(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6735605
(24)【登録日】2020年7月16日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】ガスタービンエンジンの冷却構造
(51)【国際特許分類】
F02C 7/18 20060101AFI20200728BHJP
F23R 3/42 20060101ALI20200728BHJP
【FI】
F02C7/18 Z
F02C7/18 C
F23R3/42 A
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-109874(P2016-109874)
(22)【出願日】2016年6月1日
(65)【公開番号】特開2017-214886(P2017-214886A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2019年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(72)【発明者】
【氏名】葉狩 智子
(72)【発明者】
【氏名】石田 克彦
(72)【発明者】
【氏名】川原 結和
【審査官】
小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−132640(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0377029(US,A1)
【文献】
特開2006−002758(JP,A)
【文献】
特開2005−002899(JP,A)
【文献】
特開2006−100293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/18
F23R 3/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジンの構成部材を、当該ガスタービンエンジンの作動ガスを冷却媒体として利用して冷却するための構造であって、
前記構成部材の一部から形成された、前記冷却媒体が流れる冷却媒体流路に面した流路壁と、
前記流路壁の壁面に突設された複数のW字形状の伝熱促進リブであって、各伝熱促進リブの隣接する角壁部が前記冷却媒体の流れ方向における上流側と下流側とに交互に突出するように配置されている複数の伝熱促進リブと、
を備え、
前記伝熱促進リブの上流側に面する角部が角状に形成されており、
前記伝熱促進リブの、上流側に面する隅部、下流側に面する角部および下流側に面する隅部の少なくともいずれかが湾曲状に形成されている、
ガスタービンエンジンの冷却構造。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却構造において、
前記複数の伝熱促進リブが、各伝熱促進リブの上流側に突出する前記角壁部および下流側に突出する前記角壁部が、それぞれ前記冷却媒体流路の横断方向に対して同一位置となるように配列されており、
前記伝熱促進リブの上流側に面する隅部および下流側に面する隅部が湾曲状に形成されており、
前記伝熱促進リブの下流側に面する角部が角状に形成されており、
前記上流側に面する隅部の曲率半径が、前記下流側に面する隅部の曲率半径と同一であり、かつ、隣接する伝熱促進リブ間の距離と同一である、
ガスタービンエンジンの冷却構造。
【請求項3】
請求項1に記載の冷却構造において、上流側に面する隅部、下流側に面する角部および下流側に面する隅部が湾曲状に形成されている、
ガスタービンエンジンの冷却構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の冷却構造において、前記構成部材が、内方に燃焼器の燃焼室を形成する筒状の燃焼器ライナであり、前記冷却媒体流路が、前記燃焼器ライナと、燃焼器のケーシングとの間に形成された作動ガスの供給路であるガスタービンエンジンの冷却構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の冷却構造における前記複数の伝熱促進リブを形成する方法であって、
前記構成部材の前記流路壁の壁面を、円柱状の回転体の外周面に設けられた刃体によって切削する切削加工具によって、所定のW字形状の軌道に沿って1回または複数回切削することにより、1つのW字形状溝を形成することを含む、
伝熱促進リブの形成方法。
【請求項6】
請求項2に記載の冷却構造における前記複数の伝熱促進リブを形成する方法であって、
前記構成部材の前記流路壁の壁面を、前記隣接する伝熱促進リブ間の距離に相当する加工直径を有する、円柱状の回転体の外周面に設けられた刃体によって切削する切削加工具によって、所定のW字形状の軌道に沿って1回切削することにより、1つのW字形状溝を形成することを含む、
伝熱促進リブの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンを構成する部材を冷却するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガスタービンエンジンでは、高温燃焼によるNOx発生を抑制するために、燃焼用空気量を増大させて火炎温度の上昇を抑制することが望まれている。そこで、燃焼自体に寄与しない空気(冷却空気)を少なくするために、燃焼器ライナの対流冷却性能の向上が図られている。燃焼器ライナの冷却構造として、燃焼器ライナの外周面に、V字形の伝熱促進リブを並べて設けたもの(特許文献1参照)や、W字形の伝熱促進リブを連ねて設けたもの等が知られている。このような形状のリブを用いると、リブの上流側側面の角部が角状であるため、圧縮空気が伝熱促進リブに当たって効果的に乱流を生じ、燃焼器ライナの外周面の冷却が促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−63984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、W字形状を連ねた伝熱促進リブには信頼性の問題がある。すなわち、一般に、燃焼器ライナには、内外の温度差により大きな熱応力が発生し、さらに内外の圧力差により、作動中は常に外側から内側に対して圧力荷重が作用する。このため、V字形状やW字形状のような角状の角部や隅部を有する伝熱促進リブでは、角状部分に応力が集中して割れが生じ易い。
【0005】
本発明の目的は、上記の課題を解決するために、優れた冷却性能と高い信頼性を有するガスタービンエンジンの冷却構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するために、本発明に係るガスタービンエンジンの冷却構造は、ガスタービンエンジンの構成部材を、当該ガスタービンエンジンの作動ガスを冷却媒体として利用して冷却するための構造であって、前記構成部材の一部から形成された、前記冷却媒体が流れる冷却媒体流路に面した流路壁と、前記流路壁の壁面に突設された複数のW字形状の伝熱促進リブであって、各伝熱促進リブの隣接する角壁部が前記冷却媒体の流れ方向における上流側と下流側とに交互に突出するように配置されている複数の伝熱促進リブとを備え、前記伝熱促進リブの上流側に面する角部が角状に形成されており、前記伝熱促進リブの、上流側に面する隅部、下流側に面する角部および下流側に面する隅部の少なくともいずれかが湾曲状に形成されている。
前記上流側に面する隅部、下流側に面する角部および下流側に面する隅部のすべてを湾曲状に形成してもよい。
【0007】
この構成によれば、冷却媒体が直接衝突する、熱伝達率が高い領域である上流側に面する角部は角状のままとして当該伝熱促進リブ群による冷却効果を維持する一方、熱伝達率が比較的低く、冷却効果に対する影響が小さい他の角部および隅部を湾曲状とすることにより、湾曲状とした角部および隅部への応力集中が緩和される。これにより、伝熱促進リブ群を有する冷却構造の優れた冷却効果を維持しながら、信頼性を高めることができる。
【0008】
本発明の一実施形態において、前記複数の伝熱促進リブが、各伝熱促進リブの上流側に突出する前記角壁部および下流側に突出する前記角壁部が、それぞれ前記冷却媒体通路の横断方向に対して同一位置となるように配列されており、前記伝熱促進リブの上流側に面する隅部および下流側に面する隅部が湾曲状に形成されており、前記伝熱促進リブの下流側に面する角部が角状に形成されており、前記上流側に面する隅部の曲率半径が、前記下流側に面する隅部の曲率半径と同一であり、かつ、隣接する伝熱促進リブ間の距離と同一であってもよい。この構成によれば、冷却効果を維持しながら機械的強度を高めることができる伝熱促進リブを、エンドミルのような切削加工具を使用して、極めて少ない工程数で形成することが可能となる。
【0009】
本発明の一実施形態において、例えば、前記構成部材は、内方に燃焼器の燃焼室を形成する筒状の燃焼器ライナであり、前記冷却媒体流路が、前記燃焼器ライナと、燃焼器のケーシングとの間に形成された作動ガスの供給路であってもよい。この構成によれば、ガスタービンエンジンの構成部材の中でも特に高温に曝される部材である燃焼器ライナの冷却構造において、上記のように冷却効果を損なうことなく信頼性を高めることができる。
【0010】
本発明に係る、上記冷却構造に係る前記伝熱促進リブを形成する方法は、前記構成部材の前記流路壁の壁面を、円柱状の回転体の外周面に設けられた刃体によって切削する切削加工具によって、所定のW字形状の軌道に沿って1回または複数回切削することにより、1つのW字形状溝を形成することを含む。上記冷却構造に係る前記伝熱促進リブは、エンドミルのような前記切削加工具を用いる上記方法により、少ない工程数で形成することができる。
特に、前記伝熱促進リブの前記上流側に面する隅部の曲率半径を、前記下流側に面する隅部の曲率半径と同一とし、かつ、隣接する伝熱促進リブ間の距離と同一とした場合には、隣接する伝熱促進リブ間の距離に相当する加工直径を有する切削加工具によって、所定のW字形状の軌道に沿って1回切削することにより、1つのW字形状溝を形成することができるので、極めて少ない工程数で伝熱促進リブを形成できる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明に係るガスタービンエンジンの冷却構造によれば、冷却対象である燃焼器ライナのような構成部材に対する冷却効果を維持しながら、伝熱促進リブの機械的強度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る冷却構造を備えるガスタービンエンジンの概略構成を示す部分破断側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る冷却構造の概略構造を示す平面図である。
【
図3】
図2の冷却構造の伝熱促進リブ群を形成する方法の一例を示す模式図である。
【
図4】
図2の冷却構造の伝熱促進リブ群を形成する方法の他の例を示す模式図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る冷却構造の概略構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を図面に従って説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る冷却構造を備えたガスタービンエンジン(以下、単にガスタービンと称する。)GTの一部を破断した側面図である。ガスタービンGTは、外部から導入した空気Aを圧縮機(図示せず)で圧縮して燃焼器1に導き、燃焼器1内で燃料を圧縮された空気Aとともに燃焼させ、得られた高温高圧の燃焼ガスGによりタービン(図示せず)を駆動する。燃焼器1は、圧縮機およびタービンの軸心Cに対して若干傾斜して配置されている。
【0015】
燃焼器1は、内方に燃焼室3を形成する筒状の燃焼器ライナ5と、燃焼器ライナ5の頂壁5aに取り付けられて燃焼室3に燃料と空気Aの混合気を噴射するバーナユニット7とを備えている。これら燃焼器ライナ5とバーナユニット7とは、ガスタービン燃焼器1の外筒となる円筒状の燃焼器ケーシング9内に同心状の配置で収納されている。図示の例では、燃焼器1は、逆流缶型であり、圧縮空気Aが、燃焼器ケーシング9と燃焼器ライナ5との間の空間として形成された圧縮空気Aの供給流路11を燃焼器1の頭部(バーナユニット7側)に向かって流れる。
【0016】
本実施形態では、ガスタービンGTの一構成部材である上記燃焼器ライナ5を、ガスタービンGTの作動ガスである空気Aを冷却媒体CLとして利用して冷却している。以下、この冷却構造について説明する。
【0017】
燃焼器ライナ5の周壁5bは供給流路11の流路壁13を形成している。燃焼器ライナ5の周壁5bの外周上には、複数の伝熱促進リブ15が突設されている。これら複数の伝熱促進リブ15からなる伝熱促進リブ群17に圧縮空気Aが衝突することによって、燃焼器ライナ5が対流冷却される。すなわち、供給流路11が、冷却媒体CLが流れる冷却媒体流路19を形成しており、冷却媒体流路19に面した流路壁13の壁面に、複数の伝熱促進リブ15が突設されている。
【0018】
図2に示すように、伝熱促進リブ15は、平面視でW字形状を連ねた形状を有しており、W字形状の隣接する角壁部が冷却媒体CLの流れ方向における上流側と下流側とに交互に突出するように配置されている。すなわち、伝熱促進リブ15は、全体として、前記供給流路11からなる冷却媒体流路19の横断方向Tに沿って延設されている。伝熱促進リブ15は冷却媒体CLの流れ方向に沿って複数設けられている。これら複数の伝熱促進リブ15は、冷却媒体流路19の上流側に突出する角壁部(以下、「凸角壁部」という。)21および下流側に突出する角壁部(以下、「凹角壁部」という。)23が、それぞれ、冷却媒体流路19の横断方向Tに対して同一位置となるように配列されている。なお、本実施形態においては、上記「冷却媒体流路19の横断方向T」は、燃焼器ライナ5(
図1)の外周面の周方向となる。
【0019】
本実施形態では、伝熱促進リブ15の凸角壁部21の上流側に面する角部である凸角壁角部21aが角状に形成されている。また、伝熱促進リブ15の凹角壁部23の下流側に面する角部である凹角壁角部23aも角状に形成されている。なお、本明細書において「角状」とは、曲率半径が0.5以下であることを指す。一方、伝熱促進リブ15の凸角壁部21の下流側に面する隅部である凸角壁隅部21bが湾曲状に形成されている。また、伝熱促進リブ15の凹角壁部23の上流側に面する隅部である凹角壁隅部23bも湾曲状に形成されている。
【0020】
換言すれば、各伝熱促進リブ15において、上流側および下流側にそれぞれ突出する各凸角壁部21、凹角壁部23の角部である凸角壁角部21aおよび凹角壁角部23aが角状に形成されており、これらの角部の裏側の各隅部である凸角壁隅部21bおよび凹角壁隅部23bが湾曲状に形成されている。
【0021】
W字形状の伝熱促進リブでは、一般的に、上流側に面する角部が角状に形成されているため、冷却媒体が凸角部に衝突したときに激しい渦流を生じて冷却が促進されるが、上流側に面する隅部および下流側に面する隅部、角部では冷却効果に寄与する渦流の発生はない。そこで、
図2に示す本実施形態では、伝熱促進リブ15において冷却効果に対する寄与が小さい角部付近の領域のうち、凸角壁部21の凸角壁隅部21bおよび凹角壁部23の凹角壁隅部23b、つまり各角壁部の隅部となる部分に湾曲形状の部分を設けて、これらの部分の応力集中を緩和している。したがって、当該冷却構造の冷却効果を維持しながら、各伝熱促進リブ15の信頼性を高めることができる。
【0022】
また、本実施形態では、伝熱促進リブ群17における一つの伝熱促進リブ15の凸角壁隅部21bの曲率半径R1は、これに隣接する他の伝熱促進リブ15の凹角壁隅部23bの曲率半径R2と同一であり、かつ、これら隣接する伝熱促進リブ15,15間の距離Dと同一である。ここでの伝熱促進リブ15,15間の距離Dとは、互いに平行に延びる2つのリブ壁に直交する方向の距離をいう。伝熱促進リブ群17をこのように構成することにより、後述するように、円柱状の回転体の外周面に設けられた刃体によって切削する切削加工具、例えばエンドミルを用いて、少ない工程数で伝熱促進リブ群17を形成することができる。
【0023】
図2に示した本実施形態の冷却構造に係る伝熱促進リブ群17を形成する方法の一例を、
図3を参照しながら説明する。この形成方法は、前記構成部材の流路壁13を構成する壁面を、円柱状の回転体の外周面に設けられた刃体によって切削する切削加工具EMによって、所定のW字形状の軌道TRに沿って1回切削することにより、1つのW字形状溝31を形成する工程を含む。この場合の切削加工具EMは、隣接する伝熱促進リブ間の距離Dに相当する加工直径を有する。このようなW字形状溝31を形成する工程を繰り返して、冷却媒体CLの流れ方向に沿って複数のW字形状溝31を形成することにより、これらW字形状溝31,31間に伝熱促進リブ15が形成される。
【0024】
図2に示した例では、形成対象の伝熱促進リブ群17において、一つの伝熱促進リブ15の凸角壁隅部21bの曲率半径R1を、これに隣接する他の伝熱促進リブ15の凹角壁隅部23bの曲率半径R2と同一とし、かつ、これら隣接する伝熱促進リブ15,15間の距離Dと同一としているので、流路壁13を、切削加工具EMをW字形状の所定の軌道に沿って1回切削することにより、所望の伝熱促進リブ群17を構成するW字形状溝31を形成することができる。
【0025】
なお、使用する切削加工具EMの加工径と、所望の伝熱促進リブ15,15間の距離Dに応じて、1つのW字形状溝31を形成するための、切削加工具EMによる切削回数は、
図4に示すように、1回ではなく、2回以上であってもよい。
図5の例では、切削加工具EMの加工径に対して2.1倍のリブ間距離Dの伝熱促進リブ群17を形成するために、所定のW字形状の1回目の軌道TR1〜3回目のTR3に沿って、切削を3回行っている。なお、
図4では、図示の便宜上、中心線Mより上に1回目の軌道TR1および2回目の軌道TR2を示し、中心線Mより下に3回目の軌道TRを示している。
【0026】
図5に、本発明の他の実施形態に係る冷却構造を示す。本実施形態では、各伝熱促進リブ15の凸角壁部21の凸角壁角部21aが角状に形成されており、かつ、各伝熱促進リブ15の凸角壁角部21a以外のすべての角部および隅部、すなわち、凸角壁隅部21b、凹角壁角部23a、および凹角壁隅部23bが湾曲状に形成されている。
【0027】
本実施形態に係る冷却構造では、
図3に示した、冷却効果に対する寄与が小さい部分の角部および隅部のすべてを湾曲状とした。したがって、当該冷却構造の優れた冷却効果を維持しつつ、角部および隅部への応力集中を緩和することによる割れの発生を一層効果的に防止することができる。
【0028】
なお、本実施形態に係る伝熱促進リブ群17も、エンドミルのような切削加工具を使用して形成することができる。その場合、
図3,4と共に説明した方法によってW字形状溝31を形成した後、各凹角壁部23の凹角壁角部23aを、所望の曲率に加工できる径を有する切削加工具を用いて湾曲状に加工する。
【0029】
図2,5に示した実施形態のいずれにおいても、各伝熱促進リブ15の壁面からの突出高さは、特に限定されないが、流路高さの1%〜3%の範囲内にあることが好ましい。また、各角壁部の角度α(代表して
図2にのみ示す)は、特に限定されないが、60°〜150°の範囲内にあることが好ましい。
【0030】
また、伝熱促進リブ15の、湾曲状に形成する部分は、上記実施形態として説明した例に限らず、冷却効果に対する寄与が小さい角部23aおよび隅部21b,23bのうちの少なくともいずれかが湾曲状であればよい。
【0031】
また、上記いずれの実施形態においても、円柱状の回転体の外周面に設けられた刃体によって切削するエンドミルのような切削加工具を用いて伝熱促進リブ群17を形成した例を示したが、これ以外の方法によって伝熱促進リブ群17を形成してもよい。
【0032】
また、上記の各実施形態では、冷却対象であるガスタービンGTの構成部材として燃焼器ライナ5を例として説明したが、冷却対象である構成部材は、これに限られない。
【0033】
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
5 燃焼器ライナ(構成部材)
13 流路壁
15 伝熱促進リブ
17 伝熱促進リブ群
19 冷却媒体流路
21 凸角壁部
21a 凸角壁角部
21b 凸角壁隅部
23 凹角壁部
23a 凹角壁角部
23b 凹角壁隅部
A 空気(作動ガス)
CL 冷却媒体
EM 切削加工具
GT ガスタービンエンジン