(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、バックライトユニットからの光の利用効率を高めることのできる偏光板及び液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の実施形態に係る偏光板は、屈折率が異なる二つの層が繰り返し積層されている繰り返し積層構造を備える反射型偏光板本体と、前記反射型偏光板本体の一方の側面に配置され、Rth(厚さ方向の位相差)を補償するRth位相補償層と、を備える。
【0008】
前記反射型偏光板本体は、3つの前記繰り返し積層構造を備え、前記3つの繰り返し積層構造の間及び外側にはバッファ層が形成されていてもよい。
【0009】
前記Rth位相補償層としては、トリアセチルセルロース(TAC:triacetyl−cellulose)層を用いてもよい。
【0010】
前記Rth位相補償層は、ネガティブCプレートまたはシクロオレフィンポリマー(COP:cyclo olefin polymer)を備えていてもよい。
【0011】
前記Rth位相補償層は前記反射型偏光板本体に配備され、前記3つの繰り返し積層構造の外側のうちの一方の外側には前記バッファ層が配置され、他方の外側には前記Rth位相補償層が配置されてもよい。
【0012】
本発明の他の実施形態に係る偏光板は、屈折率が異なる二つの層が繰り返し積層されている少なくとも一つの第1の繰り返し積層構造と、屈折率が異なる二つの層が繰り返し積層されている第2の繰り返し積層構造と、を備え、前記第1の繰り返し積層構造は前記偏光板に光が入射する側に配置され、前記第2の繰り返し積層構造は前記偏光板から光が出射される側に配置され、前記第1の繰り返し積層構造及び前記第2の繰り返し積層構造は、前記屈折率が異なる二つの層の厚さ比または成分比が異なる。
【0013】
前記第1の繰り返し積層構造及び前記第2の繰り返し積層構造が有する厚さ比または成分比は異なっていてもよく、各繰り返し積層構造に配備されている第1の屈折率層と第2の屈折率層を構成する物質または第1の屈折率層と第2の屈折率層との間の厚さ比または成分比によって定められてもよい。
【0014】
前記第2の繰り返し積層構造の第2の屈折率層に対する第1の屈折率層の厚さ比は、前記第1の繰り返し積層構造の第2の屈折率層に対する第1の屈折率層の厚さ比よりも大きくてもよい。
【0015】
前記第2の繰り返し積層構造の第2の屈折率層に対する第1の屈折率層の厚さ比は、0.644以上であってもよく、好ましくは、1以上であってもよい。
【0016】
二つの前記第1の繰り返し積層構造と、一つの前記第2の繰り返し積層構造と、を備え、前記第1の繰り返し積層構造と前記第2の繰り返し積層構造との間及びこれらの外側にはバッファ層が形成されていてもよい。
【0017】
本発明の実施形態に係る液晶表示装置は、吸収型偏光板である上偏光板及び上絶縁基板を備える上パネルと、下偏光板及び下絶縁基板を備える下パネルと、前記上パネルと前記下パネルとの間に配置される液晶層と、前記下パネルの下に配置され、光を提供するバックライトユニットと、を備え、前記下偏光板は、屈折率が異なる二つの層が繰り返し積層されている繰り返し積層構造を備える反射型偏光板本体と、前記反射型偏光板本体の一方の側面に配置され、Rthを補償するRth位相補償層と、を備える。
【0018】
前記反射型偏光板本体は、3つの前記繰り返し積層構造を備え、前記3つの繰り返し積層構造の間及び外側にはバッファ層が形成されていてもよい。
【0019】
前記Rth位相補償層としては、TAC層を用いてもよい。
【0020】
前記Rth位相補償層は、ネガティブCプレートまたはシクロオレフィンポリマー(COP)を備えていてもよい。
【0021】
前記Rth位相補償層は前記反射型偏光板本体に配備され、前記3つの繰り返し積層構造の外側のうちの一方の外側には前記バッファ層が配置され、他方の外側には前記Rth位相補償層が配置されてもよい。
【0022】
前記液晶層は、電界が印加されていないときに水平配列されており、垂直電界によって垂直配列されてもよい。
【0023】
本発明の実施形態に係る液晶表示装置は、吸収型偏光板である上偏光板及び上絶縁基板を備える上パネルと、下偏光板及び下絶縁基板を備える下パネルと、前記上パネルと前記下パネルとの間に配置される液晶層と、前記下パネルの下に配置され、光を提供するバックライトユニットと、を備え、前記下偏光板は、屈折率が異なる二つの層が繰り返し積層されている少なくとも一つの第1の繰り返し積層構造と、屈折率が異なる二つの層が繰り返し積層されている第2の繰り返し積層構造と、を備え、前記第2の繰り返し積層構造は、前記第1の繰り返し積層構造に比べて前記液晶層の近くに配置され、前記第1の繰り返し積層構造及び前記第2の繰り返し積層構造は、前記屈折率が異なる二つの層の厚さ比または成分比が異なる。
【0024】
前記第1の繰り返し積層構造及び前記第2の繰り返し積層構造が有する厚さ比または成分比は異なっていてもよく、各繰り返し積層構造に配備されている第1の屈折率層と第2の屈折率層をなす物質または第1の屈折率層と第2の屈折率層との間の厚さ比または成分比によって定められてもよい。
【0025】
前記第2の繰り返し積層構造の第2の屈折率層に対する第1の屈折率層の厚さ比は、前記第1の繰り返し積層構造の第2の屈折率層に対する第1の屈折率層の厚さ比よりも大きくてもよい。
【0026】
前記第2の繰り返し積層構造の第2の屈折率層に対する第1の屈折率層の厚さ比は、0.644以上であってもよく、好ましくは、1以上であってもよい。
【0027】
二つの前記第1の繰り返し積層構造と、一つの前記第2の繰り返し積層構造と、を備え、前記第1の繰り返し積層構造と前記第2の繰り返し積層構造との間及びこれらの外側にはバッファ層が形成されていてもよい。
【0028】
前記液晶層は、電界が印加されていないときに垂直配列されており、垂直電界によって水平配列されるか、あるいは、電界が印加されていないときに水平配列されており、水平電界によって水平面内において回転するものであってもよい。
【0029】
本発明の実施形態に係る液晶表示装置は、上偏光板及び上絶縁基板を備える上パネルと、下偏光板及び下絶縁基板を備える下パネルと、前記上パネルと前記下パネルとの間に配置される液晶層と、前記下パネルの下に配置され、光を提供するバックライトユニットと、を備え、前記下偏光板は、屈折率が異なる二つの層が繰り返し積層されている繰り返し積層構造を備え、前記上偏光板は吸収型偏光板であり、Cプレートを備える。
【0030】
前記上偏光板は、ポリビニルアルコール(PVA:polyvinyl alcohol)層と、TAC層及び二軸性補償層をさらに備え、上部に前記TAC層が配置され、その下に前記PVA層が配置され、その下に前記Cプレートが配置され、その下に前記二軸性補償層が配置されてもよい。
【0031】
前記液晶層は、電界が印加されていないときに垂直配列されており、垂直電界によって水平配列されるか、あるいは、電界が印加されていないときに水平配列されており、水平電界によって水平面内において回転するものであってもよい。
【発明の効果】
【0032】
異なる屈折率を有する二つの層を繰り返し形成して一部の光は透過させ、残りの光は反射させてバックライトからの光をリサイクルして光の利用効率を向上させる。その結果、バックライトユニットにおいて用いられる輝度向上フィルムを用いなくてもよい。また、実施形態によっては、反射型偏光板にRth位相補償層を配備して、反射型偏光板を用いるときに発生する視野角が狭くなるといった問題を克服してより広い視野角を持たせる。なお、実施形態によっては、反射型偏光板に配備されている二つの層が繰り返し形成されている繰り返し構造層が少なくとも二つ配備され、二つの繰り返し構造層に異なる厚さ比や成分比を持たせて反射型偏光板を用いる場合に発生する干渉色の発生を極力抑える。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態につき、本発明が属する技術分野において通常の知識を持った者が容易に実施できる程度に詳しく説明する。しかしながら、本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0035】
図中、複数の層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示す。明細書全般に亘って類似する部分に対しては同じ図面符号を付する。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとしたとき、これは、他の部分の「直上に」ある場合だけではなく、これらの間に他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「真上に」あるとしたときには、これらの間に他の部分がないことを意味する。
【0036】
以下、添付の
図1乃至
図4に基づき、本発明の実施形態に係る液晶表示装置について詳述する。
【0037】
図1は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置の断面図であり、
図2は、本発明の実施形態に係る反射型偏光板の断面図であり、
図3は、本発明の実施形態に係る反射型偏光板本体の断面図であり、そして
図4は、本発明の実施形態に係る吸収型偏光板の断面図である。
【0038】
本発明の実施形態に係る液晶表示装置は、バックライトユニット500、光学シート25、下パネル100、液晶層3、上パネル200を備える。
【0039】
先ず、バックライトユニット500は、光源と導光板及び反射板を備える。バックライト500の上に光学シート25が配置される。
【0040】
光源からの光は、導光板及び反射板を通ってバックライト500から上部に出射され、上部に配置される光学シート25を通ってその上の下パネル100、液晶層3、上パネル200に達する。
【0041】
光源としては、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)などの蛍光ランプまたは発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などが使用可能である。光源は、バックライト500の側面または下面に配置されてもよい。
【0042】
光学シート25は、少なくとも一枚の光学シートを備えていてもよく、プリズム構造物を備えるプリズムシートやディフューザなどの拡散フィルムを備えていてもよい。光学シート25には、屈折率が異なる二つの層が繰り返し形成された輝度向上フィルムが配備されていなくてもよい。これは、下偏光板12が、屈折率が異なる二つの層が繰り返し形成された繰り返し積層構造12−11を備えていて輝度向上の特性を含んでいるためである。
【0043】
図1に示すように、バックライトユニット500、光学シート25の上には、下パネル100、液晶層3、上パネル200が配置されている。
【0044】
まず、下パネル100について説明する。
【0045】
下パネル100は下偏光板12と下絶縁基板110を含み、透明ガラス製またはプラスチック製の下絶縁基板110の下に下偏光板12が貼着されている。
【0046】
下偏光板12は反射型偏光板であり、異なる屈折率を有する二つの層が繰り返し形成されている反射型偏光板本体12−1及びRth位相補償層12−2を備える。
【0047】
反射型偏光板本体12−1は、異なる屈折率を有する二つの層が繰り返し形成されている繰り返し積層構造12−11を少なくとも一つ備えていてもよく、本実施形態においては、
図3に示すように、3つの繰り返し積層構造12−11を備える。
【0048】
繰り返し積層構造12−11は、第1の屈折率層(ポリマーA)と第2の屈折率層(ポリマーB)とを繰り返し積層してなる構造であり、実施形態によっては、合計の層数が様々であるが、本実施形態においては、合計で275個の層からなる。
【0049】
本実施形態においては、
図3に示すように、第1の屈折率層(ポリマーA)は第2の屈折率層(ポリマーB)より薄い。また、第1の屈折率層(ポリマーA)は第2の屈折率層(ポリマーB)よりも屈折率が高い。しかし、物質によって第1の屈折率層が第2の屈折率層よりも厚くてもよく、厚さが等しくてもよく、第1の屈折率層が第2の屈折率層よりも屈折率が低くてもよい。繰り返し積層構造12−11において用いられる二つの層は互いに屈折率の差があれば良く、3軸方向のうち一軸方向の屈折率にのみ差があればよい。
【0050】
繰り返し積層構造12−11の間及び繰り返し積層構造12−11の外側には、バッファ層12−5が配置される。バッファ層12−5は、繰り返し積層構造12−11に属する二つの層のうちの一つの層(
図3においては、低い屈折率を有するポリマーB層)から形成されてもよい。バッファ層12−5は、繰り返し積層構造12−11を保護し、支持し、または、互いに接続する役割を果たす。
【0051】
下偏光板12に配備されているRth位相補償層12−2は、Rthを補償する層であり、
図2においては、TAC層を用いている。本実施形態において用いられるTAC層は、厚さに応じて厚さ方向のリターデーション値が変化するため、補償しようとする厚さ方向の位相値が定められれば、それに対応する厚さにTAC層を形成してRth位相補償層12−2を形成してもよい。TAC層を40μmに形成する場合には、厚さ方向のリターデーション値が40nmとして提供され、60μmに形成する場合には、厚さ方向のリターデーション値が46nmとして提供される。しかしながら、この数値は、用いられるTAC層の特性に応じて変化し、TACを用いる場合には、厚さが増大するに伴い、提供される厚さ方向のリターデーション値も増大する。
【0052】
下偏光板12は、下絶縁基板110の外面に貼着されるが、このために粘着剤12−3を含んでいてもよい。
図2には、位相遅延を提供する層のみが示しているため、下絶縁基板110が省略されている。
【0053】
下絶縁基板110の内面には、図示していない薄膜トランジスタと画素電極が形成される。薄膜トランジスタと画素電極は、実施形態によって様々な構造に形成可能である。画素電極の上には、配向膜が形成されていてもよい。
【0054】
以下、上パネル200について説明する。
【0055】
透明ガラス製またはプラスチック製の上絶縁基板210の上に上偏光板22が形成されている。
【0056】
上偏光板22は吸収型偏光板であり、
図4のような構造を有していてもよい。すなわち、吸収型偏光板である上偏光板22は、PVA層22−1を中心としてPVA層22−1の上面にTAC層22−2が配置され、下面に二軸性補償層22−3が配置される。二軸性補償層22−3はリターデーションを提供して表示品質を向上させる。
【0057】
上絶縁基板210の外面に上偏光板22が貼着される。上偏光板22のTAC層22−2の外表面には、表面処理(アンチグレア処理または反射防止処理)が施されていてもよい。
【0058】
図示しないが、上絶縁基板210上(又はその内側)には、遮光部材と、カラーフィルタ及び共通電極が形成されている。実施形態によっては、遮光部材またはカラーフィルタは下絶縁基板110の内側に形成されてもよい。共通電極の下には、配向膜が形成されていてもよい。
【0059】
上パネル200及び下パネル100の間には、液晶層3が挟持されている。
【0060】
液晶層3は、正の誘電率異方性を有する液晶分子を含む。液晶分子は、電場がない状態でその長軸が二枚のパネル100、200の表面に対して水平をなし、画素電極と共通電極によって電界が印加されれば、電界に沿って垂直方向に配向方向が変わる。液晶層3としては、ツイストネマチック(TN:twisted nematic)モードの液晶が用いられてもよい。
【0061】
以上述べたように、本発明の実施形態に係る液晶表示装置は、下偏光板12としてRth補償特性を有する反射型偏光板を用いている。一般に、Rth補償特性を有していない反射型偏光板を用いる場合には、
図1の液晶表示装置における視野角が狭くなるという欠点があるが、Rth補償特性を有する反射型偏光板を用いる場合には視野角が狭くならない。ここで、視野角は、コントラスト比(CR:Contrast Ratio)が10:1の位置での角度である。これは、
図5における実験結果から明らかである。
【0062】
図5は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置の視野角特性を比較した図である。
【0063】
図5において、反射型POL(偏光子)試料1と反射型POL試料2は、Rth補償特性を有していない反射型偏光板を用いた液晶表示装置のシミュレーション結果であり、反射型POL+TAC(40μm)と反射型POL+TAC(60μm)は、本発明の
図1に示すように、TAC層を用いてRthを当該数値だけ補償した液晶表示装置のシミュレーション結果である。
【0064】
図5から明らかなように、上下では視野角の変化がないが、左右ではRthを補償する場合に視野角が3〜5°向上する。その結果、TNモードの液晶層3の視野角を、反射型偏光板を用いながらもRth補償特性を持たせて向上させている。
【0065】
図2には、Rthを補償する層としてTAC層を用いる実施形態が示してある。
【0066】
しかしながら、Rthを補償する層としては、TAC層に加えて、他の層を用いてもよく、これについては、
図6及び
図7に基づいて説明する。
【0067】
図6及び
図7は、本発明の他の実施形態に係る反射型偏光板及び液晶層の断面図である。
【0068】
まず、
図6は、Rth位相補償層12−2'として、
図2とは異なり、ネガティブCプレート(Negative C plate)を用いた実施形態を示している。本実施形態によると、ネガティブCプレートは膜厚方向に負の複屈折率を有する光学異方性膜に該当する。ネガティブCプレートもRth補償が可能であるため、
図5に示すように、TNモードの液晶表示装置における視野角が広くなるというメリットを有する。
【0069】
一方、
図7には、
図2及び
図6とは異なり、Rth位相補償層12−2を用いない下偏光板12を示している。
図7の実施形態においては、Rth位相補償層12−2を別設せず、反射型偏光板本体12−1の内部にRthを補償する内部Rth位相補償層12−2’’を形成している。
【0070】
以下、
図7の実施形態に係る反射型偏光板本体12−1について説明する。
【0071】
図7の反射型偏光板本体12−1は、異なる屈折率を有する二つの層が繰り返し形成されている繰り返し積層構造12−11を3つ備える。繰り返し積層構造12−11の数は1以上であればよく、その数は、実施形態によって異なる。繰り返し積層構造12−11の間と繰り返し積層構造12−11の下には、バッファ層12−5が配置される。バッファ層12−5は、繰り返し積層構造12−11に属する二つの層のうちの一つの層(
図7では、低い屈折率を有するポリマーB層)から形成されてもよい。バッファ層12−5は、繰り返し積層構造12−11を保護し、接続する役割を果たす。
【0072】
一方、内部Rth位相補償層12−2’’は繰り返し積層構造12−11の最上部の上
に形成される、すなわち、液晶層3に最も近い部分に配置される。内部Rth位相補償層12−2’’は、TACやネガティブCプレートまたはシクロオレフィンポリマー(CO
P)から形成されてもよい。
【0073】
実施形態によっては、内部Rth位相補償層12−2’’と繰り返し積層構造12−1
1との間にバッファ層12−5がさらに配置されていてもよい。
【0074】
反射型偏光板本体12−1の内部Rth位相補償層12−2’’の上部には粘着剤12
−3が形成されて下絶縁基板110(図示しない)に貼着される。
【0075】
図7の実施形態に係る下偏光板12は、反射型偏光板本体12−1がRth位相補償層12−2’’を備え、3つの繰り返し積層構造12−11の下外側にはバッファ層12−
5が配置され、上外側にはRth位相補償層12−2’’が配置される。
【0076】
図6及び
図7にも下偏光板12と液晶層3との間の構造は省略されているが、これは、光に位相差を提供する構成要素を中心として示しているためであり、一つ又は複数の構成要素が図示された要素の上又は間に配置されてもよい。
【0077】
以下、
図8乃至
図16に基づき、本発明の他の実施形態について説明する。
【0078】
図8乃至
図16の実施形態に係る液晶表示装置も、
図1のような構造を有する。すなわち、本発明の実施形態に係る液晶表示装置は、バックライトユニット500、光学シート25、下パネル100、液晶層3、上パネル200を備える。
【0079】
先ず、バックライトユニット500は、光源と導光板及び反射板を備える。バックライト500の上に光学シート25が配置される。
【0080】
光源からの光は、導光板及び反射板を通ってバックライト500から上部に出射され、上部に配置される光学シート25を通ってその上の下パネル100、液晶層3、上パネル200に達する。
【0081】
光源としては、冷陰極蛍光管(CCFL)などの蛍光ランプまたは発光ダイオード(LED)などが使用可能である。光源は、バックライト500の側面または下面に配置されてもよい。
【0082】
光学シート25は、少なくとも一枚の光学シートを備えていてもよく、プリズム構造物を備えるプリズムシートやディフューザなどの拡散フィルムを備えていてもよい。光学シート25には、屈折率が異なる二つの層が繰り返し形成された輝度向上フィルムは配備されていなくてもよい。これは、下偏光板12が、屈折率が異なる二つの層が繰り返し形成された繰り返し積層構造12−11を備えていて輝度向上の特性を含んでいるためである。
【0083】
バックライトユニット500、光学シート25の上には、下パネル100、液晶層3、上パネル200が配置されている。
【0084】
先ず、下パネル100について説明する。
【0085】
下パネル100は下偏光板12と下絶縁基板110を含み、透明ガラス製またはプラスチック製の下絶縁基板110の下に下偏光板12が貼着されている。
【0086】
下偏光板12は反射型偏光板であり、異なる屈折率を有する二つの層が繰り返し形成されている少なくとも二つの繰り返し積層構造12−11、12−12を備える。以下、第1の繰り返し積層構造12−11及び第2の繰り返し積層構造12−12と称する。第1の繰り返し積層構造12−11と第2の繰り返し積層構造12−12は、異なる屈折率を有する二つの層が繰り返し形成されているが、第1の繰り返し積層構造12−11における高屈折率層と第2の繰り返し積層構造12−12における高屈折率層は異なる位相差を提供し、第1の繰り返し積層構造12−11における低屈折率層と第2の繰り返し積層構造12−12における低屈折率層は異なる位相差を提供する。このとき、第1の繰り返し積層構造12−11における低屈折率層と第2の繰り返し積層構造12−12における低屈折率層は同じ位相差を提供してもよく、第1の繰り返し積層構造12−11における高屈折率層と第2の繰り返し積層構造12−12における高屈折率層は同じ位相差を提供してもよい。
【0087】
すなわち、第1の繰り返し積層構造12−11の二つの層の位相差と第2の繰り返し積層構造12−12の二つの層の位相差のうちの少なくとも一方の位相差が異なるため、第1の繰り返し積層構造12−11と第2の繰り返し積層構造12−12は異なる光学的特性を有する。
【0088】
第1の繰り返し積層構造12−11の二つの層の位相差と第2の繰り返し積層構造12−12の二つの層の位相差のうちの少なくとも一方を異なるように形成する方法は、様々である。すなわち、当該層を構成する物質として異なるものを用いて位相差が異なるようにしてもよく、当該層の物質としては同じものを用いるが、厚さを異なるようにして位相差を異なるようにしてもよい。なお、当該層を構成する物質の成分比を変えて位相差を異ならせてもよい。
【0089】
図8は、高屈折率層と低屈折率層をそれぞれ同じポリマーから形成するが、当該層の厚さを異ならせて異なる位相差を持たせた一実施形態を示している。
【0090】
以下、
図8の実施形態を中心として説明する。
【0091】
図8は、本発明の他の実施形態に係る反射型偏光板の断面図である。
【0092】
下偏光板12は反射型偏光板であり、二つの第1の繰り返し積層構造12−11と、一つの第2の繰り返し積層構造12−12及びこれらの間と外側に形成されているバッファ層12−5を備える。
【0093】
第1の繰り返し積層構造12−11及び第2の繰り返し積層構造12−12には、異なる屈折率を有する二つの層が繰り返し形成されている。第1の繰り返し積層構造12−11と第2の繰り返し積層構造12−12は光学的特性が異なり、このために、第1の繰り返し積層構造12−11と第2の繰り返し積層構造12−12を構成する少なくとも一つの対応する層の位相差が異なる。
【0094】
すなわち、
図8の実施形態における第1の繰り返し積層構造12−11と第2の繰り返し積層構造12−12は、第1の屈折率層としてポリマーAが用いられ、第2の屈折率層としてはポリマーBが用いられて異なる物質から形成されていない。しかしながら、
図8に示すように、第1の繰り返し積層構造12−11においては、第2の屈折率層(ポリマーB)が第1の屈折率層(ポリマーA)よりも厚く形成されている。これに対し、第2の繰り返し積層構造12−12においては、第2の屈折率層(ポリマーB)と第1の屈折率層(ポリマーA)が同じ厚さに形成されている。第1の屈折率層と第2の屈折率層は、3軸方向のうち一軸方向の屈折率にのみ差があればよい。
【0095】
以上の第1の屈折率層と第2の屈折率層との厚さ関係が異なることに起因して各層から提供するリターデーションが異なり、これにより、光学的特性が異なる。
【0096】
但し、
図8の実施形態は、第1の繰り返し積層構造12−11と第2の繰り返し積層構造12−12に配備される合計の層数は同じであり、合計の厚さも同じである。しかしながら、実施形態によっては合計の層数(275層)が異なっていてもよく、合計の厚さも異なっていてもよい。
【0097】
図8の実施形態においては、第1の繰り返し積層構造12−11が下偏光板12の下部に二つ配置され、下偏光板12の上部に第2の繰り返し積層構造12−12が一つ配置される。ここで、第1の繰り返し積層構造12−11は反射偏光の特性を有する。すなわち、バックライト500からの光のうちの一部の偏光は反射させ、残りの偏光は透過させる。これに対し、第2の繰り返し積層構造12−12は、反射偏光の特性も有するが、補償フィルムの特性も有する。すなわち、下部の二つの第1の繰り返し積層構造12−11を透過した光は特定の偏光成分の光であるが、この光が第2の繰り返し積層構造12−12に入射すると、第1の繰り返し積層構造12−11とは異なる屈折率の層状構造に遭遇するためさらなるリターデーションが提供されて補償フィルムのような効果を有する。このため、第1の繰り返し積層構造12−11は一つの層で形成してもよいが、反射偏光の特性を向上させるために2以上の層で形成されてもよく、バックライト500から光が入射する側に連設されている。一方、第2の繰り返し積層構造12−12に入射する光は、既に光の偏光特性は良好な状態であるため、反射偏光よりはさらなる位相差(リターデーション)を提供する役割を果たすため一つしか形成されておらず、第1の繰り返し積層構造12−11よりは液晶層3の近くに配置される。実施形態によっては、十分なリターデーションを提供するために第2の繰り返し積層構造12−12が上側に2以上形成されていてもよい。
【0098】
繰り返し積層構造12−11、12−12の間とこれらの外側には、バッファ層12−5が配置されていてもよい。バッファ層12−5は、繰り返し積層構造12−11、12−12に属する二つの層のうちの一方の層(
図8では、低屈折率を有するポリマーB層)から形成されてもよい。バッファ層12−5は、繰り返し積層構造12−11、12−12を保護し、接続する役割を果たす。
【0099】
図1を参照すると、下偏光板12は下絶縁基板110の外面に貼着されるが、このために粘着剤(図示せず)を含んでいてもよい。
【0100】
下絶縁基板110の内面には、図示していない薄膜トランジスタと画素電極が形成される。薄膜トランジスタと画素電極は、実施形態によって様々な構造に形成されてもよい。画素電極の上には、配向膜が形成されていてもよい。
【0101】
以下、上パネル200について説明する。
【0102】
透明ガラス製またはプラスチック製の上絶縁基板210の上に、上偏光板22が形成されている。
【0103】
上偏光板22は吸収型偏光板であり、
図4のような構造を有していてもよい。すなわち、吸収型偏光板である上偏光板22は、PVA層22−1を中心として、PVA層22−1の上面にTAC層22−2が配置され、下面に二軸性補償層22−3が配置される。二軸性補償層22−3は、リターデーションを提供して表示品質を向上させる。
【0104】
上絶縁基板210の外面に上偏光板22が貼着される。上偏光板22のTAC層22−2の外表面には、表面処理(アンチグレア処理または反射防止処理)が施されていてもよい。
【0105】
図示しないが、上絶縁基板210上(又はその内側)には、遮光部材と、カラーフィルタ及び共通電極が形成されている。実施形態によっては、遮光部材と、カラーフィルタ及び共通電極のうちの少なくとも一つは下絶縁基板110の内側に形成されてもよい。共通電極の下には、配向膜が形成されていてもよい。
【0106】
上パネル200及び下パネル100の間には、液晶層3が挟持されている。
【0107】
液晶層3は負の誘電率異方性を有して電場がない状態でその長軸が二枚のパネル100、200の表面に対して垂直であり、画素電極と共通電極によって電界が印加されれば、電界に垂直な方向に配向される液晶分子(垂直配向(VA:vertical alignment)モード)を含むか、あるいは、電場がない状態で液晶分子の長軸が二枚のパネル100、200の表面に対して水平に配列されており、画素電極と共通電極が水平電界を形成して水平電界によって水平面内において回転する液晶分子(インプレインスイッチング(IPS:In Plane Switching)、プレーントゥラインスイッチング(PLS:Plane−to−Line Switching)モード)を含む。
【0108】
以上述べたように、本発明の実施形態に係る液晶表示装置は、下偏光板12を反射型偏光板から形成し、下偏光板12は異なる光学的特性を有する少なくとも二つの繰り返し積層構造を備える。これにより、下偏光板12に光学的特性が同じ繰り返し積層構造のみを用いた場合に発生する、側面からの干渉色の問題を除去することができる。
【0109】
これについて、以下の
図9乃至
図12に基づいて説明する。
【0110】
図9乃至
図12は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置の表示特性を示す図である。
【0111】
まず、
図9は、光源として冷陰極蛍光管(CCFL)を用いた場合を第一行目に示し、光源として発光ダイオード(LED)を用いた場合を第2行目に示している。なお、下偏光板12に光学的特性が同じ繰り返し積層構造のみを用いた比較例は左列に示し、本発明のように光学的特性が異なる少なくとも二つの繰り返し積層構造を用いた実施形態は右列に示している。実験に用いられた実施形態は、
図8の実施形態である。
【0112】
光源として冷陰極蛍光管(CCFL)を用いる場合には、光源として発光ダイオード(LED)を用いる場合よりも多くの干渉色が発生するということが確認でき、下偏光板12に光学的特性が異なる少なくとも二つの繰り返し積層構造を用いると、干渉色が緩和されるということが確認できる。
【0113】
図10及び
図11においては、比較例と
図8の実施形態を用いた場合における正面ホワイト輝度(正面Lw)、正面コントラスト比(正面CR)、側面ホワイト輝度(側面Lw)及び側面コントラスト比(側面CR)を比較しており、
図10は、光源として発光ダイオード(LED)を用いた場合であり、
図11は、光源として冷陰極蛍光管(CCFL)を用いた場合である。
【0114】
図10及び
図11を比較したところ、
図8の実施形態は、比較例に比べて、側面や正面のコントラスト比(CR)がやや低くなる傾向はあるが、使用に問題が発生する程度の損失ではないということが分かり、下偏光板12に光学的特性が異なる少なくとも二つの繰り返し積層構造を用いた方が、表示品質を低下させないということが分かる。
【0115】
一方、
図12は、
図8の実施形態(左側図)と、
図8とは異なり、下偏光板12の3つの繰り返し積層構造をいずれも第2の繰り返し積層構造12−12で形成した実施形態(右側図)の視野角による特性を示している。このとき、光源としては、冷陰極蛍光管(CCFL)を用いた。これは、冷陰極蛍光管(CCFL)の方が干渉色の問題が大きいためである。
【0116】
図12に示すように、二つの場合の表示特性はほとんど同様であるが、右図から明らかなように、90°及び270°における干渉色が目立つ傾向にある。これは、第2の繰り返し積層構造12−12を3つ形成した場合、補償フィルムのように位相差を提供する部分がないため干渉色を低減し難いということが確認され、しかも、位相差を提供するのは液晶層3に一番近い層であるということが分かる。
【0117】
以下、
図13及び
図14に基づき、第1の屈折率層と第2の屈折率層の厚さ(または、成分比)による干渉色について説明する。
【0118】
図13及び
図14は、本発明の実施形態に係る液晶表示装置の表示特性を示す図である。
【0119】
まず、
図13は、光源として冷陰極蛍光管(CCFL)を用いた場合である。第1行目の最も左側にある図は、下偏光板12に3つの第1の繰り返し積層構造12−11が配置される比較例であり、第1の繰り返し積層構造12−11における第1の屈折率層と第2の屈折率層との厚さ比(または、成分比)が65:101の場合を示している。
図13の残りの実施形態においても、第1の繰り返し積層構造12−11の厚さ比(または、成分比)は上記と同様である。
【0120】
図13の残りの図は、
図8の実施形態であり、第2の繰り返し積層構造12−12を備え、第2の繰り返し積層構造12−12における第1の屈折率層と第2の屈折率層との厚さ比(または、成分比)を変えながら表示特性を観察した図である。
【0121】
第1行目の第2列目の図は、第2の繰り返し積層構造12−12における第1の屈折率層と第2の屈折率層との厚さ比(または、成分比)が70:96であり、第1行目の第3列目の図は、第2の繰り返し積層構造12−12における第1の屈折率層と第2の屈折率層との厚さ比(または、成分比)が83:83であり、第1行目の第4列目の図は、第2の繰り返し積層構造12−12における第1の屈折率層と第2の屈折率層との厚さ比(または、成分比)が90:76である。一方、第2行目の第1列目の図は、第2の繰り返し積層構造12−12における第1の屈折率層と第2の屈折率層との厚さ比(または、成分比)が100:66であり、第2行目の第2列目の図は、第2の繰り返し積層構造12−12における第1の屈折率層と第2の屈折率層との厚さ比(または、成分比)が110:56であり、第2行目の第3列目の図は、第2の繰り返し積層構造12−12における第1の屈折率層と第2の屈折率層との厚さ比(または、成分比)が120:46であり、第2行目の第4列目の図は、第2の繰り返し積層構造12−12における第1の屈折率層と第2の屈折率層との厚さ比(または、成分比)が150:16である。
【0122】
図13に示すように、第1行目の第1列目にある比較例に比べて、残りの図はいずれも干渉色が改善されているということが確認できる。比較例の第1の屈折率層の厚さ(または、成分比)/第2の屈折率層の厚さ(または、成分比)の値は0.6435であるため、第2の繰り返し積層構造12−12の第1の屈折率層の厚さ(または、成分比)/第2の屈折率層の厚さ(または、成分比)(以下、これを単に厚さ比または成分比という)は0.644以上の値を有していれば良く、好ましくは、1を超えてもよく、
図13の第2目行の第4列目の場合である9.375を超えてもよい。
【0123】
図13において、干渉色が最も大幅に改善したのは第1行目の第3列目及び第4列目の場合であり、この場合のように、厚さ比または成分比の範囲は、1以上1.184以下であってもよい。
【0124】
以下、
図14に基づき、光源が発光ダイオード(LED)である場合について説明する。
【0125】
第1行目の最も左側にある図は、下偏光板12に3つの第1の繰り返し積層構造12−11が配置される比較例であり、第1の繰り返し積層構造12−11における第1の屈折率層と第2の屈折率層との厚さ比(または、成分比)が65:101の場合である。
図14の残り実施形態においても、第1の繰り返し積層構造12−11の厚さ比(または、成分比)は上記と同様である。
【0126】
図14の残りの図は、
図8の実施形態であり、第2の繰り返し積層構造12−12を備え、第2の繰り返し積層構造12−12における第1の屈折率層と第2の屈折率層との厚さ比(または、成分比)を変えながら表示特性を観察した図である。
【0127】
第1行目の第2列目の図は、第2の繰り返し積層構造12−12における第1の屈折率層と第2の屈折率層との厚さ比(または、成分比)が70:96であり、第1行目の第3列目の図は、第2の繰り返し積層構造12−12における第1の屈折率層と第2の屈折率層との厚さ比(または、成分比)が83:83であり、第1行目の第4列目の図は、第2の繰り返し積層構造12−12における第1の屈折率層と第2の屈折率層との厚さ比(または、成分比)が90:76である。一方、第2行目の第1列目の図は、第2の繰り返し積層構造12−12における第1の屈折率層と第2の屈折率層との厚さ比(または、成分比)が100:66であり、第2行目の第2列目の図は、第2の繰り返し積層構造12−12における第1の屈折率層と第2の屈折率層との厚さ比(または、成分比)が110:56であり、第2行目の第3列目の図は、第2の繰り返し積層構造12−12における第1の屈折率層と第2の屈折率層との厚さ比(または、成分比)が120:46であり、第2行目の第4列目の図は、第2の繰り返し積層構造12−12における第1の屈折率層と第2の屈折率層との厚さ比(または、成分比)が150:16である。
【0128】
図14に示すように、第1行目の第1列目にある比較例に比べて、残りの図はいずれも干渉色が改善されているということが確認できる。比較例の第1の屈折率層の厚さ(または、成分比)/第2の屈折率層の厚さ(または、成分比)の値は0.6435であるため、第2の繰り返し積層構造12−12の第1の屈折率層の厚さ(または、成分比)/第2の屈折率層の厚さ(または、成分比)(以下、これを単に厚さ比または成分比という)は0.644以上の値を有していればよく、好ましくは、1を超えてもよく、
図14の第2行目の第4列目の場合の9.375を超えてもよい。
【0129】
図14において、干渉色が最も大幅に改善したのは第1行目の第3列目及び第4列目の場合であり、この場合のように、厚さ比または成分比の範囲は1以上1.184以下であってもよい。
【0130】
図13及び
図14を参照すると、第1の繰り返し積層構造12−11と第2の繰り返し積層構造12−12は、第1の屈折率層と第2の屈折率層の厚さが互いに逆になってもよいということが分かる。すなわち、
図13及び
図14の比較例において、第1の繰り返し積層構造12−11における第2の屈折率層の厚さが増大されるが、他の実施形態においては、第2の繰り返し積層構造12−12における第2の屈折率層の厚さが減少される場合が含まれているためである。
【0131】
図13及び
図14においては、第1の屈折率層と第2の屈折率層との合計の厚さが一定になるように設定した状態で、厚さ比/成分比を変えながら実験した。しかしながら、第1の繰り返し積層構造12−11と第2の繰り返し積層構造12−12における第1の屈折率層と第2の屈折率層との合計の厚さは異なっていてもよく、第1の繰り返し積層構造12−11の合計の厚さと第2の繰り返し積層構造12−12の合計の厚さも異なっていてもよい。
【0132】
以下、
図15に基づき、
図8の実施形態に係る下偏光板の製造方法について説明する。
【0133】
図15は、
図8の実施形態に係る反射型偏光板の製造方法を示す図である。
【0134】
図15に示すように、
図8の実施形態に係る下偏光板12は、下記の方式により製作される。
【0135】
まず、第1の繰り返し積層構造12−11の厚さ比(または、成分比)に合わせて第1の屈折率層と第2の屈折率層を繰り返し積層した二つの第1の繰り返し積層構造12−11と、これらの間及び外側に配置されるバッファ層12−5とを連続して積層する(
図15(a)を参照)。
【0136】
また、
図15(a)の上部に示すように、第2の繰り返し積層構造12−12の厚さ比(または、成分比)に合わせて第1の屈折率層と第2の屈折率層を繰り返し積層した第2の繰り返し積層構造12−12と、その一方の側面に配置されるバッファ層12−5とを連続して積層する。
【0137】
次いで、
図15(b)に示すように、第2の繰り返し積層構造12−12を備える部分を、第1の繰り返し積層構造12−11を備える部分の上に積層する。
【0138】
次いで、
図15(c)に示すように、一方向に伸ばして下偏光板12を完成する。
【0139】
以上の
図15は、延伸法による製造方法を示しているが、この方法に加えて、他の方法により製造してもよい。
【0140】
以下、
図8の実施形態の変形例について説明する。
【0141】
図16は、本発明の他の実施形態に係る反射型偏光板の断面図である。
【0142】
図16の実施形態においては、
図8の実施形態とは異なり、第1の繰り返し積層構造12−11が一つしか用いられていない。その結果、バッファ層12−5の数も
図8に比べて減っている。
【0143】
図16の実施形態は、第1の繰り返し積層構造12−11が一つしか用いられていなくても反射偏光の特性が良好な場合に採用されるか、または、反射偏光特性が悪くても使用可能な液晶表示装置に採用される。
【0144】
一方、実施形態によっては、
図16の第1の繰り返し積層構造12−11の合計の層数が
図8の実施形態に係る第1の繰り返し積層構造12−11の合計の層数と異なっていてもよく、
図16の実施形態にさらに多くの層が配備されていてもよい。
【0145】
以下、干渉色を除去するための本発明の他の実施形態に係る液晶表示装置について説明する。
【0146】
図17は、本発明の他の実施形態に係る液晶表示装置の断面図であり、
図18は、
図17の実施形態に係る液晶表示装置の表示特性を示す図である。
【0147】
以上では、干渉色を除去するために下偏光板12を変形する実施形態について
図8などに基づいて説明した。
【0148】
しかしながら、実施形態によっては上偏光板22を変形してもよく、これについては
図17に基づいて説明する。
【0149】
図17の実施形態の液晶表示装置も、
図1のような構造を有する。ただし、
図17は、位相差を提供する部分を中心として液晶層3と上下偏光板22'、12'のみを示している。
【0150】
図17の実施形態に係る液晶表示装置は、
図1と同様に、バックライトユニット500、光学シート25、下パネル100、液晶層3、上パネル200と、を備える。
【0151】
まず、バックライトユニット500は、光源と導光板及び反射板を備える。バックライト500の上に光学シート25が配置される。
【0152】
光源からの光は、導光板及び反射板を通ってバックライト500から上部に出射され、上部に配置される光学シート25を通ってその上の下パネル100、液晶層3、上パネル200に達する。
【0153】
光源としては、冷陰極蛍光管(CCFL)などの蛍光ランプまたは発光ダイオード(LED)などが使用可能である。光源は、バックライト500の側面または下面に配置されてもよい。
【0154】
光学シート25は、少なくとも一枚の光学シートを備えていてもよく、プリズム構造物を備えるプリズムシートやディフューザなどの拡散フィルムを備えていてもよい。光学シート25には、屈折率が異なる二つの層が繰り返し形成された輝度向上フィルムが配備されていなくてもよい。これは、下偏光板12が、屈折率が異なる二つの層が繰り返し形成された繰り返し積層構造12−11を備えていて輝度向上の特性を含んでいるためである。
【0155】
バックライトユニット500、光学シート25の上には、下パネル100、液晶層3、上パネル200が配置されている。
【0156】
まず、下パネル100について説明する。
【0157】
透明ガラス製またはプラスチック製の下絶縁基板110の下に下偏光板12'が貼着されている。
【0158】
下偏光板12'は反射型偏光板であり、
図8の実施形態とは異なり、第1の繰り返し積層構造12−11のみを備え、実施形態によってはバッファ層12−5を備えていてもよい。なお、第1の繰り返し積層構造12−11を複数備えていてもよい。
【0159】
バッファ層12−5は、第1の繰り返し積層構造12−11を保護し、接続する役割を果たす。
【0160】
下偏光板12'は、下絶縁基板110の外面に貼着するが、このために粘着剤(図示せず)を含んでいてもよい。
【0161】
下絶縁基板110の内面には、図示していない薄膜トランジスタと画素電極が形成される。薄膜トランジスタと画素電極は、実施形態によって様々な構造に形成されてもよい。画素電極の上には、配向膜が形成されていてもよい。
【0162】
以下、上パネル200について説明する。
【0163】
透明ガラス製またはプラスチック製の上絶縁基板210の上に上偏光板22'が形成されている。
【0164】
上偏光板22'は吸収型偏光板であり、
図7とは異なり、Cプレート22−4を備える。
【0165】
すなわち、
図17を参照すると、吸収型偏光板である上偏光板22'は、PVA層22−1を中心として、PVA層22−1の上面にTAC層22−2が配置され、下面には単軸性補償層であるCプレート22−4と二軸性補償層22−3が配置される。Cプレート22−4と二軸性補償層22−3はリターデーションを提供して表示品質を向上させる。実施形態によっては、Cプレート22−4と二軸性補償層22−3のうちの一方は省略されてもよい。
【0166】
上絶縁基板210の外面に上偏光板22'が貼着される。上偏光板22のTAC層22−2の外表面には、表面処理(アンチグレア処理または反射防止処理)が施されていてもよい。
【0167】
図示しないが、上絶縁基板210上(又はその内側)には、遮光部材と、カラーフィルタ及び共通電極が形成されている。実施形態によっては、遮光部材と、カラーフィルタ及び共通電極のうちの少なくとも一つは下絶縁基板110の内側に形成されてもよい。共通電極の下には、配向膜が形成されていてもよい。
【0168】
上パネル200及び下パネル100の間には、液晶層3が挟持されている。
【0169】
液晶層3は、負の誘電率異方性を有して電場がない状態でその長軸が二枚のパネル100、200の表面に対して垂直であり、画素電極と共通電極によって電界が印加されれば、電界に垂直な方向に配向される液晶分子(垂直配向(VA)モードを含むか、あるいは、電場がない状態で液晶分子の長軸が二枚のパネル100、200の表面に対して水平に配列されており、画素電極と共通電極が水平電界を形成して水平電界によって水平面内において回転する液晶分子(インプレインスイッチング(IPS)、プレーントゥラインスイッチング(PLS)モード)を含む。
【0170】
以上述べたように、本発明の実施形態に係る液晶表示装置は、上偏光板22'にCプレート22−4を付設し、
図8とは異なり、第1の繰り返し積層構造12−11のみ下偏光板12'に含まれ、干渉色が発生するという問題点は上偏光板22'の付設されたCプレート22−4により除去される。
【0171】
図17に記載される液晶表示装置の表示特性について、
図18に基づいて説明する。
【0172】
図18は、光源として冷陰極蛍光管(CCFL)を用いた場合であり、左図は比較例であり、上偏光板にCプレートが付設されておらず、下偏光板は第1の繰り返し積層構造のみを有する場合であり、右図は、
図17の実施形態である。
【0173】
図18に示すように、
図17の実施形態を採用する場合に干渉色が低減されるということが確認できる。
【0174】
これは、本実施形態において用いられた第1の繰り返し積層構造の第1の屈折率層の特性がAプレートの特性を含んでいるため、
図17に示すようにCプレートが上偏光板に付設されて互いに補償されたためであると考えられる。
【0175】
以上、
図8乃至
図18に基づき、垂直配向(VA)モード、インプレインスイッチング(IPS)モードまたはプレーントゥラインスイッチング(PLS)モードの液晶において、下偏光板に繰り返し積層構造を配備する場合に発生する干渉色を低減する実施形態について説明した。
【0176】
以上、本発明の好適な実施形態について詳述したが、本発明の権利範囲はこれに何ら限定されるものではなく、次の特許請求の範囲において定義している本発明の基本概念を用いた当業者の種々の変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属するものである。