(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の部材は、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルファルド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、液晶ポリマー(LCP)のいずれか1であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の複合部材の結合方法。
前記第1の部材は、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルファルド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、液晶ポリマー(LCP)のいずれか1であることを特徴とする請求項7項記載の複合部材の結合方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示される技術は、合成樹脂製の部材の溶融された部位に、固体である合成樹脂製の結合部材を押し込み結合し、合成樹脂製の部材と金属製の部材を重ね合わせ接合したものであり、強固に互いの部材を結合することができない。
【0008】
特許文献1、2に開示される技術は、材種を異にする2つの金属材料からなる部材を接合するものであり、熱可塑性の結晶性高分子材料からなる部材を少なくとも一方の部材に用いるものではない。
【0009】
本発明は、少なくとも一方を熱可塑性の結晶性高分子材料からなる複数の部材を強固に結合することを可能とする複合部材の結合構造を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、板金による成形が困難な熱可塑性の結晶性高分子材料から部材を適宜組み合わせ結合することにより、所望する形態の構造物を製作することを可能となす複合部材の結合構造を提供することを目的とする。
【0011】
さらに、本発明は、十分な接合強度を得ることが困難な熱可塑性の結晶性高分子材料からなる部材と金属製の部材とを強固に一体化することができる複合部材の結合構造を提供することを目的とする。
【0012】
なお、本発明の他の目的は、以下において図面を参照して説明される本発明を実施するための形態の記載から明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述したような目的を達成するために提案される本発明は、
熱可塑性の結晶性高分子材料からなる第1の部材と、前記第1の部材と同種の材料からなり、前記第1の部材と結合される第2の部材と、前記第1の部材と同種の材料にて形成され、前記第1の部材に融着し、前記第1の部材と前記第2の部材とを結合する結合手段と、前記第1の部材に設けられた、前記結合手段が挿入される挿入空間とを備え、前記結合手段は、前記第2の部材の一部に
、前記第2の部材の一方の面側から他方の面に向かって半抜き加工
を施すことにより前記第2の部材と一体に形成された突部であり、前記第1の部材と前記第2の部材は、前記突部を
前記挿入空間に挿入し互いに重ね合わせられて組み合わせられ、次いで、レーザー光の照射により、
前記挿入空間に挿入された前記突部の外周面と前記挿入空間の内周面の少なくとも一部が融着されて結合されたことを特徴とする。
【0014】
特に、
第1の部材は、ケトン系合成樹脂よりなるものが用いられる。この
第1の部材を構成するケトン系合成樹脂として、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)のいずれかが用いられる。
【0015】
また、
第1の部材は、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルファルド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、液晶ポリマー(
LCP)のいずれか1から構成したものであってもよい。
【0016】
本発明に係る複合部材の結合
方法において、互いに結合される第1の部材と第2の部材は、同種の高分子材料からなり、結合手段は、第2の部材に一体に形成された突部であり、結合手段の挿入空間は、第1の部材に凹部として形成され、
前記第1の部材と
前記第2の部材は、前記突部を前記凹部に挿入し
互いに重ね合わせられて組み合わせられ、次いで、レーザー光の照射により、前記凹部に挿入された前記突部の外周面と前記突部が挿入された前記凹部の内周面の少なくとも一部が融着されて結合されたことを特徴とする。
【0018】
この複合部材の結合構造において、前記第1の部材の一部に、一方の面側から他方の面に向かって半抜き加工が施されて凹部が形成されることにより前記第1の部材の他方の面側に突出した
突出部の先端部は切削され、前記第1の部材の他方の面に連続する平坦な面とされていることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る複合部材の結合
方法において、前記第1の部材と前記第2の部材は、同種の高分子材料からなり、前記結合手段は、前記第2の部材の一部に一方の面側から他方の面に向かって半抜き加工が施されて前記第2の部材と一体に形成された突部であり、前記結合手段の挿入空間は、前記第1の部材に貫通孔として形成され、前記第1の部材と前記第2の部材は、前記突部を前記貫通孔に挿入し
互いに重ね合わせられて組み合わせられ、次いで、レーザー光の照射により、前記貫通孔に挿入された前記突部の外周面と前記突部が挿入された前記貫通孔の内周面の少なくとも一部が融着されて結合されたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、
熱可塑性の結晶性高分子材料からなる第1の部材と、前記第1の部材とは異種の合成樹脂、金属、木材又は紙材のいずれか1からなり
、前記第1の部材と結合される第2の部材と、前記第1の部材と同種の材料にて形成され、前記第1の部材と前記第2の部材とを結合する結合手段と、前記第1の部材に設けられた、前記結合手段が挿入される挿入空間とを備える。前記結合手段には、略円柱状の軸部と、前記軸部の一端側に、前記軸部側に向かって縮径する円錐状に形成された頭部とを有するリベットが用いられる。そして、前記第1の部材に形成された前記結合手段の挿入空間は、前記第1の部材の一部に、前記第1の部材の一方の面側から他方の面に向かって貫通して形成された貫通孔であり、さらに、前記第2の部材には、前記第1の部材と組み合わせられたとき、前記第1の部材に形成した貫通孔と連通するとともに前記リベットの頭部が嵌合する円錐状をなす頭部嵌合孔が形成されている。そして。前記第1の部材と前記第2の部材は、互いに重ね合わせ組み合わせたときに連通する前記貫通孔と前記頭部嵌合孔に亘って前記リベットが挿入嵌合され、次いで、レーザー光の照射により、前記リベットの軸部の外周面と前記リベットの軸部が挿入された前記貫通孔の内周面の少なくとも一部が融着されて結合されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、
十分な接合強度を得ることが困難な熱可塑性を有する結晶性高分子材料からなる第1の部材に対し、この第1の部材と同種の結晶性高分子材料からなる部材や、第1の部材とは材種を異にする合成樹脂、金属、木材又は紙材のいずれか1からなる第2の部材を強固に結合することを可能とする。
【0024】
また、本発明は、板状の部材を加工にすることによる成形が困難な熱可塑性を有する結晶性高分子材料から部材を適宜組み合わせ結合することにより、所望する形態の複合部材からなる構造物を製作することを可能とする。
【0025】
さらに、本発明は、十分な接合強度を得ることが困難な熱可塑性の結晶性高分子材料からなる部材と合成樹脂、金属、木材又は紙材のいずれか1からなる部材とを一体化することにより、機械的な強度を大きくした複合部材を得ることができる。
【0026】
さらにまた、本発明は、耐候性、耐薬剤性、耐薬品性に優れた耐熱温度を100℃以上とする熱可塑性の結晶性高分子材料からなる第1及び第2の部材との間に第3の部材を介在させることにより、第3の部材の保護を図り、経年劣化を抑制し、耐久性を向上した複合部材を提供することができる。
【0027】
さらにまた、本発明は、熱可塑性を有する結晶性高分子材料からなる部材と、この部材に結合される部材の材種の自由度を向上し、多様な形態の複合部材を構成することができる。
【0028】
本発明により得られる利点は、以下において図面を参照して説明される本発明を実施するための形態の記載から一層明らかにされる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る実施の形態を図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
本発明に係る第1の実施の形態は、
図1に示すように、板状をなす第1の部材1と、同じく板状をなす第2の部材2を結合して構成した複合部材3の結合構造に関する。
【0031】
本実施の形態において、互いに結合される第1の部材1と第2の部材2は、同種の耐熱温度を100℃以上とする熱可塑性の結晶性高分子材料により構成した。
【0032】
本実施の形態において、熱可塑性を有する結晶性高分子材料として、分子構造中にケトン基を有するケトン系合成樹脂が用いられる。ケトン系合成樹脂として、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)のいずれを用いることができる。
【0033】
特に、本実施の形態では、ポリエーテルエーテルケトン(以下、単にPEEKという。)を用いた。本実施の形態において用いられるPEEKは、少なくとも140℃以上の耐熱性を有し、約35%の結晶化度を有する。
【0034】
PEEKからなる第1の部材1は、例えば、厚さD
1を1〜5mmとする平板な板状部材として形成され、第1の部材に結合される第2の部材2も、PEEKからなり厚さD
2を1〜5mmとする平板な板状部材として形成されている。
【0035】
なお、第1及び第2の部材1、2は、これら部材1、2を結合して構成される複合部材3の強度や大きさ等を考慮して適宜の厚さのものが選択される。
【0036】
そして、第1の部材1には、
図1、
図2に示すように、第2の部材2に設けられた結合手段を構成する嵌合突部6が挿入嵌合する挿入空間を構成する円形の嵌合凹部4が形成されている。
【0037】
本実施の形態において、嵌合凹部4は、
図2に示すように、第1の部材1の一部に半抜き加工を施すことによって形成されている。半抜き加工は、第1の部材1の一部を一方の面1a側から他方の面1b側に向かって突出させる加工法であって、この半抜き加工が施された第1の部材1の一方の面1a側には、
図2に示すように、有底の嵌合凹部4が形成され、他方の面1b側には、この嵌合凹部4の深さに対応する高さを有する突出部5が形成される。
【0038】
一方、第1の部材1に結合される第2の部材2には、第1の部材1に形成した嵌合凹部4に嵌合する円筒状の嵌合突部6が形成されている。この嵌合突部6は、第1の部材1に形成した嵌合凹部4と同様に、第2の部材2の一部に半抜き加工を施すことによって、第2の部材2の一方の面2a側から他方の面2b側に突出して形成されている。
【0039】
本実施の形態において、嵌合突部6は、
図2、
図3に示すように、嵌合凹部4に嵌合したとき、第1の部材1の一方の面1aと第2の部材2の他方の面2bとが密接し得るように、嵌合凹部4の深さD
3とほぼ同一の高さH
1に形成されている。
【0040】
また、嵌合突部6は、
図3に示すように外周面6aと嵌合凹部4の内周面4aとの間に大きな間隙が生ずることなく密接して嵌合し得るように、
図2に示すように嵌合凹部4の内周径R
1とほぼ同一若しくはやや小径の外周径R
2をもって形成されている。本実施の形態では、嵌合凹部4の内周径R
1を約4mmとして形成し、嵌合突部6を嵌合凹部4の内周径より0.02mm程度小径の外周径R
2を有する突部として形成している。
【0041】
第2の部材2は、
図3に示すように、嵌合突部6を嵌合凹部4に挿入嵌合し、他方の面2bを第1の部材1の一方の面1aに重ね合わせられる。
なお、第1の部材1と第2の部材2は、互いを密接して強固に結合するため互いに重ね合わせられる一方の面1aとの他方の面2bを平滑な面として形成しておくことが望ましい。
【0042】
そして、嵌合突部6を嵌合凹部4に挿入嵌合して第1の部材1と第2の部材2を重ね合わせた状態で、第1の部材1の他方の面1b側に突出した突出部5を切削若しくは研磨し、
図4に示すように、他方の面1bと面一となるように平坦化する。
【0043】
第1の部材1の他方の面1bを平坦化した状態で、第1の部材1の他方の面1b側から、レーザー光Lを照射する。このとき、レーザー光Lを、
図5に示すように、互いに接触若しくは近接した境界面である嵌合突部6の外周面6aと嵌合凹部4の内周面4aとの間にエネルギーが集中するように集光して照射する。
【0044】
レーザー光Lが、嵌合突部6の外周面6aと嵌合凹部4の内周面4aとの間の境界面の全周に亘ってレーザー光Lが順次集光して照射されていくことにより、嵌合突部6の外周面6aと嵌合凹部4の内周面4aの表面層が溶融される。嵌合突部6の外周面6aと嵌合凹部4の内周面4aの表面層が溶融されることにより、
図5に示すように、嵌合突部6の外周面6aと嵌合凹部4の内周面4aとの間が融着部7により融着され、嵌合突部6と嵌合凹部4とが結合される。嵌合突部6と嵌合凹部4とが結合されることにより、第1の部材1と第2の部材2が一体的に結合される。
【0045】
ところで、レーザー光Lは、嵌合突部6の外周面6aと嵌合凹部4の内周面4aとの境界面の全周に亘って離散的に集光して照射し、嵌合突部6の外周面6aと嵌合凹部4の内周面4aの表面層を部分的に溶融して融着するようにしてもよい。
【0046】
本実施の形態では、互いに挿入嵌合した嵌合突部6の外周面6aと嵌合凹部4の内周面4aの表面層を溶融して融着して結合するようにしているので、耐熱温度を100℃以上とする熱可塑性を有する結晶性高分子材料からなる第1部材1と第2の部材2を確実に結合できる。
【0047】
特に、本実施の形態は、互いに挿入嵌合した嵌合突部6の外周面6aと嵌合凹部4の内周面4aの表面層のみを溶融して結合するようにしているので、第1及び第2の部材1,2の内部を溶融することもないので、各部材1,2の内部にボイド等の欠陥を生じさせることもなく、強固に第1及び第2の部材1,2を結合することができる。
【0048】
さらに、本実施の形態は、半抜き加工により形成した嵌合突部6と有底の嵌合凹部4との相対結合により、第1の部材1と第2の部材2を結合しているので、正確な位置合わせを行って結合することができる。
【0049】
さらにまた、本実施の形態では、嵌合突部6が挿入嵌合される挿入空間は、有底の嵌合凹部4として形成されているので、嵌合凹部4が形成された第2の部材2の他方の面2b側に嵌合突部6との融着部分を外部に臨ませることもないので、結合した複合部材の表面の外観を損なうことを防止できる。
【0050】
上述した実施の形態では、第1及び第2の部材1,2をケトン系合成樹脂であるPEEKにより形成したが、熱可塑性を有する結晶性高分子材料として、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルファルド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、液晶ポリマー(
LCP)のいずれか1を選択して用いたものであってもよい。これら高分子材料は、いずれも100℃以上の耐熱性を有し、結晶化度を20%〜70%とする結晶性高分子材料である。
【0051】
第2の実施の形態は、前記第1の実施の形態と同様に、板状をなす第1の部材11と、同じく板状をなす第2の部材12を結合した複合部材10の結合構造であって、互いに結合される第1の部材11と第2の部材12を、前述した第1の実施の形態と同様に、耐熱温度を100℃以上とする熱可塑性の結晶性高分子材料であるPEEKにより形成した。
【0052】
本実施の形態においても、第1の部材11は、厚さD
21を1〜5mmとする適宜の厚さの平板な板状部材として形成され、第1の部材11に結合される第2の部材12も厚さD
22を1〜5mmとする適宜厚さの平板な板状部材として形成されている。
【0053】
本実施の形態においても、第1及び第2の部材11,12は、これら部材11,12を結合して構成される複合部材10の強度や大きさ等を考慮して適宜の厚さのものが選択される。
【0054】
そして、第1の部材11には、
図6に示すように、第2の部材2に設けられた結合手段を構成する嵌合突部16が挿入嵌合する挿入空間が形成されている。本実施の形態において、第2の部材12に形成された挿入空間は、円形の貫通孔14として形成されている。
【0055】
第1の部材11に結合される第2の部材12に形成された嵌合突部16は、第1の実施の形態と同様に、第2の部材12の一部に半抜き加工を施すことによって、第2の部材12の一方の面12a側から他方の面12b側に突出して形成されている。本実施の形態において、嵌合突部16は、第2の部材12の厚さに相当する突出量をもって他方の面12b側に突出するように形成されている。
【0056】
また、嵌合突部16は、外周面16aと貫通孔14の内周面14aとの間に大きな間隙が生ずることなく密接して嵌合し得るように、貫通孔14の内周径R
21とほぼ同一若しくはやや小径の外周径R
22をもって形成されている。
【0057】
本実施の形態では、貫通孔14の内周径R
21を約4mmとし、嵌合突部16の外周径R
22を貫通孔14の内周径より0.02mm程度小径の大きさとして形成されている。
【0058】
第2の部材12は、
図7に示すように、他方の面12bを第1の部材11の一方の面11aに重ね合わせるようにして、嵌合突部16を貫通孔14に挿入する。
【0059】
本実施の形態において、嵌合突部16を貫通孔14に挿入嵌合して第1の部材11と第2の部材12を重ね合わせたとき、貫通孔14の嵌合突部16が嵌合された部分に凹部15が形成される。そこで、本実施の形態では、凹部15には、第1の部材11と同種のPEEKにより形成された埋設部材17が埋め込まれている。この埋設部材17は、凹部15と同径若しくはやや小径の円形で、凹部15の深さよりやや大きな厚さで形成され、凹部15に嵌合されて、この凹部15を埋める。
【0060】
なお、埋設部材17の凹部15から突出された部分は、切削若しくは研磨され、
図8に示すように、他方の面11bと面一となるように平坦化されている。
【0061】
埋設部材17は、第1の部材11と第2の部材12を結合する工程で容易な離脱を防止するため、必要に応じて、嵌合突部16の先端部に接着剤により接合される。
【0062】
本実施の形態も前記第1の実施の形態と同様に、第1の部材11の他方の面11bを平坦化した状態で、第1の部材11の他方の面11b側から、レーザー光Lを照射する。このとき、レーザー光Lを、埋設部材17の外周面17aと互いに接触若しくは近接した境界面である凹部15の内周面15aとの間から嵌合突部16の外周面16aと嵌合凹部14の内周面14aとの間にエネルギーが集中するように集光して照射する。
【0063】
そして、レーザー光Lが、埋設部材17の外周面17aと凹部15の内周面15aとの間の境界面から嵌合突部16の外周面16aと貫通孔14の内周面14aとの間の境界面の全周に亘って順次集光して照射されていくことにより、埋設部材17の外周面17aと凹部15の内周面15aの表面層と嵌合突部16の外周面16aと貫通孔14の内周面14aの表面層とが溶融される。埋設部材17の外周面17aと凹部15の内周面15aの表面層と嵌合突部16の外周面16aと貫通孔14の内周面14aの表面層が溶融されることにより、
図8に示すように、埋設部材17の外周面17aと凹部15の内周面15aとの間とともに、嵌合突部16の外周面16aと貫通孔14の内周面14aとの間が融着部18により融着され、埋設部材17が凹部15に結合されるとともに嵌合突部16と貫通孔14とが結合される。嵌合突部16と貫通孔14とが結合されることにより、第1の部材11と第12の部材2が一体的に結合される。
【0064】
なお、本実施の形態では、嵌合突部16が挿入嵌合される貫通孔14に埋設部材17を埋設するようにしているが、埋設部材17を用いることなく第2の部材12に形成される嵌合突部16が第1の部材11に形成した貫通孔14から突出するような高さに形成するようにしてもよい。この場合、貫通孔14から突出した嵌合突部16の先端部を切削若しくは研磨し、第1の部材11の他方の面11bを平坦化する。
【0065】
また、レーザー光Lは、埋設部材17の外周面17aと凹部15の内周面15aとの間の境界面から嵌合突部16の外周面16aと貫通孔14の内周面14aとの間の境界面の全周に亘って離散的に集光して照射し、各内周面17a,15a,16a,14aの表面層を溶融するようにしてもよい。
【0066】
本実施の形態では、互いに挿入嵌合した嵌合突部16の外周面16aと貫通孔14の内周面14aの表面層を溶融して結合するようにしているので、耐熱温度を100℃以上とする熱可塑性を有する結晶性高分子材料からなる第1の部材11と第2の部材12を強固に確実に結合できる。
【0067】
特に、本実施の形態においても、互いに挿入嵌合した嵌合突部16の外周面16aと貫通孔14の内周面14aの表面層のみを溶融して結合するようにしているので、第1の部材及び第2の部材11,12の内部を溶融することもないので、各部材11,12の内部にボイド等の欠陥を生じさせることもないので、強固に第1及び第2の部材11,12を結合することができる。
【0068】
さらに、本実施の形態は、第2の部材12に一体形成した嵌合突部16を第1の部材11に形成した貫通孔14を挿入嵌合して、第1の部材1及び第2の部材11,12を結合しているので、正確な位置合わせを行って結合することができる。
【0069】
上述した実施の形態では、第1及び第2の部材11,12をケトン系合成樹脂であるPEEKにより形成したが、前述した第1の実施の形態と同様に、熱可塑性を有する結晶性高分子材料として、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルファルド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、液晶ポリマー(
LCP)のいずれか1を用いたものであってもよい。これら高分子材料は、いずれも100℃以上の耐熱性を有し、結晶化度を20%〜70%とする結晶性高分子材料である。
【0070】
これら材料により上述した第1及び第2の部材11,12を形成した場合であっても、PEEKを用いた場合と同様の利点を得ることができる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係る第3の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0071】
第3の実施の形態は、前述した各実施例と同様に、
図9、
図10、
図11に示すように、板状をなす第1の部材21と、同じく板状をなす第2の部材22を結合して構成した複合部材20の結合構造に関する。
【0072】
本実施の形態において、互いに結合される第1の部材21と第2の部材22は、前述した各実施の形態と同様に、耐熱温度を100℃以上とする熱可塑性の結晶性高分子材料であるPEEKにより形成されてなる。
【0073】
本実施の形態においても、第1の部材21は、厚さD
31を1〜5mmとする適宜厚さの平板な板状部材として形成され、第1の部材21に結合される第2の部材22も厚さD
32を1〜5mmとする適宜厚さの平板な板状部材として形成されている。
【0074】
本実施の形態においても、第1及び第2の部材21,22は、これら部材21,22を結合して構成される複合部材20の強度や大きさ等を考慮して適宜の厚さのものが選択される。
【0075】
本実施の形態において、第1の部材21と第2の部材22は、これら第1及び第2の部材21,22とは独立に形成した軸状部材23を結合手段として結合している。本実施の形態において用いられる軸状部材23は、一端側から他端側に亘って同径の軸状に形成されている。この軸状部材23は、第1及び第2の部材と21,22と同種の高分子材料であるPEEKにより形成されている。
【0076】
そして、第1の部材21には、軸状部材23が挿入される結合手段挿入空間を構成する貫通孔24が一方の面21a側から他方の面21bに亘って貫通して形成されている。さらに、第2の部材22には、第1の部材21と組み合わせられたとき、第1の部材21に形成した貫通孔24と連通し、軸状部材23が挿入される更なる貫通孔25が一方の面22a側から他方の面22bに亘って形成されている。
【0077】
本実施の形態において、貫通孔24と更なる貫通孔25は、同一の内周径R
32を有する円筒状に形成されている。
【0078】
一連に連通する貫通孔24と更なる貫通孔25に挿入される軸状部材23は、これら貫通孔24,25の内周面に密着して嵌合するように、貫通孔24,25と同径の外周径R
33を有する円柱状に形成されている。また、軸状部材23は、互いに重ね合わせられる2枚の第1及び第2の部材21,22を重ね合わせた厚さに相当する長さH
3をもって形成されている。すなわち、軸状部材23は、第1の部材21と第2の部材22が重ね合わせられて連通する貫通孔24,25に挿入されたとき、両端部23a,23bが、第1の部材21の他方の面21bと第2の部材22の一方の面22aとほぼ面一、若しくはやや突出する長さH
3をもって形成されている。
【0079】
そして、軸状部材23は、第1及び第2の部材21,22を積層するように重ね合わせた複合部材20に形成された一連に連通した貫通孔24と更なる貫通孔25に挿入嵌合される。
【0080】
本実施の形態では、軸状部材23を、
図10に示すように、一連に連通した貫通孔24,25に挿入嵌合した状態で、第1の部材21の他方の面21b側から、レーザー光Lを軸状部材23の外周面23cとこの外周面23cに密接した貫通孔24の内周面24aとの境界面にエネルギーが集中するように照射する。
【0081】
レーザー光Lが、軸状部材23の外周面23cと貫通孔24の内周面24aとが密接した境界面の全周に亘って順次集光して照射されていくことにより、軸状部材23の外周面23cと貫通孔24の内周面24aの表面層とが溶融され、
図11に示すように、軸状部材23の外周面23cと貫通孔24の内周面24aとの間が融着部26により融着される。
【0082】
次いで、第2の部材22の一方の面22a側から、レーザー光Lを軸状部材23の外周面23cに密接した貫通孔25の内周面25aとの境界面にエネルギーが集中するように照射する。
【0083】
レーザー光Lが、軸状部材23の外周面23cと貫通孔25の内周面25aとが密接した境界面の全周に亘って順次集光して照射されていくことにより、軸状部材23の外周面23cと貫通孔25の内周面25aの表面層とが溶融され、
図11に示すように、軸状部材23の外周面23cと貫通孔25の内周面25aとの間が融着部27により融着される。
【0084】
軸状部材23の外周面23cと第1の部材21の貫通孔24の内周面24aとの間、軸状部材23の外周面23cと第2の部材22貫通孔25の内周面25aとの間がそれぞれ融着部26,27により融着されることにより、第1の部材21と第2の部材22が軸状部材23を介して結合される。
【0085】
なお、軸状部材23による第1の部材21と第2の部材22の結合は、第1の部材21の他方の面21bと第2の部材22の一方の面22aから同時にレーザー光Lを照射して行うようにしてもよい。
【0086】
本実施の形態において、第1及び第2の部材21,22の貫通孔24,25に挿入嵌合された軸状部材23の両端部23a,23b側は、必要に応じて切削研磨され平坦化され、外観が整えられる。
【0087】
本実施の形態において、第1及び第2の部材21,22は、軸状部材23の両端部23a,23b側の部分が融着部26,27により貫通孔24,25の内周面24a,25aに融着することにより結合されるので加工が容易である。
【0088】
本実施の形態においても、レーザー光Lは、軸状部材23の外周面23cと貫通孔24,25の各内周面24a,25aとの間の境界面の全周に亘って離散的に集光して照射し、軸状部材23の外周面23cと各貫通孔24,25の内周面24a,25aの表面層を溶融するようにしてもよい。
【0089】
本実施の形態では、第1及び第2の部材21,22の一連に連通する貫通孔24,25に挿入嵌合された軸状部材23の外周面23cとの各貫通孔24,25の内周面24a,25aの表面層を溶融して結合するようにしているので、耐熱温度を100℃以上とする熱可塑性を有する結晶性高分子材料からなる第1の部材21と第2の部材22を強固に確実に結合できる。
【0090】
本実施の形態においても、貫通孔24,25に挿入嵌合された軸状部材23の外周面23cとの貫通孔24,25の内周面24a,25aの表面層を溶融して結合するようにしているので、第1及び第2の部材21,22の内部を溶融することもないので、各部材21,2の内部にボイド等の欠陥を生じさせることもなく強固に第1及び第2の部材21,22を結合することができる。
【0091】
本実施の形態は、第1及び第2の部材21,22を結合する軸用部材23の長さを適宜選択することにより、前述した各実施の形態に用いた各部材より大きな厚さを有する部材も組み合わせ結合することができる。
【0092】
上述した実施の形態では、第1及び第2の部材21,22をケトン系合成樹脂であるPEEKにより形成したが、前述した各実施の形態と同様に、熱可塑性を有する結晶性高分子材料として、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルファルド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、液晶ポリマー(
LCP)のいずれか1を用いたものであってもよい。これら材料を用いた場合にあっても、PEEKを用いた場合と同様の利点を得ることができる。
【0093】
第4の実施の形態は、
図12に示すように、第1の部材31と第2の部材32との間に積層されるように介在されて組み合わせられる第3の部材33を備える複合部材30の結合構造である。
【0094】
本実施の形態において、第1の部材31と第2の部材32は、前述した各実施の形態と同様に、耐熱温度を100℃以上とする熱可塑性の結晶性高分子材料であるPEEKにより板状に形成されている。第3の部材33は、第1及び第2の部材31,32とは異種の合成樹脂、金属、木材又は紙材のいずれか1により板状に形成されている。
【0095】
本実施の形態において、第1の部材31は厚さD
41を1〜5mmとする適宜厚さの平板な板状部材として形成され、第2の部材22も厚さD
42を1〜5mmとする適宜厚さの平板な板状部材として形成されている。
【0096】
本実施の形態においても、第1及び第2の部材31,32は、これら部材31,32を結合して構成される複合部材30の強度や大きさ等を考慮して適宜の厚さのものが選択される。
【0097】
そして、第1の部材31と第2の部材32との間に介在される第3の部材33は、第1及び第2の部材31,32と同等若しくは薄い厚さD
43の平板状に形成されている。なお、第3の部材33は、第1の部材31と第2の部材32と間に密着して介在されるように高精度に均一な厚さとされた平板状に形成することが望ましい。
【0098】
本実施の形態において、第3の部材33を中間に挟んで積層される第1の部材31と第2の部材32は、これら各部材31,32,33とは独立に形成した軸状部材34を結合手段として結合される。本実施の形態において用いられる軸状部材34は、一端側から他端側に亘って同径の軸状に形成されている。また、軸状部材34は、第1及び第2の部材と31,32と同種の高分子材料であるPEEKにより形成されている。
【0099】
そして、第1の部材31には、軸状部材34が挿入される結合手段挿入空間を構成する貫通孔35が一方の面31a側から他方の面31bに亘って貫通して形成されている。さらに、第2の部材32には、第1の部材31と組み合わせられたとき、第1の部材31に形成した貫通孔35と連通し、軸状部材34が挿入される更なる貫通孔36が一方の面32a側から他方の面32bに亘って形成されている。
【0100】
さらに、第3の部材33には、
図13に示すように、第1の部材31と第2の部材32との間に介在されて組み合わせられたとき、第1の部材31形成した貫通孔35と第2の部材32に形成した更なる貫通孔36と連通する貫通孔37が形成されている。
【0101】
本実施の形態において、第1、第2及び第3の部材31,32,33にそれぞれ形成された貫通孔35、36,37は、同一の内周径R
42を有する円筒状に形成されている。
【0102】
第1、第2及び第3の部材31,32,33は、
図13に示すように、第1の部材31と第2の部材32との間に第3の部材33を介在させて、各貫通孔35,36,37が一連に連通するように組み合わせられる。そして、一連に連通した貫通孔35,36,37に軸状部材34が挿入される。
【0103】
本実施の形態に用いられる軸状部材34は、一連に連通した貫通孔35,36,37に密着して嵌合するように、各貫通孔35,35,37と同径の外周径R
43を有する円柱状に形成されている。また、軸状部材34は、互いに重ね合わせられた3枚の第1、第2及び第3の部材31,32,33の厚さと同一若しくはやや大きい長さH
4をもって形成されている。すなわち、軸状部材34は、第1、第2及び第3の部材31,32,33が重ね合わせられて一連に連通する貫通孔35,36,37に挿入されたとき、両端部34a,34bが、第1の部材31の他方の面31bと第2の部材32の一方の面32aとほぼ面一、若しくはやや突出する長さH
4をもって形成されている。
【0104】
そして、軸状部材34は、
図13に示すように、第1の部材31と第2の部材32との間に第3の部材33を介在させて重ね合わされた複合部材30に形成された一連に連通した貫通孔35,36,37に挿入嵌合される。
【0105】
そして、軸状部材34を、
図13に示すように、一連に連通した貫通孔35,36,37に挿入嵌合した状態で、第1の部材31の他方の面31b側から、レーザー光Lを軸状部材34の外周面34cに密接した貫通孔35の内周面35aとの境界面にエネルギーが集中するように照射する。
【0106】
レーザー光Lが、軸状部材34の外周面34cと貫通孔35の内周面35aとが密接した境界面の全周に亘って順次集光して照射されていくことにより、軸状部材34の外周面34cと貫通孔35の内周面35aの表面層とが溶融され、
図14に示すように、軸状部材34の外周面34cと貫通孔35の内周面35aとの間が融着部38により融着される。
【0107】
次いで、第2の部材32の一方の面32a側から、レーザー光Lを軸状部材34の外周面34cに密接した貫通孔36の内周面36aとの境界面にエネルギーが集中するように照射する。
【0108】
レーザー光Lが、軸状部材34の外周面34cと貫通孔36の内周面36aとが密接した境界面の全周に亘って順次集光して照射されていくことにより、軸状部材34の外周面34cと貫通孔36の内周面36aの表面層とが溶融され、
図14に示すように、軸状部材34の外周面34cと貫通孔36の内周面36aとの間が融着部39により融着される。
【0109】
軸状部材34の外周面34cと第1の部材31の貫通孔35の内周面35aとの間、軸状部材34の外周面34cと第2の部材32貫通孔36の内周面36aとの間がそれぞれ融着されることにより、第1の部材31と第2の部材32とが軸状部材34を介して結合される。
【0110】
なお、軸状部材34による第1の部材31と第2の部材32の結合は、第1の部材31の他方の面31bと第2の部材32の一方の面32aから同時にレーザー光Lを照射して行うようにしてもよい。
【0111】
本実施の形態において、軸状部材34と第1の部材31とを融着する融着部38と、軸状部材34と第2の部材32を融着する融着部39は、軸状部材34と第1の部材31との間、軸状部材34と第2の部材32との間が容易に剥離しないような結合強度で融着したものであればよく、
図14に示すように、軸状部材34の一端34a側及び他端34b側の外周面34aの一部領域が貫通孔36の内周面36aに融着されるもので足る。
【0112】
本実施の形態において、第1及び第2の部材31,32を連結した軸状部材34の一端34aが臨む第2の部材32の一方の面32aと、軸状部材34の他端34bが臨む第1の部材31の他方の面31aは、必要に応じて切削研磨され平坦化され、外観が整えられる。
【0113】
本実施の形態は、金属材料からなる第3の部材33の上下に積層された第1の部材31と第2の部材32を一つの軸状部材34に結合して一体化したことにより、中間に高分子材料との融着が困難であり、あるいは融着ができない金属材料からなる中間部材である第3の部材33を積層した複合部材30であっても、各部材31,32,33を一体に積層した状態で結合することができる。
【0114】
本実施の形態は、耐候性、耐薬品性に優れたPEEKからなる第1及び第2の部材31,32により、中間部材として介在される第3の部材33を覆うようにしているので、金属材料からなる第3の部材32の腐食や錆の発生を抑制し、金属材料を構成部材に用いた複合部材30の経年劣化を抑制し、耐久性を向上することができる。
【0115】
本実施の形態に係る複合部材30は、第1及び第2の部材31,32を軸状部材34に融着して一体化しているので、第1及び第2の部材31,32との間に介在した介在した第3の部材33を結合手段として軸状部材34に回転自由な状態にすることができる。
【0116】
上述した実施の形態では、第1及び第2の部材31,32をケトン系合成樹脂であるPEEKにより形成したが、前述した各実施の形態と同様に、熱可塑性を有する結晶性高分子材料として、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルファルド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、液晶ポリマー(
LCP)のいずれか1を用いたものであってもよい。これら材料を用いた場合にあっても、PEEKを用いた場合と同様の利点を得ることができる。
【0117】
また、PEEKからなる第1及び第2の部材31,32との間に介在される第3の部材33には、鉄系の金属、アルミニュウム、銅、銅の合金などからなる金属が用いられ、さらには、第1及び第2の部材31,32とは異種の合成樹脂、さらにまた、木材又は厚紙などの紙材を用いたものであってもよい。
(第5の実施の形態)
【0118】
次に、本発明に係る第5の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0119】
第5の実施の形態は、
図15、
図16、
図17に示すように、耐熱温度を100℃以上とする熱可塑性の結晶性高分子材料であるPEEKにより形成されてなる第1の部材41と、第1の部材41とは材質を異にする金属材料により形成した板状をなす第2の部材42を結合して構成した複合部材40の結合構造に関する。
【0120】
本実施の形態においても、第1の部材41は、厚さD
51を1〜5mmとする適宜厚さの平板な板状部材として形成され、第1の部材41に結合される第2の部材42も厚さD
52を1〜5mmとする適宜厚さの平板な板状部材として形成されている。
【0121】
本実施の形態においても、第1及び第2の部材41,42は、上述の厚さに限られるものではなく、これら部材41,42を結合して構成される複合部材40の強度や大きさ等を考慮して適宜の厚さのものが選択される。
【0122】
本実施の形態において、第1の部材41と第2の部材42は、これら第1及び第2の部材41,42とは独立に形成したリベット43を結合手段に用いて結合されている。
【0123】
このリベット43は、
図15に示すように、略円柱状の軸部44と、この軸部44の一端側に、軸部44側に向かって縮径する円錐台状に形成された頭部45とを備え、第1の部材41と同種の高分子材料であるPEEKにより形成されている。
【0124】
そして、第1の部材41には、結合手段としてのリベット43の軸部43が挿入される結合手段挿入空間としての貫通孔46が形成されている。この貫通孔46は、第1の部材41の一部に一方の面41aから他方の面41bに向かって貫通して形成されている。また、第2の部材42には、第1の部材41と組み合わせられたとき、第1の部材41に形成した貫通孔46に連通するとともに、リベット43の頭部45が嵌合する頭部嵌合孔47が形成されている。この頭部嵌合孔47は、第2の部材42の一方の面42aから他方の面42bに向かって縮径する円錐台状の貫通孔として形成されている。
【0125】
本実施の形態において、リベット43は、
図16に示すように、第1の部材41と第2の部材42を積層するように互いに重ね合わせた複合部材40に一連に連通した頭部嵌合孔47から貫通孔46に挿入嵌合される。このときリベット43は、軸部44の先端部44a側を挿入端として頭部嵌合孔47から貫通孔46に挿入される。
【0126】
ところで、本実施の形態において、リベット43は、頭部嵌合孔47から貫通孔46に亘って嵌合したとき、頭部45が頭部嵌合孔47に係止して、軸部44の先端部44aが第1の部材41の他方の面41bとほぼ面一若しくはやや突出する大きさに形成されている。また、軸部44は、貫通孔46の内周面46aに密接させて嵌合するように、貫通孔46と同径の外周径R
53を有する円柱状に形成されている。
【0127】
そして、リベット43は、
図16に示すように、複合部材40の一連に連通した頭部嵌合孔47から貫通孔46に挿入嵌合されたとき、軸部44がその外周面44cを貫通孔46の内周面46aに密接して嵌合し、頭部45が頭部嵌合孔47に係止された状態で取り付けられる。
【0128】
本実施の形態は、リベット43を、
図16に示すように、複合部材40の一連に連通した頭部嵌合孔47から貫通孔46に挿入嵌合した状態で、第1の部材41の他方の面41b側から、レーザー光Lをリベット43の軸部44の外周面44cとこの外周面44cに密接した貫通孔46の内周面46aとの境界面にエネルギーが集中するように照射する。レーザー光Lが、軸部44の外周面44cと貫通孔46の内周面46aとが密接した境界面の全周に亘って順次集光して照射されていくことにより、PEEKからなる軸部44の外周面44cと貫通孔46の内周面46aの表面層とが溶融され、
図17に示すように、軸部44の外周面44cと貫通孔46の内周面46aとの間が融着部48により融着される。そして、リベット43は、軸部44の外周面44cと貫通孔46の内周面46aとの間が融着部48を介して融着されることにより第1の部材41に結合される。
【0129】
そして、リベット43の軸部44が第1の部材41に結合されることにより、頭部嵌合孔47にリベット43の頭部45が嵌合された第2の部材42は、リベット43の軸部44が結合された第1の部材41とリベット43の頭部45により挟持され状態で一体化される。このとき、第2の部材42は、円錐台状の頭部嵌合47に、この形状に対応する円錐台状に形成されたリベット43の頭部45が嵌合係止されることにより、第1の部材41に対する位置決めがされて支持される。
【0130】
上述した実施の形態では、第1の部材41とリベット43をケトン系合成樹脂であるPEEKにより形成したが、熱可塑性を有する結晶性高分子材料として、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアセタール(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルファルド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、液晶ポリマー(
LCP)のいずれか1を用いたものであってもよい。
【0131】
また、リベット43を介して第1の部材41と一体化される第2の部材42には、鉄系の金属、アルミニュウム、銅、銅の合金などからなる金属を用いることができる。さらに、第2の部材42は、第1の部材41とは異種の合成樹脂、さらにまた、木材又は厚紙などの紙材を用いたものであってもよい。
【0132】
本実施の形態を用いることにより、互いに結合が困難な熱可塑性の結晶性高分子材料からなる第1の部材41に対し、溶着などのより直接接合することが困難な材料からなる第2の部材を組み合わせ一体することができる。
【0133】
また、本実施の形態に係る複合部材40は、第1の部材41に融着される結合手段としてのリベット43に対し第2の部材42を固定することなく組み合わせ一体化することができるので、第2の部材42を、リベット43を回転軸として第1の部材41に対し回転自由な状態にすることができる。
複数の部材を一体に組み合わせ結合した複合部材の結合構造であって、耐熱温度を100℃以上とする熱可塑性の結晶性高分子材料からなる第1の部材1と、第1の部材1と同種又は異なる材料からな第1の部材と結合される第2の部材2と、第1の部材と同種の材料にて形成され、第1の部材に融着し、第1の部材と第2の部材とを結合する結合手段として嵌合突部6を備える。第1の部材には、嵌合突部が挿入される挿入空間としての嵌合凹部4が設けられ、嵌合突部を、第2の部材側から第1の部材に設けた嵌合凹部に挿入するとともに、互いに接触する嵌合突部の外周面6aと感応凹部の内周面4aの少なくとも一部を溶融して第1の部材に融着し、第1の部材と第2の部材とを結合する。