および刊行物の開示は、参照により本明細書にそのまま援用される。当業者は、本発明が、対象を実施し、言及された目的および利点ならびにそれに本来備わる目的および利点を得るために十分に適合していることを、容易に理解するであろう。本発明は、特定の態様を参照して開示されたが、本発明の他の態様およびバリエーションが本発明の実施において用いられる真の精神および範囲から逸脱することなく当業者により考案されることができることは、明らかである。添付された特許請求の範囲は、全てのそのような態様および均等なバリエーションを含むように解釈されることが、意図されている。
非限定的に、本発明は、以下の態様を含む。
[態様1] アンドロゲン受容体阻害剤の使用を含むトリプルネガティブ乳癌に関する処置をスクリーニングする方法であって、対象から得られた生物学的試料をアッセイして該対象から得られた該生物学的試料が基底様亜型として分類されるかまたは他の亜型として分類されるかを決定することを含む、前記方法。
[態様2] 態様1に記載の方法であって、該生物学的試料が基底様亜型として分類されるかまたは他の亜型として分類されるかを決定するための該生物学的試料のアッセイが、表1において列挙されている内在性遺伝子のセットの発現を検出することにより実施される、前記方法。
[態様3] 態様2に記載の方法であって、以下の工程:
(a)該試料の基底重心分類器スコアを表1において列挙されている内在性遺伝子のセットの発現から決定し;
(b)該試料のルミナルA重心分類器スコアを表1において列挙されている内在性遺伝子のセットの発現から決定し;そして
(c)加重された基底およびルミナルA分類器スコアを、該基底重心分類器スコアおよび該ルミナルA重心分類器スコアから、次の方程式に従って計算する
加重された基底およびルミナルA分類器スコア=
−0.25(基底重心分類器スコア)+0.27(ルミナルA重心分類器スコア);
を含む、ここにおいて、該加重された基底およびルミナルA分類器スコアが−0.3より大きい場合、アンドロゲン受容体阻害剤を含む該乳癌処置は、該加重された基底およびルミナルA分類器スコアが−0.3以下である場合よりも該対象において有効である可能性がより高い、前記方法。
[態様4] 態様3に記載の方法であって、該加重された基底およびルミナルA分類器スコアが−0.2より大きい場合、アンドロゲン受容体阻害剤を含む該乳癌処置は、該加重された基底およびルミナルA分類器スコアが−0.2以下である場合よりも該対象において有効である可能性がより高い、前記方法。
[態様5] 態様4に記載の方法であって、該加重された基底およびルミナルA分類器スコアが−0.25より大きい場合、アンドロゲン受容体阻害剤を含む該乳癌処置は、該加重された基底およびルミナルA分類器スコアが−0.25以下である場合よりも該対象において有効である可能性がより高い、前記方法。
[態様6] 態様2に記載の方法であって、該試料の基底重心分類器スコアを表1において列挙されている内在性遺伝子のセットの発現から決定することを含む、ここにおいて、該基底重心分類器スコアが0.9以下である場合、アンドロゲン受容体阻害剤を含む該乳癌処置は、該基底重心分類器スコアが0.9より大きい場合よりも該対象の処置において有効である可能性がより高い、前記方法。
[態様7] 態様6に記載の方法であって、該基底重心分類器スコアが0.6以下である場合、アンドロゲン受容体阻害剤を含む該乳癌処置は、該対象の処置において有効である可能性が高い、前記方法。
[態様8] 態様6に記載の方法であって、該基底重心分類器スコアが0.2〜0.8の範囲である場合、アンドロゲン受容体阻害剤を含む該乳癌処置は、該対象の処置において有効である可能性が高い、前記方法。
[態様9] 態様8に記載の方法であって、該基底重心分類器スコアが0.4〜0.7の範囲である場合、アンドロゲン受容体阻害剤を含む該乳癌処置は、該対象の処置において有効である可能性が高い、前記方法。
[態様10] 態様1〜9のいずれかに記載の方法であって、該対象の乳癌が、アンドロゲン受容体陽性腫瘍細胞の存在により特性付けられる、前記方法。
[態様11] 態様1〜10のいずれかに記載の方法であって、該生物学的試料が、細胞、組織および体液からなる群から選択される、前記方法。
[態様12] 態様11に記載の方法であって、該生物学的試料が、乳房組織または細胞を含む、前記方法。
[態様13] 態様11に記載の方法であって、該組織が、生検から得られる、前記方法。
[態様14] 態様11に記載の方法であって、該体液が、血液、リンパ液、尿、唾液、乳管洗浄細胞診からの流体および乳頭吸引液からなる群から選択される、前記方法。
[態様15] 対象におけるトリプルネガティブ乳癌の処置における使用のためのアンドロゲン受容体阻害剤であって、該対象からの生物学的試料が、該試料が基底様亜型として分類されるかまたは別の亜型として分類されるかを決定するためにアッセイされているアンドロゲン受容体阻害剤。
[態様16] 態様15に記載の阻害剤の使用であって、該生物学的試料が基底様亜型として分類されるかまたは別の亜型として分類されるかを決定するための該生物学的試料のアッセイが、表1において列挙されている内在性遺伝子の発現を検出することにより実施される、前記阻害剤の使用。
[態様17] 態様16に記載の阻害剤の使用であって、該試料の基底重心分類器スコアおよびルミナルA重心分類器スコアを表1において列挙されている内在性遺伝子のセットの発現から決定することならびに加重された基底およびルミナルA分類器スコアを該基底重心分類器スコアおよび該ルミナルA重心分類器スコアから次の方程式:
加重された基底およびルミナルA分類器スコア=
−0.25(基底重心分類器スコア)+0.27(ルミナルA重心分類器スコア)
に従って計算することを含む、ここにおいて、該加重された基底およびルミナルA分類器スコアが−0.3より大きい場合、該乳癌処置が該対象に施される、前記阻害剤の使用。
[態様18] 態様17に記載の阻害剤の使用であって、該加重された基底およびルミナルA分類器スコアが−0.2より大きい場合、該乳癌処置が施される、前記阻害剤の使用。
[態様19] 態様18に記載の阻害剤の使用であって、該加重された基底およびルミナルA分類器スコアが−0.25より大きい場合、該乳癌処置が施される、前記阻害剤の使用。
[態様20] 態様16に記載の阻害剤の使用であって、該試料の基底重心分類器スコアを表1において列挙されている内在性遺伝子のセットの発現から決定することを含む、ここにおいて、該基底重心分類器スコアが0.9以下である場合、該乳癌処置が施される、前記阻害剤の使用。
[態様21] 態様20に記載の阻害剤の使用であって、該基底重心分類器スコアが0.6以下である場合、該乳癌処置が施される、前記阻害剤の使用。
[態様22] 態様20に記載の阻害剤の使用であって、該基底重心分類器スコアが0.2〜0.8の範囲である場合、該乳癌処置が施される、前記阻害剤の使用。
[態様23] 態様22に記載の阻害剤の使用であって、該基底重心分類器スコアが0.4〜0.7の範囲である場合、該乳癌処置が施される、前記阻害剤の使用。
[態様24] 態様15〜23のいずれかに記載の阻害剤の使用であって、該対象の乳癌が、アンドロゲン受容体陽性腫瘍細胞の存在により特性付けられる、前記阻害剤の使用。
[態様25] 態様15〜24のいずれかに記載の阻害剤の使用であって、該アンドロゲン受容体阻害剤が、エンザルタミド、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、ARN509、ケトコナゾール、酢酸アビラテロン、VN/124−1(TOK−001)、オルテロネル(orteronel)(TAK−700)、フィナステリド、ガレテロン(galeterone)、酢酸シプロテロン、アンダリン(andarine)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、前記阻害剤の使用。
[態様26] 態様25に記載の阻害剤の使用であって、該アンドロゲン受容体阻害剤が、エンザルタミドである、前記阻害剤の使用。
[態様27] 態様26に記載の阻害剤の使用であって、該エンザルタミドが、1日1回160mgの用量で経口投与される、前記阻害剤の使用。
[態様28] 態様27に記載の阻害剤の使用であって、該エンザルタミドが、160mgのエンザルタミドを含む単一のカプセルとして投与される、前記阻害剤の使用。
[態様29] 態様27に記載の阻害剤の使用であって、該エンザルタミドが、4個のカプセルとして投与され、それぞれのカプセルが、40mgのエンザルタミドを含む、前記阻害剤の使用。
[態様30] 態様15〜29のいずれかに記載の阻害剤の使用であって、アンドロゲン受容体阻害剤を含む乳癌処置が、さらにアンドロゲン受容体阻害剤ではない1種類以上の他の抗癌剤を含む、前記阻害剤の使用。
[態様31] 態様30に記載の阻害剤の使用であって、アンドロゲン受容体阻害剤ではない該1種類以上の他の抗癌剤が、シクロホスファミド、フルオロウラシル、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、チオテパ、カルボプラチン、シスプラチン、タキサン類、パクリタキセル、タンパク質結合パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、フルベストラント、ゲムシタビン、イリノテカン、イキサベピロン、テモゾロミド(temozolmide)、トポテカン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エリブリン、ムタマイシン(mutamycin)、カペシタビン、カペシタビン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、ロイプロリド、アバレリクス、ブセレリン(buserlin)、ゴセレリン、酢酸メゲストロール、リセドロネート、パミドロネート、イバンドロネート、アレンドロネート、デノスマブ、ゾレドロネート、トラスツズマブ、タイケルブまたはベバシズマブ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、前記阻害剤の使用。
[態様32] 態様31に記載の使用であって、アンドロゲン受容体阻害剤ではない該他の抗癌剤が、パクリタキセルである前記使用。
[態様33] 態様15〜32のいずれかに記載の阻害剤の使用であって、該生物学的試料が、細胞、組織および体液からなる群から選択される、前記阻害剤の使用。
[態様34] 態様33に記載の阻害剤の使用であって、該生物学的試料が、乳房組織または細胞を含む、前記阻害剤の使用。
[態様35] 態様33に記載の阻害剤の使用であって、該組織が、生検から得られる、前記阻害剤の使用。
[態様36] 態様33に記載の阻害剤の使用であって、該体液が、血液、リンパ液、尿、唾液、乳管洗浄細胞診からの流体および乳頭吸引液からなる群から選択される、前記阻害剤の使用。
[態様37] 対象においてトリプルネガティブ乳癌を処置する方法であって、前記の対象が、基底様亜型以外として分類されている乳癌細胞を含む乳癌を有し、前記の方法が、該対象にアンドロゲン受容体阻害剤を含む乳癌処置を施し、それにより該対象におけるトリプルネガティブ乳癌を処置することを含む、前記方法。
[態様38] 態様37に記載の方法であって、該対象の乳癌細胞が、次の式:
加重された基底およびルミナルA分類器スコア=
−0.25(基底重心分類器スコア)+0.27(ルミナルA重心分類器スコア)
に従う−0.3より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアにより特性付けられる、ここにおいて、前記の基底重心分類器スコアおよび前記のルミナルA重心分類器スコアが、該対象の乳癌細胞に関して、表1において列挙されている内在性遺伝子のセットの前記の細胞による発現から決定される、前記方法。
[態様39] 態様38に記載の方法であって、該対象の乳癌細胞が、−0.2より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアにより特性付けられる、前記方法。
[態様40] 態様39に記載の方法であって、該対象の乳癌細胞が、−0.25より大きい加重された基底およびルミナルA分類器スコアにより特性付けられる、前記方法。
[態様41] 態様37に記載の方法であって、該対象の乳癌細胞が、表1において列挙されている内在性遺伝子のセットの前記の細胞による発現から決定される0.9以下の基底重心分類器スコアにより特性付けられる、前記方法。
[態様42] 態様41に記載の方法であって、該対象の乳癌細胞が、0.6以下の基底重心分類器スコアにより特性付けられる、前記方法。
[態様43] 態様41に記載の方法であって、該対象の乳癌細胞が、0.2〜0.8の範囲である基底重心分類器スコアにより特性付けられる、前記方法。
[態様44] 態様43に記載の方法であって、該対象の乳癌細胞が、0.4〜0.7の範囲である基底重心分類器スコアにより特性付けられる、前記方法。
[態様45] 態様37〜44のいずれかに記載の方法であって、該対象の乳癌が、アンドロゲン受容体陽性腫瘍細胞の存在により特性付けられる、前記方法。
[態様46] 態様37〜45のいずれかに記載の方法であって、該アンドロゲン受容体阻害剤が、エンザルタミド、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、ARN509、ケトコナゾール、酢酸アビラテロン、VN/124−1(TOK−001)、オルテロネル(orteronel)(TAK−700)、フィナステリド、ガレテロン(galeterone)、酢酸シプロテロン、アンダリン(andarine)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、前記方法。
[態様47] 態様46に記載の方法であって、該アンドロゲン受容体阻害剤が、エンザルタミドである、前記方法。
[態様48] 態様47に記載の方法であって、該エンザルタミドが、1日1回160mgの用量で経口投与される、前記方法。
[態様49] 態様48に記載の方法であって、該エンザルタミドが、160mgのエンザルタミドを含む単一のカプセルとして投与される、前記方法。
[態様50] 態様48に記載の方法であって、該エンザルタミドが、4個のカプセルとして投与され、それぞれのカプセルが、40mgのエンザルタミドを含む、前記方法。
[態様51] 態様37〜50のいずれかに記載の方法であって、アンドロゲン受容体阻害剤を含む乳癌処置が、さらにアンドロゲン受容体阻害剤ではない1種類以上の他の抗癌剤を含む、前記方法。
[態様52] 態様51に記載の方法であって、アンドロゲン受容体阻害剤ではない該他の抗癌剤が、シクロホスファミド、フルオロウラシル、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、チオテパ、カルボプラチン、シスプラチン、タキサン類、パクリタキセル、タンパク質結合パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、フルベストラント、ゲムシタビン、イリノテカン、イキサベピロン、テモゾロミド(temozolmide)、トポテカン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エリブリン、ムタマイシン(mutamycin)、カペシタビン、カペシタビン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、ロイプロリド、アバレリクス、ブセレリン(buserlin)、ゴセレリン、酢酸メゲストロール、リセドロネート、パミドロネート、イバンドロネート、アレンドロネート、デノスマブ、ゾレドロネート、トラスツズマブ、タイケルブまたはベバシズマブ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、前記方法。
[態様53] 態様52に記載の方法であって、アンドロゲン受容体阻害剤ではない該他の抗癌剤が、パクリタキセルである、前記方法。
[態様54] 態様37に記載の方法であって、さらに、該対象が基底様亜型以外である乳癌細胞を含む乳癌を有するかどうかを決定するために該対象を試験する工程を含む、前記方法。
[態様55] 態様38〜40のいずれかに記載の方法であって、さらに、該対象を試験して該対象の乳癌細胞の加重された基底およびルミナルA分類器スコアを決定する工程を含む、前記方法。
[態様56] 態様41〜44のいずれかに記載の方法であって、さらに、該対象を試験して該対象の乳癌細胞の基底重心分類器スコアを決定する工程を含む、前記方法。
[態様57] 態様40に記載の方法であって、該対象が、トリプルネガティブ乳癌の処置のためのアンドロゲン受容体阻害剤以外の抗癌剤を用いた0または1ラウンドの先行する処置を受けている、前記方法。
[態様58] そのような処置を必要とする対象においてトリプルネガティブ乳癌を処置する方法であって、以下の工程:
(a)該対象からの生物学的試料を提供し;
(b)該生物学的試料をアッセイして該生物学的試料が基底様亜型として分類されるかまたは別の亜型として分類されるかを決定し;そして
(c)該生物学的試料が基底様亜型以外として分類された場合、該対象にアンドロゲン受容体阻害剤を含む乳癌処置を施し、それにより該対象において該乳癌を処置する;
ことを含む、前記方法。
[態様59] 態様58に記載の方法であって、該生物学的試料が基底様亜型として分類されるかまたは他の亜型として分類されるかを決定するための該生物学的試料のアッセイが、表1において列挙されている内在性遺伝子の発現を検出することにより実施される、前記方法。
[態様60] 態様59に記載の方法であって、以下の工程:
(a)該試料の基底重心分類器スコアおよびルミナルA重心分類器スコアを表1において列挙されている内在性遺伝子のセットの発現から決定し;そして
(b)加重された基底およびルミナルA分類器スコアを、該基底重心分類器スコアおよび該ルミナルA重心分類器スコアから、次の方程式に従って計算する:
加重された基底およびルミナルA分類器スコア=
−0.25(基底重心分類器スコア)+0.27(ルミナルA重心分類器スコア);
を含む、ここにおいて該加重された基底およびルミナルA分類器スコアが−0.3より大きい場合、該乳癌処置が該対象に施される、前記方法。
[態様61] 態様60に記載の方法であって、該加重された基底およびルミナルA分類器スコアが−0.2より大きい場合、該乳癌処置が施される、前記方法。
[態様62] 態様61に記載の方法であって、該加重された基底およびルミナルA分類器スコアが−0.25より大きい場合、該乳癌処置が施される、前記方法。
[態様63] 態様59に記載の方法であって、該試料の基底重心分類器スコアを表1において列挙されている内在性遺伝子のセットの発現から決定することを含む、ここにおいて、該基底重心分類器スコアが0.9以下である場合、該乳癌処置が施される、前記方法。
[態様64] 態様63に記載の方法であって、該基底重心分類器スコアが0.6以下である場合、該乳癌処置が施される、前記方法。
[態様65] 態様63に記載の方法であって、該基底重心分類器スコアが0.2〜0.8の範囲である場合、乳癌処置が該対象に施される、前記方法。
[態様66] 態様65に記載の方法であって、該基底重心分類器スコアが0.4〜0.7の範囲である場合、乳癌処置が該対象に施される、前記方法。
[態様67] 態様58〜66のいずれかに記載の方法であって、該対象の乳癌が、アンドロゲン受容体陽性腫瘍細胞の存在により特性付けられる、前記方法。
[態様68] 態様58〜67のいずれかに記載の方法であって、該アンドロゲン受容体阻害剤が、エンザルタミド、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、ARN509、ケトコナゾール、酢酸アビラテロン、VN/124−1(TOK−001)、オルテロネル(orteronel)(TAK−700)、フィナステリド、ガレテロン(galeterone)、酢酸シプロテロン、アンダリン(andarine)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、前記方法。
[態様69] 態様68に記載の方法であって、該アンドロゲン受容体阻害剤が、エンザルタミドである、前記方法。
[態様70] 態様69に記載の方法であって、該エンザルタミドが、1日1回160mgの用量で経口投与される、前記方法。
[態様71] 態様70に記載の方法であって、該エンザルタミドが、160mgのエンザルタミドを含む単一のカプセルとして投与される、前記方法。
[態様72] 態様70に記載の方法であって、該エンザルタミドが、4個のカプセルとして投与され、それぞれのカプセルが、40mgのエンザルタミドを含む方法。
[態様73] 態様58〜72のいずれかに記載の方法であって、アンドロゲン受容体阻害剤を含む乳癌処置が、さらにアンドロゲン受容体阻害剤ではない1種類以上の他の抗癌剤を含む、前記方法。
[態様74] 態様73に記載の方法であって、アンドロゲン受容体阻害剤ではない該他の抗癌剤が、シクロホスファミド、フルオロウラシル、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、チオテパ、カルボプラチン、シスプラチン、タキサン類、パクリタキセル、タンパク質結合パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、フルベストラント、ゲムシタビン、イリノテカン、イキサベピロン、テモゾロミド(temozolmide)、トポテカン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エリブリン、ムタマイシン(mutamycin)、カペシタビン、カペシタビン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、ロイプロリド、アバレリクス、ブセレリン(buserlin)、ゴセレリン、酢酸メゲストロール、リセドロネート、パミドロネート、イバンドロネート、アレンドロネート、デノスマブ、ゾレドロネート、トラスツズマブ、タイケルブまたはベバシズマブ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、前記方法。
[態様75] 態様74に記載の方法であって、アンドロゲン受容体阻害剤ではない該他の抗癌剤が、パクリタキセルである、前記方法。
[態様76] 態様58〜75のいずれかに記載の方法であって、該生物学的試料が、細胞、組織および体液からなる群から選択される、前記方法。
[態様77] 態様76に記載の方法であって、該生物学的試料が、乳房組織または細胞を含む、前記方法。
[態様78] 態様77に記載の方法であって、該組織が、生検から得られる、前記方法。
[態様79] 態様77に記載の方法であって、該体液が、血液、リンパ液、尿、唾液、乳管洗浄細胞診からの流体および乳頭吸引液からなる群から選択される、前記方法。
[態様80] 態様62に記載の方法であって、該対象が、トリプルネガティブ乳癌の処置のためのアンドロゲン受容体阻害剤以外の抗癌剤を用いた0または1ラウンドの先行する処置を受けている、前記方法。