【文献】
Ice Warehouse,Reebok 3K ABS Composite Hockey Stick,YouTube [online] [video],2011年11月 4日,[2020年5月7日検索],インターネット,URL,https://www.youtube.com/watch?v=QWtZjxkszgE
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記前面側本体部材の表面に形成される第1の補強糸と、前記後面側本体部材の表面に形成される第2の補強糸と、をさらに備え、前記第1の補強糸と、前記第2の補強糸とは、前記複数の貫通孔の各貫通孔内で交叉するよう構成される、請求項1から4までのいずれか1項に記載のブレード。
前記第1の補強糸と、前記第2の補強糸とは、前記複数の貫通孔の各貫通孔内の、該貫通孔の高さ方向でみて、前記コア部材の前面側から該コア部材の約3分の1の範囲の位置又は前記コア部材の後面側から該コア部材の約3分の1の範囲の位置で、交叉するよう構成されることを特徴とする、請求項5に記載のブレード。
前記第1の補強糸と、前記第2の補強糸とは、前記複数の貫通孔の各貫通孔内の、該貫通孔の高さ方向でみて、前記前面側本体部材又は後面側本体部材の位置で、交叉するよう構成されることを特徴とする、請求項5に記載のブレード。
前記貫通孔は、ブレードの表面の内、負荷がより高い領域ではより密に形成されている、請求項1から7までのいずれか1項に記載のブレード。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る方法では、糸の交叉点をブレードの内側に配置し、糸抜けを防止しやすい構成であるものの、糸が通る穴には大きな空間が形成されているため、使用時に繰り返し受けるコア材の圧縮により、コア材の中央付近で交叉する上糸と下糸の緩みが生じるため、糸による補強では不十分となり、耐久性を確保することが難しいという問題があった。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ブレードが負荷を受けた場合、特にコア部材が圧縮方向の力を受ける場合においても、ブレードの剛性及び強度を保ち、これにより耐久性を向上させることにある。本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るブレードは、コア部材と、該コア部材の前面側に形成される前面側本体部材と、該コア部材の後面側に形成される後面側本体部材と、を備え、前記コア部材、前記前面側本体部材及び後面側本体部材を共に貫通する複数の貫通孔を備え、該複数の貫通孔の各々に前記コア部材よりも圧縮強度の高い樹脂が充填されている。
【0009】
本発明の一実施形態に係るブレードにおける前記樹脂の圧縮強度は、20から100Mpaの範囲である。本発明の一実施形態に係るブレードにおける前記樹脂は、前記前面側本体部材及び後面側本体部材と一体となって形成されている。
【0010】
本発明の一実施形態に係るブレードにおける前記樹脂は、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル又はフェノールである。
【0011】
本発明の一実施形態に係るブレードは、前記前面側本体部材の表面に形成される第1の補強糸と、前記後面側本体部材の表面に形成される第2の補強糸と、をさらに備え、前記第1の補強糸と、前記第2の補強糸とは、前記複数の貫通孔の各貫通孔内で交叉するよう構成される。
【0012】
本発明の一実施形態に係るブレードは、前記第1の補強糸と、前記第2の補強糸とは、前記複数の貫通孔の各貫通孔内の、該貫通孔の高さ方向でみて、前記コア部材の前面側から該コア部材の約3分の1の範囲の位置又は前記コア部材の後面側から該コア部材の約3分の1の範囲の位置で、交叉するよう構成される。
【0013】
本発明の一実施形態に係るブレードは、前記第1の補強糸と、前記第2の補強糸とは、前記複数の貫通孔の各貫通孔内の、該貫通孔の高さ方向でみて、前記前面側本体部材又は後面側本体部材の位置で、交叉するよう構成される。
【0014】
本発明の一実施形態に係るブレードは、前記貫通孔は、ブレードの表面の内、負荷がより高い領域ではより密に形成されている。
【0015】
本発明のその他の実施形態に係るブレードは、コア部材と、該コア部材の前面側に形成される前面側本体部材と、該コア部材の後面側に形成される後面側本体部材と、を備え、前記コア部材を貫通する複数の貫通孔を備え、該複数の貫通孔の各々に補強部材が埋設されている。
【0016】
本発明の一実施形態に係るブレードは、前記複数の貫通孔の少なくとも1つは、前記ブレードの延在方向に対して略垂直に形成される。本発明の一実施形態に係るブレードは、前記複数の貫通孔の少なくとも1つは、前記ブレードの延在方向に対して傾斜して形成される。本発明の一実施形態に係るブレードは、前記複数の貫通孔の少なくとも1つは、前記ブレードの延在方向に対して略平行に形成される。
【発明の効果】
【0017】
上記実施形態によれば、ブレードに複数の貫通孔を設け、貫通孔に樹脂が含浸さ
れる若しくは補強部材が埋設されることで、使用時にコア部材が負荷(例えば、引
張方向や圧縮方向の負荷)を受けた場合にあっても、貫通孔を通る補強糸の有無に
関わらず、ブレードの剛性や強度を保つことができ、これにより耐久性を向上させ
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るブレードの一部を拡大した断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るブレードの糸補強を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るブレードの糸補強を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るブレードの糸補強を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るブレードの糸補強を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るブレードの糸補強を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るコア部材及び補強部材を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るブレードの補強構造を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るブレードの補強部材を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るブレードの貫通孔及び補強部材を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るブレードの貫通孔及び補強部材を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るブレードの貫通孔及び補強部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るブレードの実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。複数の図面において共通する構素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0020】
本発明の一実施形態に係るブレードは、スポーツ競技のスティックに用いることができ、例えば、アイスホッケーやフィールドホッケーなどのスティックに使用することが可能である。
【0021】
次に、
図1は、本発明に係るブレード1の一実施形態を示す断面図である。図示のように、本発明の一実施形態に係るブレード1は、コア部材2と、該コア部材2の前面側3に形成される前面側本体部材5と、該コア部材2の後面側4に形成される後面側本体部材7と、を備え、前面側本体部材5の表面6に形成される第1の補強糸9と、前記後面側本体部材7の表面8に形成される第2の補強糸10と、該コア部材2、該前面側本体部材5及び後面側本体部材7を共に貫通する複数の貫通孔11と、を備える。該複数の貫通孔の各々にはコア部材2よりも圧縮強度の高い樹脂12が充填されている。補強糸に関しては後述する。
【0022】
本発明の一実施形態に係るブレードにおける前記樹脂の圧縮強度は、20から100Mpaの範囲である。本発明の一実施形態に係るブレードにおける樹脂12は、前面側本体部材5及び後面側本体部材7と一体となって形成されるよう構成してもよいし、後述する別体部材として構成してもよい。前者の場合、コア部材2に形成された貫通孔11には、樹脂12が、前面側本体部材5及び後面側本体部材7と一体となって形成されるため、前面側本体部材5及び後面側本体部材7とを繋ぐ樹脂の柱が形成されることとなり、圧縮に対するブレードの強度は上がり、又耐久性も向上させることができる。また、本発明の一実施形態に係るブレードにおける前記樹脂の材料として、例えば、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル又はフェノールが考えられるがこれに限られない。
【0023】
ブレードに複数の貫通孔を設け、貫通孔に樹脂が含浸されることで、使用時にコア部材が負荷(例えば、引張方向や圧縮方向の負荷)を受けた場合にあっても、貫通孔を通る補強糸の有無に関わらず、ブレードの剛性や強度を向上ならしめ、これにより耐久性を向上させることが可能となる。
【0024】
本発明の一実施形態に係るブレード1におけるコア部材2は、PVC、PET、ポリメタクリルイミド、アクリル、バルサなどの材料を使用することができる。コア部材2に使用される材料は、比重0.05g/cm
3―0.5g/cm
3のものを使用することができる。本発明の一実施形態に係るブレード1におけるコア部材2の圧縮強度は、0.5から10Mpaの範囲である。
【0025】
本発明の一実施形態に係るブレード1における前面側本体部材5及び後面側本体部材7としてFRP材料を使用することができる。また、本発明の一実施形態に係るブレード1における前面側本体部材5及び後面側本体部材7として、例えば、カーボン、ガラス、アラミドなどの材料を使用することができる。
【0026】
また、
図1に示す例では、コア部材2と、該コア部材2の前面側3に形成される前面側本体部材5と、該コア部材2の後面側4に形成される後面側本体部材7と、を備えるとしたが、当該「形成される」は、一方の部材が他方の部材の上に直接又は間接的に形成されることをいう。すなわち、上記例では、前面側本体部材5若しくは後面側本体部材7がコア部材2の上に直接形成されるか、その他の部材(一層若しくは複数の層からなる部材)が介在するような態様で形成されるよう構成されても構わない。また、前面側本体部材5、後面側本体部材7自体が、一層の態様だけでなく、複数の層から形成されていても構わない。
【0027】
本発明の一実施形態に係るブレード1は、前面側本体部材5の表面6に形成される第1の補強糸9と、後面側本体部材7の表面8に形成される第2の補強糸10とを備え、該第1の補強糸9と、該第2の補強糸10とは、複数の貫通孔11の各貫通孔内で交叉するよう構成される。
【0028】
これにより、補強糸が通る貫通孔内に樹脂が充填されることにより、使用時にコア部材が負荷を受けた場合にあっても、樹脂がブレードの剛性や強度を高めると共に、補強糸の交叉領域における補強糸の緩みをも低減し、補強糸をブレードの貫通孔において極力直線状とするようにし、該補強糸における補強力も確実に向上ならしめ、これにより耐久性をより向上させることが可能となる。
【0029】
本発明の一実施形態に係るブレード1は、第1の補強糸9と、第2の補強糸10とは、複数の貫通孔11の各貫通孔内の、該貫通孔11の高さ方向でみて、前記コア部材2の前面側3から該コア部材2の約3分の1の範囲の位置又は前記コア部材2の後面側4から該コア部材2の約3分の1の範囲の位置で、交叉するよう構成することができる。
【0030】
本発明の一実施形態に係るブレード1は、第1の補強糸9と、第2の補強糸10とは、複数の貫通孔11の各貫通孔内の、該貫通孔11の高さ方向でみて、前面側本体部材5又は後面側本体部材7の位置で、交叉するよう構成することができる。
【0031】
これにより、補強糸が通る貫通孔内に樹脂が充填されることにより、使用時にコア部材が負荷を受けた場合にあっても、樹脂がブレードの剛性や強度を高めることができ、これにより耐久性をより向上させることが可能となる。また、貫通孔内に充填補強糸の交叉領域を、コア部材の中央領域以外の所定の領域とすることで、使用時に樹脂が充填されたコア部材が仮に変形した場合にあっても、当該交叉領域における補強糸の緩みを低減し、補強糸をブレードの貫通孔において極力直線状とすることで、該補強糸における補強力を確実に向上ならしめ、これにより耐久性をさらに向上させることが可能となる。
【0032】
本発明の一実施形態に係るブレード1における第1の補強糸9、第2の補強糸10は、カーボン、ガラス、アラミド、ボロン、ナイロン、SiC、ポリエステル、ポリエチレン、金属、アクリル、撚糸、無撚糸、混紡糸などが想定されるが、これらに限られない。また、本発明の一実施形態に係るブレード1における第1の補強糸9、第2の補強糸10は、予め熱硬化性樹脂が含浸されていてもよい。熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステルなどが想定されるが、これらに限られない。また、熱硬化性樹脂に代わり、熱可塑性樹脂でもよく、その場合、例えば、PA6、PA66、PET、PP、PEI、PEEK、ABS、PC、PESなどが考えられるが、これらに限定されるものではない。また、本発明の一実施形態に係るブレード1における第1の補強糸9、第2の補強糸10は、前面側本体部材5及び後面側本体部材7の樹脂の少なくとも一部が含浸されるようにしても構わない。
【0033】
本発明の一実施形態に係るブレード1における第1の補強糸又は9第2の補強糸10は、各貫通孔11内の、該貫通孔11の高さ方向でみて、コア部材2の約3分の1の範囲の位置以外の位置では、略直線状に形成されている。ここで、貫通孔11の径(A)は、0.3mm−3.0mm程度に形成される。コア部材2の厚さ(B)は、2mm−10mm程度であるため、コア部材2の約3分の1の範囲(C)とは、約0.7mm−3.3mm程度となる。本発明の一実施形態に係るブレード1における第1の補強糸9と第2の補強糸10とが交叉する位置(相対位置D)は、前面側本体部材5又は後面側本体部材7の表面の第1の補強糸9又は第2の補強糸10の位置よりも、0.2mm−0.5mm程度内側に形成される。
【0034】
本発明の一実施形態に係るブレード1における第1の補強糸9及び第2の補強糸10は、各貫通孔11内の、該貫通孔11の高さ方向でみて、前面側本体部材5及び後面側本体部材7の位置では、略直線状に形成されている。
【0035】
本発明の一実施形態に係るブレード1における第1の補強糸9及び第2の補強糸10は、各貫通孔11内の、該貫通孔11の高さ方向でみて、前面側本体部材5及び後面側本体部材7の位置では、2本の第1の補強糸9及び第2の補強糸10がそれぞれ略直線状に形成されている。
【0036】
本発明の一実施形態に係るブレード1における第1の補強糸9と第2の補強糸10とは同種の糸材料であってもよいし、異種の糸材料であっても構わない。また、本発明の一実施形態に係るブレード1における第1の補強糸9と第2の補強糸10とは同一(略同一も含む)の太さに形成してもよいし、異なる太さに形成しても構わない。
【0037】
本発明の一実施形態に係るブレード1における第1の補強糸9は、第2の補強糸10よりも糸強度を大きく形成することができる。また、本発明の一実施形態に係るブレード1における第1の補強糸9は、第2の補強糸10よりも線密度を大きく形成することができる。第1の補強糸9は、成形品の厚み方向に対する補強の主の補強糸であり、第2の補強糸10は補助材料とすることができるため、より軽量な糸を選択してもよく、成形品全体の軽量化に資する。これらの補強糸による補強効果は、成形品の厚み方向の引張、圧縮、せん断に対するものであり、特に成形品が変形を受けると、厚み中心付近のコア部材には高いせん断ひずみが発生するが、補強糸が存在するため、十分な強度を確保しやすくなる。
【0038】
次に、
図2に、
図1における糸補強の態様をブレード表面全体でみた糸補強20の態様を示す。
図2では、ブレード1の表面に第1の補強糸9が形成された様子が示されている。図示のように、ブレード1の表面には、第1の補強糸9が螺旋状に形成されている。図示の例では、この螺旋状の糸補強20全体の幅(E)は、約250mmに形成されている。第1の補強糸9は、3mm−20mmのピッチ(補強糸の進行方向に沿った2つの貫通孔間の間隔)で、3−10列程度ブレード1の表面に形成することができる。
【0039】
図2の紙面の中央よりも左側の領域(X)における面密度は、同図の紙面の中央よりも右側の領域(Y)における面密度と異なるように形成することができる。この場合、右側の領域(Y)における面密度は、左側の領域(X)における面密度よりも大きく形成され、例えば、1.3−3倍程度とすることができる。また、右側の領域(Y)における面密度は、0.002−0.05孔数/mm
2とすることができる。ここで、面密度とは、単位面積mm
2あたりの(第1の補強糸9が配置される)貫通孔11の孔の数と定義される。貫通孔11は、ブレード1の表面の内、負荷がより高い領域ではより密に形成するように構成することができる。これにより、負荷が高い場所における該補強糸における補強力をさらに向上ならしめ、耐久性をより向上させることが可能となる。
【0040】
図3ないし6に、
図1における糸補強20の態様をブレード表面全体でみた糸補強の別の態様を示す。
図3に示す態様では、複数の糸補強20がブレード1の長手方向に直線状に形成されており、中央領域の糸補強20の長さが最も長く、外側に向かうに従って、糸補強20の長さが短く形成されている。これにより、負荷が高い場所における該補強糸における補強力をさらに向上ならしめ、耐久性をより向上させることが可能となる。
【0041】
図4に示す態様では、糸補強20が
図2における態様とは対称に形成されている。これにより、
図2における態様と同様に、負荷が高い場所における該補強糸における補強力をさらに向上ならしめ、耐久性をより向上させることが可能となる。
【0042】
図5に示す態様では、複数の糸補強20がブレード1の長手方向に垂直に直線状に形成されている。これにより、負荷が高い場所における該補強糸における補強力をさらに向上ならしめ、耐久性をより向上させることが可能となる。
【0043】
図6に示す態様では、糸補強20がブレード1の長手方向にジグザグ状に形成されている。これにより、負荷が高い場所における該補強糸における補強力をさらに向上ならしめ、耐久性をより向上させることが可能となる。
【0044】
図2−6に示す各糸補強20の態様は、例示にすぎず、その他の糸補強20の態様を適宜採用することができる。また、ブレード1の表面における糸補強20全体の幅(E)は、負荷の領域や程度に合わせて適宜設定することができる。また、ブレード1の表面における第1の補強糸9のピッチや糸補強20の列の数は、負荷の領域や程度に合わせて適宜設定することができる。これにより、負荷が高い場所における該補強糸における補強力をさらに向上ならしめ、耐久性をより向上させることが可能となる。
【0045】
次に、本発明に係るブレード1における貫通孔11への樹脂12の充填方法を簡単に説明する。
【0046】
まず、コア材2を用意し、その上に前面側本体部材5及び後面側本体部材7を積層させる。その後、上述の糸補強20を行い、プリフォームを作製する。このプリフォームを金型に入れ、金型を閉じる。そして、金型温度を100℃程度に保ちながら金型をプレス機で締める。真空ポンプで金型内を真空にし、樹脂注入機で金型内に樹脂を注入する。樹脂粘度は、5から1000mPa・sの範囲であり、注入圧力は、0.1から1.0Mpaの範囲である。その後、金型内が樹脂で十分に充たされた後、余分な樹脂を真空ポンプ側の樹脂受けに排出するようにする。そして、プリフォームに樹脂が含浸された後、硬化させる。このようにして作製された成形品を金型から取り出し、本発明に係るブレード1を得ることができる。ここで、使用樹脂粘度は、1000mPa.sから1mPa.sまでの範囲とすることができる。また、上記方法における各ステップや各種パラメータなどの条件は適宜設定することができるが、ここでは上記以上の詳細な説明は省略する。
【0047】
その他、貫通孔の縫い糸周りの空間に樹脂を充填する方法として、HP−RTM製法、RTM製法、VaRTM製法、VARI製法などが考えられるが、これらに限られない。また、貫通孔に樹脂を十分に充填させる方法として、ハケ塗りによる含浸、スプレー塗布、液状樹脂に浸漬する方法や高RCのプリプレグやレジンフィルムを内層に使用する方法なども考えられる。
【0048】
次に、
図7は、本発明に係るブレード1の他の実施形態を示す上面及び断面を示す図である。図示のように、本発明の一実施形態に係るブレード1は、コア部材2に複数の貫通孔11を形成する。そして、該コア部材2の当該複数の貫通孔11の各々には補強部材13が埋設される。
【0049】
本発明の一実施形態に係るブレードにおける補強部材13の材料として、例えば、FRP、GFRP、樹脂その他が考えられるがこれに限られない。
【0050】
図8に、本発明に係るブレード1の一実施形態を示す断面図である。図示のように、本発明の一実施形態に係るブレード1は、
図7に示す複数の貫通孔11に補強部材13が充填されたコア部材2と、該コア部材2の前面側3に形成される前面側本体部材5と、該コア部材2の後面側4に形成される後面側本体部材7と、を備えよう構成される。該複数の貫通孔の各々に充填される補強部材13の端面は、前面側本体部材5及び後面側本体部材7の端面と接触する。この場合、当該端面において、補強部材13は、前面側本体部材5及び後面側本体部材7の接着性により、これらの端面に固定することができる。
【0051】
図9に、
図7、8における補強部材13を示す。図示のように、補強部材13は、例えばFRPにより形成することができる。図示の例では、貫通孔11に合わせて補強部材13は円柱状に形成され、繊維方向は長手方向(紙面の上下方向)となっている。
【0052】
これにより、ブレードに複数の貫通孔を設け、貫通孔に補強部材が埋設されることで、使用時にコア部材が負荷(例えば、引張方向や圧縮方向の負荷)を受けた場合にあっても、貫通孔を通る補強糸の有無に関わらず、ブレードの剛性や強度を向上ならしめ、これにより耐久性を向上させることが可能となる。
【0053】
次に、
図10を参照して、貫通孔の方向について説明する。
図1の例では、複数の貫通孔11の1つが、ブレード1の延在方向に対して略垂直に形成れるが、
図10では、複数の貫通孔11の1つが、ブレード1の延在方向に対して傾斜して形成される。傾斜角度は適宜設定することができる。また、前記複数の貫通孔11の複数若しくは全部が、ブレード1の延在方向に対して略垂直又は傾斜して形成されていてもよい。また、前記複数の貫通孔11の一部が、ブレード1の延在方向に対して略垂直に形成され、前記複数の貫通孔11の一部が、ブレード1の延在方向に対して傾斜して形成されていてもよい。
【0054】
図11に、貫通孔の方向の別の実施形態を示す。図示の例では、複数の貫通孔11の2つが、ブレード1の延在方向に対して傾斜して形成されるが、それぞれ異なる傾斜角度をなして形成される。複数の貫通孔11の2つ以上が、それぞれ異なる傾斜角度をなすよう形成されるように構成しても構わない。
【0055】
図12、貫通孔の方向の他の実施形態を示す。図示の例では、複数の貫通孔11の1つが、ブレード1の延在方向に対して略平行に形成されている。複数の貫通孔11の2つ以上が、ブレード1の延在方向に対して略平行に形成されてもよい。また、複数の貫通孔11が、ブレード1の延在方向に対して略平行な貫通孔と、ブレード1の延在方向に対して傾斜した貫通孔と、を備えてもよい。また、複数の貫通孔11が、ブレード1の延在方向に対して略平行な貫通孔と、ブレード1の延在方向に対して略垂直な貫通孔と、を備えてもよい。さらに、また、複数の貫通孔11が、ブレード1の延在方向に対して略平行な貫通孔と、ブレード1の延在方向に対して略垂直な貫通孔と、ブレード1の延在方向に対して傾斜した貫通孔と、を備えるよう構成されても構わない。
【0056】
これにより、ブレードに所望の角度で複数の貫通孔を設け、当該貫通孔に補強部材が埋設されることで、使用時にコア部材が負荷(例えば、引張方向や圧縮方向の負荷)に対する、ブレードの剛性や強度を向上ならしめ、これにより耐久性を向上させることが可能となる。
【0057】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。