特許第6735612号(P6735612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 能美防災株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6735612-消火栓装置 図000002
  • 特許6735612-消火栓装置 図000003
  • 特許6735612-消火栓装置 図000004
  • 特許6735612-消火栓装置 図000005
  • 特許6735612-消火栓装置 図000006
  • 特許6735612-消火栓装置 図000007
  • 特許6735612-消火栓装置 図000008
  • 特許6735612-消火栓装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6735612
(24)【登録日】2020年7月16日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】消火栓装置
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/20 20060101AFI20200728BHJP
【FI】
   A62C35/20
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-121011(P2016-121011)
(22)【出願日】2016年6月17日
(65)【公開番号】特開2017-221598(P2017-221598A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2019年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中川 治靖
【審査官】 櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−164902(JP,A)
【文献】 特開2007−007380(JP,A)
【文献】 米国特許第05963631(US,A)
【文献】 特開平11−128381(JP,A)
【文献】 実開昭61−159951(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 35/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端にノズルを有する消火用ホースが内部に収納される箱状の本体を備えた消火栓装置において、
前記本体の背面側上端及び/又は下端の隅部に形成した面取り部と、
前記面取り部背方に形成される空間部の少なくとも側面を開閉可能に覆う隅部カバーと、を設けたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項2】
前記隅部カバーは、前記空間部側面に沿って移動する移動部材を有し、前記移動部材を移動させることにより前記空間部側面の開閉が可能であることを特徴とする請求項1記載の消火栓装置。
【請求項3】
前記隅部カバーは、前記移動部材の位置を保持する保持手段を有し、前記移動部材の位置を保持することにより前記空間部側面の開閉度の調節が可能であることを特徴とする請求項2記載の消火栓装置。
【請求項4】
前記隅部カバーは、前記面取り部を形成したことにより前記本体の背面に形成される開口を、前記移動部材と協働して略閉鎖するカバー部材を有することを特徴とする請求項2又は3記載の消火栓装置。
【請求項5】
先端にノズルを有する消火用ホースが内部に収納される箱状の本体を備え、その本体がトンネルの監査路上に、曲面として形成される内壁に沿って設置される消火栓装置において、
前記本体の背面側上端及び/又は下端の隅部に形成した面取り部を設け、前記内壁により近づけて設置することができるものとしたことを特徴とする消火栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トンネル用の消火栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル用の消火栓装置は、一般に、先端にノズルを有する消火用ホースが収納される箱状の本体を備えている。そして、その箱状の本体をトンネルの内壁に施工段階で箱抜き等の工法により形成される凹状のスペース内に設置することにより、トンネルの内壁に埋め込むようにして設置しているものが多い(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−217646
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トンネルの場合、施工後、交通量の増加等により防災等級がランクアップし、そのランクアップに伴って消火栓装置を新設或いは増設する必要が生じることがある。すなわち、後から消火栓装置を設置する必要が生じることがある。
【0005】
トンネルに後から消火栓装置を設置する場合、内壁と車道との間に設けられる監査路上に内壁に沿って設置することが多い。ただし、そのように設置する場合、監査路を狭くし過ぎることがないように消火栓装置をできるだけ内壁に近づけて設置する必要がある。しかしながら、トンネルの内壁は曲面として形成される一方、消火栓装置の本体は箱状で断面長方形のものとして形成される。そのため、消火栓装置を内壁にできるだけ近づけて設置したくても、本体背面側の上端又は下端の角隅が内壁に接触する位置が限界となり、本体背面と内壁との間に大きな空間が残っていたとしても、それ以上近づけては設置することができない。
【0006】
この発明は、上記の事情に鑑み、トンネルの監査路上に内壁に沿って設置する場合でも、より内壁に近づけて設置することのできる消火栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、先端にノズルを有する消火用ホースが内部に収納される箱状の本体を備えた消火栓装置において、前記本体の背面側上端及び/又は下端の隅部に形成した面取り部と、前記面取り部背方に形成される空間部の少なくとも側面を開閉可能に覆う隅部カバーと、を設けたことを特徴とする消火栓装置である。
【0008】
また、この発明は、前記隅部カバーは、前記空間部側面に沿って移動する移動部材を有し、前記移動部材を移動させることにより前記空間部側面の開閉が可能であることを特徴とする消火栓装置である。
【0009】
また、この発明は、前記隅部カバーは、前記移動部材の位置を保持する保持手段を有し、前記移動部材の位置を保持することにより前記空間部側面の開閉度の調節が可能であることを特徴とする消火栓装置である。
【0010】
また、この発明は、前記隅部カバーは、前記面取り部を形成したことにより前記本体の背面に形成される開口を、前記移動部材と協働して略閉鎖するカバー部材を有することを特徴とする消火栓装置である。
【0011】
また、この発明は、先端にノズルを有する消火用ホースが内部に収納される箱状の本体を備え、その本体がトンネルの監査路上に、曲面として形成される内壁に沿って設置される消火栓装置において、前記本体の背面側上端及び/又は下端の隅部に形成した面取り部を設け、前記内壁により近づけて設置することができるものとしたことを特徴とする消火栓装置である。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、本体の背面側の上端及び/又は下端の隅部に面取り部を設けると共に、その面取り部背方に形成される空間部の少なくとも側面を開閉可能に覆う隅部カバーを設けたことによって、消火栓装置をトンネルの内壁に沿って監査路上に設置する際に、内壁の曲面形状に応じて隅部カバーを開閉させることにより、本体背面側の上端及び/又は下端の隅部の形状をその隅部が内壁に接触して設置の邪魔にならないように変化させることができる。
【0013】
したがって、この発明によれば、トンネルの監査路上に内壁に沿って設置する場合でも、より内壁に近づけて設置することのできる消火栓装置を提供することができる。
【0014】
なお、消火栓装置を監査路上に設置する場合は、従来のような箱抜き等に設置する場合と比較して、トンネル内の気流の影響を受けやすい。ここで、面取り部を形成することによって本体の背面に開口が形成されると、本体内にゴミ等が侵入する可能性がある。しかし、本体の少なくとも側面側を隅部カバーで略覆うので、本体内にゴミ等が侵入することを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の消火栓装置の実施形態の一例を示した正面図である。
図2図1の拡大側面図であり、面取り部及び扇状に展開可能な複数の板体を有する隅部カバーを本体背面側の下端隅部に設けた例を示しており、その隅部カバーにより、(a)が面取り部背方の空間部側面を全閉している状態、(b)が面取り部背方の空間部側面を全開している状態をそれぞれ示している。
図3図2の要部拡大図であり、隅部カバーの開閉変化の様子を示しており、(a)が、図2(a)と同様、面取り部背方の空間部側面を全閉している状態、(b)が少し開いている状態、(c)が、図2(b)と同様、面取り部背方の空間部側面を全開している状態をそれぞれ示している。
図4】隅部カバーが有する板体を任意の位置に保持する保持手段の一例を示すと共に、それらの変化の様子を本体内側から見て示した要部拡大図であり、その保持手段により、(a)が板体を全閉位置に保持している状態(空間部側面を全閉している状態)、(b)が板体を全開位置に保持している状態(空間部側面を全開している状態)をそれぞれ示している。
図5図2及び図3に示した面取り部及び隅部カバーを設けた消火栓装置の設置例を示した説明図であり、隅部カバーを全開状態(空間部側面を全開にしている状態)にして、トンネルの内壁に沿って消火栓装置を設置した際の状態を示している。
図6】同上の面取り部及び隅部カバーを本体背面側の上端隅部にも設けた例を示すと共に、その設置例を示した説明図であり、上端隅部側の隅部カバーを全開状態(空間部側面を全開している状態)にして、トンネルの内壁に沿って設置した際の状態を示している。
図7】他の例の隅部カバー(一枚の板体からなるもの)を示しており、(a)が図3(a)に相当する図であり、(b)が図3(c)に相当する図である。
図8】さらに他の例の隅部カバー(繰り返しの折り構造をなす幕体からなるもの)を示しており、図3の(a)に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の消火栓装置の実施形態の一例を図1乃至図8に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施形態においては、消火栓装置として消火用ホースが箱状の本体内部に内巻きにして収納されるタイプのものを例示しているが、この発明は、箱状の本体を備えている消火栓装置であれば適用が可能であり、例えば、その本体内部に消火用ホースが外巻きにして収納されるタイプのものにも適用が可能である。
【0017】
先ず、図1に基づいて、消火栓装置1の全体構成について説明する。
【0018】
消火栓装置1は、図1に示したように、先端にノズル(図示省略)を有する消火用ホース2が内巻きにして収納されるホース収納部3を内部に有する箱状の本体4を備えている。本体4は、その前面に消火用ホース2を引き出すための開口5aを有すると共に、その開口5aを開閉する上下二分割の前面扉5b,5cを有する前面パネル5を備えている。本体4の内部には、消火栓弁やその操作レバー等を有する配管部6も収納されている。配管部6には、消火用ホース2の基端が接続されており、消火栓弁の操作レバーを開操作することにより、消火水が消火用ホース2に供給されるようになっている。
【0019】
この消火栓装置1は、トンネルの監査路上に内壁に沿って設置することができる。火災が発生した際には、下方の前面扉 5cを開けて開口5aを通じて消火用ホース2を外部に引き出すと共に、消火栓弁の操作レバーを開操作し、消火用ホース2に供給される消火水をノズルから火源に向けて放出して消火をすることになる。
【0020】
次に、図2乃至に図4に基づいて、特に本体4に設けられる面取り部7及び隅部カバー9について説明する。
【0021】
本体4は、前記の通り箱状をなすものであるが、図2(a),(b)に示したように、その背面側の下端隅部に面取り部7が形成されている。面取り部7は、具体的には、本体4の側板4aの背面側の下端隅部を斜めに切り欠いたような形状に形成されており、本体4の幅方向全長にわたって形成されている。すなわち、面取り部7は、本体4の背板や底板(図示省略)と共にもう一方の側板に至るまで背面側の下端隅部を斜めに切り欠いたような形状に形成されている。そして、前記のように面取り部7を形成したことにより、本体4の背面には、図示は省略するが、開口が形成されており、また、面取り部7の背方には、図2(b)に示したように、側面視で略三角形 の空間部8が本体4の幅方向全長にわたって形成されている。本体4は、その空間部8の側面を開閉可能に覆う隅部カバー9を備えている(一方の側の側面に対するものだけでなく、もう一方の側の側面に対するものも備えている)。なお、図2(a)は空間部8の側面を全閉している状態を示しており、図2(b)は空間部8の側面を全開している状態を示している。
【0022】
隅部カバー9は、図2乃至図4に示した例のものの場合、具体的には、扇状に展開可能に平積みに重置される複数枚の板体9a(移動部材の一例)からなり、それら板体9aが空間部8の側面に沿って揺動可能 に、側板4aに軸支部9bによって支持されてなるものとしており、図3(a)乃至(c)に示したように、それら板体9aが揺動して全体の形状を変化させることにより空間部8の側面を適宜開閉するものとしている。すなわち、複数の板体9aは、本体4の空間部8の側面に沿って移動する移動部材として機能すると共に、それら自体により空間部8の側面を開閉可能に覆う側面カバーとして機能するものとしている。なお、図3(a)は、図2(a)と同様、空間部8の側面を全閉している状態を示している。この際、複数枚の板体9aは、側面視で側板4aに連続して略直角の角隅を形成するように扇状に展開した形状をなし、空間部8の略三角形の側面を閉鎖するような形状をなしている。図3(b)は空間部8の側面を少し開けている状態を示している。図3(c)は、図2(b)と同様、空間部8の側面を全開している状態を示している。この際、複数枚の板体9aは、全長に亘って重なるように閉じた形状をなしている。なお、複数枚の板体9aは、図3(a)において、本体4の背面側に位置するものが内側となるように、側板4aの内面側に順次に重畳して取り付けられているが、それとは逆の配置で取り付けられていてもよい。
【0023】
ここで、隅部カバー9において、複数枚の板体9aは、それぞれが別々に揺動するものとしてもよいが、最も内側(或いは外側)に重置される板体が揺動するのに連動して順次外側(或いは内側)に重置される板体が揺動するものとしてもよい。すなわち、扇子を開閉させるように複数の板体9aが連動して揺動するものとしてもよい。例えば、板体9aは、その下端の前方及び後方(本体4の前面側及び背面側方向)に内側及び外側へ突出する凸部を設けるものとする。これにより、図3(c)の状態において、内側の板体9aを本体4の背面側へ揺動させると、その前方外側の凸部が、外側の板体9aの後方内側の凸部に当接して、当該外側の板体9aが内側の板体9aに連動して揺動する。また、図3(a)の状態において、内側の板体9aを本体4の前面側へ揺動させると、その後方外側又は前方外側の凸部が、外側の板体9aの後方内側又は前方内側の凸部に当接して、当該外側の板体9aが内側の板体9aに連動して揺動する。
【0024】
そして、隅部カバー9は、本実施形態の場合、図4に示したように、複数枚の板体9aを任意の位置に保持する保持部材10(保持手段の一例)をさらに有するものとしている。この保持部材10を使用して複数枚の板体9aを任意の位置に保持することにより、空間部8の側面の開閉度を調節することができるようになっている。なお、図4(a)は空間部8の側面を全閉しているのを保持している状態を示しており、図4(b)は空間部8の側面を全開しているのを保持している状態を示している。何れも、本体4の内部側から見た状態 を示しており、保持部材10を本体4の内側に設ける場合の態様を示している(保持部材10は本体4の外側に設けるようにしてもよい)。
【0025】
ここで、保持部材10は、図4に示した例のものの場合、保持アーム10aによって複数枚の板体9aの保持構造が構成されている。具体的には、保持アーム10aは、長さ方向に延在して形成された穴10bを有しているが、その穴10bには側板4aに位置固定で設けられたボルト10cが挿通されており、それにより、保持アーム10aは、ボルト10cに対して穴10bに沿って摺動可能に設けられている。また、保持アーム10aは、隅部カバー9の全閉状態で最も背方に位置する板体9aに揺動可能に軸支部10dにより支持されて連結されている。すなわち、保持アーム10aを連結されている板体9aに対して揺動させながら、ボルト10cに対して摺動させれば、複数枚の板体9aを扇子を開閉させるように揺動させることができるようになっている。そして、ボルト10cは、内側から保持アーム10aの穴に挿通されると共に、側板4aの表側に貫通し、先端側の螺合部を表側に露出させている。すなわち、そのボルト10cの螺合部に側板4aの表側からナット(図示省略)を螺着して締め付けることにより、保持アーム10aを側板4aの内面に締着して位置を固定することができるようになっており、併せて複数枚の板体9aの位置を固定することができるようになっている。これにより、複数枚の板体9aを任意の角度位置に保持し、隅部カバー9の開閉度を調節することができるようになっている。なお、複数枚の板体9aの位置の保持手段としては、複数枚の板体9aを任意の位置に保持することができるものであればよく、保持部材10のようなものに限られるわけではなく、適宜変更することができる。
【0026】
次に、図5及び図6に基づいて、消火栓装置1をトンネルの監査路R上に内壁Wに沿って設置する際の態様について説明する。
【0027】
消火栓装置1は、前記のように、本体4の背面側の下端隅部に面取り部7と、その面取り部7の背方に形成される空間部8の側面を開閉可能に覆う隅部カバー9とが設けられている。これにより、例えば、図5に示したように、消火栓装置1をトンネルの監査路R上に内壁Wに沿って設置する際に、内壁Wの曲面形状に応じて隅部カバー9を開閉させことにより、本体4の背面側の下端隅部の形状をその隅部が内壁Wに接触して設置の邪魔にならないように変化させることができ、その分本体4をより内壁Wに近づけて設置することができる。また、本実施形態の場合、隅部カバー9を保持部材10により空間部8の側面の開閉度を調節可能なものとしている。これにより、内壁Wの形状に応じて空間部8の側面の開閉度を調節することができ、内壁Wとの間の隙間を閉じるように調節することができる。
【0028】
なお、図2乃至図5に示した例の場合、本体4の背面側の下端隅部に面取り部7及び隅部カバー9を設けたものとしているが、上端隅部に面取り部7を設けたものとしてもよい。すなわち、図6に示したように、本体4の背面側の上端隅部にも面取り部7及び隅部カバー9を設けたものとしてもよい。それにより、本体4の上端隅部においても、下端隅部と同様、その隅部の形状を内壁Wに接触して設置の邪魔にならないように変化させることができる。
【0029】
ここで、本体4には、前記の通り、図示は省略するが、面取り部7を形成したことによりその背面に開口が形成されることになる。隅部カバー9は、側板4aの内側に支持されており、本体4の背面開口を通じて空間部8との間で出没可能に設けられているので、面取り部7の背面に形成される開口は、開口のままにしておくようにしてもよい。
【0030】
理由としては、以下の通りである。即ち、消火栓装置1を監査路R上に設置する場合は、従来のような箱抜き等に設置する場合と比較して、トンネル内の気流の影響を受けやすい。ここで、面取り部7を形成することによって本体4の背面に開口が形成されるため、本体4内にゴミ等が侵入する可能性がある。しかし、本体4の少なくとも側面側を隅部カバー9で略覆うので、本体4内にゴミ等が侵入することを低減することができるためである。
【0031】
つまり、図5、6に示すように、消火栓装置1をトンネルの監査路R上に内壁Wに沿って設置する際に、側面視で、内壁Wとの隙間を略覆うように、隅部カバー9の開閉度を調節すればよい。
【0032】
なお、隅部カバー9は、布等の幕体による背面カバー(カバー部材の一例)をさらに有するものとしてもよい。具体的には、図示は省略するが、例えば、空間部8の側面を全閉している状態で最も背方に位置する左右の板体9aの側部間に布等の幕体からなる背面カバーを設けるようにしてもよい。すなわち、複数枚の板体9aの移動と共に移動する背面カバーを設けるようにしてもよい。この背面カバーにより、ゴミ等が隅部カバー9の背面側から面取り部7背面の開口を通じて本体4内に侵入することを防ぐことができる。また、図5のように、本体4の背面側の下端隅部に面取り部7を設ける場合、隅部カバー9は、底面カバー(カバー部材の一例)をさらに有するものとしてもよい。具体的には、これも図示は省略するが、例えば、左右の複数枚の板体9aの底部間にも布等の幕体からなる底面カバーを設けるようにしてもよい。この底面カバーにより、ゴミ等が隅部カバー9の底面側から面取り部7背面の開口を通じて本体4内に侵入することを防ぐようにすることができる。
【0033】
同様に、図6のように、本体4の背面側の上端隅部に面取り部7を設ける場合は、隅部カバー9は、天面カバー(カバー部材の一例)をさらに有するものとしてもよい。この天面カバーにより、ゴミ等が隅部カバー9の上面側から面取り部7背面の開口を通じて本体4内に侵入することを防ぐことができる。
【0034】
このように、隅部カバー9は、面取り部7を形成したことにより本体4の背面に形成される開口を、複数の板体9aと協働して閉鎖するカバー部材を有することにより、本体4内にゴミ等が侵入することを防止することができる。また、本体4内の設置スペースを拡大することができる。
【0035】
次に、図7乃至図8に基づいて、隅部カバー9の他の例について説明する。
【0036】
隅部カバー9は、図7に示したように、一枚の板体9c(移動部材の一例)からなるものとすることができる。板体9cは、略扇状をなし、一枚で空間部8の側面を覆うことのできる形状を有しており、空間部8の側面に沿って揺動可能に側板4aに軸支部9dによって支持されている。この板体9cを揺動して変位させることにより空間部8の側面を開閉するものとすることができる。すなわち、この板体9cも、本体4の空間部8の側面に沿って移動する移動部材として機能すると共に、それ自体により空間部8の側面を開閉可能に覆う側面カバーとして機能するものとしている。なお、この板体9cにも、位置の保持手段を設けることができ、例えば、前記の保持部材10と同様の構成のものを設けることができる。また、前記背面カバーと底面カバーに相当するカバー部材を有するようにしてもよい。カバー部材としては、例えば、2枚の板体9cの背面(後辺)を連結する背板と、2枚の板体9cの底面(底辺)を連結する底板とを有し、これらと2枚の板体9aを連結した断面略L字状の隅部カバー9とすることができる。
【0037】
また、隅部カバー9は、図8に示したように、布等の幕体9e(移動部材の一例)からなるものとすることができる。幕体9eは、扇状に展開可能な繰り返しの折り構造(山折り谷折り構造)を有しており、空間部8の側面に沿ってアコーディオンのように伸縮移動して変形することにより空間部8の側面を開閉するものとすることができる。すなわち、この幕体9eも、本体4の空間部8の側面に沿って移動する移動部材として機能すると共に、それ自体により空間部8の側面を開閉可能に覆う側面カバーとして機能するものとしている。この幕体9eの位置の保持手段としては、折り構造自体を保形力を有するものとし、その保形力を利用して任意の開閉度に保持するものとすることができる。また、前記背面カバーと底面カバーに相当するカバー部材を有するようにしてもよい。カバー部材としては、例えば、2つの幕体9eの背面(後辺)を連結する幕体と、2つの幕体9eの底面(底辺)を連結する幕体とを有し、これらと2つの幕体9eを連結した断面略L字状の隅部カバー9とすることができる。
【0038】
さらに、幕体9eは、図示は省略するが、その伸縮をガイドするように空間部8の側面に沿って揺動する板体又は棒体(移動部材の一例)を一体のものとして有するものとすることができる。すなわち、移動部材として機能する板体又は棒体の揺動に従動して空間部8の側面を開閉するものとし、移動部材と協働して空間部8の側面を開閉する側面カバーとして機能するものとすることができる。この場合、幕体9eの位置の保持手段は、それら板体又は棒体を任意の位置に保持する手段として設けることができる。なお、伸縮をガイドする板体又は棒体を有するものとする場合、幕体9eは折り構造のないものとしてもよい。
【0039】
以上この発明の実施形態について図面を参照しつつ説明したが、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で適宜構成を変更することができる。
【0040】
例えば、隅部カバー9は、空間部8の側面に沿って本体4の高さ方向又は奥行き方向に直動して移動部材として機能すると共に、空間部8の側面を開閉可能に覆う側面カバーとして機能する1以上の板体からなるものとしてもよい。また、空間部8の側面に沿って本体4の高さ方向又は奥行き方向に直動して移動部材として機能する1以上の板体又は棒体と、その1以上の板体又は棒体の移動にガイドされて変形し、その1以上の板体又は棒体と協働して空間部8の側面を開閉可能に覆う側面カバーとして機能する布等の幕体とからなるものとしてもよい。
【0041】
また、面取り部7を形成したことにより本体4の背面に形成される開口を、移動部材と協働して閉鎖する、隅部カバー9としてのカバー部材は、本体4内にゴミ等が侵入することを防止することができればよく、その他の形状のものであってもよい。ここで、移動部材とカバー部材とは別部材で構成されてよいし、一体として構成されてもよい。
【0042】
即ち、隅部カバー9として、トンネルの内壁W形状に合わせて消火栓装置1(本体4)の背面側形状を変形可能としつつ、本体4の背面に形成される開口を略閉鎖できるものであればよい。なお、隅部カバー9は、トンネルの内壁Wをカバー部材として利用して、本体4の背面に形成される開口を略閉鎖する構成であってもよい。つまり、前記背面カバーに相当するカバー部材を省略してもよい。
【0043】
また、隅部カバー9は、移動部材の位置を保持する保持手段を有するものとして説明したが、必ずしも保持手段は必須ではない。消火栓装置1をトンネルの監査路R上に内壁Wに沿って設置する際に、例えば、移動部材が自身の自重等によって、内壁Wに当接し、その状態を維持することで、側面視で、内壁Wとの隙間を略覆えていればよい。
【0044】
上記実施形態によれば、消火栓装置1は、トンネルの内壁W形状に合わせて消火栓装置1(本体4)の背面側形状を変形可能とすることができ、トンネルの内壁Wが箱抜き出来ないような場合でも、設置状態で前面側に突出するのを抑制することができ、また各種の現場(トンネル形状)に対応可能とすることができる。
【符号の説明】
【0045】
1:消火栓装置 2:消火用ホース 3:ホース収納部 4:本体
4a:側板 5:前面パネル 5a:開口 5b,5c:前面扉
6:配管部 7:面取り部 8:空間部 9:隅部カバー
9a:板体(複数枚) 9b:軸支部 9c:板体(一枚) 9d:軸支部
9e:幕体 10:保持部材 10a:保持アーム 10b:穴
10c:ボルト 10d:軸支部
W:内壁(トンネル) R:監査路(トンネル)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8