特許第6735602号(P6735602)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6735602
(24)【登録日】2020年7月16日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】分割シールリング
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/3272 20160101AFI20200728BHJP
【FI】
   F16J15/3272
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-100492(P2016-100492)
(22)【出願日】2016年5月19日
(65)【公開番号】特開2017-207148(P2017-207148A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2019年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229564
【氏名又は名称】株式会社バルカー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 暢
(72)【発明者】
【氏名】上田 彰
(72)【発明者】
【氏名】山下 純一
(72)【発明者】
【氏名】永野 晃広
(72)【発明者】
【氏名】梅田 勝久
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−020523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/3272
F16J 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向の一部が分割された円環状の本体シールと、
前記本体シールの分割面において、継合わされるように設けられた当接面と、を備え、
前記当接面は、
周方向に対して交差する方向に延びる第1傾斜面と、
前記第1傾斜面の一端側から周方向に沿って延びる第1水平面と、
前記第1水平面の前記第1傾斜面とは反対側において、前記第1水平面から周方向に対して交差する方向に延びる第2傾斜面と、を含み、
前記本体シールの半径方向の内周側側面には、半径方向の内周に向って張り出す内側凸部を傾斜面に対応して設けることで当該傾斜面と同数設けられ、
前記本体シールの半径方向の外周側側面には、半径方向の外周に向って張り出す外側凸部を傾斜面に対応して設けることで当該傾斜面と同数設けられている、
分割シールリング。
【請求項2】
周方向の一部が分割された円環状の本体シールと、
前記本体シールの分割面において、継合わされるように設けられた当接面と、を備え、
前記当接面は、
周方向に対して交差する方向に延びる第1傾斜面と、
前記第1傾斜面の一端側から周方向に沿って延びる第1水平面と、
前記第1水平面の前記第1傾斜面とは反対側において、前記第1水平面から周方向に対して交差する方向に延びる第2傾斜面と、
前記第2傾斜面の前記第1水平面とは反対側において、前記第2傾斜面の一端側から周方向に沿って延びる第2水平面と、
前記第2水平面の前記第2傾斜面とは反対側において、前記第2水平面から周方向に対して交差する方向に延びる第3傾斜面と、を含み、
前記本体シールの半径方向の内周側側面には、半径方向の内周に向って張り出す内側凸部を傾斜面に対応して設けることで当該傾斜面と同数設けられ、
前記本体シールの半径方向の外周側側面には、半径方向の外周に向って張り出す外側凸部を傾斜面に対応して設けることで当該傾斜面と同数設けられている、
分割シールリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧エレベータジャッキ、油圧シリンダ、その他の流体伝動装置のオイル漏れを防ぐのに適した、分割シールリングの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開2008/013281号公報(特許文献1)、特開2005−308002号公報(特許文献2)、特開平11−325259号公報(特許文献3)、特開平11−218219号公報(特許文献4)、および、実開昭64−48475号公報(特許文献5)には、環状部材からなるシールリングにおいて、周方向の一部が分割され、対向する端面同士を当接する構造が採用されている。
【0003】
このように分割されたシールリングを用いることで、流体伝動装置を分解することなくシールリングの交換を行なうことができるため、流体伝動装置のメンテナンスの工数および費用を削減することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2008/013281号公報
【特許文献2】特開2005−308002号公報
【特許文献3】特開平11−325259号公報
【特許文献4】特開平11−218219号公報
【特許文献5】実開昭64−48475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年は、よりシール性能を向上させたシールリングが求められるようになってきている。したがって、この発明は、シール性能の向上を可能とする構造を有する分割シールリングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この分割シールリングにおいては、周方向の一部が分割された円環状の本体シールと、上記本体シールの分割面において、継合わされるように設けられた当接面と、を備え、上記当接面は、周方向に対して交差する方向に延びる第1傾斜面と、上記第1傾斜面の一端側から周方向に沿って延びる第1水平面と、上記第1水平面の上記第1傾斜面とは反対側において、上記第1水平面から周方向に対して交差する方向に延びる第2傾斜面と、を含む。
【0007】
他の形態においては、上記第2傾斜面の上記第1水平面とは反対側において、上記第2傾斜面の一端側から周方向に沿って延びる第2水平面と、上記第2水平面の上記第2傾斜面とは反対側において、上記第2水平面から周方向に対して交差する方向に延びる第3傾斜面と、を含む。
【0008】
他の形態においては、上記本体シールの半径方向の内周側側面には、半径方向の内周に向って張り出す内側凸部を傾斜面の数と同数設けられ、上記本体シールの半径方向の外周側側面には、半径方向の外周に向って張り出す外側凸部を傾斜面の数と同数設けられている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、シール性能の向上を可能とする構造を有する分割シールリングの提供を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1の分割シールリングの平面図である。
図2】実施の形態1の分割シールリングの断面図である。
図3】実施の形態1の分割シールリングの当接面を外周面側から見た図である。
図4】実施の形態1の分割シールリングの評価結果を示す図である。
図5】実施の形態2の割シールリングの断面図である。
図6】実施の形態2の分割シールリングの当接面を外周面側から見た図である。
図7】実施の形態3の割シールリングの断面図である。
図8】実施の形態3の分割シールリングの当接面を外周面側から見た図である。
図9】実施の形態4の割シールリングの断面図である。
図10】実施の形態4の分割シールリングの当接面を外周面側から見た図である。
図11】実施の形態5の割シールリングの断面図である。
図12】実施の形態5の分割シールリングの当接面を外周面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に基づいた各実施の形態における分割シールリングについて、以下、図を参照しながら説明する。以下に説明する各実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0012】
(実施の形態1:分割シールリング100)
図1から図4を参照して、実施の形態1における分割シールリング100について説明する。図1は、分割シールリング100の平面図、図2は、分割シールリング100の断面図、図3は、分割シールリング100の当接面を外周面側から見た図、図4は、分割シールリング100の評価結果を示す図である。
【0013】
図1を参照して、本実施の形態における分割シールリング100は、円環状の本体シール110を有している。材料には、たとえば、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム(FKM)等が用いられる。本体シール110には、周方向の一部が分割され、その分割面において継合わされるように設けられた当接面120が設けられている。
【0014】
図2は、摺動するピストン600を支持するシリンダ500に設けられたシール溝500gに分割シールリング100が装着された状態を示す断面図である。本実施の形態では、分割シールリング100に加えてバックアップリング200も用いられている。バックアップリング200には、充填剤入りポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が用いられる。バックアップリング200は、左右に横長の矩形形状を有している。
【0015】
分割シールリング100の外形として、その大きさの一例は、幅は約12mmから13mm程度、高さは約15mm程度、外径は直径約150mm程度である。バックアップリング200の外形として、その大きさの一例は、幅は約12mmから13mm程度、高さは約5mm程度、外径は直径約150mm程度である。
【0016】
分割シールリング100は、本体シール110の半径方向の内周側側面には、周方向に沿って、3か所に半径方向の内周に向って張り出す内側凸部R11,R12,R13が設けられている。この内側凸部R11,R12,R13は、後述する当接面120に設けられる傾斜面に対応して設けられている。よって、内側凸部R11,R12,R13の数量と傾斜面の数量とは同一である。
【0017】
同様に、本体シール110の半径方向の外周側側面には、周方向に沿って、3か所に半径方向の外周に向って張り出す外側凸部R21,R22,R23が設けられている。この外側凸部R21,R22,R23は、後述する当接面120に設けられる傾斜面に対応して設けられている。よって、外側凸部R21,R22,R23の数量と傾斜面の数量とは同一である。また、内側凸部R11,R12,R13と外側凸部R21,R22,R23とは、断面形状においてそれぞれ左右対称の形態となる。このように外方に張り出す領域が3か所あることから、リップ数3となる。
【0018】
図3を参照して、分割シールリング100の当接面120およびバックアップリング200の当接面200mの形態について説明する。分割シールリング100の当接面120は、周方向に対して交差する方向に延びる第1傾斜面100aと、この第1傾斜面100aの一端側(図示における下方側)から周方向に沿って延びる第1水平面100bと、この第1水平面100bの第1傾斜面100aとは反対側において、この第1水平面100bから周方向に対して交差する方向に延びる第2傾斜面100cとを含む。
【0019】
さらに、第2傾斜面100cの第1水平面100bとは反対側において、第2傾斜面100cの一端側(図示における下方側)から周方向に沿って延びる第2水平面100dと、第2水平面100dの第2傾斜面100cとは反対側において、第2水平面100dから周方向に対して交差する方向に延びる第3傾斜面100eとを含む。第3傾斜面100eの一端側(図示における下方側)には、第2水平面100dに対して鉛直方向に延びる鉛直面100fが設けられている。
【0020】
よって、分割シールリング100の当接面120は、3つの傾斜面、2つの水平面、および、一つの鉛直面から構成されている。2つの傾斜面は、いずれも水平面に対して、約60度の交差角度で傾斜している。
【0021】
水平面の周方向に沿った長さは、3mm以上が好ましく、シール性および生産性を考慮すると、約5mm程度が好ましい。また、傾斜面の水平面に対する傾斜角度は、90度未満45度以上が好ましく、約60度の交差角度がよい。
【0022】
バックアップリング200の当接面200mには、分割シールリング100の当接面120に設けられる傾斜面の傾斜方向とは反対方向に傾斜する1つの傾斜面が設けられている。この傾斜面の傾斜角度は、水平面に対して約20度の交差角度で傾斜している。
【0023】
上記形態を有する分割シールリング100をシール溝500gに装着する場合には、分割シールリング100を上下方向から締め付ける状態で装着するとよい。締め代は、1%〜5%の間で設定されるが、約3%が好ましい。これにより、図3中で示すように上下方向から圧力(図中の矢印F)が加わり、傾斜面および水平面でのシール性の向上を図ることができる。
【0024】
また、分割シールリング100には当接面120が設けられていることから、たとえば、油圧ジャッキに用いられる場合には、油圧ジャッキそのものをオーバホールすることなく、容易に分割シールリングの交換作業を行なうことができる。バックアップリング200も同様である。
【0025】
(評価結果)
図4に、本実施の形態に示す分割シールリング100を用いた場合と、比較例1,2を用いた場合との評価結果を示す。比較例1には、分割されていないシールリングを用いた。比較例2には、周方向に対して垂直方向に分割された当接面(ワンカット面)を有するシールリングを用いた。空気圧0.5MPaで加圧し、シール試験を行なった。試験時間は2分、試験に用いたシールリングの材料は、ニトリルゴム(NBR)である。図4中の評価は、「A」は「優良」を示し、「B」は「A」程優良ではないが、実用可能な「良」を示し、「F」は、実用には困難を有するを意味する。
【0026】
シール性能の評価は、比較例1は分割面がないことから「A」、本実施の形態に示す分割シールリング100は「B」、実施例2は、「F」であった。装着性能の評価は、本実施の形態に示す分割シールリング100および比較例2は、当接面を有することから「A」、比較例1は、当接面を有さないことから「F」であった。
【0027】
摩擦抵抗の評価は、いずれも「B」であった。耐圧性の評価は、本実施の形態に示す分割シールリング100および比較例1は「B」、比較例2は「F」であった。寿命の評価は、いずれも「B」であった。
【0028】
(実施の形態2:分割シールリング100A、100B,100C)
図5および図6を参照して、実施の形態2における分割シールリング100A、100B,100Cについて説明する。図5は、分割シールリング100A、100B,100Cの断面図、図6は、分割シールリング100A、100B,100Cの当接面を外周面側から見た図である。
【0029】
本実施の形態では、断面形状の異なる3つの分割シールリング100A、100B,100Cを積み重ねた場合を示している。分割シールリング100Aは下方に凹みを有する凹断面形状を有する。分割シールリング100B,100Cは、上方に凸部を有する凸断面形状を有する。バックアップリング200の形態は、上記実施の形態1と同様である。
【0030】
分割シールリング100Aは、ボトムパッキンとして機能し、分割シールリング100Bは、メインパッキンとして機能し、分割シールリング100Cは、サポートアダプタとして機能する。分割シールリング100A、100B,100Cには、実施の形態1と同様に、たとえば、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム(FKM)等が用いられる。
【0031】
また、分割シールリング100A、100B,100Cはそれぞれ外方に張り出す領域R11〜R13、および、R21〜R23を有することから、実施の形態1と同様に、リップ数3となる。
【0032】
いずれの分割シールリング100A、100B,100Cも、上記実施の形態と同様に、当接面を有している。当接面には、周方向に対して交差する方向に延びる第1傾斜面100aと、この第1傾斜面100aの一端側(図示における下方側)から周方向に沿って延びる第1水平面100bと、この第1水平面100bの第1傾斜面100aとは反対側において、この第1水平面100bから周方向に対して交差する方向に延びる第2傾斜面100cとが設けられている。よって、2つの傾斜面、および、1つの水平面から構成されている。傾斜面および水平面に要求される仕様は、実施の形態1と同様である。
【0033】
分割シールリング100A、100B,100Cに設けられる当接面の位置は、上下方向において周方向にずれて配置していることが好ましい。万一潤滑油が漏れ出た場合でも、当接面がずれて周方向に相互にずれて配置されていることで、潤滑油の漏れ経路を長くすることができるからである。
【0034】
この構成によっても、実施の形態1における分割シールリングと同様の作用効果を得ることができる。
【0035】
(実施の形態3:分割シールリング100D、100E)
図7および図8を参照して、実施の形態3における分割シールリング100D、100Eについて説明する。図7は、分割シールリング100D、100Eの断面図、図8は、分割シールリング100D、100Eの当接面を外周面側から見た図である。
【0036】
本実施の形態では、断面形状の異なる2つの分割シールリング100D、100Eを積み重ねた場合を示している。分割シールリング100Dは下方に凹みを有する凹断面形状を有する。分割シールリング100Eは、上方に凸部を有する凸断面形状を有する。バックアップリング200の形態は、上記実施の形態1と同様である。
【0037】
分割シールリング100Dは、ボトムパッキンとして機能し、分割シールリング100Eは、サポートアダプタとして機能する。分割シールリング100D、100Eには、実施の形態1と同様に、たとえば、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム(FKM)等が用いられる。
【0038】
また、分割シールリング100D、100Eはそれぞれ外方に張り出す領域R11〜R12、および、R21〜R22を有することから、リップ数2となる。
【0039】
いずれの分割シールリング100D、100Eも、上記実施の形態と同様に、当接面を有している。当接面には、周方向に対して交差する方向に延びる第1傾斜面100aと、この第1傾斜面100aの一端側(図示における下方側)から周方向に沿って延びる第1水平面100bと、この第1水平面100bの第1傾斜面100aとは反対側において、この第1水平面100bから周方向に対して交差する方向に延びる第2傾斜面100cとが設けられている。よって、2つの傾斜面、および、1つの水平面から構成されている。傾斜面および水平面に要求される仕様は、実施の形態1と同様である。
【0040】
分割シールリング100D、100Eに設けられる当接面の位置は、上下方向において周方向にずれて配置していることが好ましい。万一潤滑油が漏れ出た場合でも、当接面がずれて周方向に相互にずれて配置されていることで、潤滑油の漏れ経路を長くすることができるからである。
【0041】
この構成によっても、上述の各実施の形態における分割シールリングと同様の作用効果を得ることができる。
【0042】
(実施の形態4:分割シールリング100F、100G)
図9および図10を参照して、実施の形態4における分割シールリング100F、100Gについて説明する。図9は、分割シールリング100F、100Gの断面図、図10は、分割シールリング100F、100Gの当接面を外周面側から見た図である。
【0043】
本実施の形態では、断面形状の異なる2つの分割シールリング100F、100Gを積み重ねた場合を示している。分割シールリング100Fは略V字の断面形状を有し、4つの分割シールリング100Fが積み重ねられている。なお、分割シールリング100Fの積み重ね数量は、適宜変更可能である。分割シールリング100は、上方に凸部を有する矢印型の断面形状を有する。
【0044】
最上部の分割シールリング100Fの上には、トップアダプタ300が設けられ、上面は平坦形状、下面は、分割シールリング100Fの形態に沿った形状を有している。材質は、充填剤入りポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が用いられる。
【0045】
分割シールリング100Fは、Vパッキンとして機能し、分割シールリング100Gは、ボトムアダプタとして機能する。分割シールリング100F、100Gには、実施の形態1と同様に、たとえば、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム(FKM)等が用いられる。
【0046】
また、分割シールリング100F、100Gはそれぞれ外方に張り出す領域R11〜R15、および、R21〜R25を有することから、リップ数5となる。
【0047】
いずれの分割シールリング100D、100Eも、上記実施の形態と同様に、当接面を有している。当接面には、周方向に対して交差する方向に延びる第1傾斜面100aと、この第1傾斜面100aの一端側(図示における下方側)から周方向に沿って延びる第1水平面100bと、この第1水平面100bの第1傾斜面100aとは反対側において、この第1水平面100bから周方向に対して交差する方向に延びる第2傾斜面100cとが設けられている。よって、2つの傾斜面、および、1つの水平面から構成されている。傾斜面および水平面に要求される仕様は、実施の形態1と同様であるが、本実施の形態では、各傾斜面の傾斜角度は、水平面に対して約45度の交差角度で傾斜している。
【0048】
分割シールリング100D、100Eに設けられる当接面の位置は、上下方向において周方向にずれて配置していることが好ましい。万一潤滑油が漏れ出た場合でも、当接面がずれて周方向に相互にずれて配置されていることで、潤滑油の漏れ経路を長くすることができるからである。
【0049】
この構成によっても、上述の各実施の形態における分割シールリングと同様の作用効果を得ることができる。
【0050】
(実施の形態5:分割シールリング100H、100I)
図11および図12を参照して、実施の形態5における分割シールリング100H、100Iについて説明する。図11は、分割シールリング100H、100Iの断面図、図12は、分割シールリング100H、100Iの当接面を外周面側から見た図である。
【0051】
本実施の形態では、断面形状の異なる2つの分割シールリング100H、100Iを積み重ねた場合を示している。分割シールリング100Hは下方に凹みを有する凹断面形状を有する。分割シールリング100Iは、上方と外周側に凸部を有する断面形状を有する。バックアップリング200の形態は、上記実施の形態1と同様である。さらに、本実施の形態では、分割シールリング100Iの内周側に、摺動リング400が嵌め入れられている。摺動リング400の材質は、バックアップリング200と同様でもよいが、より摺動抵抗の低い他の材質でも良い。
【0052】
分割シールリング100Hは、ボトムパッキンとして機能し、分割シールリング100I、バックリングとして機能する。分割シールリング100H、100Iには、実施の形態1と同様に、たとえば、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム(FKM)等が用いられる。
【0053】
また、分割シールリング100Hには外方に張り出す領域R11、R21を有することから、リップ数1となる。
【0054】
いずれの分割シールリング100H、100Iも、上記実施の形態と同様に、当接面を有している。当接面には、周方向に対して交差する方向に延びる第1傾斜面100aと、この第1傾斜面100aの一端側(図示における下方側)から周方向に沿って延びる第1水平面100bと、この第1水平面100bの第1傾斜面100aとは反対側において、この第1水平面100bから周方向に対して交差する方向に延びる第2傾斜面100cとが設けられている。よって、2つの傾斜面、および、1つの水平面から構成されている。傾斜面および水平面に要求される仕様は、実施の形態1と同様であるが、本実施の形態では、各傾斜面の傾斜角度は、水平面に対して約45度の交差角度で傾斜している。
【0055】
分割シールリング100D、100Eに設けられる当接面の位置は、上下方向において周方向にずれて配置していることが好ましい。万一潤滑油が漏れ出た場合でも、当接面がずれて周方向に相互にずれて配置されていることで、潤滑油の漏れ経路を長くすることができるからである。
【0056】
この構成によっても、上述の各実施の形態における分割シールリングと同様の作用効果を得ることができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
100,100A,100B,100C,100D,100E,100F,100G,100H,100I 分割シールリング、100a 第1傾斜面、100b 第1水平面、100c 第2傾斜面、100d 第2水平面、100e 第3傾斜面、100f 鉛直面、110 本体シール、120,200m 当接面、200 バックアップリング、300 トップアダプタ、400 摺動リング、500 シリンダ、500g シール溝、600 ピストン、R11,R12,R13,R14,R15 内側凸部、R21,R22,R23,R24,R25 外側凸部。
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