特許第6735401号(P6735401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社博報堂の特許一覧

特許6735401報酬計算システム、コンピュータプログラム、及び報酬計算方法。
<>
  • 特許6735401-報酬計算システム、コンピュータプログラム、及び報酬計算方法。 図000002
  • 特許6735401-報酬計算システム、コンピュータプログラム、及び報酬計算方法。 図000003
  • 特許6735401-報酬計算システム、コンピュータプログラム、及び報酬計算方法。 図000004
  • 特許6735401-報酬計算システム、コンピュータプログラム、及び報酬計算方法。 図000005
  • 特許6735401-報酬計算システム、コンピュータプログラム、及び報酬計算方法。 図000006
  • 特許6735401-報酬計算システム、コンピュータプログラム、及び報酬計算方法。 図000007
  • 特許6735401-報酬計算システム、コンピュータプログラム、及び報酬計算方法。 図000008
  • 特許6735401-報酬計算システム、コンピュータプログラム、及び報酬計算方法。 図000009
  • 特許6735401-報酬計算システム、コンピュータプログラム、及び報酬計算方法。 図000010
  • 特許6735401-報酬計算システム、コンピュータプログラム、及び報酬計算方法。 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6735401
(24)【登録日】2020年7月15日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】報酬計算システム、コンピュータプログラム、及び報酬計算方法。
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20200728BHJP
【FI】
   G06Q30/02 438
   G06Q30/02 382
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-148931(P2019-148931)
(22)【出願日】2019年8月14日
【審査請求日】2019年8月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】394025924
【氏名又は名称】株式会社博報堂
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】野田 耕平
【審査官】 青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−213975(JP,A)
【文献】 特開2003−050558(JP,A)
【文献】 特開2015−184969(JP,A)
【文献】 特開2016−045740(JP,A)
【文献】 特開2005−173836(JP,A)
【文献】 特開2002−183591(JP,A)
【文献】 特開2001−283089(JP,A)
【文献】 特開2012−53790(JP,A)
【文献】 再公表特許第2002/001440(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G16H 10/00 − 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内の装置への広告配信に対する報酬を計算するための報酬計算システムであって、
広告が配信された装置が位置する車両内で車両乗員が前記広告に反応したことを示す反応情報、及び、前記車両に関する特徴情報を取得するように構成される取得部と、
前記取得部が取得した前記反応情報及び前記特徴情報に基づき、前記車両乗員が反応した前記広告の配信に対する報酬を計算するように構成される報酬計算部と、
を備え
前記車両乗員が前記広告に反応したことは、前記広告の広告目的に対応する場所を、前記車両内のナビゲーションシステムが案内する経路の目的地に設定する操作を前記車両乗員が実行したことであり、
前記特徴情報は、前記広告目的に対応する場所に前記目的地が設定されたときの前記車両の位置を示し、
前記報酬計算部は、前記目的地が設定されたときの前記車両の位置から前記広告目的に対応する場所までの移動距離に基づいて、前記移動距離が長いほど前記報酬の額を増加させるように、前記報酬を計算する報酬計算システム。
【請求項2】
前記特徴情報は更に、前記広告目的に対応する場所に前記目的地が設定される直前まで設定されていた別の目的地の有無を示し、
前記報酬計算部は、前記移動距離及び前記別の目的地の有無に基づいて、前記移動距離が長いほど前記報酬の額を増加させ、更には、前記別の目的地が有った場合には、前記別の目的地が無かった場合よりも、前記報酬の額を増加させるように、前記報酬を計算する請求項記載の報酬計算システム。
【請求項3】
前記特徴情報更に、前記車両内の車両乗員数を示し、
前記報酬計算部は、前記移動距離及び前記車両乗員数に基づいて、前記移動距離が長いほど前記報酬の額を増加させ、更には、前記車両乗員数が多いほど前記報酬の額を増加させるように、前記報酬を計算する請求項記載の報酬計算システム。
【請求項4】
前記特徴情報は更に、前記車両内の前記車両乗員の少なくとも一人の購買行動又は嗜好に関する特徴を示し、
前記報酬計算部は更に、前記車両乗員の少なくとも一人の購買行動又は嗜好に関する特徴に基づき前記報酬の額を変更するように、前記報酬を計算する請求項1〜請求項3のいずれか一項項記載の報酬計算システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項のいずれか一項記載の報酬計算システムにおける前記取得部及び前記報酬計算部としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項6】
車両内の装置への広告配信に対する報酬を計算するための報酬計算方法であって、
コンピュータが、
広告が配信された装置が位置する車両内で車両乗員が前記広告に反応したことを示す反応情報、及び、前記車両に関する特徴情報を取得することと、
取得した前記反応情報及び前記特徴情報に基づき、前記車両乗員が反応した前記広告の配信に対する報酬を計算することと、
を含み
前記車両乗員が前記広告に反応したことは、前記広告の広告目的に対応する場所を、前記車両内のナビゲーションシステムが案内する経路の目的地に設定する操作を前記車両乗員が実行したことであり、
前記特徴情報は、前記広告目的に対応する場所に前記目的地が設定されたときの前記車両の位置を示し、
前記報酬を計算することは、前記目的地が設定されたときの前記車両の位置から前記広告目的に対応する場所までの移動距離に基づいて、前記移動距離が長いほど前記報酬の額を増加させるように、前記報酬を計算することを含む報酬計算方法。
【請求項7】
前記特徴情報は更に、前記広告目的に対応する場所に前記目的地が設定される直前まで設定されていた別の目的地の有無を示し、
前記報酬は、前記移動距離及び前記別の目的地の有無に基づいて、前記移動距離が長いほど前記報酬の額が増加し、更には、前記別の目的地が有った場合には、前記別の目的地が無かった場合よりも前記報酬の額が増加するように、計算される請求項6記載の報酬計算方法。
【請求項8】
前記特徴情報は更に、前記車両内の車両乗員数を示し、
前記報酬は、前記移動距離及び前記車両乗員数に基づいて、前記移動距離が長いほど前記報酬の額が増加し、更には、前記車両乗員数が多いほど前記報酬の額が増加するように、計算される請求項6記載の報酬計算方法。
【請求項9】
前記特徴情報は更に、前記車両内の前記車両乗員の少なくとも一人の購買行動又は嗜好に関する特徴を示し、
前記報酬は、更に、前記車両乗員の少なくとも一人の購買行動又は嗜好に関する特徴に基づき、前記報酬の額を変更するように、計算される請求項6〜請求項8のいずれか一項項記載の報酬計算方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、報酬計算システム、コンピュータプログラム、及び報酬計算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーションシステムを備える車両内の装置に、広告を配信する技術が既に知られている(例えば特許文献1参照)。既知のシステムでは、レストランや駐車場に関する広告を、車両内の装置に配信する。車両乗員は、車両内の装置上のメニュー操作により、利用したい店舗や施設を選択し、店舗や施設に関する予約を行うことができる。更に、従来システムでは、集計した予約累計を広告効果に換算して、報償金を算出する。
【0003】
この他、インターネット上の広告配信に関して、消費者が、広告に基づいて広告主のウェブサイトに移動したことや、広告に関する商品を購入したことに基づいて、広告配信に関する報酬としての広告配信料を算出し、広告主に広告配信料を請求する方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−163520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車両内の装置への広告配信に関して、広告効果を考慮した報酬計算を適切に行うことが可能な技術は、まだ知られていない。
【0006】
そこで、本開示の一側面によれば、車両内の装置への広告配信に関して、広告配信に関する報酬計算を、広告効果を考慮して適切に行うことが可能な技術を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面によれば、車両内の装置への広告配信に対する報酬を計算するための報酬計算システムが提供される。報酬計算システムは、取得部と、報酬計算部と、を備える。
【0008】
取得部は、反応情報及び特徴情報を取得するように構成される。反応情報は、広告が配信された装置が位置する車両内で車両乗員が広告に反応したことを示す情報を含む。特徴情報は、車両乗員又は車両の特徴を示す情報を含む。
【0009】
報酬計算部は、取得部が取得した反応情報及び特徴情報に基づき、車両乗員が反応した広告の配信に対する報酬を計算するように構成される。本開示の一側面によれば、報酬計算システムは、車両乗員が反応した広告の配信に対する報酬の額が、車両乗員又は車両の特徴に応じて変化するように構成される。
【0010】
車両乗員が広告に反応して、広告目的に対応する場所を訪問する場合、その訪問によって広告主が得られる効果は、車両乗員や車両の特徴によって変化し得る。従って、車両乗員又は車両の特徴に応じて報酬額を変えるように、報酬を計算することによれば、広告配信に関する報酬計算を、広告効果を考慮して適切に行うことができる。
【0011】
本開示の一側面によれば、車両乗員が広告に反応したことは、広告目的に対応する場所を車両内のナビゲーションシステムが案内する経路の目的地に設定する操作を車両乗員が実行したことであってもよい。
【0012】
車両乗員が広告目的に対応する場所を目的地に設定する操作を実行した場合、車両乗員が、その場所を訪れる可能性は非常に高い。従って、広告目的に対応する場所を目的地に設定する操作に応じた報酬計算によれば、広告効果を考慮した適切な報酬計算を実現することができる。
【0013】
本開示の一側面によれば、上記特徴情報は、車両乗員が広告に反応したときの車両の位置を示す情報を含んでいてもよい。本開示の一側面によれば、報酬の額は、車両乗員が広告に反応したときの車両の位置と、広告目的に対応する場所との位置関係に応じて変化してもよい。
【0014】
本開示の一側面によれば、上記特徴情報は、広告目的に対応する場所に目的地が設定されたときの車両の位置を示してもよい。報酬の額は、目的地が設定されたときの車両の位置から広告目的に対応する場所までの移動距離が長いほど増加するように計算されてもよい。
【0015】
上述した報酬計算によれば、遠方からの送客に成功した場合のような高い広告効果が得られた広告配信に関して、適切な報酬計算を実現することができる。
【0016】
本開示の一側面によれば、特徴情報は、広告目的に対応する場所に目的地が設定される直前まで設定されていた別の目的地の有無を示してもよい。報酬の額は、別の目的地が有った場合には、別の目的地が無かった場合よりも、増加するように計算されてもよい。
【0017】
広告に反応して車両乗員が目的地を変更した場合には、高い広告効果が得られたと解釈することができる。従って、上述した報酬計算によれば、目的地変更による高い広告効果を考慮した報酬計算を実現することができる。
【0018】
本開示の一側面によれば、特徴情報は、車両内の車両乗員の構成に関する情報を含んでもよい。車両乗員の構成に関する情報は、車両内の車両乗員数を示していてもよい。報酬の額は、車両乗員数が多いほど増加するように計算されてもよい。
【0019】
広告に反応して一台の車両が広告目的に対応した場所を訪問した場合でも、その訪問により得られる広告効果は、車両乗員数によって変化する。従って、車両乗員数を考慮した報酬計算によれば、広告効果を考慮した適切な報酬計算を実現することができる。
【0020】
本開示の一側面によれば、特徴情報は、車両内の車両乗員の少なくとも一人の購買行動又は嗜好に関する特徴を示す情報を含んでいてもよい。報酬の額は、車両内の複数の車両乗員の購買行動又は嗜好に関する特徴に基づき、算出されてもよい。
【0021】
本開示の一側面によれば、上述した報酬計算システムにおける取得部及び報酬計算部としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータ読取可能な一時的ではない記録媒体に格納されてもよい。
【0022】
本開示の一側面によれば、上述した報酬計算システムに対応する報酬計算方法が提供されてもよい。
【0023】
本開示の一側面によれば、車両内の装置への広告配信に対する報酬を計算するための報酬計算方法が提供されてもよい。報酬計算方法は、広告が配信された装置が位置する車両内で車両乗員が広告に反応したことを示す反応情報、及び、車両乗員又は車両の特徴を示す特徴情報を取得することと、取得した反応情報及び特徴情報に基づき、車両乗員が反応した広告の配信に対する報酬を計算することと、を含んでもよい。
【0024】
上記の報酬計算方法において、車両乗員が反応した広告の配信に対する報酬の額は、車両乗員又は車両の特徴に応じて変化してもよい。報酬計算方法は、コンピュータにより実現されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の例示実施形態に係るシステムの概略構成を表すブロック図である。
図2】ユーザ装置の概略構成を表すブロック図である。
図3】ユーザ装置のプロセッサが実行する広告出力処理を表すフローチャートである。
図4】ユーザ装置のプロセッサが実行する操作受付処理を表すフローチャートである。
図5】広告データ、通知データ、及び、反応データの送受に関する説明図である。
図6】管理システムのプロセッサが実行する履歴記録処理を表すフローチャートである。
図7図7Aは、配信履歴データベースの構成を表す図であり、図7Bは、反応履歴データベースの構成を表す図である。
図8】管理システムのプロセッサが実行する報酬計算処理を表すフローチャートである。
図9】管理システムのプロセッサが実行する加算料の算出処理を表すフローチャートである。
図10】ユーザ装置のプロセッサが実行する訪問に基づく反応データの送信処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1に示す本実施形態の通信システム1は、広告配信サービスを提供する事業者側システムとしての広告配信システム10及び管理システム30と、広告コンテンツを受信する複数のユーザ装置70とを備える。
【0027】
この広告配信サービスで配信される広告コンテンツは、車両50で移動する消費者向けの広告コンテンツであり、画像及び音声の少なくとも一方の形態でユーザに提供される。車両50の例には、四輪自動車が含まれる。
【0028】
ユーザ装置70のそれぞれは、予め利用登録がなされたユーザが所有する電子機器、特には通信機能を有する電子機器である。電子機器の例には、車両50に搭載されたカーナビゲーション装置、及び、同種の機能を有する他の電子機器が含まれる。他の電子機器の例には、車両50内に持ち込み可能なナビゲーションシステムを有する電子機器が含まれ、該当する電子機器には、スマートフォン及びタブレット端末等の携帯端末が含まれる。
【0029】
広告配信システム10は、保有する広告コンテンツの一群に基づき、広域ネットワークNT1を通じて、複数のユーザ装置70のそれぞれに、個別の広告データを配信するように構成される。
【0030】
具体的には、広告配信システム10は、複数のユーザ装置70のそれぞれに、対応するユーザの属性及び車両50の位置に応じて、広告コンテンツの一群の中から選択した広告コンテンツを収めた広告データを、適切なタイミングで配信するように構成される。
【0031】
管理システム30は、プロセッサ31、メモリ32、ストレージ33、及び、通信インタフェース39を備える。プロセッサ31は、ストレージ33に記録されたコンピュータプログラムに従う処理を実行するように構成される。
【0032】
メモリ32は、主記憶装置であり、プロセッサ31によるコンピュータプログラムに従う処理実行時に、作業用メモリとして機能する。ストレージ33は、補助記憶装置であり、例えばハードディスクドライブにより構成される。通信インタフェース39は、広告配信システム10及びユーザ装置70と通信可能に構成される。
【0033】
ストレージ33は、ユーザそれぞれのユーザID及びユーザ属性を含む登録情報を有するユーザデータベースと、広告配信の履歴情報を有する配信履歴データベースと、広告に対するユーザの反応に関する履歴情報を有する反応履歴データベースと、を記憶する。
【0034】
プロセッサ31は、上記コンピュータプログラムに従う処理を実行することにより、広告配信システム10に、ユーザに関する情報を提供し、更には、ユーザ装置70からの受信情報に基づき、広告配信及びユーザの反応に関する履歴情報を管理する。更には、プロセッサ31は、履歴情報から、広告主に対して請求する広告配信に対する報酬である広告配信料Fを計算及び出力するように動作する(詳細後述)。
【0035】
ユーザ装置70は、車両50内において、車内ネットワークNT2を通じて車載システム51と接続され、車載システム51と連携しながら、ユーザに対して広告コンテンツを画像及び音声の形態で出力するように動作する。
【0036】
図2に示すように、ユーザ装置70は、プロセッサ71と、メモリ72と、ストレージ73と、GPS受信機75と、入力インタフェース76と、スピーカ77と、ディスプレイ78と、通信インタフェース79と、を備える。
【0037】
プロセッサ71は、ストレージ73に記録されたコンピュータプログラムに従う処理を実行する。メモリ72は、主記憶装置であり、プロセッサ71によるコンピュータプログラムに従う処理実行時に、作業用メモリとして機能する。ストレージ73は、補助記憶装置であり、例えば、フラッシュメモリにより構成される。
【0038】
GPS受信機75は、GPS衛星から受信したGPS衛星信号に基づき、現在位置を計測し、その位置情報をプロセッサ71に提供するように構成される。入力インタフェース76は、ユーザからの操作信号をプロセッサ71に入力するように構成される。具体的に、入力インタフェース76は、ディスプレイ78上のタッチパネル、メカニカルなキースイッチ、及び、音声操作用のマイクロフォンを備える。
【0039】
スピーカ77は、プロセッサ71により制御されて、各種音声を出力するように構成される。ディスプレイ78は、例えば、液晶ディスプレイであり、プロセッサ71に制御されて、操作画面、ナビゲーション画面、メッセージ画面等の各種画面を、ユーザに表示するように構成される。
【0040】
通信インタフェース79は、広告配信システム10及び管理システム30と広域ネットワークNT1を無線通信可能な構成され、更には、車内ネットワークNT2を通じて、車載システム51と無線通信可能に構成される。
【0041】
車載システム51は、車両50の駐停車及び運転開始に関する情報、並びに、車両乗員の構成に関する情報等の、ユーザ装置70が自ら直接取得できない情報を、ユーザ装置70が車載システム51から間接的に取得するために利用される。
【0042】
続いて、ユーザ装置70のプロセッサ71が、広告コンテンツの出力のために実行する処理の詳細を説明する。プロセッサ71は、ユーザ装置70に予めインストールされたコンピュータプログラムに従って、図3に示す広告出力処理を繰返し実行する。コンピュータプログラムは、ユーザ装置70の出荷時にプリインストールされてもよいし、ダウンロードサイトを通じてユーザ装置70にインストールされてもよい。
【0043】
ユーザ装置70がカーナビゲーション装置である場合、プロセッサ71は、電力供給を受けている間、繰返し広告出力処理を実行することができる。ユーザ装置70がスマートフォンなどの車両50内に持ち込まれる携帯型の電子機器である場合、プロセッサ71は、ユーザ装置70が車載システム51と車内ネットワークNT2を通じて接続されている期間、広告出力処理を繰返し実行することができる。別例として、プロセッサ71は、ユーザから入力インタフェース76を通じて広告出力処理の開始指示が入力されたことを条件に、終了指示が入力されるまでの間、広告出力処理を繰返し実行することができる。
【0044】
プロセッサ71は、広告出力処理の繰返し実行を開始する前の初期処理として、広告配信システム10にユーザの識別情報である上記ユーザIDを送信し、広告配信システム10とユーザ装置70との接続を確立することができる。
【0045】
接続確立後、プロセッサ71は、広告出力処理とは並列に、広告配信システム10が配信対象の広告コンテンツを選択するに必要な情報、例えば車両50の位置情報を、逐次、広告配信システム10に提供する処理を実行する。車両50の位置情報は、例えば、GPS受信機75から取得される現在位置情報である。この現在位置情報は、車両乗員の位置情報ということもできる。
【0046】
図3に示す広告出力処理を開始すると、プロセッサ71は、広告データを広告配信システム10から受信するまで待機する(S110)。広告データを受信すると(S110でYes)、プロセッサ71は、受信履歴をログデータに書き込む(S120)。ログデータは、ストレージ73で記憶される。ログデータには、受信した広告データが有する情報の一部又は全てを格納することができる。
【0047】
更に、プロセッサ71は、受信した広告データに含まれる広告コンテンツを音声及び画像の形態で、車両50内のユーザ、すなわち車両乗員に向けて出力する(S130)。
【0048】
例えば、プロセッサ71は、スピーカ77を通じて『A店舗でBキャンペーンを実施中です。ご利用しませんか?』との音声が出力されるように、スピーカ77に対して音声信号を出力する処理を実行することができる。プロセッサ71は、この音声の出力に合わせて、対応するメッセージが画像の形態、特には文字の形態で表示されるように、ディスプレイ78を制御することができる。
【0049】
プロセッサ71は、S130における広告コンテンツの出力後、この広告コンテンツの出力完了を通知する通知データを、管理システム30に送信する処理を実行する(S140)。プロセッサ71は、上述したS110〜S140の処理を、終了条件が満足されるまで繰返し実行する。
【0050】
プロセッサ71は更に、広告出力処理により出力された広告コンテンツに対する、図4に示す操作受付処理を繰返し実行することにより、出力された広告コンテンツに関連する操作を、入力インタフェース76を通じてユーザから受け付けて、操作に従う処理を実行する。
【0051】
操作受付処理を開始すると、プロセッサ71は、出力された広告コンテンツに基づく目的地の設定操作がなされた否かを判断する(S210)。目的地の設定操作がなされたと判断すると(S210でYes)、プロセッサ71は、上記広告コンテンツの広告目的に対応する場所までの経路案内が、ユーザ装置70のナビゲーションシステムにより実現されるように、対応する場所を経路案内の目的地に設定する(S215)。目的地の設定操作は、ユーザの音声操作、例えば、『目的地に設定して』との音声による目的地の設定指示によって実現され得る。
【0052】
S215における目的地の設定のために、広告配信システム10からユーザ装置70に送信する広告データには、ユーザが広告目的に対応する場所への訪問を所望した場合に設定すべき目的地の位置情報を示す付属情報を含ませることができる。ここでいう広告目的に対応する場所は、広告コンテンツにより期待されるユーザの消費行動が実現される場所を含む。広告コンテンツが施設や店舗を宣伝することを目的とした広告コンテンツである場合、広告目的に対応する場所は、上記施設や店舗である。
【0053】
図5には、広告配信システム10からユーザ装置70に送信される広告データの一例を概念的に示す。この例によれば、広告データは、広告コンテンツと共に、広告配信システム10が広告配信毎に発行する配信IDと、広告コンテンツの識別コードであるコンテンツIDと、広告コンテンツと、付属情報と、を含む。
【0054】
プロセッサ71は、S215の処理実行後、S250に移行し、車両50及び車両乗員に関する特徴情報を取得する。更に、プロセッサ71は、取得した上記特徴情報を含む反応データを管理システム30に送信する(S260)。その後、操作受付処理を終了する。反応データは、ユーザによる広告への反応を説明するデータであり、管理システム30が広告効果に基づく広告配信料Fの算出を行うために用いられる。
【0055】
図5には、反応データ及び特徴情報の例もまた示される。図5に示すように反応データは、ユーザが反応した広告コンテンツに対応する配信ID及びコンテンツIDの情報と共に、反応したユーザのユーザID、反応分類情報、及び、特徴情報を含む。
【0056】
反応分類情報は、ユーザが広告コンテンツへの反応として採った行動の種類を表す情報である。ユーザが目的地の設定操作をしたことに起因して、反応データが送信されることになった場合、反応データには、反応分類情報として、ユーザが目的地の設定操作をしたことを示す情報が格納される。
【0057】
特徴情報は、ユーザが広告コンテンツに反応したときの、車両50及び車両乗員の特徴を表す。本実施形態では、特徴情報として、ユーザが広告コンテンツに反応したときの車両位置、及び、車両乗員数を表す情報が、反応データに格納される。
【0058】
特徴情報として、車両位置、及び、車両乗員数を表す情報を反応データに格納するために、S250において、プロセッサ71は、GPS受信機75から現在位置情報を取得し、更に、車載システム51から車両乗員数を表す情報を取得することができる。このために、車載システム51は、車室内の映像から車両乗員数を検出する機能、あるいは、着座センサ等の車室内のセンサから車両乗員数を検出する機能を備えることができる。
【0059】
あるいは、プロセッサ71は、車両50の運転開始時に、ユーザに対して音声で車両乗員数を問い合わせて、音声によりユーザから車両乗員数を表す情報を取得し、その情報をメモリ72に一時記憶するように動作することができる。この場合、プロセッサ71は、S250において、メモリ72から車両乗員数を表す情報を取得するように動作することができる。
【0060】
ユーザが目的地の設定操作をしたことに起因して、反応データが送信される場合、反応データには、上記特徴情報として、目的地変更の有無を表す情報、及び、目的地の位置情報が更に格納される。ここでいう目的地変更の有無を表す情報は、ユーザが目的地の設定操作をする直前まで設定されていた別の目的地の有無を表す情報である。
【0061】
図5には、更にS140で送信される通知データの例が図示される。図5から理解できるように、通知データは、ユーザに向けて出力された広告コンテンツに対応する配信ID、コンテンツID、及び、広告コンテンツの提供を受けたユーザのユーザIDの情報を有する。
【0062】
図4に示すように、プロセッサ71は、目的地の設定操作がなされていないと判断すると(S210でNo)、続くS220にて、広告コンテンツに対応する店舗に対する予約操作がなされたか否かを判断する。そして、予約操作がなされたと判断すると(S220でYes)、広告コンテンツに対応する店舗に対する予約処理を実行する(S225)。
【0063】
予約処理は、広告コンテンツに対応する店舗に対して、ユーザが利用することに関する予約を行う処理に対応する。この予約処理のために、広告データには、対応する店舗の予約に必要な情報を、上記付属情報として格納することができる。
【0064】
例えば、広告データには、付属情報として、店舗の予約サイトのURL情報を格納することができる。予約処理において、プロセッサ71は、音声を通じたユーザとのやり取りによって、店舗の予約時刻等の情報をユーザから入力インタフェース76を通じて取得することができる。更に、プロセッサ71は、取得した情報に基づいて、予約サイトにアクセスし、店舗の予約を完了することができる。プロセッサ71は、予約の成立有無の情報を、スピーカ77やディスプレイ78を通じてユーザに伝達し、S225における予約処理を完了することができる。
【0065】
S225での処理を終えると、プロセッサ71は、上述した特徴情報を取得し(S250)、取得した特徴情報を含む反応データを管理システム30に送信する(S260)。その後、操作受付処理を終了する。ユーザが予約操作をしたことに起因して、反応データが送信されることになった場合、反応データには、反応分類情報として、予約操作をしたことを示す情報が格納される。
【0066】
図4に示すように、プロセッサ71は、予約操作がなされていないと判断すると(S220でNo)、続いて、クーポンの発行操作がなされたか否かを判断する(S230)。そして、クーポンの発行操作がなされたと判断すると(S230でYes)、電子クーポンの発行処理を実行する(S235)。
【0067】
この発行処理で発行される電子クーポンは、広告コンテンツに対応する店舗の利用時に使用可能なクーポンである。クーポンの例には、割引券が含まれる。広告データには、付属情報として、電子クーポンの発行のために必要な情報を格納することができる。例えば、付属情報には、対応する店舗のクーポン発行サイトのURL情報を格納することができる。
【0068】
発行処理において、プロセッサ71は、付属情報から特定されるクーポン発行サイトにアクセスして、クーポン発行サイトとの協働により、対応する店舗の電子クーポンを、ユーザに対して発行することができる。具体的には、電子クーポンをユーザの携帯端末に対して発行することができる。
【0069】
ユーザ装置70が、ユーザの携帯端末である場合、プロセッサ71は、電子クーポンの情報を利用可能にユーザ装置70内に格納することができる。ユーザ装置70が、ユーザの携帯端末ではない場合には、電子メール等の伝達手段を利用して、電子クーポンをユーザの携帯端末に対して発行することができる。
【0070】
S235での処理を終えると、プロセッサ71は、上述した特徴情報を取得し(S250)、取得した特徴情報を含む反応データを管理システム30に送信する(S260)。その後、操作受付処理を終了する。ユーザがクーポンの発行操作をしたことに起因して、反応データが送信されることになった場合、反応データには、反応分類情報として、クーポンの発行操作をしたことを示す情報が格納される。
【0071】
図4に示すように、プロセッサ71は、クーポンの発行操作がなされていないと判断すると(S230でNo)、続いて、関連するウェブページの閲覧操作がなされたか否かを判断する(S240)。そして、ウェブページの閲覧操作がなされたと判断すると(S240でYes)、ウェブ表示処理を実行する(S245)。
【0072】
このウェブ表示処理のために、広告データには、付属情報として、広告コンテンツに対応するウェブページのURL情報を含ませることができる。広告コンテンツに対応するウェブページの例には、広告コンテンツに対応する商品やサービスを紹介するウェブページが含まれる。
【0073】
ウェブ表示処理において、プロセッサ71は、付属情報に基づき、ウェブブラウザを起動し、ウェブブラウザを通じて、対応するウェブページをディスプレイ78に表示させることができる。
【0074】
S245での処理を終えると、プロセッサ71は、上述した特徴情報を取得し(S250)、取得した特徴情報を含む反応データを管理システム30に送信する(S260)。その後、操作受付処理を終了する。ユーザがウェブページの閲覧操作をしたことに起因して、反応データが送信されることになった場合、反応データには、反応分類情報として、ウェブページの閲覧操作をしたことを示す情報が格納される。
【0075】
このようにして、プロセッサ71は、目的地の設定操作、店舗の予約操作、クーポンの発行操作、及び、ウェブページの閲覧操作がなされた場合には、対応する処理を実行するようにして、繰返し操作受付処理を実行する。
【0076】
続いて、ユーザ装置70からの通知データ及び反応データを受信する管理システム30のプロセッサ31が実行する処理を説明する。
【0077】
プロセッサ31は、図6に示す履歴記録処理を繰返し実行することにより、ユーザ装置70からの通知データ及び反応データに基づき、広告コンテンツの配信履歴、及び、広告コンテンツに対応するユーザの反応履歴を記録するように動作する。
【0078】
図6に示す履歴記録処理において、プロセッサ31は、通知データ及び反応データのいずれかを受信するまで待機する(S310,S320)。通知データを受信すると(S310でYes)、プロセッサ31は、受信した通知データに基づく配信履歴レコードを登録するように、配信履歴データベースを更新する(S330)。
【0079】
図7Aに示すように、配信履歴データベースは、配信履歴レコードとして、通知データの受信毎のレコード、換言すれば、ユーザ装置70を通じたユーザに対する広告コンテンツの出力毎のレコードを有する。
【0080】
配信履歴レコードは、対応する通知データと同様に、出力された広告コンテンツに対応する配信ID及びコンテンツID、並びに、広告コンテンツの提供を受けたユーザのユーザIDの情報を含む。配信履歴レコードは、更に、当該レコードの登録日時の情報を有する。登録日時は、広告コンテンツの配信日時に対応する。
【0081】
この他、プロセッサ31は、反応データを受信すると(S320Yes)、受信した反応データに基づく反応履歴レコードを登録するように、反応履歴データベースを更新する(S340)。
【0082】
図7Bに示すように、反応履歴データベースは、反応履歴レコードとして、反応データの受信毎のレコード、換言すれば、広告コンテンツに対するユーザの反応毎のレコードを有する。
【0083】
反応履歴レコードは、対応する反応データと同様に、出力された広告コンテンツに対応する配信ID及びコンテンツIDと共に、広告コンテンツに反応したユーザのユーザID、反応分類情報、及び、特徴情報を含む。反応履歴レコードは、更に、レコードの登録日時の情報を有する。登録日時は、広告コンテンツに対するユーザの反応日時に対応する。
【0084】
このようにして、プロセッサ31は、広告配信料Fの計算のために、通知データに基づく配信履歴レコード、及び、反応データに基づく反応履歴レコードをそれぞれ、配信履歴データベース及び反応履歴データベースに記録する。
【0085】
この他、管理システム30のプロセッサ31は、広告配信料Fの計算のために、所定期間毎に、図8に示す報酬計算処理を実行する。これにより、プロセッサ31は、所定期間における各広告主の広告コンテンツの配信に関する広告配信料Fを計算する。
【0086】
図8に示す報酬計算処理を開始すると、プロセッサ31は、広告配信料Fを請求する対象の広告主を選択する(S410)。その後、プロセッサ31は、選択した広告主の広告コンテンツIDが記述された配信履歴レコードの一群であって、広告配信料Fの算出対象期間に登録された配信履歴レコードの一群を、配信履歴データベースから読み込む(S420)。
【0087】
一例によれば、管理システム30は、広告主毎に、対応する広告主から出稿された広告コンテンツのそれぞれのコンテンツIDの情報を有する管理データを、ストレージ33に記憶することができる。
【0088】
プロセッサ31は、この管理データに基づいて、選択した広告主の広告コンテンツIDが記述された配信履歴レコードの一群を、配信履歴データベースから読み込むことができる。別例によれば、コンテンツID自体が、広告主を識別可能な情報(広告主ID)を有していてもよい。
【0089】
更に、プロセッサ31は、読み込んだ配信履歴レコードの一群が示す配信IDと同じ配信IDが記述された反応履歴レコードの一群を、反応履歴データベースから読み込む(S430)。ここで読み込む反応履歴レコードの一群は、読み込んだ配信履歴レコードの一群に対応する広告コンテンツの出力事象に対するユーザの反応を示すレコード群である。
【0090】
続くS440において、プロセッサ31は、S420で読み込んだ配信履歴レコードの一群に基づき、上記選択した広告主の広告コンテンツの配信回数Nに基づいた基本広告配信料F1を算出する(S440)。基本広告配信料F1は、配信回数Nが多いほど、高い金額で算出され得る。
【0091】
例えば、プロセッサ31は、一次関数に基づき、配信回数Nに比例した金額F1=K1×Nで基本広告配信料F1を算出し得る。別例によれば、基本広告配信料F1は、配信回数Nを変数とする階段関数に基づいて算出されてもよいし、一次関数以外の広義単調増加関数に基づいて算出されてもよい。
【0092】
その後、プロセッサ31は、広告コンテンツに対するユーザの反応を根拠とした第一の加算料F2として、目的地の設定操作を根拠とした第一の加算料F2を算出する(S450)。S450において、プロセッサ31は、図9に示す処理を実行することができる。
【0093】
図9に示す処理を開始すると、プロセッサ31は、S430で読み込んだ反応履歴レコードの一群から、処理対象レコードを一つ選択する(S510)。そして、選択した処理対象レコードに基づき、S520〜S570の処理を実行することにより、処理対象レコードを根拠とする広告配信料Fの加算料である個別加算料FA2を算出する。
【0094】
詳述すると、S520においてプロセッサ31は、移動距離に基づく第一のスコアを算出する。移動距離は、処理対象レコードの特徴情報が示す、目的地の設定操作時における、ユーザの車両位置から、特徴情報が示す目的地の位置までの距離である。簡単な例によれば、移動距離は、直線距離であり得る。
【0095】
具体的に、プロセッサ31は、移動距離が長いほど第一のスコアが高くなるように、所定関数に基づき、第一のスコアを算出する。高い値で第一のスコアが算出されるほど、上述の個別加算料FA2は高い金額で算出される。
【0096】
続いて、プロセッサ31は、目的地変更の有無に基づく第二のスコアを算出する(S530)。S530において、プロセッサ31は、処理対象レコードの特徴情報が示す目的地変更の有無を表す情報に基づき、第二のスコアを算出する。具体的には、プロセッサ31は、目的地変更があった場合には、目的地変更がなった場合よりも第二のスコアを高く算出するように、第二のスコアを算出する。高い値で第二のスコアが算出されるほど、上述の個別加算料FA2は高い金額で算出される。
【0097】
続くS540において、プロセッサ31は、目的地の設定操作時の車両乗員の構成に基づく第三のスコアを算出する。S540において、プロセッサ31は、処理対象レコードの特徴情報が示す車両乗員数に基づき、車両乗員数が多いほど第三のスコアが高くなるように、所定関数に基づき、第三のスコアを算出することができる。例えば、プロセッサ31は、車両乗員数に比例した第三のスコアを算出することができる。
【0098】
続くS550において、プロセッサ31は、処理対象レコードが示すユーザIDに基づき、対応するユーザの嗜好に関する特徴データを取得する。特徴データは、ユーザ登録時に、ユーザに対するアンケートに基づいて作成され得る。
【0099】
続くS560において、プロセッサ31は、取得した嗜好に関する特徴データに基づき、嗜好に基づく第四のスコアを算出する。具体的には、プロセッサ31は、特徴データが示すユーザの嗜好属性と、処理対象レコードに対応する広告コンテンツの属性との類似度に基づき、類似度が低いほど第四のスコアが高くなるように、第四のスコアを算出する。高い値で第四のスコアが算出されるほど、上述の個別加算料FA2は高い金額で算出される。
【0100】
S560における上記処理のために、管理システム30は、広告コンテンツ毎の、コンテンツID、及び、広告コンテンツの属性を、ストレージ33に記憶することができる。類似度は、嗜好属性に対応する特徴ベクトルと、広告コンテンツの属性に対応する特徴ベクトルとの間のコサイン距離などを用いて算出され得る。
【0101】
ここで、類似度が低いほど第四のスコアとして高い値を算出する理由は、類似度が低いほど、新しい顧客の送客に成功したと解釈することができるためである。例えば、ラーメン好きの消費者に対して、そば店への送客に成功した場合には、高い広告効果があったと評価することができる。上述した嗜好の例には、食、ライフスタイル、レジャー等に関する嗜好が含まれ得る。
【0102】
続くS570において、プロセッサ31は、S520〜S560で算出した第一、第二、第三、及び第四のスコアの合算値Sに基づき、個別加算料FA2を算出する。具体的に、プロセッサ31は、個別加算料FA2を、合算値Sが大きいほど高い金額として算出することができる。
【0103】
一例によれば、プロセッサ31は、合算値Sを一次関数に入力して、合算値Sに比例した個別加算値FA2を算出することができる。別例によれば、プロセッサ31は、合算値Sを階段関数や、その他の広義単調増加関数に入力して、関数に応じた個別加算値FA2を算出することができる。
【0104】
続くS580において、プロセッサ31は、S430で読み込んだ反応履歴レコードの一群のすべてについて、それぞれを処理対象レコードに選択し、対応する個別加算料FA2を算出したかを判断する。
【0105】
S580において否定判断した場合(S580でNo)、プロセッサ31は、次の処理対象レコードを選択し(S510)、選択した処理対象レコードに関して、S520〜S570の処理を実行することにより、上記選択した処理対象レコードを根拠とする加算料を、個別加算料FA2として算出する。
【0106】
このようにして、プロセッサ31は、反応履歴レコードの一群のすべてについて、それぞれに対応する個別加算料FA2を算出すると、S580で肯定判断し、S590に移行する。
【0107】
S590において、プロセッサ31は、個別加算料FA2の合算値ΣFA2として、目的地の設定操作を根拠とした第一の加算料F2を算出する。その後、図9に示す処理を終了する。
【0108】
S450において第一の加算料F2を算出すると、プロセッサ31は、続いて、目的地の設定操作以外の、予約操作、クーポンの発行操作、ウェブページの閲覧操作に関するユーザの反応に基づく、第二の加算料F3を算出する(S460)。
【0109】
プロセッサ31は、S430で読み込んだ反応履歴レコードの一群から特定される、予約操作回数、クーポンの発行回数、及びウェブページの閲覧操作回数に基づいて、これらの回数が多いほど、高い金額を算出するように、第二の加算料F3を算出する。
【0110】
その後、プロセッサ31は、基本広告配信料F1に、第一の加算料F2及び第二の加算料F3を加算した額(F1+F2+F3)を、広告主に請求する広告配信料Fとして算出し、その計算結果を出力する(S470)。
【0111】
例えば、プロセッサ31は、ストレージ33が記憶する請求リストに、対応する広告主に対する請求額(すなわち広告配信料F)を書き込む形で、計算結果を出力することができる。
【0112】
S470での処理を終えると、プロセッサ31は、すべての広告主を選択してS420以降の処理を実行したか否かを判断する(S480)。ここで、否定判断すると(S480でNo)、プロセッサ31は、S410に移行し、新たに広告配信料Fを請求する対象の広告主を選択した後、S420以降の処理を実行する。
【0113】
プロセッサ31は、すべての広告主に関してS420以降の処理を実行したと判断すると(S480でYes)、図8に示す報酬計算処理を終了する。
【0114】
以上に、本実施形態の通信システム1の構成を説明したが、上述した通信システム1は次のように変形されてもよい。例えば、S540において、プロセッサ31は、車両乗員の構成としての一人、カップル、ファミリー等の分類に基づいて、第三のスコアを算出するように動作してもよい。
【0115】
S550において、プロセッサ31は、嗜好に関する特徴データに代えて、対応するユーザの購買行動に関する特徴データ、具体的には、対応するユーザの購履歴データを取得してもよい。プロセッサ31は、消費者の購買行動を追跡するシステムから、対応するユーザの購買履歴データを取得することができる。購買履歴データは、オフライン空間及びオンライン空間の少なくとも一方におけるユーザの購買履歴を含み得る。
【0116】
プロセッサ31は、S560において、購買履歴データに基づく、ユーザの購買に関する特徴ベクトルを生成し、この特徴ベクトルと、広告コンテンツの属性に関する特徴ベクトルとに基づき、ユーザの購買に関する特徴と広告コンテンツの属性との類似度を判定してもよい。
【0117】
プロセッサ31は、このように判定した類似度に基づいて第四のスコアを算出してもよい。プロセッサ31は、類似度が低いほど高い第四のスコアを算出することができる。このように第四のスコアを算出することによれば、プロセッサ31は、車両乗員の購買行動を根拠に、新規顧客を送客したことに応じた加算料F2を算出することができる。
【0118】
この他、複数のユーザが一つの車両50に同乗する場合には、同乗する複数のユーザの購買履歴データに基づいて、第四のスコアが算出されてもよい。この場合、プロセッサ31は、ユーザ毎に、対応するユーザの購買に関する特徴と広告コンテンツの属性との類似度を判定し、類似度の統計量(例えば平均値)に基づいて第四のスコアを算出することができる。
【0119】
例えば、プロセッサ31は、類似度の平均値が低いほど高い第四のスコアを算出することができる。この思想は、購買履歴データに代えて、嗜好に関する特徴データを用いる場合にも適用することができる。
【0120】
この他、ユーザ装置70のプロセッサ71は、図10に示す処理を繰返し実行して、ユーザが広告目的に対応する場所を訪問したときに、対応する反応データを、管理システム30に送信するように動作してもよい。
【0121】
図10に示す処理によれば、プロセッサ71は、車両50が駐車状態に遷移するまで待機する(S610)。駐車状態に遷移したことは、車載システム51から得られる情報に基づき判定可能である。
【0122】
プロセッサ71は、駐車状態に遷移したと判断すると(S610でYes)、受信履歴に関する上記ログデータを参照して(S620)、所定期間内に出力された一つ以上の広告コンテンツの広告目的に対応する場所を特定する。広告目的に対応する場所は、対応する広告データの付属情報が示す目的地に対応する。
【0123】
その後、プロセッサ71は、広告目的に対応する場所のいずれかに、車両50が位置するかを、ユーザ装置70のGPS受信機75から得られる現在位置情報に基づき判断する(S630)。
【0124】
ここで、肯定判断すると(S630でYes)、プロセッサ71は、ユーザが広告目的に対応する場所を訪問したとみなして、S250,S260での処理と同様に、特徴情報を取得し(S640)、反応データを管理システム30に送信する(S650)。その後、図10に示す処理を終了する。この場合、反応データには、反応分類情報として、ユーザが広告目的に対応する場所を訪問したことを示す情報が格納される。
【0125】
S630において否定判断すると、プロセッサ71は、反応データを送信することなく、図10に示す処理を終了する。プロセッサ71が、図10に示す処理を繰返し実行することにより、管理システム30のプロセッサ31は、ユーザの反応として、広告目的に対応する場所をユーザが訪問したことに応じた広告配信料Fを計算することができる。例えば、ユーザが訪問したときには、広告配信料Fを上げるように、広告配信料Fを算出することができる。
【0126】
本実施形態の通信システム1における広告配信料Fの算出形態によれば、広告に対してユーザの反応があったことに基づいて金額を加算するように、広告配信料Fを計算する。特には、車両乗員又は車両50の特徴に応じて加算料を変えるように、広告配信料Fを計算する。従って、広告配信料Fの計算を、広告効果を考慮して適切に行うことができる。
【0127】
広告効果の高さに応じて適切な広告配信料Fを算出することができることは、広告効果と支払額との乖離を抑えることができる点で、広告配信サービスを利用する広告主にとって有益である。
【0128】
具体的に、本実施形態によれば、広告コンテンツの出力に起因して設定された目的地までの移動距離に基づく広告配信料Fの計算により、遠方からの送客に成功したほど、広告配信料Fを高くするように、広告配信料Fを計算することができる。
【0129】
また、車両乗員数に基づく広告配信料Fの計算により、送客人数が多いほど、広告配信料Fを高くするように、広告配信料Fを計算することができる。
【0130】
更には、車両乗員の購買履歴又は嗜好に基づく広告配信料Fの計算により、新たな顧客の送客に成功した場合には、広告配信料Fを増額するように、広告配信料Fを計算することができる。この他、目的地変更を伴う送客など、広告効果の高い広告配信に対して適切な加算料F2を計算することができる。
【0131】
本実施形態によれば、目的地の設定操作をした後、目的地への移動をキャンセルする人が多くないことに注目して、目的地の設定操作を根拠に送客成功とみなして、広告配信料Fの計算を行うことも有意義である。この手法によれば、目的地への到着を判別する場合よりも、簡単に、精度よく送客に応じた広告配信料Fの計算を行うことができる。この観点から、図10に示す処理を実行することは、送客に応じた広告配信料Fの計算を行うために必須のものではない。
【0132】
以上には、事業者側システムが、広告配信システム10と管理システム30と備える通信システム1の構成について説明したが、広告配信システム10及び管理システム30の機能は統合されてもよい。
【0133】
この他、上記実施形態では、様々なパラメータに基づいて加算料F2及び加算料F3を算出したが、説明したパラメータの一部に基づいて、加算料F2及び加算料F3を算出してもよいし、説明されていないパラメータに基づいて、加算料F2及び加算料F3を算出してもよい。加算料F2及び加算料F3の一方はゼロであってもよい。基本広告配信料F1は、ゼロであってもよい。
【0134】
S450において、プロセッサ31は、単に、S430で読み込んだ反応履歴レコードの一群から特定される目的地の設定操作回数に基づいて、目的地の設定操作回数が多いほど高い加算料F2を算出してもよい。
【0135】
プロセッサ31は、目的地の設定操作回数、目的地の訪問回数、店舗の予約操作回数、クーポンの発行回数、クーポンの使用回数、ウェブページの閲覧操作回数の一つ以上に基づいて、広告配信料Fを算出してもよい。
【0136】
上記実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。上記実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【0137】
最後に用語間の対応関係を説明する。管理システム30は、報酬計算システムの一例に対応する。プロセッサ31が実行するS320,S340,S550の処理は、取得部により実現される処理の一例に対応する。プロセッサ31が実行する図8に示す処理は、報酬計算部により実現される処理の一例に対応する。
【符号の説明】
【0138】
1…通信システム、10…広告配信システム、30…管理システム、31…プロセッサ、32…メモリ、33…ストレージ、39…通信インタフェース、50…車両、51…車載システム、70…ユーザ装置、71…プロセッサ、72…メモリ、73…ストレージ、75…GPS受信機、76…入力インタフェース、77…スピーカ、78…ディスプレイ、79…通信インタフェース、NT1…広域ネットワーク、NT2…車内ネットワーク。
【要約】      (修正有)
【課題】車両内の装置への広告配信に関する報酬を適切に計算する報酬計算システムを提供する。
【解決手段】報酬計算システム1は、広告配信システム10及び管理システム30と、広告コンテンツを受信する複数のユーザ装置70とを備える。広告配信システム10は、複数のユーザ装置70のそれぞれに、対応するユーザの属性及び車両50の位置に応じて、広告コンテンツの一群の中から選択した広告コンテンツを収めた広告データを、適切なタイミングで配信するように構成される。ユーザ装置70は、車両50内において、ユーザに対して広告コンテンツを出力する。管理システム30は、広告が配信された車両内で車両乗員が広告に反応したことを示す反応情報、及び、車両乗員又は車両の特徴を示す特徴情報をユーザ装置70から取得する。更に、取得した反応情報及び特徴情報に基づき、車両乗員が反応した広告の配信に対する報酬を計算する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10