特許第6735352号(P6735352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6735352
(24)【登録日】2020年7月15日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】金属塩化物生成器と塩素プロセス
(51)【国際特許分類】
   C01G 23/07 20060101AFI20200728BHJP
   B01J 8/14 20060101ALI20200728BHJP
【FI】
   C01G23/07
   B01J8/14
【請求項の数】30
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-546437(P2018-546437)
(86)(22)【出願日】2017年3月29日
(65)【公表番号】特表2019-508359(P2019-508359A)
(43)【公表日】2019年3月28日
(86)【国際出願番号】US2017024706
(87)【国際公開番号】WO2017172884
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2018年9月3日
(31)【優先権主張番号】62/316,112
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/471,922
(32)【優先日】2017年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500002799
【氏名又は名称】トロノックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】フリン、 ハリー イー.
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第08324523(US,B2)
【文献】 中国特許出願公開第103818951(CN,A)
【文献】 特開2010−053016(JP,A)
【文献】 特開2001−039704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 1/00−23/08
C01F 1/00−17/00
B01J 8/00− 8/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属塩化物生成器であって、
反応器ハウジングであって、内側面、外側面、頂部、底部、前記頂部と前記底部とを一緒に接続する側壁、及び内部を含む反応器ハウジングと、
前記反応器ハウジングの前記内部の中に配置された反応チャンバであって、前記反応チャンバは、内側面、外側面、頂部、底部、前記頂部と前記底部とを一緒に接続する円筒側壁、及び内部を含み、前記反応チャンバの前記内部は上半分及び下半分を有する反応チャンバと、
前記反応器ハウジングの前記側壁及び前記反応チャンバの前記側壁を貫通して内側面、外側面及び内部を含む反応物質入口導管であって、前記反応物質入口導管はまた、前記反応器ハウジングの外側の箇所から少なくとも金属粒子及び塩素を含む反応成分を受け入れる第1開口、及び前記反応成分を前記反応チャンバの中へと、前記反応チャンバ内に渦を形成するのに十分な速度及び圧力で放出する第2開口も含み、前記反応物質入口導管の前記第2開口は前記反応チャンバの前記円筒側壁の前記内側面と面一にされて前記反応チャンバの前記内部の中へと開口する反応物質入口導管と、
前記反応チャンバの前記頂部及び前記反応器ハウジングの前記頂部を貫通して内側面、外側面及び内部を含む反応生成物出口導管であって、前記反応チャンバの前記内部から少なくとも金属塩化物を含む反応生成物を受け入れる第1開口、及び前記反応生成物を前記反応器ハウジングの外側の箇所に放出する第2開口もまた含む反応生成物出口導管と
を含む金属塩化物生成器。
【請求項2】
前記反応物質入口導管の前記第2開口は、前記反応チャンバの前記内部の前記上半分の中へと開口する請求項1の金属塩化物生成器。
【請求項3】
前記反応物質入口導管の前記第2開口は、前記反応チャンバの前記内部の前記下半分の中へと開口する請求項1の金属塩化物生成器。
【請求項4】
前記反応生成物出口導管の前記第1開口は、前記反応チャンバの前記頂部と面一にされる請求項1の金属塩化物生成器。
【請求項5】
前記反応生成物出口導管が前記反応チャンバの前記頂部から前記反応チャンバの前記内部の中へと延びることにより、前記反応生成物出口導管の前記第1開口が前記反応チャンバの前記内部の中に配置される請求項1の金属塩化物生成器。
【請求項6】
前記反応生成物出口導管が前記反応チャンバの前記内部の中へと半分未満だけ延びることにより、前記反応生成物出口導管の前記第1開口が前記反応チャンバの前記内部の前記上半分の中に配置される請求項5の金属塩化物生成器。
【請求項7】
前記反応生成物出口導管が前記反応チャンバの前記内部の中へと半分を超えて延びることにより、前記反応生成物出口導管の前記第1開口が前記反応チャンバの前記内部の前記下半分の中に配置される請求項5の金属塩化物生成器。
【請求項8】
前記反応チャンバ、前記反応物質入口導管及び前記反応生成物出口導管の少なくとも一つは、前記内側面に取り付けられた難分解性ライニングを含み、
前記難分解性ライニングは、前記反応チャンバ、反応物質入口導管又は反応生成物出口導管の前記内部の方を向く内側面が、金属粒子における金属酸化物層を破壊するのに十分なきめの粗さを有する請求項6の金属塩化物生成器。
【請求項9】
前記難分解性ライニングの前記内側面は0.01μmから1000μmの範囲にある表面粗さを有する請求項8の金属塩化物生成器。
【請求項10】
前記難分解性ライニングはセラミック材料から形成される請求項8の金属塩化物生成器。
【請求項11】
前記難分解性ライニングは炭化ケイ素セラミック材料から形成される請求項10の金属塩化物生成器。
【請求項12】
二酸化チタンを製造する塩素プロセスであって、
二酸化チタン鉱石、炭素源及び塩素をクロリネーターの中へと導入することと、
前記クロリネーターを、前記クロリネーターの中の二酸化チタン鉱石、前記炭素源及び塩素が反応して四塩化チタンを形成するのに十分な条件のもとで動作させることと、
金属粒子及び塩素を金属塩化物生成器の中へと導入することであって、前記金属塩化物生成器は金属塩化物遠心反応器であることと、
前記金属塩化物生成器を、遠心力の使用により前記金属塩化物生成器における金属粒子及び塩素が互いに接触するようになって反応し金属塩化物を形成するのに十分な条件のもとで動作させることと、
前記クロリネーターの中に形成された四塩化チタン、前記金属塩化物生成器の中に形成された金属塩化物、及び酸素をオキシダイザーの中へと導入することと、
前記オキシダイザーを、前記オキシダイザーにおける四塩化チタン及び金属塩化物を酸化して金属酸化物が結晶格子構造の中に組み込まれた二酸化チタン粒子を形成するのに十分な条件のもとで動作させることと、
前記オキシダイザーの中に形成された二酸化チタン粒子を回収することと
を含む塩素プロセス。
【請求項13】
前記炭素源はコークスである請求項12の塩素プロセス。
【請求項14】
前記金属塩化物遠心反応器は、
反応器ハウジングであって、内側面、外側面、頂部、底部、前記頂部と前記底部とを一緒に接続する側壁、及び内部を含む反応器ハウジングと、
前記反応器ハウジングの前記内部の中に配置された反応チャンバであって、前記反応チャンバは、内側面、外側面、頂部、底部、前記頂部と前記底部とを一緒に接続する円筒側壁、及び内部を含み、前記反応チャンバの前記内部は上半分及び下半分を有する反応チャンバと、
前記反応器ハウジングの前記側壁及び前記反応チャンバの前記側壁を貫通して内側面、外側面及び内部を含む反応物質入口導管であって、前記反応物質入口導管はまた、前記反応器ハウジングの外側の箇所から少なくとも一つの反応成分を受け入れる第1開口、及び前記反応成分を前記反応チャンバの中へと放出する第2開口も含み、前記反応物質入口導管の前記第2開口は前記反応チャンバの前記円筒側壁の前記内側面と面一にされて前記反応チャンバの中へと開口する反応物質入口導管と、
前記反応チャンバの前記頂部及び前記反応器ハウジングの前記頂部を貫通して内側面、外側面及び内部を含む反応生成物出口導管であって、前記反応チャンバの前記内部から少なくとも一つの反応生成物を受け入れる第1開口、及び前記反応生成物を前記反応器ハウジングの外側の箇所に放出する第2開口もまた含む反応生成物出口導管と
を含む請求項12の塩素プロセス。
【請求項15】
前記反応物質入口導管の前記第2開口は前記反応チャンバの前記内部の前記上半分の中へと開口する請求項14の塩素プロセス。
【請求項16】
前記反応生成物出口導管の前記第1開口は前記反応チャンバの前記頂部と面一にされる請求項14の塩素プロセス。
【請求項17】
前記反応生成物出口導管が前記反応チャンバの前記頂部から前記反応チャンバの前記内部の中へと延びることにより、前記反応生成物出口導管の前記第1開口が前記反応チャンバの前記内部の中に配置される請求項14の塩素プロセス。
【請求項18】
前記反応生成物出口導管が前記反応チャンバの前記内部の中へと半分未満だけ延びることにより、前記反応生成物出口導管の前記第1開口が前記反応チャンバの前記内部の前記上半分の中に配置される請求項14の塩素プロセス。
【請求項19】
前記反応チャンバ、前記反応物質入口導管及び前記反応生成物出口導管の少なくとも一つは、前記内側面に取り付けられた難分解性ライニングを含み、
前記難分解性ライニングは、前記反応チャンバ、反応物質入口導管又は反応生成物出口導管の前記内部の方を向く内側面が、前記金属粒子における金属酸化物層を破壊するのに十分なきめの粗さを有する請求項14の塩素プロセス。
【請求項20】
前記難分解性ライニングの前記内側面は0.01μmから1000μmの範囲にある表面粗さを有する請求項19の塩素プロセス。
【請求項21】
前記金属塩化物生成器の中へと導入される前記金属粒子の材料は、アルミニウム、ホウ素、ジルコニウム、ケイ素及びリンの群から選択される請求項12の塩素プロセス。
【請求項22】
前記金属塩化物生成器の中へと導入される前記金属粒子の材料はアルミニウムである請求項12の塩素プロセス。
【請求項23】
前記金属塩化物生成器において形成される前記金属塩化物は塩化アルミニウムである請求項12の塩素プロセス。
【請求項24】
前記金属酸化物は、前記二酸化チタンの重量に基づいて0.5重量%から1.5重量%の範囲にある量で前記二酸化チタン粒子の結晶格子構造の中に組み込まれる請求項12の塩素プロセス。
【請求項25】
二酸化チタンを製造するプロセスであって、
金属粒子及び塩素を金属塩化物生成器の中へと導入することであって、前記金属塩化物生成器は金属塩化物遠心反応器であることと、
前記金属塩化物生成器を、遠心力の使用により前記金属塩化物生成器における金属粒子及び塩素が互いに接触するようになって反応し金属塩化物を形成するのに十分な条件のもとで動作させることと、
ハロゲン化チタン、前記金属塩化物生成器の中に形成された金属塩化物、及び酸素をオキシダイザーの中へと導入することと、
前記オキシダイザーを、前記オキシダイザーにおけるハロゲン化チタン及び金属塩化物を酸化して金属酸化物が結晶格子構造の中に組み込まれた二酸化チタン粒子を形成するのに十分な条件のもとで動作させることと、
前記オキシダイザーの中に形成された二酸化チタン粒子を回収することと
を含むプロセス。
【請求項26】
前記金属塩化物遠心反応器は、
反応器ハウジングであって、内側面、外側面、頂部、底部、前記頂部と前記底部とを一緒に接続する側壁、及び内部を含む反応器ハウジングと、
前記反応器ハウジングの前記内部の中に配置された反応チャンバであって、前記反応チャンバは、内側面、外側面、頂部、底部、前記頂部と前記底部とを一緒に接続する円筒側壁、及び内部を含み、前記反応チャンバの前記内部は上半分及び下半分を有する反応チャンバと、
前記反応器ハウジングの前記側壁及び前記反応チャンバの前記側壁を貫通する反応物質入口導管であって、前記反応物質入口導管は、前記反応器ハウジングの外側の箇所から少なくとも一つの反応成分を受け入れる第1開口、及び前記反応成分を前記反応チャンバの中へと放出する第2開口を含み、前記反応物質入口導管の前記第2開口は前記反応チャンバの前記円筒側壁の前記内側面と面一とされて前記反応チャンバの中へと開口する反応物質入口導管と、
前記反応チャンバの前記頂部及び前記反応器ハウジングの前記頂部を貫通する反応生成物出口導管であって、前記反応チャンバの前記内部から少なくとも一つの反応生成物を受け入れる第1開口、及び前記反応器ハウジングの外側の箇所に少なくとも一つの反応生成物を放出する第2開口を含む反応生成物出口導管と
を含む請求項25のプロセス。
【請求項27】
前記反応物質入口導管の前記第2開口は、前記反応チャンバの前記内部の前記上半分の中へと開口する請求項26のプロセス。
【請求項28】
前記反応生成物出口導管の前記第1開口は前記反応チャンバの前記頂部と面一である請求項26のプロセス。
【請求項29】
前記反応生成物出口導管が前記反応チャンバの前記頂部から前記反応チャンバの前記内部の中へと延びることにより、前記反応生成物出口導管の前記第1開口が前記反応チャンバの前記内部の中に配置される請求項26のプロセス。
【請求項30】
前記反応チャンバ、前記反応物質入口導管及び前記反応生成物出口導管の少なくとも一つは、前記内側面に取り付けられた難分解性ライニングを含み、
前記難分解性ライニングは、前記反応チャンバ、反応物質入口導管又は反応生成物出口導管の前記内部の方を向く内側面が、前記金属粒子における金属酸化物層を破壊するのに十分なきめの粗さを有する請求項26のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遠心塩化アルミニウム生成器に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、先に出願された米国仮出願第62/316,112号(2016年3月31日出願)の利益を主張する。これは参照によりここに組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
二酸化チタンは、周知の顔料であり、白色不透明化剤である。例えば、二酸化チタンは、コーティング配合物(塗料及びインクの配合物を含む)、紙組成物、ポリマー組成物、及び他の生成物に関連する顔料として使用される。二酸化チタン顔料は、硫酸プロセス又は塩素プロセスのいずれかにより製造することができる。使用される製造プロセスにかかわらず、顔料は典型的に、粉末の形態で製造される。
【0004】
二酸化チタンを製造する塩素プロセスの場合、乾燥二酸化チタン鉱石(例えばルチル又は高品位イルメナイト)が、炭素源(例えばコークス)及び塩素とともにクロリネーターの中に供給され、高温で反応を起こして蒸気形態の四塩化チタン(TiCl)が生成される。ガス状の四塩化チタンが、液体形態に凝縮された後、精製されて不純物が除去される。精製された四塩化チタンはその後、気化されて高温で気相酸素と反応を起こし、二酸化チタン粒子とガス状の反応生成物とが生成される。オキシダイザーにおいて必要な高温を達成するべく、四塩化チタン蒸気及び酸素ガスストリームは、オキシダイザーに導入される前に常に予熱される。酸化ステップに引き続き、二酸化チタン及びガス状反応生成物が冷却され、二酸化チタン粒子が回収される。
【0005】
回収された二酸化チタン粒子は通常、顔料としての使用を目的として販売及び輸送される前に、さらなる処理される。例えば、予定の最終用途アプリケーションに応じて、仕上げのプロセスは典型的に、光散乱効率、及び顔料の耐久性を高めるべく、並びに他の所望の特性及び特徴を与えるべく、一以上の金属酸化物によって二酸化チタン粒子をコーティングすることを必要とする。
【0006】
典型的には、塩化アルミニウムのような金属塩化物が、二酸化チタンの結晶格子構造に金属酸化物を組み込むべく、酸化反応器の中の四塩化チタン蒸気に添加される。この金属酸化物は、二酸化チタンのルチル化を促進する。これはまた、仕上がった顔料の耐久性も向上させる。
【0007】
ハロゲン化チタン気相酸化法において使用される金属塩化物は一般に、1)商業的販売業者から購入することによるか、又は2)現場で生成することによる、2つの方法のいずれかにおいて得られる。いずれの方法も、利点及び欠点を有する。
【0008】
例えば、既存の(例えば購入された)金属塩化物は、現場で金属塩化物を生成するのに必要な機器の費用を必要としない。しかしながら、既存の(例えば購入された)金属塩化物は最初に、濃縮液体ハロゲン化チタンの中に溶解する必要がある。これは典型的に、ハロゲン化チタンの加熱を必要とする。この溶解プロセスは、全体的な製造サイクルの時間を引き延ばし得る。また、徳用の既存の塩化アルミニウムのような金属塩化物は、不純物を含有し得る。この不純物は、ハロゲン化チタンと反応してハロゲン化チタン気化器の壁上に、問題のある堆積物を生成する。さらに、金属塩化物とハロゲン化チタンとの混合物は、腐食性となり得るので、高コストの耐食性材料により内張りされた酸化反応器及び関連機器が必要となるのが典型的である。
【0009】
塩化アルミニウムは、様々な方法により現場で生成することができる。例えば、金属塩化物(例えば塩化アルミニウム)は、流動床反応器において生成することができる。このような反応器において、例えば、気化器又は予熱器(かかる機器が使用されるシーケンスによる)からの塩素ガス及びハロゲン化チタン蒸気の混合ストリームが、当該反応器の底にある固体金属(例えば固体アルミニウム)ペレットの床の中へと導入され、気泡及び進入型ガスの形態で鉛直方向に流される。気泡及び進入型ガスが金属ペレットに接触することにより、塩素及び金属が反応を起こして金属塩化物蒸気が形成される。ブローオーバー固体金属(例えば固体アルミニウム)粒子が、ブローオーバーとして流動床反応器から出ることができる。典型的には、アルミニウム又は他の金属ペレットの表面を磨くべく砂床も反応器に含まれ、一般に当該ペレットの表面上に本質的に存在する酸化アルミニウム又は他の金属酸化物のコーティングが破壊される。
【0010】
流動床金属塩化物生成器のサイズは一般に、ブローオーバーとして反応器を出ることが許容される金属粒子のサイズと、金属及び塩素間の反応の発熱性とによって決定される。所望のブローオーバー金属粒子サイズは、空間速度、及び流動床の輸送分離高さに影響する。通常、粒子サイズは、下流側機器の浸食及び腐食が懸念されることから、相対的に小さくなるように選択される。例えば、アルミニウム及び塩素の反応は、かなりの発熱性なので、典型的な添加レベルにおいて、反応温度をアルミニウムの融点により決まるように制御したままとする当該プロセスのヒートシンクとして機能するべく、ハロゲン化チタン蒸気ストリームの実質的にすべてが流動床金属塩化物生成器を通り抜ける。当該反応の発熱性ゆえに、アルミニウム及び塩素が反応器に添加される全体的な速度もまた、必要とされる反応器サイズを決定する因子となる。
【0011】
普通であれば、二酸化チタン顔料に所望の金属酸化物濃度を与えるのに十分な量の金属塩化物を生成するべく、流動床反応器はかなり大きくなる。金属の粒子サイズを小さくすることは一般に、必要な反応器のサイズを大きくすることを意味する。例えば、多くの場合、二酸化チタン生産ラインにある流動床金属塩化物生成器は、高さが16フィート(約5メートル)、直径が3フィート(約1メートル)となる。ハロゲン化チタンと金属塩化物との混合物の腐食性ゆえに、反応器は一般に、エキゾチックな(exotic)合金から作られる必要があり、かつ難分解性の内張りを必要とする。その結果、大きな流動床反応器は、資本コスト、運転コスト及び維持コストにより高価となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第8,324,523(B2)号明細書
【特許文献2】米国特許第8,617,672(B2)号明細書
【特許文献3】米国特許第5,413,813(A)号明細書
【特許文献4】米国特許第5,599,519(A)号明細書
【特許文献5】米国特許第4,080,194(A)号明細書
【発明の概要】
【0013】
本開示によれば、金属塩化物生成器が与えられる。金属塩化物生成器は、金属塩化物遠心反応器である。一実施形態において、ここに開示されるのは、
a.反応器ハウジングであって、内側面、外側面、頂部、底部、当該頂部と底部とを一緒に接続する側壁、及び内部を含む反応器ハウジングと、
b.反応器ハウジングの内部の中に配置された円筒反応チャンバであって、当該反応チャンバは、内側面、外側面、頂部、底部、当該頂部と底部とを一緒に接続する円筒側壁、及び内部を含み、当該反応チャンバの内部は上半分及び下半分を有する反応チャンバと、
c.反応器ハウジングの側壁及び当該反応チャンバの側壁を貫通して内側面、外側面及び内部を含む反応物質入口導管であって、当該反応物質入口導管は、少なくとも一つの反応成分を当該反応器ハウジングの外側の箇所から受け入れる第1開口、及び当該反応成分を当該反応チャンバの中へと放出する第2開口もまた含み、反応物質入口導管の第2開口は当該反応チャンバの円筒側壁の内側面と面一にされて当該反応チャンバの内部の中へと開口する反応物質入口導管と、
d.当該反応チャンバの頂部及び反応器ハウジングの頂部を貫通して内側面、外側面及び内部を含む反応生成物出口導管であって、少なくとも一つの反応生成物を当該反応チャンバの内部から受け入れる第1開口、及び当該反応生成物を反応器ハウジングの外側の箇所へと放出する第2開口もまた含む反応生成物出口導管と
を含む金属塩化物生成器である。
【0014】
金属塩化物生成器の他実施形態において、当該反応チャンバ、反応物質入口導管及び反応生成物出口導管の少なくとも一つが、内側面に取り付けられた難分解性ライニングを含み、当該難分解性ライニングは内側面が当該反応チャンバ、反応物質入口導管又は反応生成物出口導管の内部の方を向いて金属粒子における金属酸化物層を破壊するのに十分なきめの粗さを有する。
【0015】
本開示によれば、二酸化チタンを製造するプロセスもまた与えられる。第1実施形態において、プロセスは、二酸化チタンを製造する塩素プロセスであって、
a.二酸化チタン鉱石、炭素源及び塩素をクロリネーターの中へと導入することと、
b.当該クロリネーターを、当該クロリネーターの中の二酸化チタン鉱石、炭素源及び塩素が反応して四塩化チタンを形成するのに十分な条件のもとで動作させることと、
c.金属粒子及び塩素を金属塩化物生成器の中へと導入することであって、当該金属塩化物生成器は金属塩化物遠心反応器であることと、
d.当該金属塩化物生成器を、遠心力を使用して当該生成器の中の金属粒子及び塩素が互いに接触するようになって反応し金属塩化物を形成するのに十分な条件のもとで動作させることと、
e.当該クロリネーターの中に形成された四塩化チタン、当該金属塩化物生成器の中に形成された金属塩化物、及び酸素をオキシダイザーの中へと導入することと、
f.当該オキシダイザーを、当該オキシダイザーにおける四塩化チタン及び金属塩化物を酸化して金属酸化物が結晶格子構造の中に組み込まれた二酸化チタン粒子を形成するのに十分な条件のもとで動作させることと、
g.オキシダイザーの中に形成された二酸化チタン粒子を回収することと
を含む。
【0016】
第2実施形態において、プロセスは、二酸化チタンを製造するプロセスであって、
a.金属粒子及び塩素を金属塩化物生成器の中へと導入することであって、当該金属塩化物生成器は金属塩化物遠心反応器であることと、
b.当該金属塩化物生成器を、遠心力を使用して当該生成器の中の金属粒子及び塩素が互いに接触するようになって金属塩化物を形成するのに十分な条件のもとで動作させることと、
c.ロゲン化チタン、当該金属塩化物生成器の中に形成された金属塩化物、及び酸素をオキシダイザーの中へと導入することと、
d.当該オキシダイザーを、当該オキシダイザーにおけるハロゲン化チタン及び金属塩化物を酸化して金属酸化物が結晶格子構造に組み込まれた二酸化チタン粒子を形成するのに十分な条件のもとで動作させることと、
e.オキシダイザーの中に形成された二酸化チタン粒子を回収することと
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本出願に含まれる図面は、ここに記載の実施形態の所定の側面を例示する。しかしながら、図面は、排他的な実施形態とみなすべきではない。開示される主題は、本開示の利益を受ける当業者に想起されるような、形態及び機能の、かなりの修正、改変、組み合わせ、及び均等物が可能である。
【0018】
図1】ここに開示される遠心塩化アルミニウム生成器の一実施形態の斜視図である。
図2A】頂部入口ありだが中心渦ファインダなしの、図1により例示される遠心塩化アルミニウム生成器の部分断面図である。
図2B】頂部入口と、生成器の頂部から第1距離だけ当該生成器の中へと延びる中心渦ファインダとがありの、図1により例示される遠心塩化アルミニウム生成器の部分断面図である。
図2C】頂部入口と、生成器の頂部から第2距離だけ当該生成器の中へと延びる中心渦ファインダとがありの、図1により例示される遠心塩化アルミニウム生成器の部分断面図である。
図2D】底部入口ありだが中心渦ファインダなしの、図1により例示される遠心塩化アルミニウム生成器の部分断面図である。
図2E】底部入口と、生成器の頂部から第1距離だけ生成器の中へと延びる中心渦ファインダとがありの、図1により例示される遠心塩化アルミニウム生成器の部分断面図である。
図3図2Aにより例示される遠心塩化アルミニウム生成器の他の部分断面図である。
図4A図3の断面4Aから取った詳細図である。
図4B図3の断面4Bから取った詳細図である。
図4C図2Cの断面4Cから取った詳細図である。
図5図1〜3及び4A〜4Cにより例示される塩化アルミニウム生成器に関して実行された数値流体力学(computational fluid dynamics(CFD))分析の結果を例示する。
図6図1〜3及び4A〜4Cにより例示される塩化アルミニウム生成器に関して実行されたCFD分析の結果を例示する。
図7図1〜3及び4A〜4Cにより例示される塩化アルミニウム生成器に関して実行されたCFD分析の結果を例示する。
図8図1〜3及び4A〜4Cにより例示される塩化アルミニウム生成器に関して実行されたCFD分析の結果を例示する。
図9】ここに開示される二酸化チタンを製造するプロセスの一実施形態を例示する模式的な図である。
図10】ここに開示される二酸化チタンを製造するプロセスの他実施形態を例示する模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、本詳細な説明を参照することにより容易に理解することができる。単純かつ明確な例示を目的として、適切な場合には、対応する又は類似する要素を示すべく異なる図面同士において参照番号が繰り返される。加えて、ここに記載される様々な実施形態の完全な理解を与えるべく、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、当業者に理解されることだが、ここに記載される実施形態は、これらの具体的な詳細なしでも実施することができる。他例において、方法、手順及び構成要素は、関連する重要な特徴が記載されるのを不明りょうにすることがないように、詳細には記載されない。また、本明細書は、ここに記載される実施形態の範囲を制限するものとみなしてはならない。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、所定の部品の比率は、本開示の詳細及び特徴を良好に例示するべく誇張される。
【0020】
一側面において、本開示は金属塩化物生成器を与える。他側面において、本開示は、二酸化チタンを製造するプロセスを与える。
【0021】
ここに開示される金属塩化物生成器は、金属塩化物遠心反応器である。ここで及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、金属塩化物遠心反応器とは、固体金属及び塩素ガスが金属塩化物を形成する反応を促進するべく、並びに金属塩化物を反応器の中の他の成分から分離するべく、遠心力を使用する反応器を意味する。遠心力により、生成器の中の小さな未反応金属粒子がブローオーバーとして反応器外へと搬送されることが防止されたまま、塩素ガス及び固体金属粒子が反応することが許容される。金属塩化物生成器は、独立型の金属塩化物生成器として使用することができ、又は金属塩化物が必要とされる任意のプロセスにおいて現場で使用することができる。ここで及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、表面又は構成要素「に取り付けられ」とは、当該表面又は構成要素に直接的又は間接的に取り付けられることを意味する。
【0022】
一実施形態において、ここに開示される金属塩化物生成器は、二酸化チタンを製造するプロセスにおいて現場で金属塩化物を生成するのに使用される。例えば、金属塩化物生成器は、二酸化チタンを製造する塩素プロセスにおいて現場で金属塩化物を生成するために現在使用されている従来型流動床反応器に関連して、サイズの制約及び設計パラメータを回避するべく使用することができる。
【0023】
ここで図面を参照すると、特に図1〜4を参照すると、一般に参照番号10で指定される本開示の金属塩化物生成器の一実施形態が記載される。金属塩化物生成器10は、
a.内側面14、外側面16、頂部18、底部20、頂部18と底部20とを接続する側壁22、及び内部24を含む反応器ハウジング12と、
b.反応器ハウジング12の内部24の中に配置された円筒反応チャンバ28であって、反応チャンバ28は、内側面32、外側面34、頂部36、底部38、頂部36と底部38とをともに接続する円筒側壁40、及び内部44を含み、反応チャンバ28の内部44は上半分46及び下半分48を有する円筒反応チャンバ28と、
c.反応器ハウジング12の側壁22及び反応チャンバ28の側壁40を貫通して内側面51、外側面52及び内部53を含む反応物質入口導管50であって、反応物質入口導管50はまた、少なくとも一つの反応成分を反応器ハウジング12の外側の箇所56から受け入れる第1開口54、及び当該反応成分を反応チャンバ28の中へと放出する第2開口60も含み、反応物質入口導管50の第2開口60は反応チャンバ28の円筒側壁40の内側面32と面一にされて反応チャンバ28の内部44の中へと開口する反応物質入口導管50と、
d.反応チャンバ28の頂部36及び反応器ハウジング12の頂部18を貫通して内側面63、外側面64及び内部65を含む反応生成物出口導管62であって、少なくとも一つの反応生成物を反応チャンバ28の内部44から受け入れる第1開口66、及び当該反応生成物を反応器ハウジングの外側の箇所70へと放出する第2開口68を含む反応生成物出口導管62と
を含む。
【0024】
反応器ハウジング12は、形状が円筒であり、スタンド集合体72により地面上に支持される。スタンド集合体72は、金属塩化物生成器10を地面又は他の表面(図示せず)上に支持する。スタンド集合体72は複数の脚部材74を含む。一対の対向するフランジ集合体78が、反応器ハウジング12の頂部18及び側壁22に隣接するように反応器ハウジング12の外側面16に取り付けられ、頂部18は反応器ハウジング12から取り外されることが許容される。反応器ハウジング12の取り外し可能な頂部18により、反応チャンバ12の内部44へのアクセスが許容される。
【0025】
内側面86及び外側面88を有する耐食ライナ84が、反応器ハウジング12に取り付けられる。耐食ライナ84の外側面88は、反応器ハウジング12の内側面14に取り付けられる。
【0026】
円筒反応チャンバ28は、形状が円筒状であり、反応器ハウジング12の中心部分90に配置される。反応チャンバ28の内側面32は、内側面94及び外側面96を有する難分解性ライニング92により取り囲まれる。難分解性ライニング92の内側面94は、反応チャンバ28の内部44の方を向く。
【0027】
難分解性ライニング92は絶縁層100により取り囲まれ、絶縁層100は、内側面102及び外側面104、側壁106、頂部108及び底部110を含む。絶縁層100の内側面102は、難分解性ライニング92の外側面96に取り付けられる。例えば、絶縁層100の側壁106の外側面104が、耐食ライナ84の内側面86に取り付けられる。
【0028】
反応物質入口導管50は円筒導管である。反応物質入口導管50の内側面51は、内側面122及び外側面124を有する難分解性ライニング120により取り囲まれる。難分解性ライニング120の内側面122は、反応物質入口導管50の内部53の方を向く。
【0029】
内側面132及び外側面134を有する絶縁層130が、難分解性ライニング120を取り囲む。絶縁層130の内側面132は、難分解性ライニング120の外側面124に取り付けられる。図4Bにより最も良好に示されるように、内側面142及び外側面144を有する耐食ライナ140が絶縁層130を取り囲む。耐食ライナ140の内側面142は、絶縁層130の外側面134に取り付けられる。
【0030】
反応物質入口導管50は、少なくとも一つの反応成分(例えば反応成分のすべて)を、反応器ハウジング12の外側の箇所56から第1開口54を介して受け取り、当該反応成分(例えば反応成分のすべて)を、第2開口60を介して反応チャンバ28の中へと放出する。例えば、箇所56は、反応生成物の源(図示せず)に流体的に接続された一以上の他の導管(図示せず)としてよい。フランジ80を、反応物質入口導管50を他の導管へと接続するべく使用してよい。
【0031】
図1、2A、2B、2C及び3により示されるように、反応物質入口導管50の第2開口60は、反応チャンバ28の内部44の上半分46の中へと開口する。他の実施形態において、図2D及び2Eにより示されるように、反応物質入口導管50の第2開口60は、反応チャンバ28の内部44の下半分48の中へと開く。例えば、以下の例1により示されるように、反応物質入口導管50の第2開口60は、いくつかの点で、反応チャンバ28の内部44の上半分46の中へと開く方がよい。
【0032】
反応生成物出口導管62はまた、円筒導管でもある。反応生成物出口導管62は、内側面152及び外側面154を有する難分解性ライニング150によって取り囲まれる。難分解性ライニング150の内側面152は、反応物質入口導管50の内部65の方を向く。
【0033】
内側面162及び外側面164を有する絶縁層160が、反応生成物出口導管62の、第2開口68に隣接する部分166を取り囲む。絶縁層160の内側面162は、反応生成物出口導管62の外側面64に取り付けられる。図4Cに最もよく示されるように、内側面172及び外側面174を有する耐食ライナ170が絶縁層160を取り囲む。耐食ライナ170の内側面172は、絶縁層160の外側面164に取り付けられる。
【0034】
反応生成物出口導管62は、少なくとも一つの反応生成物(例えば反応生成物のすべて)を、反応チャンバ28の内部44から第1開口66を介して受け取り、当該反応生成物(例えば反応生成物のすべて)を、第2開口68を介して反応器ハウジング12の外側の箇所70へと放出する。例えば、箇所70は、さらなる処理を目的として反応生成物を他の機器(図示せず)へと案内する一以上の他の導管(図示せず)としてよい。フランジ82を、反応生成物出口導管62を他の導管へと接続するべく使用してよい。
【0035】
図2A、2D及び3に示されるように、反応生成物出口導管62の第1開口66は、反応チャンバ28の頂部36と面一とされる。図2B、2C及び2Eに示されるように、他の実施形態において、反応生成物出口導管62は、反応チャンバ28の頂部36から反応チャンバ28の内部44の中へと延びるので、反応生成物出口導管62の第1開口66が反応チャンバ28の内部44の中に配置される。この実施形態において、例えば、反応生成物出口導管62が反応チャンバ28の内部44の中へと延びる距離は、反応チャンバ28の内部44の中での第1開口66の位置を変えるべく可変とされる。
【0036】
例えば、図2B及び2Eに示されるように、反応生成物出口導管62が反応チャンバ28の内部44の中へと半分未満だけ延びることにより、反応生成物出口導管62の第1開口66が、反応チャンバ28の内部44の上半分46の中に配置される。例えば、図2Cにより示されるように、反応生成物出口導管62が反応チャンバ28の内部44の中へと半分を超えて延びることにより、反応生成物出口導管62の第1開口66が、反応チャンバ28の内部44の下半分48の中に配置される。同様に、第1開口66は、反応チャンバ28の内部44の中の他の位置にも配置することができる。
【0037】
例えば、以下の例1に示されるように、いくつかの場合、最も良好に作用し得るのは、反応生成物出口導管62の第1開口66が、反応チャンバ28の内部44の上半分46の中に配置されるように、当該反応生成物出口導管が反応チャンバ28の内部44の中へと半分未満だけ延びることである。実際のところ、多くの場合、最も良好に作用し得るのは、反応生成物出口導管62の第1開口66が、反応チャンバ28の頂部36と面一になることである。
【0038】
反応器ハウジング12は、インコネル合金又はインコネル合金クラッド炭素鋼から形成される。反応チャンバ28、反応物質入口導管50及び反応生成物出口導管62は、炭化ケイ素又は他の耐食セラミック材料から形成される。
【0039】
耐食ライナ84、140及び170はそれぞれが、反応チャンバに加えられる反応物、及び当該反応チャンバの中に形成される反応生成物による腐食に耐性のある材料から形成される。例えば、耐食ライナ84、140及び170それぞれは、炭化ケイ素又は他の耐食セラミック材料から形成することができる。
【0040】
絶縁層100、130及び160はそれぞれが、反応チャンバ28における反応により生成される熱を保持するのに役立ち得る材料から形成される。例えば、絶縁層100、130及び160それぞれは、難分解性タイル又は耐火れんがから形成することができる。
【0041】
難分解性ライニング92、120及び150により、粒子のアブレーション及び腐食に起因する金属塩化物生成器10の摩耗及び亀裂が防止される。難分解性ライニング92、120及び150は、他の機能を果たすこともできる。例えば、反応チャンバ28に加えられる金属(例えばアルミニウム)粒子は、表面に金属酸化物層(例えばアルミニウムの場合の酸化アルミニウム層)を有する傾向がある。金属塩化物の反応を一貫して維持するには、金属粒子におけるそのような金属酸化物層を破壊する必要があり得る。
【0042】
例えば、反応チャンバ28、反応物質入口導管50及び反応生成物出口導管62それぞれの内部44、53及び65の方を向く難分解性ライニング92、120及び150の内側面94、122及び152の一以上(例えばすべて)は、金属粒子における金属酸化物層を破壊するのに十分なきめの粗さを有し得る。表面の当該きめの粗さにより、金属粒子における任意の金属酸化物層を破壊するのに必要なスカーリングが与えられるので、反応チャンバ28における砂又は他のスカーリング剤の必要性をなくすことができる。
【0043】
例えば、難分解性ライニング92、120及び150の内側面94、122及び152の一以上(例えばすべて)は、約0.01μmから約1000μmの範囲にある表面粗さを有し得る。例えば、難分解性ライニング92、120及び150の内側面94、122及び152の一以上(例えばすべて)は、約0.96μmから約9.79μmの範囲にある表面粗さを有し得る。ここで及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、一表面の「表面粗さ」とは、Mahr社のPocket Surf(登録商標)PS1表面試験器により測定される、当該表面の法線ベクトル方向における表面内偏差の長さを意味する。偏差が大きければ大きいほど、表面は粗くなる。
【0044】
例えば、難分解性ライニング92、120及び150は、セラミック材料から形成することができる。例えば、難分解性ライニング92、120及び150は、炭化ケイ素(SiC)セラミック材料から形成することができる。例えば、炭化ケイ素材料のようなセラミック材料は、反応チャンバ28、反応物質入口導管50及び反応生成物出口導管62の内側面94、122及び152を摩耗及び亀裂から有効に保護するだけではなく、金属粒子における金属酸化物層を破壊するのに必要なスカーリングを与えるのに十分なきめの粗さも有する。市販されているそのような材料の一例は、ニューヨーク州オールバニのBlasch Precision Ceramics社が販売するAltron(登録商標)アルミナ結合炭化ケイ素である。
【0045】
以下に記載されるように、金属塩化物生成器10は、二酸化チタンを生産する生産ラインに組み込むことができる。生成された金属塩化物は、塩化アルミニウム生成器10から出てくる金属塩化物の高熱を散逸させる補助とするべく、全開流量のハロゲン化チタン蒸気又は他のハロゲン化チタンの、オキシダイザーへの供給ラインの中に混合され得る。例えば、ハロゲン化チタン蒸気は、金属塩化物生成器10を、当該生成器の動作中に通り抜けることができる。
【0046】
円筒反応チャンバ28は、遠心反応器として動作する。塩素ガスストリームが、反応物質入口導管50の第1開口54の中に供給される。例えば、金属粒子(例えばアルミニウムペレット)を、反応器入口導管50における塩素ガスストリームの中に落とし込むために、供給装置(図示せず)を使用することができる。例えば、供給装置は、二重弁配列、放出弁、回転弁、加圧フィーダ、又はスクリューフィーダとしてよい。塩素ガスストリームの速度により、ペレットは反応チャンバ28の中へと搬送される。例えば、反応成分は、反応物質入口導管50の第1開口54を通って反応チャンバ28の内部24の中へと向かうように、当該反応成分が反応チャンバの側壁40の内側面32まわりに旋回して当該反応チャンバ内に渦を形成するのに十分な速度及び圧力で、接線方向に注入される。
【0047】
反応物質入口導管50の第2開口60は、反応チャンバ28の内部24において反応成分の渦を形成するのに役立つ。反応物質入口導管50の第2開口60の形状、構成及び位置により、反応物は、当該反応物が十分な速度及び圧力で反応チャンバの中へと注入されると、(表面32に対して)接線方向に注入されて反応チャンバの中へと向かい、円筒壁に沿って移動する。例えば、図2Aにより示されるように、反応物質入口導管50の第2開口60は、反応チャンバ28の内部44に向かって先細りとなって反応チャンバの円筒側壁40の内側面32に対して接線方向に反応物を注入するように構成されるサイクロン入口である。第2開口は、接線方向の注入を容易にするべく円筒側壁の内側面32と面一とされる。
【0048】
例えば、生成器10の反応チャンバ28に加えられる金属粒子が当該反応チャンバにおける円運動を維持するべく、反応成分を、反応物質入口導管50の第1開口54を通して反応チャンバ28の内部24へと、最小注入速度(「最小入口速度」)で注入することができる。最小注入速度は、反応器の幾何学形状の関数である。例えば、最小入口速度は、約25フィート/秒(7.6メートル/秒)から約100フィート/秒(30メートル/秒)の範囲にある。流動効果により、プロセス中に(例えばハロゲン化チタンが熱吸収のために反応器に導入される場合、ハロゲン化チタンとともに)形成される塩化アルミニウムは、反応チャンバ28の中へと入って行き、反応チャンバ28の内側面32から外へと向かい、遠心作用によりもたらされる反応器内の渦の中に入る。ひとたび渦の中に入ると、塩化アルミニウム蒸気(及び、存在する場合にはハロゲン化チタン蒸気)は反応生成物出口導管62の中へと入って反応チャンバ28及び生成器10から出る。
【0049】
反応チャンバ28内の渦によりもたらされる遠心作用は、金属粒子に遠心力(例えばg力)を及ぼす。これにより、小さな金属粒子が反応チャンバ28の中に保持されるので、反応プロセスが効率的となって小さな反応器の使用が許容される。例えば、反応チャンバ28においてアルミニウムは塩素ガスと反応し、以下の反応に従って塩化アルミニウム蒸気を形成する。
Al(s)+3/2Cl(g)→AlCl(v)
【0050】
例えば、反応チャンバ28の中の温度は、低温極値となる約300℃を上回るように維持することができる。ここで、当該温度は、当該反応を開始させるには十分ではないが、金属の融点の高温極値(例えばアルミニウムの融点となる660℃)未満である。反応チャンバにおける金属と塩素との反応は、極めて発熱性である。例えば、生成器10が、二酸化チタンを製造する塩素プロセスにおいて使用される場合、ハロゲン化チタンガスストリームのすべて又は一部分を、反応チャンバ28の中に供給される塩素ガスストリームに組み合わせることが、当該反応の温度を制御するのに役立つ。ガス状のハロゲン化チタンストリームは熱を吸収するので、反応物質ストリーム全体の温度を制御するのに役立つ。
【0051】
反応生成物出口導管62は、反応チャンバ28の頂部36から反応チャンバ28の内部44の中へと延びることにより、渦ファインダとして機能する。すなわち、反応生成物出口導管62は、反応チャンバ28内に形成される渦の中に第1開口66を配置するべく機能する。反応チャンバ28の内部44における第1開口66の位置を変更するべく、反応生成物出口導管62が反応チャンバ28の内部44の中へと延びる距離を変えることにより、渦ファインダの最適な位置を決定することができる。例1により示されるように、いくつかの場合、プロセスは、渦ファインダが全くない場合に、すなわち反応生成物出口導管62の第1開口66が反応チャンバ28の頂部36と面一の場合に、良好に作用する。
【0052】
難分解性ライニング92、120及び150の固有の表面粗さは、アルミニウム粒子をスカーリングして当該表面から酸化アルミニウムを除去するべく機能する。これにより、反応チャンバ28における砂又は他のスカーリング媒体の必要性、及びそれにより潜在的に引き起こされる関連摩耗問題がなくなる。
【0053】
生成器10における金属塩化物の生成を含むプロセス全体が、連続的な態様で行われる。ハロゲン化チタンとともにオキシダイザー250に加えられる生成器10からの金属塩化物の量は、当該オキシダイザーの中に形成された二酸化チタンの格子構造に金属酸化物を組み込むのに十分とされる。例えば、生成器10からの金属塩化物は、形成される二酸化チタンの重量に基づいて約0.5重量%から約1.5重量%の範囲にある量でオキシダイザー250に加えることができる。
【0054】
例えば、アルミニウム、ホウ素、ジルコニウム、ケイ素及びリンが、金属塩化物生成器10の中の塩素ガスと反応し、塩化アルミニウム(AlCl)、三塩化ホウ素(BCl)、塩化ジルコニウム(ZrCl)、塩化ケイ素(SiCl)及び塩化リン(PCl)それぞれを形成し得る。アルミニウム・ケイ素合金、アルミニウム・リン合金、アルミニウム・ホウ素合金、アルミニウム・ジルコニウム合金、及びこれらの組み合わせを含む上記金属の様々な混合物又は合金はまた、金属塩化物生成器10において塩素と反応して混合金属塩化物前駆体化合物を形成し得る。
【0055】
図5〜8は、金属塩化物生成器10に対して行われた、生成器10において塩化アルミニウムを形成する塩素ガスとアルミニウムペレットとの反応に基づく数値流体力学(CFD)解析の結果を例示する。この解析により示されるのは、例えば、生成器10の頂部入口構成(図5)、生成器10における同様の流れパターン及び反応物質速度(図6)、生成器10における圧力降下(図7)、並びに生成器10における粒子保持(図8)である。解析は、32インチ(81センチメートル)の内部直径、28インチ(71センチメートル)の内部高さ及び31インチ(79センチメートル)の外部高さを有する反応チャンバ28と、12インチ(31センチメートル)の公称内径を有する反応物質入口導管50と、9.2インチ(23センチメートル)の公称内径を有する反応生成物出口導管62とに基づく。反応物質入口導管50に関連付けられる速度は86フィート/秒(26メートル/秒)である。反応チャンバ28における圧力降下は、0.6psig(4.1キロパスカル(ゲージ圧))である。100μmを超える粒子はすべてが反応チャンバ28に保持される。
【0056】
図7により示されるように、例えば、反応チャンバ28内の圧力降下は極めて小さく、1psig(6.9キロパスカル(ゲージ圧))未満である。相対的に、伝統的な流動床反応器は、流量分配器にわたる十分な圧力降下を必要とする。例えば、流動床反応器の床にわたる圧力降下は5psi(3.4キロパスカル)である。
【0057】
図8により示されるように、例えば、生成器10は、流動床生成器に対する終速度サイズ(近似的に600μm)を十分に下回る100μmもの小ささのアルミニウム粒子を保持する。
【0058】
例えば、一実施形態において、塩化アルミニウム生成器は、以下の設計パラメータを有する。すなわち、(a)反応物質入口導管50を通り抜ける接線流体流れ速度が約50フィート/秒(15メートル/秒)から約200フィート/秒(61メートル/秒)であり、(b)反応チャンバ28の内径と反応物質入口導管50の内径との比が2:1から4:1であり、(c)反応チャンバ28の高さと反応物質入口導管50の内径との比が2:1から10:1であり、(d)反応生成物出口導管62の直径と反応物質入口導管50との直径との比が1:1から2:1である。これらの設計パラメータにより、良好な圧力降下及び良好な粒子保持をもたらす十分に進展した遠心流れパターンが達成されるので、相対的に小さな反応器を使用することが許容される。塩化アルミニウム生成器10は、毎時7.5メトリックトンの二酸化チタンを生産する能力があるオキシダイザーに適合する。
【0059】
すなわち、ここに開示される金属塩化物生成器10は、従来型流動床金属塩化物生成器と比較して相対的にコンパクトな設計を有し、その代替物として使用することができる。伝統的な流動床塩化アルミニウム生成器は、近似的に高さ16フィート(4.9メートル)、直径3.3フィート(1.0メートル)である。金属塩化物生成器10は、このサイズを90%以上低減することができる。これにより、塩化アルミニウムの生成に関連する資本経費が低減されるだけでなく、設置面積も低減されるので、生成器10を相対的に容易に既存のプラントに取り付けることができる。ここに開示される金属塩化物生成器及びプロセスは、二酸化チタン顔料の製造に関連する資本支出及び運転支出の減少をもたらし得る。金属塩化物生成器は、二酸化チタンを生産する既存の生産ラインを含む既存の運転設備に取り付けることができる。
【0060】
ここで、図1〜4を参照しつつ図9を参照すると、ここに開示される二酸化チタン製造プロセスの第1実施形態が記載される。この実施形態において、プロセスは、二酸化チタンを製造する塩素プロセスであって、
a.二酸化チタン鉱石、炭素源及び塩素をクロリネーター200の中へと導入することと、
b.クロリネーター200の中で二酸化チタン鉱石、炭素源及び塩素を反応させてハロゲン化チタン(TiCl)を形成するのに十分な条件のもとでクロリネーター200を動作させることと、
c.金属塩化物遠心反応器である金属塩化物生成器220の中へと金属粒子及び塩素を導入することと、
d.金属塩化物生成器220を、遠心力の使用により当該生成器における金属粒子及び塩素が互いに接触するようになって反応し金属塩化物を形成するのに十分な条件のもとで動作させることと、
e.クロリネーター200に形成されたハロゲン化チタン、金属塩化物生成器220に形成された金属塩化物、及び酸素をオキシダイザー250の中へと導入することと、
f.オキシダイザー250においてハロゲン化チタン及び金属塩化物が酸化するのに十分な条件のもとでオキシダイザー250を動作させ、金属酸化物が結晶格子構造に組み込まれた二酸化チタン粒子とガス状の反応生成物とを形成することと、
g.オキシダイザー250において形成された二酸化チタン粒子を回収することと
を含む。
【0061】
例えば、クロリネーター200の中へと導入される二酸化チタン鉱石は、ルチル、合成ルチル、高品位イルメナイト又はチタンスラグとしてよい。例えば、クロリネーター200の中へと導入される二酸化チタン鉱石は、合成ルチルとチタンスラグとの50:50ブレンドとしてよい。
【0062】
二酸化チタンを製造する塩素プロセスにおいて四塩化チタンを形成するべく二酸化チタン鉱石、炭素源、及びガス状の塩素(Cl)の反応を促進するのに有用なクロリネーターは、本開示の利益を受ける当業者に知られている。二酸化チタン鉱石及び炭素源は、当業者に知られているように一以上の源(図示せず)からクロリネーターへと案内及び導入することができる。図9により示されるように、クロリネーターへと案内及び導入される塩素は、その後の反応ステップからリサイクルされる塩素ガスとすることができる。代替的に、塩素ガスは他の源に由来してよい。ここで及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、炭素源とは、四塩化チタンを形成するべく二酸化チタン及び塩素と反応するのに必要な炭素を与えることができる一以上の化合物を意味する。例えば、炭素源はコークスとすることができる。
【0063】
本開示の利益を受ける当業者により理解されることだが、クロリネーターは流動床反応器として動作する。クロリネーター200は、二酸化チタン鉱石、炭素源及び塩素がクロリネーターの中で反応して四塩化チタンを形成するのに十分な条件のもとで動作する。例えば、クロリネーター200は、約900℃から約1000℃の範囲にある温度で動作する。クロリネーター200の中で生じる主要な化学反応は、反応(1)により例示される。
TiO+C+2Cl→TiCl+CO+CO (1)
【0064】
クロリネーター200において形成されたガス状の四塩化チタン及び他のガス状の反応生成物は、凝縮器270の中へと案内及び導入される。(例えばガス状のハロゲン化チタンを冷却することにより)ガス状の四塩化チタンを凝縮して液体四塩化チタンにするのに有用な凝縮器は、本開示の利益を受ける当業者に知られている。本開示の利益を受ける当業者により理解されることだが、凝縮器270は、ガス状の四塩化チタンを凝縮して液体四塩化チタンにするのに十分な条件のもとで動作する。
【0065】
凝縮器270の中の廃ガスは、廃ガススクラバー274へと案内及び導入される。当該廃ガスは、廃ガススクラバー274の中でスクラブされ、さらなる処理又は廃棄のための他の箇所へと放出かつ案内される。スクラビングプロセスにより形成された塩酸(HCl)は、廃ガススクラバー274から放出され、貯蔵又はさらなる処理のための他の箇所へと案内される。
【0066】
凝縮器270において形成された液体四塩化チタンは、凝縮器270から案内され、四塩化チタンを精製するべく使用可能な精製プロセス機器280の中へと導入される。例えば、液体四塩化チタンは、四塩化チタンを油で処理し、四塩化チタンを蒸留し、及び/又は四塩化チタンをろ過することにより、精製することができる。プロセス機器280は、これらのステップの一以上を行うべく必要な機器を含む。
【0067】
精製された液体ハロゲン化チタンはその後、精製プロセス機器280から案内され、貯蔵容器286の中へと導入される。貯蔵容器286の目的は、精製された四塩化チタンの供給を確実に、その後のプロセスステップのために連続的に利用可能にすることにある。
【0068】
液体四塩化チタンはその後、貯蔵容器286から案内され、気化器290の中へと導入される。液体四塩化チタンを蒸発させてガス状の四塩化チタンを形成するのに有用な気化器は、本開示の利益を受ける当業者に知られている。本開示の利益を受ける当業者により理解されることだが、気化器290は、液体四塩化チタンを蒸発させてガス状の四塩化チタンを形成するのに十分な条件のもとで動作する。気化器290の中にあるガス状四塩化チタンは、気化器290から放出され、金属塩化物生成器220へと案内される。
【0069】
例えば、金属塩化物遠心反応器220は、上述されて図1〜8に示される金属塩化物生成器10としてよい。ここに開示されるプロセスの本記載の残りは、金属塩化物遠心反応器220が上述されて図1〜8に示される金属塩化物生成器10であるプロセスに関する。
【0070】
金属粒子及び塩素は、その源(図示せず)から金属塩化物生成器10へと案内及び導入される。例えば、図9により示されるように、気化器112において形成された四塩化チタン蒸気のすべて又は一部分もまた、金属塩化物生成器10における反応熱の散逸を補助するべく、金属塩化物生成器10に案内することができる。
【0071】
四塩化チタン蒸気、金属粒子及び塩素は、当該金属粒子及び塩素を金属塩化物生成器10の反応物質入口導管50に、反応物質入口導管50の第1開口54を介して供給することと、当該金属粒子及び塩素を生成器10の反応チャンバ28の内部44に反応物質入口導管50の第2開口60を介して放出することとにより、金属塩化物生成器10の中へと導入される。金属塩化物生成器10に加えられる金属粒子のタイプは、金属塩化物生成器10により生産される金属塩化物のタイプに依存する。例えば、金属塩化物生成器の中へと導入される金属粒子は、アルミニウム、ホウ素、ジルコニウム、ケイ素及びリンの群から選択される金属から形成することができる。アルミニウム・ケイ素合金、アルミニウム・リン合金、アルミニウム・ホウ素合金、アルミニウム・ジルコニウム合金、及びこれらの組み合わせを含む上記金属の混合物又は合金から形成される粒子(例えばペレット)もまた、混合金属塩化物前駆体化合物を形成するべく金属塩化物生成器の中の塩素と反応し得る。
【0072】
金属粒子のサイズは可変である。例えば、金属粒子の近似的直径は、1/4インチ(6.35ミリメートル)又は3/8インチ(9.53ミリメートル)としてよい。例えば、金属塩化物生成器10の中へと導入される金属粒子は、塩化アルミニウム(AlCl)が生成器10の中で生成されるようにアルミニウムから形成することができる。塩化アルミニウムは、ルチル化を促進して二酸化チタン顔料の耐久性を高める能力で知られている。直径が1/4インチ(6.35ミリメートル)又は3/8インチ(9.53ミリメートル)のアルミニウムペレットが市販されている。サイズが1〜4mmのチョップされたアルミニウムペレット及びアルミニウム粒も市販されている。
【0073】
金属塩化物生成器10において塩化アルミニウムのような金属塩化物を形成する塩素とアルミニウム粒子のような金属粒子との反応は、極めて発熱性である。気化器290又は他のプロセス機器からの四塩化チタン蒸気が生成器10を通り抜けるようにすることにより、金属塩化物を生成するための発生熱の一部を吸収することができる。例えば、アルミニウムと塩素との反応は、かなりの発熱性なので、典型的な添加レベルにおいて、反応温度をアルミニウムの融点により決まるように制御したままとする当該プロセスのヒートシンクとして機能するべく、四塩化チタン蒸気ストリームの実質的にすべてが金属塩化物生成器10を通り抜ける。
【0074】
金属塩化物生成器10は、当該生成器において金属粒子と塩素とが互いに接触するようになって反応し金属塩化物及び塩素を形成するのに十分な条件のもとで動作する。遠心力により、固体金属粒子と塩素ガスとの反応が許容される一方、未反応の金属粒子がブローオーバーとして反応器から出ることが防止される。例えば、金属塩化物生成器において形成された金属塩化物は、塩化アルミニウム(AlCl)、三塩化ホウ素(BCl)、塩化ジルコニウム(ZrCl)、塩化ケイ素(SiCl)及び塩化リン(PCl)の群から選択することができる。例えば、金属塩化物生成器において形成された金属塩化物は、塩化アルミニウムとなり得る。
【0075】
生成器10において形成された金属塩化物と当該生成器における四塩化チタン蒸気とを含む混合蒸気ストリームが、当該生成器の反応生成物出口導管62を、その第1開口66を介して通るように流れ、反応生成物出口導管62から、その第2開口68を介して反応器ハウジング12の外側にある箇所70へと放出される。図9Aにより示されるように、例えば、金属塩化物及び四塩化チタンを含む混合蒸気ストリームは、生成器10から放出されてオキシダイザー250へと案内及び導入される。
【0076】
二酸化チタンを製造するプロセスにおいてハロゲン化チタンの酸化を容易にして二酸化チタンを形成するのに有用なオキシダイザーは、本開示の利益を受ける当業者に知られている。金属塩化物生成器10からオキシダイザー250の中へと導入される金属塩化物及び四塩化チタンを含む混合蒸気ストリームに加え、酸化ガス、及び随意的に補助燃料もまた、オキシダイザー250へと案内及び導入される。例えば、補助燃料はプロパンとしてよい。補助燃料は、酸化反応を維持するのに役立つ熱を与えるべく、オキシダイザーに加えられる。
【0077】
金属塩化物生成器10からの金属塩化物を、二酸化チタンのルチル化を促進するのに十分な所定量だけオキシダイザー250へと案内及び導入することができる。二酸化チタンのルチル化を促進するのに必要な金属酸化物(例えばアルミナ)の量は、本開示の利益を受ける当業者に知られている多くの因子に応じて変わる。例えば、一般に、二酸化チタンのルチル化を促進するのに要する金属酸化物の量は、生産される二酸化チタン粒子の重量に基づいて約0.3重量%から約1.5重量%の範囲にある。例えば、オキシダイザー250に導入されるアルミナの典型的な量は、生産される二酸化チタンの重量に基づいて1.0重量%である。
【0078】
オキシダイザー250へと案内及び導入される酸化ガスは、酸素分子(O)としてよい。代替的に、酸化ガスは、空気と混合された酸素(酸素豊富空気)のような酸素含有ガスとしてもよい。用いられる特定の酸化ガスは、酸化反応器内の反応領域のサイズ、ハロゲン化チタンと酸素含有ガス反応物が予熱される度合い、反応領域の表面が冷却される程度、及び反応領域における反応物のスループットを含む一定数の因子に依存する。用いられる四塩化チタン及び酸化ガス反応物の正確な量は、広く変わり得るので特に重要というわけではないが、酸化ガス反応物質が、四塩化チタンとの化学量論的反応を与えるべく少なくとも十分といえる量だけ存在することが大切である。一般に、用いられる酸化ガス反応物質の量は、ハロゲン化チタン反応物質との化学量論的反応に要する量を上回る量となり、例えば、化学量論的反応に要する量を約5%から約25%上回る。
【0079】
オキシダイザーの中へと導入されるのが有利となり得る他の成分の一例は、スカーリング剤である。スカーリング剤は、反応器の壁を清浄し、汚染を防止するべく機能する。使用可能なスカーリング剤の例は、砂、ペレット状にされ、乾燥され及び焼結された二酸化チタンと水との混合物、圧縮された二酸化チタン、岩塩、溶融アルミナ、二酸化チタンと塩との混合物等を含み得るが、これらに限られない。酸素分子又は他の酸化ガス、補助燃料(使用される場合)、及びスカーリング剤(使用される場合)は、これらの源(図示せず)からオキシダイザー250へと案内される。
【0080】
本開示の利益を受ける当業者に知られていることだが、オキシダイザー250は、四塩化チタン及び金属塩化物を気相で酸化し金属酸化物が結晶格子構造に組み込まれた二酸化チタン粒子と、ガス状の反応生成物とを形成するのに十分な条件のもとで動作される。例えば、当該反応は、少なくとも700℃の温度で行われる。例えば、当該反応は、約2000℃から約2800℃の範囲にある温度で行うことができる。所望の粒子サイズを有する二酸化チタン粒子を生成することができる。例えば、粒子状の固体二酸化チタンとガス状の反応生成物とを形成する四塩化チタンの酸化は、以下の反応(2)により例示される。
TiCl+O→TiO+2Cl (2)
金属塩化物もまた、オキシダイザー250において酸化されて金属酸化物を形成する。この金属酸化物は、二酸化チタンの格子構造に組み込まれる。例えば、塩化アルミニウムは、オキシダイザーにおいて酸化されて酸化アルミニウム又はアルミナ(Al)を形成する。二酸化チタンの格子構造に組み込まれる金属酸化物は典型的に、二酸化チタンの重量に基づいて約0.5重量%から約1.5重量%の範囲にある。ステップは、二酸化チタン粒子の粒子サイズを制御するように行われる。
【0081】
オキシダイザー250の中へと導入されるのに先立ち、四塩化チタン及び酸素分子又は他の酸化ガスの反応物質ストリームは典型的に、例えば、シェル又は管タイプの予熱器又は過熱器(図示せず)において予熱される。例えば、四塩化チタンの反応物質ストリームは、約650°F(343℃)から約1800°F(982℃)の範囲にある温度(例えば約675°F(357℃)から約750°F(399℃)の範囲にある温度)まで予熱してよい。酸素分子又は他の酸化ガスのストリームは、約750°F(399℃)から約3400°F(1871℃)の範囲にある温度(例えば約1740°F(949℃)から約1930°F(1055℃)の範囲にある温度)まで予熱してよい。四塩化チタン蒸気ストリームが最初に金属塩化物生成器10を通り抜ける場合、予熱は必要ないかもしれない。
【0082】
予熱された四塩化チタン及び酸化ガスのストリームは、高流量でオキシダイザー250へと充填及び導入される。酸化反応が行われる圧力は、例えば約3psig(21キロパスカル(ゲージ圧))から約50psig(345キロパスカル(ゲージ圧))のように、広く変わり得る。例えば、1気圧(絶対)の圧力において、酸化反応温度は典型的に、約2300°F(1260℃)から約2500°F(1371℃)の範囲にある。
【0083】
オキシダイザー250から放出されるとき、二酸化チタン粒子とガス状の反応生成物とは、熱交換器292(例えば管状の熱交換器)へと案内及び導入され、(冷却水のような)冷却媒体との熱交換により約1300°F(704℃)の温度まで冷却される。熱交換器の内側面から二酸化チタン及び他の材料の堆積物を除去するべく、スカーリング剤もまた熱交換器の中へと注入される。オキシダイザー250において使用されたものと同じタイプのスカーリング剤を、熱交換器292においても使用することができる。
【0084】
熱交換器292を通り抜けた後、冷却された二酸化チタン粒子とガス状の反応生成物とは、ガス固体分離器296へと案内される。分離器296において、粒子状の固体二酸化チタンが、ガス状の反応生成物とスカーリング剤(使用される場合)とから分離される。分離されたガス状の反応生成物は、当該プロセスにおける使用を目的としてリサイクルすることができる。例えば、図9により示されるように、塩素ガスは、分離器296からクロリネーター200へとリサイクルされる。プロセスにおいて使用される塩素の大半は回収することができる。
【0085】
分離器296において分離された粒子状の二酸化チタンはその後、顔料仕上げプロセス機器298へと案内及び導入される。例えば、二酸化チタン粒子は、様々な表面処理、ミリング及び乾燥を受け得る。例えば、予定の最終使用アプリケーションに応じて、仕上げプロセスは典型的に、光顔料の光散乱効率及び耐久性を高めるとともに他の所望の特性及び特徴を与えるべく、二酸化チタン粒子にアルミナ及びシリカのような一以上の金属酸化物をコーティングすることを伴う。プロセス機器298は、これらのステップの一以上を行うのに必要な機器を含む。
【0086】
図9により示される様々なプロセスステップは変えることができる。例えば、生成器10において形成される金属塩化物は、プロセス機器280からの精製されたハロゲン化チタンと混合することができる。金属塩化物と精製されたハロゲン化チタンとの混合物はその後、気化器290において気化され、予熱され、及び酸化反応器250へと案内される。この混合物は、気化される前又は後のいずれかで予熱することができる。この実施形態において、金属塩化物生成器10は当該プロセスの上流側に配置される。
【0087】
図10により示されるように、第2実施形態において、ここに開示される二酸化チタンを製造するプロセスは、
a.金属塩化物遠心反応器である金属塩化物生成器220の中へと金属粒子及び塩素を導入することと、
b.当該金属塩化物生成器を、遠心力を使用して当該生成器の中の金属粒子及び塩素が互いに接触するようになって金属塩化物を形成するのに十分な条件のもとで動作させることと、
c.ハロゲン化チタン、金属塩化物生成器220において形成された金属塩化物、及び酸素をオキシダイザー250の中へと導入することと、
d.オキシダイザー250においてハロゲン化チタン及び金属塩化物が酸化するのに十分な条件のもとでオキシダイザー250を動作させ、金属酸化物が結晶格子構造に組み込まれた二酸化チタン粒子とガス状の反応生成物とを形成することと、
e.オキシダイザー250の中に形成された二酸化チタン粒子を回収することと
を含む。
【0088】
この実施形態において、上記ステップa〜eは、プロセスの第1実施形態に関連して上述されたステップc〜gと同じ態様で行われる。ただし、四塩化チタンに加えて他のハロゲン化チタンも金属塩化物とともに酸化されて二酸化チタン粒子を形成し得るがそれ以外は当該プロセスにおいて使用される点を除く。また、ハロゲン化チタン蒸気は任意の源に由来してよい。これらの例外に従い、ステップc〜gと、ステップc〜gに関して上述された当該プロセスの関連の、随意の及び他のステップとに関連する図9の記載を含む上記ステップc〜gの記載、すなわち第1実施形態は、ここに開示される当該プロセスの第2実施形態の本説明に組み込まれる。
【0089】
例えば、金属塩化物遠心反応器220は、上述され及び図1〜8により示された金属塩化物生成器10としてよい。分離器296において二酸化チタン粒子から分離されたハロゲンガス(塩素ガスとしてよい)は、ハロゲン化チタン蒸気を形成するプロセスでの使用を目的としてリサイクルすることができる。
【0090】
(直接的に又は金属塩化物生成器10からのいずれかにより)オキシダイザー250に加えられるハロゲン化チタン蒸気は、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン及び四フッ化チタンを含む周知のチタンハロゲン化物のいずれかとしてよい。好ましくは、ハロゲン化チタン反応物質は四塩化チタンである。
【0091】
例えば、プロセスは、連続して行われる。
【0092】
なお、本開示のプロセスのここでの記載(ここに開示されるプロセスの第1実施形態及び第2実施形態の双方)は、二酸化チタン製造プロセスにおける現場での金属塩化物生成器10の使用を例示する。しかしながら、ここでの記載はまた、他のタイプのプロセスにおいて塩化アルミニウムを生成するための金属塩化物生成器10の使用も例示する。金属塩化物生成器10は、塩化アルミニウム、三塩化ホウ素、塩化ジルコニウム、塩化ケイ素、塩化リン、及びかかる化合物の混合物を含む様々な金属塩化物を形成するべく使用することができる。反応熱は反応物により変わり得るが、これらの化合物すべてを生成する基本プロセスは同じである。
【実施例】
【0093】
以下の例は、本開示に整合する特定の実施形態を例示するが、本開示の範囲又は添付の特許請求の範囲を制限するわけではない。濃度及びパーセンテージは、特に示されない限り、重量による。
【実施例1】
【0094】
上述された金属塩化物生成器10のフルスケールモデルの低温流動試験が、二酸化チタンを製造する連続塩素プロセスでの使用を目的とする塩化アルミニウムを生成する能力について試験された。例えば、試験は、図1、2A、2B、2C及び3により示されるように反応物質入口導管50の第2開口60が反応チャンバ28の内部44の上半分46へと開口する一実施形態に対して行われた。試験はまた、図2D及び2Eにより示されるように反応物質入口導管50の第2開口60が反応チャンバ28の内部44の下半分48へと開口するモデルの一実施形態についても行われた。
【0095】
また、当該試験を行うにあたり、反応生成物出口導管62が反応チャンバ28の内部44へと延びる距離が、反応チャンバ28の内部44の中における第1開口66の位置を変更するべく変えられた。例えば、いくつかの試験では、反応生成物出口導管62の第1開口66は、図2A、2D及び3に示されるように反応チャンバ28の頂部36と面一にされた(換言すれば、反応生成物出口導管62は反応チャンバ28の内部44の中へと延びていなかった)。他の試験において、反応生成物出口導管62が、反応チャンバ28の内部44の中へと半分未満だけ延びることにより、反応生成物出口導管62の第1開口66が、図2B及び2Eにより示されるように反応チャンバ28の内部44の上半分46の中に配置された。さらなる他の試験において、反応生成物出口導管62が、反応チャンバ28の内部44の中へと半分を超えて延びることにより、反応生成物出口導管62の第1開口66が、図2Cにより示されるように反応チャンバ28の内部44の下半分48の中に配置された。
【0096】
試験は全体的に成功であった。金属塩化物生成器10のフルスケールモデルの低温流動試験により、生成器は成功裏に、二酸化チタンを製造する連続塩素プロセスでの使用を目的として塩化アルミニウムを生成できることが確認された。試験に基づくと、いくつかの側面において、反応物質入口導管50の第2開口60が反応チャンバ28の内部44の上半分46の中へと開口することが良好であると結論付けられた。例えば、第2開口60から反応チャンバ28へのガス流は、円運動をするペレット又は他の粒子をせき止める効果をもたらす傾向があった。このような効果の影響は、第2開口60を反応チャンバ28の内部44の上半分46の中へと開口するように配置することにより低減された。またも結論付けられたのは、いくつかの場合、反応生成物出口導管が反応チャンバ28の内部44の中へと半分未満だけ延びることにより、反応生成物出口導管62の第1開口66が反応チャンバ28の内部44の上半分46の中に配置されることが最も良好に作用し得るということである。反応生成物出口導管62の反応チャンバ28の中への延びが深すぎると、当該反応チャンバの中で円運動をする金属ペレット又は他の粒子が、出口導管62を通って出る流れに捕捉される傾向があった。実際のところ、多くの場合、反応生成物出口導管62の第1開口66が反応チャンバ28の頂部36と面一となること、すなわち反応生成物出口導管62が反応チャンバ28の内部44の中へと延びないこと、が最も良好に作用し得る。換言すれば、多くの場合、渦ファインダをまったく有しないことが最も良好となり得る。
【0097】
したがって、本開示は、述べてきた目的及び利点、並びに固有の目的及び利点を達成するために良好に適合する。上に開示された特定の実施形態は単なる例示であり、本開示は、ここでの教示の利益を有する当業者にとって明らかといえる、異なるが均等の態様で修正及び実施をすることができる。さらに、以下の特許請求の範囲に記載されるもの以外、ここに示された構造又は設計の詳細の制限は意図されていない。したがって、上に開示された特定の説明例が改変又は修正され得ることは明白であり、そのようなバリエーションはすべてが本開示の範囲及び要旨内にあるものとみなされる。装置及び方法が、様々な構成要素又はステップを「含む」、「含有する」、「有する」又は「包含する」点について記載され得るが、こうした装置及び方法はまた、いくつかの例では、様々な構成要素及びステップ「から実質的に構成される」又は「からなる」ことにもなり得る。下限及び上限を有する数値範囲が開示されるときはいつでも、当該範囲内に収まる任意の数及び任意の包含範囲が具体的に開示される。特に、ここに開示される(「約aから約b」、又は同等に「近似的にaからb」、又は同等に「近似的にa〜b」との形式の)すべての数値範囲は、当該広い値の範囲に包含されるすべての数及び範囲を記載するものと理解すべきである。また、特許請求の範囲における用語は、明細書に明示的かつはっきりと定義されていない限り、その明白かつ通常の意味を有する。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10