特許第6735420号(P6735420)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6735420
(24)【登録日】2020年7月15日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】前方頸椎プレート
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/80 20060101AFI20200728BHJP
【FI】
   A61B17/80
【請求項の数】21
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-543153(P2019-543153)
(86)(22)【出願日】2017年11月3日
(65)【公表番号】特表2019-531863(P2019-531863A)
(43)【公表日】2019年11月7日
(86)【国際出願番号】KR2017012423
(87)【国際公開番号】WO2018084641
(87)【国際公開日】20180511
【審査請求日】2019年4月24日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0145815
(32)【優先日】2016年11月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518134286
【氏名又は名称】エルアンドケー バイオメッド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】リ チェスク
(72)【発明者】
【氏名】リ サンス
【審査官】 槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0075633(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0105831(US,A1)
【文献】 特表2013−500076(JP,A)
【文献】 特表2007−515258(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0021470(US,A1)
【文献】 特表2008−511421(JP,A)
【文献】 中国実用新案第203790016(CN,U)
【文献】 特表2002−515799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に長く形成されるプレートボディと、
前記プレートボディに形成され、骨固定ねじのヘッド部を支持する少なくとも2つの骨固定ねじ穴と、
前記骨固定ねじ穴にそれぞれ挿入される骨固定ねじをロック状態にするロック部(locking element)とを含み、
前記ロック部は前記プレートボディに回転可能に固定され、
前記プレートボディの長さ方向に両端に位置したロック部間の曲率をR3とし、両端に位置したロック部から末端までの曲率をそれぞれR4とR5とするとき、R4およびR5はR3よりも小さいことを特徴とする、頚椎プレート。
【請求項2】
前記プレートボディの外周には補強部が配置されることを特徴とする、請求項1に記載の頚椎プレート。
【請求項3】
前記プレートボディの長さ方向の両端部にはラウンド部が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の頚椎プレート。
【請求項4】
前記ラウンド部は、互いに異なる曲率半径を有する2つの曲面からなることを特徴とする、請求項3に記載の頚椎プレート。
【請求項5】
前記プレートボディの上側端部に位置する曲面の曲率半径をR1とし、前記プレートボディの下側端部に位置する曲面の曲率半径をR2とし、前記骨固定ねじ穴に挿入される骨固定ねじのシャンクの半径をL1とし、前記骨固定ねじの中心軸から前記プレートボディの末端までの最短距離をL2とするとき、R2は、R1よりも小さいとともに、次の式を満足することを特徴とする、請求項4に記載の頚椎プレート。
【請求項6】
前記骨固定ねじ穴と前記ロック部が配置される領域は、前記プレートボディの他の部分に比べて厚さが薄い座面部が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の頚椎プレート。
【請求項7】
前記座面部の深さが前記ロック部の最大厚さ以下であることを特徴とする、請求項6に記載の頚椎プレート。
【請求項8】
前記プレートボディの長さ方向に対して垂直な方向に、前記プレートボディの底面に曲げ余裕部が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の頚椎プレート。
【請求項9】
前記曲げ余裕部の深さが前記プレートボディの厚さの0.1〜0.3倍であることを特徴とする、請求項8に記載の頚椎プレート。
【請求項10】
前記R4およびR5が互いに異なることを特徴とする、請求項1に記載の頚椎プレート。
【請求項11】
前記R4およびR5が5≦R3/R4≦44、5≦R3/R5≦44であることを特徴とする、請求項1に記載の頚椎プレート。
【請求項12】
前記R3、R4、R5が占める前記プレートボディの長さ方向による長さをL3、L4、L5とするとき、L3:L4:L5=3〜5:1:0.8〜1.2であることを特徴とする、請求項1に記載の頚椎プレート。
【請求項13】
前記ロック部は、
前記プレートボディに回転可能に固定される回転ボディと、
前記回転ボディに一体に形成され、前記骨固定ねじ穴の一部を覆うロック翼とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の頚椎プレート。
【請求項14】
前記回転ボディの内部に工具ガイドホールが形成され、前記工具ガイドホールの上部周囲には前記工具ガイドホールと同心のロック工具溝が形成されることを特徴とする、請求項13に記載の頚椎プレート。
【請求項15】
前記ロック翼の一側には、前記回転ボディと同心の回転接触面が形成され、前記回転接触面に連続してロック接触面が形成されることにより、隣接する骨固定ねじ穴のロック部は、回転接触面で互いに当接した状態でそれぞれ独立して回転が可能であり、前記ロック接触面が互いに当接した状態で回転が制限されることを特徴とする、請求項13に記載の頚椎プレート。
【請求項16】
前記ロック翼には、前記ロック接触面に連続して回転阻止面が形成され、前記回転阻止面は、前記回転ボディの中心軸からの距離が前記回転接触面の曲率半径よりも大きいことを特徴とする、請求項15に記載の頚椎プレート。
【請求項17】
前記ロック翼は、前記プレートボディと接触した状態では弾性変形した状態であり、前記骨固定ねじ穴の一部を覆う状態では弾性力によって復元されることを特徴とする、請求項13に記載の頚椎プレート。
【請求項18】
前記骨固定ねじ穴と前記ロック部が配置される領域は、前記プレートボディの他の部分に比べて厚さの薄い座面部が形成され、前記ロック翼の底面にはロック開始部が形成され
、前記座面部のうちの他方にはボディ開始部が形成され、前記ロック開始部と前記ボディ開始部との結合によって、前記ロック部の開放状態が、外力が加えられない限りは維持されることを特徴とする、請求項13に記載の頚椎プレート。
【請求項19】
前記プレートボディにはエンドストッパーが形成されることにより、前記ロック部の回転が制限されることを特徴とする、請求項13に記載の頚椎プレート。
【請求項20】
前記エンドストッパーにはボディ終了部が形成され、前記ロック翼の底面にはロック終了部が形成されることにより、前記ロック終了部と前記ボディ終了部との結合によって、前記ロック部のロック状態が、外力が印加されない限りは維持されることを特徴とする、請求項19に記載の頚椎プレート。
【請求項21】
前記プレートボディには、前記ロック部のロック翼が接触して乗り越えることができる山形のロック顎部が形成されることを特徴とする、請求項13に記載の頚椎プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前方頚椎プレートに関し、より詳細には、整形外科(orthopedic)及び神経外科(neurosurgery)で頸椎(cervical spine)に対する前方固定手術(anterior fixation surgery)を行うときに用いられる前方頚椎プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
頚椎に発生した病気、例えば、頚椎の椎間板疾患(Cervical Disc Disease)や頚椎ディスク(Cervical Hernial Disc)、頚椎骨折(Fracture)及び脱臼(Dislocation)、頚椎性脊髄症(Cervical Spondylosis Myelopathy)などは、それぞれの頚椎を動きがないように相互固定することにより治療及び矯正する場合が一般的であり、これにより、前記頚椎の固定のために、従来から頚椎固定装置の使用が普遍化されていた。
【0003】
このような頸椎プレート(cervical plate)は、一般的に頚椎に使用されるインプラント(implant)をいう。これは、通常、頸椎の前方(anterior approach)に挿入されて上下頚椎を融合(fusion)するとき、二つまたはそれ以上の頚椎を支持する役割を果たす。また、頚椎プレートは、一般に、骨固定ねじ(bone screw)が頸椎プレートの骨固定ねじ穴を介して頚椎に挿入され、骨固定ねじのヘッドが頸椎プレートを圧迫して頚椎の前方に固定される。また、頚椎プレートは、頸椎の前弯(Lordosis)と類似の角度で曲がっており、手術の際に頚椎の前方に密着する形状を有する。
【0004】
また、骨固定ねじが頸椎プレートから離脱すると、患者に致命的であり得るため、頚椎固定装置にロック機構(locking element)が設置され、前記ロック機構により骨固定ねじが頸椎プレートから離脱することを防止する。このような離脱防止のための従来技術としては、骨固定ねじが頸椎プレートから離脱しないように、スクリューヘッドの一部を覆う離脱防止ねじを補助的に頚椎プレートに結合させて使用する方式(US5364399参照)や、頚椎プレートに一体に固定される回転式ロック機構(rotatable locking element)を使用する方式(US6193721参照)などの様々な技術が公知になっている。
【0005】
しかし、従来技術では、手術後に患者が感じる異物感を解消することができる方案について考慮されたことがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許US5364399
【特許文献2】米国特許US6193721
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、手術時に医師が使用しやすいだけでなく、手術後に患者が感じる異物感を解決して手術の予後を向上させることができる前方頚椎プレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明は、長さ方向に長く形成されるプレートボディと、前記プレートボディに形成され、骨固定ねじのヘッド部を支持する少なくとも2つの骨固定ねじ穴と、前記骨固定ねじ穴にそれぞれ挿入される骨固定ねじをロック状態にするロック部(locking element)とを含み、前記ロック部は前記プレートボディに回転可能に固定され、前記プレートボディの外周には補強部が配置されることを特徴とする、頚椎プレートを提供する。
【0009】
前記プレートボディの長さ方向の両端部にはラウンド部が形成されることを特徴とする。
【0010】
また、前記ラウンド部は、互いに異なる曲率半径を有する2つの曲面からなることを特徴とする。
【0011】
また、前記プレートボディの上側端部に位置する曲面の曲率半径をR1とし、前記プレートボディの下側端部に位置する曲面の曲率半径をR2とし、前記骨固定ねじ穴に挿入される骨固定ねじのシャンクの半径をL1とし、前記骨固定ねじの中心軸から前記プレートボディの末端までの最短距離をL2とするとき、R2は、R1よりも小さいとともに、次の式を満足することを特徴とする。
【0012】
また、前記骨固定ねじ穴と前記ロック部が配置される領域は、前記プレートボディの他の部分に比べて厚さが薄い座面部が形成されることを特徴とする。
【0013】
また、前記座面部の深さは前記ロック部の最大厚さ以下であることを特徴とする。
【0014】
また、前記プレートボディの長さ方向に対して垂直な方向に、前記プレートボディの底面に曲げ余裕部が形成されることを特徴とする。
【0015】
また、前記曲げ余裕部の深さは前記プレートボディの厚さの0.1〜0.3倍であることを特徴とする。
【0016】
また、前記プレートボディの長さ方向に両端に位置したロック部間の曲率をR3とし、両端に位置したロック部から末端までの曲率をそれぞれR4とR5とするとき、R4およびR5はR3よりも小さいことを特徴とする。
【0017】
また、前記R4およびR5は互いに異なることを特徴とする。
【0018】
また、前記R4およびR5は、5≦R3/R4≦44、5≦R3/R5≦44であることを特徴とする。
【0019】
また、前記R3、R4、R5が占める前記プレートボディの長さ方向による長さをL3、L4、L5とするとき、L3:L4:L5=3〜5:1:0.8〜1.2であることを特徴とする。
【0020】
また、前記ロック部は、前記プレートボディに回転可能に固定される回転ボディと、前記回転ボディに一体に形成され、前記骨固定ねじ穴の一部を覆うロック翼とを含むことを特徴とする。
【0021】
また、前記回転ボディの内部に工具ガイドホールが形成され、前記工具ガイドホールの上部周囲には前記工具ガイドホールと同心のロック工具溝が形成されることを特徴とする。
【0022】
また、前記ロック翼の一側には、前記回転ボディと同心の回転接触面が形成され、前記回転接触面に連続してロック接触面が形成されることにより、隣接する骨固定ねじ穴のロック部は回転接触面で互いに当接した状態でそれぞれ独立して回転が可能であり、前記ロック接触面が互いに当接した状態で回転が制限されることを特徴とする。
【0023】
また、前記ロック翼には、前記ロック接触面に連続して回転阻止面が形成され、前記回転阻止面は、前記回転ボディの中心軸からの距離が前記回転接触面の曲率半径よりも大きいことを特徴とする。
【0024】
また、前記ロック翼は、前記座面部と接触した状態では弾性変形した状態であり、前記骨固定ねじ穴の一部を覆う状態では弾性力によって復元されることを特徴とする。
【0025】
また、前記ロック翼の底面にはロック開始部が形成され、前記座面部のうちの他方にはボディ開始部が形成され、前記ロック開始部と前記ボディ開始部との結合によって、前記ロック部の開放状態が、外力が加えられない限りは維持されることを特徴とする。
【0026】
また、前記プレートボディにはエンドストッパーが形成されることにより、前記ロック部の回転が制限されることを特徴とする。
【0027】
また、前記エンドストッパーにはボディ終了部が形成され、前記ロック翼の底面にはロック終了部が形成されることにより、前記ロック終了部と前記ボディ終了部との結合によって、前記ロック部のロック状態が、外力が加えられない限りは維持されることを特徴とする。
【0028】
また、前記プレートボディには、前記ロック部のロック翼が接触して乗り越えることができる山形のロック顎部が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、手術後に患者が異物感を感じないようにする。また、骨固定ねじが離脱しないように支持するロック部が姿勢を保つことができるため、手術後にも骨固定ねじが離脱するおそれを防止することができる。
【0030】
その結果、頚椎プレートの製品完成度が向上し、患者と施術者からの信頼度が高くなることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施例1による頚椎プレートの斜視図である。
図2図1の頚椎プレートの平面図である。
図3図1の頚椎プレートの側面図である。
図4図1の頚椎プレートの底面図である。
図5図1の頚椎プレートの部分拡大斜視図である。
図6図1の頚椎プレートのロック部の斜視図である。
図7図1の頚椎プレートのロック部を工具を用いて操作する様子の斜視図である。
図8図1の頚椎プレートのロック部に工具が着脱される様子の斜視図である。
図9図1の頚椎プレートにおけるロック状態の部分拡大断面図である。
図10図1の頚椎プレートにおける開放状態の部分拡大平面図及び断面図である。
図11図1の頚椎プレートにおけるロック状態の部分拡大平面図及び断面図である。
図12図1の頚椎プレートにおいて骨固定ねじが挿入された様子を示す部分拡大断面図である。
図13図1の頚椎プレートの側面曲率を表示した側面図である。
図14図13における曲率のみを示す概略図である。
図15】本発明の実施例2による頚椎プレートの平面図である。
図16図15の頚椎プレートのロック部の斜視図である。
図17】本発明の実施例3による頚椎プレートの平面図および部分拡大平面図である。
図18図17の頚椎プレートのロック部の斜視図である。
図19】本発明の実施例4による頚椎プレートの部分平面図である。
図20図19におけるA−A’方向に沿って切った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面を参照して説明する。下記の各図面の構成要素に参照符号を付加するにあたり、同一の構成要素に限っては、たとえ他の図面上に表示されても、できる限り同一の符号を持つようにし、本発明の要旨を不要に曖昧にするおそれがあると判断される公知の機能及び構成についての詳細な説明は省略する。
【0033】
次に、図1乃至図15を参照して、本発明の実施例1による頚椎プレートボディ100を説明する。図1及び図2に示すように、前記頸椎プレート100は、基本的に、長さ方向に長く形成されるプレートボディ102と、前記プレートボディ102に形成され、骨固定ねじ10のヘッド部12を支持する少なくとも2つの骨固定ねじ穴138と、前記骨固定ねじ穴138にそれぞれ挿入される骨固定ねじ10をロック状態にするロック部(locking element)112とを含んでなる。
【0034】
前記頸椎プレート100は、チタンやCo−Cr合金などの公知の材料で製作でき、これに限定されない。
【0035】
前記ロック部11は前記プレートボディ102に回転可能に固定され、前記プレートボディ102の外周には補強部106が配置できる。
【0036】
前記補強部106は、前記プレートボディ102に比べて厚いか同じ厚さを有し、外側に向かって曲面を持つことにより、曲げ力やねじれなど、いろんな方向から作用する応力に対する剛性を向上させる役割を果たす。
【0037】
また、前記プレートボディ102の長さ方向の両端部には、ラウンド部108が形成できる。前記ラウンド部108は、患者が手術後に感じる異物感を減少させることができるように、頚椎に前記頸椎プレート100を設置したときに前記頚椎の表面から前記プレートボディ102の上面まで緩やかに変化する形状を有する。
【0038】
このため、前記ラウンド部108は、互いに異なる曲率半径を有する2つの曲面からなることが好ましい。図12に示されているように、前記プレートボディ102の上側端部に位置する曲面の曲率半径をR1とし、前記プレートボディ102の下側端部に位置する曲面の曲率半径をR2とし、前記骨固定ねじ穴138に挿入される骨固定ねじ10のシャンクの半径をL1とし、前記骨固定ねじ10の中心軸から前記プレートボディ102の末端までの最短距離をL2とするとき、次の式を満足することが好ましい。このとき、R1はR2よりも大きい。
[数式1]
【0039】
前記補強部106と前記ラウンド部108は、実施例1のように同時に形成されることも可能であるが、選択的に配置されることも可能である。
【0040】
また、前記骨固定ねじ穴138と前記ロック部112が配置される領域は、前記プレートボディ102の他の部分に比べて厚さの薄い座面部104が形成できる。前記座面部104は、前記ロック部112が前記プレートボディ102に設置され、その厚さにより患者に異物感を与えることを抑制するためである。したがって、全体的な厚さを考慮すると、前記座面部104の最大深さは前記ロック部112の最大厚さ以下であることが理想的であり、設計に応じて、前記ロック部112が前記プレートボディ102の表面に比べて少しは突出することもできる。
【0041】
また、前記プレートボディ102の長さ方向に対して垂直な方向に、前記プレートボディ102の底面に曲げ余裕部116が形成できる。一般に、患者ごとに脊椎がなす形状が異なり、手術時に頚椎プレート100を患者に合わせて曲げて使用する場合が多い。このとき、前記頸椎プレート100がチタンなどの材料からなっているため、曲げが容易でないだけでなく、曲げに大きな力が必要であるという問題がある。従って、実施例1では、図3及び図4に示されているように、前記曲げ余裕部116を前記プレートボディ102の底面に形成することにより、前記頚椎プレート100の曲げをさらに容易に行うことができる。
【0042】
ただし、前記曲げ余裕部116は、3対の骨固定ねじ穴138が配置される場合、隣接する2対の骨固定ねじ穴138の間に配置される。特に、前記座面部104を避けて配置されることが好ましい。
【0043】
前記曲げ余裕部116の深さは、前記プレートボディの厚さの0.1乃至0.3倍にして、強度に大きな影響を与えることなく曲げを容易に行うことができるようにする。
【0044】
前記プレートボディ114には、重量を減らす、応力を分散する、手術時に接触する脊椎面を確認することが可能な窓としての役割を果たすことができるカットオフ部114が形成できる。前記カットオフ部114は、およそ前記曲げ余裕部116が形成される位置に形成できる。
【0045】
また、前記プレートボディ102は、椎体への密着のために、図13及び図14に示されているように、前記プレートボディ102の長さ方向に両端に位置したロック部112間の曲率をR3とし、両端に位置したロック部112から末端までの曲率をそれぞれR4およびR5とするとき、R4およびR5はR3よりも小さくすることにより、中心となるR3領域とその上下に位置する椎体の全体的な湾曲形状に対応することができる。
【0046】
さらに、椎体の湾曲に応じて前記R4およびR5は互いに異なるように形成することも可能である。このとき、R4およびR5は、5≦R3/R4≦44、5≦R3/R5≦44を満足する範囲で決定できる。
【0047】
前記R3、R4、R5が占める前記プレートボディ102の長さ方向による長さをL3、L4、L5とするとき、L4を1にすれば、L3:L4:L5=3〜5:1:0.8〜1.2を満足する範囲で設計することができる。
【0048】
前記ロック部112は、図5及び図6に示されているように、前記プレートボディ102に回転可能に固定される回転ボディ130と、前記回転ボディ130に一体に形成され、前記骨固定ねじ穴138の一部を覆うロック翼118とを含んで構成できる。
【0049】
前記回転ボディ130は、図15に示されているように、ロック装着部144に挿入されて固定されることにより、前記ロック部112が回転可能になる。図15は実施例2を示す図であるが、ロック装着部144は、実施例1と同様なので参照して説明する。前記回転ボディ130は、前記ロック装着部144を通過させ、図9に示されているように、前記回転ボディ130の端部を打って固定部134を形成することにより固定できる。
【0050】
前記ロック部112は、一つの骨固定ねじ10に対して一つずつ配置される。また、前記プレートボディ102の長さ方向に垂直な方向に配置される一対の骨固定ねじ穴138に対して、2つのロック部112が互いに接触するように配置される。すなわち、前記ロック翼118の一側には、前記回転ボディ130と同心の回転接触面120が形成され、前記回転接触面120に連続してロック接触面122が形成される。その結果、2つの隣接するロック部112は、前記回転接触面120で互いに当接した状態でそれぞれが独立して回転が可能であり、前記ロック接触面122が互いに当接した状態ではそれ以上の回転が制限される。したがって、前記ロック接触面122が互いに接触した状態では、前記ロック部112が回転しないように、前記回転接触面120の曲率半径よりも前記回転ボディ130の中心軸からの前記ロック接触面122の距離が大きく形成され、無理に印加した力で前記ロック接触面122が相互加圧することにより摩擦力を大きくしてロック状態を維持することができる。
【0051】
このような回転制限のために、さらに、前記ロック翼118には、前記ロック接触面122に連続して回転阻止面124が形成される。前記回転阻止面124は、前記回転ボディ130の中心軸からの距離が前記回転接触面120の曲率半径だけでなく、前記回転ボディ130の中心軸からの前記ロック接触面122の距離よりも大きく形成される。
【0052】
言い換えれば、前記ロック部112の側面の曲面形状をカムのように異ならせることにより、前記ロック部112の回転を一定の範囲内でのみ許可することができ、ロック状態を維持することもできる。
【0053】
前記ロック部112は、厚さが薄いので、工具などによって回転させるときに工具が滑る可能性がある。これを防止するために、前記ロック部112では、前記回転ボディ130の内部に工具ガイドホール126が形成され、前記工具ガイドホール126の上部周囲に前記工具ガイドホール126と同心のロック工具溝128が形成され得る。
【0054】
また、これに対応するように、工具20は、図5及び図6に示されているように、工具ロッド24と、前記工具ロッド24の一端に結合される工具ハンドル22と、前記工具ロッド24の他端に形成され、前記ロック工具溝128に締結される工具チップ26と、前記工具チップ26から延びるように形成され、前記工具ガイドホール126に挿入されて回転する工具チップガイド28とを含むように製作される。
【0055】
したがって、前記工具20を挿入するとき、前記工具チップガイド28が工具を前記工具ガイドホール126に挿入させ、前記工具ハンドル22を少し回して、前記工具チップ26が前記ロック工具溝128に締結されるようにした後、前記工具ハンドル22を回転させると、安定的に前記ロック部112を回転させて開放状態またはロック状態に転換させることができる。
【0056】
前記ロック部112のロック状態を維持することを補強するために、図10及び図11に示されているように、前記ロック翼118は、翼底面部132が前記座面部104と接触した状態では弾性変形した状態であり、前記骨固定ねじ穴138の一部を覆う状態では弾性力によって復元されることを特徴とする。したがって、ロック状態では、図9に示されているように、前記ロック翼118の端部が、前記骨固定ねじ10のヘッド部12に形成されたヘッド工具溝16に挿入されながら、前記ヘッド部12と接触することにより、前記骨固定ねじ10の緩みを防止することができる。
【0057】
また、前記座面部104にはエンドストッパー110がさらに配置できる。前記エンドストッパー110は、前記ロック部112の回転を制限することができる突起などの構造物であり、前記ロック部112の回転軌跡を考慮して配置される。実施例1では、前記エンドストッパー110が隣接の一対の骨固定ねじ穴138の間で、前記プレートボディ102の長さ方向の外側(末端方向)にオフセットされた位置に配置される。
【0058】
その結果、前記ロック部112に追加的な力を加えても、前記ロック部112の回転は前記エンドストッパー110によって制限される。
【0059】
次に、本発明の実施例2による頚椎プレート101を図15及び図16を参照して説明する。前記頸椎プレート101は、基本的に、実施例1による頚椎プレート100と同一であるが、ロック部113の最初位置(開放状態)を維持することができることに特徴がある。実施例1と同様の部分については同一の符号を使用し、その説明は省略する。
【0060】
前記ロック部113は、ロック翼118の翼底面部132にロック開始部142が形成され、座面部104には前記ロック開始部142に対応するボディ開始部140が形成される。
【0061】
前記ボディ開始部140及び前記ロック開始部142のうち、一方には突起が配置され、他方には凹溝が配置される。その結果、前記ボディ開始部140と前記ロック開始部142との結合力によって、外力が加えられない限り、前記ロック部113の最初位置(開放状態)を維持することができる。
【0062】
次に、本発明の実施例3による頚椎プレート103を図17及び図18を参照して説明する。前記頸椎プレート103は、基本的に、実施例2による頚椎プレート100と同様であるが、ロック部115の最終位置(ロック状態)を維持することができることに特徴がある。実施例1と同一の部分については同一の符号を使用し、その説明は省略する。
【0063】
エンドストッパー111にはボディ終了部148が形成され、ロック部115のロック翼118の底面にはロック終了部146が形成される。工具20よって前記ロック部115を回転させると、前記ロック終了部146が前記エンドストッパー111の傾斜面を通って前記ボディ終了部148に締結される。したがって、前記ボディ終了部148と前記ロック終了部146との結合によって、前記ロック部115のロック状態が、外力が加えられない限りは維持できる。
【0064】
また、本発明の実施例4による頚椎プレート105を図19及び図20を参照して説明する。前記頸椎プレート105は、基本的に、実施例1による頚椎プレート100と同様であるが、ロック部113の最初位置(開放状態)及び最終位置(ロック状態)を維持することができることに特徴がある。実施例1と同一の部分については同一の符号を使用し、その説明は省略する。
【0065】
このため、ロック部112は、実施例1と同様のものを使用し、さらに前記プレートボ
ディ102の座面部104にロック顎部150が形成される。前記ロック顎部150は、前記ロック翼118が乗り越えることができ、前記ロック翼118が前記ロック顎部150を完全に乗り超えると、さらに反対方向に回転しないように、一側は緩やかな傾斜面であり、他側は急な傾斜面または直角面である鋸歯状の山形に形成される。
【0066】
したがって、前記ロック部112の開放状態では、前記ロック顎部150を乗り越えるために少し弾性変形するように力を加えなければならないので、前記ロック顎部150は、開放状態を維持することができる機能を持つ。また、前記ロック部112が前記ロック顎部150を完全に乗り越えると、前記ロック部113は、前記ロック顎部150に係止されて反対方向に回転することが難しくなる。その結果、ロック状態が維持できる。
【0067】
上述した実施例1乃至4の特徴は、1つの頚椎プレートに全て含まれてもよく、選択的に含まれてもよい。
【0068】
上述のように本発明の好適な実施例を参照して説明したが、当該技術分野における当業者であれば、下記特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から外れない範囲内で、本発明に多様な修正及び変更を加え得ることを理解することができるだろう。
【符号の説明】
【0069】
1 椎体
2 ディスク
10 骨固定ねじ
12 ヘッド部
14 ねじ山部
16 ヘッド工具溝
20 工具
22 工具ハンドル
24 工具ロッド
26 工具チップ
28 工具チップガイド
100、101、103、105 頚椎プレート
102 プレートボディ
104 凹部
106 補強部
108 ラウンド部
110、111 エンドストッパー
112、113、115 ロック部
114 カットオフ部
116 曲げ余裕部
118 ロック翼
120 回転接触面
122 ロック接触面
124 回転阻止面
126 工具ガイドホール
128 ロック工具溝
130 回転ボディ
132 翼底面部
134 固定部
136 凹部表面
138 骨固定ねじ穴
140 ボディ開始部
142 ロック開始部
44 ロック装着部
146 ロック終了部
148 ボディ終了部
150 ロック顎部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図19
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