(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持体を構成すると共に、前記シフト体の操作方向両側方に配置され、一方のみに前記規制部が設けられる一対の配置体を備えた請求項1〜請求項4の何れか1項記載のシフト装置。
前記支持体及び前記シフト体の少なくとも一方に設けられ、前記支持体及び前記シフト体が一側と他側とを反転された状態で運転席の位置が異なる車両に設置されることで前記シフト体の前記運転席側又は前記運転席とは反対側への配置が維持される維持部を備えた請求項1〜請求項7の何れか1項記載のシフト装置。
前記規制体に延出されて設けられ、前記シフト体の一側に配置された場合に一側の前記規制部が移動を規制して前記シフト体の一側のシフト位置への操作が規制されると共に、前記シフト体の他側に配置された場合に他側の前記規制部が移動を規制して前記シフト体の他側のシフト位置への操作が規制される被規制部を備えた請求項1〜請求項8の何れか1項記載のシフト装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮し、支持体及びシフト体を一側と他側とを反転させて車両に設置しても支持体及びシフト体を共用できるシフト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様のシフト装置は、車両に設置される支持体と、前記支持体に支持され、一側及び他側に操作されてシフト位置が変更されるシフト体と、前記支持体に前記シフト体の一側及び他側において設けられる規制部と、前記シフト体に配置されて前記シフト体の操作と共に移動可能にされ、前記シフト体の一側に配置された場合に一側の前記規制部が移動を規制して前記シフト体の一側のシフト位置への操作が規制されると共に、前記シフト体の他側に配置された場合に他側の前記規制部が移動を規制して前記シフト体の他側のシフト位置への操作が規制される規制体と、を備えている。
【0006】
本発明の第2態様のシフト装置は、本発明の第1態様のシフト装置において、前記シフト体の一側及び他側に設けられ、前記規制体が保持されて前記シフト体に配置される保持部を備えている。
【0007】
本発明の第3態様のシフト装置は、本発明の第1態様又は第2態様のシフト装置において、前記シフト体の操作方向両側方に前記規制体が配置される。
【0008】
本発明の第4態様のシフト装置は、本発明の第1態様〜第3態様の何れか1つのシフト装置において、前記シフト体に沿って前記規制体が延伸される。
【0009】
本発明の第5態様のシフト装置は、本発明の第1態様〜第4態様の何れか1つのシフト装置において、前記支持体を構成すると共に、前記シフト体の操作方向両側方に配置され、一方のみに前記規制部が設けられる一対の配置体を備えている。
【0010】
本発明の第6態様のシフト装置は、本発明の第1態様〜第5態様の何れか1つのシフト装置において、前記支持体に設けられ、前記規制部に連結されると共に、前記シフト体の操作方向に延伸される延伸部を備えている。
【0011】
本発明の第7態様のシフト装置は、本発明の第1態様〜第6態様の何れか1つのシフト装置において、前記規制部が前記規制体の移動を規制する際に前記規制体が前記規制部と前記シフト体との間に挟まれる。
【0012】
本発明の第8態様のシフト装置は、本発明の第1態様〜第7態様の何れか1つのシフト装置において、前記支持体及び前記シフト体の少なくとも一方に設けられ、前記支持体及び前記シフト体が一側と他側とを反転された状態で運転席の位置が異なる車両に設置されることで前記シフト体の前記運転席側又は前記運転席とは反対側への配置が維持される維持部を備えている。
【0013】
本発明の第9態様のシフト装置は、本発明の第1態様〜第8態様の何れか1つのシフト装置において、前記規制体に延出されて設けられ、前記シフト体の一側に配置された場合に一側の前記規制部が移動を規制して前記シフト体の一側のシフト位置への操作が規制されると共に、前記シフト体の他側に配置された場合に他側の前記規制部が移動を規制して前記シフト体の他側のシフト位置への操作が規制される被規制部を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1態様のシフト装置では、車体側に支持体が設置されると共に、支持体にシフト体が支持されており、シフト体が一側及び他側に操作されて、シフト体のシフト位置が変更される。また、シフト体に規制体が配置されて、規制体がシフト体の操作と共に移動可能にされており、支持体の規制部が規制体の移動を規制して、シフト体の操作が規制される。
【0015】
ここで、支持体にシフト体の一側及び他側において規制部が設けられている。また、シフト体の一側に規制体が配置された場合に、一側の規制部が規制体の移動を規制して、シフト体の一側のシフト位置への操作が規制される。さらに、シフト体の他側に規制体が配置された場合に、他側の規制部が規制体の移動を規制して、シフト体の他側のシフト位置への操作が規制される。
【0016】
このため、支持体及びシフト体を一側と他側とを反転させて車両に設置しても、シフト体への規制体の配置を変更することで、規制部が規制体の移動を規制でき、支持体及びシフト体を共用できる。
【0017】
本発明の第2態様のシフト装置では、シフト体の保持部に規制体が保持されて、シフト体に規制体が配置される。
【0018】
ここで、シフト体の一側及び他側に保持部が設けられている。このため、一側の保持部に規制体が保持されることで、シフト体の一側に規制体を配置できると共に、他側の保持部に規制体が保持されることで、シフト体の他側に規制体を配置できる。
【0019】
本発明の第3態様のシフト装置では、シフト体の操作方向両側方に規制体が配置される。このため、シフト体の操作方向両側方において規制部が規制体の移動を規制できる。
【0020】
本発明の第4態様のシフト装置では、シフト体に沿って規制体が延伸される。このため、規制体のシフト体からの最大離間量を小さくできる。
【0021】
本発明の第5態様のシフト装置では、一対の配置体が、支持体を構成すると共に、シフト体の操作方向両側方に配置されている。
【0022】
ここで、一対の配置体の一方のみに規制部が設けられる。このため、規制部の強度を高くできる。
【0023】
本発明の第6態様のシフト装置では、支持体に延伸部が設けられており、延伸部が、規制部に連結されると共に、シフト体の操作方向に延伸される。このため、延伸部によって規制部を効果的に補強できる。
【0024】
本発明の第7態様のシフト装置では、規制部が規制体の移動を規制する際に、規制体が規制部とシフト体との間に挟まれる。このため、規制部から規制体に入力される荷重をシフト体が支持でき、規制体の損傷を抑制できる。
【0025】
本発明の第8態様のシフト装置では、支持体及びシフト体の少なくとも一方に維持部が設けられており、支持体及びシフト体が一側と他側とを反転された状態で運転席の位置が異なる車両に設置されることで、シフト体の運転席側又は運転席とは反対側への維持部の配置が維持される。このため、支持体及びシフト体の一側と他側との反転によって、支持体及びシフト体を運転席の位置が異なる車両に設置できる。
【0026】
本発明の第9態様のシフト装置では、規制体に被規制部が延出されて設けられている。また、シフト体の一側に被規制部が配置された場合に、一側の規制部が被規制部の移動を規制して、シフト体の一側のシフト位置への操作が規制される。さらに、シフト体の他側に被規制部が配置された場合に、他側の規制部が被規制部の移動を規制して、シフト体の他側のシフト位置への操作が規制される。
【0027】
このため、支持体及びシフト体を一側と他側とを反転させて車両に設置しても、シフト体への規制体の配置を変更して、シフト体への被規制部の配置を変更することで、規制部が、被規制部の移動を規制できて、規制体の移動を規制でき、規制体を共用できる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[左ハンドル車両用のシフトレバー装置]
図1には、本発明の実施形態に係るシフト装置としてのシフトレバー装置10が左斜め後方(車両左方かつ車両後方)から見た分解斜視図にて示されており、
図2には、シフトレバー装置10の主要部が左方(車両左方)から見た側面図にて示されている。なお、
図1〜
図5では、シフトレバー装置10の前方(車両前方)を矢印FRで示し、シフトレバー装置10の左方(車両左方)を矢印LHで示し、シフトレバー装置10の上方(車両上方)を矢印UPで示す。
【0030】
本実施形態に係るシフトレバー装置10は、所謂ストレート式かつバイワイヤ式のものにされている。
【0031】
シフトレバー装置10は、左ハンドルの車両(自動車)に搭載されており、左ハンドルの車両では、ハンドル(図示省略)及び運転席(図示省略)が車室の左側部分に配置されている。シフトレバー装置10は、フロア式のものにされて、運転席の車両右側における車室の床部(車体側)に設置されており、シフトレバー装置10の前方、左方及び上方は、それぞれ車両の前方、左方及び上方に向けられている。
【0032】
図1及び
図2に示す如く、シフトレバー装置10には、支持体としての樹脂製で略直方体形箱状のプレート12(ハウジング)が設けられており、プレート12は、車室の床部に設置(固定)されている。
【0033】
プレート12の左端部には、配置体(第1配置体)としての略直方体形箱状の第1プレート12Aが設けられており、第1プレート12A内は、左側に開放されている。第1プレート12Aの上部には、前後方向中央側部分において、維持部としての略直方体形箱状の設置箱14が一体に設けられており、設置箱14は、内部が上側に開放されると共に、前後方向中央が配置される前後方向に垂直な面に対し面対称な形状にされている。設置箱14内には、インジケータ(図示省略)が設置されており、インジケータの上面には、シフトレバー装置10のシフトパターン(下記レバー22のシフト位置の変更経路)が表示されている。また、インジケータは、設置箱14内に前側と後側とを反転された状態で設置可能にされている。
【0034】
プレート12の左端部以外の部分には、配置体(第2配置体)としての略直方体形箱状の第2プレート12Bが設けられており、第2プレート12B内は、左側に開放されている。第2プレート12Bは、第1プレート12Aの右側に組付けられており、第2プレート12B内は、第1プレート12A内に連通されている。第2プレート12Bの上壁の前後方向中央側部分には、略矩形状の開放口16が貫通形成されており、開放口16は、プレート12内(第2プレート12B内)を上側に開放させると共に、前後方向中央が第1プレート12Aの設置箱14の前後方向中央と前後方向位置を一致されている。
【0035】
第2プレート12Bの上側には、規制部としての略三角形柱状のブロック部18が一対一体に設けられており、一対のブロック部18は、第2プレート12Bの開放口16の前側と後側とに配置されている。一対のブロック部18は、前後方向において互いに対向されており、一対のブロック部18は、開放口16の前後方向中央が配置される前後方向に垂直な面に対し面対称な形状にされている。ブロック部18の開放口16側の面は、規制面としての平面状のブロック面18Aにされており、前側のブロック部18のブロック面18Aは、上側へ向かうに従い前側へ向かう方向に傾斜されると共に、後側のブロック部18のブロック面18Aは、上側へ向かうに従い後側へ向かう方向に傾斜されている。
【0036】
第2プレート12Bの上側には、各ブロック部18の開放口16とは反対側かつ下側において、延伸部(補強部)としての略三角形板状のリブ20が所定数(本実施形態では3個)設けられており、所定数のリブ20は、それぞれ左右方向に垂直に配置されると共に、左右方向に互いに間隔をあけて並べられている。リブ20の開放口16側の面及び下面は、第2プレート12Bと一体にされており、リブ20の開放口16とは反対側の面は、下側へ向かうに従い開放口16とは反対側へ向かう方向に傾斜されている。リブ20の上端部は、ブロック部18と一体にされており、リブ20は、ブロック部18を補強している。
【0037】
プレート12内には、シフト体としての樹脂製で長尺棒状のレバー22の下側部分が挿入されており、レバー22は、長手方向(軸方向)が上下方向に平行にされた状態で、第1プレート12Aの設置箱14及びインジケータの運転席とは反対側に配置されている。レバー22の上下方向中間部には、円筒状の支持軸22Aが一対一体に設けられており、支持軸22Aは、レバー22の左側と右側とに同軸上に突出されている。左側及び右側の支持軸22Aは、それぞれプレート12の第1プレート12A及び第2プレート12Bの上端部に回転可能に支持されており、レバー22は、一対の支持軸22Aを中心軸として前後方向(操作方向)に回動可能にされている。このため、レバー22は、前側から後側に向けて、シフト位置としての「R」位置(リバース位置)、「N」位置(ニュートラル位置)、「H」位置(ホーム位置)、「N」位置(ニュートラル位置)、「D」位置(ドライブ位置)に配置可能にされている。
【0038】
レバー22の上下方向中間部の前側及び後側には、保持部としての略有底半円筒状の保持枠24が一体に設けられており、前側の保持枠24と後側の保持枠24とは、レバー22の前後方向中央が配置される前後方向に垂直な面に対し面対称な形状にされている。保持枠24の上面は、開放されると共に、保持枠24の下端には、下壁が設けられており、保持枠24の下壁には、十字状の貫通孔(図示省略)が貫通形成されている。保持枠24の左端部及び右端部には、案内部としての長尺矩形状の案内孔24Aが貫通形成されており、案内孔24Aは、上下方向に延伸されている。
【0039】
レバー22の上下方向中間部の前面及び後面には、押圧部としての平面状の押圧面22Bが形成されており、押圧面22Bは、保持枠24の上側に配置されている。レバー22の右側かつ下側の部分には、円状の挿入孔(図示省略)が形成されており、挿入孔は、右方へ向かうに従い下方へ向かう方向に延伸されて、下側に開放されている。
【0040】
プレート12(第2プレート12B)とレバー22との間には、付勢手段としての節度機構26が設けられている。
【0041】
節度機構26には、移動部材としての略円柱状のディテントピン28が設けられており、ディテントピン28は、レバー22の挿入孔に同軸上に挿入(嵌入)されている。ディテントピン28の下側部は、レバー22から下側に突出されており、ディテントピン28の下側面は、半球面状に突出されている。
【0042】
ディテントピン28とレバー22の挿入孔の底面(上側面)との間には、付勢部材としてのディテントスプリング30(コイルスプリング)が掛渡されており、ディテントスプリング30は、圧縮されて、ディテントピン28を下側に付勢している。
【0043】
節度機構26には、節度部材としてのブロック状のディテントスロープ32が設けられており、ディテントスロープ32は、第2プレート12B内の右側かつ下側の角部に固定されている。ディテントスロープ32は、前後方向に長尺にされており、ディテントスロープ32の上側面には、ディテントスプリング30の付勢力によりディテントピン28の下側面が当接されている。ディテントスロープ32の上側面は、前後方向両端側から前後方向中央へ向かうに従い下側へ向かう方向に傾斜されており、ディテントスプリング30の付勢力により、ディテントピン28の下側面がディテントスロープ32の上側面の前後方向中央に配置されて、レバー22が「H」位置に配置されている。レバー22は、前後方向への回動力を作用されることで、ディテントスプリング30の付勢力に抗して「H」位置から前後方向に回動可能にされており、レバー22が「H」位置から前後方向に回動された状態でレバー22への回動力の作用が解除された際には、レバー22がディテントスプリング30の付勢力により「H」位置に回動(復帰)される。
【0044】
レバー22は、プレート12の上側に開放口16の前後方向中央部を介して延出されており、レバー22の上端部には、把持体としての略球状のノブ34が固定されている。
【0045】
ノブ34の内部には、略直方体状のノブ本体36が設けられており、ノブ本体36がレバー22の上端部に組付けられることで、ノブ34がレバー22の上端部に組付けられている。また、ノブ本体36は、レバー22の上端部に前側と後側とを反転された状態に組付け可能にされており、ノブ34は、レバー22の上端部に前側と後側とを反転された状態に組付け可能にされている。
【0046】
ノブ本体36の外周は、略球壁状のノブカバー38によって被覆されており、ノブカバー38は、ノブ本体36に一体に固定されている。ノブ34(ノブカバー38)は、車両の運転席に着座した乗員(運転手)が把持可能にされており、レバー22は、乗員がノブ34を把持した状態でノブ34と一体に回動操作可能にされている。
【0047】
ノブ本体36には、解除部としての略矩形柱状のボタン40が組付けられており、ボタン40は、ノブ本体36から前側に突出されると共に、ノブ本体36に対し前後方向に所定範囲で移動可能にされている。ボタン40とノブ本体36との間には、解除付勢手段としてのノブスプリング42(コイルスプリング)が掛渡されており、ノブスプリング42は、圧縮されて、ボタン40を前側に付勢している。ボタン40は、ノブカバー38を貫通されて、ノブカバー38の前側に露出されており、ボタン40は、乗員がノブスプリング42の付勢力に抗して後側に押圧操作可能にされている。ボタン40の後側かつ下側の端部には、連絡部としての平板状の解除板40Aが一体に設けられており、解除板40Aは、前側へ向かうに従い上側へ向かう方向に傾斜されている。
【0048】
レバー22の前側の保持枠24には、規制体としての樹脂製で略棒状のディテントロッド44が保持されており、ディテントロッド44の長手方向は、レバー22の長手方向に沿って配置されている。ディテントロッド44は、左右方向中央が配置される左右方向に垂直な面に対し面対称な形状にされると共に、前後方向中央が配置される前後方向に垂直な面に対し非面対称な形状にされている。また、レバー22の後側の保持枠24には、ディテントロッド44が前側と後側とを反転された状態で保持可能にされている。
【0049】
ディテントロッド44の下側部分には、被保持部としての断面十字形柱状の保持柱46が同軸上に設けられており、保持柱46は、レバー22の前側の保持枠24に上側から挿入されると共に、当該保持枠24下壁の貫通孔に貫通かつ嵌合されている。
【0050】
ディテントロッド44には、保持柱46の上側において、被規制部としての略矩形柱状のディテントバー48が一体に設けられており、ディテントバー48は、左側及び右側に延出されると共に、レバー22の前側の押圧面22Bの前側に配置されている。
【0051】
ディテントバー48の左側部分及び右側部分には、被案内部としての略長尺板状の案内爪50が一体に設けられており、案内爪50は、保持柱46の左側及び右側において、ディテントバー48から下側に延出されている。案内爪50は、弾性を有しており、案内爪50の下端(先端)は、保持柱46側に突出されている。案内爪50の下端は、レバー22の前側の保持枠24における案内孔24Aに挿入されており、案内爪50は、下端を案内孔24Aに案内されて、上下方向に変位可能にされている。
【0052】
ディテントバー48とレバー22の前側の保持枠24下壁との間には、変位付勢手段としてのロッドスプリング52(コイルスプリング)が掛渡されており、ロッドスプリング52は、内部に保持柱46が貫通された状態で圧縮されて、ディテントロッド44を上側に付勢している。
【0053】
ディテントロッド44の上部は、ノブ34内(ノブカバー38内)に挿入されており、ディテントロッド44は、ロッドスプリング52の付勢力により上端がノブ34におけるボタン40の解除板40Aの下側面に当接されて、上側への変位(スライド)を制限されている。上述の如くボタン40がノブスプリング42の付勢力に抗して後側に押圧操作された際には、ロッドスプリング52の付勢力によって、ディテントロッド44の上端が解除板40Aを上側(前側)に摺動されて、ディテントロッド44が上側に変位される。
【0054】
図3に示す如く、ボタン40が後側に押圧操作されずにディテントロッド44が上側に変位されない状態で、レバー22が「H」位置から前側に回動操作される際には、ディテントロッド44のディテントバー48がプレート12(第2プレート12B)の前側のブロック部18に当接されて、ディテントロッド44の前側への回動(移動)が前側のブロック部18によって規制される。このため、レバー22の「H」位置から前側の「N」位置への回動が許可される一方、レバー22の前側の「N」位置から「R」位置への回動が規制される。また、ディテントロッド44の前側への回動が前側のブロック部18によって規制される際には、ディテントバー48の前面及び後面がそれぞれ前側のブロック部18のブロック面18A及びレバー22の前側の押圧面22Bに面接触された状態で、ディテントバー48が前側のブロック部18とレバー22との間に挟まれる。
【0055】
一方、
図4及び
図5に示す如く、ボタン40が後側に押圧操作されてディテントロッド44が上側に変位された状態で、レバー22が「H」位置から前側に回動操作される際には、ディテントバー48が前側のブロック部18の上側を通過可能にされる。このため、レバー22の「H」位置から前側の「N」位置への回動が許可されると共に、レバー22の前側の「N」位置から「R」位置への回動が許可される。
【0056】
また、レバー22が「H」位置から後側に回動操作される際には、ボタン40が後側に押圧操作されずにディテントロッド44が上側に変位されない状態でも、ディテントロッド44のディテントバー48がプレート12(第2プレート12B)の後側のブロック部18に当接されない。このため、レバー22の「H」位置から後側の「N」位置への回動が許可されると共に、レバー22の後側の「N」位置から「D」位置への回動が許可される。
【0057】
[右ハンドル車両用のシフトレバー装置]
図6には、本発明の実施形態に係るシフト装置としてのシフトレバー装置70の主要部が左方(車両右方)から見た側面図にて示されている。なお、
図6〜
図9では、シフトレバー装置70の前方(車両後方)を矢印FRで示し、シフトレバー装置70の上方(車両上方)を矢印UPで示す。
【0058】
本実施形態に係るシフトレバー装置70は、上記シフトレバー装置10とほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0059】
シフトレバー装置70は、右ハンドルの車両(自動車)に搭載されており、右ハンドルの車両では、ハンドル(図示省略)及び運転席(図示省略)が車室の右側部分に配置されている。シフトレバー装置70は、運転席の車両左側における車室の床部(車体側)に設置されており、シフトレバー装置70の前方、左方及び上方は、それぞれ車両の後方、右方及び上方に向けられている。
【0060】
図6に示す如く、シフトレバー装置70では、上記シフトレバー装置10のプレート12、レバー22及び節度機構26が前側と後側とを反転された状態で車両に搭載されており、レバー22は、後側から前側に向けて、「R」位置、「N」位置、「H」位置、「N」位置、「D」位置に配置可能にされている。レバー22は、プレート12の第1プレート12Aにおける設置箱14及びインジケータの運転席とは反対側に配置されており、設置箱14内には、上記シフトレバー装置10のインジケータが前側と後側とを反転されない状態で設置されている。
【0061】
レバー22の上端部には、上記シフトレバー装置10のノブ34(ノブ本体36)が前側と後側とを反転されない状態で組付けられており、ノブ34では、ボタン40が、ノブ本体36から後側に突出されて、ノブカバー38の後側に露出されている。ボタン40は、乗員がノブスプリング42の付勢力に抗して前側に押圧操作可能にされており、ボタン40の解除板40Aは、後側へ向かうに従い上側へ向かう方向に傾斜されている。
【0062】
レバー22の後側の保持枠24には、上記シフトレバー装置10のディテントロッド44が前側と後側とを反転されない状態で保持されており、ディテントロッド44のディテントバー48と後側の保持枠24下壁との間には、ロッドスプリング52が掛渡されている。上述の如くボタン40がノブスプリング42の付勢力に抗して前側に押圧操作された際には、ロッドスプリング52の付勢力によって、ディテントロッド44の上端がボタン40の解除板40Aを上側(後側)に摺動されて、ディテントロッド44が上側に変位される。
【0063】
図7に示す如く、ボタン40が前側に押圧操作されずにディテントロッド44が上側に変位されない状態で、レバー22が「H」位置から後側に回動操作される際には、ディテントロッド44のディテントバー48がプレート12(第2プレート12B)の後側のブロック部18に当接されて、ディテントロッド44の後側への回動(移動)が後側のブロック部18によって規制される。このため、レバー22の「H」位置から後側の「N」位置への回動が許可される一方、レバー22の後側の「N」位置から「R」位置への回動が規制される。また、ディテントロッド44の後側への回動が後側のブロック部18によって規制される際には、ディテントバー48の後面及び前面がそれぞれ後側のブロック部18のブロック面18A及びレバー22の後側の押圧面22Bに面接触された状態で、ディテントバー48が後側のブロック部18とレバー22との間に挟まれる。
【0064】
一方、
図8及び
図9に示す如く、ボタン40が前側に押圧操作されてディテントロッド44が上側に変位された状態で、レバー22が「H」位置から後側に回動操作される際には、ディテントバー48が後側のブロック部18の上側を通過可能にされる。このため、レバー22の「H」位置から後側の「N」位置への回動が許可されると共に、レバー22の後側の「N」位置から「R」位置への回動が許可される。
【0065】
また、レバー22が「H」位置から前側に回動操作される際には、ボタン40が前側に押圧操作されずにディテントロッド44が上側に変位されない状態でも、ディテントロッド44のディテントバー48がプレート12(第2プレート12B)の前側のブロック部18に当接されない。このため、レバー22の「H」位置から前側の「N」位置への回動が許可されると共に、レバー22の前側の「N」位置から「D」位置への回動が許可される。
【0066】
[本実施形態の効果]
上記シフトレバー装置10及びシフトレバー装置70では、レバー22の前側及び後側に保持枠24が設けられると共に、プレート12の開放口16の前側及び後側にブロック部18が設けられている。また、シフトレバー装置10では、前側の保持枠24にディテントロッド44が保持されることで、前側のブロック部18がディテントロッド44(ディテントバー48)の前側への回動を規制して、レバー22の前側(車両前側)の「R」位置への回動が規制される。さらに、シフトレバー装置70では、後側の保持枠24にディテントロッド44が保持されることで、後側のブロック部18がディテントロッド44(ディテントバー48)の後側への回動を規制して、レバー22の後側(車両前側)の「R」位置への回動が規制される。
【0067】
このため、シフトレバー装置10とシフトレバー装置70とで、プレート12及びレバー22を前側と後側とを反転させて車両に設置しても、ディテントロッド44が保持される保持枠24を変更して、レバー22へのディテントロッド44の配置を変更することで、ブロック部18がレバー22の「R」位置への回動を規制できる。これにより、シフトレバー装置10とシフトレバー装置70とで、プレート12及びレバー22を共用できる。
【0068】
また、レバー22の前側の保持枠24と後側の保持枠24とに、ディテントロッド44が前側と後側とを反転された状態で保持可能にされている。このため、シフトレバー装置10とシフトレバー装置70とで、レバー22が前側と後側とを反転されても、前側の保持枠24又は後側の保持枠24にディテントロッド44(ディテントバー48を含む)を前側と後側とを反転させない状態で保持させることができる。これにより、ディテントロッド44が前後方向中央を配置される前後方向に垂直な面に対し面対称な形状にされる場合のみならず、本実施形態の如くディテントロッド44が前後方向中央を配置される前後方向に垂直な面に対し非面対称な形状にされる場合でも、シフトレバー装置10とシフトレバー装置70とで、ディテントロッド44を共有できる。
【0069】
さらに、レバー22の上端部に、ノブ34(ノブ本体36)が前側と後側とを反転されない状態及び前側と後側とを反転された状態で組付け可能にされている。このため、シフトレバー装置10とシフトレバー装置70とで、レバー22が前側と後側とを反転されても、レバー22の上端部にノブ34(ノブ本体36)を前側と後側とを反転されない状態で組付けることができる。これにより、シフトレバー装置10とシフトレバー装置70とで、ノブ34を共有できる。
【0070】
また、プレート12の設置箱14内に、インジケータが前側と後側とを反転されない状態及び前側と後側とを反転された状態で設置可能にされている。このため、シフトレバー装置10とシフトレバー装置70とで、プレート12の設置箱14が前側と後側とを反転されても、設置箱14にインジケータを前側と後側とを反転させない状態で設置できる。これにより、シフトレバー装置10とシフトレバー装置70とで、インジケータを共有できる。
【0071】
さらに、シフトレバー装置10では、プレート12が前側と後側とを反転されない状態で左ハンドルの車両に設置されると共に、シフトレバー装置70では、プレート12が前側と後側とを反転された状態で右ハンドルの車両に設置されることで、レバー22の運転席側への設置箱14及びインジケータの配置が維持される。このため、プレート12の前側と後側との反転によって、プレート12を左ハンドルの車両と右ハンドルの車両とに設置できる。
【0072】
また、レバー22の左右方向両側にディテントロッド44のディテントバー48及びプレート12のブロック部18が配置されている。このため、レバー22の左右方向両側においてブロック部18がディテントバー48の回動を規制でき、レバー22の「R」位置への回動を効果的に規制できる。
【0073】
さらに、ディテントロッド44の長手方向がレバー22の長手方向に沿って配置されている。このため、ディテントロッド44の長手方向がレバー22の回動径方向に沿って配置される場合とは異なり、ディテントロッド44の上端とレバー22の上端との距離を小さくでき、ノブ34を前後方向において小型化できる。
【0074】
また、プレート12を第1プレート12Aと第2プレート12Bとが構成しており、第2プレート12Bのみにブロック部18が設けられている。このため、ブロック部18が第1プレート12Aと第2プレート12Bとに分割されて設けられる場合とは異なり、ブロック部18の強度を高くでき、ブロック部18がディテントロッド44(ディテントバー48)の回動を効果的に規制できて、レバー22の「R」位置への回動を効果的に規制できる。しかも、ブロック部18がプレート12に一体に設けられているため、部品点数を低減できて、コストを低減できる。
【0075】
さらに、プレート12のリブ20が、レバー22側においてブロック部18に連結されると共に、ブロック部18からレバー22とは反対側へ向けてレバー22の回動方向(前後方向)に延伸される。このため、リブ20によってブロック部18を効果的に補強でき、ブロック部18がディテントロッド44(ディテントバー48)の回動を効果的に規制できて、レバー22の「R」位置への回動を効果的に規制できる。
【0076】
また、ブロック部18がディテントロッド44(ディテントバー48)の回動を規制する際に、ディテントバー48がブロック部18のブロック面18Aとレバー22の押圧面22Bとの間に挟まれる。このため、ブロック部18からディテントバー48に入力される荷重をレバー22が支持でき、ディテントロッド44の損傷を抑制できる。
【0077】
さらに、ブロック部18がディテントロッド44(ディテントバー48)の回動を規制する際に、ディテントバー48の前面及び後面がブロック部18のブロック面18A及びレバー22の押圧面22Bに面接触される。このため、ブロック部18からディテントバー48に入力される荷重をレバー22が効果的に支持でき、ディテントロッド44の損傷を効果的に抑制できる。
【0078】
[変形例]
なお、本実施形態では、ディテントロッド44の左側及び右側にディテントバー48を延出させた。しかしながら、ディテントロッド44の左側(右側でもよい)のみにディテントバー48を延出させてもよい。この場合、ディテントバー48の位置に対応させて、プレート12の前側のブロック部18を左側部分(右側部分でもよい)のみ設けると共に、プレート12の後側のブロック部18を右側部分(左側部分でもよい)のみ設けてもよい。
【0079】
さらに、ディテントロッド44の車両前側にディテントバー48を延出させてもよい。この場合、レバー22の左側(右側でもよい)のみに保持部を設けて、保持部にディテントロッド44を保持することで、レバー22の車両前側にディテントバー48を配置してもよく、しかも、ディテントバー48の位置に対応させて、プレート12の前側のブロック部18を左側部分(右側部分でもよい)のみ設けると共に、プレート12の後側のブロック部18を右側部分(左側部分でもよい)のみ設けてもよい。さらに、この場合、レバー22の内部(保持部)にディテントロッド44を保持することで、レバー22の車両前側にディテントバー48を配置してもよく、しかも、ディテントバー48の位置に対応させて、プレート12の前側及び後側のブロック部18をディテントバー48の前側及び後側のみに設けてもよい。
【0080】
また、本実施形態では、レバー22を車両前側から車両後側に向けて「R」位置、「N」位置、「H」位置、「N」位置、「D」位置に配置可能にした。しかしながら、例えば、レバー22を車両前側から車両後側に向けて「R」位置、「N」位置、「D」位置に配置可能にしてもよい。この場合、レバー22を「N」位置の車幅方向一方側(例えば運転席とは反対側)において「H」位置(維持部)に配置可能にしてもよい。
【0081】
さらに、本実施形態において、プレート12に、レバー22の左側(右側でもよい)において、維持部としての設置部を設けて、設置部にシフト操作部としての「P」スイッチ(パーキングスイッチ)を設置してもよい。「P」スイッチは、乗員によって押圧操作されることで、車両の自動変速機のシフトレンジが「P」レンジ(パーキングレンジ)に変更される。この場合、設置部は、前後方向中央が配置される前後方向に垂直な面に対し面対称な形状にされて、「P」スイッチは、設置部に前側と後側とを反転された状態で設置可能にされる。このため、シフトレバー装置10及びシフトレバー装置70において、「P」スイッチをレバー22の運転席側(運転席とは反対側でもよい)に配置できる。
【0082】
さらに、本実施形態では、シフトレバー装置10、70をバイワイヤ式のものにした。しかしながら、シフトレバー装置10、70をバイワイヤ式以外(例えば機械的ケーブル式)のものにしてもよい。
【0083】
また、本実施形態では、シフトレバー装置10、70をフロア式のものにして車室の床部に設置した。しかしながら、シフトレバー装置10、70を車室のインストルメントパネルやステアリングコラムに設置してもよい。
【0084】
2016年4月20日に出願された日本国特許出願2016−84722号の開示は、その全体が参照により本明細書に取込まれる。