(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリエステルポリオールが、2〜4の官能価、100〜300のヒドロキシル価、200〜500のヒドロキシル当量を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
請求項11に記載の製造方法によって製造されるPURフォームの、コンデンサーコアと外側の複合材料絶縁体との間の間隙を埋めるための樹脂含浸紙(RIP)ブッシングの製造における使用。
【背景技術】
【0002】
RIPコンデンサーコアは、電界強度の容量性グレーディング(capacitive grading)を上げるべく、アルミニウム箔を挿入しつつ連続的に巻かれるクレープ紙を使用することによって製造される。巻き取りプロセスの後、減圧・加熱下にてコアにエポキシ樹脂を含浸させる。あとでソリッドコアを機械加工して最終的なサイズに仕上げる。RIPブッシングは一般に、外側の複合材料絶縁体もしくは磁器絶縁体を有し、コンデンサーコアと外側の複合材料絶縁体もしくは磁器絶縁体との間隙をフォーム(通常はPURフォーム)で充填する。RIPブッシング用の充填材料として都合よく利用することができるPURフォームが適合すべき要件はいろいろである。
【0003】
発泡性組成物は、通常は2つの構成成分、すなわちポリオール成分とポリイソシアネート成分からなり、利用する直前に(すなわち、PURフォームを生成させる直前に)混合する。ポリオール成分は、数種のポリオールのほかに種々の(分散した)添加剤を含有することが多いので、こうした混合物は、しばしば固体成分の沈殿または分離を起こす。したがって、ポリオール成分の貯蔵安定性が重要なファクターとなる。
【0004】
発泡性組成物はさらに、大型の超高電圧(UV)ブッシングの充填を可能にするために、十分に長いポットライフが確実に得られるものでなければならない。すなわち、組成物の粘度は、成分を混合した後に、適度にわずかずつ増大しなければならない。ポットライフは一般に、添加剤を含めたポリオール成分とイソシアネート成分とを合わせてから、粘度が15パスカル秒となるまでの時間であると規定され、意図する用途に対して90分超でなければならない。
【0005】
大きな温度差に耐えるために、硬化したPURフォームが十分な低温フレキシビリティを示す必要がある。従ってガラス転移温度T
gはかなり低くなければならない(T
g<−50℃)。
【0006】
HVブッシングにおいて使用される絶縁材料に関して最も重要なものは誘電特性である。従って誘電損失に対するターゲットは、それぞれtanδ<5%(室温)およびtanδ<15%(100℃)である。
【0007】
米国特許第4752626号は、一体型発泡成形品(integrated foam patrs)における小ボイドの充填に使用するための、広範囲のイソシアネートインデックスにおいて圧縮永久歪が低い高弾性ウレタンフォームを開示している。一体型発泡成形品の成形プロセスにおいて形成される小ボイドを、存在する気泡中に発泡性液体が浸透することなく充填することができる。さらに、得られるフォームは、広範囲のイソシアネートインデックスにおいて圧縮永久歪の値が極めて低い。米国特許第4752626号による発泡系は、ポリオレフィン系ポリオールとポリオキシアルキレンポリオールとのブレンド(95/5〜50/50の重量比)であるチキソトロープ性ポリオール成分、およびチキソトロープ性ポリイソシアネート成分で構成される。チキソトロピーは、それぞれの成分にベンザルソルビトールを加えることによって得られる。このPURフォームは、自動車用発泡成形品の成形プロセスにおいて形成される小ボイドを充填するのによく適しているとはいえ、HVコンデンサに利用するには、ポットライフ、低温フレキシビリティ、および電気的性能に関して、より厳しい要求に適合しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、十分に長いポットライフ、低温フレキシビリティ、低い誘電損失、および硬化時における十分な成分相溶性が確実に得られるような、貯蔵安定性のあるポリオール成分とポリイソシアネート成分とからなる発泡性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの特性は、(a1)ポリエーテルポリオール、(a2)ヒドロキシ末端のポリブタジエンもしくはポリイソプレン、および(a3)不飽和脂肪酸エステルのエポキシ化とその後の活性水素含有化合物との開環反応によって得られるポリエステルポリオールを含むポリオール成分としての特定組成物を使用することによって達成することができる、ということが見出された。
【0011】
成分(a1)としてのポリエーテルポリオールは、例えば、開始剤とアルキレンオキシドとの(例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、またはテトラヒドロフランとの)反応によって得ることができる。ここでは開始剤は、2もしくは3の官能価を有するポリエーテルポリオールの製造に通常適したもの全てであり、例えば、水;2個もしくは3個のヒドロキシル基を有する脂肪族ポリヒドロキシ化合物、脂環式ポリヒドロキシ化合物、または芳香族ポリヒドロキシ化合物〔例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ジヒドロキシベンゼン、ビスフェノール(例えばビスフェノールA)、トリメチロールプロパン〕;またはアミン;などがある〔Ullmanns Encyclopadie der Technischen Chemie (Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry) ,4
th Edition, Volume 19, Verlag Chemie GmbH, Weinheim 1980, pages 31-38, 304 and 305を参照〕。
【0012】
本発明の組成物の成分(a1)として特に適している物質は、エチレンオキシドをベースとするポリエーテルポリオール;プロピレンオキシドをベースとするポリエーテルポリオール;そしてさらに、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであってよい対応するエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー;である。これらコポリマー中のエチレンオキシド対プロピレンオキシドの比は、広い範囲内において変わってよい。従って、例えば、ポリエーテルポリオールの末端ヒドロキシルだけがエチレンオキシドと反応すると推定される(末端マスキング)。ポリエチレン及び/又はポリプロピレンをベースとするポリエーテルポリオールの分子量M
wは、好ましくは100〜2000g/モルであり、さらに好ましくは200〜1000g/モルであり、特に300〜600g/モルである。
【0013】
さらに、上記のポリアルキレングリコールと同様に市販されているポリテトラヒドロフラン〔例えば、LyondellBasellから供給されるPOLYMEG(登録商標)〕も注目しておかねばならない。
【0014】
直鎖または分岐鎖のポリエチレンオキシドもしくはポリプロピレンオキシドを、本発明の組成物中の成分(a1)として適用するのが好ましい。
ヒドロキシ末端のエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーが成分(a1)として特に好ましい。
【0015】
成分(a2)に従ったポリオレフィンポリオールは公知であり、幾つかは市販されている。
ポリオレフィンポリオールのポリマー主鎖は一般に、オレフィン性モノマーの重合生成物、あるいはオレフィン性モノマーとビニル芳香族モノマーとの重合生成物である。オレフィン性モノマーは、2〜12個の炭素原子を有するのが好都合である。オレフィン性モノマーは、4〜10個の炭素原子を有するジエンであるのが好ましく、4〜6個の炭素原子を有するジエンであるのがさらに好ましい。最も好ましいオレフィン性モノマーはブタジエンとイソプレンであり、特に1,3-ブタジエンである。
【0016】
オレフィン性モノマーと共重合できるビニル芳香族モノマーは、スチレンやアルキル置換スチレン等のモノビニル芳香族モノマーであるのが好ましい。成分(a2)に従ったポリオレフィンポリオールは、最大で50重量%(例えば0.01〜20.0重量%、特に0〜5重量%)の重合したビニル芳香族モノマーを含有してよい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好ましい実施態様では、成分(a2)に従ったポリオレフィンポリオールは、いかなる重合したビニル芳香族モノマーも含有しない。
さらに、本発明に従った適切なポリオレフィンポリオールは、オレフィン性モノマーの、あるいはオレフィン性モノマーとビニル芳香族モノマーとの完全水素化または部分水素化重合生成物であってもよい。ポリマーの水素化は、公知の方法に従って、例えばラネーニッケル、白金、パラジウム、可溶性繊維金属触媒、およびチタン触媒などの触媒の存在下での水素化によって処理することができる(米国特許第5039755号に記載)。
【0018】
ポリオレフィンポリオールが1,3-ブタジエンから誘導される場合、ポリブタジエンは少なくとも15%の1,2-付加生成物を含むのが好ましい。
ポリオレフィンポリオールがイソプレンから誘導される場合、ポリイソプレンは少なくとも80%の1,4-付加生成物を含むのが好ましい。
【0019】
ポリオレフィンポリオールは、500〜20000の分子量M
n〔数平均、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定〕を有するのが好ましく、1000〜15000の分子量M
nを有するのがさらに好ましく、2000〜5000の分子量M
nを有するのが特に好ましい。
【0020】
ポリオレフィンポリオールは、1分子当たり1.5〜3.0ヒドロキシ基の官能価を示すのが好ましく、1.8〜2.6の官能価を示すのがさらに好ましく、1.9〜2.5の官能価を示すのが特に好ましい。
【0021】
ポリオレフィンポリオールは、ポリジエンジオールであるのが好ましく、ポリ-1,3-ブタジエンジオールであるのが特に好ましい。
好適なポリ-1,3-ブタジエンジオールは、式1または式2:
【0023】
の化合物であり、式中、x、y、z、vおよびwは、構造単位のパーセント値を表わしており、x=10〜70%、y=15〜70%、z=10〜30%、v=10〜75%、w=25〜90%の範囲であるが、x+y+z=100%およびv+w=100%である。
【0024】
式1と式2のポリオレフィンポリオールは市販されている〔例えばPoly bd(登録商標)R45 HTLO(CRAY VALLEY社から供給)〕。
特許請求されている組成物の成分(a3)に従ったポリエステルポリオールも同様に公知であり、例えば“Polymer Reviews
52(1),38-79(2012)”に記載されている。該ポリエステルポリオールを製造するための出発物質は、主として、グリセロールの3つのヒドロキシル基が脂肪酸でエステル化されたトリグリセリドからなる植物油である。これらの脂肪酸は、飽和脂肪酸〔すなわち、非反応性の脂肪族鎖を含有する(ステアリン酸やパルミチン酸等)〕であっても、あるいは不飽和脂肪酸〔すなわち、二重結合を有する脂肪族鎖を含有(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、またはリシノール酸等)〕であってもよい。しかしながら、トリグリセリドが少なくとも2つの二重結合を有することが必須である。植物油は、それ自体公知の方法に従って、例えば、酢酸と過酸化水素との反応から生じる過酢酸とその場で反応させることによってエポキシ化することができる。他の適切な方法は、植物油の酵素的エポキシ化またはマイクロ波によるエポキシ化である。
【0025】
エポキシドの開環反応は、酸性触媒(硫酸、p-トルエンスルホン酸、フルオロホウ酸、過塩素酸、またはフルオロアンチモン酸など)の存在下にて、種々の活性水素化合物Nu−H〔式中、Nuは、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、ヒドロキシアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジ(ヒドロキシアルキル)アミノ、アルコキシ、ヒドロキシアルコキシ、アルキルチオ、またはアルカノイルオキシを表わす〕を使用して行うことができる。このように、分子量、粘度、および官能価に関して特徴のある種々のポリエステルポリオールを製造することができる。
【0026】
好ましいポリエステルポリオールは、2〜4(特に2.5〜3.5)の官能価(1分子当たりのヒドロキシル基の数)、100〜300(特に150〜250)の中程度のヒドロキシル価、200〜500(特に300〜400)の中程度のヒドロキシル当量、および100〜2500ミリパスカル秒(特に200〜500ミリパスカル秒)の中程度の粘度を示す。
【0027】
このタイプのポリエステルポリオールは、例えば、BASF社からSOVERMOL(登録商標)の商品名で市販されている。
成分(a3)として特に好ましいのはSOVERMOL(登録商標)であり、本物質は、3.0の官能価、160の中程度のヒドロキシル価、350の中程度ヒドロキシル当量、および500ミリパスカル秒の中程度の粘度を有する分岐鎖ポリエステルポリオールである。
【0028】
本発明に従ったポリオール成分(A)は、PUR技術に適した通常の添加剤〔例えば触媒、界面活性剤、乾燥剤、充填剤、染料、顔料、防炎剤、軟化剤、熱劣化安定剤、チキソトロープ剤、発泡剤、および気泡安定剤(例えばシリコーンやジカルボン酸など)〕をさらに含んでよい。
【0029】
好適な触媒は、例えば、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジベンジルメチルアミン、もしくはジアザビシクロオクタン等の第三アミン、またはジブチル錫ラウレート等の有機スズ化合物である。
【0030】
PURフォーム用の防炎剤としては、通常は、トリクレジルホスフェートやジメチルメタンホスホネート等のリン化合物、またはハロゲン含有ポリオールが使用される。水和酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、およびポリリン酸アンモニウム等の無機難燃剤も使用することができる。
【0031】
鉱油を軟化剤として加えることができる。好適なのは、例えばNynas社からNYFLEX(登録商標)の商品名で市販されている鉱油である。
本発明のポリオール成分用の好適な熱劣化安定剤は、例えば、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族グリシジルエーテルである。
【0032】
好ましいチキソトロープ剤は、例えば、Evonik社からAEROSIL(登録商標)の商品名で市販されている溶融シリカである。
本発明のポリオール成分中の添加剤の総含量は、全組成物を基準として0〜30重量%であるのが有利であり、好ましくは0〜15重量%である。
【0033】
反応性がかなり低い(ゲル化時間が2時間超)場合は、特定の気泡安定剤を加えるのが極めて望ましい。
従って、本発明のさらなる実施態様は、上記の成分(a1)、(a2)および(a3)を含有し、そしてさらに(a4)ポリシロキサン・ポリオキシアルキレンブロックコポリマーを含有するポリオール成分(A)である。
【0034】
PURフォーム用の安定剤としてのポリシロキサン・ポリオキシアルキレンブロックコポリマーは、例えば米国特許出願第6166098号と欧州特許出願第936240号に記載されており、例えばEvonik社からTEGOSTAB(登録商標)の商品名で、そしてAir Products社からDABCO(登録商標)の商品名で市販されている。
【0035】
TEGOSTAB(登録商標)B8863Z安定剤が特に好ましい。
成分(a1)、(a2)、および(a3)、そして任意成分(a4)がポリオール成分(A)中に使用される量は、広い範囲内で変わってよい。
【0036】
全組成物(添加剤を含めて)の重量を基準として、(a1)ポリエーテルポリオールを5〜30重量%(好ましくは7〜20重量%、特に8〜15重量%);(a2)ヒドロキシ末端ポリブタジエンもしくはヒドロキシ末端ポリイソプレンを30〜70重量%(好ましくは35〜65重量%、特に40〜60重量%);および(a3)不飽和脂肪酸エステルのエポキシ化とその後の活性水素含有化合物との開環反応によって得られるポリエステルポリオールを10〜50重量%(好ましくは12〜40重量%、特に15〜30重量%);含む組成物が有利であることが判明した。
【0037】
PURフォームを製造する際には、成分(a1)、(a2)および(a3)を含む組成物を含有するポリオール成分(A)とポリイソシアネートとを反応させる。本発明に従ったPURフォームを製造する際に有用なポリイソシアネートは当業者によく知られており、1分子当たり少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機化合物である。こうした化合物のいずれも、そしてこれら化合物の混合物も使用することができる。イソシアネートは、芳香族イソシアネート、脂環式イソシアネート、または脂肪族イソシアネートであってよく、モノマー化合物またはオリゴマー化合物であってよい。
【0038】
従って本発明はさらに、(A)請求項1に記載の成分(a1)、(a2)および(a3)を含む組成物;および(B)ポリイソシアネート;を含有する組成物に関する。
好適なポリイソシアネートに対する特定の例としては、ドデカン-1,12-ジイソシアネート、2-エチルテトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエン-2,4-ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエン-2,5-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-2,2'-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-2,4'-ジイソシアネート、トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,2'-ジイソシアネート(2,2'-MDI)、ジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート(4,4'-MDI)、ジフェニルメタン-2,4'-ジイソシアネート(2,4'-MDI)、およびポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(クルードMDI)などが挙げられる。有機ジイソアネートと有機ポリイソシアネートは、単独でも、混合物の形態でも使用することができる。
【0039】
市販のジイソシアネートは、二量体化合物(ウレトジオン)、三量体化合物(トリアジン)、およびオリゴマー化合物を含有することが多い。本発明の組成物では、モノマーとオリゴマーとのこうした混合物を、副生物の分離や精製を行うことなく使用することができる。
【0040】
本発明のPURフォームを製造するには、ジフェニルメタンジイソシアネートを使用するのが好ましく、ジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネートまたはジフェニルメタン-2,4'-ジイソシアネートを使用するのがさらに好ましい。
【0041】
本発明の特に好ましい実施態様では、約60%の4,4'-メチレンジフェニルジイソシアネートと約20%の2,4'-メチレンジフェニルジイソシアネートと約20%のポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネートの混合物がイソシアネート成分(B)として使用される。
【0042】
本発明の成分(A)と(B)から製造されるPURは、発泡体でも無発泡体でも、種々の用途に使用することができる〔好ましくは電子工学における隔離材料(isolating material)として〕。
【0043】
従って本発明は、上記の成分(A)と(B)を含有する組成物を電気部品用の封入材料として使用することに関する。
本発明のPURフォームを製造するには、成分(A)と(B)を、成分(B)のNCO基と、成分(a1)と(a2)と(a3)の反応性水素原子の合計との当量比が(0.85〜1.75):1〔好ましくは(1.0〜1.3):1〕であるような量にて反応させる。イソシアネートをベースとするフォームが少なくとも幾らかの結合イソシアヌレート基を含有する場合は、前記成分の比は通常、1.5〜60):1〔好ましくは(3〜8):1〕が使用される。
【0044】
一般には、PUR発泡反応時に発泡剤が使用される。発泡剤は、空気、窒素、二酸化炭素、または任意の他の不活性ガスであってよい。発泡剤はさらに、水(イソシアネートと反応して、その場で二酸化炭素を生成する)またはフッ素化炭化水素(例えばジクロロジフルオロメタン、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン、1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン、または2,2-ジクロロエタン等)であってよい。ペンタンやアセトン等の非フッ素化有機化合物も、発泡剤として使用することができる。発泡剤の必要量は、求められるフォームの密度に応じて変わる。発泡剤の適切なレベルは、当業者には公知である。
【0045】
本発明はさらに、上記のプロセスによって製造されるPURフォームを、コンデンサーコアと外側の複合材料絶縁体もしくは磁器絶縁体との間の間隙を埋めるための樹脂含浸紙(RIP)ブッシングを製造する際に使用すること、に関する。
【0046】
本発明のPURフォームに対する他の有望な応用分野は、極端な温度と圧力にさらされるパイプ(例えば、深海での油層やガス鉱床の開発のために使用されるパイプ)の熱隔離である。
【0047】
従って本発明はさらに、上記のプロセスによって製造されるPURフォームをパイプ用の断熱材として使用すること、に関する。
さらに、本発明のプロセスによって製造されるPURフォームは、中空コア複合材料絶縁体における充填材として有利に使用することができる。
【0048】
従って、上記のプロセスによって製造されるPURフォームを、中空コアチューブにおけるスペースを充填するための中空コア複合材料絶縁体の製造において使用することが、本発明の他の目的である。
【0049】
[1] (a1)ポリエーテルポリオール、(a2)ポリオレフィンポリオール、および、(a3)不飽和脂肪酸エステルのエポキシ化とその後の活性水素含有化合物との開環反応によって得られるポリエステルポリオール、を含む組成物。
[2] 成分(a1)として直鎖または分岐鎖のポリエチレンオキシドもしくはポリプロピレンオキシドを含む、[1]に記載の組成物。
[3] 成分(a1)としてヒドロキシ末端エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーを含む、[1]に記載の組成物。
[4] 成分(a2)としてポリ-1,3-ブタジエンポリオールまたはポリイソプレンポリオールを含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5] 成分(a3)として、植物油から不飽和脂肪酸エステルとして得られるポリエステルポリオールを含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] (a4)ポリシロキサン-ポリアルキレンブロックコポリマーをさらに含有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] 組成物の総重量を基準として、(a1)ポリエーテルポリオールを5〜30重量%、(a2)ヒドロキシ末端のポリブタジエンもしくはポリイソプレンを30〜70重量%、及び、(a3)不飽和脂肪酸エステルのエポキシ化とその後の活性水素含有化合物との開環反応によって得られるポリエステルポリオールを10〜50重量%、含む、[1]に記載の組成物。
[8](A)請求項1に記載の成分(a1)、(a2)および(a3)を含む組成物;ならびに(B)ポリイソシアネート;を含有する組成物。
[9] 成分(B)としてジフェニルメタンジイソシアネートを含有する、[8]に記載の組成物。
[10] [8]に記載の組成物の、電気部品用封入材料としての使用。
[11] (A)[1]に記載の組成物を含有するポリオール成分と(B)ポリイソシアネートとを発泡剤の存在下で反応させることによるPURフォームの製造方法。
[12] [11]に記載の製造方法によって製造されるPURフォームの、コンデンサーコアと外側の複合材料絶縁体との間の間隙を埋めるための樹脂含浸紙(RIP)ブッシングの製造における使用。
[13] [11]に記載の製造方法によって製造されるPURフォームの、パイプ用断熱材としての使用。
[14] [11]に記載の製造方法によって製造されるPURフォームの、中空コアチューブにおけるスペースを充填するための中空コア複合材料絶縁体の製造における使用。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、これらの実施例によって本発明が限定されることはない。
【実施例】
【0050】
使用した原材料一覧
・BAYGAL(登録商標)K55(Bayer社から供給)
無色乃至黄色がかった三官能ポリプロピレンオキシド/ポリエチレンオキシドブロックコポリマー。粘度:約600ミリパスカル。ヒドロキシル価:370〜400mgKOH/g。
・TEGOSTAB(登録商標)B8863Z(Evonik社から供給)
ポリエーテル変性ポリシロキサン。PURフォーム用の気泡安定剤として望ましい。
・LUPRANOL(登録商標)2095(BASF社から供給)
一級ヒドロキシル末端基を有する三官能ポリエーテルポリオール。弾性フォーム材料の製造用に望ましい。粘度:約850ミリパスカル。ヒドロキシル価:35mgKOH/g(DIN53240)。
・ARALDITE(登録商標)DY3601(Huntsman社から供給)
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル。エポキシ価:2.47〜2.60eq/kg(ISO3001)。
・NYFLEX820(Nynas GmbHから供給)
石油から誘導される液体ナフテン系炭化水素。粘度:40℃にて90〜110センチストークス(ASTM445)。
・Poly bd(登録商標)R45 HTLO(CRAY VALLEY社から供給)
液体ヒドロキシル末端ポリブタジエン。粘度:30℃にて5パスカル。ヒドロキシル官能価:2.5。分子量M
n:2800g/モル。1,2-ビニル含量:20%。
・SOVERMOL(登録商標)1111(BASF社から供給)
分岐鎖ポリエーテルエステル。粘度:25℃にて300〜700ミリパスカル(DIN53015)
・UOP Lペースト(UOP社から供給)
約3Åの孔径を有するゼオライトA型のアルミノケイ酸カリウムカルシウムナトリウムのヒマシ油中50%ペースト。
・AEROSIL(登録商標)200(Evonik社から供給)
200m
2/gの比表面積を有する親水性溶融シリカ。
・SUPRASEC(登録商標)2447(Huntsman社から供給)
約60%の4,4'-メチレンジフェニルジイソシアネート、約20%の2,4'-メチレンジフェニルジイソシアネート、および約20%のポリメリックメチレンジフェニルジイソシアネートを含有するイソシアネートブレンド。
【0051】
成分Aの調製
(本発明の実施例1〜3(Ex1〜Ex3)と比較例1〜3(C1〜C3)に係る成分Aの調製)
SUPRASEC(登録商標)2447を除いて、表1に係る各配合処方の全ての成分を十分なサイズの金属缶中に入れて200gのポリオール混合物を得る。次いで、成分を23℃にてプロペラスターラーで約2分撹拌することによって混合物を調製して、成分Aを得る。
【0052】
成分Bの調製
本発明の実施例1〜3(Ex1〜Ex3)と比較例1〜3(C1〜C3)に対する成分Bとして、Huntsman社の100%SUPRASEC(登録商標)2447を使用する。
【0053】
成分Aと成分Bとの反応性混合物の調製
約150gの成分Aと、表1に従った対応する量の成分Bを金属缶に入れ、プロペラスターラーで周囲温度にて2分混合する。引き続きこの反応性混合物80gを使用してフォームを生成させ、そしてリセットして後述するtanδ試験用のプレートを得る。結果を表1に示す。
【0054】
フォームの生成と気泡安定性の評価
80gのポリオール/イソシアネート混合物を200mlのカップ中に入れ、小型の高剪断ディスペンサーミキサーを使用して2000rpmで30秒撹拌する。本装置による剪断は、気泡の形成による約30%の体積増加を達成するような量の空気を導入するに足る剪断作用である。次いで得られたフォームを23℃で72時間硬化させる。硬化フォームサンプルの外観を均一性に関してチェックする。気泡安定性試験に合格する要件は、気泡破壊の兆候を示さないことである。
【0055】
ポリオール混合物の貯蔵安定性に対する評価
ポリオール混合物(成分A)は、室温で一ヶ月にわたって透明のままで分離の兆候を示さないことが要求される。成分が非相溶性である配合物は通常、しばらくしてから2相以上を示すようになる。
【0056】
粘度の測定
成分Aと成分Bの混合物をRheomat粘度計にかけ、粘度の進行具合を、15パスカルに達するまで記録する。15パスカルを達成するのに必要とされる時間を記録する。粘度はDIN53019に従って測定する。
【0057】
tanδとTgの測定
成分(A)と(B)の混合物を(発泡させることなく)金型中に注入し、混合物を90℃で4時間硬化させることによって1mm厚さと2mm厚さのプレートを作製する。次いでIEC60250に従って、2mm厚さのプレートに関してtanδを測定する。T
gは、IEC6721-2に従って、1mm厚さのプレートに関してDMAにより測定する。
【0058】
実施例1〜3の組成物は、長いポットライフ、低いT
g(優れた低温フレキシビリティ)、低いtanδ(優れた電気性能)、および高い貯蔵安定性の組み合わせをもたらすが、比較例1〜3の組成物(C1〜C3)は、低いT
g(−50℃未満が目標値)や低いtanδ(室温では5%未満、100℃では15%未満)という要求特性を達成していない。
【0059】
【表1】