(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6735369
(24)【登録日】2020年7月15日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】二環式複素環化合物および治療におけるそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20200728BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20200728BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20200728BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20200728BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20200728BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20200728BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20200728BHJP
【FI】
C07D471/04 104Z
C07D471/04CSP
A61P43/00 121
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/02
A61K31/5377
A61K45/00
【請求項の数】35
【全頁数】156
(21)【出願番号】特願2019-5876(P2019-5876)
(22)【出願日】2019年1月17日
(62)【分割の表示】特願2016-541373(P2016-541373)の分割
【原出願日】2014年12月19日
(65)【公開番号】特開2019-70030(P2019-70030A)
(43)【公開日】2019年5月9日
【審査請求日】2019年2月13日
(31)【優先権主張番号】1322755.8
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1406986.8
(32)【優先日】2014年4月17日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】504162110
【氏名又は名称】アステックス、セラピューティックス、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ASTEX THERAPEUTICS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100104617
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 伸美
(72)【発明者】
【氏名】ジャンニ、チェサーリ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー、ノルベルト、ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン、ハワード
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ、エドワード、ハーベイ、デイ
(72)【発明者】
【氏名】イルディコ、マリア、バック
(72)【発明者】
【氏名】シャーロット、メアリー、グリフィス−ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン、サクスティ
(72)【発明者】
【氏名】エミリアノ、タマニーニ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ、エリザベス、ウィルシャー
【審査官】
伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】
特許第6470756(JP,B2)
【文献】
国際公開第2012/143726(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中、
Xは、CR
4、NまたはNR
3であり;
ここで、
・XがCR
4である場合、Uは窒素を表し、かつ、R
6はオキソを表し;または
・XがNである場合、Uは炭素を表し、かつ、R
6はヒドロキシメチルもしくは−CH(OR
x)CH
2OR
zを表し;または
・XがNR
3である場合、Uは炭素を表し、かつ、R
6はオキソを表し;
破線(-------)は、一重または二重結合を表し、ここで、前記破線のうちの少なくとも2本は二重結合を表し;
R
1およびR
2は、独立に水素またはメチルを表し;
R
3は、水素、メチルまたは−NH
2を表し;
R
4は、水素、メチル、ヒドロキシメチル、−NH
2またはフッ素を表し;
R
5は、非置換n−ブチルまたはフェニル基上で1個もしくは2個のフッ素により置換されたベンジルを表し;かつ
R
xおよびR
zは、独立に水素またはメチルを表
し、ただし、式(I)の化合物は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルフォリン−4−イル]メチル}ピペリジン−1−イル]エタン−1−オン以外の化合物である。]
の化合物またはその互変異性もしくは
立体化学異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
R1およびR2の一方が水素を表し、他方がメチルを表すか、またはR1およびR2の両方が水素を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1およびR2の両方が水素を表す、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R4が水素またはメチルを表す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R5が非置換n−ブチルまたはフェニル基の2、3および/もしくは4位上で1もしくは2個のフッ素により置換されたベンジルを表す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R5が非置換n−ブチルを表す、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
R5が、フェニル基の2、3または4位上で1個のフッ素により置換されたベンジルを表す、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
R5が、2−フルオロベンジル、3−フルオロベンジルまたは4−フルオロベンジルを表す、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
R5が、フェニル基の4位上で1個のフッ素により置換されたベンジルを表す、請求項5に記載の化合物。
【請求項10】
R5が、フェニル基の2,3位、3,4位または2,4位上で2個のフッ素により置換されたベンジルを表す、請求項5に記載の化合物。
【請求項11】
R5が、2,3−ジフルオロベンジル、3,4−ジフルオロベンジルまたは2,4−ジフルオロベンジルを表す、請求項5に記載の化合物。
【請求項12】
R5が、フェニル基の2,4位上で2個のフッ素により置換されたベンジルを表す、請求項5に記載の化合物。
【請求項13】
R5が、2,4−ジフルオロベンジルを表す、請求項5に記載の化合物。
【請求項14】
R5が4−フルオロベンジルまたは2,4−ジフルオロベンジルを表す、請求項5に記載の化合物。
【請求項15】
R5が4−フルオロベンジルを表す、請求項9に記載の化合物。
【請求項16】
RxおよびRzの一方が水素を表し、他方がメチルを表すか、またはRxおよびRzの両方が水素を表す、請求項1〜15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
Rxが水素またはメチルを表し、かつ、Rzが水素を表す、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
式(Ia):
【化2】
[式中、R
1、R
2、R
4およびR
5は請求項1〜
15のいずれか一項に記載の通りである]
の化合物である、請求項1に記載の化合物、またはその互変異性もしくは
立体化学異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項19】
式(Ib):
【化3】
[式中、
R
6はヒドロキシメチルまたは−CH(OR
x)CH
2OR
zを表し、R
1、R
2、R
5、R
xおよびR
zは請求項1〜3および5〜
17のいずれか一項に記載の通りである]の化合物である、請求項1に記載の化合物、またはその互変異性もしくは
立体化学異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項20】
式(Ic):
【化4】
[式中、R
1、R
2、R
3およびR
5は請求項1〜3および5〜
15のいずれか一項に記載の通りである]の化合物である、請求項1に記載の化合物、またはその互変異性もしくは
立体化学異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項21】
式(Id):
【化5】
[式中、R
5は請求項1および5〜
15のいずれか一項に記載の通りである]の化合物である、請求項1に記載の化合物、またはその互変異性もしくは
立体化学異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項22】
2-[(2R,5R)-2-{[(3R,5R)-3,5-ジメチルモルホリン-4-イル]メチル}-5-メチルピペラジン-1-イル]-1-{6-[(4-フルオロフェニル)メチル]-5-(ヒドロキシメチル)-3,3-ジメチル-1H,2H,3H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-1-イル}エタン-1-オン;
1-{2-[(2R,5R)-2-{[(3R,5R)-3,5-ジメチルモルホリン-4-イル]メチル}-5-メチルピペラジン-1-イル]アセチル}-6-[(4-フルオロフェニル)メチル]-3,3-ジメチル-1H,2H,3H,4H,5H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-5-オン;
1-{6-[(2-フルオロフェニル)メチル]-5-(ヒドロキシメチル)-3,3-ジメチル-1H,2H,3H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-1-イル}-2-[(2R,5R)-5-メチル-2-{[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-イル]エタン-1-オン;
6-[(4-フルオロフェニル)メチル]-3,3-ジメチル-1-{2-[(2R,5R)-5-メチル-2-{[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-イル]アセチル}-1H,2H,3H,4H,5H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-5-オン;
6-[(4-フルオロフェニル)メチル]-3,3,4-トリメチル-1-{2-[(2R,5R)-5-メチル-2-{[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-イル]アセチル}-1H,2H,3H,4H,5H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-5-オン;
6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-1-{2-[(2R,5R)-2-{[(3R,5R)-3,5-ジメチルモルホリン-4-イル]メチル}-5-メチルピペラジン-1-イル]アセチル}-3,3-ジメチル-1H,2H,3H,4H,5H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-5-オン;
6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-3,3-ジメチル-1-{2-[(2R,5R)-5-メチル-2-{[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-イル]アセチル}-1H,2H,3H,4H,5H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-5-オン;
6-[(2-フルオロフェニル)メチル]-3,3,4-トリメチル-1-{2-[(2R,5R)-5-メチル-2-{[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-イル]アセチル}-1H,2H,3H,4H,5H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-5-オン;
1-{2-[(2R,5R)-2-{[(3R,5R)-3,5-ジメチルモルホリン-4-イル]メチル}-5-メチルピペラジン-1-イル]アセチル}-6-[(4-フルオロフェニル)メチル]-3,3,4-トリメチル-1H,2H,3H,4H,5H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-5-オン;
1-{6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-5-(ヒドロキシメチル)-3,3-ジメチル-1H,2H,3H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-1-イル}-2-[(2R,5R)-5-メチル-2-{[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-イル]エタン-1-オン;
6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-1-{2-[(2R,5R)-2-{[(3R,5R)-3,5-ジメチルモルホリン-4-イル]メチル}-5-メチルピペラジン-1-イル]アセチル}-3,3,4-トリメチル-1H,2H,3H,4H,5H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-5-オン;
1-[5-((RまたはS)-1,2-ジヒドロキシエチル)-6-[(4-フルオロフェニル)メチル]-3,3-ジメチル-1H,2H,3H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-1-イル]-2-[(2R,5R)-5-メチル-2-{[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-イル]エタン-1-オン;
1-[5-((RまたはS)-1,2-ジヒドロキシエチル)-6-[(4-フルオロフェニル)メチル]-3,3-ジメチル-1H,2H,3H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-1-イル]-2-[(2R,5R)-5-メチル-2-{[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-イル]エタン-1-オン;
1-{6-[(3-フルオロフェニル)メチル]-5-(ヒドロキシメチル)-3,3-ジメチル-1H,2H,3H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-1-イル}-2-[(2R,5R)-5-メチル-2-{[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-イル]エタン-1-オン;
1-{2-[(2R,5R)-2-{[(3R,5R)-3,5-ジメチルモルホリン-4-イル]メチル}-5-メチルピペラジン-1-イル]アセチル}-6-[(4-フルオロフェニル)メチル]-3,3-ジメチル-1H,2H,3H,5H,6H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-オン;
6-[(4-フルオロフェニル)メチル]-3,3-ジメチル-1-{2-[(2R,5R)-5-メチル-2-{[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-イル]アセチル}-1H,2H,3H,5H,6H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-オン;
1-{2-[(2R,5R)-2-{[(2S,5R)-2,5-ジメチルモルホリン-4-イル]メチル}-5-メチルピペラジン-1-イル]アセチル}-6-[(4-フルオロフェニル)メチル]-3,3,4-トリメチル-1H,2H,3H,4H,5H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-5-オン;
6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-3,3,4-トリメチル-1-{2-[(2R,5R)-5-メチル-2-{[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-イル]アセチル}-1H,2H,3H,4H,5H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-5-オン;
6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-1-{2-[(2R,5R)-2-{[(3R,5R)-3,5-ジメチルモルホリン-4-イル]メチル}-5-メチルピペラジン-1-イル]アセチル}-3,3-ジメチル-1H,2H,3H,5H,6H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-オン;
1-[5-((RまたはS)-1,2-ジヒドロキシエチル)-6-[(4-フルオロフェニル)メチル]-3,3-ジメチル-1H,2H,3H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-1-イル]-2-[(2R,5R)-2-{[(3R,5R)-3,5-ジメチルモルホリン-4-イル]メチル}-5-メチルピペラジン-1-イル]エタン-1-オン;
6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-1-{2-[(2R,5R)-2-{[(2S,5R)-2,5-ジメチルモルホリン-4-イル]メチル}-5-メチルピペラジン-1-イル]アセチル}-3,3-ジメチル-1H,2H,3H,5H,6H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-オン;
4-アミノ-6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-3,3-ジメチル-1-{2-[(2R,5R)-5-メチル-2-{[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-イル]アセチル}-1H,2H,3H,4H,5H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-5-オン;
4-アミノ-6-[(4-フルオロフェニル)メチル]-3,3-ジメチル-1-{2-[(2R,5R)-5-メチル-2-{[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-イル]アセチル}-1H,2H,3H,4H,5H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-5-オン;
6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-1-{2-[(2R,5R)-2-{[(2S,5R)-2,5-ジメチルモルホリン-4-イル]メチル}-5-メチルピペラジン-1-イル]アセチル}-3,3,4-トリメチル-1H,2H,3H,4H,5H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-5-オン;
1-{6-[(4-フルオロフェニル)メチル]-5-((RまたはS)-1-ヒドロキシ-2-メトキシエチル)-3,3-ジメチル-1H,2H,3H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-1-イル}-2-[(2R,5R)-5-メチル-2-{[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-イル]エタン-1-オン;
1-{6-[(4-フルオロフェニル)メチル]-5-((RまたはS)-2-ヒドロキシ-1-メトキシエチル)-3,3-ジメチル-1H,2H,3H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-1-イル}-2-[(2R,5R)-5-メチル-2-{[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-イル]エタン-1-オン;
1-{6-[(4-フルオロフェニル)メチル]-5-((RまたはS)-1-ヒドロキシ-2-メトキシエチル)-3,3-ジメチル-1H,2H,3H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-1-イル}-2-[(2R,5R)-5-メチル-2-{[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-イル]エタン-1-オン;
1-{6-[(4-フルオロフェニル)メチル]-5-((RまたはS)-2-ヒドロキシ-1-メトキシエチル)-3,3-ジメチル-1H,2H,3H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-1-イル}-2-[(2R,5R)-5-メチル-2-{[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-イル]エタン-1-オン;
4-アミノ-6-ブチル-1-{2-[(2R,5R)-2-{[(3R,5R)-3,5-ジメチルモルホリン-4-イル]メチル}-5-メチルピペラジン-1-イル]アセチル}-3,3-ジメチル-1H,2H,3H,4H,5H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-5-オン;
6-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-3,3,4-トリメチル-1-{2-[(2R,5R)-5-メチル-2-{[(3R)-3-メチルモルホリン-4-イル]メチル}ピペラジン-1-イル]アセチル}-1H,2H,3H,5H,6H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-オン;
6-ブチル-1-{2-[(2R,5R)-2-{[(3R,5R)-3,5-ジメチルモルホリン-4-イル]メチル}-5-メチルピペラジン-1-イル]アセチル}-3,3-ジメチル-1H,2H,3H,4H,5H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-5-オン;
6-ブチル-1-{2-[(2R,5R)-2-{[(3R,5R)-3,5-ジメチルモルホリン-4-イル]メチル}-5-メチルピペラジン-1-イル]アセチル}-3,3,4-トリメチル-1H,2H,3H,4H,5H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-5-オン;
1-[6-ブチル-5-(ヒドロキシメチル)-3,3-ジメチル-1H,2H,3H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-1-イル]-2-[(2R,5R)-2-{[(3R,5R)-3,5-ジメチルモルホリン-4-イル]メチル}-5-メチルピペラジン-1-イル]エタン-1-オン;
6-ブチル-1-{2-[(2R,5R)-2-{[(3R,5R)-3,5-ジメチルモルホリン-4-イル]メチル}-5-メチルピペラジン-1-イル]アセチル}-3,3-ジメチル-1H,2H,3H,5H,6H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-5-オン;
2-[(2R,5R)-2-{[(3R,5R)-3,5-ジメチルモルホリン-4-イル]メチル}-5-メチルピペラジン-1-イル]-1-{6-[(4-フルオロフェニル)メチル]-5-((RまたはS)-2-ヒドロキシ-1-メトキシエチル)-3,3-ジメチル-1H,2H,3H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-1-イル}エタン-1-オン; および
6-ブチル-1-{2-[(2R,5R)-2-{[(2S,5R)-2,5-ジメチルモルホリン-4-イル]メチル}-5-メチルピペラジン-1-イル]アセチル}-3,3-ジメチル-1H,2H,3H,4H,5H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-5-オン;
から選択される請求項1に記載の化合物、またはその互変異性もしくは立体化学異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の式(I)の化合物と薬学的に許容可能な賦形剤とを含んでなる、医薬組成物。
【請求項24】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の式(I)の化合物を1以上の治療薬と組み合わせて含んでなる、医薬組成物。
【請求項25】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の化合物を含んでなる、医薬組成物。
【請求項26】
(i)IAPにより媒介される疾患状態または病態;あるいは
(ii)XIAPおよび/またはcIAPにより媒介される疾患状態または病態;あるいは
(iii)IAPを過剰発現する疾患状態または病態;あるいは
(iv)XIAPおよび/またはcIAPを過剰発現する疾患状態または病態;あるいは
(v)癌;あるいは
(vi)上皮由来の腫瘍;血液系腫瘍、前癌状態血液疾患および境界悪性の障害;間充織由来の腫瘍;中枢または末梢神経系の腫瘍;内分泌腺の腫瘍;視覚および付属器腫瘍;生殖細胞および栄養芽層腫瘍;小児および胚芽腫;または、患者が悪性腫瘍に影響を受けることになる、先天的またはそうではない症候群;あるいは
(vii)膀胱および尿路、乳房、胃腸管、肝臓、胆嚢および胆道系、外分泌膵臓、腎臓、肺、頭頸部、卵巣、ファロピーオ管、腹膜、膣、陰門、陰茎、頚部、子宮筋層、子宮内膜、甲状腺、副腎、前立腺、または、皮膚および付属器の癌;あるいは
(viii)腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、気管支肺胞上皮癌または中皮腫;あるいは
(ix)中皮腫;あるいは
(x)肝細胞癌、黒色腫、食道癌、腎臓癌、結腸癌、結腸直腸癌、肺癌、乳癌、膀胱癌、胃腸癌、卵巣癌または前立腺癌;あるいは
(xi)腎臓癌、黒色腫、結腸癌、肺癌、乳癌、卵巣癌または前立腺癌;あるいは
(xii)黒色腫、結腸癌、乳癌または卵巣癌;あるいは
(xiii)黒色腫または乳癌;あるいは
(xiv)炎症性乳癌;あるいは
(xv)炎症性腫瘍;あるいは
(xvi)黒色腫;あるいは
(xvii)血液系腫瘍およびリンパ系統の関連症状、または血液系腫瘍および骨髄系統の関連症状;あるいは
(xviii)白血病またはリンパ腫;あるいは
(xix)MALTリンパ腫;あるいは
(xx)急性リンパ性白血病[ALL]、慢性リンパ球性白血病[CLL]、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫および白血病、ナチュラルキラー[NK]細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、毛様細胞白血病、意義不明の単クローン性γグロブリン血症、プラズマ細胞腫、多発性骨髄腫または移植後リンパ増殖性障害;あるいは
(xxi)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫[DLBCL]または難治性DLBC;あるいは
(xxii)急性骨髄性白血病[AML]、慢性骨髄性白血病[CML]、慢性骨髄単球性白血病[CMML]、好酸球増加症候群、骨髄増殖性疾患、骨髄増殖症候群、骨髄異形成症候群または前骨髄性白血病;
の予防または治療における使用のための、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
(i)1以上の他の治療薬、または
(ii)1または2の他の治療薬、または
(iii)1以上抗癌剤、または
(iv)1または2の抗癌剤、または
(v)癌の予防または治療における使用のための1以上の他の治療薬、または
(vi)癌の予防または治療における使用のための1または2の治療薬、または
(vii)癌の予防または治療における使用のための1以上の他の抗癌剤、または
(viii)癌の予防または治療における使用のための1または2の他の抗癌剤
と組み合わせて使用するための、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項28】
IAPにより媒介される疾患または病態の治療における使用のための、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項29】
(a)(i)式(II):
【化6】
[式中、
R
5、R
6、UおよびXは、式(I)の化合物に関して請求項1に定義した通りであり、L
1は適切な
脱離基を表し、P
1は水素または適切な
保護基を表す]
の化合物を、式(III):
【化7】
[式中、R
1およびR
2は、式(I)の化合物に関して請求項1に定義された通りである]
の化合物または場合により保護されていてもよいその誘導体と反応させ、次いで、必要に応じてP
1保護基および他の任意の保護基を除去するのに適した脱保護反応を行うこと;または
(ii)式(IV):
【化8】
[式中、
R
5、R
6、XおよびUは、式(I)の化合物に関して請求項1に定義した通りであり、L
2は適切な
脱離基を表す]の化合物を式(V):
【化9】
[式中、
R
1およびR
2は、式(I)の化合物に関して請求項1に定義した通りであり、P
2は水素または適切な
保護基を表す]
の化合物または場合により保護されていてもよいその誘導体と反応させ、次いで、必要に応じてP
2保護基および他の任意の保護基を除去するのに適した脱保護反応を行うこと;ならびに/あるいは
(b)式(I)の化合物の保護誘導体の脱保護;ならびに/あるいは
(c)式(I)の化合物またはその保護誘導体の、さらなる式(I)の化合物またはその保護誘導体への相互変換;ならびに
(d)任意選択による式(I)の化合物の薬学的に許容可能な塩の形成;
を含んでなる、請求項1に定義された式(I)の化合物を製造するための方法。
【請求項30】
L1がハロゲン原子を表す、請求項29に記載方法。
【請求項31】
L1が塩素を表す、請求項30に記載方法。
【請求項32】
P1がtert−ブチルオキシカルボニル(tBoc)基を表す、請求項29に記載方法。
【請求項33】
L2がハロゲン原子を表す、請求項29に記載方法。
【請求項34】
L2が塩素を表す、請求項33に記載方法。
【請求項35】
P2がtert−ブチルオキシカルボニル(tBoc)基を表す、請求項29に記載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な二環式複素環化合物、前記化合物を含んでなる医薬組成物および疾患、例えば癌の処置における前記化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
IAPファミリー
アポトーシス阻害(IAP)タンパク質のファミリーは、8つのメンバー、XIAP、cIAP1、cIAP2、NAIP、ILP2、ML−IAP、サバイビンおよびBRUCE(アポロンとしても知られる)を含む。IAPファミリーのメンバーは、アポトーシス酵素のカスパーゼファミリーのメンバーを直接阻害する能力を通して、プログラムされた細胞死を阻害することが示されているが、8つのメンバー総ての正確な役割はまだ完全に定義されていない。全IAPファミリーメンバーの共通の構造上の特徴は、バキュロウイルスIAPリピート(BIR)ドメインと呼ばれる約70個のアミノ酸の亜鉛結合フォールドであり、これは、1〜3つのコピーで存在する。
【0003】
IAPと他のタンパク質との間の相互作用の多くは、BIRドメイン上の表面の溝により媒介される。BIRドメインは、それらのぺプチド結合特異性によって分類され得る。BIRドメインには3つの種類、すなわち、III型ドメイン(第3(P3)位でのプロリン特異性を伴って、カスパーゼ(およびカスパーゼ様)ペプチドを結合させることが可能(例えば、XIAP BIR3))、II型ドメイン(III型ドメインと類似しているが、プロリン要求性を欠いている、例えば、XIAP BIR2)およびI型ドメイン(カスパーゼまたは類似のペプチドと結合しない、例えば、XIAP BIR1)(Eckelman et al. Cell Death and Differentiation 2008; 15: 920-928)がある。BIRは小さな(約70のアミノ酸)、Zn配位ドメインであり、様々なタンパク質が、それらのN末端を用いてBIRドメイン溝と相互作用する。BIRアンタゴニストは、カスパーゼがBIRと結合しないようにするので、カスパーゼ活性の増強をもたらし、それにより、IAPの自己ユビキチン化およびプロテアソーム分解を誘導する。
【0004】
IAPは、腎臓癌、黒色腫、結腸癌、肺癌、乳癌、卵巣癌および前立腺癌を含む多くの癌で過剰発現され(Tamm et al., Clin. Cancer Research 2000; 6(5): 1796-803)、腫瘍増殖、病因ならびに化学療法および放射線療法への耐性に関連付けられている(Tamm 2000)。
【0005】
XIAP
XIAPは、3つのBIRドメインを有する57kDaのタンパク質であり、第2および第3のBIRドメインは、カスパーゼおよびRING型ジンクフィンガー(E3リガーゼ)を結合する。XIAPは、カスパーゼに加えて複数のタンパク質と結合し、これには、TAK1および補因子TAB1などのライゲーション基質、銅のホメオスタシスに関与するMURR1(Burstein et al., EMBO 2004; 23: 244-254)、カスパーゼの第2ミトコンドリア由来アクチベーター(SMAC)などの内因性阻害剤、ならびにMAGE−D1、NRAGEなど機能があまり明確でないもの(Jordan et al., J. Biol. Chem. 2001; 276: 39985-39989)が包含される。
【0006】
BIR3ドメインは、カスパーゼ活性化のミトコンドリア経路の先端カスパーゼであるカスパーゼ−9と結合し阻害する。BIR3ドメインの表面上の溝は、カスパーゼ−9の小サブユニットのN末端と相互作用し、カスパーゼ−9を能力のない触媒部位を有するその不活性単量体形態に固定する(Shiozaki et al., Mol. Cell 2003; 11: 519-527)。
【0007】
カスパーゼ結合に加え、XIAPはまた、他のメカニズムを介してもアポトーシスを阻害する。XIAPはTAK1キナーゼおよびその補因子TAB1と複合体を形成し、これは、JNKおよびMAPKシグナル伝達経路の活性化をもたらし、次にNFκBの活性化をもたらす(Sanna et al., Mol Cell Biol 2002; 22: 1754-1766)。XIAPはまた、NFκBの核移行およびIκBの分解を促進することによりNFκBを活性化する(Hofer-Warbinek et al., J. Biol. Chem. 2000; 275: 22064-22068, Levkau et al., Circ. Res. 2001; 88: 282-290)。
【0008】
XIAPでトランスフェクトした細胞は、様々なアポトーシス刺激に応答してプログラムされた細胞死を遮断することができる(Duckett et al., EMBO 1996; 15: 2685-2694, Duckett et al., MCB 1998; 18: 608-615, Bratton, Lewis, Butterworth, Duckett and Cohen, Cell Death and Differentiation 2002; 9: 881-892)。
【0009】
XIAPは、総ての正常組織で遍在発現されるが、多くの急性および慢性白血病、前立腺腫瘍、肺腫瘍、腎臓腫瘍および他の種類の腫瘍で病的に上昇する(Byrd et al., 2002; Ferreira et al., 2001; Hofmann et al., 2002; Krajewska et al., 2003; Schimmer et al., 2003; Tamm et al., 2000)。de novo急性骨髄性白血病(AML)において、XIAP発現は、骨髄単球性フランス−アメリカ−イギリス(FAB)サブタイプM4/M5(P<0.05)、およびAML芽細胞の単球性マーカーの発現と相関する。さらに、XIAPは、正常な単球では過剰発現するが、顆粒球では検出不能であることが判明した。AMLにおいて、XIAP発現は、好ましい細胞遺伝子学を有する患者では、中程度または不十分な細胞遺伝子学を有する患者よりも有意に低かった(n=74;P<0.05)(Tamm et al., Hematol. J. 2004; 5(6): 489-95)。
【0010】
過剰発現によって細胞は多剤療法に耐性となり、また、過剰発現は、AML、腎臓癌、黒色腫(Tamm et al., Clin. Cancer Research 2000; 6: 1796-1803)および肺癌(Hofmann et al., J. Cancer Res. Clin. Oncology 2002; 128(10): 554-60)を含む疾患での不良な臨床転帰に関連している。
【0011】
XIAPは、その5’非翻訳領域に位置する特有の内部リボソーム進入部位(IRES)配列要素により媒介される、キャップ非依存性の翻訳開始機構によって翻訳される。これにより、XIAP mRNAは、細胞タンパク質合成の大部分が阻害される際の細胞ストレス状態の間に活発に翻訳されることが可能となる。ストレスに応答したXIAPの翻訳のアップレギュレーションは、放射線誘導細胞死に対する耐性を高める(Holcik et al., Oncogene 2000; 19: 4174-4177)。
【0012】
XIAP阻害は、RNAサイレンシング、遺伝子ノックアウト、ペプチドリガンド模倣物および小分子アンタゴニストを含む複数の技術を介してin vitroで調べられ、単独療法としてアポトーシスを促進すること、および膀胱を含む多くの腫瘍種を化学療法に対して感受性とすることが示されている(Kunze et al., 2008; 28(4B): 2259-63)。XIAPノックアウトマウスは予期されるメンデルの法則に従った頻度で生まれ、顕著な身体的または組織的な欠陥はなく、正常な寿命を伴う(Harlin et al., Mol. Cell Biol. 2001; 21(10): 3604-3608)。このことは、XIAP活性の欠如が正常組織で有毒でなく、腫瘍細胞に関する治療濃度域を示唆する。さらなる研究によって、XIAPはI型細胞および肝細胞を含むII型細胞におけるアポトーシス間の決定的な識別因子であり、従って、根底に肝臓症状を有する患者には注意を払って使用されるべきであることが示される(Jost et al., Nature, 2009, 460, 1035-1041)。cIAP1およびcIAP2レベルがXIAPノックアウトマウスではアップレギュレーションを受け、代償機構を介して病理から保護し得ることが特記され、このことは、機能的なノックアウトのためには全阻害が必要であり得ることを示唆する。同様に、cIAP1およびcIAP2ノックアウトマウスは無症候性でもある(Conze et al., Mol. Biol. Cell 2005; 25(8): 3348-56)。IAPのいずれか1つの欠如が明白な表現型をマウスにもたらさなかったが、cIAP1とcIAP2またはXIAPの欠失は半胚性致死をもたらした(Moulin, EMBO J., 2012)。
【0013】
SMACなどの内因性IAPアンタゴニストは、このファミリーのメンバーを治療剤の標的としてバリデートするために用いられている。SMACペプチドは腫瘍細胞を化学感受性とし、異種移植ではプラチンおよび腫瘍壊死因子α関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)と組み合わせると、腫瘍増殖の遅延がもたらされる(Fulda et al., Nat. Med. 2002; 808-815; Yang et al., Cancer Res. 2003; 63: 831-837)。
【0014】
天然物であるエンベリンが、天然のSMACペプチドに類似した親和性で、XIAPのBIR3ドメインの表面の溝で結合することが特定された。エンベリンはin vitroの細胞系統でアポトーシスを誘導し、異種移植で腫瘍増殖の遅延をもたらす(Nikolovska-Coleska et al., J. Med. Chem. 2004; 47(10): 2430-2440; Chitra et al., Chemotherapy 1994; 40: 109-113)。
【0015】
XIAPアンチセンスオリゴヌクレオチドが、固形腫瘍および血液性悪性腫瘍のための治療薬として開発されている。in vitroで、これらアンチセンスオリゴヌクレオチドは、タンパク質発現レベルを約70%ノックダウンし、アポトーシスを誘導し、細胞を化学療法に対して感受性として、in vitroにおける腫瘍増殖を遅延させることが示されている。これらの薬剤の1つ、AEG351156は、臨床試験で検討されている(Hu et al., Clin. Cancer Res. 2003; 9: 2826-2836; Cummings et al., Br. J. Cancer 2005; 92: 532-538)。
【0016】
開発されたXIAPの小分子アンタゴニストには、ペプチド模倣薬ならびに合成薬が含まれる。ペプチド模倣薬は、XIAPに結合するカスパーゼ−9のSMAC崩壊を模倣してBIR3ドメインを標的とし、単剤ならびに化学療法増感剤として様々な腫瘍細胞系統でアポトーシスの誘導を示し、臨床的にさらに調査されている(Oost et al., J. Med. Chem. 2004; 47: 4417-4426; Sun et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2005; 15: 793-797)。
【0017】
BIR3およびBIR2ドメインの合成小分子アンタゴニストはまた、複数の異なるモデルで抗腫瘍活性を示し、これには、アネキシン−V染色によるアポトーシスの誘導、および3分の1を超えるNCI60細胞系統パネルに対して10μM未満のIC50が含まれる。XIAPアンタゴニストはまた、5つの慢性リンパ性白血病細胞系統のうち5つで、および5つの急性骨髄性白血病細胞系統のうち4つで、初代培養白血病細胞の用量依存性細胞死を誘発した(Schimmer et al., Cancer Cell 2004; 5: 25-35; Berezovskaya et al., Cancer Res. 2005; 65(6): 2378-86)。
【0018】
腫瘍細胞系統における高レベルのXIAPタンパク質は、いくつかの抗癌剤、特に、シタラビンおよび他のヌクレオシドに対する感受性と逆相関した(Tamm et al., Clin. Cancer Research 2000; 6: 1796-1803)。XIAP阻害は、in vivoにおける膵臓癌の2つの前臨床モデルで、TRAIL誘発抗腫瘍活性を増強する(Vogler 2008)。遺伝子発現およびトランスフェクションの研究によって、アポトーシスサプレッサーXIAPの発現の増強は、アノイキス耐性および循環ヒト前立腺癌細胞の生存に重要な役割を果たし、それによって転移を促進することが示唆される。小分子アンタゴニストはこれらのモデルで抗転移性であることが判明した(Berezovskaya et al., Cancer Res. 2005; 65(6): 2378-86)。
【0019】
XIAPは、癌および他の疾患に関連する他の経路に関与することも分かっており、これらもXIAP標的薬から利益を得る可能性がある。XIAPのRINGフィンガードメインのE3リガーゼ活性は、TAB1および上流BMP受容体(1型)の両方と結合可能であり、XIAPはTGF−β媒介経路でシグナルを伝達し得ることが示唆される(Yamaguchi et al., EMBO 1999; 179-187)。局所接着キナーゼ(FAK)の過剰発現は、XIAP発現のアップレギュレーションをもたらすことが示されている(Sonoda et al., J. Biol. Chem. 2000; 275: 16309-16315)。E3リガーゼは、魅力的な治療標的であり、MDM2などの他のタンパク質でのこの活性を標的とする分子が開発中である(Vassilev et al., Science 2004; 303: 844-848)。XIAPリガーゼ活性の直接または間接阻害はまた、癌および他の疾患の処置でも有用であり得る。プログラムされた細胞死の制御におけるIAP機能の阻害から起こるアポトーシスシグナル伝達の調節不全も、細胞蓄積に関連する障害(例えば、癌、自己免疫、炎症および再狭窄)、または過剰なアポトーシスが細胞の損失をもたらす障害(例えば、脳卒中、心不全、神経変性(アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症など)、AIDS、虚血(脳卒中、心筋梗塞)および骨粗鬆症)を含む多くの疾患で関連付けられている。
【0020】
XIAPは、実験的自己免疫性脳脊髄炎において重要なアポトーシスレギュレーターであり、多発性硬化症(MS)などの自己免疫疾患を処置するための可能性のある薬理学的標的である(Moore et al., 2004; 203(1): 79-93)。XIAPのアンチセンス媒介ノックダウンは、MSの動物モデルにおいて麻痺を逆転させ、XIAPおよびおそらくは他のIAPを標的とする処置は、MSの処置に有用性があり得ることを示唆する(Hebb et al., Curr. Drug Disc. Tech. 2008; 5(1): 75-7)。
【0021】
cIAP1、cIAP−2、XIAPおよびサバイビンは、悪性胸膜中皮腫で過剰発現され、培養中皮腫細胞のシスプラチン耐性の大部分の原因である。循環TNF−αのレベルは、外科的な腫瘍低減前の中皮腫患者では手術後の患者より有意に高い。TNF−αは、IAP−1、IAP−2およびXIAPのmRNAおよびタンパク質レベルを増大させる(Gordon et al., 2007)。NF−κBのアップレギュレーションは、アスベスト繊維露出の炎症効果に応答して中皮腫において重要な生存的役割を有する(Sartore-Bianchi et al., 2007)。IAPアンタゴニストは、TNF−αの生存促進性効果の逆転能を有する。
【0022】
cIAP1および2がひと度枯渇すると自己分泌様式で作用し、細胞を死滅させるのに十分な程度でTNF−α発現をアップレギュレートする細胞系統の能力がIAP活性に重要であると考えられている(Nature Reviews Cancer (2010), 10(8), 561-74, Gryd-Hansen, M)。しかしながら、in vivoでは、特定の腫瘍種は炎症誘発性サイトカインネットワークに取り囲まれており、従って、cIAP1/2の枯渇の際にアポトーシスによる細胞死へ切り替わる腫瘍細胞は、腫瘍関連マクロファージなどの腫瘍微小環境中の周囲の細胞によって、または実際に腫瘍細胞自体によってすでに産生されているTNF−α(または他の細胞死受容体サイトカインアゴニスト)によりアポトーシスへと誘導され得る。乳癌、卵巣癌および黒色腫などの特定の腫瘍種は、IAPアンタゴニストに潜在的に標的にされ得る、この「炎症性表現型」を示す。
【0023】
cIAP1およびcIAP2
細胞性IAP(cIAP)1および2は、3つのBIRドメイン、RINGドメインおよびカスパーゼ動員(CARD)ドメインを有するIAPファミリーに近縁のメンバーである。機能性核外移行シグナルは、細胞分化に重要であると思われるcIAP1のCARDドメイン内に存在する(Plenchette et al., Blood 2004; 104: 2035-2043)。このCARDドメインの存在は、タンパク質のIAPファミリー内でcIAP1およびcIAP2に特有である。これら2つの遺伝子は、染色体11q22に直列して存在し、これらの高度の類似性を考えれば、遺伝子重複により生じたのだと考えられる。
【0024】
cIAP1は、XIAPおよびサバイビンと同様に、腫瘍細胞系統で広く発現し、特に結腸直腸癌、ならびに肺癌、卵巣癌、腎臓癌、CNS癌および乳癌において高レベルに発現することが判明している(Tamm et al., Clin. Cancer Res. 2000; 6: 1796-1803)。cIAP2発現は一般により制限を受け、cIAP1による恒常的なユビキチン化および分解を通して調節されると思われる(Conze et al., Mol. Biol. Cell 2005; 25(8): 3348-56; Mahoney et al., PNAS 2008; 105: 11778-11783)。免疫組織化学およびウエスタンブロット分析によれば、cIAP1およびcIAP2は双方とも、コピー数の増加があってもなくても多数の肺癌で過剰発現されることから、可能性のある癌遺伝子として同定された(Dia et al., Human Mol. Genetics 2003; 12(7): 791-801)。cIAP1発現レベルは優先的に、ステージの低い腺癌で重要な役割を果たすものと思われる(Hofmann et al., J. Cancer Res. Clin. Oncology 2002; 128(10): 554-60)。
【0025】
cIAP1およびcIAP2のレベルの上昇ならびに内因性阻害剤のレベルの低下は、XIAPに関して見られたように、化学療法耐性に関連する。cIAPの過剰発現は、in vitroで、カルボプラチン、シスプラチンおよびトポイソメラーゼ阻害剤VP−16などのDNAアルキル化剤に対する耐性と相関することが判明している(Tamm et al., Clin. Cancer Res. 2000; 6: 1796-1803)。シスプラチンおよびドキソルビシン処置の後、cIAP1およびサバイビンのレベルが甲状腺癌細胞で高いことが分かった。タキソールなどの化学療法に耐性にある細胞は、SMAC発現の低下およびミトコンドリアからのこのタンパク質の最少量の放出を示した。cIAP1およびサバイビンのダウンレギュレーションは、シスプラチンおよびドキソルビシンの細胞傷害性を増強することが分かっているが、SMACの過剰発現はタキソールの有効性を向上させた。しかしながら、RNA干渉によるcIAP1およびサバイビンのサイレンシングは、ドキソルビシンおよびシスプラチンへの感受性を回復した(Tirro et al.; Cancer Res. 2006; 66(8): 4263-72)。
【0026】
LBW242などのSMAC模倣薬は本来、主としてXIAPを標的とすると思われる。しかしながら、研究によれば、cIAP1が、細胞の自己ユビキチン化による分解の標的とされ(Yang et al., J. Biol. Chem. 2004; 279(17): 16963-16970)、結果として生じるアポトーシス効果に寄与していた可能性があったことが示された。cIAP1のSiRNAおよび腫瘍壊死因子(TNF)−α誘導(または刺激)は、相乗的に組み合わさって、細胞系統をより感受性にすることが分かった(Gaither et al. Cancer Res. 2007; 67 (24): 11493-11498)。
【0027】
cIAP1およびcIAP2は、多様な範囲の生物学的プロセス、特に自然免疫および適応免疫、ならびに増殖および生存に関与するNFκBシグナル伝達経路の決定的なレギュレーターであることが実証されている。NFκB経路調節の解除は、肝炎および潰瘍性大腸炎、胃炎、肝細胞癌、結腸直腸癌および胃癌ならびに血管新生および転移を含む炎症および癌に関連する(Shen et al., Apoptosis 2009; 14: 348-363)。
【0028】
リガンド結合の際には、TNF受容体(TNF−R)はTNFR関連デスドメイン(TRADD)および受容体共役タンパク質(RIP)1を動員する。次に、TRAF2およびcIAP1/cIAP2が動員され、大きな膜複合体を形成する。RIP1はユビキチン化され、これらポリユビキチン鎖は、下流キナーゼのドッキング部位として役立ち、NFκB経路シグナル伝達効果につながる(Ea et al., Mol. Cell 2006; 22: 245-257; Wu et al., Nat. Cell Biol. 2006; 8: 398-406)。その広範な役割は複雑で、完全には定義されていないが、cIAP1およびcIAP2はTNF−α媒介NFκBシグナル伝達調節ならびに構成的(リガンド非依存的/古典的)NFκBシグナル伝達の重要な成分として特定される(Varfolomeev et al., Cell 2007; 131(4): 669-81)。cIAP1およびcIAP2は、古典的および代替のNFκB経路ならびにMAPK経路シグナル伝達経路の両方で機能するアダプタータンパク質であるTRAF2と結合することが示されている(Rothe et al., Cell 2005; 83: 1243-1252)。cIAP1およびcIAP2は、in vitroでユビキチン化のためにRIP1を直接標的にする(Betrand et al., Mol. Cell 2008; 30: 689-700)。
【0029】
TNF−αは、アポトーシス、炎症、免疫反応ならびに細胞増殖および分化を含む多くの細胞機能を調節し(Trace et al., Annu. Rev. Med. 1994; 45: 491-503)、治療的IAPアンタゴニストは、これらの機能が影響を受ける病態で有用であり得る。
【0030】
TNF−αの産生は多くの悪性腫瘍で見られ、腫瘍発達および/または進行を駆動する癌関連炎症の重要な駆動因子の1つである。cIAPは、TNF−αの致死効果から癌細胞を保護する。
【0031】
NAIP
NAIPは、最初に発見されたIAPである(Roy et al., Cell 1995; 80: 167-178)。NAIPは、IAPの中でも、ヌクレオチド結合およびオリゴマー化ドメイン、ならびに自然免疫に通常関与するタンパク質に含まれるものに類似したロイシンに富むリピートを保持するという点で独特である。NAIPはまた、乳癌および食道癌を含むいくつかの癌(Nemoto et al., Exp. Mol. Pathol. 2004; 76(3): 253-9)ならびにMS(Choi et al., J. Korean Med. 2007; 22 Suppl: S17-23; Hebb et al., Mult. Sclerosis 2008; 14(5): 577-94)でも過剰発現され得る徴候がある。
【0032】
ML−IAP
黒色腫アポトーシス阻害タンパク質(ML−IAP)は、単一のBIRおよびRINGフィンガーモチーフを含む。ML−IAPは、おそらく下流エフェクターカスパーゼの直接阻害剤として機能し、細胞死受容体および化学療法剤により誘導されるアポトーシスの強力な阻害剤である(Vucic et al., Curr. Biol. 2000; 10(21): 1359-66)。ML−IAPはまた、バキュロウイルスIAPリピート含有タンパク質7(BIRC7)、腎臓アポトーシス阻害タンパク質(KIAP)、RINGフィンガータンパク質50(RNF50)およびリビンとしても知られる。ML−IAPのBIPドメインは、抗アポトーシス活性に必要な進化的に保存された折り畳みを保持する。黒色腫細胞系統の大部分は、検出不能なレベルで発現される初期のメラノサイトとは対照的に、高レベルのML−IAPを発現することが見出されている。これらの黒色腫細胞は、薬物誘導アポトーシスに対して有意に耐性が大きかった。ML−IAPの発現の上昇は、黒色腫細胞をアポトーシス刺激に対して耐性とし、それにより、この悪性腫瘍の病理に潜在的に寄与する。
【0033】
ILP−2
BIRC8としても知られるILP−2は、単一のBIRドメインおよびRINGドメインを有する。ILP−2は、正常細胞の精巣でのみ発現され、カスパーゼ−9と結合する(Richter et al, Mol. Cell. Biol. 2001; 21: 4292-301)。
【0034】
サバイビン
BIRC5としても知られるサバイビンは、カスパーゼ3およびカスパーゼ7の両方を阻害するが、その主な機能は、アポトーシスの調節というよりは、有糸分裂進行の調節である。サバイビンは、紡錘体の微小管の形成を促進し、細胞周期の間にアポトーシスに反作用する。サバイビンによるアポトーシス阻害は、結腸直腸癌(Kawasaki et al., Cancer Res. 1998; 58(22): 5071-5074)およびステージIIIの胃癌(Song et al., Japanese J. Clin. Oncol. 2009; 39(5): 290-296)において不良な転帰を予測する。
【0035】
BRUCE
BRUCE(BIRリピート含有ユビキチン結合酵素)は、サバイビンのものに最も類似する単一のBIRドメインを有するトランスゴルジネットワークにおける表在性膜タンパク質である。BRUCEは3つのメカニズムを介して阻害される:(i)SMAC結合、(ii)HtrA2プロテアーゼおよび(iii)カスパーゼ媒介切断。さらに、BRUCEは、ユビキチン結合(UBC)ドメインを介してE2/E3ユビキチンリガーゼとして作用する。
【発明の概要】
【0036】
本発明は、式(I)の化合物を提供する。本発明は、治療、特に癌の処置で有用である化合物を提供する。式(I)の化合物は、IAPファミリーのタンパク質(IAP)、特に、XIAPならびに/またはcIAP(cIAP1および/もしくはcIAP2など)のアンタゴニストであり得、IAPにより媒介される病態の処置に有用であり得る。
【0037】
本発明の第1の態様によれば、
式(I):
【化1】
[式中、
Xは、CR
4、NまたはNR
3であり;
ここで、
・XがCR
4である場合、Uは窒素を表し、かつ、R
6はオキソを表し;または
・XがNである場合、Uは炭素を表し、かつ、R
6はヒドロキシメチルもしくは−CH(OR
x)CH
2OR
zを表し;または
・XがNR
3である場合、Uは炭素を表し、かつ、R
6はオキソを表し;
破線(-------)は、一重または二重結合を表し、ここで、前記破線のうちの少なくとも2本は二重結合を表し;
R
1およびR
2は独立に、水素またはメチルを表し;
R
3は、水素、メチルまたは−NH
2を表し;
R
4は、水素、メチル、ヒドロキシメチル、−NH
2またはフッ素を表し;
R
5は、非置換n−ブチルまたはフェニル基上で1個もしくは2個のフッ素により置換されたベンジルを表し;かつ
R
xおよびR
zは独立に、水素またはメチルを表す]
の化合物またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物が提供される。
【0038】
本発明のさらなる態様では、本明細書に記載の疾患または病態の予防または治療における使用のための式(I)の化合物、式(I)の化合物を含んでなる医薬組成物、および式(I)の化合物の合成のための方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1:実施例39の
1H NMR。DMSO−D
6中で取得し、δ=2.50ppmでDMSOの非重水素化溶媒残渣に対して較正したサンプル。δ=8.5ppmにおいて一重線として存在する内部参照標準(TCNB)を含んだ。
【
図4】
図4:実施例40の
1H NMR。DMSO−D
6中で取得し、δ=2.50ppmでDMSOの非重水素化溶媒残渣に対して較正したサンプル。δ=8.5ppmに一重線として存在する内部参照標準(TCNB)を含んだ。
【
図7】
図7:実施例41の
1H NMR。DMSO−D
6中で取得し、2.50ppmでDMSOの非重水素化溶媒残渣に対して較正したサンプル。
【
図10】
図10:実施例42の
1H NMR。DMSO−D
6中で取得し、2.50ppmでDMSOの非重水素化溶媒残渣に対して較正したサンプル。
【
図13】
図13:L−(+)−乳酸塩型B(ディフラクトグラム表示1)、t=0hにおける反応混合物として実施例40の生成物(ディフラクトグラム表示2)、4日後(ディフラクトグラム表示3)のXRPDの、実施例43のL−(+)−乳酸塩C型(ディフラクトグラム表示4)のXRPDとの比較。
【
図14】
図14:t=0hにおける、B型と等構造の実施例43の(ディフラクトグラム表示1)、反応混合物の進行(ディフラクトグラム表示2〜6)、C型を形成させるためのt=5日間加熱した後に完了した相互変換(ディフラクトグラム表示7)のXRPD。
【
図15】
図15:実施例43の
1H NMR。DMSO−D
6中で取得し、δ=2.50ppmでDMSOの非重水素化溶媒残渣に対して較正したサンプル。δ=8.5ppmに一重線として存在する内部参照標準(TCNB)を含んだ。
【
図16】
図16:実施例43(ディフラクトグラム表示1)と無水L−(+)−乳酸(ディフラクトグラム表示2)のXRPDの重畳。
【
図17】
図17:実施例43(サーモグラム表示1)と無水L−(+)−乳酸(サーモグラム表示2)のDSCの重畳。
【0040】
定義
文脈がそうではないことを示さない限り、本明細書の総ての節(本発明の使用、方法および他の態様を含む)において、式(I)に対する言及は、本明細書で定義される、他の下位式、下位群、選択、実施態様および例の総てに対する言及を包含する。
【0041】
「IAP」とは、IAPファミリーメンバー、XIAP、cIAP(cIAP1および/もしくはcIAP2)、NAIP、ILP2、ML−IAP、サバイビンならびに/またはBRUCE、具体的には、XIAP、cIAP1、cIAP2、ML−IAP、より具体的には、XIAP、cIAP1ならびに/またはcIAP2、最も具体的には、XIAPならびに/またはcIAP1のいずれをも意味する。特に、IAPのBIRドメイン、特に、XIAP、cIAP1または、cIAP2のBIRドメインを意味する。
【0042】
「1以上のIAPファミリーメンバー」とは、IAPファミリーメンバー、具体的には、XIAP、cIAP1および/またはcIAP2、より具体的には、XIAPおよび/またはcIAP1のいずれをも意味する。
【0043】
「効力」は、所与の強度の効果をもたらすのに必要な量に関して表現される薬物活性の尺度である。高い効力の薬剤物は、低濃度で大きな応答を誘発する。効力は、親和性および有効性に比例する。親和性は、薬物の、受容体に結合する能力である。有効性は、受容体占有率と、分子、細胞、組織または系レベルで応答を開始する能力との関係性である。
【0044】
「アンタゴニスト」という用語は、アゴニストにより媒介される生物学的応答を遮断または減衰する受容体リガンドまたは薬物の一種を意味する。アンタゴニストは、その同族受容体に対して親和性を有するがアゴニストの有効性は有さず、結合が、その相互作用を崩壊させ、受容体におけるいずれのリガンド(例えば、内因性リガンドまたは基質、アゴニストまたは逆アゴニスト)の機能も阻害する。拮抗作用は直接的に生じるものでも間接的に生じるものでもよく、いずれの機構によって、またいずれの生理学的レベルで媒介されるものであってもよい。間接的拮抗作用の一例は、その分解をもたらすcIAPのユビキチン化の結果としての、cIAPの間接的拮抗作用であろう。結果として、リガンドの拮抗作用は、異なる状況下で、機能的に異なる方法でそれ自体発現し得る。アンタゴニストは、受容体上の活性部位またはアロステリック部位に結合することでその効果を媒介するか、またはアンタゴニストは、受容体の活性の生物学的調節には通常関与しない特有の結合部位で相互作用し得る。アンタゴニスト活性は、アンタゴニスト−受容体複合体の寿命によって可逆的または不可逆的であり得、その寿命は、アンタゴニスト受容体結合の性質に依存する。
【0045】
「処置」という用語は、病態、すなわち、状態、障害または疾患を処置するという文脈で本明細書において使用される場合、一般に、ヒトに関してであれ動物に関してであれ(例えば、獣医学適用)、例えば病態の進行の阻害などの何らかの所望の治療効果が達成される処置および治療に関し、また、進行速度の低減、進行速度の停止、病態の改善、処置される病態に関連するまたは処置される病態により引き起こされる少なくとも1つの症状の消散または軽減、および病態の治癒を含む。例えば、処置は、障害の1または複数の症状の消散または障害の完全な根絶であり得る。
【0046】
「予防」(すなわち、予防対策としての化合物の使用)という用語は、病態、すなわち、状態、障害または疾患を処置するという文脈で本明細書において使用される場合、一般に、ヒトに関してであれ動物に関してであれ(例えば、獣医学適用)、例えば疾患の発生を妨ぐまたは疾患から保護することにおいて、何らかの所望の防止効果が達成される予防または防止に関する。予防には、無期限の間、障害の総ての症状を完全かつ全面的に遮断すること、疾患の1または複数の症状の発症を単に遅くすること、または疾患をより起こりにくくすることが包含される。
【0047】
癌などの疾患状態または症状の予防または治療に対する言及には、それらの範囲内に、癌の発生率を軽減または低下させることが含まれる。
【0048】
本明細書で使用する場合、例えば、本明細書に記載のIAPと組み合わせて使用される(および例えば様々な生理学的プロセス、疾患、状態、病態、療法、治療、または介入に適用される)「媒介」という用語は、この用語が適用される様々な生理学的プロセス、疾患、状態、病態、治療および介入が、タンパク質が生物学的役割を果たすものであるように、限定して機能することが意図される。この用語が疾患、状態または病態に適用される場合、タンパク質が果たす生物学的役割は、直接的または間接的であり得、疾患、状態または病態の徴候の発現(またはその病因または進行)のために必要および/または十分であり得る。従って、タンパク質機能(および、特に機能の異常なレベル、例えば過剰または過小発現)は、必ずしも疾患、状態または病態の至近要因である必要はなく、むしろ、媒介疾患、状態または病態には、問題となるタンパク質が部分的のみに関与する多因子性病因および複雑な進行を有するものを含むことが企図される。この用語が治療、予防または介入に適用される場合、このタンパク質が果たす役割は、直接的または間接的であり得、治療、予防の実施、または介入の転帰のために必要および/または十分であり得る。このように、タンパク質により媒介される疾患状態または病態には、いずれの特定の癌薬剤または処置に対する耐性の発達も包含される。
【0049】
本発明の組合せは、個別に投与される場合の個々の化合物/薬剤の治療効果よりも治療上効能のある効果をもたらし得る。
【0050】
「効能のある」という用語には、相加作用、相乗作用、副作用の低減、毒性の低減、疾患進行までの時間の延長、生存時間の延長、薬剤ごとの増感もしくは再増感、または奏効率の改善などの有利な効果が含まれる。有利には、効能のある効果は、より低用量の各成分またはいずれかの成分を患者に投与することを可能とし、それにより、同じ治療効果を生成および/または維持しつつ化学療法の毒性を低減する。本文脈において「相乗」効果とは、その組合せによりもたらされる、個々に提供される場合の組合せの薬剤の治療効果の和よりも大きい治療効果を意味する。本文脈において「相加的」効果は、その組合せによりもたらされる、個々に提供される場合の組合せの薬剤のいずれの治療効果よりも大きい治療効果を意味する。「奏効率」という用語は、本明細書で使用する場合、固形腫瘍の場合には、所与の時点での、例えば、12週目での腫瘍サイズの減少程度を意味する。よって、例えば、50%奏効率は、腫瘍サイズの50%の減少を意味する。本明細書で「臨床的奏効」という場合には、50%以上の奏効率を意味する。「部分奏功」は、本明細書では、50%未満の奏効率であると定義される。
【0051】
本明細書で使用する場合、「組合せ」という用語は、2以上の化合物および/または薬剤に対して適用される場合、それらの2以上の薬剤が会合されている材料を定義することが意図される。本文脈において「組み合わせられた」および「組み合わせる」という用語も、相応に解釈されるべきである。
【0052】
1つの組合せにおける2以上の化合物/薬剤の会合は物理的なものでも非物理的なものでもよい。物理的に会合された組合せ化合物/薬剤の例には、
・混合物中(例えば、同じ単一用量内)に2以上の化合物/薬剤を含んでなる組成物(例えば、単一処方物);
・2以上の化合物/薬剤が化学的/物理化学的に結合された(例えば、架橋、分子凝集または通常のビヒクル部分との結合による)材料を含んでなる組成物;
・2以上の化合物/薬剤が化学的/物理化学的にともに封入された(例えば、脂質小胞、粒子(例えば、マイクロ粒子もしくはナノ粒子)またはエマルション滴上にまたは内部に配された)材料を含んでなる組成物;
・2以上の化合物/薬剤がともに封入された、またはともに提供された(例えば、一連の単位用量の一部として)医薬キット、医薬パックまたは患者パック
が含まれる。
【0053】
物理的に会合されていない組合せ化合物/薬剤の例には、
・2以上の化合物/薬剤のうち少なくとも1つを、2以上の化合物/薬剤の物理的会合を形成するための少なくとも1つの化合物の即時調合的会合に関する説明書とともに含んでなる材料(例えば、非単一処方物);
・2以上の化合物/薬剤のうち少なくとも1つを、2以上の化合物/薬剤を用いる併用療法に関する説明書とともに含んでなる材料(例えば、非単一処方物);
・2以上の化合物/薬剤のうち少なくとも1つを、2以上の化合物/薬剤の1または複数の他のものが投与された(または投与される)患者集団への投与に関する説明書とともに含んでなる材料;
・2以上の化合物/薬剤のうち少なくとも1つを、2以上の化合物/薬剤の1または複数の他のものと組み合わせて使用するために特異的に適合された量または形態で含んでなる材料
が含まれる。
【0054】
本明細書で使用する場合、「併用療法」という用語は、2以上の化合物/薬剤の組合せ(上記で定義される通り)の使用を含んでなる療法を定義することが意図される。よって、本出願において「併用療法」、「組合せ」および化合物/薬剤の「組合せにおける」使用という場合には、全体としての治療計画の一部として投与される化合物/薬剤を意味し得る。従って、2以上の化合物/薬剤のそれぞれの薬量は異なってもよく、それぞれ同時にまたは異なる時点で投与されてもよい。従って、その組合せの化合物/薬剤は、逐次に(例えば、前もしくは後)投与されてもよく、または同じ医薬処方物で(すなわち、一緒に)、もしくは異なる医薬処方物で(すなわち、別個に)同時に投与されてもよいと認識される。同じ処方物で同時にとは単一処方物としてであり、一方、異なる医薬処方物で同時にとは、非単一である。併用療法における2以上の化合物/薬剤のそれぞれの薬量はまた、投与経路に関して異なっていてもよい。
【0055】
本明細書で使用する場合、「医薬キット」という用語は、投与手段(例えば、定量装置)および/または送達手段(例えば、吸入器またはシリンジ)を伴う、医薬組成物の一連の1以上の単位用量を定義し、場合により、総て共通の外装内に含まれる。2以上の化合物/薬剤の組合せを含んでなる医薬キットでは、個々の化合物/薬剤は単一または非単一の処方物であり得る。1または複数の単位用量がブリスターパック内に含まれてよい。医薬キットは場合により使用説明書をさらに含んでなってもよい。
【0056】
本明細書で使用する場合、「医薬パック」という用語は、場合により共通の外装内に含まれる医薬組成物の一連の1以上の単位用量を定義する。2以上の化合物/薬剤の組合せを含んでなる医薬パックでは、個々の化合物/薬剤は、単一または非単一処方物であり得る。1または複数の単位用量がブリスターパック内に含まれてよい。医薬パックは場合により使用説明書をさらに含んでなってもよい。
【0057】
「n−ブチル」という用語は、本明細書で使用する場合、4個の炭素原子を含有する直鎖アルキル基に関する。
【0058】
「オキソ」という用語は、本明細書で使用する場合、基=Oを意味する。
【0059】
破線(-------)は、結合により連結される原子の価数を満たすのに要される一重または二重結合を表す。結合は芳香特性を有する場合があると理解される。破線(-------)は、XおよびUを含有する環が少なくとも2つの二重結合を含むように一重または二重結合を表す。
【0060】
発明の詳細な説明
式(I)から、本発明の化合物は次のように表すことができると理解される:
【化2】
式中、Qは、以下のA、BまたはC:
【化3】
のいずれかを表す。
【0061】
一つの実施態様では、QはAを表す。一つの実施態様では、QはBを表す。一つの実施態様では、QはCを表す。
【0062】
一つの実施態様では、XはCR
4またはNを表す。別の実施態様では、XはCR
4またはNR
3を表す。別の実施態様では、XはNまたはNR
3を表す。さらなる実施態様では、XはCR
4を表す。さらに別の実施態様では、XはNを表す。なおさらに別の実施態様では、XはNR
3を表す。
【0063】
一つの実施態様では、R
1およびR
2の一方は水素を表し、他方はメチルを表すか、またはR
1およびR
2は両方とも水素を表す。一つの実施態様では、R
1およびR
2の一方は水素を表し、他方はメチルを表す。さらなる実施態様では、R
1はメチルを表し、かつ、R
2は水素を表す。別の実施態様では、R
1は水素を表し、かつ、R
2はメチルを表す。さらに別の実施態様では、R
1およびR
2は両方とも水素を表す。
【0064】
一つの実施態様では、R
3は水素またはメチルを表す。別の実施態様では、R
3は水素または−NH
2を表す。さらに別の実施態様では、R
3はメチルまたは−NH
2を表す。さらなる実施態様では、R
3は水素を表す。さらに別の実施態様では、R
3はメチルを表す。なおさらに別の実施態様では、R
3は−NH
2を表す。
【0065】
一つの実施態様では、R
4は水素またはメチルを表す。さらなる実施態様では、R
4は水素を表す。別の実施態様では、R
4はメチルを表す。
【0066】
一つの実施態様では、R
5は、非置換n−ブチルまたはフェニル基の2、3および/もしくは4位上で1もしくは2個のフッ素により置換されたベンジルを表す。一つの実施態様では、R
5は、非置換n−ブチルを表す。別の実施態様では、R
5は、フェニル基上で1個または2個のフッ素により置換されたベンジルを表す。さらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の2、3および/または4位上で1または2個のフッ素により置換されたベンジルを表す。さらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の2、3または4位上で1個のフッ素により置換されたベンジルを表し(すなわち、R
5は、2−フルオロベンジル、3−フルオロベンジルまたは4−フルオロベンジルを表す)。さらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の4位上で1個のフッ素により置換されたベンジルを表す(すなわち、R
5は、4−フルオロベンジルを表す)。さらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の2,3位、3,4位または2,4位上で2個のフッ素により置換されたベンジルを表す(すなわち、R
5は、2,3−ジフルオロベンジル、3,4−ジフルオロベンジルまたは2,4−ジフルオロベンジルを表す)。なおさらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の2,4位上で2個のフッ素により置換されたベンジルを表す(すなわち、R
5は、2,4−ジフルオロベンジルを表す)。
【0067】
さらなる実施態様では、R
5は、非置換n−ブチル、4−フルオロフェニルまたは2,4−ジフルオロフェニルを表す。なおさらなる実施態様では、R
5は、4−フルオロフェニルを表す。
【0068】
一つの実施態様では、R
6は、ヒドロキシメチルまたは−CH(OR
x)CH
2OR
zを表す。一つの実施態様では、R
6は、ヒドロキシメチルを表す。
【0069】
一つの実施態様では、R
6は、−CH(OR
x)CH
2OR
zを表す。一つの実施態様では、R
xおよびR
zの一方は水素を表し、他方はメチルを表すか、またはR
xおよびR
zは両方とも水素を表す。さらなる実施態様では、R
xはメチルを表し、かつ、R
zは水素を表す。別の実施態様では、R
xは水素を表し、かつ、R
zはメチルを表す。さらに別の実施態様では、R
xおよびR
zは両方とも水素を表す。さらなる実施態様では、R
xは水素またはメチルを表し、かつ、R
zは水素を表す。さらに別の実施態様では、R
xおよびR
zは両方ともメチルを表す。
【0070】
一つの実施態様では、R
6は、ヒドロキシメチル、−CH(OH)CH
2OH、−CH(OMe)CH
2OHまたは−CH(OH)CH
2OMeを表す。さらなる実施態様では、R
6は、ヒドロキシメチル、−CH(OH)CH
2OHまたは−CH(OMe)CH
2OHを表す。なおさらなる実施態様では、R
6はヒドロキシメチルを表す。
【0071】
一つの実施態様では、R
6は、オキソ(すなわち、=O)を表す。
【0072】
下位式
一つの実施態様では、式(I)の化合物は、
Xは、CR
4、NまたはNR
3であり;
ここで、
・XがCR
4である場合、Uは窒素を表し、かつ、R
6はオキソを表し;または
・XがNである場合、Uは炭素を表し、かつ、R
6はヒドロキシメチルもしくは−CH(OR
x)CH
2OR
zを表し;または
・XがNR
3である場合、Uは炭素を表し、かつ、R
6はオキソを表し;
破線(-------)は、一重または二重結合を表し、ここで、前記破線のうちの少なくとも2本は二重結合を表し;
R
1およびR
2の一方は水素を表し、他方はメチルを表すか、またはR
1およびR
2は両方とも水素を表し;
R
3は、水素、メチルまたは−NH
2を表し;
R
4は、水素またはメチルを表し;
R
5は、非置換n−ブチルまたはフェニル基の2、3および/もしくは4位上で1もしくは2個のフッ素により置換されたベンジルを表し;かつ
R
xおよびR
zの一方は水素を表し、他方はメチルを表すか、またはR
xおよびR
zは両方とも水素を表す。
【0073】
さらなる実施態様では、式(I)の化合物は、
Xは、CR
4、NまたはNR
3であり;
ここで、
・XがCR
4である場合、Uは窒素を表し、かつ、R
6はオキソを表し;または
・XがNである場合、Uは炭素を表し、かつ、R
6はヒドロキシメチルもしくは−CH(OR
x)CH
2OR
zを表し;または
・XがNR
3である場合、Uは炭素を表し、かつ、R
6はオキソを表し;
破線(-------)は、一重または二重結合を表し、ここで、前記破線のうちの少なくとも2本は二重結合を表し;
R
1およびR
2の一方は水素を表し、他方はメチルを表すか、またはR
1およびR
2は両方とも水素を表し;
R
3は、水素、メチルまたは−NH
2を表し;
R
4は、水素またはメチルを表し;
R
5は、非置換n−ブチル、4−フルオロベンジルまたは2,4−フルオロベンジルを表し;
R
xは、水素またはメチルを表し;かつ
R
zは、水素を表す。
【0074】
一つの実施態様では、式(I)の化合物は、式(Ia):
【化4】
(式中、R
1、R
2、R
4およびR
5は実施態様のいずれかに定義される)
の化合物、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしく溶媒和物である。
【0075】
式(Ia)の化合物の一つの実施態様では、R
1およびR
2の一方は水素を表し、他方はメチルを表すか、またはR
1およびR
2は両方とも水素を表す。式(Ia)の化合物のさらなる実施態様では、R
1は水素を表し、かつ、R
2はメチルを表すか、またはR
1およびR
2は両方とも水素を表す。
【0076】
式(Ia)の化合物のさらなる実施態様では、R
1はメチルを表し、かつ、R
2は水素を表す。式(Ia)の化合物の別の実施態様では、R
1は水素を表し、かつ、R
2はメチルを表す。
【0077】
式(Ia)の化合物の一つの実施態様では、R
4は水素またはメチルを表す。
【0078】
式(Ia)の化合物の一つの実施態様では、R
5は、非置換n−ブチルまたはフェニル基の2、3および/または4位上で1もしくは2個のフッ素により置換されたベンジルを表す。式(Ia)の化合物の一つの実施態様では、R
5は、非置換n−ブチルを表す。式(Ia)の化合物の別の実施態様では、R
5は、フェニル基上で1個または2個のフッ素により置換されたベンジルを表す。式(Ia)の化合物のさらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の2、3および/または4位上で1または2個のフッ素により置換されたベンジルを表す。式(Ia)の化合物のさらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の4位上で1個のフッ素により置換されたベンジルを表す(すなわち、R
5は、4−フルオロベンジルを表す)。式(Ia)の化合物のさらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の2,4位上で2個のフッ素により置換されたベンジルを表す(すなわち、R
5は、2,4−ジフルオロベンジルを表す)。
【0079】
一つの実施態様では、式(I)の化合物は、式(Ib):
【化5】
(式中、R
1、R
2、R
5、R
6、R
xおよびR
zは実施態様のいずれかに定義される)
の化合物、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物である。一つの実施態様では、R
6は、ヒドロキシメチルまたは−CH(OR
x)CH
2OR
zを表す。
【0080】
式(Ib)の化合物の一つの実施態様では、R
1はメチルを表し、かつ、R
2は水素を表すか、またはR
1およびR
2は両方とも水素を表す。
【0081】
式(Ib)の化合物のさらなる実施態様では、R
1およびR
2は両方とも水素を表す。
【0082】
式(Ib)の化合物の一つの実施態様では、R
5は、非置換n−ブチルまたはフェニル基の2、3および/もしくは4位上で1もしくは2個のフッ素により置換されたベンジルを表す。式(Ib)の化合物の一つの実施態様では、R
5は、非置換n−ブチルを表す。式(Ib)の化合物の別の実施態様では、R
5は、フェニル基上で1個または2個のフッ素により置換されたベンジルを表す。式(Ib)の化合物のさらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の2、3および/または4位上で1または2個のフッ素により置換されたベンジルを表す。式(Ib)の化合物のさらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の2、3または4位上で1個のフッ素により置換されたベンジルを表す(すなわち、R
5は、2−フルオロベンジル、3−フルオロベンジルまたは4−フルオロベンジルを表す)。式(Ib)の化合物のさらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の2,4位上で2個のフッ素により置換されたベンジルを表す(すなわち、R
5は、2,4−ジフルオロベンジルを表す)。式(Ib)の化合物のなおさらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の4位上で1個のフッ素により置換されたベンジルを表す(すなわち、R
5は、4−フルオロベンジルを表す)。
【0083】
式(Ib)の化合物の一つの実施態様では、R
6は、ヒドロキシメチル、−CH(OH)CH
2OH、−CH(OMe)CH
2OHまたは−CH(OH)CH
2OMeを表す。
【0084】
式(Ib)の化合物のさらなる実施態様では、R
6は、ヒドロキシメチル、−CH(OH)CH
2OHまたは−CH(OMe)CH
2OHを表す。
【0085】
式(Ib)の化合物のなおさらなる実施態様では、R
6は、ヒドロキシメチルを表す。
【0086】
一つの実施態様では、式(I)の化合物は、式(Ic):
【化6】
(式中、R
1、R
2、R
3およびR
5は実施態様のいずれかに定義される)
の化合物、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物である。
【0087】
式(Ic)の化合物一つの実施態様では、R
1およびR
2の一方は水素を表し、他方はメチルを表すか、またはR
1およびR
2は両方とも水素を表す。式(Ic)の化合物のさらなる実施態様では、R
1はメチルを表し、かつ、R
2は水素を表すか、またはR
1およびR
2は両方とも水素を表す。
【0088】
式(Ic)の化合物の一つの実施態様では、R
3は水素またはメチルを表す。式(Ic)の化合物の別の実施態様では、R
3は水素または−NH
2を表す。式(Ic)の化合物のさらに別の実施態様では、R
3はメチルまたは−NH
2を表す。式(Ic)の化合物のさらなる実施態様では、R
3は水素を表す。式(Ic)の化合物のさらに別の実施態様では、R
3はメチルを表す。式(Ic)の化合物のなおさらに別の実施態様では、R
3は−NH
2を表す。
【0089】
式(Ic)の化合物の一つの実施態様では、R
5は、非置換n−ブチルまたはフェニル基の2、3および/もしくは4位上で1もしくは2個のフッ素により置換されたベンジルを表す。式(Ic)の化合物の一つの実施態様では、R
5は、非置換n−ブチルを表す。式(Ic)の化合物の別の実施態様では、R
5は、フェニル基上で1個または2個のフッ素により置換されたベンジルを表す。式(Ic)の化合物のさらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の2、3および/または4位上で1または2個のフッ素により置換されたベンジルを表す。式(Ic)の化合物のさらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の2または4位上で1個のフッ素により置換されたベンジルを表す(すなわち、R
5は、2−フルオロベンジルまたは4−フルオロベンジルを表す)。式(Ic)の化合物のさらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の4位上で1個のフッ素により置換されたベンジルを表す(すなわち、R
5は、4−フルオロベンジルを表す)。式(Ic)の化合物のさらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の2,4位上で2個のフッ素により置換されたベンジルを表す(すなわち、R
5は、2,4−ジフルオロベンジルを表す)。
【0090】
一つの実施態様では、式(I)の化合物は、式(Id):
【化7】
(式中、R
5は実施態様のいずれかに定義される)
の化合物、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物である。
【0091】
式(Id)の化合物の一つの実施態様では、R
5は、非置換n−ブチルまたはフェニル基の2、3および/もしくは4位上で1もしくは2個のフッ素により置換されたベンジルを表す。式(Id)の化合物の一つの実施態様では、R
5は、非置換n−ブチルを表す。式(Id)の化合物の別の実施態様では、R
5は、フェニル基上で1個または2個のフッ素により置換されたベンジルを表す。式(Id)の化合物のさらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の2、3および/または4位上で1もしくは2個のフッ素により置換されたベンジルを表す。式(Id)の化合物のさらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の2、3または4位上で1個のフッ素により置換されたベンジルを表す(すなわち、R
5は、2−フルオロベンジル、3−フルオロベンジルまたは4−フルオロベンジルを表す)。式(Id)の化合物のさらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の2,4位上で2個のフッ素により置換されたベンジルを表す(すなわち、R
5は、2,4−ジフルオロベンジルを表す)。式(Id)の化合物のなおさらなる実施態様では、R
5は、フェニル基の4位上で1個のフッ素により置換されたベンジルを表す(すなわち、R
5は、4−フルオロベンジルを表す)。
【0092】
一つの実施態様では、式(I)の化合物は、R
1がメチルを表し、かつ、R
2が水素を表す、式(I)、(Ia)、(Ib)または(Ic)の化合物である。
【0093】
一つの実施態様では、式(I)の化合物は、R
1およびR
2が両方とも水素を表す、式(I)、(Ia)、(Ib)または(Ic)の化合物である。
【0094】
一つの実施態様では、式(I)の化合物は、R
1が水素を表し、かつ、R
2がメチルを表す、式(I)、(Ia)、(Ib)または(Ic)の化合物である。
【0095】
一つの実施態様では、式(I)の化合物は、R
5が非置換n−ブチルを表す、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)または(Id)の化合物である。
【0096】
一つの実施態様では、式(I)の化合物は、R
5が、フェニル基の2、3および/または4位上で1または2個のフッ素により置換されたベンジルを表す、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)または(Id)の化合物である。
【0097】
一つの実施態様では、式(I)の化合物は、R
5が、フェニル基上で1個または2個のフッ素により置換されたベンジルを表す、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)または(Id)の化合物である。
【0098】
一つの実施態様では、式(I)の化合物は、R
5が、フェニル基上で2個のフッ素で置換された、例えば、2,3二置換、2,4二置換、2,5二置換、3,5二置換、2,6二置換または3,4二置換されたベンジルを表す、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)または(Id)の化合物である。
【0099】
一つの実施態様では、式(I)の化合物は、R
5が、フェニル基の2、3および/または4位上で1または2個のフッ素により置換されたベンジルを表す、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)または(Id)の化合物である。
【0100】
一つの実施態様では、式(I)の化合物は、R
5が、フェニル基の2、3または4位上で1個のフッ素により置換されたベンジルを表す(すなわち、R
5が2−フルオロベンジル、3−フルオロベンジルまたは4−フルオロベンジルを表す)、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)または(Id)の化合物である。
【0101】
一つの実施態様では、式(I)の化合物は、R
5が、フェニル基の2,3位、3,4位または2,4位上で2個のフッ素により置換されたベンジルを表す(すなわち、R
5が2,3−ジフルオロベンジル、3,4−ジフルオロベンジルまたは2,4−ジフルオロベンジルを表す)、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)または(Id)の化合物である。
【0102】
一つの実施態様では、式(I)の化合物は、R
5が、フェニル基の2,4位上で2個のフッ素により置換されたベンジルを表す(すなわち、R
5が2,4−ジフルオロベンジルを表す)、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)または(Id)の化合物である。
【0103】
一つの実施態様では、式(I)の化合物は、R
5が2,4−ジフルオロベンジルまたは4−フルオロベンジルを表す、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)または(Id)の化合物である。
【0104】
一つの実施態様では、本発明は、実施例1〜37の化合物の遊離塩基を含んでなる式(I)の化合物、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0105】
一つの実施態様では、本発明は、実施例1〜37の化合物の遊離塩基である式(I)の化合物、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0106】
一つの実施態様では、本発明は、実施例1〜37の化合物を含んでなる式(I)の化合物、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型もしくは溶媒和物を提供する。
【0107】
さらなる実施態様では、化合物は、実施例1〜34の遊離塩基、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物から選択される。
【0108】
さらなる実施態様では、本発明は、
1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン;
6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3,4−トリメチル−1−{2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]アセチル}−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン;
6−[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−1−{2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]アセチル}−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン;
6−[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]−3,3,4−トリメチル−1−{2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]アセチル}−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン;
1−[5−((RまたはS)−1,2−ジヒドロキシエチル)−6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−2−[(2R,5R)−2−{[(3R,5R)−3,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−5−メチルピペラジン−1−イル]エタン−1−オン;
6−[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]−1−{2−[(2R,5R)−2−{[(2S,5R)−2,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−5−メチルピペラジン−1−イル]アセチル}−3,3−ジメチル−1H,2H,3H,5H,6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−オン;
4−アミノ−6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−1−{2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]アセチル}−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン;
1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−((RまたはS)−2−ヒドロキシ−1−メトキシエチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン;
4−アミノ−6−ブチル−1−{2−[(2R,5R)−2−{[(3R,5R)−3,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−5−メチルピペラジン−1−イル]アセチル}−3,3−ジメチル−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン;
6−[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]−3,3,4−トリメチル−1−{2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]アセチル}−1H,2H,3H,5H,6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−オン;
6−ブチル−1−{2−[(2R,5R)−2−{[(3R,5R)−3,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−5−メチルピペラジン−1−イル]アセチル}−3,3−ジメチル−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン;および
6−ブチル−1−{2−[(2R,5R)−2−{[(2S,5R)−2,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−5−メチルピペラジン−1−イル]アセチル}−3,3−ジメチル−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン
から選択される化合物を含んでなる式(I)の化合物、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0109】
さらなる実施態様では、本発明は、
1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン二塩酸塩(E2);
6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3,4−トリメチル−1−{2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]アセチル}−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン二塩酸塩(E6);
6−[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−1−{2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]アセチル}−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン二塩酸塩(E8);
6−[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]−3,3,4−トリメチル−1−{2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]アセチル}−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン二塩酸塩(E19);
1−[5−((RまたはS)−1,2−ジヒドロキシエチル)−6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−2−[(2R,5R)−2−{[(3R,5R)−3,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−5−メチルピペラジン−1−イル]エタン−1−オン二塩酸塩(E21);
6−[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]−1−{2−[(2R,5R)−2−{[(2S,5R)−2,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−5−メチルピペラジン−1−イル]アセチル}−3,3−ジメチル−1H,2H,3H,5H,6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−オン二塩酸塩(E22);
4−アミノ−6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−1−{2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]アセチル}−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン二塩酸塩(E24);
1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−((RまたはS)−2−ヒドロキシ−1−メトキシエチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン三塩酸塩(E27);
4−アミノ−6−ブチル−1−{2−[(2R,5R)−2−{[(3R,5R)−3,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−5−メチルピペラジン−1−イル]アセチル}−3,3−ジメチル−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン二塩酸塩(E30);
6−[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]−3,3,4−トリメチル−1−{2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]アセチル}−1H,2H,3H,5H,6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−オン二塩酸塩(E31);
6−ブチル−1−{2−[(2R,5R)−2−{[(3R,5R)−3,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−5−メチルピペラジン−1−イル]アセチル}−3,3−ジメチル−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン二塩酸塩(E32)および
6−ブチル−1−{2−[(2R,5R)−2−{[(2S,5R)−2,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−5−メチルピペラジン−1−イル]アセチル}−3,3−ジメチル−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン二塩酸塩(E37)
から選択される化合物、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、もしくは溶媒和物を提供する。
【0110】
さらなる実施態様では、化合物は、実施例2、6、19、21、22、24、27、30、31および32の遊離塩基、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物から選択される。
【0111】
なおさらなる実施態様では、本発明は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンを含んでなる式(I)の化合物、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0112】
なおさらなる実施態様では、本発明は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン塩酸塩を含んでなる式(I)の化合物、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、もしくは溶媒和物を提供する。
【0113】
なおさらなる実施態様では、本発明は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン二塩酸塩(E2)を提供する。
【0114】
なおさらなる実施態様では、本発明は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン乳酸塩、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、もしくはその溶媒和物を提供する。
【0115】
なおさらなる実施態様では、本発明は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、もしくは溶媒和物を提供する。
【0116】
なおさらなる実施態様では、化合物は実施例38〜42から選択される。
【0117】
なおさらなる実施態様では、本発明は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩(A型)(E39)を提供する。
【0118】
なおさらなる実施態様では、本発明は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩(B型)(E40)を提供する。
【0119】
なおさらなる実施態様では、本発明は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩(C型)(E43)を提供する。
【0120】
なおさらなる実施態様では、本発明は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン硫酸塩、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、もしくは溶媒和物を提供する。
【0121】
なおさらなる実施態様では、本発明は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン硫酸塩(F型)(E41)を提供する。
【0122】
なおさらなる実施態様では、本発明は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンメシル酸塩、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、もしくは溶媒和物を提供する。
【0123】
なおさらなる実施態様では、本発明は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンメシル酸塩(B型)(E42)を提供する。
【0124】
さらなる実施態様では、選択される化合物は、実施例35、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物以外である。
【0125】
さらなる実施態様では、選択される化合物は、実施例2、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物以外である。
【0126】
不確実性を避けるために、1つの置換基に関する一般的および具体的な選択肢、実施態様および実施例のそれぞれは、本明細書に定義される1以上の、好ましくは総ての他の置換基に関する一般的および具体的な選択肢、実施態様および実施例のそれぞれと組み合わせてよいこと、ならびにそのような実施態様は総て本明細書に包含されると理解されるべきである。
【0127】
塩、溶媒化合物、互変異性体、異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグおよび同位体
式(I)の化合物およびその下位群という場合には、例えば以下に述べられる、そのイオン形態、塩、溶媒化合物、異性体(幾何異性体および立体異性体を含む)、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態、好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、いっそうより具体的にはその塩または互変異性体または溶媒和物も含まれる。
【0128】
塩
式(I)の多くの化合物は塩の形態で存在してよく、例えば、酸付加塩、または特定の場合では、カルボン酸塩、スルホン酸塩およびリン酸塩などの有機および無機塩基の塩が挙げられる。そのような塩は総て本発明の範囲内であり、式(I)の化合物という場合には、化合物の塩形態が含まれる。
【0129】
本発明の塩は、Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, P. Heinrich Stahl (編者), Camille G. Wermuth (Editor), ISBN: 3-90639-026-8, Hardcover, 388頁, 2002年8月に記載の方法などの、従来の化学法によって、塩基性または酸性部分を含む親化合物から合成され得る。一般に、そのような塩は、これら化合物の遊離酸形態または塩基形態を、水もしくは有機溶媒中またはその2つの混合物中で適切な塩基または酸と反応させることにより調製することができ、通常、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水性媒体が用いられる。
【0130】
酸付加塩(一塩または二塩)は、無機および有機両方の多様な酸とともに形成され得る。酸付加塩の例としては、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸)、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)ショウノウ酸、カンファー−スルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D−グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L−グルタミン酸)、α−オキソグルタール酸、グリコール酸、馬尿酸、ハロゲン化水素酸(例えば、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸)、イセチオン酸、乳酸(例えば、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸および吉草酸ならびにアシル化アミノ酸からなる群から選択される酸とともに形成される一または二塩、ならびにカチオン交換樹脂が挙げられる。
【0131】
塩の特定の群の1つは、酢酸、塩酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸(メシル酸)、エタンスルホン酸、ナフタリンスルホン酸、吉草酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、マロン酸、グルクロン酸およびラクトビオン酸から形成される塩からなる。塩の1つの特定の下位群は、塩酸、乳酸(例えば、(+)−L−乳酸、(−)−D−乳酸または(±)−DL−乳酸)、硫酸およびメタンスルホン酸(メシル酸)から形成される塩からなる。塩の1つの特定のさらなる下位群は、乳酸(例えば、(+)−L−乳酸、(−)−D−乳酸または(±)−DL−乳酸)、硫酸およびメタンスルホン酸(メシル酸)から形成される塩からなる。塩の1つの特定のさらなる下位群は、乳酸(例えば、(+)−L−乳酸、(−)−D−乳酸または(±)−DL−乳酸)および硫酸から形成される塩からなる。1つの特定の塩は塩酸塩である。1つのさらなる特定の塩は、乳酸塩(例えば、実施例39、40および43の化合物)である。1つのさらなる特定の塩は、硫酸塩(例えば、実施例41の化合物)である。1つのさらなる特定の塩は、メシル酸塩(例えば、実施例42の化合物)である。1つの特定の塩は、乳酸塩(例えば、実施例39、40および43の化合物、特に、実施例43の化合物)、例えば、L−(+)−乳酸塩である。
【0132】
化合物がアニオン性またはアニオン性となり得る官能基(例えば、−COOHは−COO
−となり得る)を有する場合、塩は有機または無機塩基とともに形成され、適切なカチオンを生成し得る。適切な無機カチオンの例としては、限定されるものではないが、Li
+、Na
+およびK
+などのアルカリ金属イオン、Ca
2+およびMg
2+などのアルカリ土類金属カチオン、およびAl
3+またはZn
+などの他のカチオンが挙げられる。適切な有機カチオンの例としては、限定されるものではないが、アンモニウムイオン(すなわち、NH
4+)および置換アンモニウムイオン(例えば、NH
3R
+、NH
2R
2+、NHR
3+、NR
4+)が挙げられる。いくつかの適切な置換アンモニウムイオンの例としては、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミンおよびトロメタミン、ならびにリジンおよびアルギニンなどのアミノ酸から誘導されたものが挙げられる。一般的な第四級アンモニウムイオンの例は、N(CH
3)
4+である。
【0133】
式(I)の化合物がアミン官能基を含む場合、これらは、例えば当業者に周知の方法に従ったアルキル化剤との反応によって、第四級アンモニウム塩を形成し得る。そのような第四級アンモニウム化合物は、式(I)の範囲内である。
【0134】
本発明の化合物は、塩が形成される酸のpKaによって、一塩、二塩または三塩、特に一塩または二塩として存在し得る。
【0135】
本発明の化合物の塩形態は、一般に、薬学的に許容可能な塩であり、薬学的に許容可能な塩の例は、Berge et al., 1977, "Pharmaceutically Acceptable Salts," J. Pharm. Sci., Vol. 66, pp. 1-19に述べられている。しかしながら、薬学的に許容可能でない塩も、中間形態として調製され得、これは次いで薬学的に許容可能な塩に変換され得る。例えば本発明の化合物の精製または分離において有用であり得る、そのような薬学的に許容可能でない塩形態も、本発明の一部をなす。
【0136】
本発明の一つの実施態様では、本明細書に記載される式(I)の化合物ならびにその下位群および例を、10mg/ml超、一般に15mg/ml超、好ましくは20mg/ml超の濃度の塩形態で含有する溶液(例えば、水溶液)を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0137】
N−オキシド
アミン官能基を含む式(I)の化合物は、N−オキシドも形成し得る。本明細書において、アミン官能基を含む式(I)の化合物という場合には、N−オキシドも含む。
【0138】
化合物が複数のアミン官能基を含む場合、1または2以上の窒素原子が酸化されてN−オキシドを形成してもよい。N−オキシドの特定の例は、第三級アミンまたは窒素含有複素環の窒素原子のN−オキシドである。
【0139】
N−オキシドは、対応するアミンと過酸化水素または過酸(例えば、ペルオキシカルボン酸)などの酸化剤での処理によって形成することができ、例えば、Advanced Organic Chemistry, by Jerry March, 第4版, Wiley Interscienceのページを参照。より具体的には、N−オキシドは、L. W. Deady (Syn. Comm. 1977, 7, 509-514)の手順によって作製することができ、ここでは、アミン化合物を、例えばジクロロメタンなどの不活性溶媒中で、m−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)と反応させる。
【0140】
幾何異性体および互変異性体
式(I)の化合物は、複数の異なる幾何異性体および互変異性体形態で存在し得、式(I)の化合物という場合には、そのような形態が総て含まれる。不確実性を避けるために、化合物が複数の幾何異性体または互変異性体形態のうちの1つで存在し得、1つのみが具体的に説明または示される場合でも、他の総てが式(I)によって包含される。
【0141】
例えば、式(I)の化合物において、XがNHを表し、かつ、Uが炭素を表す化合物のフェニル環は、下記に示されるような互変異性体形態で存在し得る。分かりやすくするため、一般式(I)は1つの形態1を示すが、その式は両方の互変異性体形態(1および2)を包含するものと理解される。
【化8】
【0142】
互変異性体の他の例としては、例えば、以下の互変異性体のペア:ケト/エノール(以下で示される)、イミン/エンアミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/エンジアミン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エネチオール、およびニトロ/アシニトロの場合のように、ケト−、エノール−およびエノレート形態が含まれる。
【化9】
【0143】
立体異性体
そうではないことが言及または指示されない限り、化合物の化学記号は、可能性のある総ての立体化学的異性体形態の混合物を意味する。
【0144】
立体中心は、「小刻み」または「くさび状」の線を用いた通常の方法で示される。例えば、
【化10】
Boc−N−メチルアラニン、(S)−(+)−2−ヒドロキシ−2−フェニルプロピオン酸。
【0145】
化合物が2つのジアステレオマー/エピマーの混合物として記載される場合、立体中心の立体配置は明記されず、直線で示される。
【0146】
そうではないことが言及または指示されない限り、式(I)の化合物が1以上のキラル中心を含み、2つ以上の光学異性体の形態で存在し得る場合、式(I)の化合物という場合には、文脈がそうではないことを要求しない限り、その光学異性体形態の総て(例えば、鏡像異性体、エピマーおよびジアステレオマー)が、個々の光学異性体として、または、混合物(例えばラセミ混合物)もしくは2つ以上の光学異性体としてのいずれかで包含される。
【0147】
光学異性体は、その光学活性(すなわち、+および−異性体またはdおよびl異性体として)によって特徴づけおよび認識ができ、または、光学異性体は、Cahn、IngoldおよびPrelogが開発した「RおよびS」命名を用いてその絶対立体化学に関して特徴づけができ、Advanced Organic Chemistry by Jerry March, 第4版, John Wiley & Sons, New York, 1992, 109-114頁を参照、また、Cahn, Ingold & Prelog, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 1966, 5, 385-415も参照。
【0148】
光学異性体は、キラルクロマトグラフィー(キラル支持体上でのクロマトグラフィー)を含むいくつかの技術によって分離することができ、そのような技術は当業者に周知である。
【0149】
キラルクロマトグラフィーに対する別法として、(+)−酒石酸、(−)−ピログルタミン酸、(−)−ジ−トルオイル−L−酒石酸、(+)−マンデル酸、(−)−リンゴ酸および(−)−カンファスルホン酸などのキラル酸でジアステレオマー塩を形成し、優先晶出によってジアステレオマーを分離し、次いでその塩を解離させることで光学異性体を分離して遊離塩基の個々の鏡像異性体を得ることができる。
【0150】
さらに、鏡像異性体分離は、鏡像異性的に純粋なキラル補助基を化合物上に共有結合し、次いで、クロマトグラフィーなどの従来の方法を用いてジアステレオマー分離を実施することにより達成され得る。この後、前記の共有結合が切断され、適切な鏡像異性的に純粋な生成物が生成される。
【0151】
式(I)の化合物が2つ以上の光学異性体形態として存在する場合、鏡像異性体のペアのうちの1つの鏡像異性体は、他の鏡像異性体に対して、例えば生物学的活性の点で有利な点を示し得る。このように、特定の状況では、治療薬として、鏡像体ペアのうち1つのみを、または、複数のジアステレオマーのうち1つのみを使用することが望ましい場合がある。従って、本発明は、1以上のキラル中心を有する式(I)の化合物を含む組成物を提供し、ここで、式(I)の化合物の少なくとも55%(例えば、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%)が、単一の光学異性体(例えば、鏡像異性体またはジアステレオマー)として存在する。1つの一般的な実施態様では、式(I)の化合物の総量の99%以上(例えば、実質的に全て)が単一の光学異性体(例えば、鏡像異性体またはジアステレオマー)として存在し得る。
【0152】
二重結合を含む化合物は、前記二重結合において、E(entgegen)またはZ(zusammen)立体化学を有し得る。二価環式または(部分的)飽和ラジカル上の置換基は、シス配置またはトランス配置のいずれかを有し得る。シスおよびトランスという用語は、本明細書で使用される場合、Chemical Abstracts命名法(J. Org. Chem. 1970, 35 (9), 2849-2867)に従い、環部分上の置換基の位置を意味する。
【0153】
特に興味深いのは、立体化学的に純粋なこれらの式(I)の化合物である。式(I)の化合物が例えばRとして指定される場合、これはその化合物が実質的にS異性体を含まないということを意味する。式(I)の化合物が例えばEとして指定される場合、これはその化合物は実質的にZ異性体を含まないということを意味する。シス、トランス、R、S、EおよびZという用語は、当業者に周知である。
【0154】
同位体の変異形
本発明には、薬学的に許容可能な、同位体で標識された本発明の化合物、すなわち、1以上の原子が、同一の原子番号を有するが、自然に通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子で置き換えられる、式(I)の化合物が総て含まれる。
【0155】
本発明の化合物への包含に適切な同位体の例としては、
2H(D)および
3H(T)などの水素の同位体、
11C、
13Cおよび
14Cなどの炭素、
36Clなどの塩素、
18Fなどのフッ素、
123I、
125Iおよび
131Iなどのヨウ素、
13Nおよび
15Nなどの窒素、
15O、
17Oおよび
18Oなどの酸素、
32Pなどのリン、
35Sなどの硫黄が挙げられる。
【0156】
同位体で標識された式(I)の特定の化合物、例えば、放射性同位体を組み込んだものは、薬物および/または基質組織分布研究で有用である。式(I)の化合物はまた、標識された化合物と他の分子、ペプチド、タンパク質、酵素または受容体との間の複合体の形成を検出または特定するために使用できるという点で、有価な診断特性を有し得る。検出または特定方法は、放射性同位体、酵素、蛍光物質、発光物質(例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、エクオリンおよびルシフェラーゼ)などの標識剤で標識された化合物を用い得る。放射性同位体三重水素、すなわち
3H(T)、および炭素−14、すなわち
14Cは、それらの組み込みの簡易性および即時の検出手段という観点から、特にこの目的に有用である。
【0157】
重水素、すなわち
2H(D)などのより重い同位体での置換は、例えばin vivoでの半減期の延長または用量要求の低減などの、より良好な代謝安定性から生じる特定の治療利点を与え得るので、使用可能な場合がある。
【0158】
11C、
18F、
15Oおよび
13Nなどのポジトロン放出同位体での置換は、標的の占有率を検査するためのポジトロン断層撮影法(PET)研究に有用であり得る。
【0159】
同位体で標識された式(I)の化合物は一般に、従来使用されている非標識試薬の代わりに適当な同位体標識試薬を用いて、当業者に公知の従来技術または付属の実施例および製法に記載されるものに類似した方法で製造することができる。
【0160】
エステル
カルボン酸基またはヒドロキシル基を有する式(I)の化合物のカルボン酸エステル、アシルオキシエステルおよびリン酸エステルなどのエステルも、式(I)に包含される。エステルの例としては、基−C(=O)ORを含む化合物が挙げられ、ここで、Rは、エステル置換基、例えば、C
1−7アルキル基、C
3−12ヘテロシクリル基またはC
5−12アリール基、好ましくはC
1−6アルキル基である。エステル基の特定の例としては、限定されるものではないが、−C(=O)OCH
3、−C(=O)OCH
2CH
3、−C(=O)OC(CH
3)
3および−C(=O)OPhが挙げられる。アシルオキシ(逆エステル)基は−OC(=O)Rで表され、ここで、Rはアシルオキシ置換基、例えば、C
1−6アルキル基、C
3−12ヘテロシクリル基またはC
5−12アリール基、好ましくはC
1−6アルキル基である。アシルオキシ基の特定の例としては、限定されるものではないが、−OC(=O)CH
3(アセトキシ)、−OC(=O)CH
2CH
3、−OC(=O)C(CH
3)
3、−OC(=O)Phおよび−OC(=O)CH
2Phが挙げられる。リン酸エステルの例としては、リン酸から誘導されたものが挙げられる。
【0161】
本発明の一つの実施態様では、式(I)は、その範囲内に、カルボン酸基またはヒドロキシル基を保有する式(I)の化合物のエステルを含む。本発明の別の実施態様では、式(I)には、その範囲内に、カルボン酸基またはヒドロキシル基を保有する式(I)の化合物のエステルは含まれない。
【0162】
溶媒和物および結晶形
また、式(I)には、化合物の多形形態、および、水和物、アルコラートなどの溶媒和物も包含される。
【0163】
本発明の化合物は、例えば水(すなわち水和物)または通常の有機溶媒と溶媒和物を形成し得る。本明細書で使用する場合、「溶媒和化合物」という用語は、本発明の化合物の、1以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合には、水素結合を含め、様々な程度のイオン結合および共有結合が含まれる。特定の例では、例えば、1以上の溶媒分子が結晶質固体の結晶格子に組み込まれている場合の溶媒和物が単離可能である。「溶媒和物」という用語は、液相の溶媒和物および単離可能な溶媒和物の両方を含むことが意図される。適切な溶媒和物の非制限的な例としては、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸またはエタノールアミンなどと組み合わせた本発明の化合物が挙げられる。本発明の化合物は溶液中にある際に、その生物学的効果を発揮し得る。
【0164】
溶媒和物は製薬化学では周知である。溶媒和物は、物質の調製のためのプロセス(例えば、精製、物質の保存(例えば、その安定性)に関して)およびその物質の扱いやすさに関して重要であり得、化学合成の単離または精製段階の一部としてしばしば形成される。当業者ならば、標準的な長く使用されている技術を用いて、水和物または他の溶媒和物が、所与の化合物を製造するために使用される単離条件または精製条件によって、形成されたかどうかを決定することができる。そのような技術の例としては、熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)、X線結晶構造解析(例えば、単結晶X線結晶構造解析またはX線粉末回析)および固相NMR(SS−NMR、マジックアングルスピニングNMRまたはMAS−NMR)が挙げられる。そのような技術は、NMR、IR、HPLCおよびMSと同様に、熟練の化学者の標準的な分析ツールキットの一部である。
【0165】
あるいは、当業者ならば、特定の溶媒和物に必要とされる溶媒の量を含む結晶化条件を用いて、溶媒和物を意図的に形成することができる。これ以降、上述の標準的方法は溶媒和物が形成されたか否かを確認するために使用することができる。
【0166】
一つの実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンの塩は、存在する溶媒和物、例えば、水和物、アルコラート、イソプロピル酢酸塩、酢酸メチルまたはアルカン、例えば、ヘプタンが10%未満(例えば、下記の量、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0.1、0.05または0.01%のいずれか1つ以下)である。
【0167】
一つの実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンの塩は無水である。さらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンの無水塩は、含有する水が5重量%以下(例えば、下記の量4、3、2、1、0.5、0.1、0.05または0.01%のいずれか1つ以下)である。
【0168】
一つの実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンの塩は、単結晶形を含み、他の結晶形が5重量%以下(例えば、下記の量4、3、2、1、0.5、0.1、0.05または0.01%のいずれか1つ以下)である。
【0169】
一つの実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンの塩は、結晶性である。
【0170】
一つの実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンの塩は、非晶質である。
【0171】
さらに、本発明の化合物は、1以上の多形体または非晶質結晶形を有してよく、従って、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0172】
本明細書で「多形体」という場合には、式(I)の化合物の2つ以上の結晶構造の存在を意味する。化学化合物の、2以上の結晶修飾で結晶化する能力は、物理化学的特性、保存寿命、溶解度、調剤特性、毒性、バイオアベイラビリティ、吸湿性および加工特性などの前記化合物の特性に影響を及ぼし得る。加えて、医薬化合物の治療作用は、薬物分子の多形に影響を受け得る。
【0173】
一つの実施態様では、式(I)の化合物は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンまたはその塩の多形形態を含んでなる。
【0174】
さらなる実施態様では、式(I)の化合物は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンの塩の多形形態を含んでなる。
【0175】
さらなる実施態様では、式(I)の化合物は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のA型多形体を含んでなる。この化合物は本明細書の実施例39で定義される用に製造され得る。
【0176】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩は、
図1に示される
1H NMRスペクトルを特徴とする。
【0177】
化合物のX線粉末図形はX線回折スペクトルの回折角(2θ)および面間隔(d)のパラメーターで特徴付けられる。これらはブラッグの式nλ=2d Sin θ、(式中、n=1;λ=使用するカソードの波長;d=面間隔;およびθ=回折角)により関係付けられる。ここで、面間隔、回折角および全体図形(overall pattern)は、それらのデータの特性のためにX線粉末回折における結晶の同定に重要である。相対強度は、結晶成長の方向、粒径および測定条件によって異なり得るので、厳密に説明すべきものではい。加えて、回折角は通常、2θ±0.2°の範囲で一致するものを意味する。ピークは、主要ピークを意味し、上記のもの以外の回折角では媒体を超えないピークが含まれる。
【0178】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のA型多形体は、6.5±0.5°、7.1±0.5°、7.9±0.5°、9.3±0.5°、10.2±0.5°、11.0±0.5°、11.6±0.5°、13.3±0.5°、14.4±0.5°、15.0±0.5°、16.7±0.5°、18.0±0.5°、18.4±0.5°、20.0±0.5°、21.0±0.5°、23.4±0.5°、25.2±0.5°および26.1±0.5°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0179】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のA型多形体は、6.5±0.2°、7.1±0.2°、7.9±0.2°、9.3±0.2°、10.2±0.2°、11.0±0.2°、11.6±0.2°、13.3±0.2°、14.4±0.2°、15.0±0.2°、16.7±0.2°、18.0±0.2°、18.4±0.2°、20.0±0.2°、21.0±0.2°、23.4±0.2°、25.2±0.2°および26.1±0.2°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0180】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のA型多形体は、6.5±0.1°、7.1±0.1°、7.9±0.1°、9.3±0.1°、10.2±0.1°、11.0±0.1°、11.6±0.1°、13.3±0.1°、14.4±0.1°、15.0±0.1°、16.7±0.1°、18.0±0.1°、18.4±0.1°、20.0±0.1°、21.0±0.1°、23.4±0.1°、25.2±0.1°および26.1±0.1°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0181】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のA型多形体は、6.5°、7.1°、7.9°、9.3°、10.2°、11.0°、11.6°、13.3°、14.4°、15.0°、16.7°、18.0°、18.4°、20.0°、21.0°、23.4°、25.2°および26.1°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0182】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のA型多形体は、
図2に実質的に示されるようなXRPD図形を特徴とする。
【0183】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のA型多形体は、
図2に示されるXRPD図形と同じ回折角(2θ)にピークを有することを特徴とし、場合により、ここで、これらのピークは、
図2に示されるピークと同じ相対強度を有する。
【0184】
当業者ならば、本明細書でXRPDに関してピークの「強度」という場合には、バックグラウンドノイズおよび他のこのようなパラメーターの正規化を考慮した相対強度を意味することが認識されるであろう。
【0185】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のA型多形体は、
図2のXRPD図形に示されるものと同様の回折角(2θ)および強度で主要ピークを有することを特徴とする。
【0186】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のA型多形体は、13.59±0.5Å、12.44±0.5Å、11.19±0.5Å、9.50±0.5Å、8.67±0.5Å、8.04±0.5Å、7.62±0.5Å、6.65±0.5Å、6.15±0.5Å、5.90±0.5Å、5.31±0.5Å、4.93±0.5Å、4.82±0.5Å、4.44±0.5Å、4.23±0.5Å、3.80±0.5Å、3.53±0.5Åおよび3.41±0.5Åの面間隔(d)値(d,2d.p.)を特徴とする。
【0187】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のA型多形体は、13.59±0.2Å、12.44±0.2Å、11.19±0.2Å、9.50±0.2Å、8.67±0.2Å、8.04±0.2Å、7.62±0.2Å、6.65±0.2Å、6.15±0.2Å、5.90±0.2Å、5.31±0.2Å、4.93±0.2Å、4.82±0.2Å、4.44±0.2Å、4.23±0.2Å、3.80±0.2Å、3.53±0.2Åおよび3.41±0.2Åの面間隔(d)値(d,2d.p.)を特徴とする。
【0188】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のA型多形体は、13.59±0.1Å、12.44±0.1Å、11.19±0.1Å、9.50±0.1Å、8.67±0.1Å、8.04±0.1Å、7.62±0.1Å、6.65±0.1Å、6.15±0.1Å、5.90±0.1Å、5.31±0.1Å、4.93±0.1Å、4.82±0.1Å、4.44±0.1Å、4.23±0.1Å、3.80±0.1Å、3.53±0.1Åおよび3.41±0.1Åの面間隔(d)値(d,2d.p.)を特徴とする。
【0189】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のA型多形体は、13.59Å、12.44Å、11.19Å、9.50Å、8.67Å、8.04Å、7.62Å、6.65Å、6.15Å、5.90Å、5.31Å、4.93Å、4.82Å、4.44Å、4.23Å、3.80Å、3.53Åおよび3.41Åの面間隔(d)値(d,2d.p.)を特徴とする。
【0190】
さらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のA型多形体は、78.69℃±0.5℃および/または113.91℃±0.5℃(例えば、78.69℃±0.2℃および/または113.91℃±0.2℃、特に、78.69℃±0.1℃および/または113.91℃±0.1℃、より具体的には、78.69℃および/または113.91℃)のDSCピーク温度を特徴とする。
【0191】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のA型多形体は、72.3℃±0.5℃(吸熱、ブロード)および/または102℃±0.5℃(吸熱、ブロード)(例えば、72.3℃±0.2℃および/または102℃±0.2℃、特に、72.3℃±0.1℃および/または102℃±0.1℃、より具体的には、72.3℃および/または102℃)のDSCオンセット温度を特徴とする。
【0192】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のA型多形体は、
図3に示されるようなDSCサーモグラムを特徴とする。
【0193】
さらなる実施態様では、式(I)の化合物は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のB型多形体を含んでなる。この化合物は、本明細書の実施例40に定義されるように製造され得る。
【0194】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩は、
図4に示される
1H NMRスペクトルを特徴とする。
【0195】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のB型多形体は、6.6±0.5°、9.4±0.5°、11.0±0.5°、13.2±0.5°、14.3±0.5°、15.8±0.5°、17.4±0.5°、18.4±0.5°、19.1±0.5°、20.9±0.5°、21.8±0.5°、23.1±0.5°、24.9±0.5°、26.7±0.5°および27.8±0.5°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0196】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のB型多形体は、6.6±0.2°、9.4±0.2°、11.0±0.2°、13.2±0.2°、14.3±0.2°、15.8±0.2°、17.4±0.2°、18.4±0.2°、19.1±0.2°、20.9±0.2°、21.8±0.2°、23.1±0.2°、24.9±0.2°、26.7±0.2°および27.8±0.2°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0197】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のB型多形体は、6.6±0.1°、9.4±0.1°、11.0±0.1°、13.2±0.1°、14.3±0.1°、15.8±0.1°、17.4±0.1°、18.4±0.1°、19.1±0.1°、20.9±0.1°、21.8±0.1°、23.1±0.1°、24.9±0.1°、26.7±0.1°および27.8±0.1°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0198】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のB型多形体は、6.6°、9.4°、11.0°、13.2°、14.3°、15.8°、17.4°、18.4°、19.1°、20.9°、21.8°、23.1°、24.9°、26.7°および27.8°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0199】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のB型多形体は、
図5に実質的に示されるようなXRPD図形を特徴とする。
【0200】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のB型多形体は、
図5に示されるXRPD図形と同じ回折角(2θ)にピークを有することを特徴とし、場合により、ここで、これらのピークは
図5に示されるピークと同じ相対強度を有する。
【0201】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のB型多形体は、
図5のXRPD図形に示されるものと同様の回折角(2θ)および強度で主要ピークを有することを特徴とする。
【0202】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のB型多形体は、13.39±0.5Å、9.40±0.5Å、8.04±0.5Å、6.70±0.5Å、6.19±0.5Å、5.61±0.5Å、5.09±0.5Å、4.82±0.5Å、4.64±0.5Å、4.25±0.5Å、4.07±0.5Å、3.85±0.5Å、3.57±0.5Å、3.34±0.5Åおよび3.21±0.5Åの面間隔(d)値(d,2d.p.)を特徴とする。
【0203】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のB型多形体は、13.39±0.2Å、9.40±0.2Å、8.04±0.2Å、6.70±0.2Å、6.19±0.2Å、5.61±0.2Å、5.09±0.2Å、4.82±0.2Å、4.64±0.2Å、4.25±0.2Å、4.07±0.2Å、3.85±0.2Å、3.57±0.2Å、3.34±0.2Åおよび3.21±0.2Åの面間隔(d)値(d,2d.p.)を特徴とする。
【0204】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のB型多形体は、13.39±0.1Å、9.40±0.1Å、8.04±0.1Å、6.70±0.1Å、6.19±0.1Å、5.61±0.1Å、5.09±0.1Å、4.82±0.1Å、4.64±0.1Å、4.25±0.1Å、4.07±0.1Å、3.85±0.1Å、3.57±0.1Å、3.34±0.1Åおよび3.21±0.1Åの面間隔(d)値(d,2d.p.)を特徴とする。
【0205】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のB型多形体は、13.39Å、9.40Å、8.04Å、6.70Å、6.19Å、5.61Å、5.09Å、4.82Å、4.64Å、4.25Å、4.07Å、3.85Å、 3.57Å、3.34Åおよび3.21Åの面間隔(d)値(d,2d.p.)を特徴とする。
【0206】
さらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のB型多形体は、85.25℃±0.5℃および/または106.72℃±0.5℃(例えば、85.25℃±0.2℃および/または106.72℃±0.2℃、特に、85.25℃±0.1℃および/または106.72℃±0.1℃、より具体的には、85.25℃および/または106.72℃)のDSCピーク温度を特徴とする。
【0207】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のB型多形体は、68℃±0.5℃(大きな吸熱、ブロード)および/または102℃±0.5℃(極小の吸熱、ブロード)(例えば、68℃±0.2℃および/または102℃±0.2℃、特に、68℃±0.1℃および/または102℃±0.1℃、より具体的には、68℃および/または102℃)のDSCオンセット温度を特徴とする。
【0208】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のB型多形体は、
図6に示されるようなDSCサーモグラムを特徴とする。
【0209】
さらなる実施態様では、式(I)の化合物は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン硫酸塩のF型多形体を含んでなる。この化合物は、本明細書の実施例41に定義されるように製造され得る。
【0210】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン硫酸塩は、
図7に示される
1H NMRスペクトルを特徴とする。
【0211】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン硫酸塩のF型多形体は、8.5±0.5°、13.5±0.5°、13.9±0.5°、14.3±0.5°、16.2±0.5°、17.3±0.5°、20.1±0.5°、21.3±0.5°、23.3±0.5°、24.4±0.5°および27.9±0.5°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0212】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン硫酸塩のF型多形体は、8.5±0.2°、13.5±0.2°、13.9±0.2°、14.3±0.2°、16.2±0.2°、17.3±0.2°、20.1±0.2°、21.3±0.2°、23.3±0.2°、24.4±0.2°および27.9±0.2°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0213】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン硫酸塩のF型多形体は、8.5±0.1°、13.5±0.1°、13.9±0.1°、14.3±0.1°、16.2±0.1°、17.3±0.1°、20.1±0.1°、21.3±0.1°、23.3±0.1°、24.4±0.1°および27.9±0.1°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0214】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン硫酸塩のF型多形体は、8.5°、13.5°、13.9°、14.3°、16.2°、17.3°、20.1°、21.3°、23.3°、24.4°および27.9°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0215】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン硫酸塩のF型多形体は、
図8に実質的に示されるようなXRPD図形を特徴とする。
【0216】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン硫酸塩のF型多形体は、
図8に示されるXRPD図形と同じ回折角(2θ)にピークを有することを特徴とし、場合により、ここで、これらのピークは
図8に示されるピークと同じ相対強度を有する。
【0217】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン硫酸塩のF型多形体は、
図8のXRPD図形に示されるものと同様の回折角(2θ)および強度で主要ピークを有することを特徴とする。
【0218】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン硫酸塩のF型多形体は、10.40±0.5Å、6.56±0.5Å、6.37±0.5Å、6.19±0.5Å、5.47±0.5Å、5.12±0.5Å、4.42±0.5Å、4.17±0.5Å、3.82±0.5Å、3.65±0.5Åおよび3.20±0.5Åの面間隔(d)値(d,2d.p.)を特徴とする。
【0219】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン硫酸塩のF型多形体は、10.40±0.2Å、6.56±0.2Å、6.37±0.2Å、6.19±0.2Å、5.47±0.2Å、5.12±0.2Å、4.42±0.2Å、4.17±0.2Å、3.82±0.2Å、3.65±0.2Åおよび3.20±0.2Å(d,2d.p.)の面間隔(d)値を特徴とする。
【0220】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン硫酸塩のF型多形体は、10.40±0.1Å、6.56±0.1Å、6.37±0.1Å、6.19±0.1Å、5.47±0.1Å、5.12±0.1Å、4.42±0.1Å、4.17±0.1Å、3.82±0.1Å、3.65±0.1Åおよび3.20±0.1Åの面間隔(d)値(d,2d.p.)を特徴とする。
【0221】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン硫酸塩のF型多形体は、10.40Å、6.56Å、6.37Å、6.19Å、5.47Å、5.12Å、4.42Å、4.17Å、3.82Å、3.65Åおよび3.20Åの面間隔(d)値(d,2d.p.)を特徴とする。
【0222】
さらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン硫酸塩のF型多形体は、80.31℃±0.5℃および/または149.07℃±0.5℃(例えば、80.31℃±0.2℃および/または149.07℃±0.2℃、特に、80.31℃±0.1℃および/または149.07℃±0.1℃、より具体的には、80.31℃および/または149.07℃)のDSCピーク温度を特徴とする
【0223】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン硫酸塩のF型多形体は、51.2℃±0.5℃(吸熱、ブロード)および/または136℃±0.5℃(吸熱、ブロード)(例えば、51.2℃±0.2℃および/または136℃±0.2℃、特に、51.2℃±0.1℃および/または136℃±0.1℃、より具体的には、51.2℃および/または136℃)のDSCオンセット温度を特徴とする。
【0224】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン硫酸塩のF型多形体は、
図9に示されるようなDSCサーモグラムを特徴とする。
【0225】
さらなる実施態様では、式(I)の化合物は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンメシル酸塩のB型多形体を含んでなる。この化合物は、本明細書の実施例42に定義されるように製造され得る。
【0226】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンメシル酸塩は、
図10に示される
1H NMRスペクトルを特徴とする。
【0227】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンメシル酸塩のB型多形体は、6.6±0.5°、8.0±0.5°、11.8±0.5°、13.2±0.5°、14.3±0.5°、15.0±0.5°、15.6±0.5°、17.1±0.5°、17.4±0.5°、17.7±0.5°、19.2±0.5°、20.3±0.5°、21.2±0.5°、22.3±0.5°、23.0±0.5°、24.0±0.5°、25.8±0.5°、26.8±0.5°および28.9±0.5°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0228】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンメシル酸塩のB型多形体は、6.6±0.2°、8.0±0.2°、11.8±0.2°、13.2±0.2°、14.3±0.2°、15.0±0.2°、15.6±0.2°、17.1±0.2°、17.4±0.2°、17.7±0.2°、19.2±0.2°、20.3±0.2°、21.2±0.2°、22.3±0.2°、23.0±0.2°、24.0±0.2°、25.8±0.2°、26.8±0.2°および28.9±0.2°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0229】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンメシル酸塩のB型多形体は、6.6±0.1°、8.0±0.1°、11.8±0.1°、13.2±0.1°、14.3±0.1°、15.0±0.1°、15.6±0.1°、17.1±0.1°、17.4±0.1°、17.7±0.1°、19.2±0.1°、20.3±0.1°、21.2±0.1°、22.3±0.1°、23.0±0.1°、24.0±0.1°、25.8±0.1°、26.8±0.1°および28.9±0.1°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0230】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンメシル酸塩のB型多形体は、6.6°、8.0°、11.8°、13.2°、14.3°、15.0°、15.6°、17.1°、17.4°、17.7°、19.2°、20.3°、21.2°、22.3°、23.0°、24.0°、25.8°、26.8°および28.9°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0231】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンメシル酸塩のB型多形体は、
図11に実質的に示されるようなXRPD図形を特徴とする。
【0232】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンメシル酸塩のB型多形体は、
図11に示されるXRPD図形と同じ回折角(2θ)にピークを有することを特徴とし、場合により、ここで、これらのピークは、
図11に示されるピークと同じ相対強度を有する。
【0233】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンメシル酸塩のB型多形体は、
図11のXRPD図形に示されるものと同様の回折角(2θ)および強度で主要ピークを有することを特徴とする。
【0234】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンメシル酸塩のB型多形体は、13.39±0.5Å、11.05±0.5Å、7.50±0.5Å、6.70±0.5Å、6.19±0.5Å、5.90±0.5Å、5.68±0.5Å、5.18±0.5Å、5.09±0.5Å、5.01±0.5Å、4.62±0.5Å、4.37±0.5Å、4.19±0.5Å、3.98±0.5Å、3.86±0.5Å、3.71±0.5Å、3.45±0.5Å、3.32±0.5Åおよび3.09±0.5Åの面間隔(d)値(d,2d.p.)を特徴とする。
【0235】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンメシル酸塩のB型多形体は、13.39±0.2Å、11.05±0.2Å、7.50±0.2Å、6.70±0.2Å、6.19±0.2Å、5.90±0.2Å、5.68±0.2Å、5.18±0.2Å、5.09±0.2Å、5.01±0.2Å、4.62±0.2Å、4.37±0.2Å、4.19±0.2Å、3.98±0.2Å、3.86±0.2Å、3.71±0.2Å、3.45±0.2Å、3.32±0.2Åおよび3.09±0.2Åの面間隔(d)値(d,2d.p.)を特徴とする。
【0236】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンメシル酸塩のB型多形体は、13.39±0.1Å、11.05±0.1Å、7.50±0.1Å、6.70±0.1Å、6.19±0.1Å、5.90±0.1Å、5.68±0.1Å、5.18±0.1Å、5.09±0.1Å、5.01±0.1Å、4.62±0.1Å、4.37±0.1Å、4.19±0.1Å、3.98±0.1Å、3.86±0.1Å、3.71±0.1Å、3.45±0.1Å、3.32±0.1Åおよび3.09±0.1Åの面間隔(d)値(d,2d.p.)を特徴とする。
【0237】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンメシル酸塩のB型多形体は、13.39Å、11.05Å、7.50Å、6.70Å、6.19Å、5.90Å、5.68Å、5.18Å、5.09Å、5.01Å、4.62Å、4.37Å、4.19Å、3.98Å、3.86Å、3.71Å、3.45Å、3.32Åおよび3.09Å(d,2d.p.)の面間隔(d)値を特徴とする。
【0238】
さらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンメシル酸塩のB型多形体は、98.63℃±0.5℃および/または177.11℃±0.5℃(例えば、98.63℃±0.2℃および/または177.11℃±0.2℃、特に、98.63℃±0.1℃および/または177.11℃±0.1℃、より具体的には、98.63℃および/または177.11℃)のDSCピーク温度を特徴とする。
【0239】
さらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンメシル酸塩のB型多形体は、73.3℃±0.5℃(吸熱、ブロード)および/または160.8℃±0.5℃(吸熱、ブロード)(例えば、73.3℃±0.2℃および/または160.8℃±0.2℃、特に、73.3℃±0.1℃および/または160.8℃±0.1℃、より具体的には、73.3℃および/または160.8℃)のDSCオンセット温度を特徴とする。
【0240】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンメシル酸塩のB型多形体は、
図12に示されるようなDSCサーモグラムを特徴とする。
【0241】
さらなる実施態様では、式(I)の化合物は、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体を含んでなる。この化合物は、本発明の実施例43に定義されるように製造され得る。
【0242】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩は、
図15に示される
1H NMRスペクトルを特徴とする。
【0243】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体は、7.4±0.5°、7.9±0.5°、8.3±0.5°、8.7±0.5°、9.0±0.5°、10.4±0.5°、11.2±0.5°、11.6±0.5°、12.3±0.5°、13.1±0.5°、13.9±0.5°、14.7±0.5°、15.8±0.5°、16.5±0.5°、17.1±0.5°、17.9±0.5°、18.4±0.5°、18.9±0.5°、19.6±0.5°、20.4±0.5°、21.0±0.5°、21.8±0.5°、22.9±0.5°、23.3±0.5°、23.6±0.5°、24.0±0.5°、24.9±0.5°および26.4±0.5°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0244】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体は、7.4±0.2°、7.9±0.2°、8.3±0.2°、8.7±0.2°、9.0±0.2°、10.4±0.2°、11.2±0.2°、11.6±0.2°、12.3±0.2°、13.1±0.2°、13.9±0.2°、14.7±0.2°、15.8±0.2°、16.5±0.2°、17.1±0.2°、17.9±0.2°、18.4±0.2°、18.9±0.2°、19.6±0.2°、20.4±0.2°、21.0±0.2°、21.8±0.2°、22.9±0.2°、23.3±0.2°、23.6±0.2°、24.0±0.2°、24.9±0.2°および26.4±0.2°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0245】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体は、7.4±0.1°、7.9±0.1°、8.3±0.1°、8.7±0.1°、9.0±0.1°、10.4±0.1°、11.2±0.1°、11.6±0.1°、12.3±0.1°、13.1±0.1°、13.9±0.1°、14.7±0.1°、15.8±0.1°、16.5±0.1°、17.1±0.1°、17.9±0.1°、18.4±0.1°、18.9±0.1°、19.6±0.1°、20.4±0.1°、21.0±0.1°、21.8±0.1°、22.9±0.1°、23.3±0.1°、23.6±0.1°、24.0±0.1°、24.9±0.1°および26.4±0.1°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0246】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体は、7.4°、7.9°、8.3°、8.7°、9.0°、10.4°、11.2°、11.6°、12.3°、13.1°、13.9°、14.7°、15.8°、16.5°、17.1°、17.9°、18.4°、18.9°、19.6°、20.4°、21.0°、21.8°、22.9°、23.3°、23.6°、24.0°、24.9°および26.4°(2θ、1d.p).にピークを有するXRPD図形を特徴とする。
【0247】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体は、
図16に実質的に示されるような1と表示されたXRPD図形を特徴とする。
【0248】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体は、
図16に示される1と表示されたXRPD図形と同じ回折角(2θ)にピークを有することを特徴とし、場合により、ここで、これらのピークは、
図16に示される1と表示されたピークと同じ相対強度を有する。
【0249】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体は、
図16の1と表示されたXRPD図形に示されるものと同様の回折角(2θ)および強度で主要ピークを有することを特徴とする。
【0250】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体は、XRPDにより測定した場合に、8.7±0.5°、17.1±0.5°、17.9±0.5°および18.9±0.5°(2θ、1d.p)に主要ピークを有することを特徴とする。
【0251】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体は、XRPDにより測定した場合に、8.7±0.2°、17.1±0.2°、17.9±0.2°および18.9±0.2°(2θ、1d.p)に主要ピークを有することを特徴とする。
【0252】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体は、XRPDにより測定した場合に、8.7±0.1°、17.1±0.1°、17.9±0.1°および18.9±0.1°(2θ、1d.p)に主要ピークを有することを特徴とする。
【0253】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体は、XRPDにより測定した場合に、8.7°、17.1°、17.9°および18.9°(2θ、1d.p)に主要ピークを有することを特徴とする。
【0254】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体は、11.94±0.5Å、11.19±0.5Å、10.65±0.5Å、10.16±0.5Å、9.82±0.5Å、8.50±0.5Å、7.90±0.5Å、7.62±0.5Å、7.19±0.5Å、6.75±0.5Å、6.37±0.5Å、6.02±0.5Å、5.61±0.5Å、5.37±0.5Å、5.18±0.5Å、4.95±0.5Å、4.82±0.5Å、4.69±0.5Å、4.53±0.5Å、4.35±0.5Å、4.23±0.5Å、4.07±0.5Å、3.88±0.5Å、3.82±0.5Å、3.77±0.5Å、3.71±0.5Å、3.57±0.5Åおよび3.37±0.5Åの面間隔(d)値(d,2d.p.)を特徴とする。
【0255】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体は、11.94±0.2Å、11.19±0.2Å、10.65±0.2Å、10.16±0.2Å、9.82±0.2Å、8.50±0.2Å、7.90±0.2Å、7.62±0.2Å、7.19±0.2Å、6.75±0.2Å、6.37±0.2Å、6.02±0.2Å、5.61±0.2Å、5.37±0.2Å、5.18±0.2Å、4.95±0.2Å、4.82±0.2Å、4.69±0.2Å、4.53±0.2Å、4.35±0.2Å、4.23±0.2Å、4.07±0.2Å、3.88±0.2Å、3.82±0.2Å、3.77±0.2Å、3.71±0.2Å、3.57±0.2Åおよび3.37±0.2Å(d,2d.p.)の面間隔(d)値を特徴とする。
【0256】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体は、11.94±0.1Å、11.19±0.1Å、10.65±0.1Å、10.16±0.1Å、9.82±0.1Å、8.50±0.1Å、7.90±0.1Å、7.62±0.1Å、7.19±0.1Å、6.75±0.1Å、6.37±0.1Å、6.02±0.1Å、5.61±0.1Å、5.37±0.1Å、5.18±0.1Å、4.95±0.1Å、4.82±0.1Å、4.69±0.1Å、4.53±0.1Å、4.35±0.1Å、4.23±0.1Å、4.07±0.1Å、3.88±0.1Å、3.82±0.1Å、3.77±0.1Å、3.71±0.1Å、3.57±0.1Åおよび3.37±0.1Åの面間隔(d)値(d,2d.p.)を特徴とする。
【0257】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体は、11.94Å、11.19Å、10.65Å、10.16Å、9.82Å、8.50Å、7.90Å、7.62Å、7.19Å、6.75Å、6.37Å、6.02Å、5.61Å、5.37Å、5.18Å、4.95Å、4.82Å、4.69Å、4.53Å、4.35Å、4.23Å、4.07Å、3.88Å、3.82Å、3.77Å、3.71Å、3.57Åおよび3.37Åの面間隔(d)値(d,2d.p.)を特徴とする。
【0258】
さらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体は、174.37℃±0.5℃(例えば、174.37℃±0.2℃、特に、174.37℃±0.1℃、より具体的には、174.37℃)のDSCピーク温度を特徴とする。
【0259】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体は、171.6℃±0.5℃(吸熱、シャープ)(例えば、171.6℃±0.2℃、特に、171.6℃±0.1℃、より具体的には、171.6℃)のDSCオンセット温度を特徴とする。
【0260】
なおさらなる実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体は、
図17に示されるような1と表示されたDSCサーモグラムを特徴とする。
【0261】
一つの実施態様では、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンの乳酸塩(例えば、L−(+)−乳酸塩)は結晶性であり、下記のパラメーターのうち1以上の(任意の組合せ)または総てを特徴とする:
(a)
図15に示される
1H NMRスペクトル;および/または
(b)7.4±0.5°、7.9±0.5°、8.3±0.5°、8.7±0.5°、9.0±0.5°、10.4±0.5°、11.2±0.5°、11.6±0.5°、12.3±0.5°、13.1±0.5°、13.9±0.5°、14.7±0.5°、15.8±0.5°、16.5±0.5°、17.1±0.5°、17.9±0.5°、18.4±0.5°、18.9±0.5°、19.6±0.5°、20.4±0.5°、21.0±0.5°、21.8±0.5°、22.9±0.5°、23.3±0.5°、23.6±0.5°、24.0±0.5°、24.9±0.5°および26.4±0.5°(2θ、1d.p)にピークを有するXRPD図形;および/または
(c)
図16に実質的に示されるような1と表示されたXRPD図形;および/または
(d)
図16に示される1と表示されたXRPD図形と同じ回折角(2θ)にピークを有すること、場合により、ここで、これらのピークは、
図16に示される1と表示されたピークと同じ相対強度を有する;および/または
(e)
図16で1と表示されたXRPD図形に示されるものと同様の回折角(2θ)および強度で主要ピークを有すること;および/または
(f)XRPDにより測定した場合に、8.7±0.5°、17.1±0.5°、17.9±0.5°および18.9±0.5°(2θ、1d.p)に主要ピークを有すること;および/または
(g)11.94±0.5Å、11.19±0.5Å、10.65±0.5Å、10.16±0.5Å、9.82±0.5Å、8.50±0.5Å、7.90±0.5Å、7.62±0.5Å、7.19±0.5Å、6.75±0.5Å、6.37±0.5Å、6.02±0.5Å、5.61±0.5Å、5.37±0.5Å、5.18±0.5Å、4.95±0.5Å、4.82±0.5Å、4.69±0.5Å、4.53±0.5Å、4.35±0.5Å、4.23±0.5Å、4.07±0.5Å、3.88±0.5Å、3.82±0.5Å、3.77±0.5Å、3.71±0.5Å、3.57±0.5Åおよび3.37±0.5Åの面間隔(d)値(d,2d.p.);および/または
(h)174.37℃±0.5℃(例えば、174.37℃±0.2℃、特に、174.37℃±0.1℃、より具体的には、174.37℃)のDSCピーク温度;および/または
(i)171.6℃±0.5℃(吸熱、シャープ)(例えば、171.6℃±0.2℃、特に、171.6℃±0.1℃、より具体的には、171.6℃)のDSCオンセット温度;および/または
(j)
図17に示されるような1と表示されたDSCサーモグラム。
【0262】
特に、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩のC型多形体は、安定性および結晶度に関して利点を提供する。
【0263】
複合体
式(I)は、その範囲内に、化合物の複合体(例えば、封入複合体またはシクロデキストリンなどの化合物との包接体、または金属錯体)を包含する。封入複合体、包接体および金属錯体は、当業者に周知の方法で形成され得る。
【0264】
プロドラッグ
式(I)にはさらに、式(I)の化合物のいずれのプロドラッグも包含される。「プロドラッグ」とは、例えば、in vivoで生物学的に活性な式(I)の化合物変換されるいずれの化合物も意味する。
【0265】
例えば、いくつかのプロドラッグは、活性化合物のエステル(例えば、生理学上許容可能な代謝的に不安定なエステル)である。代謝の際、エステル基(−C(=O)OR)は切断され、活性薬剤をもたらす。そのようなエステルは、適切な場合には親化合物に存在するいずれかの他の反応基の事前保護、次いで、必要に応じて脱保護を伴って、例えば、親化合物のいずれかのカルボン酸基(−C(=O)OH)のエステル化によって形成され得る。
【0266】
そのような代謝的に不安定なエステルの例として、式−C(=O)ORのものが含まれ、ここで、Rは:
C
1−7アルキル(例えば、−Me、−Et、−nPr、−iPr、−nBu、−sBu、−iBu、−tBu);
C
1−7アミノアルキル(例えば、アミノエチル;2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル;2−(4−モルホリノ)エチル);ならびに、
アシルオキシ−C
1−7アルキル(例えば、アシルオキシメチル;アシルオキシエチル;ピバロイルオキシメチル;アセトキシメチル;1−アセトキシエチル;1−(1−メトキシ−1−メチル)エチル−カルボンキシルオキシエチル(carbonxyloxyethyl);1−イソプロポキシ−カルボニルオキシエチル;シクロヘキシル−カルボニルオキシメチル;1−シクロヘキシル−カルボニルオキシエチル;シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシメチル;1−シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシエチル;(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシメチル;1−(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシエチル;(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシメチル;および1−(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシエチル)である。
【0267】
また、いくつかのプロドラッグは酵素的に活性化され、活性化合物、または、さらなる化学反応の際に活性化合物(例えば、抗原指標酵素プロドラッグ療法(antigen-directed enzyme pro-drug therapy)(ADEPT)、遺伝子指標酵素プロドラッグ療法(enzyme pro-drug therapy)(GDEPT)、および、リガンド指標酵素プロドラッグ療法(ligand-directed enzyme pro-drug therapy)(LIDEPT)などにおいて)をもたらす化合物を生じる。例えば、プロドラッグは糖誘導体または他のグリコシド抱合体であり得、または、アミノ酸エステル誘導体であり得る。一つの実施態様では、式(I)はその範囲内に式(I)の化合物のプロドラッグを含まない。
【0268】
本発明の化合物の利点
式(I)の化合物は、従来技術の化合物を超える複数の利点を有し得る。
【0269】
本発明の化合物は、以下の観点のうち1以上で特定の利点を有し得る:
(i)IKr(hERG)心臓イオンチャネルに対するより優れた選択性;
(ii)より優れた代謝安定性;
(iii)より低いP450阻害不利益;
(iv)より優れた経口バイオアベイラビリティ;および
(v)より優れたin vivo有効性効能。
【0270】
IKr(hERG)心臓イオンチャネルに対するより優れた選択性
1990年代後半、米国FDAに承認された複数の薬物が、心機能不全によって引き起こされる死に関わりがあったことが発見された際に、米国での販売から撤退しなければならなかった。引き続き、これら薬剤の副作用が、心臓細胞のhERGチャネルの遮断によって引き起こされる不整脈の発生であったことが分かった。hERGチャネルは、カリウムイオンチャネルのファミリーの1つであり、その第1のメンバーは、1980年代後半に変異体ドロソフィラ・メラノガスター(
Drosophila melanogaster)ショウジョウバエ(Jan, L.Y. and Jan, Y.N. (1990). A Superfamily of Ion Channels. Nature, 345(6277):672参照)で同定された。hERGカリウムイオンチャネルの生物物理学的な特性は、Sanguinetti, M.C., Jiang, C., Curran, M.E., and Keating, M.T. (1995). A Mechanistic Link Between an Inherited and an Acquired Cardiac Arrhythmia: HERG encodes the Ikr potassium channel. Cell, 81:299-307、およびTrudeau, M.C., Warmke, J.W., Ganetzky, B., and Robertson, G.A. (1995). HERG, a Human Inward Rectifier in the Voltage-Gated Potassium Channel Family. Science, 269:92-95に記載されている。従って、hERG遮断活性の除去は、いずれの新薬の開発においても依然と重要な考慮事項である。
【0271】
式(I)の化合物の多くは、低下したhERG活性および/またはIAP活性とhERG活性との間の良好な分離(より大きい「治療濃度域」)を有することが分かっている。hERG活性の測定の方法の1つに、パッチクランプ電気生理学的方法がある。機能的なhERG活性の測定の別法としては、hERG結合アッセイが含まれ、hERG結合アッセイは、hERGチャネルを安定発現する細胞から単離した市販の膜またはhERGチャネルを発現する市販の細胞系統を使用できる。
【0272】
式(I)の化合物の多くは、向上した心臓安全性指標(Cardiac Safety Index)(CSI)[CSI=hERG IC50/Cmax(非有界)](Shultz et al, J. Med. Chem., 2011; Redfern et al, Cardiovasc. Res., 2003)を有する。これは、hERG IC50の増加または有効性のために必要なCmaxの低減のため(より良好なIAP効力および/またはPKのため)であり得る。
【0273】
式(I)の特定の化合物は、低いhERGイオンチャネル遮断活性を有する。式(I)の特定の化合物は、hERGに対して、細胞増殖アッセイでの化合物のIC
50値の30倍超、または40倍超、または50倍超の平均IC
50値を有する。式(I)の特定の化合物は、hERGに対して、10μM超、より具体的には20μM超、より好ましくは30μM超の平均IC
50値を有する。本発明のいくつかの化合物は、hERGに対して、40μM超の平均IC
50値を有するか、または10、30もしくは300μMの濃度でそのようなIC
50値を代表する阻害率%を示す。本発明の化合物のいくつかは、最小推奨値よりも高い(30倍)平均CSIを有する。
【0274】
本発明の表1のデータから分かるように、実施例1〜34の化合物は総て、WO2012/143726の実施例259(また262および263)の化合物よりも低いhERG不利を示す。特に、本発明の実施例1〜2、11および34の化合物は、hERGに対して≧40μMのIC
50を示したが、WO2012/143726の実施例259(また262および263)の化合物は10μMでhERGの42%の阻害を示す。従って、hERGに対してのより優れた選択性が、従前に開示されているIAPアンタゴニスト化合物、特に、WO2012/143726に開示されているものに優る本発明の化合物の重要な利点である
【0275】
より優れた代謝安定性
式(I)の化合物は、例えば、より良好な代謝安定性(例えば、マウスの肝臓ミクロソームで決定される通り)、より良好なP450プロフィールおよび/または有益なクリアランス(例えば、低クリアランス)などの、有利なADMET特性を有し得る。これらの特徴は、適切な作用部位に到達してその治療効果を発揮するために、体循環中に利用可能な薬物を増すという利点を付与し得る。腫瘍において薬理作用を発揮するための薬物濃度の増大は、おそらく有効性の向上につながり、それにより、投与する用量の低減を可能にする。よって、式(I)の化合物は、低い用量要求を示し、より容易に製剤化され投与されるはずである。加えて、本化合物はP450(例えば、3A4)ターンオーバーの低下を示し得る。
【0276】
より低いP450阻害不利益
式(I)の化合物の多くは、P450酵素に対して異なる感受性を有するという点で有利である。例えば、式(I)の特定の化合物は、シトクロムP450酵素1A2、2C9、2C19、3A4および2D6(特に、3A4)のそれぞれに対して10μMを超えるIC
50値を有する。加えて、特に、本化合物はP450阻害剤ではない。
【0277】
より優れた経口バイオアベイラビリティ
潜在的に、本発明の化合物は、経口暴露(経口暴露またはAUC)に適した生理化学的な特性を有する。特に、式(I)の化合物は、向上した経口バイオアベイラビリティを示し得る。経口バイオアベイラビリティは、経口経路で投与される際の、化合物の血漿暴露と、静脈内(i.v.)経路で投与される際の、化合物の血漿暴露との割合(F)として定義され得、パーセンテージで表される。
【0278】
30%、より具体的には40%を超える経口バイオアベイラビリティ(F値、F%)を有する化合物は、それらが非経口投与ではなく経口投与、または、経口投与ならびに非経口投与され得る点で、特に有益である。
【0279】
選り優れたin vivo有効性
XIAPおよび/またはcIAPに対する効力の増強の結果、本発明の化合物は、がん細胞系統およびin vivoモデルでin vivo有効性の増強を有し得る。
【0280】
式(I)の化合物の製造のための方法
この節では、本出願の他の全節と同様に、文脈がそうではないことを示さない限り、式(I)という場合には、本明細書で定義される他の総てのその下位群および例も含む。
【0281】
式(I)の化合物は、当業者に周知の合成方法に従って製造され得る。
【0282】
本発明のさらなる態様によれば、以上に定義された式(I)の化合物を製造するための工程が提供され、この工程は、
(a)(i)式(II):
【化11】
[式中、R
5、R
6、UおよびXは、式(I)の化合物に関して以上に定義した通りであり、L
1は適切な脱離基、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素)を表し、P
1は水素または適切な保護基、例えば、tert−ブチルオキシカルボニル(tBoc)基を表す]
の化合物を式(III):
【化12】
(式中、R
1およびR
2は、式(I)の化合物に関して以上に定義された通りである)
の化合物または場合により保護されていてもよいその誘導体と反応させ、次いで、必要に応じてP
1保護基および他の任意の保護基を除去するのに適した脱保護反応を行うこと;または
(ii)式(IV):
【化13】
[式中、R
5、R
6、XおよびUは、式(I)の化合物に関して以上に定義した通りであり、L
2は適切な脱離基、例えば、ハロゲン(例えば、塩素)を表す]
の化合物を式(V):
【化14】
(式中、R
1およびR
2は、式(I)の化合物に関して以上に定義した通りであり、P
2は水素または適切な保護基、例えば、tert−ブチルオキシカルボニル(tBoc)基を表す)
の化合物または場合により保護されていてもよいその誘導体と反応させ、次いで、必要に応じてP
2保護基および他の任意の保護基を除去するのに適した脱保護反応を行うこと;および/または
(b)式(I)の化合物の保護誘導体の脱保護;および/または
(c)式(I)の化合物またはその保護誘導体の、さらなる式(I)の化合物またはその保護誘導体への相互変換;ならびに、
(d)任意選択による式(I)の化合物の薬学的に許容可能な塩の形成
を含んでなる。
【0283】
工程(a)(i)は一般に、式(II)の化合物と式(III)の化合物を、場合により、アセトニトリルなどの適切な溶媒中、ヨウ化カリウムなどの適切な添加剤および炭酸カリウムなどの適切な塩基の存在下で反応させることを含んでなる。このような工程は、周囲温度または例えば70℃などの高温で実施され得る。
【0284】
工程(a)(ii)は一般に、式(IV)の化合物と式(V)の化合物を、場合により、アセトニトリルなどの適切な溶媒中、ヨウ化カリウムなどの適切な添加剤および炭酸カリウムなどの適切な塩基の存在下で反応させることを含んでなる。
【0285】
工程(b)は一般に、いずれかの適切な脱保護反応を含んでよく、その条件は保護基の性質による。保護基がtBocである場合、そのような脱保護反応は一般に適切な溶媒中での適切な酸の使用を含んでなる。例えば、酸は適宜トリフルオロ酢酸または塩化水素を含んでよく、溶媒は適切にジクロロメタン酢酸エチル、1,4−ジオキサン、メタノールまたは水を含み得る。場合により、例えば、水性メタノールまたは酢酸エチル/1,4−ジオキサンなどの、溶媒の混合物を使用してもよい。
【0286】
保護基がtBocである場合、上記の通り適切な酸を使用した脱保護は、直接単離され得る薬学的に許容可能な塩として本発明の化合物を生産し得ることが理解される。あるいは、式(I)の化合物は、当技術分野で周知の方法を用いて、およびその後、場合により、工程(d)に従った薬学的に許容可能な塩へ変換して、遊離塩基として単離され得る。
【0287】
工程(c)は一般に、当業者に公知の相互変換手順を含んでなる。例えば、式(I)の化合物では、第1の置換基が、当業者に公知の方法で第2の別の置換基に変換され得る。前駆化合物を式Iの化合物に変換するための、広範な周知の官能基の相互変換が当業者に知られ、Advanced Organic Chemistry by Jerry March, 第4版, John Wiley & Sons, 1992に記載されている。例えば、有機スズ試薬(スティル反応)、グリニャール試薬および窒素求核剤との反応を用いるなどの、可能な金属触媒官能基化が‘Palladium Reagents and Catalysts’ [Jiro Tsuji, Wiley, ISBN 0-470-85032-9]およびHandbook of OrganoPalladium Chemistry for Organic Synthesis [Volume 1, Edited by Ei-ichi Negishi, Wiley, ISBN 0-471-31506-0]に記載されている。
【0288】
工程(d)は、遊離塩基形態である式(I)の化合物を化学量論的量または過剰量の薬学的に許容可能な有機または無機酸と一緒に適切な溶媒に溶かし、次いで、当技術分野で周知の方法、例えば溶媒の蒸発または結晶化によって得られた塩を単離する、遊離塩基形態での式(I)の化合物の処理によって実施され得る。
【0289】
適切であれば、工程(a)、(b)および(c)で従前に記載した反応に、当業者に公知の1以上の反応が続くか、または先行し、上記で定義したR
1、R
2、R
5およびR
6上の必要な置換を達成するのに適切な順番で実施され、式(I)の他の化合物を得る。その条件が文献に記載されるそのような反応の非制限的な例としては:
反応性官能基の保護、
反応性官能基の脱保護、
ハロゲン化、
脱ハロゲン化、
脱アルキル化、
アミン、アニリン、アルコールおよびフェノールのアルキル化およびアリール化
ヒドロキシル基の光延反応、
適切な基の環化付加反応、
ニトロ、エステル、シアノ、アルデヒドの還元、
遷移金属触媒カップリング反応、
アシル化、
スルホニル化/スルホニル基の導入、
鹸化/エステル基の加水分解、
エステル基のアミド化またはエステル交換、
カルボキシル基のエステル化またはアミド化、
ハロゲン交換、
アミン、チオールまたはアルコールとの求核性置換、
還元的アミノ化、
カルボニルおよびヒドロキシルアミン基でのオキシム形成、
S−酸化、
N−酸化、
塩化が挙げられる。
【0290】
式(II)の化合物は、式(IV)の化合物から、以下のスキーム1:
【化15】
に従って製造することができ、ここで、X、U、R
5、 R
6、L
1、L
2およびP
1は以上に定義された通りである。
【0291】
スキーム1の工程(i)は一般に、式(IV)と(VI)の化合物を、場合により、アセトニトリルなどの適切な溶媒中、ヨウ化カリウムなどの適切な添加剤および炭酸カリウムなどの適切な塩基の存在下で反応させることを含んでなる。
【0292】
L
1が塩素である場合、スキーム1の工程(ii)は一般に、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、式(VII)の化合物を、ヒドロキシル基を良好な離脱基、例えばメチルスルホニルクロリドに変換することができる試薬と反応させることを含んでなる。
【0293】
XがNを表し、Uが炭素を表し、かつ、R
6がヒドロキシメチルを表す式(IV)の化合物は、以下のスキーム2:
【化16】
に従って製造することができ、ここで、L
3、L
4、L
5およびL
6は適切な脱離基、例えば、ハロゲン原子(すなわち、フッ素、臭素または塩素)を表し、R
5およびL
2は以上に定義された通りである。
【0294】
L
3およびL
4が両方ともフッ素を表す場合、スキーム2の工程(i)は一般に、式(VIII)の化合物とナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドなどの塩基を、トルエンなどの適切な溶媒中、テトラヒドロフランおよびイソブチロニトリル(isobutronitrile)の存在下で反応させることを含んでなる。このような反応の例を本明細書の製法11に示す。
【0295】
スキーム2の工程(ii)は、適切な還元剤との反応を含み、一般に、式(IX)の化合物とボラン−テトラヒドロフラン複合体を、テトラヒドロフランなどの適切な溶媒の存在下で反応させることを含んでなる。このような反応の例を製法12に示す。スキーム2の工程(ii)はまた一般に、式(IX)の化合物と塩化ニッケル(II)六水和物を反応させた後に、水素化ホウ素ナトリウムを添加することを含んでなってもよい。このような反応の例を、別法としての本明細書の製法12に示す。
【0296】
スキーム2の工程(iii)は一般に、炭酸カリウムなどの適切な塩基、およびNMPなどの適当な溶媒を用いた式(X)の化合物の環化を含んでなる。このような反応の例を本明細書の製法13に示す。
【0297】
スキーム2の工程(iv)は一般に、式(XI)の化合物と式R
5−Mの化合物(ここで、R
5は以上に定義された通りであり、Mは有機金属種の残基を表し、従って、R
5−Mはハロゲン化有機亜鉛などの求核性有機金属試薬を表す)を反応させることを含んでなる。工程(iv)は一般に、また、適切な溶媒系、例えば、テトラヒドロフランおよびNMP中、臭化リチウム、[1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン](3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロリドなどの触媒の使用も含んでなる。このような反応の例を本明細書の製法15に示す。
【0298】
スキーム2の工程(v)は一般に、例えば、ジメチルホルムアミド中、N−ブロモスクシンイミドを用いる、式(XII)の化合物のハロゲン化を含んでなる。このような反応の例を本明細書の製法16に示す。
【0299】
スキーム2の工程(vi)は、リチオ化およびホルミル基の導入のための適切な求電子物質との反応を含み、一般に、式(XIII)の化合物とMeLiをTHF中で反応させた後、ヘキサン中tBuLiを添加し、次いで、ジメチルホルムアミドを添加することを含んでなる。このような反応の例を本明細書の製法17に示す。
【0300】
スキーム2の工程(vii)は、適切な還元剤を用いたホルミル基の還元を含み、一般に、式(XIV)の化合物と水素化ホウ素ナトリウムをメタノール中で反応させることを含んでなる。このような反応の例を本明細書の製法17に示す。
【0301】
L
2が塩素などのハロゲンを表す場合、スキーム2の工程(viii)は一般に、式(XV)の化合物と塩化クロロアセチルなどのハロアセチルハリドをMeCN中で反応させた後、メタノール中、炭酸カリウムを添加することを含んでなる。このような反応の例を本明細書の製法18に示す。あるいは、式(XIII)の化合物を、製法25〜29(含む)に記載されているものと類似の手順に従って、式(XV)の化合物に変換してもよい。
【0302】
R
6がCH(OR
x)CH
2OR
zを表す式(XV)の化合物は、上記スキーム2の類似の方法で、スキーム2の工程(v)以降を変更することによって製造され得ることが認識されるであろう。適切な反応手順の例を本明細書の製法38〜42に示す。
【0303】
XがNR
3を表し、Uが炭素を表し、R
6が=Oである化合物は、例えば、製法22〜24、30〜35および50に示されるように、スキーム2の適当な中間体またはその保護誘導体に対する官能基相互変換を用いて合成され得る。
【0304】
また、R
5が非置換n−ブチルあるいはまた置換ベンジル基を表す式(IV)の化合物は、上記のスキーム2と類似の方法で、スキーム2の工程(iv)で使用する有機金属試薬を変更することによって製造され得ることが認識されるであろう。このような反応の例を本明細書の製法15A、15Bおよび15Cに示す。
【0305】
XがCR
4を表し、Uが窒素を表し、R
6がオキソを表す化合物は、製法43〜49および51〜58に記載されているものと類似の手順を用いて合成され得る。
【0306】
式(V)の化合物、または場合により保護されていてもよいその誘導体は、以下のスキーム3:
【化17】
に従って製造され得、ここで、R
1、R
2およびP
2は、式(V)の化合物に関して以上に定義された通りであり、L
7はハロゲン原子(例えば、塩素)などの適切な脱離基を表し、P
3はベンジルなどの適切な保護基を表す。
【0307】
P
3がベンジルを表す場合、スキーム3の工程(i)は一般に、式(XVI)の化合物とベンズアルデヒドを、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムおよび1,2−ジクロロエタンなどの適切な還元剤の存在下で反応させることを含んでなる。このような反応の例を本明細書の製法5に示す。
【0308】
L
7が塩素を表す場合、スキーム3の工程(ii)は一般に、式(XVII)の化合物と塩化メタンスルホニルを、トリエチルアミンおよびジクロロメタンの存在下で反応させることを含んでなる。このような反応の例を本明細書の製法6で示す。
【0309】
スキーム3の工程(iii)は一般に、式(XVIII)と(XIX)の化合物を、アセトニトリルなどの適切な溶媒中、炭酸カリウムなどの塩基、ヨウ化カリウムなどの添加剤の存在下で反応させることを含んでなる。このような反応の例を本明細書の製法7に示す。
【0310】
スキーム3の工程(iv)は一般に、脱保護反応を含んでなる。例えば、P
3がベンジルを表す場合、工程(iv)は一般に、適切な溶媒系、例えば、エタノールまたは酢酸とエタノールの混合物中、パラジウム炭素などの適切な触媒の存在下での、式(XX)の化合物の水素化を含んでなる。このような反応の例を本明細書の製法8に示す。
【0311】
あるいは、式(I)の化合物は、式(XXI):
【化18】
(式中、R
1およびR
2は、式(I)の化合物に関して以上に定義された通りであり、P
2はtert−ブチルオキシカルボニル(tBoc)基などの適切な保護基を表す)
の化合物または場合により保護されていてもよいその誘導体を式(XXII):
【化19】
(式中、X、U、R
5およびR
6は以上に定義された通りである)
の化合物と反応させた後、保護基P
2および任意の付加的保護基を除去するのに適切な脱保護反応を行うことによって合成され得る。
【0312】
式(XXII)の適切な化合物の一例としては、以上に定義された通りの式(XV)の化合物が含まれる。
【0313】
この反応は一般に、式(XXI)の化合物と式(XXII)の化合物、例えば、式(XV)の化合物を、適切な溶媒中、適切な温度、例えば、周囲温度で、適切な塩基および式(XXI)の化合物中に存在するカルボン酸基を活性化させ得る試薬の存在下で反応させることを含んでなる。適切な溶媒は、使用する試薬に対して不活性であるべきであり、例えば、ジクロロメタンが挙げられる。適切な塩基の例は、トリエチルアミンおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)である。適切な活性化試薬の例は、ブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキソフルオロホスフェート(PyBrop)、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム−ヘキサフルオロ−ホスフェート(HBTU)、1,1’−カルボニルジイミダゾール、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)および2−(7−aza−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)(HATU)である。この工程は、場合により1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)または1−ヒドロキシアザベンゾトリアゾール(HOAt)などの適切な共活性化試薬の触媒量または化学量論的量の存在下で実施され得る。
【0314】
式(XXI)の化合物または場合により保護されていてもよいその誘導体は、上記に定義された式(V)の化合物または場合により保護されていてもよいその誘導体から、当技術分野で周知の方法により、例えば、アセトニトリルなどの適切な溶媒中、炭酸カリウムなどの適切な塩基の存在下でブロモ酢酸ベンジルなどのモノハロ酢酸のエステルとの反応とそれに続くエステル加水分解(またはベンジルエステルの場合には、場合により水素化分解)によって製造することができる。式(I)の化合物は、製法1〜5に記載されているものと類似の手順に従って製造され得る。
【0315】
式(XXII)の化合物は、スキーム2または以下の製法:38〜42;22〜24、30〜35および50;または43〜49および51〜58に記載されているものと類似の手順によって製造され得る。
【0316】
特定の化合物、例えば、式(I)、(II)、(III)、(V)、(VI)、(VII)、(XVI)、(XVII)、(XVIII)、(XIX)、(XX)、(XXI)および(XXII)の化合物は、異なるジアステレオ異性形態および/または鏡像異性形態で存在する場合があり、それらの製造のための方法は、鏡像異性的に純粋な合成前駆体を使用が可能である。
【0317】
あるいは、ラセミ体前駆体を使用してもよく、これらの方法で生成されたジアステレオマーの混合物を当業者に周知の方法により、例えば、非キラルまたはキラル分取クロマトグラフィーまたはジアステレオマー誘導体を用いた分割の使用;例えば、L−酒石酸などの鏡像異性体的に純粋な酸とともに形成した塩の結晶化;または、化合物上に鏡像異性体的に純粋なキラル補助基を共有結合することで形成されるジアステレオマー誘導体の鏡像異性体分離の後に、キラルクロマトグラフィーなどの従来の方法を用いた分離を行うなどで分離することができる。その後、前述の共有結合を切断し、適切な鏡像異性体的に純粋な生成物を生成する。
【0318】
必要とされる中間体、例えば、式(III)、(VI)、(VIII)、R
5−M、(XVI)および(XIX)の化合物は、市販されているか、文献で既知であるか、文献のものと類似の方法により製造されるか、または以下の実施例の実験手順に記載されるものと類似の方法により調製されるかのいずれかである。他の化合物は、当技術分野で周知の方法用いた基R
1、R
2、R
5およびR
6の官能基の相互変換によって製造され得る。
【0319】
さらなる実施態様では、本発明は、新規中間体を提供する。一つの実施態様では、本発明は式(II)または(IV)または(V)または(VII)または(XX)の新規中間体を提供する。別の実施態様では、本発明は、式(XXI)または(XXII)の新規中間体を提供する。
【0320】
保護基
上記の反応の多くでは、分子上の所望でない位置で反応が生じるのを防ぐために1以上の基を保護する必要があり得る。保護基の例ならびに官能基を保護および脱保護する方法は、Protective Groups in Organic Synthesis (T. Green and P. Wuts; 第3版; John Wiley and Sons, 1999)に見出すことができる。
【0321】
特に、基R
1およびR
2は保護形態で合成することができ、保護基を除去して式(I)の化合物が生成し得る。
【0322】
ヒドロキシ基は、例えば、エーテル(−OR)またはエステル(−OC(=O)R)として、例えば:t−ブチルエーテル;テトラヒドロピラニル(THP)エーテル;ベンジル、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)、または、トリチル(トリフェニルメチル)エーテル;トリメチルシリルまたはt−ブチルジメチルシリルエーテル;または、アセチルエステル(−OC(=O)CH
3)として保護することができる。
【0323】
アルデヒドまたはケトン基はそれぞれ、例えばアセタール(R−CH(OR)
2)またはケタール(R
2C(OR)
2)として保護することができ、ここで、カルボニル基(>C=O)は、例えば一級アルコールで処理される。アルデヒドまたはケトン基は、酸の存在下で大過剰量の水を用いた加水分解によって容易に再生される。
【0324】
アミン基を例えば、アミド(−NRCO−R)またはカルバメート(−NRCO−OR)、例えば:メチルアミド(−NHCO−CH
3);ベンジルカルバメート(−NHCO−OCH
2C
6H
5、−NH−CbzまたはNH−Z);t−ブチルカルバメート(−NHCO−OC(CH
3)
3、−NH−Boc);2−ビフェニル−2−プロピルカルバメート(−NHCO−OC(CH
3)
2C
6H
4C
6H
5、−NH−Bpoc)、9−フルオレニルメチルカルバメート(−NH−Fmoc)、6−ニトロベラトリルカルバメート(−NH−Nvoc)、2−トリメチルシリルエチルカルバメート(−NH−Teoc)、2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(−NH−Troc)、アリルカルバメート(−NH−Alloc)または2(−フェニルスルホニル)エチルカルバメート(−NH−Psec)として保護することができる。
【0325】
例えば、式IIの化合物にはアミノ基が含まれ、アミノ基は上記で定義される保護基を用いて保護することができ、好ましい基の1つはtert−ブチルオキシカルボニル(Boc)基であり、一方で、付加的な官能基化が導入される。それに続くアミノ基の修飾が必要でない場合、保護基は反応手順を通して、式(I)の化合物のN−保護形態を得ることができ、これを次いで、標準的な方法(例えば、Boc基の場合は酸との処理)で脱保護し、式(I)の化合物を得ることができる。
【0326】
環式アミンおよび複素環式N−H基などのアミンのための他の保護基として、トルエンスルホニル(トシル)およびメタンスルホニル(メシル)基、パラ−メトキシベンジル(PMB)基などのベンジル基およびテトラヒドロピラニル(THP)基が挙げられる。
【0327】
カルボン酸基は、エステルとして保護され得、例えば:C
1−7アルキルエステル(例えば、メチルエステル;t−ブチルエステル);C
1−7ハロアルキルエステル(例えば、C
1−7トリハロアルキルエステル);トリC
1−7アルキルシリル−C
1−7アルキルエステル;または、C
5−20アリール−C
1−7アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル;ニトロベンジルエステル;パラ−メトキシベンジルエステルとしてである。チオール基は、例えばチオエーテル(−SR)、例えば:ベンジルチオエーテル;アセトアミドメチルエーテル(−S−CH
2NHC(=O)CH
3)として保護され得る。
【0328】
本発明の化合物の単離および精製
本発明の化合物は、当業者に周知の標準的技術に従って単離および精製することができ、そのような方法の例として、カラムクロマトグラフィー(例えば、フラッシュクロマトグラフィー)およびHPLCなどのクロマトグラフィー技術が挙げられる。化合物を精製するにあたって特に有用な技術の1つに、クロマトグラフィーのカラムから生じる精製化合物を検出する手段として質量分析を用いた分取液体クロマトグラフィーがある。
【0329】
分取LC−MSは本明細書に記載される化合物のような小さな有機分子の精製のために用いられる標準的で効果的な方法である。液体クロマトグラフィー(LC)および質量分析(MS)のための方法は、粗物質のより良好な分離およびMSによるサンプルの検出の向上を提供するために、様々であり得る。分取勾配LC方法の最適化には、様々なカラム、揮発性溶離剤および改質剤ならびに勾配が含まれる。分取LC−MS方法を最適化し、次いでそれを用いて化合物を精製するための方法は当技術分野で周知である。そのような方法は、Rosentreter U, Huber U.; Optimal fraction collecting in preparative LC/MS; J Comb Chem.; 2004; 6(2), 159-64およびLeister W, Strauss K, Wisnoski D, Zhao Z, Lindsley C., Development of a custom high-throughput preparative liquid chromatography/mass spectrometer platform for the preparative purification and analytical analysis of compound libraries; J Comb Chem.; 2003; 5(3); 322-9に記載されている。分取LC−MSを介して化合物を精製するためのそのようなシステムの一例は、本明細書の以下の実施例の節に記載されている(「質量標的精製LC−MSシステム」という見出しで)。
【0330】
式(I)の化合物およびその塩の再結晶化の方法は、当業者に周知の方法で実施され、例えば、(P. Heinrich Stahl (編), Camille G. Wermuth (編), ISBN: 3-90639-026-8, Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, Chapter 8, Publisher Wiley-VCH)参照。有機反応から得られる生成物は、反応混合物から直接単離される場合、ほとんど純粋ではない。化合物(またはその塩)が固体である場合、適切な溶媒からの再結晶化によって精製および/または結晶化され得る。良好な再結晶化溶媒は、高温では精製される物質を中程度の量で溶解させるか、より低い温度ではその物質を少量でしか溶解しないものであるべきである。良好な再結晶化溶媒は、低温では不純物を容易に溶解するか、全くしないかであるべきである。最終的に、溶媒は、精製生成物から容易に除去されるべきである。これは通常、溶媒が比較的低い沸点を有することを意味し、当業者ならば、特定の物質のための再結晶化溶媒を知っており、または、その情報が入手可能でない場合は複数の溶媒を試験するであろう。精製材料の良好な収率を得るためには、総ての不純材料を溶解させるための最小量の熱い溶媒を用いる。実際には、溶媒が飽和しないように必要よりも3〜5%多い溶媒を用いる。不純化合物が溶媒に不溶性である不純物を含む場合、濾過および次いで溶液を結晶化させることで、不純化合物を取り除き得る。さらに、不純化合物が化合物由来ではない有色材料を微量で含む場合、少量の脱色剤、例えば炭を熱い溶液で活性化し、濾過し、次いで結晶化させることで、取り除き得る。通常、結晶化は溶液の冷却の際に同時に生じる。そうでない場合、結晶化は、溶液を室温以下に冷却すること、または、純粋な材料(シード結晶)の単結晶を加えることで誘導され得る。再結晶化も実施可能であり、および/または、その収率は、逆溶剤または共溶媒の使用によって最適化され得る。この場合、化合物を高温で適切な溶媒に溶解させ、濾過し、次いで必要となる化合物が低溶解性を有する溶媒をさらに加えて結晶化を助長する。一般に、その後、結晶を真空濾過を用いて単離し、洗浄し、次いで、例えばオーブン内でまたは脱水を介して乾燥する。
【0331】
精製の方法の他の例としては、昇華が挙げられ、これは、例えばコールドフィンガーを用いた真空下での加熱工程、および、融解物からの結晶化が挙げられる(Crystallization Technology Handbook 第2版, A. Mersmann, 2001編)。
【0332】
生物学的効果
本発明の化合物、その下位群および例は、アポトーシス阻害タンパク質(IAP)のアンタゴニストであり、これは、本明細書に記載される疾患状態または病態を予防または治療するのに有用であり得る。さらに、本発明の化合物およびその下位群は、IAPが媒介する疾患または病態を予防または治療するのに有用であろう。癌などの疾患状態または病態の予防もしくは防止または治療という場合には、その範囲内に癌の発生率を軽減または低減することが含まれる。
【0333】
従って、例えば、本発明の化合物は癌の発生率を軽減または低減するのに有用であることが想定される。
【0334】
本発明の化合物は、成体集団の処置のために有用であり得る。本発明の化合物は、小児集団の処置に有用であり得る。
【0335】
より具体的には、式(I)の化合物およびその下位群は、IAPのアンタゴニストである。例えば、本発明の化合物は、XIAP、cIAP1および/またはcIAP2に対して親和性を有し、特に、XIAPおよびcIAP1から選択されるIAPに対して親和性を有する。
【0336】
特定の化合物は、XIAP、cIAP1およびcIAP2から選択される1以上のIAPに対する親和性を有する化合物である。本発明の特定の化合物は、0.1μM未満のIC
50値を有するものである。
【0337】
式(I)のアンタゴニスト化合物は、IAPに結合し、IAPに関して効力を示すことができる。一つの実施態様では、式(I)のアンタゴニスト化合物は、他のIAPファミリーメンバーに対して、1以上のIAPへの選択性を示し、他のIAPファミリーメンバーに結合および/または親和性を示すよりも、XIAPおよび/またはcIAPに結合および/または親和性を示すことができる。
【0338】
さらに、本発明の化合物の多くは、cIAPに比べてXIAPに対する選択性またはその逆、XIAPに比べてcIAPに対する選択性(特にcIAP1)を示し、そのような化合物は、本発明の実施態様の1つである。特に、本発明の化合物は、1以上のIAPファミリーメンバー、特にXIAP、cIAP1および/またはcIAP2に対して、他のIAPファミリーメンバーよりも少なくとも10倍大きい親和性を有し得る。これは、本明細書に記載される方法を用いて決定され得る。さらなる実施態様では、本発明の化合物は、XIAP、cIAP1および/またはcIAP2に対して同等の親和性、特に、XIAPおよびcIAP1に対して同等の親和性(すなわち、親和性において10倍未満の違い)を有し得る。
【0339】
XIAPおよびcIAP1に対する活性は特に有益であり得る。等効力でXIAPおよびcIAP1に拮抗することは、カスパーゼ−8の活性化を介したアポトーシスの誘発、および、生存促進性NF−κBシグナル伝達からアポトーシスへの切り替えが可能であるはずであり;XIAPの強力な拮抗作用は、いずれかの固有の耐性メカニズムがアップレギュレートされてそのプロセスを遮断する前に、アポトーシスの達成を確保する。自己ユビキチン化およびプロテアソーム分解を介したcIAP1の枯渇の際に、感受性細胞系統でのTNF−αの発現を担うNF−κBシグナル伝達の一時的なアップレギュレーションが存在し、これはまた、cIAP2およびc−FLIPなどの抗アポトーシス因子のアップレギュレーションの一因でもある。従って、cIAP2媒介耐性を許容するよりも、エフェクターカスパーゼ活性化および細胞死を増強する強力なXIAP拮抗作用の必要がある。これらの化合物をin vivoで投与する際に生じる有毒性は、NFκBシグナル伝達の一時的な誘導およびその結果としてのcIAP1/2拮抗作用のみに媒介される炎症促進性サイトカインのアップレギュレーションから生じると一般に考えられている。従って、二重効力は用量制限毒性に直面する前に治療濃度域の達成を可能とするはずである。
【0340】
プログラムされた細胞死を制御するIAP機能も、細胞蓄積に関わる疾患(例えば、癌、自己免疫障害、炎症および再狭窄)、過剰アポトーシスが細胞の損失をもたらす障害(例えば、脳卒中、心不全、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症などの神経変性、AIDS、虚血(脳卒中、心筋梗塞)および骨粗鬆症)または多発性硬化症(MS)などの自己免疫障害の治療を含む、多くの疾患に関連付けられている。
【0341】
従って、炎症(例えば、関節リウマチを含む関節炎)、肝炎、潰瘍性大腸炎、胃炎、自己免疫、再狭窄、脳卒中、心不全、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋強直性ジストロフィーおよび筋萎縮性側索硬化症などの神経変性病態、AIDS、外傷性脳損傷、脊髄損傷、脳虚血、脳虚血/再灌流(I/R)損傷、急性および慢性CNS損傷虚血、脳卒中または心筋梗塞などの虚血、骨粗鬆症などの筋骨格系の変性疾患、多発性硬化症(MS)およびI型糖尿病などの自己免疫疾患、ならびにプログラムされた細胞死の制御消失に起因するおよび網膜変性症などの眼疾患といった他の病態を処置するのにも有用であり得ることも想定される。一つの実施態様では、本発明の化合物は、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタイン−バーウイルス、シンドビスウイルス、アデノウイルス、HIV、HPV、肝炎ウイルス、例えば、B型肝炎ウイルス(HBV)もしくはC型肝炎ウイルス(HCV)およびHCMVなどのウイルス感染、または結核(TB)などのマイコバクテリア感染を処置するのに有用であり得る。
【0342】
IAPに対する親和性のために、化合物はプログラムされた細胞死を制御する方法を提供するのに有用であり得る。従って、化合物は癌などの増殖性障害を治療または予防するのに有用であり得ることが認識される。加えて、本発明の化合物は、細胞蓄積に関連する障害があり、または、過剰アポトーシスが細胞損失をもたらす疾患の処置に有用であり得る。
【0343】
処置され得る(または阻害され得る)癌(およびその対応する良性のもの)の例としては、限定されるものではないが、膀胱および尿路、乳房、胃腸管(食道、腹(胃)、小腸、結腸、直腸および肛門を含む)、肝臓(肝細胞癌)、胆嚢および胆道系、外分泌膵臓、腎臓、肺(例えば腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、気管支肺胞上皮癌および中皮腫)、頭頸部(例えば、舌、口腔、喉頭、咽頭、鼻咽腔、扁桃腺、唾液腺、鼻腔および副鼻腔の癌)、卵巣、ファロピーオ管、腹膜、膣、陰門、陰茎、頚部、子宮筋層、子宮内膜、甲状腺(例えば甲状腺濾胞癌)、副腎、前立腺、皮膚および付属器(例えば、黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、角化棘細胞腫、異形成母斑)の癌などの、上皮由来の腫瘍(腺癌、扁平上皮癌、移行細胞癌および他の癌を包含する様々な種類の腺腫および癌);血液系腫瘍およびリンパ系統の関連症状(例えば急性リンパ性白血病[ALL]、慢性リンパ球性白血病[CLL]、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫[DLBCL]などのB細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫および白血病、ナチュラルキラー[NK]細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、毛様細胞白血病、意義不明の単クローン性γグロブリン血症、プラズマ細胞腫、多発性骨髄腫および移植後リンパ増殖性障害)、ならびに血液系腫瘍および骨髄系統の関連症状(例えば、急性骨髄性白血病[AML]、慢性骨髄性白血病[CML]、慢性骨髄単球性白血病[CMML]、好酸球増加症候群、真性赤血球増加症、本態性血小板血症および原発性骨髄線維症などの骨髄増殖症候群、骨髄増殖症候群、骨髄異形成症候群および前骨髄性白血病)を含む、血液系腫瘍(すなわち白血病、リンパ腫)ならびに前癌状態血液疾患および境界悪性の障害;間充織由来の腫瘍、例えば、骨肉腫、繊維肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、滑膜肉腫、類上皮肉腫、消化管間葉性腫瘍、良性および悪性組織球腫ならびに隆起性皮膚線維肉腫などの、軟繊維、骨または軟骨の肉腫;中枢または末梢神経系の腫瘍(例えば、星状細胞腫、神経膠腫および膠芽腫、髄膜腫、脳室上衣腫、果体部腫瘍ならびにシュワン細胞腫);内分泌腺の腫瘍(例えば、下垂体腫瘍、副腎腫瘍、膵島腫瘍、甲状腺傍腫瘍、カルチノイド腫瘍および甲状腺の髄様癌);視覚および付属器腫瘍(例えば、網膜芽細胞腫);生殖細胞および栄養芽層腫瘍(例えば、奇形腫、精上皮腫、未分化胚細胞腫、胞状奇胎および絨毛膜癌腫);ならびに、小児および胚芽腫(例えば、髄芽細胞腫、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍および原始神経外胚葉性腫瘍);または、患者が悪性腫瘍に影響を受けることになる、先天的またはそうではない症候群(色素性乾皮症)が挙げられる。
【0344】
細胞の増殖は、厳密に制御される機能である。異常な細胞増殖の状態である癌は、細胞が制御を欠いた様式で複製し(数が増える)、制御不能に成長し(大きくなる)、および/または、アポトーシス(プログラムされた細胞死)、壊死もしくはアノイキスによる細胞死の減少を受ける場合に生じる。一つの実施態様では、異常な細胞増殖は、制御を欠いた細胞増殖、過剰な細胞成長またはプログラムされた細胞死の減少から選択される。特に、異常な細胞増殖の病態または疾患は癌である。このように、医薬組成物において、異常な細胞増殖(すなわち、制御を欠いたおよび/または急速な細胞増殖)を含んでなる疾患または病態を処置するための本発明の使用または方法であり、一つの実施態様における異常な細胞増殖を含んでなる疾患または病態は癌である。
【0345】
一つの実施態様では、血液系腫瘍は白血病である。他の実施態様では、血液系腫瘍は、リンパ腫である。
【0346】
一つの実施態様では、処置される疾患は、急性および慢性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性リンパ球性白血病(CLL)などの白血病である。一つの実施態様では、白血病は、難治性DLBCLである。
【0347】
一つの実施態様では、リンパ腫はMALTリンパ腫である。一つの実施態様では、白血病はAMLである。
【0348】
一つの実施態様では、血液系悪性腫瘍は多発性骨髄腫である。
【0349】
多くの疾患は、持続性で制御を欠いた血管新生を特徴とする。慢性の増殖性疾患はしばしば深刻な血管新生を併発し、これは炎症性および/もしくは増殖性状態の一因となり得、または炎症性および/もしくは増殖性状態を維持し得、またはこれは血管の侵襲的増殖を通して組織の破壊につながる。腫瘍の増殖および転移は血管新生依存性であることが分かっている。従って、本発明の化合物は、腫瘍血管新生の開始を防止および妨害するのに有用であり得る。特に、本発明の化合物は、転移および転移性癌の処置に有用であり得る。
【0350】
転移または転移性疾患は、ある疾患が1つの器官または部分から他の非隣接器官または部分に転移することである。本発明の化合物に処置され得る癌には、原発腫瘍(すなわち、起源部位における癌細胞)、局所湿潤(局所部位で周囲の正常な組織に浸透および湿潤する癌細胞)、および転移性(または続発性)腫瘍、すなわち、血流を通して(血行性転移)またはリンパ管もしくは体腔を介して(体腔転移性)身体の他の部位および組織に循環した悪性細胞から形成された腫瘍が含まれる。
【0351】
特定の癌としては、肝細胞癌、黒色腫、食道癌、腎臓癌、結腸癌、結腸直腸癌、肺癌、例えば、中皮腫もしくは肺腺癌、乳癌、膀胱癌、胃腸癌、卵巣癌および前立腺癌が挙げられる。
【0352】
特定の癌として、腎臓癌、黒色腫、結腸癌、肺癌、乳癌、卵巣癌および前立腺癌が含まれる。一つの実施態様では、癌は、黒色腫、結腸癌、乳癌および卵巣癌から選択される。一つの実施態様では、癌は黒色腫である。一つの実施態様では、癌は炎症性乳癌である。
【0353】
一つの実施態様では、癌は肺癌、例えば、悪性腹膜中皮腫または悪性胸膜中皮腫を含む中皮腫である。
【0354】
一つの実施態様では、癌は乳癌、特に、トリプルネガティブ(triple −ve)乳癌である。
【0355】
一つの実施態様では、癌は結腸直腸癌である。
【0356】
本発明のさらなる態様には、高い炎症性要素を伴う癌を保有する下位集団から選択される患者における癌の予防または治療における使用のための本発明の化合物が含まれる。そのような癌はまた「炎症性表現型」としても知られ、上昇したサイトカインシグナル伝達(例えば、TNF)を伴う腫瘍が含まれる。一つの実施態様では、癌は、炎症性腫瘍、例えば、黒色腫、結腸癌、乳癌および卵巣癌、特に黒色腫である。
【0357】
一つの実施態様では、黒色腫はras突然変異黒色腫である。
【0358】
特定の癌は、特定の薬剤での処置に耐性を有する。これは、腫瘍のタイプによるものであり得(最も多い上皮悪性腫瘍は本来、化学療法抵抗性である)、または、耐性は、疾患が進行するにつれて偶発的に、または処置の結果として生じ得る。この点で、中皮腫という場合には、トポイソメラーゼ毒、アルキル化剤、抗チューブリン剤、葉酸代謝拮抗剤、白金化合物および放射線療法に対して耐性を有する中皮腫、特に、シスプラチン耐性中皮腫が含まれる。同様に、多発性骨髄腫という場合には、ボルテゾミブ感受性の多発性骨髄腫または難治性の多発性骨髄腫が含まれ、慢性骨髄性白血病という場合には、イミタニブ(imitanib)感受性の慢性骨髄性白血病および難治性慢性骨髄性白血病が含まれる。
【0359】
癌は、XIAP、cIAP1、cIAP2、NAIP、ILP2、ML−IAP、サバイビンおよびBRUCE、より具体的には、XIAP、cIAP1、cIAP2、ML−IAP、最も具体的にはXIAPから選択される1以上のいずれかのIAPの拮抗作用に対して感受性を有する癌であり得る。
【0360】
本発明の化合物、および、特にIAP親和性を有する化合物が、上昇した量のIAPまたは11q22の増幅の存在に関連した、または上昇した量のIAPまたは11q22の増幅の存在を特徴としたタイプの癌、例えば、本明細書の導入の節でこの文脈で参照される癌の治療または予防において有用であることがさらに想定される。
【0361】
IAPの過剰発現によるIAPの上昇した量は、多くの癌で発見され、不良な予後に関連する。さらに、11q22増幅を伴う癌はまた、IAPアンタゴニストにも感受性を有し得る。IAPの上昇した量および11q22の増幅は、本明細書で説明される技術によって特定され得る。特定の癌がIAP機能に感受性を有するものであるかどうかは、「診断の方法」という見出しの節で示される方法によって決定され得る。
【0362】
さらなる態様は、本明細書に記載される疾患または病態、特に癌の処置を目的とする薬剤の製造のための化合物の使用を提供する。
【0363】
化合物はまた、細胞を化学療法に対して増感させることで、または、抗転移剤として、腫瘍の増殖、病因、化学および放射線療法に対する耐性の処置に有用であり得る。
【0364】
総てのタイプの治療的抗癌介入は、必然的に標的腫瘍細胞に負荷するストレスを増大させる。そのようなストレスの有害な効果の緩和において、IAPは、癌の薬物および処置計画の効果への抵抗に直接関与する。よって、IAPのアンタゴニストは:(i)悪性細胞を抗癌剤および/または処置に対して増感させる;(ii)抗癌剤および/または処置に対する耐性の発生を軽減または低減する;(iii)抗癌剤および/または処置に対する耐性を逆転させる;(iv)抗癌剤および/または処置の活性を増強する;(v)抗癌剤および/または処置に対する耐性の発生を遅らせるまたは阻止する可能性を有する化学療法薬種に相当する。
【0365】
化合物のIAPへの親和性の結果、化合物はプログラムされた細胞死を制御する手段を提供するのに有用であり得る。従って、本発明の化合物は、肝炎、潰瘍性大腸炎および胃炎などの炎症性疾患;アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋強直性ジストロフィーおよび筋萎縮性側索硬化症などの神経変性症状;AIDS、再狭窄、外傷性脳損傷、脊髄損傷、脳虚血、脳虚血/再灌流(I/R)損傷、急性および慢性CNS損傷虚血、脳卒中または心筋梗塞などの虚血;骨粗鬆症などの筋骨格系の変性疾患;多発性硬化症(MS)およびI型糖尿病などの自己免疫疾患、および網膜変性症などの眼疾患などの他の症状の処置にも有用であり得る。
【0366】
IAPのアンタゴニストとしての本発明の化合物の親和性は、本明細書の実施例に記載される生物学的および生物物理学的なアッセイを用いて測定され得、所与の化合物によって示される親和性のレベルは、IC
50値の側面から定義される。本発明の特定の化合物は、1μM未満、より具体的には0.1μM未満のIC
50値を有する化合物である。
【0367】
一つの実施態様では、本発明はIAP(例えば、XIAPおよび/またはcIAP、例えばcIAP1)が媒介する疾患または病態の処置における使用のための化合物を提供する。さらなる実施態様では、本発明は、IAP(例えば、XIAPおよび/またはcIAP、例えばcIAP1)を過剰発現する疾患または病態の処置における使用のための化合物を提供する。
【0368】
一つの実施態様では、本発明はIAPが媒介する疾患または病態の処置における使用のための化合物を提供し、ここで、化合物は、IAPに対する少なくとも1つのアッセイ(例えば置換結合)で、50μM未満のIC
50を有するIAPのアンタゴニストである。特に、IAPはXIAP、cIAP1および/またはcIAP2である。さらなる実施態様では、IAPが媒介する疾患または病態は、少なくとも1つのIAPの過剰発現および/または11q22の増幅を特徴とする癌である。
【0369】
一つの実施態様では、本発明はIAPが媒介する疾患または病態の処置における使用のための化合物を提供し、ここで、化合物は、IAPに対するアッセイ(例えば、置換結合)において少なくとも1つのIAPに対して10μM未満のIC
50を有する。
【0370】
さらなる態様では、IAPが媒介する疾患または病態の処置のための薬物の製造に関する化合物の使用が提供され、ここで、化合物はアッセイ(例えば、置換結合)で少なくとも1つのIAPに対して50μM未満のIC
50を有するIAPのアンタゴニストである。
【0371】
診断方法
式(I)の化合物の投与の前に、患者が罹患しているまたは罹患する可能性のある疾患または病態が、IAPに対して親和性を有する化合物での処置に感受性があるものであるかどうかを決定するために患者をスクリーニングすることができる。「患者」という用語にはヒトおよび獣医学的対象が含まれる。
【0372】
例えば、患者から採取する生物学的サンプルを分析し、その患者が罹患しているまたは罹患する可能性のある癌などの病態または疾患が、IAPの量のアップレギュレーションもしくは正常なIAP機能への経路の増感またはIAP活性化の下流の生化学経路のアップレギュレーションをもたらす遺伝子の異常または異常なタンパク質発現を特徴とするものであるかどうかを決定し得る。
【0373】
IAPの活性化または増感をもたらすそのような異常の例としては、アポトーシス経路の欠損もしくは阻害、受容体もしくはリガンドのアップレギュレーション、細胞遺伝学的異常もしくは受容体またはリガンドの突然変異体バリアントの存在である。IAPのアップレギュレーション、特にIAPの過剰発現を伴う腫瘍は、IAPアンタゴニストに特に感受性を有し得る。例えば、XIAPおよびcIAPの過剰発現は背景技術の節で述べられる様々な範囲の癌で特定されている。
【0374】
染色体11q22の増幅は、食道(Imoto et al., 2001)および頸部(Imoto et al., 2002)の扁平上皮癌由来の細胞系統および原発腫瘍、ならびに原発性肺癌/細胞系統(Dai et al., 2003)で検出された。免疫組織化学およびウエスタンブロット分析によって、cIAP1およびcIAP2は両方ともこの稀な増幅が生じる癌でアップレギュレーションを受けているためにこの領域での潜在的癌遺伝子として特定された。
【0375】
アップレギュレーションという用語には、遺伝子増幅(すなわち、複数の遺伝子コピー)、細胞遺伝学的異常および転写効果による発現の増加を含め、発現の上昇または過剰発現が含まれる。よって、患者は、IAPのアップレギュレーションの特徴を示すマーカーを検出するために診断検査を受け得る。診断という用語には、スクリーニングも含まれる。マーカーとは、例えばIAPまたは11q22増幅の存在を特定するためのDNA組成の測定を含む、遺伝子マーカーが包含される。マーカーという用語にはまた、タンパク質のレベル、タンパク質の状態および前述のタンパク質のmRNAレベルを含め、IAPのアップレギュレーションに特徴的なマーカーが含まれる。
【0376】
診断検査およびスクリーニングは一般に、腫瘍生検サンプル、血液サンプル(脱落腫瘍細胞の単離および濃縮)、脳脊髄液、血漿、血清、唾液、便生検、痰、染色体分析、胸水、腹水、口腔粘膜塗抹(buccal spears)、皮膚生検または尿から選択される、生体サンプル(すなわち、体組織または体液)に対して実施される。
【0377】
細胞遺伝学的異常、遺伝子増幅、突然変異およびタンパク質のアップレギュレーションの特定および分析の方法は、当業者に公知である。スクリーニング方法は、限定されるものではないが、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)などの標準的な方法または蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)などのインサイツハイブリダイゼーションを含み得る。
【0378】
RT−PCRでスクリーニングする場合、mRNAのcDNAコピーを作成して次いでPCRによってそのcDNAを増幅することで、腫瘍のmRNAのレベルを測定する。PCR増幅の方法、プライマーの選択および増幅のための条件は、当業者に公知である。核酸操作およびPCRは、例えば、Ausubel, F.M. et al.編(2004) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Inc.、またはInnis, M.A. et al., eds. (1990) PCR Protocols: a guide to methods and applications, Academic Press, San Diegoに記載されている通りに標準的な方法で実施される。核酸技術に関連する反応および操作もSambrook et al., (2001),第3版, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されている。または、RT−PCRのための市販のキット(例えば、Roche Molecular Biochemicals)を使用してもよく、または米国特許第4,666,828号;同第4,683,202号;同第4,801,531号;同第5,192,659号、同第5,272,057号、同第5,882,864号および同第6,218,529号に記載される方法を用いてもよく、これらは引用することにより本明細書の一部とされる。
【0379】
mRNA発現を評価するためのin situハイブリダイゼーション技術の一例として、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)であろう(Angerer (1987) Meth. Enzymol., 152: 649参照)。
【0380】
一般に、in situハイブリダイゼーションは、以下の主要工程を含んでなる:(1)分析する組織の固定;(2)サンプルのプレハイブリダイゼーション処理による標的核酸の接近性の増大および非特異結合の低減;(3)核酸の混合物の、生物学的構造または組織中の核酸へのハイブリダイゼーション;(4)ポストハイブリダイゼーション洗浄による、ハイブリダイゼーションで結合しなかった核酸断片の除去、および(5)ハイブリダイズした核酸断片の検出。そのような適用に使用されるプローブは一般に、例えば、放射性同位体または蛍光レポーターで標識される。特定のプローブは、ストリンジェント条件下で1または複数の標的核酸との特異的ハイブリダイゼーションを可能にするのに十分な長さの、例えば約50、100または200のヌクレオチド〜約1000以上のヌクレオチドである。FISHを実施するための標準的な方法は、Ausubel, F.M. et al.編 (2004) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons IncおよびFluorescence In Situ Hybridization: Technical Overview by John M. S. Bartlett in Molecular Diagnosis of Cancer, Methods and Protocols, 第2版; ISBN: 1-59259-760-2; March 2004, pps. 077-088; Series: Methods in Molecular Medicineに記載されている。
【0381】
遺伝子発現プロファイリングの方法は、(DePrimo et al. (2003), BMC Cancer, 3:3)により記載されている簡単に述べれば、プロトコールは次の通りである:第1鎖cDNA合成をプライムするために(dT)24オリゴマーを用い、次いで、ランダムヘキサマープライマーで第2鎖cDNA合成を行い、二重鎖cDNAを全RNAから合成する。二重鎖cDNAを、ビオチン化リボヌクレオチドを用いるcRNAのin vitro転写のための鋳型として使用する。Affymetrix(米国、カリフォルニア州、サンタ・クララ)のよって記載されているプロトコールに従ってcRNAを化学的に断片化し、次いで、Human Genome Arrays上で一晩ハイブリダイズさせる。
【0382】
あるいは、mRNAから発現されるタンパク質生成物は、腫瘍サンプルの免疫組織化学法、マイクロタイタープレートでの固相免疫アッセイ、ウエスタンブロッティング、2次元SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、ELISA、フローサイトメトリーおよび特定のタンパク質の検出のための当技術分野で公知の他の方法によってアッセイされる。検出方法は、部位特異的抗体の使用を含む。当業者ならば、IAPのアップレギュレーションの検出、IAPバリアントまたは突然変異体の検出、または11q22増幅の検出のためのそのような周知の技術がこの場合にも適用可能であることを理解するであろう。
【0383】
IAPなどのタンパク質の異常なレベルは、標準的なタンパク質アッセイ、例えば、本明細書に記載されるこれらアッセイを用いて測定し得る。上昇したレベルまたは過剰発現も、Chemicon Internationalからのものなどのアッセイでタンパク質レベルを測定することにより、組織サンプル、例えば、腫瘍組織で検出することができる。対象タンパク質はサンプル溶解液から免疫沈降され、そのレベルが測定される。
【0384】
そのアイソフォームを含むIAPの過剰発現または上昇の測定の別法として、微小血管密度の測定が挙げられる。これは例えば、Orre and Rogers (Int J Cancer (1999), 84(2), 101-8)により記載されている方法を用いて測定され得る。アッセイ方法には、マーカーの使用も含まれる。
【0385】
従って、これら総ての技術を用いて、本発明の化合物での処置に特に適した腫瘍を識別も可能である。
【0386】
従って、本発明のさらなる態様には、IAPへの親和性を有する化合物(すなわち、IAPアンタゴニスト)での処置に感受性を有するであろう疾患または病態に罹患しているまたは罹患するリスクがあるとスクリーニングおよび決定された患者において、疾患または病態の治療または予防を目的とする薬剤の製造のために、本発明による化合物を使用することが含まれる。
【0387】
さらなる実施態様は、本明細書に記載の疾患または病態(例えば、癌)を有する、または有するリスクのある患者を治療する方法であって、有効量の式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法を提供する。
【0388】
本発明の他の態様には、1以上のIAPファミリーメンバー(例えばcIAPおよび/またはXIAP)の過剰発現を保有する下位集団から選択された患者での癌の予防または処置における使用のための、本発明の化合物が含まれる。
【0389】
本発明の他の態様には、IAPの過剰発現をもたらす細胞遺伝学的異常を保有するとして選択される患者、例えば、11q22増幅を保有するとして選択される患者での癌の予防または治療における使用のための、本発明の化合物が含まれる。
【0390】
血管正常化のMRI決定(例えば、MRIグラジェントエコー、スピンエコーおよびコントラスト増強を用いて血液量、相対血管サイズおよび血管透過性を測定する)を循環しているバイオマーカーと併用して、本発明の化合物による処置を特定してもよい。
【0391】
よって、本発明のさらなる態様は、IAPにより媒介される疾患状態または病態の診断および処置のための方法であり、この方法は、(i)患者が罹患しているまたは罹患する可能性のある疾患または病態がIAPに対する親和性を有する化合物による処置に感受性を有するものかどうかを決定するために患者をスクリーニングすること;および(ii)このように患者が罹患しているまたは罹患する可能性のある疾患または病態が感受性を有すると示された場合、その後にその患者に、本明細書で定義される式(I)の化合物およびその下位群または例を投与することを含んでなる。
【0392】
医薬処方物
活性化合物を投与するのが可能である一方で、活性化合物を医薬組成物(例えば、処方物)として提供することが好ましい。一つの実施態様では、これは無菌医薬組成物である。
【0393】
よって、本発明はさらに、上記で定義された医薬組成物、ならびに少なくとも1つの式(I)の化合物(および本明細書で定義されるその下位群)を、1以上の薬学的に許容可能な賦形剤およびBAAにより他の治療薬または予防剤とともに含んでなる(例えば、混合する)医薬組成物を作製する方法を提供する。
【0394】
薬学的に許容可能な賦形剤は、例えば、担体(例えば、固体、液体または半固体担体)、補助剤、希釈剤、充填剤もしくは増量剤、造粒剤、コーティング剤、放出制御剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、保存剤、抗酸化剤、緩衝剤、沈殿防止剤、増粘剤、香味剤、甘味剤、矯味剤、安定剤または医薬組成物で従来使用されている他のいずれかの賦形剤から選択され得る。様々な種類の医薬組成物のための賦形剤の例は、以下でさらに詳細に記載する。
【0395】
「薬学的に許容可能な」という用語は、本明細書で使用する場合、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激作用、アレルギー反応または他の問題もしくは合併症なく、妥当な利益/リスク比に見合った、対象(例えば、ヒト)の組織との接触に使用するのに適切な化合物、材料、組成物、および/または投与形に関連する。各担体、賦形剤などは、処方物の他の成分と適合するという意味でも「許容可能できる」でなければならない。
【0396】
式(I)の化合物を含有する医薬組成物は、公知の技術に従って調剤することができる、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, PA, USAを参照。
【0397】
医薬組成物は、経口、非経口、局所、鼻腔内、気管支内、舌下、眼、耳、直腸、膣内、または経皮投与に適したいずれの形態であってもよい。組成物が非経口投与用に意図される場合、組成物は、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下投与向けに、または、注射、注入もしくは他の伝達手段による標的器官もしくは組織への直接送達向けに調剤され得る。送達は、ボーラス注射、短期注入もしくは長期注入によって行うことができ、および受動的送達を介して、または、適切な注入ポンプもしくは注射ドライバーの使用を通して行うことができる。
【0398】
非経口投与に適した医薬処方物には、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬、補助溶媒、界面活性剤、有機溶媒混合物、シクロデキストリン複合体形成剤、乳化剤(乳剤を形成および安定化させるための)、リポソームを形成するためのリポソーム成分、ポリマーゲルを形成するためのゲル化可能ポリマー、凍結乾燥保護剤、およびとりわけ可溶形態の活性成分を安定化し、処方物を意図するレシピエントの血液と等張とするための薬剤の組み合わせを含み得る、水性および非水性の無菌注射液が包含される。非経口投与のための医薬製剤は、懸濁剤および増粘剤を含み得る水性および非水性の滅菌懸濁液の形態を取ってもよい(R. G. Strickly, Solubilizing Excipients in oral and injectable formulations, Pharmaceutical Research, Vol 21(2) 2004, p 201-230)。
【0399】
処方物は、例えば密封アンプル、バイアルおよびプレフィルドシリンジなどの、単位用量または複数用量容器で提供してもよく、使用直前に、例えば注射水などの無菌液体担体の添加を必要とするだけのフリーズドライ(凍結乾燥)条件で保存してもよい。一つの実施態様では、処方物は、後に適当な希釈剤を用いて再構成するための、ボトル中の活性医薬成分として提供される。
【0400】
医薬処方物、式(I)の化合物またはその下位群を凍結乾燥することにより調製され得る。凍結乾燥とは、組成物をスリーズドライする手法を意味する。従って、フリーズドライおよび凍結乾燥は、類義語として本明細書で使用される。
【0401】
即時調合注射液および懸濁液は、無菌粉末、顆粒、錠剤から調製してもよい。
【0402】
非経口注射のための本発明の医薬組成物もまた、使用の直前に無菌注射溶液へ再構成するための、薬学的に許容可能な無菌水性または非水性溶液、分散物、懸濁液またはエマルションならびに無菌粉末を含んでなり得る。
【0403】
適切な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒または媒体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、カルボキシメチルセルロースおよびその適切な混合物、植物油(ヒマワリ油、サフラワー油、トウモロコシ油またはオリーブ油など)ならびにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどの増粘またはコーティング材料の使用によって、分散物の場合は要求される粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持され得る。
【0404】
本発明の組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などの補助剤を含有してもよい。微生物の活性の阻止は、様々な抗細菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などである。糖、塩化ナトリウムなどの包含によって確保することができる。浸透圧を調節する薬剤を含むことが望まれる場合もある。注射可能な医薬形態の長時間吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの、吸収を遅延させる薬剤の包含によってもたらされ得る。
【0405】
本発明の1つの特定の実施態様では、医薬組成物は、例えば注射または注入による、静脈内投与に適した形態である。静脈内投与に関して、溶液はそのまま投与することができるし、または投与前に輸液バッグ(0.9%生理食塩水または5%ブドウ糖などの薬学的に許容可能な賦形剤を含む)に注入することもできる。
【0406】
別の特定の実施態様では、医薬組成物は皮下(s.c.)投与に適した形態である。
【0407】
経口投与に適した医薬投与形には、錠剤(コーティングもしくは非コーティング)、カプセル剤(ハードもしくはソフトシェル)、カプレット、丸剤、舐剤、シロップ、溶液、粉末、顆粒剤、エリキシル剤および懸濁液、舌下錠もしくはウエハースまたは、口内パッチなどのパッチが含まれる。
【0408】
よって、錠剤組成物は、例えばラクトース、スクロース、ソルビトールもしくはマンニトールなどの糖もしくは糖アルコールなどの不活性希釈剤もしくは担体、ならびに/または、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、もしくは、セルロースもしくは結晶セルロース(MCC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのその誘導体およびコーンスターチなどのデンプンなどの、非糖由来希釈剤と一緒に活性化合物の単位投与形を含み得る。錠剤は、さらにポリビニルピロリドンなどの結合および造粒剤、崩壊剤(例えば架橋結合カルボキシメチルセルロールなどの膨潤性架橋ポリマー)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸塩)、保存剤(例えば、パラベン)、抗酸化剤(例えば、BHT)、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液またはクエン酸緩衝液)、およびクエン酸塩/重炭酸塩混合物などの発泡剤といった標準成分を含有してもよい。そのような賦形剤は周知であり、ここで詳細に述べる必要はない。
【0409】
錠剤は、胃液と接触した際に薬剤を放出するように設計してもよく(即放錠剤)、または、長期間にわたってもしくは胃腸管の特定の領域で制御された方法で放出するように設計してもよい(放出制御錠剤)。
【0410】
カプセル処方物は、ハードゼラチンまたはソフトゼラチンの種類であってもよく、固体、半固体または液体形態で活性成分を含み得る。ゼラチンカプセルは、動物性ゼラチンまたはその合成もしくは植物由来同等物から形成され得る
【0411】
固体投与形(例えば、錠剤、カプセル剤など)は、コーティングしてもコーティングしなくてもよい。コーティングは保護フィルムとして(例えば、ポリマー、蝋またはワニス)、または、薬剤放出の制御のため、もしくは、美観もしくは識別目的のためのメカニズムとしてのいずれかで作用し得る。コーティング(例えば、Eudragit(商標)種類ポリマー)は、胃腸管内の所望する位置で活性成分を放出するように設計することができる。よって、コーティングは、胃腸管内で特定のpH条件下で分解するように選択され、それにより、胃、または回腸、十二指腸、空腸もしくは結腸で化合物を選択的に放出し得る。
【0412】
コーティングの代わりに、または、コーティングに加えて、薬剤を、例えば、胃腸管で制御された方法で化合物を放出するよう構成され得る放出遅延剤である、放出制御剤を含む固体マトリックスで提供し得る。また、薬剤を、胃腸管内で異なる酸性またはアルカリ性の条件下で化合物を選択的に放出するように構成され得るポリマーコーティング、例えばポリメタクリル酸ポリマーコーティングで提供してもよい。あるいは、マトリックス材料または放出遅延コーティングは、投与形が胃腸管を通過するにつれて実質的に持続して侵食される侵食性ポリマー(例えば、無水マレイン酸ポリマー)の形態を取り得る。他の代替手段では、コーティングは、腸内の微生物作用下で分解するように設計され得る。さらなる代替手段として、活性化合物は、化合物の放出の浸透圧制御を提供する送達系で調剤され得る。浸透圧放出性および他の遅延放出性または徐放性製剤(例えば、イオン交換樹脂をもとにした製剤)を当業者に周知の方法に従って調製してもよい。
【0413】
式(I)の化合物は、担体と一緒に調剤され、ナノ粒子の形態で投与することができ、ナノ粒子の増加した表面積は、その吸収を助ける。さらに、ナノ粒子は、細胞への直接浸透の可能性をもたらす。ナノ粒子薬剤送達系は、2006年3月13日出版の“Nanoparticle Technology for Drug Delivery”, edited by Ram B Gupta and Uday B. Kompella, Informa Healthcare, ISBN 9781574448573に記載されている。薬剤送達のためのナノ粒子は、J. Control. Release, 2003, 91 (1-2), 167-172、およびSinha et al., Mol. Cancer Ther. August 1, (2006) 5, 1909にも記載されている。
【0414】
医薬組成物は一般に、およそ1%(w/w)〜およそ95%(w/w)の活性成分および99%(w/w)〜5%(w/w)の薬学的に許容可能な賦形剤または賦形剤の組合せを含んでなる。特に、組成物は、およそ20%(w/w)〜およそ90%、%(w/w)の活性成分および80%(w/w)〜10%の薬剤的に許容できる賦形剤または賦形剤の組み合わせを含んでなる。医薬組成物は、およそ1%〜およそ95%、特には、およそ20%〜およそ90%の活性成分を含む。本発明による医薬組成物は、例えば、アンプル、バイアル、および坐剤、プレフィルドシリンジ、糖剤、錠剤またはカプセル剤などの単位用量形態であり得る。
【0415】
薬学的に許容可能な賦形剤は、処方物の所望の物理的形態に従って選択することができ、例えば、希釈剤(例えば、充填剤または増量剤などの固体希釈剤;また溶媒および補助溶媒などの液体希釈剤)、崩壊剤、緩衝剤、滑沢剤、流動補助剤、放出制御(例えば、放出遅緩または遅延ポリマーまたは蝋)剤、結合剤、造粒剤、色素、可塑剤、抗酸化剤、保存剤、香味料、矯味剤、浸透圧調整剤およびコーティング剤から選択され得る。
【0416】
当業者ならば、処方物での使用のための成分の適切な量を選択するための専門知識を有するであろう。例えば、錠剤およびカプセル剤は一般に、0〜20%の崩壊剤、0〜5%の滑沢剤、0〜5%の流動補助剤および/または0〜99%(w/w)の充填剤/もしくは増量剤(薬剤投与量によって)を含有する。錠剤およびカプセル剤はまた、0〜10%(w/w)のポリマー結合剤、0〜5%(w/w)の抗酸化剤、0〜5%(w/w)の色素を含有してもよい。緩効放出錠剤は加えて、0〜99%(w/w)の放出制御(例えば、遅延)ポリマー(投与量によって)を含むと考えられる。錠剤またはカプセル剤のフィルムコーティングは一般に、0〜10%(w/w)のポリマー、0〜3%(w/w)の色素、および/または0〜2%(w/w)の可塑剤を含有する。
【0417】
非経口製剤は一般に、0〜20%(w/w)の緩衝液、0〜50%(w/w)の補助溶媒、および/または0〜99%(w/w)の注射水(WFI)(投与量および凍結乾燥されているかどうかによる)を含有する。筋肉内デポー用の処方物はまた、0〜99%(w/w)の油も含有してよい。
【0418】
経口投与用の医薬組成物は、活性成分を固体担体と組み合わせ、所望する場合は得られた混合物を粒状にし、望ましいまたは必要な場合は、適切な賦形剤の添加後に混合物を錠剤、糖剤コアまたはカプセル剤に加工することにより得ることができる。医薬組成物を、活性成分が測定量で分散または放出されることを可能にするポリマーまたは蝋マトリックスに組み込むことも可能である。
【0419】
本発明の化合物はまた、固体分散物としても調剤され得る。固体分散物は、2つ以上の固体の均質で非常に細かい分散相である。固体分散物の1つの種類である固溶体(分子的分散系)は、医薬技術での使用に関して周知であり(Chiou and Riegelman, J. Pharm. Sci., 60, 1281-1300 (1971)参照)、溶解速度を増大すること、および水溶性の低い薬剤の生物学的利用度を増大するのに有用である。
【0420】
本発明はまた、上記の固溶体を含んでなる固体投与形も提供する。固体投与形には、錠剤、カプセル剤、咀嚼錠剤および分散性または発泡性錠剤が含まれる。公知の賦形剤を固溶体と混合し、所望の投与形を提供することができる。例えば、カプセル剤は(a)崩壊剤および滑沢剤、または(b)崩壊剤、滑沢剤および界面活性剤と混合した固溶体を含み得る。さらに、カプセル剤は、ラクトースまたは結晶セルロースなどの増量剤を含み得る。錠剤は、少なくとも1つの崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、増量剤および流動促進剤と混合した固溶体を含み得る。咀嚼錠剤は、増量剤、滑沢剤、および望ましい場合はさらに甘味剤(人工甘味剤などの)および適切な調味料と混合した固溶体を含み得る。固溶体はまた、薬剤および適切なポリマーの溶液を糖ビーズ(「ノンパレイユ」)などの不活性担体の表面にスプレーすることで形成されてもよい。これらのビーズは、次いで、カプセルに充填しもよく、または、圧縮して錠剤としてもよい。
【0421】
医薬処方物は、単一のパッケージ、通常ブリスターパック内に全コースの治療を含む「患者パック」で患者に提供してもよい。患者パックは、薬剤師がバルク補給から患者の医薬品の供給分を分割する従来の処方に対して利点を有し、患者パックでは、患者は患者パックに含まれる添付文書を常に利用でき、これは通常患者の処方箋には見られない。添付文書の封入は、医師の指示への患者のコンプライアンスを向上させることが示されている。
【0422】
局所使用および経鼻伝達のための組成物には、軟膏、クリーム、スプレー、パッチ、ジェル、液体ドロップおよび挿入物(例えば眼内挿入物)が含まれる。そのような組成物は、公知の方法に従って調剤され得る。
【0423】
直腸または膣内投与のための処方物の例としては、例えば活性化合物を含有するある形状の成形可能な材料または蝋材料から形成され得るペッサリーおよび坐剤が挙げられる。活性化合物の溶液も、直腸投与に使用してもよい。
【0424】
吸入による投与のための組成物は、吸入可能粉末組成物または液体もしくは粉末スプレーの形態を取り得、粉末吸入デバイスまたはエアゾール分散デバイスを用いた標準的な形態で投与され得る。そのようなデバイスは周知である。吸入による投与に関して、粉末化した処方物は一般に、ラクトースなどの不活性固体粉末希釈剤と一緒に活性化合物を含んでなる。
【0425】
式(I)の化合物は概して、単位投与形で提供され、それ自体、一般に、所望のレベルの生物学的活性を提供するのに十分な化合物を含有すると考えられる。例えば、処方物は、1ナノグラム〜2グラムの活性成分、例えば、1ナノグラム〜2ミリグラムの活性成分を含有し得る。これら範囲内で、化合物の特定の下位範囲は、0.1ミリグラム〜2グラムの活性成分(より通常には10ミリグラム〜1グラム、例えば50ミリグラム〜500ミリグラム)または1マイクログラム〜20ミリグラム(例えば、1マイクログラム〜10ミリグラム、例えば0.1ミリグラム〜2ミリグラムの活性成分)である。
【0426】
経口組成物に関して、単位投与形は、1ミリグラム〜2グラム、より一般には10ミリグラム〜1グラム、例えば50ミリグラム〜1グラム、例えば100ミリグラム〜1グラムの活性化合物を含有し得る。
【0427】
活性化合物は、それが必要な患者(例えば、ヒトまたは動物患者)において所望の治療効果を達成するのに十分な量で投与される。
【0428】
治療方法
本明細書で定義される式(I)の化合物および下位群は、IAPにより媒介される一定範囲の疾患状態または病態の予防または治療に有用であり得る。従って、本発明のさらなる態様によれば、XIAPおよび/またはcIAPなどのIAPにより媒介される疾患状態または病態(例えば、癌)を治療する方法が提供され、この方法は、本明細書に記載の式(I)の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含んでなる。本発明のさらなる態様によれば、XIAPおよび/またはcIAPなどのIAPを過剰発現する疾患状態または病態(例えば、癌)を治療する方法が提供され、この方法は、本明細書に記載の式(I)の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含んでなる。そのような疾患状態および病態の例は上記に示され、特に癌を含む。
【0429】
化合物は概してそのような投与を必要とする対象、例えば、ヒトまたは動物患者、特にヒトに投与される。
【0430】
化合物は一般に、治療上または予防上有用であり、概して無毒性である量で投与される。しかしながら、特定の状況(例えば、生死にかかわる疾患の場合)では、式(I)の化合物を投与する利益があらゆる有毒作用または副作用の不利を上回り得、この場合、化合物を、一定の毒性度を伴うで投与することが望ましいと考えられ得る。
【0431】
化合物は長期にわたって投与して有益な治療効果を維持してもよく、または、短期間のみの間で投与してもよい。あるいは、持続的な方法で、または、間欠投与を提供する方法(パルス方法)で投与してもよい。
【0432】
式(I)の化合物の典型的な一日用量は、体重1キログラムあたり100ピコグラム〜100ミリグラム、より一般には体重1キログラムあたり5ナノグラム〜25ミリグラム、より一般的は体重1キログラムあたり10ナノグラム〜15ミリグラム(例えば、10ナノグラム〜10ミリグラム、より一般には1キログラムあたり1マイクログラム〜1キログラムあたり20ミリグラム、例えば、1キログラムあたり1マイクログラム〜10の範囲であり得るが、必要な場合はより高いまたは低い用量が投与されてもよい。式(I)の化合物は、毎日、または、例えば2もしくは3もしくは4もしくは5もしくは6もしくは7もしくは10もしくは14もしくは21もしくは28日ごとに繰り返して投与され得る。
【0433】
本発明の化合物は、例えば1〜1500mg、2〜800mg、または5〜500mg、例えば2〜200mgまたは10〜1000mgの範囲の用量で経口投与されてもよく、用量の具体的な例には、10、20、50および80mgが包含される。化合物を毎日1度以上投与してもよい。化合物を持続的に投与してもよい(すなわち、治療計画の間、中断なく毎日摂取)。または、化合物は間欠的に(すなわち、治療計画の期間全体を通して、1週間などの特定の期間の間持続的に取り、1週間などの期間の間中止し、さらに1週間などの期間持続して摂取)投与してもよい。間欠投与に関する治療計画の例として、1つ以上のサイクル、例えば2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10またはそれ以上のサイクルに関して、1週間有り、1週間無し;または、2週間有り、1週間無し;または、3週間有り、1週間無し;または、2週間有り、2週間無し;または、4週間有り、2週間無し;または、1週間有り、3週間無しのサイクル内で投与される治療計画が挙げられる。
【0434】
1つの特定の用量スケジュールでは、患者は、式(I)の化合物の注入を、最大10日間、特に5日間、1週間の間、毎日1時間与えられ、治療は、2〜4週間、特に3週間ごとなどの望ましい間隔で繰り返される。
【0435】
より具体的には、患者は、式(I)の化合物の注入を、5日間、毎日1時間与えられてもよく、治療は3週間ごとに繰り返されてもよい。
【0436】
別の特定の用量計画では、患者は30分間〜1時間にわたって注入を受け、次いで、例えば1〜5時間、例えば3時間などの、様々な時間で維持注入を受ける。
【0437】
さらなる特定の用量計画では、患者は12時間〜5日間持続的注入、特に、24時間〜72時間の持続的注入を与えられる。
【0438】
別の特定の用量計画では、患者は週に1回化合物を経口的に与えられる。
【0439】
別の特定の用量計画では、患者は1日1回、7〜28日間、例えば、7、14または28日間、化合物を経口的に与えられる。
【0440】
別の特定の用量計画では、患者は1日1回、1日間、2日間、3日間、5日間または1週間、化合物を経口的に与えられ、その後、必要な日数で中断し、1または2週間のサイクルを完了する。
【0441】
別の特定の用量計画では、患者は1日1回、2週間、化合物を経口的に与えられ、その後、2週間中断する。
【0442】
別の特定の用量計画では、患者は1日1回、2週間、化合物を経口的に与えられ、その後、1週間中断する。
【0443】
別の特定の用量計画では、患者は1日1回、1週間、化合物を経口的に与えられ、その後、1週間中断する。
【0444】
しかしながら、最終的には、投与される化合物の量および使用される組成物の種類は、治療される疾患または生理学的症状の性質に見合ったものであり、医師の裁量による。
【0445】
IAPアンタゴニストは単剤としてまたは他の抗癌剤と組み合わせて使用可能なことが分かっている。例えば、アポトーシスを誘発するアンタゴニストを、異なるメカニズムを介して細胞増殖を制御するよう作用する他の薬剤と組み合わせ、このようにして癌の発達の2つの特徴的な特色を治療することが有益であり得る。組み合わせの実験は、例えば、Chou TC, Talalay P. Quantitative analysis of dose-effect relationships: the combined effects of multiple drugs or enzyme inhibitors. Adv Enzyme Regulat 1984;22: 27-55に説明のように実施し得る。
【0446】
本明細書で定義される化合物は、例えば上記に定義される癌などの腫瘍疾患である、特定の疾患状態の処置のために、単一の治療剤として投与することもできるし、または1以上の他の化合物(または療法)との併用療法で投与することもできる。上記の病態の治療のために、本発明の化合物を、癌の治療において、1以上の薬剤、より具体的には、他の抗癌剤または補助剤(その療法での補助薬剤)と併用して有利に使用してもよい。式(I)の化合物と一緒に投与され得る(同時であるか異なる時間間隔であるかは問わない)他の治療剤または治療の例としては、限定されるものではないが、次のものが挙げられる:
・トポイソメラーゼI阻害剤
・代謝拮抗剤;
・チューブリン標的剤;
・DNA結合剤およびトポイソメラーゼII阻害剤;
・アルキル化剤;
・モノクローン抗体;
・抗ホルモン;
・シグナル伝達阻害剤;
・プロテアソーム阻害剤;
・DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤;
・サイトカインおよびレチノイド;
・クロマチン標的療法;
・放射線療法;ならびに
・他の治療または予防剤。
【0447】
抗癌剤または補助剤(またはその塩)の特定の例として、限定されるものではないが、下の群(i)〜(xlvi)および場合により群(xlvii)から選択されるいずれの薬剤も挙げられる:
(i)白金化合物、例えばシスプラチン(アミホスチンと組み合わせてもよい)、カルボプラチンまたはオキサリプラチン;
(ii)タキサン化合物、例えばパクリタキセル、パクリタキセルタンパク質結合粒子(Abraxane(商標))、ドセタセル、カバジタキセル、ラロタキセル;
(iii)トポイソメラーゼI阻害剤、例えばカンプトテシン化合物、例えばカンプトテシン、イリノテカン(CPT11)、SN−38またはトポテカン;
(iv)トポイソメラーゼII阻害剤、例えば抗腫瘍エピポドフィロトキシン、ポドフィロトキシン誘導体、例えばエトポシド、または、テニポシド;
(v)ビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、ビンクリスチン、リポソームビンクリスチン(Onco−TCS)、ビノレルビン、ビンデシン、ビンフルニン、ビンンベシル(vinvesir);
(vi)ヌクレオシド誘導体、例えば5−フルオロウラシル(5−FU、ロイコボリンと組み合わせてもよい)ゲムシタビン、カペシタビン、テガフール、UFT、S1、クラドリビン、シタラビン(Ara−C、シトシンアラビノシド)、フルダラビン、クロファラビンまたはネララビン;
(vii)代謝拮抗剤、例えばクロファラビン、アミノプテリン、またはメトトレキセート、アザシチジン、シタラビン、フロクスウリジン、ペントスタチン、チオグアニン、チオプリン)、6−メルカプトプリンまたはヒドロキシウレア(ヒドロキシカルバミド;
(viii)ナイトロジェンマスタードまたはニトロソウレアなどのアルキル化剤、例えばシクロホスファミド、クロラムブチル、カルマスティン(BCNU)、ベンダムスチン、チオテパ、メルファラン、トレオスルファン、ロムスチン(CCNU)、アルトレタミン、ブスルファン、ダカルバジン、エストラムスチン、ホテムスチン、イホスファミド(メスナと組み合わせてもよい)、ピポブロマン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、テモゾロミド、ウラシル、メクロレタミン、メチルシクロヘキシルクロロエチルニトロソウレアまたはニムスチン(ACNU);
(ix)アントラサイクリン、アントラセンジオン、および関連薬剤、例えばダウノルビシン、アドリアマイシン(デクスラゾキサンと組み合わせてもよい)、ドキソルビシンのリポソーム製剤(例えば、Caelyx(商標)、Myocet(商標)、Doxil(商標))、イダルビシン、ミトキサントロン、エピルビシン、アムサクリンまたはバルルビシン;
(x)エポチロン、例えばイクサベピロン、パツピロン、BMS−310705、KOS−862およびZK−EPO、エポチロンA、エポチロンB、デスオキシエポチロンB(さらにエポチロンDまたはKOS−862としもて知られている)、アザ−エポチロンB(BMS−247550としても知られている)、アウリマリド(aulimalide)、イソラウリマリドまたはルエテロビン(luetherobin);
(xi)DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばテモゾロミド、アザシチジン、デシタビン、またはSGI−110;
(xii)抗葉酸剤、例えばメトトレキセート)はペメトレキセド二ナトリウムまたはラルチトレキセド;
(xiii)細胞毒性抗生物質、例えばアンチノマイシン(antinomycin)D、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、カルミノマイシン、ダウノマイシン、レバミソール、プリカマイシンまたはミトラマイシン;
(xiv)チューブリン結合剤、例えばコンブレタスタチン、コルヒチンまたはノコダゾール;
(xv)キナーゼ阻害剤(例えばEGFR(上皮成長因子受容体)阻害剤、VEGFR(血管内皮成長因子受容体)阻害剤、PDGFR(血小板由来成長因子受容体)阻害剤、MTKI(複数標的キナーゼ阻害剤)、Raf阻害剤、mTOR阻害剤、例えばメシル酸イマチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ダサチニブ、ラパチニブ、ドボチニブ(dovotinib)、アキシチニ、ニロチニブ、バンデタニブ、バタリニブ(vatalinib)、パゾパニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、エベロリムス(RAD 001)、ベムラフェニブ(PLX4032/RG7204)、ダブラフェニブ、エンコラフェニブ(encorafenib)またはIκBキナーゼ阻害剤、例えば、SAR−113945、バルドキソロン、BMS−066、BMS−345541、IMD−0354、IMD−2560、もしくはIMD−1041、またはMEK阻害剤、例えば、セルメチニブ(AZD6244)およびトラメチニブ(GSK121120212)などのシグナル伝達阻害剤;
(xvi)オーロラキナーゼ阻害剤、例えば、AT9283、バラセルチブ(AZD1152)、TAK−901、MK0457(VX680)、セニセルチブ(cenisertib)(R−763)、ダヌセルチブ(PHA−739358)、アリセルチブ(MLN−8237)またはMP−470);
(xvii)CDK阻害剤、例えばAT7519、ロスコビチン、セリシクリブ、アルボシジブ(フラボピリドール)、ジナシクリブ(SCH−727965)、7−ヒドロキシ−スタウロスポリン(UCN−01)、JNJ−7706621、BMS−387032(別名SNS−032)、PHA533533、PD332991、ZK−304709またはAZD−5438;
(xviii)PKA/B阻害剤およびPKB(akt)経路阻害剤、例えば、AKT阻害剤、例えば、KRX−0401(ペリフォシン/NSC 639966)、イパタレルチブ(GDC−0068;RG−7440)、アフレセルチブ(GSK−2110183;2110183)、MK−2206、MK−8156、AT13148、AZD−5363、リン酸トリシリビン(VQD−002;リン酸トリシリビン一水和物(API−2;TCN−P;TCN−PM;VD−0002)、RX−0201、NL−71−101、SR−13668、PX−316、AT13148、AZ−5363、Semaphore、SF1126、もしくはエンザスタウリンHCl(LY317615)またはMTOR阻害剤、例えば、ラパマイシン類似体、例えば、RAD 001(エベロリムス)、CCI 779(テムシロレムス(temsirolemus))、AP23573およびリダフォロリムス、シロリムス(当初ラパマイシンとして知られていた)、AP23841およびAP23573、カルモジュリン阻害剤、例えば、CBP−501(フォークヘッド転移阻害剤)、エンザスタウリンHCl(LY317615)またはPI3K阻害剤、例えば、ダクトリシブ(BEZ235)、ブパルリシブ(BKM−120;NVP−BKM−120)、BYL719、コパンリシブ(BAY−80−6946)、ZSTK−474、CUDC−907、アピトリシブ(GDC−0980;RG−7422)、ピクチリシブ(ピクトレリシブ、GDC−0941、RG−7321)、GDC−0032、GDC−0068、GSK−2636771、イデラリシブ(旧称CAL−101、GS 1101、GS−1101)、MLN1117(INK1117)、MLN0128(INK128)、IPI−145(INK1197)、LY−3023414、イパタセルチブ、アフレセルチブ、MK−2206、MK−8156、LY−3023414、LY294002、SF1126またはPI−103、またはソノリシブ(sonolisib)(PX−866);
(xix)Hsp90阻害剤、例えば、AT13387、ヘルビマイシ、ゲルダナマイシン(GA)、17−アリルアミノ−17−デスメトキシゲルダナマイシン(17−AAG)、例えば、NSC−330507、Kos−953およびCNF−1010、17−ジメチルアミノエチルアミノ−17−デメトキゲルダナマイシンヒドロクロリド(17−DMAG)、例えば、NSC−707545およびKos−1022、NVP−AUY922(VER−52296)、NVP−BEP800、CNF−2024(BIIB−021、経口プリン)、ガネテスピブ(STA−9090)、SNX−5422(SC−102112)またはIPI−504;
(xx)モノクローナル抗体(非結合または放射性同位体、毒素または他の薬剤に結合)、抗体誘導体および関連薬剤、例えば、抗CD、抗VEGFR、抗HER2、抗CTLA4、抗PD−1または抗EGFR抗体抗EGFR抗体、例えば、リツキシマブ(CD20)、オファツムマブ(CD20)、イブリツモマブチウクセタン(CD20)、GA101(CD20)、トシツモマブ(CD20)、エピラツズマブ(CD22)、リンツズマブ(CD33)、ジェムツツマブオゾガミシン(CD33)、アレムツズマブ(CD52)、ガリキシマブ(CD80)、トラスツズマブ(HER2抗体)、ペルツズマブ(HER2)、トラスツズマブ−DM1(HER2)、エルツマキソマブ(HER2およびCD3)、セツキシマブ(EGFR)、パニツムマブ(EGFR)、ネシツムマブ(EGFR)、ニモツズマブ(EGFR)、ベバシズマブ(VEGF)、イピリムマブ(CTLA4)、カツマキスマブ(catumaxumab)(EpCAMおよびCD3)、アバゴボマブ(CA125)、ファーレツズマブ(葉酸受容体)、エロツズマブ(CS1)、デノスマブ(RANKリガンド)、フィギツムマブ(IGF1R)、CP751,871(IGF1R)、マパツムマブ(TRAIL受容体)、metMAB(met)、ミツモマブ(GD3ガングリオシド)、ナプツモマブエスタフェナトクス(5T4)、シルツキシマブ(IL6)、または免疫調剤、例えば、CTLA−4遮断抗体および/またはPD−1およびPD−L1および/もしくはPD−L2に対する抗体、例えば、イピリムマブ(CTLA4)、MK−3475(ペムブロリズマブ、旧称ラムブロリズマブ、抗PD−1)、ニボルマブ(抗PD−1)、BMS−936559(抗PD−L1)、MPDL320A、AMP−514またはMEDI4736(抗PD−L1)、またはトレメリムマブ(旧称チシリムマブ、CP−675,206、抗CTLA−4);
(xxi)エストロゲン受容体アンタゴニストもしくは選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)またはエストロゲン合成の阻害剤、例えば、タモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、ドロロキシフェン、フェソロデックスまたはラロキシフェン;
(xxii)アロマターゼ阻害剤および関連薬剤、例えば、エキセメスタン、アナストロゾール、レトラゾール(letrazole)、テストラクトンアミノグルテチミド、ミトタンまたはボロゾールなどの;
(xxiii)抗アンドロゲン(すなわち、アンドロゲン受容体アンタゴニスト)および関連剤、例えばビカルタミド、ニルタミド、フルタミド、シプロテロンまたはケトコナゾール;
(xxiv)ホルモンおよびその類似体、例えば、メドロキシプロゲステロン、ジエチルスチルベストロール(別名ジエチルスチルボエストロール)またはオクトレオチド;
(xxv)ステロイド、例えば、プロピオン酸ドロモスタノロン、酢酸メゲストロール、ナンドロロン(デカノアート、フェンプロピオネート)、フルオキシメストロン(fluoxymestrone)、ゴシポール;
(xxvi)ステロイドシトクロムP450 17アルファ−ヒドロキシラーゼ17,20−リアーゼ阻害剤(CYP17)、例えば、アビラテロン;
(xxvii)生殖腺刺激ホルモン放出ホルモンアゴニストまたはアンタゴニスト(GnRAs)、例えば、アバレリックス、酢酸ゴセレリン、酢酸ヒストレリン、酢酸リュープロリド、トリプトレリン、ブセレリンまたはデスロレリン;
(xxviii)グルココルチコイド、例えばプレドニゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン;
(xxix)レチノイド、レキシノイド(rexinoids)、ビタミンDまたはレチノイン酸およびレチノイン酸代謝遮断剤(RAMBA)などの分化誘導薬、例えば、アキュテイン、アリトレチノイン、ベキサロテンまたはトレチノイン;
(xxx)ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、チピファルニブ;
(xxxi)クロマチン標的療法、例えば、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、例えば、パノビスタット、レスミノスタット、アベキシノスタット、ボリノスタット、ロミデプシン、ベリノスタット、エンチノスタット、キシノスタット、プラシノスタット、テフィノスタット、モセチノスタット、ギブノスタット、CUDC−907、CUDC−101、ACY−1215、MGCD−290、EVP−0334、RG−2833、4SC−202、ロミデプシン、AR−42(Ohio State University)、CG−200745、バルプロ酸、CKD−581、酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、デプシペプチド(FR 901228)、ダシノスタット(NVP−LAQ824)、R306465/JNJ−16241199、JNJ−26481585、トリコスタチンA、ボリノスタット、クラミドシン、A−173、JNJ−MGCD−0103、PXD−101またはアピシジン;
(xxxii)プロテアソーム阻害剤、例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、デランゾミブ(CEP−18770)、イキサゾミブ(MLN−9708)、オプロゾミブ(ONX−0912)またはマリゾミブ;
(xxxiii)光力学性薬剤、例えば、ポルフィマーナトリウムまたはテモポルフィン;
(xxxiv)海洋生物由来の抗がん剤、例えば、トラベクテジン;
(xxxv)例えばベータ粒子放射性アイソトープ(例えばヨウ素−131、イットリウム−90)またはアルファ粒子放射性アイソトープ(例えばビスマス−213またはアクチニウム−225)との放射免疫療法のための放射能標識薬剤、例えば、イブリツモマブ、ヨウ素トシツモマブ;
(xxxvi)テロメラーゼ阻害剤、例えば、テロメスタチン;
(xxxvii)マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、例えば、バチマスタット、マリマスタット、プリノスタット、メタスタット;
(xxxviii)組み換えインターフェロン(例えば、インターフェロン−γおよびインターフェロンα)ならびにインターロイキン(例えば、インターロイキン2)、例えば、アルデスロイキン、ニロイキンジフチトクス、インターフェロンα2a、インターフェロンα2bまたはペグインターフェロンα2b;
(xxxix)選択的免疫応答調節剤、例えば、サリドマイドまたはレナリドマイド;
(xl)治療用ワクチン、例えば、シプロイセルT(プロベンジ)またはOncoVex;
(xli)サイトカイン活性化剤、例えば、ピシバニール、ロムルチド、シゾフィラン、ビルリジンまたはチモシン;
(xlii)三酸化二砒素;
(xliii)Gタンパク質共役受容体(GPCR)の阻害剤、例えば、アトラセンタン;
(xliv)L−アスパラギナーゼ、ペガスパルガーゼ、ラスブリカーゼまたはペガデマーゼなどの酵素;
(xlv)DNA修複阻害剤、例えば、PARP阻害剤、例えば、オラパリブ、ベラパリブ(velaparib)、イニパリブ、INO−1001、AG−014699またはONO−2231;
(xlvi)デス・レセプター(例えば、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)受容体)のアゴニスト、例えば、マパツムマブ(旧称HGS−ETR1)、コナツムマブ(conatumumab)(旧称AMG 655)、PRO95780、レクサツムマブ、ドゥラネルミン、CS−1008、アポマブまたは組換えTRAILリガンド、例えば、組換えヒトTRAIL/Apo2リガンド;
(xlvii)予防薬(補助剤);すなわち、化学療法剤に関連した副作用をいくらか低減または軽減する薬剤、例えば
−制吐剤、
−化学療法に関連する好中球減少の継続期間を予防または減少し、および、血小板、赤血球または白血球の量の減少から生じる合併症を予防する薬剤、例えば、インターロイキン−11(例えば、オプレルベキン)、エリトロポイエチン(EPO)およびその類似体(例えばダーベポエチンアルファ)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子などのコロニー刺激因子類似体(GM−CSF)(例えば、サルグラモスチム)ならびに果粒球コロニー刺激因子(G−CSF)およびその類似体(例えば、フィルグラスチム、ペグフィルグラスチム)、
−デノスマブまたはビスホスフォネートなどの骨吸収を阻害する薬剤、例えばゾレドロネート、ゾレドロン酸、パミドロネートおよびイバンドロネート、
−炎症反応を抑制する薬剤、例えば、デキサメタゾン、プレドニゾンおよびプレドニゾロン、
−先端巨大症または他の稀なホルモン産生腫瘍を有する患者において成長ホルモンおよびIGF−I(および他のホルモン)の血中濃度を低下させるために使用される薬剤、例えば、ホルモンソマトスタチンの合成形態、例えば、酢酸オクトレオチド、
−葉酸の濃度を低下させる薬剤に対する解毒剤、例えば、ロイコボリンまたはフォリニン酸、
−痛みのための薬剤、例えば、モルヒネ、ジアモルヒネおよびフェンタニルなどのアヘン剤
−非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、例えば、COX−2阻害剤、例えば、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、
−粘膜炎のための薬剤、例えば、パリフェルミン
−食欲不振、悪液質、浮腫または血栓塞栓症発作を含む副作用の治療のための薬剤、例えば、酢酸メゲストロール。
【0448】
一つの実施態様では、抗癌剤は、組換えインターフェロン(例えば、インターフェロン−γおよびインターフェロンα)ならびにインターロイキン(例えば、インターロイキン2)、例えば、アルデスロイキン、デニロイキンジフチトクス、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b、またはペグインターフェロンα2b;インターフェロン−α2(500μ/ml)、特に、インターフェロン−β;およびシグナル伝達阻害剤、例えば、キナーゼ阻害剤(例えば、EGFR(上皮成長因子受容体)阻害剤、VEGFR(血管内皮成長因子受容体)阻害剤、PDGFR(血小板由来成長因子受容体)阻害剤、MTKI(多標的キナーゼ阻害剤)、Raf阻害剤、mTOR阻害剤、例えば、メシル酸イマチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ダサチニブ、ラパチニブ、ドボチニブ(dovotinib)、アキシチニブ、ニロチニブ、バンデタニブ、バタリニブ(vatalinib)、パゾパニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、エベロリムス(RAD 001)、ベムラフェニブ(PLX4032/RG7204)、ダブラフェニブ、エンコラフェニブまたはIκBキナーゼ阻害剤、例えば、SAR−113945、バルドキソロン、BMS−066、BMS−345541、IMD−0354、IMD−2560、もしくはIMD−1041、またはMEK阻害剤、例えば、セルメチニブ(AZD6244)およびトラメチニブ(GSK121120212)、特に、Raf阻害剤(例えば、ベムラフェニブ)またはMEK阻害剤(例えば、トラメチニブ)から選択される。
【0449】
本発明の組合せに存在する化合物はそれぞれ、個別に異なる投与計画で、異なる経路を介して与えられてよい。従って、2つ以上の薬剤のそれぞれの薬量学は異なってよく、それぞれ同時または異なる時間に投与してよい。当業者ならば、自身の通常の一般知識を通して、使用する投与計画および併用療法が分かるであろう。例えば、本発明の化合物は、それらの既存の併用計画に従って投与される1以上の他の薬剤と組み合わせて使用し得る。標準的な併用計画の例を以下に示す。
【0450】
タキサン化合物は、有利には、体表面積1平方メートル当たり50〜400mg(mg/m
2)の用量で投与され、例えば、75〜250mg/m
2、特にパクリタキセルに関しては約175〜250mg/m
2、ドセタキセルに関しては治療のコース当たり約75〜150mg/m
2である。
【0451】
カンプトテシン化合物は、有利には、体表面積1平方メートル当たり0.1〜400mg(mg/m
2)の用量で投与され、例えば、1治療コース当たり、1〜300mg/m
2、特にイリノテカンに関しては約100〜350mg/m
2、トポテカンに関しては約1〜2mg/m
2である。
【0452】
抗腫瘍ポドフィロトキシン誘導体は、有利には、体表面積1平方メートル当たり30〜300mg(mg/m
2)の用量で投与され、例えば、一治療コース当たり、50〜250mg/m
2、特にエトポシドに関しては約35〜100mg/m
2、テニポシドに関しては約50〜250mg/m
2である。
【0453】
抗腫瘍ビンカアルカロイドは、有利には、体表面積1平方メートル当たり2〜30mg(mg/m
2)の用量で投与され、特にビンブラスチンに関しては、一治療コース当たり、約3〜12mg/m
2の用量、ビンクリスチンに関しては約1〜2mg/m
2の用量、ビノレルビンに関しては、約10〜30mg/m
2の用量である。
【0454】
抗腫瘍ヌクレオシド誘導体は、有利には、体表面積1平方メートル当たり200〜2500mg(mg/m
2)の用量で投与され、例えば、一治療コース当たり、700〜1500mg/m
2、特に5−FUに関しては約200〜500mg/m
2の用量、ゲムシタビンに関しては約800〜1200mg/m
2の用量、カペシタビンに関しては約1000〜2500mg/m
2の用量である。
【0455】
ナイトロジェンマスタードまたはニトロソ尿素などのアルキル化剤は、有利には、体表面積1平方メートル当たり100〜500mg(mg/m
2)の用量で投与され、例えば、一治療コース当たり、120〜200mg/m
2、特にシクロホスファミドに関しては約100〜500mg/m
2の用量、クロラムブチルに関しては約0.1〜0.2mg/kgの用量、カルマスティンに関しては150〜200mg/m
2の用量、ロムスチンに関しては約100〜150mg/m
2の用量である。
【0456】
抗腫瘍アントラサイクリン誘導体は、有利には、体表面積1平方メートルあたり10〜75mg(mg/m
2)の用量で投与され、例えば、一治療コース当たり、15〜60mg/m
2、特にドキソルビシンに関しては約40〜75mg/m
2の用量、ダウノルビシンに関しては約25〜45mg/m
2の用量、イダルビシンに関しては約10〜15mg/m
2の用量である。
【0457】
抗エストロゲン剤は、特定の薬剤および治療される病態によって、有利には、1日約1〜100mgの用量で投与される。タモキシフェンは、有利には、1日2回、5〜50mgの用量、特に10〜20mgの用量で経口投与され、その療法を、治療効果を達成および維持するのに十分な時間持続する。トレミフェンは、有利には、1日1回約60mgの用量で経口投与され、治療効果を達成および維持するのに十分な時間持続する。アナストロゾールは、有利には、1日1回約1mgの用量で経口投与される。ドロロキシフェンは、有利には、1日1回約20〜100mgの用量で経口投与される。ラロキシフェンは、有利には、1日1回約60mgの用量で経口投与される。エキセメスタンは、有利には、1日1回約25mgの用量で経口投与される。
【0458】
抗体は、有利には、体表面積1平方メートル当たり約1〜5mg(mg/m
2)の用量で投与され、もし異なっても、当技術分野で知られる通りである。トラスツズマブは、体表面積1平方メートル当たり、1治療コース当たり、1〜5mg(mg/m
2)の用量で有利に投与され、特に、2〜4mg/m
2である。
【0459】
式(I)の化合物を1、2、3、4以上の他の治療剤(特に、1または2、さらに特には1)と組み合わせて投与する場合、化合物は同時または逐次に投与され得る。後者の場合、2つ以上の化合物は、ある期間内にある量で、有益な効果および相乗効果が達成されるのを確実にする方法で投与される。順次投与される場合、化合物は、短い間隔で投与しても(例えば、5〜10分間の間)、またはより長い間隔で投与してもよく(1、2、3、4時間もしくはそれを超える時間差で、または必要な場合はさらに長い期間差で)、正確な投与計画は、1または複数の治療薬の性質に見合ったものである。これらの投与は、1治療コース当たり、例えば1回、2回またはそれ以上投与され、これを例えば7、14、21または28日ごとに繰り返し得る。
【0460】
一つの実施態様では、療法における使用のための薬剤の製造を目的とした式(I)の化合物が提供され、前記化合物は、1、2、3または4つの他の治療薬と併用される。別の実施態様では、式(I)の化合物を含んでなる癌治療のための薬剤が提供され、前記薬剤は、1、2、3または4つの他の治療薬と併用される。本発明はさらに、癌に罹患している患者の奏効率を高めるまたは増大させるための薬剤の製造を目的とした式(I)の化合物の使用を提供し、前記患者は1、2、3または4つの他の治療薬で処置されている。
【0461】
投与の特定の方法および順番ならびに組み合わせの各成分のそれぞれの用量および計画は、投与される特定の他の薬剤および本発明の化合物、それらの投与経路、治療される特定の腫瘍ならびに治療される特定の宿主によって異なると認識される。投与の最適な方法および順番ならびに用量および計画は、従来の方法を用い、本明細書で示される情報を考慮して、当業者により容易決定され得る。
【0462】
組み合わせて与えられる場合、本発明による化合物および1以上の他の抗癌剤の重量比は、当業者により決定され得る。前記の比ならびに正確な用量および投与頻度は、当業者に公知であるように、本発明による特定の化合物および使用される他の抗癌剤、治療される特定の病態、治療される病態の重篤度、特定の患者の年齢、体重、性別、食事、投与時間および健康状態、投与様式ならびに個人が採り得る他の投薬によって異なる。さらに、効果的な一日量は、治療される対象の応答および/または本発明の化合物を調剤する医師の評価によって低減または増加が可能である。本式(I)の化合物および別の抗癌剤の特定の重量比は、1/10〜10/1、さらに具体的には1/5〜5/1、よりさらに具体的には1/3〜3/1の範囲であり得る。
【0463】
本発明の化合物は、放射線療法、光線力学療法、遺伝子療法;外科手術および食事制限などの非化学療法的治療と組み合わせて投与されてもよい。
【0464】
本発明の化合物はまた、腫瘍細胞を放射線療法および化学療法に対して増感させる上でも治療的適用を有する。従って、本発明の化合物は、「放射線増感剤」および/もしくは「化学療法増感剤」として使用することもできるし、または他の「放射線増感剤」および/もしくは「化学療法増感剤」と組み合わせて与えることもできる。一つの実施態様では、本発明の化合物は、化学療法増感剤としての使用のためのものである。
【0465】
「放射線増感剤」という用語は、細胞の電離放射線に対する感受性を増強し、かつ/または電離放射線で治療可能な疾患の治療を促進するために治療上有効な量で患者に投与される分子と定義される。
【0466】
「化学療法増感剤」という用語は、細胞の化学療法に対する感受性を増強し、かつ/または化学療法剤で治療可能な疾患の治療を促進するために治療上有効な量で患者に投与される分子と定義される。
【0467】
一つの実施態様では、本発明の化合物は、「放射線増感剤」および/または「化学療法増感剤」とともに投与される。一つの実施態様では、本発明の化合物は、「免疫増感剤」とともに投与される。
【0468】
「免疫増感剤」という用語は、例えばTNFの放出を誘発するなどで例えば免疫応答を促進または増強することにより細胞のIAPアンタゴニストに対する感受性を増強するために治療上有効な量で患者に投与される分子と定義される。
【0469】
多くの癌治療のプロトコールは現在、放射線増感剤をx線照射と併用する。x線活性化放射線増感剤の例としては、限定されるものではないが、次のものが挙げられる:メトロニダゾール、ミソニダゾール、デスメチルミソニダゾール、ピモニダゾール、エタニダゾール、ニモラゾール、マイトマイシンC、RSU 1069、SR 4233、EO9、RB 6145、ニコチンアミド、5−ブロムデキシウリジン(BUdR)、5−イドクスウリジン(IUdR)、ブロモデオキシシチジン、フルオロデオキシウリジン(FudR)、ヒドロキシウレア、シスプラチン、ならびにその治療上有効な類似体および誘導体。
【0470】
癌の光線力学療法(PDT)は、増感剤の放射線アクチベーターとして、可視光を使用する。光線力学放射線増感剤の例としては、限定されるものではないが、次のものが挙げられる:ヘマトポルフィリン誘導体、フォトフリン、ベンゾポルフィリン誘導体、スズエチオポルフィリン、フェオボルビド(pheoborbide)−a、バクテリオクロロフィル−a、ナフタロシアニン、フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、ならびにその治療上有効な類似体および誘導体。
【0471】
放射線増感剤は、治療上有効な量の、限定されるものではないが、本発明の化合物;標的細胞への放射線増感剤の組み込みを促進する化合物;標的細胞への治療薬、栄養素および/または酸素の流れを制御する化合物;付加的な放射線の有無に関わらず、腫瘍に作用する化学療法剤;または癌もしくは他の疾患を治療するための他の治療上有効な化合物を含む1以上の他の化合物と組み合わせて投与し得る。
【0472】
化学療法増感剤は、治療上有効な量の、限定されるものではないが、本発明の化合物;標的細胞への化学療法増感剤の組み込みを促進する化合物;標的細胞への治療薬、栄養素および/または酸素の流れを制御する化合物;腫瘍に作用する化学療法剤、または癌もしくは他の疾患を治療するための他の治療上有効な化合物を含む1以上の他の化合物と組み合わせて投与し得る。カルシウムアンタゴニスト、例えば、ベラパミルは、抗悪性腫瘍薬と組み合わせると有用であり、受け入れた化学療法剤に耐性を有する腫瘍細胞に化学的感受性を確立すること、および薬物感受性悪性腫瘍におけるそのような化合物の有効性を増強することが分かっている。
【0473】
免疫増感剤の例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる:免疫調節剤、例えば、モノクローナル抗体、例えば、免疫チェックポイント抗体[例えば、CTLA−4遮断抗体および/またはPD−1およびPD−L1および/もしくはPD−L2に対する抗体、例えば、イピリムマブ(CTLA4)、MK−3475(ペンブロリズマブ、旧称ランブロリズマブ、抗PD−1)、ニボルマブ(抗PD−1)、BMS−936559(抗PD−L1)、MPDL320A、AMP−514またはMEDI4736(抗PD−L1)、またはトレメリムマブ(旧称チシリムマブ、CP−675,206、抗CTLA−4)];またはシグナル伝達阻害剤;またはサイトカイン(例えば、組換えインターフェロン);または腫瘍溶解性ウイルス;または免疫補助剤(例えば、BCG)。
【0474】
免疫増感剤は、は、治療上有効な量の、限定されるものではないが、本発明の化合物;標的細胞への免疫増感剤の組み込みを促進する化合物;標的細胞への治療薬、栄養素および/または酸素の流れを制御する化合物;腫瘍に作用する治療薬、または癌もしくは他の疾患を治療するための他の治療上有効な化合物を含む1以上の他の化合物と組み合わせて投与し得る。
【0475】
他の化学療法剤との併用療法での使用に関して、式(I)の化合物および1、2、3、4またはそれを超える他の治療薬は、例えば、2、3、4またはそれを超える治療薬を含む投与形、すなわち、全薬剤を含む単一の医薬組成物として一緒に調剤され得る。別の実施態様では、個別の治療剤は別々に調剤され、一緒にキットの形態で、その使用の説明書とともに提供されてもよい。
【0476】
一つの実施態様では、1以上(例えば、1または2)の他の治療剤(例えば、上記の抗癌剤)と式(I)の化合物の組合せが提供される。さらなる実施態様では、本明細書に記載のIAPアンタゴニストと、アピトリシブ、ブパルリシブ、コパンリシブ、ピクチリシブ、ZSTK−474、CUDC−907、GSK−2636771、LY−3023414、イパタセルチブ、アフレセルチブ、MK−2206、MK−8156、イデラリシブ、BEZ235(ダクトリシブ)、BYL719、GDC−0980、GDC−0941、GDC−0032およびGDC−0068から選択されるPI3K/AKT経路阻害剤との組合せが提供される。
【0477】
別の実施態様では、癌の予防または治療などの治療での使用に関する、1以上(例えば、1または2)の他の治療剤(例えば、抗癌剤)と組み合わせた式(I)の化合物が提供される。
【0478】
一つの実施態様では、医薬組成物は、式(I)の化合物を薬学的に許容可能な担体および場合により1以上の治療薬とともに含む。
【0479】
別の実施態様では、本発明は、腫瘍細胞の増殖を阻害するための医薬組成物の製造における本発明による組合せの使用に関する。
【0480】
さらなる実施態様では、本発明は、式(I)の化合物および1以上の抗癌剤を、癌に罹患している患者の治療における同時、個別または逐次使用のための組合せ調製物として含む製品に関する。
以上のように、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]式(I):
【化20】
[式中、
Xは、CR
4、NまたはNR
3であり;
ここで、
・XがCR
4である場合、Uは窒素を表し、かつ、R
6はオキソを表し;または
・XがNである場合、Uは炭素を表し、かつ、R
6はヒドロキシメチルもしくは−CH(OR
x)CH
2OR
zを表し;または
・XがNR
3である場合、Uは炭素を表し、かつ、R
6はオキソを表し;
破線(-------)は、一重または二重結合を表し、ここで、前記破線のうちの少なくとも2本は二重結合を表し;
R
1およびR
2は独立に、水素またはメチルを表し;
R
3は、水素、メチルまたは−NH
2を表し;
R
4は、水素、メチル、ヒドロキシメチル、−NH
2またはフッ素を表し;
R
5は、非置換n−ブチルまたはフェニル基上で1個もしくは2個のフッ素により置換されたベンジルを表し;かつ
R
xおよびR
zは独立に、水素またはメチルを表す]
の化合物またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
[2]R
1およびR
2の一方が水素を表し、他方がメチルを表すか、またはR
1およびR
2の両方が水素を表す、[1]に記載の化合物。
[3]R
1およびR
2の両方が水素を表す、[1]または[2]に記載の化合物。
[4]R
4が水素またはメチルを表す、[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物。
[5]R
5が非置換n−ブチルまたはフェニル基の2、3および/もしくは4位上で1もしくは2個のフッ素により置換されたベンジルを表す、[1]〜[4]のいずれかに記載の化合物。
[6]R
5が非置換n−ブチルを表す、[5]に記載の化合物。
[7]R
5が、フェニル基の2、3または4位上で1個のフッ素により置換されたベンジル、例えば、2−フルオロベンジル、3−フルオロベンジルまたは4−フルオロベンジルを表し、特に、R
5が、フェニル基の4位上で1個のフッ素により置換されたベンジル、例えば、4−フルオロベンジルを表す、[5]に記載の化合物。
[8]R
5が、フェニル基の2,3位、3,4位または2,4位上で2個のフッ素により置換されたベンジル、例えば、2,3−ジフルオロベンジル、3,4−ジフルオロベンジルまたは2,4−ジフルオロベンジルを表し、特に、R
5が、フェニル基の2,4位上で2個のフッ素により置換されたベンジル、例えば、2,4−ジフルオロベンジルを表す、[5]に記載の化合物。
[9]R
5が非置換n−ブチル、4−フルオロフェニルまたは2,4−ジフルオロフェニルを表す、[5]に記載の化合物。
[10]R
5が4−フルオロフェニルを表す、[9]に記載の化合物。
[11]R
xおよびR
zの一方が水素を表し、他方がメチルを表すか、またはR
xおよびR
zの両方が水素を表す、[1]〜[10]のいずれかに記載の化合物。
[12]R
xが水素またはメチルを表し、かつ、R
zが水素を表す、[11]に記載の化合物。
[13]式(Ia):
【化21】
(式中、R
1、R
2、R
4およびR
5は[1]〜[10]のいずれかに記載の通りである)
の化合物である[1]に記載の化合物、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
[14]式(Ib):
【化22】
(式中、R
6はヒドロキシメチルまたは−CH(OR
x)CH
2OR
zを表し、R
1、R
2、R
5、R
xおよびR
zは[1]〜[3]および[5]〜[12]のいずれかに記載の通りである)
の化合物である、[1]に記載の化合物、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
[15]式(Ic):
【化23】
(式中、R
1、R
2、R
3およびR
5は[1]〜[3]および[5]〜[10]のいずれかに記載の通りである)
の化合物である、[1]に記載の化合物、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
[16]式(Id):
【化24】
(式中、R
5は[1]および[5]〜[10]のいずれかに記載の通りである)の化合物である、[1]に記載の化合物、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
[17]実施例1〜37から選択される、[1]に記載の化合物、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
[18]実施例2の遊離塩基である、[1]に記載の化合物、またはその互変異性もしくは立体化学的異性体型、薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物。
[19]1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンの乳酸塩、メシル酸塩または硫酸塩である、[1]に記載の化合物。
[20]1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンのL−(+)−乳酸塩、例えば、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩(C型)である、[1]に記載の化合物。
[21][1]〜[20]のいずれかに記載の式(I)の化合物と薬学的に許容可能な賦形剤とを含んでなる医薬組成物。
[22][1]〜[20]のいずれかに記載の式(I)の化合物を1以上の治療薬と組み合わせて含んでなる医薬組成物。
[23]療法における使用のための、[1]〜[20]のいずれかに記載の化合物。
[24]XIAPおよび/またはcIAPなどのIAPにより媒介される疾患状態または病態の予防または治療における使用のための、[1]〜[20]のいずれかに記載の化合物。
[25]XIAPおよび/またはcIAPなどのIAPを過剰発現する疾患状態または病態の予防または治療における使用のための、[1]〜[20]のいずれかに記載の化合物。
[26]本明細書に記載の疾患状態または病態の予防または治療における使用のための[1]〜[20]のいずれかに記載の化合物。
[27]癌の予防または治療における使用のための、[1]〜[20]のいずれかに記載の化合物。
[28]1以上(例えば、1または2)の他の治療薬(例えば、抗癌剤)と組合せた、[1]〜[20]のいずれかに記載の化合物。
[29]癌の予防または治療などの療法における使用のための1以上(例えば、1または2)の他の治療薬(例えば、抗癌剤)と組み合わせた、[1]〜[20]のいずれかに記載の化合物。
[30]有効量の[1]〜[20]のいずれかに記載の化合物を投与することを含んでなる、IAPにより媒介される疾患または病態を有する患者を治療する方法。
【実施例】
【0481】
以下、本発明を下記の実施例に記載される具体的な実施態様を参照して示すが、これらに限定はされない。化合物は、AutoNom(MDL)などの自動命名パッケージを用いて命名されるか、または化学物質供給業者によって命名された通りである。
【0482】
下記の合成手順は、使用される方法の例示のために提供され、所与の製造または工程に関して、使用される前駆体は必ずしも与えられる記載の工程に従って合成された各バッチに由来する必要はない。実施例では、次の省略が使用される。
【0483】
【表1】
【0484】
NMRデータ:別に明記されない限り、
1H NMRスペクトルは、400MHzで操作されるBruker Avance I分光計にて25℃で記録した。データはTopspin 2.1ソフトウェアを用いて処理および分析した。NMRデータに関しては、与えられたプロトン数が分子内の理論上のプロトン数より少ない場合、見かけ上欠けているシグナルは、溶媒および/または水のピークによって不明瞭となっていると推測される。さらに、スペクトルがプロトン性NMR溶媒内で取得された場合、NHおよび/またはOHプロトンの溶媒との交換が起こり、従って、そのようなシグナルは通常観察されない。
【0485】
分析および分取LC−MSシステム
分析LC−MSシステムおよび方法の説明
以下の実施例では、化合物を以下に記載するシステムを用い、以下に記載する条件を実行して、質量分析法により特性決定した。異なる同位体を有する原子が存在し、単一の質量が引用される場合、化合物に関して引用された質量は、モノアイソトピック質量(すなわち、
35Cl;
79Brなど)である。
【0486】
WatersプラットフォームLC−MSシステム:
HPLCシステム: Waters2795
Mass Spec検出器: Micromass Platform LC
PDA検出器: Waters 2996 PDA
【0487】
・プラットフォームMS条件:
キャピラリ電圧: 3.6kV(ESネガティブでは3.40kV)
コーン電圧: 30V
イオン源温度: 120℃
スキャン範囲: 125〜800amu
イオン化モード: エレクトロスプレーポジティブ
または
エレクトロスプレーネガティブ
または
エレクトロスプレーポジティブおよびネガティブ
【0488】
Waters Fractionlynx LC−MSシステム:
HPLCシステム: 2767オートサンプラー−2525バイナリーグラジェントポンプ
Mass Spec検出器: WatersZQ
PDA検出器: Waters2996 PDA
【0489】
・Fractionlynx MS条件:
キャピラリ電圧: 3.5kV(ESネガティブでは3.25kV)
コーン電圧: 40V(ESネガティブでは25V)
イオン源温度<※分析: 120℃
スキャン範囲: 125〜800amu
イオン化モード: エレクトロスプレーポジティブ
または
エレクトロスプレーネガティブ
または
エレクトロスプレーポジティブおよびネガティブ
【0490】
Agilent 1200SL−6140 LC−MSシステム−RAPID:
HPLCシステム: Agilent 1200シリーズSL
Mass Spec検出器: Agilent 6140シングル四重極
Second検出器: Agilent 1200 MWD SL
【0491】
・Agilent MS条件:
キャピラリ電圧:ES posでは4000V(ES Negでは3500V)
フラグメンター/ゲイン: 100
ゲイン: 1
乾燥ガス流速: 7.0L/分
ガス温度: 345℃
ネブライザー圧力: 35psig
スキャン範囲: 125〜800amu
イオン化モード: エレクトロスプレーポジティブ−ネガティブ切り替え
【0492】
分取LC−MSシステムおよび方法の説明
分取LC−MSは、本明細書で記載される化合物などの小さな有機分子の精製のために使用される標準的および効果的な方法である。液体クロマトグラフィー(LC)および質量分析(MS)のための方法は様々で、粗材料のより良好な分離およびMSによるサンプルの検出の向上を提供し得る。分取勾配LC方法の最適化は、様々なカラム、揮発性溶離液および改質剤、ならびに勾配に関与する。分取LC−MS方法を最適化し、次いでそれを用いて化合物を精製するための方法は当技術分野で周知である。そのような方法は、Rosentreter U, Huber U.; Optimal fraction collecting in preparative LC/MS; J Comb Chem.; 2004; 6(2), 159-64およびLeister W, Strauss K, Wisnoski D, Zhao Z, Lindsley C., Development of a custom high-throughput preparative liquid chromatography/mass spectrometer platform for the preparative purification and analytical analysis of compound libraries; J Comb Chem.; 2003; 5(3); 322-9に記載されている。
【0493】
分取LC−MSを介して化合物を精製するためのいくつかのシステムが以下に記載されるが、当業者ならば、記載されるこれらに対する別のシステムおよび方法が用いられ得ることを理解するであろう。本明細書で提供される情報から、または、別のクロマトグラフィーシステムを用いることから、当業者は分取LC−MSによって本明細書に記載される化合物を精製し得る。
【0494】
Waters Fractionlynxシステム:
・ハードウェア:
2767デュアルループオートサンプラー/フラクションコレクタ
2525分取ポンプ
カラム選択のためのCFO(カラム流体オーガナイザー)
メイクアップポンプとしてRMA(Waters試薬マネージャー)
Waters ZQ質量分析計
Waters 2996フォトダイオードアレイ検出器
Waters ZQ質量分析計
【0495】
・Waters MS実施条件:
キャピラリ電圧: 3.5kV(ESネガティブでは3.2kV)
コーン電圧: 25V
イオン源温度: 120℃
スキャン範囲: 125〜800amu
イオン化モード: エレクトロスプレーポジティブ
または
エレクトロスプレーネガティブ
【0496】
Agilent 1100 LC−MS分取システム:
・ハードウェア:
オートサンプラー: 1100シリーズ「prepALS」
ポンプ: 分取フロー勾配のための1100シリーズ「PrepPump」および分取フロー中の改質剤をポンピングするための1100シリーズ「QuatPump」
UV検出器: 1100シリーズ「MWD」多波長検出器
MS検出器: 1100シリーズ「LC−MSD VL」
フラクションコレクター: 2×「Prep−FC」
メイクアップポンプ: 「Waters RMA」
Agilent Active Splitter
【0497】
・Agilent MS実施条件:
キャピラリ電圧: 4000V(ESネガティブでは3500V)
フラグメンター/ゲイン: 150/1
乾燥ガス流速: 12.0L/分
ガス温度: 350℃
ネブライザー圧力: 50psig
スキャン範囲: 125〜800amu
イオン化モード: エレクトロスプレーポジティブ
または
エレクトロスプレーネガティブ
【0498】
カラム:
様々な市販のカラム− アキラルおよびキラルは両方とも、移動相、有機改質剤およびpHでの変化と同時に、カラムが幅広い範囲の選択性という側面から、最大にカバーすることが可能なように使用され得る。総てのカラムは、製造業者の推奨操作条件に従って使用した。一般に、利用可能であれば5ミクロン粒径のカラムを用いた。例えば、Waters(限定されるものではないが、XBridge(商標)Prep OBD(商標)C18およびPhenyl、Atlantis(登録商標)Prep T3 OBD(商標)およびSunfire(商標)Prep OBD C18 5μm 19×100mmが包含される)、Phenomenex(限定されるものではないが、Synergy MAX−RPおよびLUX(商標)Cellulose−2)、Astec(限定されるものではないが、V、V2およびT2を包含するChirobiotic(商標)カラム)およびDiacel(登録商標)(限定されるものではないが、Chiralpak(登録商標)AD−Hを含む)のカラムが、スクリーニングのために利用可能であった。
【0499】
・溶出剤:
カラム分離の性能を最適化するために、カラム製造業者が推奨する固定相の制限に合わせて、移動相溶出剤を選択した。
【0500】
・方法:
アキラル分取クロマトグラフィー
記載の化合物例には、示される場合には、Snyder L. R., Dolan J. W., High-Performance Gradient Elution The Practical Application of the Linear-Solvent-Strength Model, Wiley, Hoboken, 2007に記載されている推奨事項に従って開発した方法を用いて、HPLC精製を行った。
【0501】
キラル分取クロマトグラフィー
キラル固定相(CSP)を用いた分取分離は、鏡像異性体混合物の分解能に適用するための当然な技術である。同様に、ジアステレオマーおよびアキラル分子の分離にも適用され得る。CSP上で分取キラル分離を最適化し、次いで、それを用いて化合物を精製するための方法は当技術分野で周知である。そのような方法は、Beesley T. E., Scott R.P.W.; Chiral Chromatography; Wiley, Chichester, 1998に記載されている。
【0502】
本明細書で提供される塩の化学量論または化合物中の酸含量の値は、実験により得られたものであり、使用する分析法によって異なり得る。塩形態が示されない場合、その化合物は遊離塩基として得られたものである。
【0503】
製法1:(R)−2−((S)−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−ヒドロキシ−プロピオニル−アミノ)−プロピオン酸メチルエステル
(R)−2−アミノ−プロピオン酸メチルエステル塩酸塩(100g、0.716mol)、EDC(165g、0.86mol)、カルボベンジルオキシ−L−セリン(171.4g、0.716mol)およびDCM(3.6L)の冷却混合物に、ジイソプロピルエチルアミン(375mL)を滴下した。得られた混合物を窒素下、周囲温度で16時間撹拌した。40℃にて真空で溶媒を除去した後、残渣を飽和炭酸ナトリウム(1L)、水(1L)で希釈し、EtOAc(2L、2×1L)で抽出した。合わせた有機相を2M塩酸(1L)、飽和ブライン溶液(1L)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、40℃で真空濃縮し、標題化合物(172g)を無色の固体として得た。
1H NMR
(Me-d3-OD): 7.44-7.28 (6H, m), 5.13 (2H, s), 4.46 (1H, d), 4.43 (1H, d), 4.25 (1H, t), 3.82-3.68 (5H, m), 1.39 (3H, d)。
【0504】
製法2:(3S,6R)−3−ヒドロキシメチル−6−メチル−ピペラジン−2,5−ジオン
(R)−2−((S)−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−ヒドロキシ−プロピオニル−アミノ)−プロピオン酸メチルエステル(製法1に記載の通りに製造され得る)(172g、0.53mol)に、窒素下、10%パラジウム炭素(8.6g)、MeOH(530mL)およびシクロヘキセン(344mL)を加えた。この混合物を17時間加熱還流した。MeOH(500mL)を加え、還流を1時間続けた。この温反応混合物をセライトパッドで濾過し、ケークを温MeOH(2×500mL)で洗浄した。合わせた濾液を濃縮した。得られた固体を2−ブタノン(400mL)およびpetrol(400mL)でスラリーとし、10分かけて徐々に加えた。30分間撹拌した後、固体を濾過し、ケークを2:1 petrol/2−ブタノン(300mL)で洗浄した。濾過ケークを40℃で真空乾燥させ、標題化合物(68.3g)を灰白色固体として得た。
1H NMR (DMSO-d6): 8.08 (1H, s), 7.90 (1H, s), 5.11 (1H, t), 3.92 (1H, q), 3.80-3.71 (1H, m), 3.71-3.60 (1H, m), 3.58-3.47 (1H, m), 1.24 (3H, d)。
【0505】
製法3:((2R,5R)−5−メチル−ピペラジン−2−イル)−メタノール塩酸塩
(3S,6R)−3−ヒドロキシメチル−6−メチル−ピペラジン−2,5−ジオン(に記載の通りに製造され得る製法2)(34g、0.215mol)に、THF中ボラン(1M、1.6L、1.6mol)の溶液を加え、この混合物を18時間70℃に加熱した。この溶液を氷中で冷却した後、MeOH(425mL)、次いで、5M塩酸(113mL)を徐々に加えた。この混合物を2時間70℃に加熱した後、周囲温度まで冷却した。得られた固体を濾過し、ケークをTHF(200mL)で洗浄し、40℃で真空乾燥させ、標題化合物(39.3g)を無色の固体として得た。
1H NMR (DMSO-d6): 9.79 (3H, s), 5.59 (1H, s), 3.76-3.40 (5H, m), 3.19-2.94 (2H, m), 1.28 (3H, d)。
【0506】
製法4:(2R,5R)−5−ヒドロキシメチル−2−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
MeOH(96mL)中、((2R,5R)−5−メチル−ピペラジン−2−イル)−メタノール塩酸塩(に記載の通りに製造され得る製法3)(20g、119mmol)に、0℃(氷浴)で、トリエチルアミン(48.7mL、357mmol)を加えた。MeOH(145mL)中、二炭酸tert−ブチル(61g、280mmol)を30分かけて加えた。この反応温度を<10℃で1時間維持し、1時間かけて周囲温度まで温めた後、18時間50℃に加熱した。この反応物を濃縮し、残渣をエタノール(397mL)に溶かした。水(397mL)中、NaOH(23.8g、595mmol)の溶液を加え、この反応物を18時間100℃に加熱した後、周囲温度まで冷却した。この混合物を1M HCl(約300mL)でpH9に中和し(pHメーターを使用)た後、クロロホルム(3×700mL)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をMeOHに再溶解させ、濃縮した後、40℃で真空乾燥させ、標題化合物(21g、75%)を無色の固体として得た。
1H NMR (Me-d3-OD): 4.20-4.07 (1H, m), 3.79 (1H, dd), 3.71-3.58 (2H, m), 3.54 (1H, dd), 3.24 (1H, dd), 3.18-3.01 (1H, m), 3.01-2.89 (1H, m), 2.55 (1H, dd), 1.48 (9H, s), 1.25 (3H, s)。
【0507】
製法5:(2R,5R)−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチル−2−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
(2R,5R)−5−ヒドロキシメチル−2−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製法4に記載の通りに製造され得る)(3.48g、15.1mmol)、ベンズアルデヒド(1.76g、16.6mmol)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(3.84g、18.1mmol)および1,2−ジクロロエタン(30mL)の混合物を20℃で18時間撹拌した後、飽和NaHCO
3水溶液(150mL)とDCM(3×50mL)とで分液した。合わせた有機抽出液を乾燥させ(Na
2SO
4)た後、真空で蒸発させて油状物を得た。クロマトグラフィー(SiO
2、petrol中0から30%EtOAc)により標題化合物(4.588g、74%)を無色の固体として得た。MS:[M+H]
+=321。
【0508】
製法6:(2R,5R)−4−ベンジル−5−クロロメチル−2−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
0℃で、DCM(30mL)中、TEA(2.6mL、18.4mmol)を含有する(2R,5R)−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチル−2−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製法5に記載の通りに製造され得る)(1.9g、6.12mmol)の溶液に、塩化メタンスルホニル(570μL、7.35mmol)を加えた。この溶液を室温で18時間撹拌した。この反応物をNH
4Cl水溶液とDCMとで分液した。有機相を回収し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。クロマトグラフィー(petrol中30%EtOAc)により標題化合物(1.6g)を白色固体として得た。MS:[M+H]
+=339。
【0509】
製法7:(2R,5S)−4−ベンジル−2−メチル−5−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イルメチル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
アセトニトリル(400mL)中、(2R,5R)−4−ベンジル−5−クロロメチル−2−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(に記載の通りに製造され得る製法6)(50g、147.9mmol)の溶液に、K
2CO
3(81.6g、591mmol)およびKI(73.6g、443mmol)、次いで、(R)−3−メチル−モルホリン塩酸塩(26.4g、192mmol)を加えた。この反応物を70℃で18時間撹拌した。次に、固体を濾去し、溶媒を真空で除去した。粗材料を、シリカパッド(petrol中20%EtOAc)を用いてクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物(41.3g)を白色固体として得た。MS:[M+H]
+=404。
【0510】
製法8:(2R,5S)−2−メチル−5−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イルメチル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
EtOH(300mL)中、(2R,5S)−4−ベンジル−2−メチル−5−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イルメチル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製法7に記載の通りに製造され得る)(41.3g、102mmol)の溶液に、パラジウム炭素(10%)(33g)および酢酸(220mL)を加えた。この混合物をH
2(1気圧)下、室温で18時間撹拌した。次に、この反応混合物をセライトパッドで濾過して触媒を除去し、溶媒を真空で除去した。粗材料を飽和NaHCO
3水溶液とDCMとで分液し、生成物をDCMで抽出した(3回)。有機相をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮し、標題化合物(30.5g)を淡黄色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): 4.43-3.87 (1H, m), 3.78 (1H, d), 3.73-3.55 (3H, m), 3.32 (1H, dd), 3.22 (1H, dd), 3.16-2.93 (3H, m), 2.93-2.72 (1H, m), 2.55-2.35 (2H, m), 2.35-2.15 (2H, m), 1.89 (1H, dd), 1.45 (9H, s), 1.26 (3H, d), 0.96 (3H, d)。
【0511】
別法:
撹拌子を入れた、厳重密閉された10Lフランジフラスコに、(2R,5S)−4−ベンジル−2−メチル−5−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イルメチル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(500g、1.24mol、1.0当量)(製法7に記載の通りに製造され得る)およびエタノール(Stock、5L)に加えた。このフラスコを窒素下に置き、10%Pd/C(Aldrich、50g、0.124mol、0.1当量)をエタノール中のペーストとして加えた。このフラスコをdi−vacポンプで数回パージし、4つのバルーンを用いて水素雰囲気下に置いた。この反応物を一晩30℃に温め、その後、NMRにより、出発材料の消耗を確認した。この反応混合物を室温まで冷却し、窒素下、セライトパッドで濾過した。濾液を蒸発乾固させ、標題生成物を無色の油状物として得た。
1H NMR(MeOD): 1.00 (3H, d), 1.25 (3H, d), 1.48 (9H, s), 2.08-2.14 (1H, m), 2.28-2.35 (1H, m), 2.42-2.48 (1H, m), 2.49-2.55 (1H, dd), 2.80-3.06 (4H, m), 3.22-3.28 (2H, m), 3.61-3.78 (4H, m), 4.12-4.16 (1H, m)。
13C NMR(MeOD): 14.6, 15.7, 28.8, 40.8, 44.8, 48.3, 50.3, 53.2, 54.3, 57.5, 68.5, 73.9, 81.1, 157.0。
【0512】
製法9:(2R,5S)−4−ベンジル−5−((3R,5R)−3,5−ジメチル−モルホリン−4−イルメチル)−2−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
アセトニトリル(30mL)中、(2R,5R)−4−ベンジル−5−クロロメチル−2−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製法6に記載の通りに製造され得る)(2.2g、6.5mmol)の溶液に、K
2CO
3(2.7g、19.5mmol)およびKI(1.83g、11.05mmol)、次いで、(3R、5R)−3,5−ジメチル−モルホリン(0.80g、7.0mmol)を加えた。この反応物を70℃で18時間撹拌した。次に、固体を濾去し、溶媒を真空下で除去した。残渣を水とジクロロメタンとで分液した。有機相を乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。粗材料をシリカでのクロマトグラフィー(petrol中0から40%EtOAc)により精製し、標題化合物(2.56g、94%)を白色固体として得た。MS:[M+H]
+=418。
【0513】
製法10:(2R,5S)−5−((3R,5R)−3,5−ジメチル−モルホリン−4−イルメチル)−2−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
EtOH(70mL)中、(2R,5S)−4−ベンジル−5−((3R,5R)−3,5−ジメチル−モルホリン−4−イルメチル)−2−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製法9に記載の通りに製造され得る)(2.5g、6.0mmol)の溶液に、パラジウム炭素(10%)(1.6g)および酢酸(10mL)を加えた。この混合物をH
2(1気圧)下、室温で3時間撹拌した。次に、この反応混合物をセライトパッドで濾過して触媒を除去し、溶媒を真空下で除去した。粗材料を飽和NaHCO
3水溶液とDCMとで分液し、生成物をDCMで抽出した(3回)。有機相をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮し、標題化合物(1.53g、78%)を淡黄色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): 4.16 (1H, s), 3.79-3.59 (3H, m), 3.44-3.19 (3H, m), 3.08 (1H, dd), 2.99-2.69 (4H, m), 2.52 (1H, dd), 2.29 (1H, dd), 1.47 (9H, s), 1.27 (3H, d), 1.00 (6H, d)。
【0514】
以下の化合物は、製法9および10に記載したものと類似の手順に従って製造した:
10A:(2R,5S)−5−((2S,5R)−2,5−ジメチル−モルホリン−4−イルメチル)−2−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル、MS:[M+H]
+=328。
【0515】
製法11:2−(5−クロロ−3−フルオロ−ピリジン−2−イル)−2−メチル−プロピオニトリル
トルエン(2L)中、5−クロロ−2,3−ジフルオロピリジン(198.2g、1.326モル)およびイソブチロニトリル(238mL、2.65モル)の氷冷溶液に、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(610mL、テトラヒドロフラン中40%、1.326モル)の溶液を加えた。この混合物を窒素下、室温で一晩撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(1L)を加えた。相を分離し、この水溶液を酢酸エチル(2×1L)で抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥させ(MgSO
4)、40℃で真空濃縮し、標題化合物(259.8g、95%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): 8.57 (1H, dd), 8.24 (1H, dd), 1.74 (6H,ブロード)。
【0516】
製法12:2−(5−クロロ−3−フルオロピリジン−2−イル)−2−メチルプロピルアミン
テトラヒドロフラン(670mL)中、2−(5−クロロ−3−フルオロ−ピリジン−2−イル)−2−メチル−プロピオニトリル(製法11に記載の通りに製造され得る)(135.6g、0.683モル)の冷却溶液に、ボラン−テトラヒドロフラン複合体(1M、1.37L、1.365モル)を加えた。この混合物を窒素下、室温で一晩撹拌した後、氷中で冷却した。この混合物を5M塩酸(335mL)に添加により急冷した。得られた混合物を40%水酸化カリウム水溶液(460mL)で塩基性とし、相を分離した。塩基性の水相を酢酸エチル(2×670mL)で抽出し、合わせた有機抽出物をブライン(670mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、40℃で真空濃縮し、標題化合物(102.9g、74%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): 8.44 (1H, t), 7.95 (1H, dd), 2.85 (2H, d), 1.29 (6H, d)。
【0517】
製法12 別法:2−(5−クロロ−3−フルオロピリジン−2−イル)−2−メチルプロピルアミン
10Lのフランジフラスコに、2−(5−クロロ−3−フルオロ−ピリジン−2−イル)−2−メチル−プロピオンニトリル(製法11に記載の通りに製造され得る)(200g、1.00mol)、塩化ニッケル(II)六水和物(239.4g、1.00mol)およびエタノール(3.0L)を加えた。得られた緑色の溶液を0℃に冷却し、窒素雰囲気下、ドライアイス/アセトン浴を用いて0℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(114.3g、3.02mol)を、反応温度を6℃より低く維持するような速度で少量ずつ加え(添加時間=1 3/4時間)て黒色懸濁液を得た。炭化が完了したところで、冷却浴を氷/水浴に替え、次いで、この反応物を一晩室温まで温めた。この反応混合物を氷浴中で0〜4℃に冷却した。25%水性アンモニア溶液(2680mL)を、滴下漏斗から、反応温度を10℃より低く維持するように加えた(添加時間=1時間)。添加が完了したところで、撹拌をおよそ0℃で30分間続け、その後、混合物をセライトで濾過し、残渣をエタノール(2×750mL)で洗浄した。(注 フィルターパッドを乾燥させないこと。総濾過時間はおよそ2時間)。淡黄色/褐色濾液を大きなロータリーエバポレーターに移し、総てのエタノールが除去されるまで濃縮した。得られた緑色油状物を5Lの分液漏斗に移し、25%アンモニア水溶液を、この油状物が黄色になるまで加えた(200mL)。この油状物を分離し、水相をトルエン(2×300mL)で抽出した。合わせた有機抽出液を1:1 25%水溶液アンモニア溶液/ブライン(300mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーター(浴温70℃まで)で濃縮して粗生成物を黄色油状物(161g)として得、データは上記で得られたものと一致した。これを精製せずに次の工程で使用した。
【0518】
製法13:6−クロロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン
2−(5−クロロ−3−フルオロピリジン−2−イル)−2−メチルプロピルアミン(製法12および製法12に記載の通りに製造され得る、別法)(33g、0.163モル)、炭酸カリウム(122g、0.884モル)およびNMP(100mL)の混合物を4時間150℃に加熱した。冷却混合物を水(330mL)で希釈し、トルエン(3×300mL)で抽出した。合わせた有機抽出液をブライン(160mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、40℃で真空濃縮し、粗材料(24.8g)を得た。5〜30%酢酸エチル/petrolで溶出するシリカでのクロマトグラフィーにより標題化合物(21g、71%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): 7.61 (1H, d), 6.75 (1H, d), 6.06 (1H, bs), 3.31 (2H, s), 1.21 (6H, s)。
【0519】
製法14:6−クロロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
2日間にわたって撹拌しながら、6−クロロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン(に記載の通りに製造され得る製法13)(2.6g、14.2mmol)、テトラヒドロフラン(26mL)と2M水酸化ナトリウム(11.4mL、22.8mmol)の混合物に、二炭酸ジ−tertブチル(3.7g、17.1mmol)を加えた。この二相混合物を水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥させ(MgSO
4)、40℃で真空濃縮し、粗材料(6.02g)を得た。5から30%酢酸エチル/petrolで溶出するシリカでのクロマトグラフィーにより標題化合物(2.23g、55%)を得た;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): 8.11 (1H, d), 7.85 (1H, bs), 3.77 (2H, s), 1.52 (9H, s), 1.28 (6H, s)。
【0520】
製法15:6−(4−フルオロベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン
THF(685mL)およびNMP(910mL)中、6−クロロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン(製法13に記載の通りに製造され得る)(91.3g、0.5mol)、臭化リチウム(130.3g、1.5mol)および[1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン](3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロリド(6.8g、0.01mol)の脱気混合物に、20℃で発熱を伴いながら、塩化4−フルオロベンジル亜鉛の溶液(THF中0.5M溶液 2L、1mol)を加えた。得られ得た暗色の混合物を窒素下、室温で18時間撹拌した。この反応物を2.5%クエン酸水溶液(900mL)で急冷し、トルエン(2×900mL)で抽出した。合わせた有機相を水(3×900mL)、ブライン(900mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。得られた固体をpetrol(450mL)およびトルエン(100mL)でスラリーとした。30分間撹拌した後、固体を濾過し、ケークをpetrol(2×90mL)で洗浄した。濾過ケークを40℃で真空乾燥させ、標題化合物(107.3g)を灰色の固体として得た。
1H NMR (DMSO-d6): 7.60 (1H, d), 7.30-7.22 (2H, m), 7.15-7.06 (2H, m), 6.53 (1H, d), 5.64 (1H, s), 3.78 (2H, s), 3.22 (2H, d), 1.19 (6H, s)。
【0521】
以下の化合物は、製法15に記載したものと類似の手順で製造した:
15A:6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=357。
15B:6−(3−フルオロベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン、MS:[M+H]
+=257。
15C:6−ブチル−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン、MS:[M+H]
+=205。
15D:6−(2−フルオロベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン、MS:[M+H]
+=257。
15E:6−(2,4−ジフルオロベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン
【0522】
製法16:5−ブロモ−6−(4−フルオロベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン
DMF(1.67L)中、6−(4−フルオロベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン(製法15に記載の通りに製造され得る)(88.5g、0.345mol)の溶液を−5℃に冷却した。N−ブロモスクシンイミド(61.5g、0.345mol)を、発熱を伴いながら少量ずつ加えた。この混合物を1時間撹拌して室温まで温めた。水(2.66L)を、発熱を伴いながら加え、得られた混合物を室温で18時間撹拌した。固体を濾過し、ケークを水(270mL)で洗浄した。濾過ケークをTHF(1.5L)に溶かし、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮し、標題化合物(109.7g)を黄色固体として得た。
1H NMR (DMSO-d6): 7.29-7.20 (2H, m), 7.20-7.03 (2H, m), 6.64 (1H, s), 5.88 (1H, s), 3.89 (2H, s), 3.26 (2H, d), 1.20 (6H, s)。
【0523】
以下の化合物は、製法16と類似の方法で製造した:
16A:5−ブロモ−6−(3−フルオロベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン、MS:[M+H]
+=335、337。
16B:5−ブロモ−6−(2−フルオロベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン、MS:[M+H]
+=335、337。
16C:5−ブロモ−6−ブチル−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン、MS:[M+H]
+=283、285。
16D:5−ブロモ−6−(2,4−ジフルオロベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン
【0524】
製法17:[6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イル]−メタノール
−78℃に冷却したTHF(300mL)中、5−ブロモ−6−(4−フルオロベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン(製法16に記載の通りに製造され得る)(22.8g、68.2mmol)に、15分かけてMeLi(Et
2O中1.6M;51.1mL、91.8mmol)を加えた。tert−ブチルリチウム(ヘキサン中1.7M;96mL,164mmol)を30分かけて加えた。15分後、DMF(26mL)を加え、この混合物を−78℃でさらに50分間撹拌した。飽和NH
4Cl水溶液(450mL)を加え、この混合物を室温で10分間撹拌した。有機層を単離し、水層をEtOAc(2×150mL)で抽出した。合わせた有機画分をブライン(200mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、蒸発せ、6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−カルバルデヒドを黄色固体として得、これをそれ以上精製せずに使用した。MS:m/z=285(M+H
+)
+。この生成物(約68mmol)をMeOH(250mL)に懸濁させ、氷浴中で冷却した。NaBH
4(3.4g、81.8mmol)を5分かけて少量ずつ加えた。冷却を除き、この混合物をさらに20分間撹拌した。この混合物を氷浴中で冷却した後、10分かけて10%水溶液KHSO
4を注意深く添加した(注:起沸)。室温で5分間撹拌した後、この混合物を、氷浴を用いて再び冷却した。この混合物を、50%NaOH水溶液(約18mL)を添加することにより塩基性とした後、約3分の1の容量まで真空濃縮した。得られた水性混合物をCH
2Cl
2(1×200mL、2×100mL)で抽出し、合わせたCH
2Cl
2層を乾燥させた(MgSO
4)。このCH
2Cl
2溶液を約30mLまで真空濃縮した後、トルエン(70mL)で希釈し、生成物の結晶化を誘導した。濾取して生成物を無色の結晶性固体として得た(10.6g)。第2生成物(2.1g)を濾液から回収した。濾液を濃縮し、残った材料をSiO
2クロマトグラフィー(25から50%EtOAc/ヘキサンで溶出)により精製し、第3バッチ(2.1g)を得;標題化合物を全収量14.8g(2工程で76%)で得た。MS:[M+H]
+=287。
【0525】
別法としては、イソプロピルアルコールからの再結晶化を含む。
【0526】
以下の化合物は、製法17と類似の方法で製造した:
(6−ブチル−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イル)−メタノール、MS:[M+H]
+=235。
【0527】
製法18:2−クロロ−1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}エタン−1−オン
MeCN(175mL)中、[6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イル]−メタノール(製法17に記載の通りに製造され得る)(11.8g、41.3mmol)の冷却(約5℃)懸濁液に、塩化クロロアセチル(6.9mL、86.7mmol)を加えた。冷却を除き、この混合物を室温で30分間撹拌した。次に、この混合物を真空で蒸発させ、MeOH(200mL)に溶かした。K
2CO
3溶液(100mL H
2O中12g)を加え、この混合物を室温で20分間撹拌し、その後、この混合物を約4分の1の容量まで真空濃縮した。水性混合物をCH
2Cl
2(1×100mL、2×30mL)で抽出し、合わせたCH
2Cl
2層を乾燥させた(MgSO
4)。真空蒸発により生成物を無色の結晶性固体として得た(12.1g、約100%)、MS:[M+H]
+=363。
【0528】
以下の化合物は、製法18と類似または同様の方法に従って製造した:
18A:1−(2−クロロアセチル)−6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン、MS:[M+H]
+=349。
18B:2−クロロ−1−{6−[(2−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}エタン−1−オン、MS:[M+H]
+=363。
18C:1−(2−クロロアセチル)−6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3,4−トリメチル−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン、MS:[M+H]
+=363。
18D:1−(2−クロロアセチル)−6−[(2,4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン、MS:[M+H]
+=367。
18E:1−(2−クロロアセチル)−6−[(2−フルオロフェニル)メチル]−3,3,4−トリメチル−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン、MS:[M+H]
+=363。
18F:2−クロロ−1−{6−[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}エタン−1−オン、MS:[M+H]
+=381。
18G:2−クロロ−1−[5−(1,2−ジヒドロキシエチル)−6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]エタン−1−オン、MS:[M+H]
+=393。
18H:2−クロロ−1−{6−[(3−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}エタン−1−オン、MS:[M+H]
+=363。
18I:1−(2−クロロ−アセチル)−6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−オン、MS:[M+H]
+=349。
18J:1−(2−クロロ−アセチル)−6−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−オン、MS:[M+H]
+=367。
18K:よりゆっくり溶出する前駆体からの2−クロロ−1−[5−((RまたはS)−1,2−ジヒドロキシエチル)−6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]エタン−1−オン。MS:[M+H]
+=393。
18L:1−(2−クロロアセチル)−6−[(2,4−フルオロフェニル)メチル]−3,3,4−トリメチル−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン、MS:[M+H]
+=381。
18M:より速く溶出する前駆体からの2−クロロ−1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(RまたはS)−1−ヒドロキシ−2−メトキシエチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}エタン−1−オン、MS:[M+H]
+=407。
18N:より速く溶出する前駆体からの2−クロロ−1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(RまたはS)−1−メトキシ−2−ヒドロキシエチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}エタン−1−オン、MS:[M+H]
+=407。
18O:よりゆっくり溶出する前駆体からの2−クロロ−1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(RまたはS)−1−ヒドロキシ−2−メトキシエチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}エタン−1−オン、MS:[M+H]
+=407。
18P:よりゆっくり溶出する前駆体からの2−クロロ−1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(RまたはS)−1−メトキシ−2−ヒドロキシエチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}エタン−1−オン、MS:[M+H]
+=407。
18Q:1−(2−クロロ−アセチル)−6−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−3,3,4−トリメチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−オン、MS:[M+H]
+=381。
18R:6−ブチル−1−(2−クロロ−アセチル)−3,3−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン、MS:[M+H]
+=297。
18S:1−[6−ブチル−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−2−クロロエタン−1−オン、MS:[M+H]
+=311。
18T:6−ブチル−1−(2−クロロ−アセチル)−3,3−ジメチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−オン、MS:[M+H]
+=297。
【0529】
製法19:(2R,5S)−4−(2−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチル−5−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル
(2R,5S)−2−メチル−5−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イルメチル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製法8に記載の通りに製造され得る)(15.5g、46.4mmol)、KI(12.8g、77.4mmol)およびK
2CO
3(21.4g、155mmol)をMeCN(70mL)中で撹拌し、氷浴中で冷却した。次に、2−クロロ−1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}エタン−1−オン(製法18に記載の通りに製造され得る)(14.0g、38.7mmol)をMeCN(100mL)中の溶液として加えた。この混合物を室温で2時間撹拌した後、約4分の1の容量まで真空濃縮した。この混合物をEtOAc(150mL)とH
2O(150mL)とで分液した後、水層をさらなるEtOAc(1×75mL)で抽出した。合わせたEtOAc層を10%水溶液KH
2PO
4(4×100mL)、次いで、ブライン(70mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO
4)、蒸発させ、生成物を無色の固体として得た(25.8g、98%)、MS:[M+H]
+=640。
【0530】
以下の化合物は、製法19のものと類似の方法に従って製造した。
(2R,5S)−5−{[(3R,5R)−3,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−4−(2−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチルピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=654。
【0531】
(2R,5S)−5−{[(3R,5R)−3,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−4−(2−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチルピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=640。
【0532】
(2R,5S)−4−(2−{6−[(2−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチル−5−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=640。
【0533】
(2R,5S)−4−(2−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチル−5−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=626。
【0534】
(2R,5S)−4−(2−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3,4−トリメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチル−5−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=640。
【0535】
(2R,5S)−4−(2−{6−[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−5−{[(3R,5R)−3,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−2−メチルピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=658。
【0536】
(2R,5S)−4−(2−{6−[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチル−5−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=644。
【0537】
(2R,5S)−4−(2−{6−[(2−フルオロフェニル)メチル]−3,3,4−トリメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチル−5−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=640。
【0538】
(2R,5S)−5−{[(3R,5R)−3,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−4−(2−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3,4−トリメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチルピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=654。
【0539】
(2R,5S)−4−(2−{6−[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチル−5−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、
1H NMR (400 MHz, Me-d3-OD): 8.12 (1H, s), 7.27-7.16 (1H, m), 7.06-6.86 (2H, m), 4.76 (2H, s), 4.17 (1H, s), 4.10-4.07 (2H, m), 3.99 (1H, d), 3.74-3.49 (5H, m), 3.30-3.22 (2H, m), 2.97-2.77 (4H, m), 2.59-2.43 (2H, m), 2.43-2.32 (1H, m), 2.32-2.21 (1H, m), 1.47 (9H, s), 1.43 (6H, s), 1.22 (3H, d), 1.00 (3H, d).
【0540】
(2R,5S)−4−{2−[5−(1,2−ジヒドロキシエチル)−6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−2−メチル−5−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル MS:[M+H]
+=670;キラルHPLC(ヘプタン/エタノール、80:20、0.2%DEA、chiralPAk−ICカラム)により、より速く溶出するジアステレオ異性体A、MS:[M+H]
+=670およびより遅く溶出するジアステレオ異性体B、MS:[M+H]
+=670を得た。
【0541】
(2R,5S)−4−(2−{6−[(3−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチル−5−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=640。
【0542】
(2R,5S)−5−{[(3R,5R)−3,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−4−(2−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,5H,6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチルピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=640。
【0543】
(2R,5S)−4−(2−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,5H,6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチル−5−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=626。
【0544】
(2R,5S)−5−{[(2S,5R)−2,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−4−(2−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3,4−トリメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチルピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=654。
【0545】
(2R,5S)−4−(2−{6−[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,5H,6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−5−{[(3R,5R)−3,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−2−メチルピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=658。
【0546】
(2R,5S)−4−{2−[5−((RまたはS)−1,2−ジヒドロキシエチル)−6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−5−{[(3R,5R)−3,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−2−メチルピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=684。
【0547】
(2R,5S)−4−(2−{6−[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,5H,6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−5−{[(2S,5R)−2,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−2−メチルピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=658。
【0548】
(2R,5S)−4−(2−{4−アミノ−6−[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチル−5−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=659。
【0549】
(2R,5S)−4−(2−{4−アミノ−6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチル−5−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=641。
【0550】
(2R,5S)−4−(2−{6−[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]−3,3,4−トリメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−5−{[(2S,5R)−2,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−2−メチルピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=672。
【0551】
(2R,5S)−4−(2−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−((RまたはS)1−ヒドロキシ−2−メトキシエチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチル−5−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル(より速く溶出する異性体から)、MS:[M+H]
+=684。
【0552】
tert−ブチル(2R,5S)−4−(2−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−((RまたはS)1−ヒドロキシ−2−メトキシエチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチル−5−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−カルボン酸塩(よりゆっくり溶出する異性体から)、MS:[M+H]
+=684。
【0553】
(2R,5S)−4−(2−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−((RまたはS)1−メトキシ−2−ヒドロキシエチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチル−5−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル(より速く溶出する異性体から)、MS:[M+H]
+=684。
【0554】
(2R,5S)−4−(2−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−((RまたはS)1−メトキシ−2−ヒドロキシエチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチル−5−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル(よりゆっくり溶出する異性体から)、MS:[M+H]
+=684。
【0555】
(2R,5S)−4−(2−{4−アミノ−6−ブチル−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−5−{[(3R,5R)−3,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−2−メチルピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=603。
【0556】
(2R,5S)−4−(2−{6−[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]−3,3,4−トリメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,5H,6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチル−5−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=658。
【0557】
(2R,5S)−4−(2−{6−ブチル−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−5−{[(3R,5R)−3,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−2−メチルピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=588。
【0558】
(2R,5S)−4−(2−{6−ブチル−3,3,4−トリメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−5−{[(3R,5R)−3,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−2−メチルピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=602。
【0559】
(2R,5S)−4−{2−[6−ブチル−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−5−{[(3R,5R)−3,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−2−メチルピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=602。
【0560】
(2R,5S)−4−(2−{6−ブチル−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,5H,6H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−5−{[(3R,5R)−3,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−2−メチルピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=588。
【0561】
(2R,5S)−5−{[(3R,5R)−3,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−4−(2−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−((RまたはS)−2−ヒドロキシ−1−メトキシエチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチルピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=698。
【0562】
(2R,5S)−4−(2−{6−ブチル−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−5−{[(2S,5R)−2,5−ジメチルモルホリン−4−イル]メチル}−2−メチルピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル、MS:[M+H]
+=588。
【0563】
製法20:(2R,5S)−4−{2−[6−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−3,3,4−トリメチル−5−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−2−オキソ−エチル}−5−((3R,5R)−3,5−ジメチル−モルホリン−4−イルメチル)−2−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
(2R,5S)−4−{2−[6−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−2−オキソ−エチル}−5−((3R,5R)−3,5−ジメチル−モルホリン−4−イルメチル)−2−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(146mg、0.22mmol)をDMF(3mL)に溶かした。水素化ナトリウム(60%、11mg、0.27mmol)を加え、この反応混合物を30分間撹拌した。ヨードメタン(0.017mL、0.27mmol)を加え、この反応物を室温で30分間撹拌した後、水(10mL)とEtOAc(2×10mL)とで分液した。有機画分をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。残渣を、EtOAc中0から10%MeOHで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製した後、分取HPLCにより標題化合物(17.6mg)を得た。MS:[M+H]
+=672。
【0564】
製法21:(2R,5S)−4−{2−[6−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−3,3,4−トリメチル−5−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−2−オキソ−エチル}−2−メチル−5−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イルメチル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
(2R,5S)−4−{2−[6−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−2−オキソ−エチル}−2−メチル−5−((R)−3−メチル−モルホリン−4−イルメチル)−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(670mg、1.04mmol)をTHF(20mL)に溶かした。リチウムtert−ブトキシド(170mg、2.08mmol)、次いで、ヨードメタン(0.16mL、2.60mmol)を加えた。この反応物を一晩室温で撹拌した後、水(30mL)とEtOAc(2×30mL)とで分液した。有機画分をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。残渣を、DCM中0から10%MeOHで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物(350mg)を得た。MS:[M+H]
+=658。
【0565】
以下の化合物は、製法21と類似の方法で製造した。:
21A:(2R,5S)−4−[2−(6−ブチル−3,3,4−トリメチル−5−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−5−((3R,5R)−3,5−ジメチル−モルホリン−4−イルメチル)−2−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル、MS:[M+H]
+=602。
【0566】
製法22:6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−4−オキシ−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
DCM(30mL)中、6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(製法15Aに記載の通りに製造され得る)(3.88g、10.9mmol)の撹拌溶液に、周囲温度で3−クロロ過安息香酸(77%、2.7g、12.0mmol)を0.1時間かけて少量ずつ加えた。この混合物を3時間撹拌した後、飽和NaHCO
3(150mL)水溶液とDCM(3×30mL)とで分液した。合わせた有機抽出液を乾燥させ(Na
2SO
4)、真空蒸発させた。残渣をエーテル−petrolから結晶化させ、標題化合物(2.62g)を得た。
1H NMR (400 MHz, Me-d3-OD): 7.74 (1H, s), 7.35-7.24 (2H, m), 7.13-7.02 (2H, m), 3.96 (2H, s), 3.79 (2H, s), 1.57 (6H, s), 1.53 (9H, s)。
【0567】
製法23:6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−4−オキシ−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(製法22に記載の通りに製造され得る)(0.6g、1.6mmol)と無水酢酸(4mL)の混合物を105℃で2時間、次いで、140℃で3時間加熱し、冷却した後、得られた溶液を氷水(約100g)に注いだ。得られた無色の固体を濾取した後、メタノール(15mL)に懸濁させた。NaOH水溶液(1M、1.8mL)を加え、この混合物を0.25時間撹拌した。この溶液を12mLに真空濃縮した後、水(20mL)で希釈し、得られた固体を濾取し、標題化合物(0.6g)を得た。MS:[M+H]
+=373。
【0568】
以下の化合物は、製法23と類似の方法で製造した:
23A:6−[(2−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチル
【0569】
製法24:6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン
6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(製法23に記載の通りに製造され得る)(0.6g、1.6mmol)、メタノール(20mL)と5M水溶液HCl(20mL)の混合物を還流下で16時間加熱し、冷却した後、水で処理した。得られた固体を濾取し、標題化合物(0.255g)を得た。MS:[M+H]
+=273。
【0570】
製法25:1−[5−ブロモ−6−(3−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン
トルエン(50mL)中、5−ブロモ−6−(3−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン(製法16Aに記載の通りに製造され得る)(4.5g、13.43mmol)の溶液に、塩化アセチル(1.05mL、14.78mmol)を加え、この反応混合物を室温で一晩撹拌した。飽和NaHCO
3溶液(50mL)を加え、生成物をEtOAc(2×40mL)で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させ、標題化合物(4.99g)を得た。MS:[M+H]
+=377。
【0571】
以下の化合物は、製法25に記載したものと類似の手順で製造した:
25A:1−[5−ブロモ−6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン、MS:[M+H]
+=377。
【0572】
製法26:1−[6−(3−フルオロ−ベンジル)−3,3,5−トリメチル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン
THF(30mL)およびNMP(30mL)中、1−[5−ブロモ−6−(3−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン(製法25に記載の通りに製造され得る)(4.9g、13.0mmol)、LiBr(3.35g、39.0mmol)および[1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン](3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロリド(180mg、0.26mmol)の脱気溶液に、塩化メチル亜鉛(THF中2M、10mL、20mmol)を加え、この反応混合物を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を水(20mL)および5%クエン酸水溶液(3mL)に注ぎ、生成物をトルエン−EtOAc(1:1、2×40mL)で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させ、標題化合物(4.05g)を得た。MS:[M+H]
+=313。
【0573】
製法27:1−[6−(3−フルオロ−ベンジル)−3,3,5−トリメチル−4−オキシ−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン
DCM(50mL)中、1−[6−(3−フルオロ−ベンジル)−3,3,5−トリメチル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン(製法26に記載の通りに製造され得る)(4.05g、13.0mmol)の溶液に、m−クロロ過安息香酸(77%、4.4g、19.5mmol)を少量ずつ加え、この反応混合物を室温で2時間撹拌した。Na
2S
2O
3(10%、50mL)を加え、30分間撹拌した。この生成物をDCM(3×40mL)で抽出し、合わせた有機層を1M NaOHで洗浄し、乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させ、標題化合物(4.22g)を得た。MS:[M+H]
+=329。
【0574】
製法28:酢酸1−アセチル−6−(3−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イルメチルエステル
無水酢酸(25mL)中、1−[6−(3−フルオロ−ベンジル)−3,3,5−トリメチル−4−オキシ−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン(製法27に記載の通りに製造され得る)(4.22g、12.86mmol)の溶液に、110℃で2時間加熱した。この反応混合物を冷却し、氷に注ぎ、2時間撹拌した。この混合物をNa
2CO
3で中和し、生成物をDCM(3×30mL)で抽出した。有機相を乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。粗生成物をシリカで精製し、petrol−EtOAc 0から50%で溶出させ、標題化合物(3.49g)を得た。MS:[M+H]
+=371。
【0575】
製法29:[6−(3−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イル]−メタノール
EtOH(60mL)および水(60mL)中、酢酸1−アセチル−6−(3−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イルメチルエステル(製法28に記載の通りに製造され得る)(3.49g、9.43mmol)およびNaOH(6.0g、150mmol)の溶液を還流下で一晩加熱した。EtOHを蒸発させ、pHを5M HClでpH=8に調整し、生成物をDCM(3×30mL)で抽出した。有機相を乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。粗生成物をシリカで精製し、petrol−EtOAc 0から100%で溶出させ、標題化合物(2.04g)を得た。MS:[M+H]
+=287。
【0576】
以下の化合物は、製法25〜29(含む)に記載のものと同様の手順を用いて製造した:
[6−(2−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イル]−メタノール、[M+H]
+=287。
[6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イル]−メタノール、[M+H]
+=287。
[6−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イル]−メタノール、
1H NMR (400 MHz, Me-d3-OD): 7.22-7.12 (1H, m), 7.00-6.82 (2H, m), 6.67-6.59 (1H, m), 4.72-4.61 (2H, m), 4.04 (2H, s), 1.34 (6H, s)。
【0577】
製法30:1−[6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン
約10℃で、MeCN(130mL)中、6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン(製法15に記載の通りに製造され得る)(10.1g、39mmol)の溶液に、塩化アセチル(3.6mL、51mmol)を加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した後、真空蒸発させた。残渣をCH
2Cl
2と1N NaOH水溶液とで分液した。CH
2Cl
2層を乾燥させ(MgSO
4)、蒸発させ、標題化合物(12.3g)を結晶性固体として得た。MS:m/z=299(M+H
+)
+。
【0578】
製法31:1−[6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−4−オキシ−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン
1−[6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン(製法30に記載の通りに製造され得る)(12.2g、41mmol)およびmCPBA(77%、12g、約53mmol)をCH
2Cl
2(150mL)に溶かし、3時間撹拌した。次に、20%Na
2S
2O
3水溶液を加え、この混合物を25分間撹拌した。水層をさらなるバッチのCH
2Cl
2で抽出した後、合わせたCH
2Cl
2層を2×1N NaOH水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO
4)、真空蒸発させ、標題化合物(12g)を黄色結晶性固体として得た。MS:m/z=315(M+H
+)
+。
【0579】
製法32:酢酸1−アセチル−6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イルエステル
1−[6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−4−オキシ−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン(製法31に記載の通りに製造され得る)(11.55g、37mmol)をAc
2O(70mL)中で5時間加熱した。次に、この混合物を冷却し、氷/水(500g)に注いだ。この混合物を1時間撹拌し、生じた沈澱を濾取し、標題化合物(12.1g、92%)を灰色の固体として得た。MS:m/z=357(M+H
+)
+。
【0580】
製法33:1−アセチル−6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン
酢酸1−アセチル−6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イルエステル(製法32に記載の通りに製造され得る)(6g、19mmol)をEtOH(60mL)に懸濁させ、2N NaOH水溶液(42mL)で処理した。この混合物を一晩撹拌した後、5N HCl水溶液で酸性化した。生成物をCH
2Cl
2で抽出し、有機層を乾燥させた(MgSO
4)。SiO
2クロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン中50から100%で溶出)により精製し、黄色固体を得た。これをトルエンで摩砕し、固体を回収し、標題化合物(2.4g、44%)を得た。MS:m/z=315(M+H
+)
+。
【0581】
以下の化合物は、製法30〜33に記載したものと類似の手順で製造した:
1−アセチル−6−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン、MS:[M+H]
+=333。
1−アセチル−6−ブチル−3,3−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン、MS:[M+H]
+=263。
【0582】
製法34:1−アセチル−6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン
約0℃で、DMF(30mL)中、1−アセチル−6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン(に記載の通りに製造され得る製法33)(3.1g、9.9mmol)とK
2CO
3(2.7g、20mmol)の混合物に、ヨードメタン(0.74mL、11.9mmol)を加えた。この混合物を室温で5時間撹拌し、その後、この混合物をEtOAcと水とで分液した。EtOAc層をブラインで洗浄し、乾燥させた(MgSO
4)。SiO
2クロマトグラフィー(0から10%MeOH/EtOAcで溶出)により精製し、標題化合物(960mg、29%)を、無色の結晶固体として得た。MS:[M+H]
+=329。
【0583】
製法35:6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン
1−アセチル−6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン(製法34に記載の通りに製造され得る)(960mg、2.9mmol)を、EtOH(10mL)と5N HCl水溶液(10mL)の混合物に溶かし、N
2下、95℃で1時間加熱した。次にこの混合物を冷却し、真空濃縮した。氷および濃NH
3水溶液を加え、得られた水性混合物をCH
2Cl
2で抽出した。CH
2Cl
2溶液を乾燥させ(MgSO
4)、蒸発させて標題化合物を得、これを即使用した。MS:[M+H]
+=287。
【0584】
以下の化合物は、製法30〜35に記載したものと類似の手順で製造した:
6−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−3,3,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン、MS:[M+H]
+=269。
【0585】
以下の化合物は、製法35に記載したものと類似の手順で製造した:
6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3,−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン、MS:[M+H]
+=273。
6−ブチル−3,3−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン、MS:[M+H]
+=221。
6−[(2,4−ジフルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン、MS:[M+H]
+=291。
【0586】
製法36:6−(2−フルオロ−ベンジル)−3,3,4−トリメチル−5−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
6−[(2−フルオロフェニル)メチル]−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H,2H,3H,4H,5H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルから、製法34に記載したものと同様の方法を用いて製造。MS:[M+H]
+=387。
【0587】
製法37:6−(2−フルオロ−ベンジル)−3,3,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン
6−(2−フルオロ−ベンジル)−3,3,4−トリメチル−5−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製法36に記載の通りに製造され得る)から、製法24に記載したものと同様の方法を用いて製造。MS:[M+H]
+=287.
【0588】
製法38:1−[6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−5−ビニル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン
1−[5−ブロモ−6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン(製法25Aに記載の通りに製造され得る)(7.64g、20.27mmol)、トリブチルビニルスズ(6.22mL、21.28mmol)およびビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(0.104g、0.20mmol)をトルエン(39mL)に溶かした。窒素で脱気した後、この反応物を2時間85℃に加熱した。この反応物を真空濃縮し、粗生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0から100%へ、酢酸エチル/petrol40〜60℃)により精製し、標題化合物(3.64g)を得た。MS:[M+H]
+=325。
【0589】
製法39:(RS)−1−[5−(1,2−ジヒドロキシ−エチル)−6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン
アセトン(76mL)および水(8.5mL)中、1−[6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−5−ビニル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン(製法38に記載の通りに製造され得る)(3.64g、11.23mmol)に、水酸化ナトリウム水溶液(2.5M、13.48mL、11.23mmol)を加え、この反応物を0℃に冷却した(氷浴)。この反応物に過マンガン酸カリウム(1.78g、11.23mol)を加え、1時間撹拌した。この反応物を室温まで温め、20時間撹拌した。さらなる過マンガン酸カリウムを追加し(1.77g、33.7mmol)、1時間後、反応物をセライトで濾過し、アセトンおよび水で洗浄した。濾液を濃縮して水性混合物を得、これを酢酸エチルで抽出した(3回)。合わせた有機液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。粗生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0から100%へ、酢酸エチル/petrol40〜60℃)により精製し、標題化合物(1.5g)を得た。MS:[M+H]
+=359。
【0590】
キラル精製
(RS)−1−[5−(1,2−ジヒドロキシ−エチル)−6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン(製法39に記載の通りに製造され得る)(1.5g)を、キラル分取HPLC(キラルPAK AD−H、ヘプタン/エタノール)により精製し、39A(RまたはS)−1−[5−(1,2−ジヒドロキシ−エチル)−6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン(速く移動する異性体)(0.5g)および39B(RまたはS)−1−[5−(1,2−ジヒドロキシ−エチル)−6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン(ゆっくり移動する異性体)(0.6g)を得た。
【0591】
製法40:(RS)−1−[6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イル]−エタン−1,2−ジオール
(RS)−1−[5−(1,2−ジヒドロキシ−エチル)−6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン(製法39に記載の通りに製造され得る)(0.250mg、0.70mmol)をエタノール(4.37mL)および水(4.37mL)に溶かした。水酸化ナトリウム(0.447g、11.2mmol)を加え、この反応物を4時間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応物を濃縮した。水を加え、水溶液を酢酸エチルで抽出した(3回)。合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、標題化合物(171mg)を得た。MS:[M+H]
+=317。
【0592】
以下の化合物は、製法40に記載したものと類似の手順で製造した:
40A:よりゆっくり溶出する異性体39Bからの(RまたはS)−1−[6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イル]−エタン−1,2−ジオール、MS:[M+H]
+=317。
40B:より速く溶出する前駆体からの(RまたはS)−1−[6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イル]−2−メトキシ−エタノール、MS:[M+H]
+=331。
40C:よりゆっくり溶出する前駆体からの(RまたはS)−1−[6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イル]−2−メトキシ−エタノール、MS:[M+H]
+=331。
40D:より速く溶出する前駆体からの(RまたはS)−2−[6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イル]−2−メトキシ−エタノール、MS:[M+H]
+=331。
40E:よりゆっくり溶出する前駆体からの(RまたはS)−2−[6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イル]−2−メトキシ−エタノール、MS:[M+H]
+=331。
【0593】
製法41:(RS)−メタンスルホン酸2−[1−アセチル−6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イル]−2−ヒドロキシ−エチルエステル
0℃に冷却したジクロロメタン(20.7mL)中、(RS)−1−[5−(1,2−ジヒドロキシ−エチル)−6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン(製法39に記載の通りに製造され得る)(1.48g、4.13mol)に、トリエチルアミン(0.502g、4.96mmol)および塩化メタンスルホニル(0.34mL、4.34mmol)を加えた。この反応物を室温まで温め、2時間撹拌した。この反応物を水に注ぎ、DCMで抽出した(3回)。合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。粗生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0から100%へ、酢酸エチル/petrol40〜60℃)により精製し、標題化合物(1.25g)を得た。MS:[M+H]
+=437。
【0594】
製法42:1−[6−(4−フルオロ−ベンジル)−5−(1−ヒドロキシ−2−メトキシ−エチル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン(42A)および1−[6−(4−フルオロ−ベンジル)−5−(2−ヒドロキシ−1−メトキシ−エチル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル]−エタノン(42B)
メタノール(9.48mL)中、(RS)−メタンスルホン酸2−[1−アセチル−6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−イル]−2−ヒドロキシ−エチルエステル(製法41に記載の通りに製造され得る)(1.24g、2.84mmol)に、メタノール中のナトリウムメトキシド(25%)(1.23mL、5.69mmol)を加えた。6時間撹拌した後、さらなるメタノール中ナトリウムメトキシド(25%)(1.23mL)を追加した。この混合物を18時間撹拌した後、メタノール中ナトリウムメトキシド(25%)(1.23mL)を加えた。さらに22時間撹拌した後、水を加え、反応物を酢酸エチルで抽出した(3回)。合わせた有機抽出液を真空濃縮し、粗生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(勾配溶出、0から100%へ、酢酸エチル/petrol40〜60℃)により精製し、別個に2つの標題化合物をラセミ混合物として得た。キラルHPLC分離は次のようにして行った:
42A:ADHカラム、80/20ヘプタン エタノール、0.2%DEAにより、より速く溶出する42A1とよりゆっくり溶出する42A2を得た。
42B:LUX−2カラム、80/20ヘプタン エタノール、0.2%DEAにより、より速く溶出する42B1[
1H NMR (400 MHz, Me-d3-OD): 8.18 (1H, s), 7.19 (2H, dd), 7.03 (2H, t), 4.66 (1H, dd), 4.21-4.05 (2H, m), 4.05-3.82 (3H, m), 3.63 (1H, dd), 3.13 (3H, s), 2.24 (3H, s), 1.42 (6H, s)]とよりゆっくり溶出する42B2を得た。
【0595】
製法43:(6−メトキシ−4−メチル−ピリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
THF(80mL)および飽和水溶液Na
2CO
3(20mL)中、5−アミノ−2−メトキシ−4−ピコリン(5.0g、36.2mmol)の溶液に、ジ−tert−ブチル−ジカーボネート(7.9g、36.2mmol)を加え、この反応混合物を一晩撹拌した。この反応混合物を濃縮し、DCMで抽出し、ブラインで洗浄し、乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させ、標題化合物(8.8g)を得た。MS:[M+H]
+=239。
【0596】
製法44:(5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メトキシ−ピリジン−4−イル)−酢酸
THF(100mL)中、(6−メトキシ−4−メチル−ピリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(に記載の通りに製造され得る製法43)(2.8g、11.9mmol)の溶液に、−78℃でsec−ブチルリチウム(シクロヘキサン中1.4M、28mL、39.3mmol)を加えた。この反応混合物を10分間撹拌した後、それにカニューレを介して1時間CO
2ガスをバブリングさせた。この反応混合物を放置して室温まで温め、2N HClで急冷した。1N NaOHでpHをpH=4に調整し、生成物をEtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させ、標題化合物(4.4g)を得た。MS:[M+H]
+=283。
【0597】
製法45:5−メトキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
DCM(50mL)中、(5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−メトキシ−ピリジン−4−イル)−酢酸(製法44に記載の通りに製造され得る)(3.4g、11.9mmol)、ジイソプロピル−エチル−アミン(4.6mL、26.18mmol)、EDC(2.5g、13.09mmol)およびHOAt(1.78g、13.09mmol)の混合物を3時間撹拌した。この反応混合物を飽和NaHCO
3、水、ブラインで洗浄した後、乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。粗生成物をシリカで精製し、petrol−EtOAc 0から50%で溶出させ、標題化合物(2.2g)を得た。MS:[M+H]
+=265。
【0598】
製法46:5−メトキシ−3,3−ジメチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
アセトン(25mL)中、5−メトキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製法45に記載の通りに製造され得る)(1.94g、7.35mmol)、K
2CO
3(2.33g、18.57mmol)およびヨードメタン(1.14mL、18.57mmol)の混合物を還流下で3時間加熱した。この反応混合物を冷却し、溶媒を蒸発させ、残渣を水とDCMとで分液した。有機相を乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。粗生成物をシリカで精製し、petrol− EtOAc 0から20%で溶出させ、標題化合物(1.47g)を得た。MS:[M+H]
+=293。
【0599】
製法47:6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,5−ジオキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
アセトニトリル(50mL)中、5−メトキシ−3,3−ジメチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製法46に記載の通りに製造され得る)(1.43g、4.9mmol)、NaI(1.47g、9.8mmol)および臭化4−フルオロベンジル(0.67mL、5.4mmol)の混合物を還流下で5時間加熱し、室温で一晩撹拌し、再び還流下でさらに6時間加熱した。この反応混合物を冷却し、10%Na
2S
2O
3水溶液に注ぎ、DCMで抽出し、有機相を乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。粗生成物をシリカで精製し、petrol−EtOAc 0から100%で溶出させ、標題化合物(910mg)を得た。MS:[M+H]
+=387。
【0600】
以下の化合物は、製法47に記載したものと類似の手順に従って製造した:
47A:6−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,5−ジオキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル、MS:[M+H]
+=405。
【0601】
製法48:6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−1,6−ジヒドロ−3H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2,5−ジオン
TFA(5mL)およびDCM(5mL)中、6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,5−ジオキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製法47に記載の通りに製造され得る)(910mg、2.36mmol)の溶液を1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をDCMと飽和NaHCO
3とで分液し、有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、標題化合物(0.67g)を得た。MS:[M+H]
+=287。
【0602】
製法49:6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−オン
THF(30mL)中、6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−1,6−ジヒドロ−3H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2,5−ジオン(製法48に記載の通りに製造され得る)(526mg、1.84mmol)の溶液に、BH
3.Me
2Sの溶液(2M、9.7mL、18.4mmol)を加え、この混合物を還流下で3時間加熱し、冷却し、MeOH(10mL)を注意深く加え、還流下で2時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残渣をDCMと飽和NaHCO
3とで分液した。有機相を乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させ、標題化合物(494mg)を得た。精製せずに使用した。MS:[M+H]
+=273。
【0603】
以下の化合物は、製法49に記載したものと類似の手順に従って製造した:
49A:6−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−3,3,4−トリメチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−オン、MS:[M+H]
+=305。
【0604】
以下の化合物は、製法47〜49(含む)に記載したものと類似の手順に従って製造した:
49B:6−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−オン、MS:[M+H]
+=291。
【0605】
製法50:4−アミノ−1−(2−クロロ−アセチル)−6−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン
DMF(2mL)中、1−(2−クロロ−アセチル)−6−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン(製法18Dに記載の通りに製造され得る)(117mg、0.32mmol)の溶液に、炭酸カリウム(88mg、0.64mmol))およびO−(2,4−ジニトロフェニル)−ヒドロキシルアミン(95mg、0.48mmol)を加えた。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。1M水酸化ナトリウム水溶液(5mL)を加え、この混合物をEtOAc(2×10mL)で抽出した。有機画分を水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濃縮した。残渣を、petrol中20から65%EtOAcで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題化合物(79mg)を橙色の固体として得た。MS:[M+H]
+=382。
【0606】
以下の化合物は、製法50に記載したものと類似の手順に従って製造した:
50A:4−アミノ−1−(2−クロロ−アセチル)−6−(4−フルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン、MS:[M+H]
+=364。
50B:4−アミノ−1−(2−クロロ−アセチル)−6−ブチル−3,3−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[3,2−b]ピリジン−5−オン、MS:[M+H]
+=312。
【0607】
製法51:4−ブロモ−6−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,5−ジオキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
DMF中、6−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,5−ジオキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製法47Aに記載の通りに製造され得る)(1.0g、2.47mmol)の溶液に、N−ブロモスクシンイミド(529mg、2.97mmol)を加えた。この溶液を60℃で1.5時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、水を加え、生成物をDCMで抽出した(3回)。有機相を回収し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、1.1gの標題化合物を黄色固体として得た。MS:[M+H]
+=484。
【0608】
製法52:6−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−3,3,4−トリメチル−1,6−ジヒドロ−3H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2,5−ジオン
ジオキサン(10mL)中、4−ブロモ−6−(2,4−ジフルオロ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2,5−ジオキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製法51に記載の通りに製造され得る)(935mg、1.93mmol)およびPd(dppf)
2Cl
2(282mg、0.38mmol)の溶液に、ヘプタン中、Me
2Zn溶液(1M、5.8mL、5.8mmol)をゆっくり加えた。この反応混合物をN
2下、70℃、密閉バイアル中で1時間撹拌した。次に、Me
2Znの第2アリコート(5.8mL、5.8mmol)を加え、撹拌を2時間維持した。この反応混合物を室温まで冷却し、飽和NaHCO
3で急冷し、DCMで抽出した。有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。粗材料をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、200mgの標題化合物を黄色半固体として得た。MS:[M+H]
+=319。
【0609】
製法53:5−メトキシ−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−オン
5−メトキシ−3,3−ジメチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルから、製法48に記載したものと同様の手順を用いて製造。MS:[M+H]
+=193。
【0610】
製法54:5−メトキシ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン
THF(60mL)中、5−メトキシ−3,3−ジメチル−1,3−ジヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−オン(製法53に記載の通りに製造され得る)(2.8g、14.6mmol)の溶液に、BH
3.THF(1M、150mL、150mmol)の溶液を加え、この混合物を室温で一晩撹拌した。MeOH(50mL)を注意深く加え、還流下で1時間加熱した。溶媒を蒸発させ、残渣をDCMと飽和NaHCO
3とで分液した。有機相を乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。粗生成物を、petrol−EtOAc 0から60%で溶出するシリカで精製し、標題化合物(2.27g)を得た。MS:[M+H]
+=179。
【0611】
製法55:5−メトキシ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
THF(10mL)および飽和水溶液Na
2CO
3(4mL)中、5−メトキシ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン(製法54に記載の通りに製造され得る)(534mg、3.0mmol)の溶液に、ジ−tert−ブチル−ジカーボネート(780mg、3.6mmol)を加え、この反応混合物を一晩撹拌した後、それを水で希釈し、EtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させ、標題化合物(760mg)を得た。MS:[M+H]
+=279。
【0612】
製法56:6−((E)−But−2−enyl)−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
アセトニトリル(25mL)中、5−メトキシ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製法55に記載の通りに製造され得る)(760mg、2.7mmol)、NaI(410mg、2.7mmol)および臭化クロチル(0.33mL、3.24mmol)の混合物を還流下で5時間熱した。この反応混合物を冷却し、10%Na
2S
2O
3上に注ぎ、DCMで抽出し、有機相を乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。粗生成物をシリカで精製し、petrol−EtOAc 0から70%で溶出させ、標題化合物(433mg)を得た。MS:[M+H]
+=319。
【0613】
製法57:6−ブチル−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
EtOH(15mL)中、6−((E)−ブト−2−エニル)−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製法56に記載の通りに製造され得る)(433mg、1.36mmol)およびPd/C(10%、100mg)の混合物を1時間水素化した。触媒を濾過し、濾液を蒸発させ、残渣をシリカで精製し、petrol−EtOAc 0から50%で溶出させ、標題化合物(387mg)を得た。MS:[M+H]
+=321。
【0614】
製法58:6−ブチル−3,3−ジメチル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−5−オン
TFA(5mL)およびDCM(5mL)中、6−ブチル−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(380mg、1.19mmol)の溶液を1時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をDCMと飽和NaHCO
3とで分液し、有機相を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、残渣をシリカで精製し、petrol−EtOAc 0から100%で溶出させ、標題化合物(170mg)を得た。MS:[M+H]
+=221。
【0615】
実施例1〜37
以下の手順は、下表に示される実施例1〜37の実例である。
【0616】
(2R,5S)−4−(2−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチル−5−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル(0.47g)、酢酸エチル(10mL)およびHCl−ジオキサン(4M;10mL)の混合物を20℃で18時間撹拌し、得られた固体を濾取し、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン二塩酸塩(実施例2、0.43g)を得た。
【0617】
上記のものと同様および/または類似の以下の方法により、下表に示される化合物を対応するN−Boc保護誘導体から、以下に示す重要な変更点を伴って製造した。N−Boc保護誘導体の前駆体は下表で確認される(製造番号または名称による)。これらの標題化合物は、遊離塩基または適当な塩としてそれ以上精製せずにそのまま単離したか、または例えば質量分析分取HPLC、結晶化または摩砕を用いて精製した。
【0618】
1H NMRは、示されていない場合には、Me−d3−OD中、400MHzで生成した。
【0619】
【表2】
【0620】
実施例38:1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン(遊離塩基)
1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン二塩酸塩(1.00g、1.0当量、1.00重量)(実施例2に記載の通りに製造され得る)をRBフラスコに装填し、水(10.0mL、10.0容量、10.00重量)に溶かし、窒素下、18〜23℃で撹拌し、麦わら色の溶液(pH=4.73、T=19.3℃)を得た。この水溶液に酢酸エチル(10.0mL、10.0容量)を加え、この二相混合物を18〜23℃で5分間撹拌した。層に分け、水層(pH=4.58、19.6℃)を前記フラスコに戻した。炭酸水素ナトリウム(388.2mg、3×1.05当量.、0.4重量)を加えたところ(注意深く)、起沸が見られた。この混合物を20分間撹拌し(pH=7.51、18.2℃)、ジクロロメタン(5.0mL、5.0容量)を加え、この混合物を同じ条件下でさらに5分間撹拌した。層に分け、ジクロロメタン層を保持し、水層(pH=7.66、T=17.7℃)を前記フラスコに戻した。ジクロロメタン(2×5.0mL、2×5.0容量)でさらに2回の抽出を行い(pH=8.25、T=18.5℃およびpH=8.47、T=18.3℃)、合わせた有機層を硫酸ナトリウム(1.0g、1.0重量)で乾燥させ、濾過し、減圧下、40℃(400mbar)で濃縮乾固した。次に、この濃縮物を40℃(<20mbar)で2時間にわたって乾燥させ、白色泡沫(850.2mg、インプットおよびアウトプットw/wアッセイに関して、102%th.、100% corr.)、94.3%w/w osfb(TCNBに対する)を得、これは酢酸エチル(3.4%w/w)およびジクロロメタン(0.8%w/w)を含有していた。
【0621】
実施例39:1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩(A型)
1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン(500.0mg、1.0重量)(実施例38に記載の通りに製造され得る)の遊離塩基を25mLバイアルに装填し、エタノール(1.0mL、2.0容量)に溶かした。L−(+)−乳酸(106.2mg、1.0当量)を加え、バイアルの内容物を18〜23℃で1時間撹拌し、黄色溶液を得た。この後、TBME(9.0mL、18.0容量)をバイアルに装填し、混合物を18〜23℃で撹拌した。塩の結晶化の進行をXRPDによりモニタリングした。18〜23℃で16時間撹拌した後に乳酸塩が溶液中に残留していた。この後、溶液を元の容量のおよそ1/4まで濃縮し、TBME(9.0mL、18.0vol)を加えるとガム状の固体と透明な上清が得られ、これは音波処理とさらなる撹拌(18〜23℃でおよそ20時間)の後に微細な懸濁液に変わった。固体を濾過により単離し、窒素流下で乾燥させ、365mgの白色固体を得、これはXRPDによりB型と識別された。この固体を40〜45℃で67時間オーブン乾燥させ、白色固体(325mg、56%th.)、98.8%w/w oasfb(TCNBに対する)を得、これはTBME(1.0%w/w)および水(0.6%w/w)を含有しており、XRPDによりA型として示された。実施例39に関する詳細な特性決定データ(
1H NMR、XRPDおよびDSC)は
図1〜3に示される。
【0622】
実施例40:1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩(B型)
反応は、オーブン乾燥を用いなかったこと以外は、実施例39に関して記載した手順に従って行い、白色固体(529.1mg、90%th.)、96.1%w/w oasfb(TCNBに対する)を得、これはTBME(5.9%w/w)および水(3.8%w/w)を含んでおり、XRPDによりB型として示された。エタノールの使用を避けた実施例40の別法もまた用いた。実施例40に関する詳細な特性決定データ(
1H NMR、XRPDおよびDSC)は
図4〜6に示される。
【0623】
実施例41:1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン硫酸塩(F型)
1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン(500.0mg、1.0重量)(実施例38に記載の通りに製造され得る)の遊離塩基を10mLバイアルに装填し、エタノール(1.0mL、2.0容量)に溶かした。エタノール(4.0mL、8.0容量)中、硫酸(103.2mg、1.0当量)の溶液を、18〜23℃で撹拌しながら10分かけて加え、透明なゲルを得た。バイアルの内容物を同じ温度で1時間撹拌し、その間にゲルが溶解して黄色溶液が得られた。撹拌を16時間続け、白色懸濁液が生成した。塩の結晶化の進行をXRPDによりモニタリングした。次に、この懸濁液に適宜流動化させるためにエタノール(2.0mL、4.0容量)を加え、生成物を濾過により単離し、窒素流下で乾燥させ、白色固体(465.2mg、79%th.)、94.9%w/w oasfb(TCNBに対する)を得、これはエタノール(2.9%w/w)と水(3.6%w/w)を含有しており、XRPDによりF型として示された。実施例41に関する詳細な特性決定データ(
1H NMR、XRPDおよびDSC)は
図7〜9に示される。
【0624】
実施例42:1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンメシル酸塩(B型)
1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン(500.0mg、1.0wt)(実施例38に記載の通りに製造され得る)の遊離塩基を25mLバイアルに装填し、2−プロパノール(2.5mL、5.0容量)に溶かした。メタンスルホン酸(276.0mg、3.0当量)を加え(弱い発熱が見られた)、得られた油状−ガム状の混合物を18〜23℃で1時間撹拌した。n−ヘプタン(10.0mL、20.0容量)を10分かけてゆっくり加え、白色懸濁液と少量のガム状固体が得られた。塩の結晶化の進行をXRPDによりモニタリングした。温和な条件(18〜23℃で3日間の撹拌)下で塩は結晶化しなかったので、温度を40〜45℃に上げたところ、粘稠なガム状固体と透明な上清が得られた。この混合物を18〜23℃に冷却し、スパチュラで流動化させ、20分間音波処理を施したところ白色懸濁が得られ、これはガム質の固体をいくらか含有していた。この懸濁液を同じ温度で20時間撹拌し、濾過し、窒素流下で乾燥させ、ベージュ色の固体(402.9mg、63%th.)、99.0%w/w oasfb(TCNBに対する)を得、これは2−プロパノール(2.3%w/w)、n−ヘプタン(0.2%w/w)、水(1.9%w/w)を含有しており、XRPDによりB型として示された。実施例42に関する詳細な特性決定データ(
1H NMR、XRPDおよびDSC)は
図10〜12に示される。
【0625】
実施例43:1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩(C型)
第1バッチ
1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン(10.0g、corr.)(実施例38に記載の通りに製造され得る)の遊離塩基を酢酸イソプロピル(80.0mL、8.0容量)に溶かし、淡黄色溶液を得た。固体の無水L−(+)−乳酸(1.67g、1.0当量)を同じフラスコに一度に装填したところ、フラスコの底に少量のガム状物が見られた。次に、この混合物を急速撹拌してこのガム質を流動化させ、この溶液は自発的に核形成し、固体が沈殿した。固体沈澱剤の試料をXRPDにより分析したところB型と一致した。n−ヘプタン(12.0容量)を加え、この混合物がC型に変換することを示すために、この混合物を窒素下、40℃で4日間撹拌し、この進行をXRPDによりモニタリングした(
図13)。変換を完了させるため、混合物の温度を55℃に上げ、撹拌を24時間続けた(
図14)。生成物を濾過により単離し(急速 <0.5分)、酢酸イソプロピル/n−ヘプタン(2.0/3.0、v/v、5.0容量)で洗浄し、窒素流下で20時間乾燥させ、標題化合物を白色粉末(8.89g、79%th.)、91.6%w/w(osfb)、C型、m.p.172℃として得た。
【0626】
第2バッチ
1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン(10.0g、corr.)(実施例38に記載の通りに製造され得る)の遊離塩基を酢酸イソプロピル(60.0mL、6.0容量)に溶かし、淡黄色溶液を得た。これに酢酸イソプロピル(10.0mL、1.0容量)に溶かした無水L−(+)−乳酸(1.67g、1.0当量)を加えた。酢酸イソプロピル(10.0mL、1.0容量)の一連のすすぎを適用し、この混合物を18〜23℃で撹拌し、淡黄色溶液を得た。
【0627】
n−ヘプタン(120mL、12.0容量)を40分かけて滴下したところ、ガム状物がフラスコの底部に生じた。1時間40分撹拌した後、混合物の外観は改善したが、フラスコの底部にガム状物がなお存在していた。
【0628】
この混合物を18〜23℃で16時間撹拌し、この間にガム状物が流動化し、粒状の微細懸濁液が形成していた。この懸濁液を窒素下で濾過し(濾過は迅速であった)、ケークをサンプリングし、XRPDにより分析した(C型)。このケークを酢酸イソプロピル/n−ヘプタン(2.0/3.0、v/v、5.0容量)で洗浄し、サンプリングし、XRPDにより分析し(C型)、窒素流下で16時間にわたってフィルター上で吸引乾燥(pull dry)させた。生成物はやや灰白色の粉末固体(11.36g、91%corr.)C型、94.3%w/w(oasfb)、C型、m.p.172℃からなり、酢酸イソプロピル(1.0%ww)を含有していた。
【0629】
実施例43に関する詳細な特性決定データ(
1H NMR、XRPDおよびDSC)は
図15〜17に示される。
【0630】
実施例44:1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩(C型)
工程1
<10℃に冷却したメタノール(10容量)中、(2R,5S)−4−(2−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−オキソエチル)−2−メチル−5−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチル(1.0重量)(製法19に記載の通りに製造され得る)の溶液に、1,4−ジオキサン(3容量)中4M HClをゆっくり加えた後、メタノール(0.5容量)の一連のすすぎを行う。この混合物を15〜25℃に温め、この温度で少なくとも12時間撹拌した。次に、この反応混合物を30〜40℃に温め、この反応がHPLCにより完了したと考えられるまで(一般に>2時間)撹拌する。完了時に、反応溶液を40℃までで濃縮乾固する。残渣を精製水(8容量)に溶かし、酢酸エチル(2×4容量)で洗浄する。酢酸エチル(3×5容量)による抽出の前に、水相のpHを、4M NaOHを用いて(必要に応じて)pH12〜13に調整する。合わせた有機相を塩化ナトリウム溶液(5容量)で洗浄し、硫酸マグネシウム(1.0重量)で少なくとも10分間乾燥させる。固体を濾去し、濾過ケークを酢酸エチル(2×2容量)で洗浄する。濾液をロータリーエバポレーターにて40℃までで濃縮し、得られた濃縮物を酢酸メチル(5容量)に溶かし、この溶液を上記のように濃縮し、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンの遊離塩基を得る。
【0631】
工程2
酢酸メチル(3容量)中、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン(1.0重量)(工程1に記載の通りに製造され得る)の遊離塩基の溶液に、酢酸メチル(0.75容量)中、L−(+)−乳酸(0.085重量)の溶液を加える。次に、酢酸メチル(0.08容量)中、1−{6−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−(ヒドロキシメチル)−3,3−ジメチル−1H,2H,3H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−イル}−2−[(2R,5R)−5−メチル−2−{[(3R)−3−メチルモルホリン−4−イル]メチル}ピペラジン−1−イル]エタン−1−オンL−(+)−乳酸塩(C型)(0.01重量)のシードスラリー、次いで、酢酸メチル(0.75容量)中、L−(+)−乳酸(0.085重量)の溶液を装填し、酢酸メチル(0.5容量)の一連のすすぎを行う。この懸濁液をおよそ30分間撹拌した後、15〜25℃に維持しながら少なくとも1時間かけてn−ヘプタン(12.0容量)を加える。この混合物を15〜25℃に保持し、少なくとも2時間撹拌する。固体を濾去し、濾過ケークを2:3 酢酸メチル/n−ヘプタン(5容量)で洗浄する。この材料を、取り扱うのに適切となるまでフィルター上で乾燥させた後、オーブンにて80℃までで、酢酸メチル含量が≦0.5%w/wとなるまで乾燥させ、標題化合物を灰白色〜ベージュ色の固体として得る。
【0632】
実施例45:医薬処方物の例
(i)錠剤処方物
式(I)の化合物を含有する錠剤組成物は、適当量の化合物(例えば、50〜250mg)を適当な希釈剤、崩壊剤、圧縮剤および/または流動促進剤と混合することにより調製される。1つの可能性のある錠剤としては50mgの化合物を、希釈剤としての197mgのラクトース(BP)と滑沢剤としての3mgのステアリン酸マグネシウム、ならびに錠剤を形成するために既知の様式で圧縮することを含んでなる。圧縮錠剤はフィルムコーティングしてもよい。
【0633】
(ii)カプセル処方物
カプセル処方物は、100〜250mgの式(I)の化合物を等量のラクトースと混合し、得られた混合物を標準的なゼラチン硬カプセルに充填することによって調製される。要すれば、適当な崩壊剤および/または流動促進剤を適当量で含めることができる。
【0634】
(iii)注射処方物I
注射による投与のための非経口組成物は、式(I)の化合物(例えば、塩形態の)を、10%プロピレングリコールを含有する水に解かして、活性化合物の濃度を1.5重量%とすることによって調製することができる。次に、この溶液を等張とし、濾過または最終滅菌により無菌とし、アンプルまたはバイアルまたはプレフィルドシリンジに充填し、密封する。
【0635】
(iv)注射処方物II
注射用の非経口組成物は、式(I)の化合物(例えば、塩形態の)(2mg/ml)およびマンニトール(50mg/ml)を水に溶かし、その溶液を濾過除菌するかまたは最終滅菌し、密封可能な1mlバイアルまたはアンプルまたはプレフィルドシリンジに充填することにより調製される。
【0636】
(v)注射処方物III
注射または注入によるi.v.送達用処方物は、式(I)の化合物(例えば、塩形態の)を20mg/mlで水に溶かした後、等張となるように調整することにより調製される。次に、バイアルを密封しオートクレーブにより滅菌するか、またはアンプルもしくはバイアルもしくはプレフィルドシリンジに濾過により除菌したものを充填し密封する。
【0637】
(vi)注射処方物IV
注射または注入によるi.v.送達用処方物は、式(I)の化合物(例えば、塩形態の)を、バッファー(例えば、0.2M酢酸塩pH4.6)を含有する水に20mg/mlで溶かすことにより調製することができる。次に、バイアル、アンプルまたはプレフィルドシリンジを密封しオートクレーブにより滅菌するか、または濾過により除菌し密封する。
【0638】
(vii)皮下または筋肉内注射処方物
皮下投与用組成物は、式(I)の化合物を製薬等級のトウモロコシ油と混合して5〜50mg/mlの濃度とすることによって調製される。この組成物を滅菌し、適切な容器に充填する。
【0639】
(viii)凍結乾燥処方物I
調剤済みの式(I)の化合物のアリコートを50mlバイアルに入れ、凍結乾燥させる。凍結乾燥中、組成物を−45℃での一工程凍結プロトコールを用いて凍結させる。アニーリングのために温度を−10℃に上げた後、−45℃で凍結させるために下げ、その後、+25℃でおよそ3400分間一次乾燥させ、次いで、温度が50℃になれば、工程を増やして二次乾燥を行う。一次乾燥および二次乾燥中の圧力は、80ミリトルに設定する。
【0640】
(ix)凍結乾燥処方物II
本明細書で定義される式(I)の化合物またはその塩のアリコートを50mLバイアルに入れ、凍結乾燥させる。凍結乾燥中、組成物は−45℃で一工程凍結プロトコールを用いて凍結される。アニーリングのために温度を−10℃に上げた後、−45℃で凍結させるために下げ、その後、+25℃でおよそ3400分間一次乾燥させ、次いで、温度が50℃になれば、工程を増やして二次乾燥を行う。一次乾燥および二次乾燥中の圧力は、80ミリトルに設定する。
【0641】
(x)i.v.投与用凍結乾燥処方物III
式(I)の化合物をバッファーに溶かすことにより緩衝水溶液を調製する。この緩衝溶液を、粒状物質を除去するために濾過しながら容器(例えば、1型ガラスバイアル)に充填し、その後、部分的に密封する(例えば、フルオロテックストッパーの手段による)。化合物および処方物が十分安定であれば、その処方物は121℃で適切な時間オートクレーブにより滅菌する。処方物がオートクレーブに対して安定でなければ、それを適切なフィルターを用いて除菌し、無菌条件下で無菌バイアルに充填する。溶液は適切なサイクルを用いて凍結乾燥させる。凍結乾燥サイクルが完了したら、バイアルに大気圧まで窒素を充填し戻し、蓋をし、固定する(例えば、アルミニウムクリンプで)。静脈内投与には、凍結乾燥固体を0.9%生理食塩水または5%デキストロースなどの薬学的に許容可能な希釈剤で再構成することができる。この溶液はそのまま投与することもできるし、または投与前に輸液バッグ(0.9%生理食塩水または5%デキストロースなどの薬学的に許容可能な希釈剤を含有する)中でさらに希釈することもできる。
【0642】
(xi)ボトル中の活性医薬成分
経口投与用組成物は、ボトルまたはバイアルに式(I)の化合物を充填することにより調製される。その後、この組成物を適切な希釈剤、例えば、水、果汁、またはOraSweetもしくはSyrspendなどの市販ビヒクルで再構成する。再構成した溶液は投与カップまたは投与用経口シリンジに分注することができる。
【0643】
生物学的アッセイ
XIAP、cIAP−1およびcIAP−2 BIR3ドメインの発現および精製
Hisタグと融合したヒトXIAP(残基252−350)、GSTタグと融合したヒトcIAP−1(残基267−363)およびHisタグと融合したヒトcIAP−2(残基244−337)の組換えBIR3ドメインを、TB培地で増殖させた大腸菌(
Escherichia coli)細胞から過剰発現させた。Ni−NTAアフィニティークロマトグラフィー(XIAP/cIAP−2)またはグルタチオンセファロース4Bアフィニティークロマトグラフィー(cIAP−1)を用いて、タンパク質を溶解液から単離した。XIAPおよびcIAP−1に対するアフィニティータグを、25mM HEPES pH7.5、100mM NaCl、50μM Zn(OAc)
2および1mM Ca(OAc)
2中、トロンビンで切断し、次いで、サイズ排除クロマトグラフィーによってBIR3ドメインの精製を行った。cIAP−2に関してHisタグは切断されず、凝集により誘導される共有結合的自己オリゴマー化の問題のため、タンパク質は3mg/mlを超えては濃縮されなかった。精製タンパク質を、25mM Tris pH 7.5、100mM NaCl中、−80℃で保存した。
【0644】
XIAP、cIAP−1およびcIAP−2 in vitro競合的置換結合アッセイ
修飾SMACペプチドおよび化合物を、XIAP、cIAP−1またはcIAP−2のいずれかから蛍光トレーサーを置換する能力に関して試験した。cIAP−1、cIAP−2およびXIAPのBIR3ドメインを、アッセイ緩衝液(50mM Hepes pH7.5、0.025%Tween−20、0.01%BSAおよび1mMのDTT)中、試験化合物またはSMACベースペプチドおよびそれらそれぞれのペプチドプローブ(Peptide Protein Research)とともにインキュベートした。陽性対照はBIR3タンパクおよびトレーサーからなり(阻害無し)、陰性対照はトレーサーのみを含んだ(100%阻害)。これらのサンプルを室温で1時間(XIAPおよびcIAP−2)または3時間(cIAP−1)インキュベートした後に、蛍光偏光モード(FP485nm、520nm、520nm)のBMG Pherastarで読み取った。IC
50値は、非線形最小二乗法分析を用いて用量反応プロットから決定した。
【0645】
【表3】
【0646】
抗増殖活性
細胞増殖の阻害は、アラマーブルーアッセイ(Nociari, M. M, Shalev, A., Benias, P., Russo, C. Journal of Immunological Methods 1998, 213, 157-167)を用いて評価する。その方法は、生細胞がリザズリンをその蛍光生成物レゾルフィンに還元する能力に基づく。各増殖アッセイに関して、細胞を96ウェルプレートに播種し、16時間回復させた後、阻害剤化合物(0.1%DMSO v/v中)を添加してさらに72時間置いた。インキュベーション期間の終了時に、10%(v/v)のアラマーブルーを添加し、さらに6時間インキュベートした後、535nM ex/590nM emで蛍光生成物の測定を行った。本発明の化合物の抗増殖活性は、3つの癌細胞系統:
・EVSA−T(ヒト乳癌)DSMZカタログ番号ACC 433
・MDA−MB−231(ヒト乳癌)ECACCカタログ番号92020424
・HCT116(ヒト結腸癌)ECACCカタログ番号91091005(非特異的細胞傷害性に関する対照として使用される非感受性細胞系統)
での化合物の増殖阻害能を評価することにより決定することができる。
【0647】
細胞系統EVSA−Tを用いたアッセイでは、実施例1〜34は0.01μM未満のEC
50を有する。特に、実施例1〜3、5〜8、10〜14、16、18〜25、27〜28および30〜32は、0.001μMのEC
50を有する。細胞系統MDA−MB−231を用いたアッセイでは、実施例1〜34は0.1μM未満のEC
50を有する。特に、実施例1〜8、10〜14および18〜32は0.01μM未満のEC
50を有する。より具体的には、実施例7〜8は0.001μM未満のEC
50を有する。これらのアッセイにおける本発明の化合物のデータを表1に示す。
【0648】
アポトーシス誘導
下表は、1μMの実施例2と同時に添加した1ng/mlのTNF−αの存在下、24時間のアポトーシス誘導に関して評価された9種類のヒト黒色腫細胞系統のパネルの感受性をまとめたものである。ある範囲の感受性が見られ、3つの細胞系統(SK−MEL−24、WM−266−4およびWM−115)は最小の感受性を呈した(24時間後にアポトーシスを示す細胞は<20%)。この表は、1μMの実施例2と1ng/mlのTNF−αで24時間処理した後の、蛍光性カスパーゼ−3基質(NucView488−Biotium)を用いたサイトメトリーによる、切断されたカスパーゼ−3活性に関して陽性の、全細胞に対するーセンテージを詳細に示す。
【0649】
【表4】
【0650】
HEK293−XIAP−カスパーゼ−9免疫沈降(IP)MSDアッセイプロトコール
安定なHEK293−XIAP−カスパーゼ−9細胞を96ウェルプレートに播種し[培養完全培地(DMEM+10%FBS+0.5mg/mLジェネティシン(Invitrogen)中1×10
6細胞/mLで200μl/ウェル]、37℃で一晩回復させた。化合物を0.1%DMSO中、2反復のウェルに37℃で2時間加えた。細胞を50μlの1×MSD溶解バッファー(プロテアーゼ阻害剤を含む20mM Tris.Cl(pH7.6)、150mM NaCl中、1%Triton X−100)中、室温で揺動しながら20分間溶解させた。ストレプトアビジン高結合MSDプレート(L15SB−2)をPBS中抗体の5μg/mL希釈液を用い、25μl/ウェルのビオチン化抗FLAG M2抗体(Sigma F9291)で、振盪しながら1時間コーティングした後、150μlの3%BSA/TBSTで1時間ブロッキングした。細胞溶解液(25μl)を96ウェル抗FLAGコーティングMSDプレートに加え、室温で4時間、シェーカー上に置いた。150μlのTBST(20mM Tris.Cl(pH7.6)、150mM NaCl、0.1%Tween−20)で4回洗浄した後、MSDブロッキングバッファー(3% BSA/TBST)中5μl/mLに希釈した抗カスパーゼ−9[CST#9505]を4℃で一晩加えた。プレートを150μlのTBSTで4回洗浄した後、SDブロッキングバッファー中2μg/mLに希釈した抗ウサギ−スルホタグ(MSDカタログ番号R32AB−1)を室温で2時間加えた。プレートを150μlのTBSTで4回洗浄し、150μl/ウェルの1×MSDリードバッファー(R92TC−2)を加えた後、各プレートを読み取った。
【0651】
EC
50値は、非線形最小二乗法分析を用いて用量反応プロットから決定した。実施例1〜37は0.1μM未満のEC
50を有する。特に、実施例1〜13、15、18〜25、27〜28、30〜34および36〜37は0.01μM未満のEC
50を有する。より具体的には、、実施例10、12、23〜24および31は0.001μM未満のEC
50を有する。このアッセイにおける本発明の化合物のデータを表1に示す。
【0652】
MDA−MB−231細胞におけるcIAP1分解MSDアッセイのプロトコール
MDA−MB−231細胞を96ウェルプレートに播種し[培養完全培地(DMEM+10%FBS)中4×10
5細胞/mLで200μl/ウェル、37℃で一晩回復させた。化合物を0.1%DMSO中、2反復のウェルに37℃で2時間加えた。細胞を50μlの1×MSD溶解バッファー(プロテアーゼ阻害剤を含む20mM Tris.Cl(pH7.6)、150mM NaCl中、1%Triton X−100)中、室温で揺動しながら20分間溶解させた。ストレプトアビジン高結合MSDプレート(L15SB−2)をPBS中抗体の5μg/mL希釈液を用い、25μl/ウェルのビオチン化抗cIAP1抗体(R&D Systemsカタログ番号AF8181−所内でビオチン化)で、振盪しながら1時間コーティングした後、150μlの3%BSA/TBSTで1時間ブロッキングした。細胞溶解液(25μl)を96ウェル抗cIAP1コーティングMSDプレートに加え、4℃で一晩置いた。150μlのTBST(20mM Tris.Cl(pH7.6)、150mM NaCl、0.1%Tween−20)で4回洗浄した後、MSDブロッキングバッファーで6μg/mLに希釈した抗cIAP1−スルホタグ検出抗体(R&D Syatemsカタログ番号AF8181−所内でスルホタグを付けた)を室温で2時間加えた。プレートを150μlのTBSTで4回洗浄し、150μl/ウェルの1×MSDリードバッファー(R92TC−2)を加えた後、各プレートを読み取った。
【0653】
EC
50値は、非線形最小二乗法分析を用いて用量反応プロットから決定した。実施例1〜37は0.01μM未満のEC
50を有する。特に、実施例1〜8、10〜14、16、18〜27、30〜34および37は0.001μM未満のEC
50を有する。より具体的には、実施例7は0.0001μM未満のEC
50を有する。このアッセイにおける本発明の化合物のデータを表1に示す。
【0654】
集団パッチクランプ(PPC)アッセイプロトコール
hERGチャネルの阻害は、hERGイオンチャネルで安定してトランスフェクトされたCHO K1細胞における自動パッチクランプアッセイによって測定した。PPC測定は、IonWorks Quattro装置(Molecular Devices Corporation、ユニオンシティー、CA)を使用し、ウェル当たり64開口の384ウェルPatchPlate(Molecular Devices Corporation)を用いて実施した。試験化合物の各濃度を2反復のウェルで試験した。細胞内部への電気的接近を得るためにアムホテリシンBを終濃度200μg/mLで用いた。Human ether-a-gogo related gene(hERG)電流は、保持電位−80mVから+40mV(2秒)までのプレパルスとその後の、末尾電流の脱活性化を誘発するための−50mV(2秒)までの工程を用い、1秒間、保持電位に戻るまで測定した。化合物を、化合物読み取りの前と後の間の600秒間インキュベートした。用いた外部記録溶液は、130mMグルコン酸Na、20mM NaCl、4mM KCl、1mM MgCl
2、1.8mM CaCl
2、10mM Hepes、5mMグルコース、NaOHでpHを7.3としたものであった。総てのデータを密封品質、密封低下、および電流振幅に関してフィルタリングした。3回目のパルス末尾電流の最大電流振幅を化合物添加の前(Pre)と後(Post)で計算し、Post−化合物電流振幅をPre−化合物電流振幅で割ることにより遮断量を評価した。このアッセイを用いて生成したデータを表1に詳細に示す。
【0655】
手動パッチクランプ(MPC)アッセイプロトコール
hERGチャネルの阻害は、hERGイオンチャネルで安定してトランスフェクトされたHEK293細胞における手動パッチクランプアッセイにより測定した。このプロジェクトに関するデータを採集および解析するためにHEKA EPC10増幅器およびPatchMasterソフトウエアを用いた。
【0656】
細胞をカバーガラス上に播種し、倒立顕微鏡に設置し、絶えず対照溶液(137mM NaCl、4mM KCl、1mm MgCl
2、1.8mM CaCl
2、10mM Hepes、10mMグルコース、pH7.35)に浸漬した。
【0657】
細胞が電気的にクランプされ、平衡化された後、パルスプロトコールを適用した。パルスプロトコールは、hERGチャネルを不活性化するために、4秒間で保持電位−80mVから+40mVまでの段階的変化を含み、その後、末尾電流を誘発するために膜電圧を4秒間で−50mVに段階的に戻した後、保持電位に戻した。この手順を20秒のパルス間隔で繰り返した。実験中、薬物添加前から始めて(0.33%DMSO対照)漸増化合物濃度の累積的添加後まで、電圧プロトコールを適用した。実験中、誘発されるピーク電流振幅を継続的にモニタリングした。
【0658】
試験化合物を5分間または定常状態に達するか、いずれかが最初に起こるまで適用し
た後、化合物の効果を測定した。ピーク末尾電流を各化合物の添加の前後で測定した。個々の細胞の結果をそれらの各ビヒクル対照に対して正規化し、それらの結果の平均を取った。化合物濃度はそれぞれ2反復で測定した。0.1μMシサプリドを参照阻害剤として用いた。
【0659】
【表5】
【0660】
上記に示されない限り、データは1回の実験の結果である。2以上のデータ点が得られた場合には、上記の表は、2つの有意な数値に対するこれらのデータ点(n)の平均(例えば、幾何平均または算術平均)を示す。
【0661】
アポトーシスに関する組合せプロトコール
黒色腫細胞系統を、処理の前日に24ウェルプレートの2反復のウェルに0.5×106細胞/mlで播種して接着させた。CO
2インキュベーターにて37℃で24時間、細胞を、1ng/ml TNF−α(R&D Systems)を伴いまたは伴わずに、1または複数の化合物とともにインキュベートした後、トリプシン処理により細胞を採取した。24ウェルプレートからの細胞ペレットを100μlのFACSバッファー(PBS+1%ウシ胎仔血清)に再懸濁させた。NucView488試薬(Biotiumから)を終濃度2μMまで加えた。このプレートを暗所で30分間インキュベートした後、Guava easyCyte HTサイトメーター(Millipore)にて蛍光染色細胞を測定した。切断カスパーゼ−3染色をFL1チャネルで記録し、染色細胞集団および非染色細胞集団のゲートを設定するために非染色およびDMSO対照ウェルを用いた。
【0662】
表2は、培養系で24時間の、実施例2および1ng/ml TNF−αとともに示された合剤を含んだ、SK−MEL−28またはA375のいずれかで見られるアポトーシス%をまとめたものである。表の最初の欄に示される合剤だけでは(TNF−αを含むまたは含まない)この時間スケールでアポトーシスの増加は見られなかった−データは示されていない。
【0663】
【表6】
【0664】
細胞増殖のための組合せプロトコール
式(I)の化合物(化合物I)の抗癌剤(化合物II)との組合せの効果は、以下の技術を用いて評価することができる。ヒト細胞系統(例えば、MDA−MB−231およびEVSA−T)由来の細胞を96ウェル組織培養プレートに、それぞれ2.5×10
3、6.0×10
3、または4.0×10
3細胞/ウェルの密度で播種した。細胞を48時間回復させた後、以下のように1もしくは複数の化合物またはビヒクル対照(0.35%DMSO)を添加した。
【0665】
これらの化合物を同時に96時間添加した。合計96時間、化合物をインキュベートした後、細胞を氷上で1時間、氷冷10%(w/v)トリクロロ酢酸で固定し、その後、プレート洗浄機(Labsystems Wellwash Ascent)を用いてdH
20で4回洗浄し、風乾させた。次に、室温にて20分間、細胞を1%酢酸中、0.4%(w/v)スルホローダミンB(Sigma)で染色し、その後、1%(v/v)酢酸で4回洗浄し、風乾した後、10mM Trisバッファーを加えて色素を可溶化した。発色生成物をWallac Victor
2プレートリーダー(1420 multilabel counter、Perkin ElmerLife Sciences)にてAbs490nmで読み取ることにより定量した。種々の用量の化合物Iの存在下、化合物IIのIC
50を決定した。有効用量未満の化合物Iの存在下でIC
50が下方シフトした場合に相乗作用と判定した。化合物IIおよび化合物Iの併用に対する応答がこれら2つの化合物個々の和に相当する効果をもたらした場合に相加作用と判定した。拮抗作用は、IC
50を上方にシフトさせるもの、すなわち、2つの化合物に対する応答が2つの化合物個々の効果の和より小さかった場合と定義した。