特許第6735293号(P6735293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6735293クロストークを回避するために周波数分離を増大させた波長選択スイッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6735293
(24)【登録日】2020年7月15日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】クロストークを回避するために周波数分離を増大させた波長選択スイッチ
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/31 20060101AFI20200728BHJP
   G02B 6/28 20060101ALI20200728BHJP
【FI】
   G02F1/31
   G02B6/28 U
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-560475(P2017-560475)
(86)(22)【出願日】2016年2月9日
(65)【公表番号】特表2018-508839(P2018-508839A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】US2016017203
(87)【国際公開番号】WO2016130585
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2019年1月28日
(31)【優先権主張番号】14/618,324
(32)【優先日】2015年2月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510021199
【氏名又は名称】ニスティカ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェファーソン・エル・ワジナー
【審査官】 野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−067004(JP,A)
【文献】 特開2014−197154(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0285867(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/008403(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/008489(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0002917(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103281153(CN,A)
【文献】 SORIMOTO et al.,A compact high-port-count wavelength selective switch using LCOSs and a multi-stacked AWG,LEOS 2008 - 21st Annual Meeting of the IEEE Lasers and Electro-Optics Society,IEEE,2008年11月 9日,pp.376-377,IEL Online(IEEE Xplore), DOI: 10.1109/LEOS.2008.4688647,URL,https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=4688647
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12 − 6/14
6/35
26/00 −26/08
G02F 1/00 − 1/13
1/137− 1/141
1/21 − 7/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを受け取るために第1の平面内でポート軸に沿って空間的に分離された第1の複数のポートおよび光ビームを受け取るために前記第1の平面に平行な第2の平面内で前記ポート軸に沿って空間的に分離された第2の複数のポートを有する光ポートアレイであって、オフセット軸は、前記第1および第2の平面の両方を通って延び、前記第1の複数のポート内のポートは、前記第2の複数のポート内のポートから前記オフセット軸に沿って横方向に変位し、前記第1の複数のポートは第1の方向に沿って延びる光学軸を有し、前記第2の複数のポートは第2の方向に沿って延びる光学軸を有し、前記第1および第2の方向は互いに異なり、該第1および第2の方向の少なくとも1つは、前記ポート軸に直交しない、光ポートアレイと、
前記第1の複数のポートの1つから前記光ビームの第1のものおよび前記第2の複数のポートから前記光ビームの第2のものを受け取り、前記光ビームをそれぞれの第1および第2の複数の波長成分に第1および第2の波長分散軸に沿って空間的に分離する分散素子と、
前記第1および第2の複数の波長成分を集束するための集束素子と、
前記集束された複数の波長成分を受け取るためのプログラム可能な光位相変調器であって、前記変調器は、前記第1の複数のポートのいずれか1つから受け取られた前記波長成分を前記第1の複数のポートの選択された1つに向けるように構成され、さらに前記第2の複数のポートのいずれか1つから受け取られた前記波長成分を前記第2の複数のポートの選択された1つに向けるように構成される、プログラム可能な光位相変調器と、
を備える、光学デバイス。
【請求項2】
前記第1および第2の方向は、前記第1および第2の平面に平行な平面視において、両方とも、前記オフセット軸に直交せず、互いに関して0°よりも大きい鋭角を規定する、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記第1の複数のポートは、前記ポート軸に沿って前記第2の複数のポートと交互配置される、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記第1および第2の波長分散軸ならびに前記プログラム可能な光位相変調器は、共通平面内に延びる、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記第1の複数のポートは、第1の平面内に延び、前記第2の複数のポートは、前記第1の平面に平行な第2の平面内に延びる、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記オフセット軸は、前記第1および第2の平面の両方を通って直角に延びる、請求項5に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記プログラム可能な光位相変調器は、液晶ベースの位相変調器を含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記液晶ベースの位相変調器は、LCoSデバイスである、請求項7に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記分散素子は、回折格子およびプリズムから成る群から選択される、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記光ポートアレイから受け取られた前記光ビームを拡大し、前記拡大された光ビームを前記分散素子に向けるための光学系をさらに備える、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記光学系は、第1の方向において第1の拡大係数および前記第1の方向に直交する第2の方向において第2の拡大係数を有し、前記第1の拡大係数は、前記第2の拡大係数と異なる、請求項10に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記第1の方向は、前記光ビームがそれに沿って空間的に分離される、前記波長分散軸の少なくとも1つに平行であり、前記第1の拡大係数は、前記第2の拡大係数よりも小さい、請求項11に記載の光学デバイス。
【請求項13】
ポートアレイの入力ポートからの光ビームの波長成分を前記ポートアレイの少なくとも1つの出力ポートに向けるための方法であって、
第1の波長選択スイッチと関連する前記ポートアレイの第1の入力ポートにおいて第1の光ビームを受け取るステップと、
第2の波長選択スイッチと関連する前記ポートアレイの第2の入力ポートにおいて第2の光ビームを受け取るステップと、
前記光ビームを第1の方向および該第1の方向に直交する第2の方向において拡大するステップと、
前記光ビームを拡大した後に、前記第1および第2の光ビームの前記波長成分を空間的に分離するステップと、
前記第1および第2の光ビームの前記波長成分が、プログラム可能な光位相変調器上の少なくともピクセル軸に沿って空間的に分離されるように、前記空間的に分離された波長成分を前記プログラム可能な光位相変調器上に集束するステップであって、前記第1の光ビームの前記波長成分は、前記第2の光ビームの前記波長成分から前記ピクセル軸に沿って空間的にオフセットされる、ステップと、
前記第1の入力ポートから受け取られた前記波長成分の個別波長成分を前記第1の波長選択スイッチと関連する前記ポートアレイの別のポートに選択的に向け、さらに前記第2の入力ポートから受け取られた前記波長成分の個別波長成分を前記第2の波長選択スイッチと関連する前記ポートアレイの別のポートに選択的に向けるために、前記プログラム可能な光位相変調器の位相シフトプロファイルを調整するステップと、
を含む、方法であって、
前記プログラム可能な光位相変調器はLCoSデバイスを含む、方法。
【請求項14】
前記第1の方向は、前記第1および第2の光ビームがそれに沿って空間的に分離される、波長分散軸に平行であり、前記第1の方向における前記拡大は、前記第2の方向における前記拡大よりも小さい、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロストークを回避するために周波数分離を増大させた波長選択スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信ネットワークでは、個別波長(チャンネル)に複数の光チャンネルを有する光信号は、典型的にはある長さの光ファイバを通って、1つの位置から別の位置に伝送される。光クロスコネクトモジュールは、1つの光ファイバから別の光ファイバへの光信号の切り替えを可能にする。波長選択光クロスコネクト、または波長選択スイッチ(WSS)は、再構成可能な波長依存切り替えを可能にする、すなわち、それは、他の波長チャンネルを第1の光ファイバ内に伝搬させながら、ある波長チャンネルが第1の光ファイバから第2の光ファイバに切り替えられることを可能にする、またはそれは、ある波長チャンネルが第3の光ファイバに切り替えられることを可能にする。波長選択的光切り替えに基づく光ネットワークアーキテクチャは、個別波長チャンネルの光学経路を自動的に生成するまたはルート変更する(re-route)能力に起因して多くの魅力的な特徴を有する。それは、サービス展開を加速し、光ネットワークの破損点の周りでのルート変更を加速し、サービスプロバイダのための資本経費および営業経費を低減し、ならびにネットワークの将来性のあるトポロジーを生成する。
【0003】
場合によっては、多重波長スイッチの機能性は、レンズ、分散素子および空間光変調器などの光学素子の共通する組を共有することもある。そのような波長選択スイッチは、機能的に異なるスイッチの様々なチャンネル間で望ましくないレベルのクロストークを示すこともある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様によると、光学デバイスは、光ポートアレイと、分散素子と、集束素子と、プログラム可能な光位相変調器とを含む。光ポートアレイは、光ビームを受け取るための第1の複数のポートおよび光ビームを受け取るための第2の複数のポートを有する。オフセット軸は、第1および第2の平面の両方を通って延びる。第1の複数のポート内のポートは、第2の複数のポート内のポートからオフセット軸に沿って横方向に変位している。分散素子は、第1の複数のポートの1つから光ビームの第1のものおよび第2の複数のポートから光ビームの第2のものを受け取る。分散素子は、光ビームをそれぞれの第1および第2の複数の波長成分に第1および第2の波長分散軸に沿って空間的に分離する。第1の複数のポートは、第1の方向に沿って延びる光学軸を有し、第2の複数のポートは、第2の方向に沿って延びる光学軸を有する。第1および第2の方向は、互いに異なる。第1および第2の方向の少なくとも1つは、ポート軸に直交しない。集束素子は、第1および第2の複数の波長成分を集束する。プログラム可能な光位相変調器は、集束された複数の波長成分を受け取る。プログラム可能な光位相変調器は、第1の複数のポートのいずれか1つから受け取られた波長成分を第1の複数のポートの選択された1つに向けるように構成され、さらに第2の複数のポートのいずれか1つから受け取られた波長成分を第2の複数のポートの選択された1つに向けるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】波長選択スイッチの一例の機能ブロック図を示す図である。
図2図1に示される光学デバイスのための空間光変調器として用いられてもよいLCoSデバイスの正面図である。
図3】2つの波長選択スイッチの波長成分が、互いに空間的に分離される、LCoSデバイスの正面図を示す図である。
図4A】本発明の実施形態と併せて使用されてもよい自由空間WSS100などの簡略化された光学デバイスの一例の上面図である。
図4B】本発明の実施形態と併せて使用されてもよい自由空間WSS100などの簡略化された光学デバイスの一例の側面図である。
図5】第1の光スイッチの波長成分が、第1の波長分散軸に沿って延び、第2の光スイッチの波長成分が、第2の波長分散軸に沿って延びる、図2および図3のLCoSデバイスの正面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、場合によってはまた統合されたチャンネルモニタを含むこともある波長選択スイッチ(WSS)100の一例の機能ブロック図を示す。図示されるように、3つの別個の機能が、描かれ、すなわちWSS10および20によって表される、2つの1×nのWSS、ならびに光チャンネルモニタ30(OCM)である。しかしながら、以下で述べられるように、異なる機能が、単一の物理的スイッチングデバイスに組み込まれてもよいことに留意すべきである。
【0007】
WSS10は、入力ポート12ならびに出力ポート141、142、143、144および145("14")を含む。スイッチングファブリック16は、入力ポート12において受け取られた光信号が、スイッチコントローラ40の制御下で出力ポート14の1つに選択的に向けられてもよいように、入力ポート12を出力ポート14に光学的に結合する。同様に、WSS20は、入力ポート22ならびに出力ポート241、242、243、244および245("24")を含む。スイッチングファブリック26は、入力ポート22において受け取られた光信号が、スイッチコントローラ40の制御下で出力ポート24の1つに選択的に向けられてもよいように、入力ポート22を出力ポート24に光学的に結合する。
【0008】
WSS10および20は、5つの出力ポートを有するとして描かれるが、より一般的には任意の数の出力ポートが、用いられてもよく、この数は、2つの機能素子の間で同じまたは異なってもよいことに留意すべきである。
【0009】
図1に示されるなどの光学デバイスの機能性は、2つの光切り替え機能のために同じ光学素子の大部分を使用して実施されてもよい。そのようなデバイスは、両方の波長選択スイッチに共通するLCoSなどの空間光変調器を用いてもよい。
【0010】
図2は、図1に示される光学デバイスのための空間光変調器として用いられてもよいLCoSデバイス21の正面図である。光スイッチの第1のものについての3つの波長成分λ1、λ2およびλ3は、LCoSデバイス21の上部に沿って示される。波長成分λ1、λ2およびλ3は、波長分散軸(x-軸)に沿って空間的に分離され、LCoSデバイス21の多重ピクセル19に沿って延びる。同様に、光スイッチの第2のものについての3つの波長成分λ'1、λ'2およびλ'3は、LCoSデバイス21の下部に沿って示される。波長成分λ'1、λ'2およびλ'3もまた、波長分散軸(x-軸)に沿って空間的に分離される。波長成分の光ビームは、卵形の横断面形状を有するとして例示されるが、より一般的には光ビームは、円形および三日月形の形状を含むがそれらに限定されない、任意の横断面形状を有してもよいことに留意すべきである。加えて、当業者は、波長成分の数が、実施ごとに変わってもよく、3つの波長成分が、例示のためだけに示されることを認識することになる。
【0011】
第1の光スイッチと関連する波長成分は、本明細書ではポート軸と呼ばれるy-軸に沿った互いに関するそれらの空間変位によって第2の光スイッチと関連する波長成分から分離される。それにもかかわらず、いくらかのクロストークが、特に同じ波長(例えば、第1の光スイッチの波長成分λ1および第2の光スイッチの波長成分λ'1)を有する2つの光スイッチの成分間に残る。このクロストークを低減するための1つの方法は、同じ波長を有する2つの光スイッチの成分をさらに空間的に分離することである。
【0012】
この追加の分離を成し遂げるための1つの方法は、第1の組の波長成分(第1のスイッチと関連する)を波長分散軸(すなわち、図2でのx-軸)に沿って第2の組の波長成分(第2のスイッチと関連する)から空間的にオフセットさせることである。すなわち、各組内の波長の対応する対は、波長分散軸に沿って互いに空間的にオフセットされる(例えば、対λ1およびλ'1は、互いにオフセットされ、対λ2およびλ'2は、互いにオフセットされ、対λ3およびλ'3は、互いにオフセットされる)。図3は、波長成分が、この仕方で空間的に分離される、LCoSデバイス21の正面図を示す。オフセットの大きさは、応用に特有であってもよく、実施ごとに変わってもよい。しかしながら、一般にかなりの追加の分離度は、有効ビーム直径と比較して小さくないオフセットを使用することによって達成されてもよい。例えば、ビーム直径の半分とビーム直径の2倍との間のオフセットは、様々な状況で分離を大幅に改善するのに役立つこともある。
【0013】
図3に示される波長成分のパターンを提供するために使用されてもよいWSSの一例は、図4Aおよび図4Bを参照して以下で述べられることになる。
【0014】
図4Aおよび図4Bは、本発明の実施形態と併せて使用されてもよい自由空間WSS100などの簡略化された光学デバイスの一例のそれぞれ上面図および側面図である。光は、入力および出力ポートとしての機能を果たす光ファイバなどの光導波路を通ってWSS100に入力され、出力される。ファイバコリメータアレイ101は、図1に示されるWSS10と関連付けられる第1のファイバ系列120、および図1に示されるWSS20と関連付けられる第2のファイバ系列130を含む。各個別ファイバは、コリメータ102と関連付けられ、それは、各ファイバからの光を自由空間ビームに変換する。
【0015】
図4Bに最もよく見られるように、第1のファイバ系列120内のファイバ1201、1202、1203および1204は、第2のファイバ系列130内のファイバ1301、1302および1303と交互配置される。その上、図4Bにまた見られるもするように、第1のファイバ系列120内のファイバは、第2のファイバ系列130内のファイバから角度的にオフセットされる。この角度オフセットは、図2に示されるように、2つの異なるWSS10および20と関連する波長をLCoSデバイス21上でy-方向(ポート軸)に互いに空間的にオフセットさせる。
【0016】
図4Aに最もよく見られるように、第1のファイバ系列120内のファイバは、図4Aおよび図4Bにおいてy-z平面として規定される第1の共通平面内に延びる。同様に、第2のファイバ系列130内のファイバは、第1の共通平面に平行でかつ第1の共通平面からオフセットされる第2の共通平面内に延びる。第1のファイバ系列と第2のファイバ系列との間のこのオフセットは、第1および第2のWSS10および20と関連する共通波長成分間に図3に示されるx-方向(波長分散軸)における空間的オフセットを引き起こす。
【0017】
一対の望遠鏡または光ビーム拡大器は、ポートアレイ101からの自由空間光ビームを拡大する。第1の望遠鏡またはビーム拡大器は、光学素子106および107から形成され、第2の望遠鏡またはビーム拡大器は、光学素子104および105から形成される。
【0018】
図4Aおよび図4Bでは、2つの軸内で光に影響を及ぼす光学素子は、両方の図において両凸光学系として実線を用いて例示される。他方では、1つの軸内で光に影響を及ぼすだけである光学素子は、影響を受ける軸内で平凸レンズとして実線を用いて例示される。1つの軸内で光に影響を及ぼすだけである光学素子はまた、それらが影響を及ぼさない軸内では点線によって例示されもする。例えば、図4Aおよび図4Bでは、光学素子102、108、109および110は、両方の図において実線を用いて描かれる。他方では、光学素子106および107は、図4Aでは実線を用いて描かれ(それらは、y-軸に沿って集束パワーを有するので)、図4Bでは点線を用いて描かれる(それらは、ビームをx-軸に沿って影響を受けないままにするので)。光学素子104および105は、図4Bでは実線を用いて描かれ(それらは、x-軸に沿って集束パワーを有するので)、図4Aでは点線を用いて描かれる(それらは、ビームをy-軸内で影響を受けないままにするので)。
【0019】
各望遠鏡は、xおよびy方向について異なる拡大係数を有して作られてもよい。例えば、x-方向において光を拡大する、光学素子104および105から形成される望遠鏡の拡大は、y-方向において光を拡大する、光学素子106および107から形成される望遠鏡の拡大よりも小さくてもよい。
【0020】
望遠鏡の対は、ポートアレイ101からの光ビームを拡大し、それらを波長分散素子108(例えば、回折格子またはプリズム)に光学的に結合し、それは、自由空間光ビームをそれらの構成波長またはチャンネルに分離する。波長分散素子108は、光をその波長に従ってx-y平面上で異なる方向に分散するように働く。分散素子からの光は、ビーム集束光学系109に向けられる。
【0021】
ビーム集束光学系109は、波長分散素子108からの波長成分をプログラム可能な光位相変調器に結合し、それは、例えば、LCoSデバイス110などの液晶ベースの位相変調器であってもよい。プログラム可能な光位相変調器は、そのピクセルの各々において位相シフトを作成し、それは、その表面にわたる位相シフトプロファイルを生じさせる。図3に示されるように、波長成分は、x-軸に沿って分散される。それに応じて、所与の波長の各波長成分は、y-方向に延びるピクセル19のアレイ上に集束される。例としてだが、制限としてではなく、λ1、λ2およびλ3と示される中心波長を有する3つのそのような波長成分は、波長分散軸(x-軸)に沿ってLCoSデバイス110上に集束されるとして図4Aに示される。
【0022】
図4Bに最もよく見られるように、LCoSデバイス110からの反射後、各波長成分は、ビーム集束光学系109、波長分散素子108ならびに光学素子106および107を通って戻り、ポートアレイ101内の選択されたファイバに結合されてもよい。それに応じて、y-軸内でのピクセル19の適切な操作は、選択された出力ファイバへの各波長成分の選択的独立指向(steering)を可能にする。
【0023】
上で述べられた例では、波長分散軸は、ピクセルグリッド軸と一致する。しかしながら、より一般的には、波長分散軸は、LCoSデバイス21上の任意の方向に延びてもよい。その上、第1の光スイッチと関連する波長成分および第2の光スイッチと関連する波長成分は、異なる波長分散軸に沿って空間的に分離されてもよい。例えば、図5は、第1の光スイッチについての3つの波長成分λ1、λ2およびλ3が、第1の波長分散軸510に沿って延び、光スイッチの第2のものについての3つの波長成分λ'1、λ'2およびλ'3が、第2の波長分散軸520に沿って延びる、図2および図3のLCoSデバイス21の正面図を示す。図示されるように、第1および第2の波長分散軸は、互いに平行でなく、またそれらのどちらもLCoSデバイス21のピクセルグリッドと一致しない。波長分散軸は、いくつかの異なる方法で規定されてもよい。例えば、それらは、各軸に沿って延びる各ビームの質量中心に対する線形フィットによって規定されてもよい。もし望むならば、平均分散軸がその時、2つの波長分散軸について規定されてもよい。図5に示されるように、各組の成分内の対応する波長成分間のオフセット軸530に沿ったオフセットが、波長分散軸、ピクセルグリッド軸、平均分散軸などを含む、適切な組の軸を参照して計算されてもよい。
【符号の説明】
【0024】
10 1×nのWSS
12 入力ポート
14 出力ポート
16 スイッチングファブリック
19 ピクセル
20 1×nのWSS
21 LCoSデバイス
22 入力ポート
24 出力ポート
26 スイッチングファブリック
30 光チャンネルモニタ(OCM)
40 スイッチコントローラ
100 波長選択スイッチ(WSS)
101 ファイバコリメータアレイ、ポートアレイ
102 コリメータ、光学素子
104 光学素子
105 光学素子
106 光学素子
107 光学素子
108 光学素子、波長分散素子
109 光学素子、ビーム集束光学系
110 光学素子、LCoSデバイス
120 第1のファイバ系列
130 第2のファイバ系列
510 第1の波長分散軸
520 第2の波長分散軸
530 オフセット軸
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5