(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
柱状部及び前記柱状部の上端部に設けられた吊下げ支持部を有する支持フレーム体と、前記支持フレーム体の前記吊下げ支持部にその長手方向に移動自在に支持された移動ユニットと、搬入物を吊り上げるための巻上げ手段と、を具備しており、
前記支持フレーム体の前記吊下げ支持部は、前後方向に間隔をおいて配設された前壁部及び後壁部を有し、前記前壁部の下端部に前記後壁部に向けて突出する前側突部が設けられ、前記後壁部の下端部に前記前壁部に向けて突出する後側突部が設けられ、前記前壁部の前記前側突出部及び前記後壁部の前記後側突部が一対の走行部として機能しており、
前記移動ユニットは、前記前後方向に間隔をおいて配設された前側壁部及び後側壁部を有するユニットフレームと、前記ユニットフレームの一端部に回転自在に支持された第1車輪手段と、前記ユニットフレームの他端部に回転自在に支持された第2車輪手段と、を備え、前記前側壁部は、前記前後方向の位置関係において前記吊下げ支持部の前記前壁部の内側に配設され、前記後側壁部は、前記前後方向の位置関係において前記吊下げ支持部の前記後壁部の内側に配設され、前記第1車輪手段及び前記第2車輪手段は、前記吊下げ支持部の前記一対の走行部に移動自在に支持されており、
前記巻上げ手段は、前記移動ユニットに取り付けられた巻上げ本体と、前記巻上げ本体を通して延びる巻上げ部材と、前記巻上げ部材の先端部に設けられた吊上げ部材と、を有しており、
前記移動ユニットには、前記巻上げ部材を巻き掛けるための吊りローラが装着されるとともに、前記巻上げ本体が取り付けられ、前記巻上げ本体、前記巻上げ部材及び前記吊りローラは、前記移動ユニットの前記前側壁部及び前記後側壁部の間に配設されており、
また、前記吊りローラの下端部は、前記吊下げ支持部の前記前壁部及び前記後壁部の下端部との上下方向の位置関係においてほぼ同じ位置に位置しているとともに、前記巻上げ手段の前記巻上げ本体の下端部との前記上下方向の位置関係において高い位置に位置しており、
更に、前記吊りローラは、前記長手方向の位置関係において前記第1車輪手段に近接してその内側であって、前記ユニットフレームの上端部又はその近傍に配置され、前記巻上げ部材は、前記巻上げ本体から上方に傾斜して延びて前記吊りローラに巻き掛けられた後に前記吊りローラと前記第1車輪手段との間を通して下方に吊り下げられていることを特徴とする搬入装置。
前記第1車輪手段の一対の第1車輪及び前記第2車輪手段の一対の第2車輪は、前記吊下げ支持部の前記一対の走行部に移動自在に支持され、前記一対の第1車輪及び/又は前記一対の第2車輪に対応して、前記一対の走行部からの脱輪を防止するための脱輪防止手段が設けられ、前記脱輪防止手段は、前記ユニットフレームの前記前側壁部及び/又は前記後側壁部に設けられた脱輪防止ピンから構成され、前記脱輪防止ピンは、前記吊下げ支持部の走行部の下側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の搬入装置。
前記巻上げ手段はチェーンブロックであり、前記巻上げ本体は前記チェ−ンブロックのチェーンブロック本体であり、前記巻上げ部材は前記チェーンブロックのロードチェーンであり、また前記吊上げ部材は前記チェーンブロックのフック部材であり、前記ロードチェーンは、前記チェーンブロック本体から上方に傾斜して延びて前記吊りローラの巻掛け部に巻き掛けられた後に前記吊りローラと前記第1車輪手段との間を通して下方に吊り下げられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬入装置。
【背景技術】
【0002】
制御盤などを搬入するための搬入装置として、チェーンブロックを利用したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この搬入装置は、所定方向に延びる一対の走行レールと、一対の走行レール間に移動自在に支持された門型組立体とを備え、この門型組立体は、各走行レールに支持された門柱部と、門柱部の上端部間を接続する上接続部とを有し、この上接続部にチェーンブロックが取り付けられている。
【0003】
このような搬入装置は、装置全体が大型化するために工場、倉庫などで用いることが困難であり、そこで、工場などで用いる搬入装置として、例えば、
図8に示す形態のものが用いられている。
図8において、この公知の搬入装置102は門型支持フレーム体104を備え、この門型支持フレーム体104は、一対の門柱部106,108と、一対の門柱部106,108の上端部間を接続する上接続部110を有し、各門柱部106の下端部には一対の移動用コロ112が取り付けられている。
【0004】
また、門型支持フレーム体104の上接続部110内には、その長手方向に移動自在に移動ユニット114が配設され、移動ユニット114には、この上接続部110から下方に突出するように取付部材116が装着され、この取付部材116にチェーンブロック118が取り付けられている。チェーンブロック118は、この取付部材116に取り付けられたチェーンブロック本体120と、チェーンブロック本体120を通して延びるロードチェーン122と、このロードチェーン122の先端部に設けられたフック部材124とを備えている。
【0005】
このような搬入装置102では、チェーンブロック本体120を通してロードチェーン122を巻き上げることによってフック部材124が上方に吊り上げられ、このロードチェーンを巻き下げることによってフック部材124が下方に吊り下げられ、ロードチェーン122のこのような巻上げ、巻下げにより搬入物を所要の通りに搬入することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような搬入装置には、次の通りの問題がある。従来の搬入装置では、移動ユニット114に装着された取付部材116が門型支持フレーム体104の上接続部110から下方に突出するように設けられ、このように取り付けられた取付部材116にチェーンブロック本体120が取り付けられている。従って、
図8に示すように、ロードチェーン122を巻き上げてフック部材124を最上昇位置に位置付けた状態においては、門型支持フレーム体104の上接続部110から取付部材116が下方に突出し、またこの取付部材116からチェーンブロック本体120の一部が下方に突出し、かく突出するチェーンブロック本体120からロードチェーン122を介してフック部材124が吊り下げられるようになる。
【0008】
このような搬入装置では、門型支持フレーム体104の上接続部110の下端からチェーンブロック118に設けられたフック部材124の下端までの空間Sは、チェーンブロック118が移動するためのスペースであり、この搬入装置102の所謂デッドスペースとなり、それ故に、天井の低い倉庫、上空間の狭い場所などへの搬入、またこのような場所からの搬出に適用するのが難しいという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、天井の低い倉庫、上空間の狭い場所などへの搬入などに好都合に適用することができる搬入装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載の搬入装置は、柱状部及び前記柱状部の上端部に設けられた吊下げ支持部を有する支持フレーム体と、前記支持フレーム体の前記吊下げ支持部にその長手方向に移動自在に支持された移動ユニットと、搬入物を吊り上げるための巻上げ手段と、を具備しており、
前記支持フレーム体の前記吊下げ支持部は、前後方向に間隔をおいて配設された前壁部及び後壁部を有し、前記前壁部の下端部に前記後壁部に向けて突出する前側突部が設けられ、前記後壁部の下端部に前記前壁部に向けて突出する後側突部が設けられ、前記前壁部の前記前側突出部及び前記後壁部の前記後側突部が一対の走行部として機能しており、
前記移動ユニットは、前記前後方向に間隔をおいて配設された前側壁部及び後側壁部を有するユニットフレームと、前記ユニットフレームの一端部に回転自在に支持された第1車輪手段と、前記ユニットフレームの他端部に回転自在に支持された第2車輪手段と、を備え、前記前側壁部は、
前記前後方向の位置関係において前記吊下げ支持部の前記前壁部の内側に配設され、前記後側壁部は、
前記前後方向の位置関係において前記吊下げ支持部の前記後壁部の内側に配設され、前記第1車輪手段及び前記第2車輪手段は、前記吊下げ支持部の前記一対の走行部に移動自在に支持されており、
前記巻上げ手段は、前記移動ユニットに取り付けられた巻上げ本体と、前記巻上げ本体を通して延びる巻上げ部材と、前記巻上げ部材の先端部に設けられた吊上げ部材と、を有しており、
前記移動ユニットには、前記巻上げ部材を巻き掛けるための吊りローラが装着されるとともに、前記巻上げ本体が取り付けられ、前記巻上げ本体、前記巻上げ部材及び前記吊りローラは、前記移動ユニットの前記前側壁部及び前記後側壁部の間に配設されており、
また、前記吊りローラの下端部は、前記吊下げ支持部の前記前壁部及び前記後壁部の下端部との上下方向の位置関係においてほぼ同じ位置に位置しているとともに、前記巻上げ手段の前記巻上げ本体の下端部との前記上下方向の位置関係において高い位置に位置しており、
更に、前記吊りローラ
は、前記長手方向の位置関係において前記第1車輪手段に近接してその内側であって、前記ユニットフレームの上端部又はその近傍に配置され、前記巻上げ部材は、前記巻上げ本体から上方に傾斜して延びて前記吊りローラに巻き掛けられた後に前記吊りローラと前記第1車輪手段との間を通して下方に吊り下げられていることを特徴とする。
また、本発明の請求項2に記載の搬入装置では、前記第1車輪手段の一対の第1車輪及び前記第2車輪手段の一対の第2車輪は、前記吊下げ支持部の前記一対の走行部に移動自在に支持され、前記一対の第1車輪及び/又は前記一対の第2車輪に対応して、前記一対の走行部からの脱輪を防止するための脱輪防止手段が設けられ、前記脱輪防止手段は、前記ユニットフレームの前記前側壁部及び/又は前記後側壁部に設けられた脱輪防止ピンから構成され、前記脱輪防止ピンは、前記吊下げ支持部の走行部の下側に設けられていることを特徴とする。
また、本発明の請求項3に記載の搬入装置では、前記巻上げ手段はチェーンブロックであり、前記巻上げ本体は前記チェ−ンブロックのチェーンブロック本体であり、前記巻上げ部材は前記チェーンブロックのロードチェーンであり、また前記吊上げ部材は前記チェーンブロックのフック部材であり、前記ロードチェーンは、前記チェーンブロック本体から上方に傾斜して延びて前記吊りローラの巻掛け部に巻き掛けられた後に前記吊りローラと前記第1車輪手段との間を通して下方に吊り下げられていることを特徴とする。
更に、本発明の請求項4に記載の搬入装置では、前記チェーンブロック本体
は、前記長手方向の位置関係において前記移動ユニットの前記第2車輪手段に近接してその内側に配設され、前記チェーンブロックの係止フックが前記第2車輪手段の支持軸に係止されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載の搬入装置によれば、支持フレーム体の吊下げ支持部に移動自在に支持された移動ユニットには、吊りローラが装着されているとともに、巻上げ手段の巻上げ本体が取り付けられ、この巻上げ本体から延びる巻上げ部材は、この吊りローラに巻き掛けられた後に下方に吊り下げられ、更に、吊りローラの下端部は、吊下げ支持部の前壁部及び後壁部の下端部との上下方向の位置関係においてほぼ同じ位置に位置しているとともに、巻上げ手段の巻上げ本体の下端部との上下方向の位置関係において高い位置に位置しているので、巻上げ部材の先端部に設けられた吊上げ部材を吊下げ支持部の下面近傍まで吊り上げることができ、これによって、巻上げ手段(換言すると、吊上げ部材)を移動させるのに必要なデッドスペースを小さくすることができ、その結果、天井の低い倉庫、上空間の狭い場所などへの搬入、搬出に好都合に適用することができる。
また、吊りローラは、
長手方向の位置関係において第1車輪手段に近接してその内側であって、移動ユニットの上端部又はその近傍に配置され、巻上げ本体からの巻上げ部材は、巻上げ本体から上方に傾斜して延びて吊りローラに巻き掛けられた後に下方に吊り下げられているので、この巻上げ部材を安定して支持ことができるとともに、その先端部の吊上げ部材をより上方に吊り上げてデッドスペースを小さくすることができ、更に移動ユニットの長手方向の長さを短くすることができるとともに、その高さを低くすることができる。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の搬入装置によれば、第1車輪手段の一対の第1車輪及び第2車輪手段の一対の第2車輪がこの吊下げ支持部の一対の走行部に移動自在に支持されているので、移動ユニットを一対の走行部に沿って移動させることができる。また、一対の第1車輪及び/又は一対の第2車輪に対応して、一対の走行部からの脱輪を防止するための脱輪防止手段が設けられているので、第1車輪手段及び/又は第2車輪手段の脱輪を防止することができる。
また、本発明の請求項3に記載の搬入装置によれば、巻上げ手段がチェーンブロックから構成されているので、チェーンブロック本体が巻上げ本体として機能し、ロードチェーンが巻上げ部材として機能し、またフック部材が吊上げ部材として機能する。また、チェーンブロックのロードチェーンは、チェーンブロック本体から上方に傾斜して延び、吊りローラの巻掛け部に巻き掛けられた後に下方に吊り下げられる。
更に、本発明の請求項4に記載の搬入装置によれば、チェーンブロック本体
は、長手方向の位置関係において移動ユニットの第2車輪手段に近接してその内側に配設され、チェーンブロックの係止フックが第2車輪手段の支持軸に係止されるので、巻上げ手段としてのチェーンブロックを移動ユニットにコンパクトに取り付けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1〜
図7を参照して、本発明に従う搬入装置の実施形態について説明する。まず、
図1〜
図6を参照して、本発明に従う搬入装置の一実施形態について説明する。
【0017】
図1において、図示の搬入装置2は門型支持フレーム体4を備え、この門型支持フレーム体4は、所定の間隔をおいて配設された一対の柱状部6,8と、この柱状部6,8の上端部を接続する吊下げ支持部10とを有している。一対の柱状部6,8は、下脚部12と上支持部14とから構成され、上支持部14は下脚部12に位置調整可能に装着されており、従って、一対の柱状部6,8は長さ調整(換言すると、高さ調整)可能に構成されている。尚、この形態では、支持フレーム体4は門型に構成されているが、このような門型に構成する必要はなく、例えば1つの柱状部6(8)の上端部に吊上げ支持部10を設けるようにしてもよい。
【0018】
各柱状部6,8の下脚部14の下端部にはベース部材16が固定され、このベース部材16の両端部に移動用コロ18が取り付けられている。移動用コロ18は、例えば、それ自体周知の自在キャスターなどから構成することができる。尚、このような門型支持フレーム体4では、柱状部6,8の強度を高めるなどのために、また柱状部6,8と吊下げ支持部10との接続強度を高めるなどのために、必要に応じて補強部材20(それらの一部のみを示す)を設けることができる。
【0019】
図1とともに
図2〜
図5を参照して、門型支持フレーム体4の吊下げ支持部10は、断面が略コ字状であり、前後方向(
図1において左下から右上の方向、
図2及び
図3において紙面に対して垂直な方向、
図4において上下方向、
図5において左右方向)に間隔をおいて配設された前壁部22及び後壁部24を有し、これら前壁部22及び24の上端部が天壁部26により接続されている。この吊下げ支持部10は、一対の柱状部6,8間を横方向(
図1〜
図4において左右方向、
図5において紙面に対して垂直な方向)に延びている。
【0020】
この形態では、前壁部22の下端部には、後壁部24に向けて突出する前側突部26が設けられ、また後壁部24の下端部には、前壁部22に向けて突出する後側突部28が設けられ、前側突部26と後側突部28との間にスリット状の空間30(
図4、
図5参照)設けられている。これら前側突部26及び後側突部28は、後述するように走行部として機能し、一対の柱状部6,8間を上記横方向(即ち、上接続部10の長手方向)に延びている。
【0021】
これら前壁部22、後壁部24、天壁部26、前側突部26及び後側突部28は、断面略矩形状の収容空間S(
図2、
図5参照)を規定し、かかる収容空間S内に移動ユニット32が収容されている。
【0022】
次に、移動ユニット32について説明すると、図示の移動ユニット32はユニットフレーム34を有し、この実施形態では、ユニットフレーム34は、上記前後方向に間隔をおいて配設された前側壁部材36(前側壁部を構成する)及び後側壁部材38(後側壁部を構成する)から構成され、
図4及び
図5に示すように、前側壁部材36
は、前後方向の位置関係において吊下げ支持部10の前壁部22の内側に配設され、後側壁部材38
は、前後方向の位置関係において吊下げ支持部10の後壁部24の内側に配設されている。ユニットフレーム34の強度を高めるなどするために、前側壁部材36と後側壁部材38とを連結接続部材(図示せず)などを介して連結するようにしてもよい。
【0023】
この実施形態では、前側壁部材36及び後側壁部材38の一端部(
図1〜
図4において右側端部)には、第1車輪手段40が配設され、それらの他端部(
図1〜
図4において左側端部)には、第2車輪手段42が配設されている。第1車輪手段40及び第2車輪手段42は実質上同一の構成であり、以下、
図4及び
図5を参照して、第1車輪手段40(第2車輪手段42)について説明する。
【0024】
図示の第1車輪手段40(第2車輪手段42)は、支持軸44を備え、この支持軸44が前側壁部材36及び後側壁部材38間に固定されている。第1車輪手段40(第2車輪手段42)は、一対の第1車輪46(第2車輪48)を備え、一方の第1車輪46(第2車輪48)が、前側壁部材36から突出する支持軸44の端部(前端部)に一対の軸受50を介して回転自在に支持され、他方の第1車輪46(第2車輪48)が、後側壁部材38から突出する支持軸44の端部(後端部)に一対の軸受け52を介して回転自在に支持されている。尚、このような構成に代えて、前側壁部材36及び後側壁部材38に軸受を介して支持軸44を回転自在に支持し、この支持軸44の両端部(前端部及び後端部)に第1車輪46(第2車輪48)を取り付けるようにしてもよく、このように構成した場合、前側壁部36と後側壁部38とを連結接続するための連結接続部材(連結接続部)を設けるようになる。
【0025】
この移動ユニット32には、更に、搬入物(各種装置、各種荷物など)を吊り上げたり、吊り下げたりするためのチェーンブロック54(巻上げ手段を構成する)が取り付けられる。主として、
図1、
図2及び
図4を参照して、巻上げ手段としてのチェーンブロック54は、それ自体周知の手動タイプのものを用いることができ、このようなチェーンブロック54は、巻上げ本体としてのチェーンブロック本体56と、このチェーンブロック本体56を通して延びる巻上げ部材としてのロードチェーン58と、ロードチェーン58の先端部に設けられた吊上げ部材としてのフック部材60とを備え、チェーンブロック本体56には、ロードチェーン58を吊り上げ又は吊り下げるときに操作する操作ハンドル62と、このチェーンブロック本体56を係止するための係止フック64とを備えている。
【0026】
この形態では、チェーンブロック54のチェーンブロック本体56が前側壁部材36と後側壁部材38との間に配設され、取付ねじ66によりこれら前側壁部材36及び後側壁部材38に取り付けられ、その係止フック64が第2車輪手段42の支持軸44に係止されている。この取り付け状態においては、チェーンブロック本体56の下部は門型支持フレーム体4の吊下げ支持部10のスリット状開口30を通して下方に突出し、操作ハンドル62はこの突出部に回動可能に配設され、従って、チェーンブロック54を移動ユニット32に取り付けた状態において、操作ハンドル62を所望の通りに回動操作することができる。
【0027】
このチェーンブロック54に関連して、吊りローラ68(吊り手段を構成する)が配設されている。主として
図2、
図4及び
図6を参照して、この形態では、移動ユニット32の前側壁部材36及び後側壁部材38との間に軸部材70が装着されている。軸部材70の一端部は前側壁部材36を貫通して外側に突出し、この前突出端部にナット72が螺着され、またその他端部は後側壁部材38を貫通して外側に突出し、この後突出端部にナット72が螺着され、このようにして前側壁部材36及び後側壁部材38間に軸部材70が固定されている。吊りローラ68は、この軸部材70に一対の軸受74を介して回転自在に装着されている。尚、この吊りローラ68においても、吊りローラ68を軸部材70に取り付け、この軸部材70を軸受を介して前側壁部材36及び後側壁部材38に回転自在に支持するようにしてもよい。
【0028】
チェーンブロック54のチェーンブロック本体56を通して延びるロードチェーン58は、この吊りローラ68に巻き掛けられた後に門型支持フレーム体4の吊下げ支持部10のスリット状開口30を通して下方に吊り下げられ、吊り下げられた先端部にフック部材60が取り付けられている。
このように構成されているので、図4及び図5に示すように、チェーンブロック本体56に加えて吊りローラ68及びロードチェーン58(巻上げ部材)も移動ユニット32の前側壁部材36及び後側壁部材38の間の間に配設され、このフック部材60は、
図2に示すように、このスリット状開口30(換言すると、吊下げ支持部10の前側突部26及び後側突部28)に近接する最上昇位置まで吊り上げられ、このように構成することによって、移動ユニット32の移動に必要な高さ方向のスペース(このスペースが所謂デッドスペースとなる)を小さくすることができ、これによって、天井の低い倉庫、上空間の狭い場所などへの搬入、搬出に好適に用いることが可能となる。
このフック部材60を門型支持フレーム体4の吊下げ支持部10の下端部近傍まで上昇できるようにするためには、図2に示すように、吊りローラ68の下端部を、吊下げ支持部10の前壁部22及び後壁部24の下端部との上下方向の位置関係においてほぼ同じ位置するように構成することにより、フック部材60を吊りローラ68の下端部近傍、換言すると前壁部22及び後壁部24の下端部近傍まで上昇させることができる。また、図2に示すように、この吊りローラ68の下端部を、チェーンブロック本体56(巻上げ本体)の下端部との上下方向の位置関係において高い位置に位置するように構成することにより、フック部材60をチェーンブロック本体56の下端部を超えて上方に吊りローラ68の下端部近傍まで上昇させることができる。
【0029】
この吊りローラ68に関連して、
図2に示すように、吊りローラ68の巻掛け部68aがユニットフレーム34(前側壁部材36及び後側壁部材38)の上端部又はその近傍に配置されるように構成するのが好ましく、このように構成することにより、チェーンブロック本体56(巻上げ本体)から延びるロードチェーン58(巻上げ部材)は、斜め上方に延びて吊りローラ68(吊り手段)に巻き掛けられた後に
第1車輪手段40及び吊りローラ68の間を通して下方に吊り下げられ、これによって、このロードチェーン58を吊りローラ68に安定して巻き掛けることができるとともに、フック部材60の最上昇位置をより高い位置にすることが
でき、更にユニットフレーム34の高さを低く抑えることができる。
【0030】
また、
図2に示すように、吊りローラ68
は、長手方向の位置関係において第1車輪手段40に近接してその内側(
図2及び
図4において左側)に配置され、チェーンブロック本体56
は、長手方向の位置関係において第2車輪手段42に近接してその内側(
図2及び
図4において右側)に配置されるように構成するのが好ましく、このようにすることによって、移動ユニット32の長手方向の長さを短くして小型化を図ることができる。
【0031】
尚、このような構成と反対に、吊りローラ68を第2車輪手段42に近接してその内側に配置し、チェーンブロック本体56を第1車輪手段40に近接してその内側に配置するようにしても同様の作用効果を達成することができる。
【0032】
このような移動ユニット32は、
図4および
図5に示すように、第1及び第2車輪手段40,42の一対の第1及び第2車輪46,48が門型支持フレーム体4の吊下げ支持部10の前側突部26及び後側突部28(走行部を構成する)に載置され、矢印76及び78(
図1、
図2及び
図4参照)で示す方向(即ち、上記横方向)に移動自在に支持され、この移動ユニット32の移動とともに、チェーンブロック54及びそのフック部材60に吊り下げられた搬入物も移動する。
【0033】
この搬入装置2では、第1及び第2車輪手段40,42の一対の第1及び第2車輪46,48に関連して、車輪の脱輪を防止するための脱輪防止手段が設けられている。図示の脱輪防止手段は、脱輪防止ピン80(
図3、
図4参照)から構成され、一対の第1及び第2車輪46,48に対応して、それらの斜め下方に配設されている。前側壁部材36に設けられた脱輪防止ピン80は、この前側壁部材36から前側に突出し、この脱輪防止ピン80と第1及び第2車輪手段40,42の片側の第1及び第2車輪46,48との間に門型支持フレーム体4の吊下げ支持部10の前側突部26(前側の走行部)が位置し、この片側の第1及び第2車輪46,48の浮き上がりによる脱輪を防止する。また、後側壁部材38に設けられた脱輪防止ピン80は、この後側壁部材38から後側に突出し、この脱輪防止ピン80と第1及び第2車輪手段40,42の他側の第1及び第2車輪46,48との間に門型支持フレーム体4の吊下げ支持部10の後側突部28(後側の走行部)が位置し、この他側の第1及び第2車輪46,48の浮き上がりによる脱輪を防止する。
【0034】
このような脱輪防止手段(脱輪防止ピン)は、一対の第1及び第2車輪46,48の全てに設ける必要はなく、例えば、一対の第1車輪46又は一対の第2車輪48に設けるようにしてもよく、或いは片側の第1及び第2車輪46,48又は他側の第1及び第2車輪46,48に設けるようにしてもよく、このように構成しても所要の効果が達成される。
【0035】
この搬入装置を用いて搬入物を搬入するには、この門型支持フレーム体4を搬入物(図示せず)が置かれた場所に移動させ、搬入物の両側に一対の柱状部6,8が位置するとともに、その上方にチェーンブロック54が位置するように位置付ける。そして、チェーンブロック54の操作ハンドル62を吊下げ方向に回動操作してフック部材60を吊り下げ、このフック部材60に搬入物(図示せず)を係止させる。例えば、搬入物に持上げ用ロープ又は帯状部材(図示せず)などをループ状に巻き付け、このループ状の持上げ用ロープにフック部材60を係止させる。
【0036】
その後、操作ハンドル62を吊上げ方向に回動操作して搬入物を吊り上げ、かく吊り上げた状態で門型支持フレーム体4を所望の搬入場所まで移動させる。そして、再び操作ハンドル62を吊下げ方向に回動させて所望の搬入位置に下ろし、フック部材60から持上げ用ロープ(図示せず)を外し、このようにして搬入物を所望の搬入位置に搬入することができる。このとき、搬入物の搬入位置への位置調整は、門型支持フレーム体の移動及び/又は移動ユニット32の上述した移動により行うことができる。
【0037】
次に、
図7を参照して、本発明に従う搬入装置の他の実施形態について説明する。この他の実施形態においては、チェーンブロックが門型支持フレーム体の柱状部に取り付けられている。尚、この実施形態において、上述した実施形態と実質上同一のものには同一の参照願号を付し、その説明を省略する。
【0038】
図7において、この実施形態の搬入装置2Aにおける門型支持フレーム体4Aは、横方向(
図7において左右方向)に間隔をおいて配設された一対の柱状部6A,8Aを備え、これら柱状部6A,8Aの上端部が吊下げ支持部10Aにより接続されており、これら柱状部6A,8A及び吊下げ支持部10Aの構成は、上述した実施形態と実質同一でよい。
【0039】
この形態では、チェーンブロック54A(巻上げ手段)のチェーンブロック本体56(巻上げ本体)が一方の柱状部6Aに取り付けられ、このことに関連して、吊下げ支持部10Aの一端部(具体的には、チェーンブロック本体54Aが取り付けられる側の端部であって、前壁部22及び後壁部24の一端部)に巻掛けローラ82(巻掛け手段)が回転自在に装着されている。移動ユニット32Aは、チェーンブロック54Aが設けられていない点を除けば上述したと同様の構成であり、この移動ユニット32Aには、その両端部に第1車輪手段40及び第2車輪手段42が回転自在に支持され、また第1及び第2車輪手段40,42間に吊りローラ68(吊り手段)が回転自在に支持されている。
【0040】
この他の形態では、チェーンブロック本体56を通して延びるロードチェーン58A(巻上げ部材)は、略垂直上方に延びて巻掛けローラ82に巻き掛けられ、更に幾分上方に傾斜して延びて吊りローラ68に巻き掛けられ、その後この吊りローラ68から下方に吊り下げられ、このように吊り下げられたロードチェーン58Aの先端部にフック部材60(吊上げ部材)が取り付けられている。
【0041】
この他の実施形態の搬入装置2Aにおいても、チェーンブロック54Aのロードチェーン58Aが、移動ユニット32Aに装着された吊りローラ48に巻掛けられた後に下方に吊り下げられているので、このフック部材60を吊りローラ48の近傍まで吊り上げることができ、上述した同様に、フック部材60の移動のためのデッドスペースを小さくすることができる。加えて、チェーンブロック本体56が門型支持フレーム体4Aの柱状部6Aに取り付けられているので、ロードチェーン58Aとして長いものが必要となるが、チェーンブロック本体56の操作ハンドル62の位置を操作し易い場所に配置することが可能となり、搬入装置2Aが大型化しても搬入操作し易いものとして提供することができる。
【0042】
以上、本発明に従う搬入装置の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【0043】
例えば、上述した実施形態では、チェーンブロック54として手動式のものを用いているが、他の形態のもの、例えば電動式のものなどを用いるようにしてもよい。
【0044】
また、上述した実施形態では、巻上げ手段としてチェーンブロックを用いているが、このようなチェーンブロックに代えて、他の形態の巻上げ手段、例えば巻上げ部材としてロープ又はワイヤを用いたもの、例えば吊上げ部材として巻きベルト又は巻きロープなどを用いたものなどを用いることができる。