特許第6735618号(P6735618)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6735618
(24)【登録日】2020年7月16日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】用紙検出装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/14 20060101AFI20200728BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20200728BHJP
【FI】
   B65H7/14
   B41J15/04
【請求項の数】1
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-132474(P2016-132474)
(22)【出願日】2016年7月4日
(65)【公開番号】特開2018-2406(P2018-2406A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507351883
【氏名又は名称】シチズン・システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊井 健弘
(72)【発明者】
【氏名】神山 卓郎
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−273655(JP,A)
【文献】 特開平01−299490(JP,A)
【文献】 特開2007−302458(JP,A)
【文献】 特開昭61−007155(JP,A)
【文献】 特開2003−146482(JP,A)
【文献】 特開2014−191330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/36
B65H 7/00− 7/20
B65H 29/52
B65H 43/00−43/08
B41J 11/00−15/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が差し込まれる用紙供給口と前記用紙に印字する印字機構との間に配置され、前記用紙が通過するガイド面を有する用紙ガイドと、
前記用紙の所定位置を検出する光学センサを有する用紙検出手段と、
前記ガイド面に形成され、前記用紙検出手段が内側に配置されて前記光学センサを露出させる開口部と、
前記ガイド面に設けられ、少なくとも前記用紙検出手段と前記開口部との用紙搬送方向上流側の第1境界位置を覆っている透明なガイドカバーと、
を備え
前記ガイドカバーは、前記用紙検出手段と前記開口部との用紙搬送方向下流側の第2境界位置の手前位置までを覆い、
前記開口部の用紙搬送方向の下流側の開口縁部は、前記ガイドカバーの用紙搬送方向下流側のカバー縁部よりもへこんでいる
ことを特徴とする用紙検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙が通過するガイド面に、用紙検出手段の光学センサを露出させる開口部が形成された用紙ガイドを備えた用紙検出装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール状に巻かれた長尺の台紙に所定の間隔をあけてラベルを貼り付けたラベル紙や、蛇腹状に折り畳まれた長尺の用紙にタグが連続的に形成されたタグ紙に印字を行うプリンタがある。これらのプリンタでは、ラベル紙やタグ紙等の用紙の所定位置に対して印字を行う必要があるため、用紙の所定の位置を検出する用紙検出装置が搭載されている。ここで、用紙検出装置としては、用紙が差し込まれる用紙供給口と用紙に印字する印字機構との間に配置された用紙ガイドを備え、この用紙ガイドが有するガイド面に、用紙検出手段の光学センサを露出させる開口部が形成されたものが知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−148884号公報
【特許文献2】特開2003−146482号公報
【特許文献3】実開平03−102547号公報
【特許文献4】実開昭63−063452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の用紙検出装置では、用紙ガイドのガイド面が開閉可能なカバーで覆われている。そのため、このカバーを閉じた状態で用紙供給口から印字機構に向かって用紙を差し込む場合には、ガイド面に形成された開口部の開口縁部や、用紙検出手段に用紙が引っ掛かってしまうという問題が生じていた。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、カバーを閉じた状態で用紙供給口から差し込んだ用紙を、途中で引っ掛かることなく印字機構まで円滑に到達させることができる用紙検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の用紙検出装置は、用紙が差し込まれる用紙供給口と前記用紙に印字する印字機構との間に配置され、前記用紙が通過するガイド面を有する用紙ガイドと、前記用紙の所定位置を検出する光学センサを有する用紙検出手段と、前記ガイド面に形成され、前記用紙検出手段が内側に配置されて前記光学センサを露出させる開口部と、前記ガイド面に設けられ、少なくとも前記用紙検出手段と前記開口部との用紙搬送方向上流側の第1境界位置を覆っている透明なガイドカバーと、を備えている。
そして、前記ガイドカバーは、前記用紙検出手段と前記開口部との用紙搬送方向下流側の第2境界位置の手前位置までを覆い、前記開口部の用紙搬送方向の下流側の開口縁部は、前記ガイドカバーの用紙搬送方向下流側のカバー縁部よりもへこんでいる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の用紙検出装置によれば、カバーを閉じた状態で用紙供給口から差し込んだ用紙を、印字機構まで円滑に到達させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1のプリンタにおいて、カバーを閉じた使用状態を示す斜視図である。
図2】実施例1のプリンタにおいて、カバーを開いた状態を示す斜視図である。
図3】実施例1のプリンタにおいて、図2とは異なる角度から見たときのカバーを開いた状態を示す斜視図である。
図4】実施例1のプリンタの図1におけるA−A線に沿った断面図である。
図5】実施例1の用紙検出装置の下側用紙ガイドを示す分解斜視図である。
図6】実施例1の用紙検出装置の下側用紙ガイドを示す平面図である。
図7】実施例1の用紙検出装置の上側用紙ガイドを示す斜視図である。
図8】実施例1の用紙検出装置の上側用紙ガイドを示す平面図である。
図9】実施例1の用紙検出装置の下側用紙ガイド及び上側用紙ガイドを含む図4の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の用紙検出装置及びプリンタを実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【0010】
(実施例1)
まず、実施例1の用紙検出装置及びプリンタの構成を、「プリンタの全体構成」、「用紙検出装置の詳細構成」に分けて説明する。
【0011】
[プリンタの全体構成]
図1図3は実施例1のプリンタを示す斜視図であり、図4図1におけるA−A線に沿った断面図である。以下、図1図4に基づき、実施例1のプリンタの全体構成を説明する。
【0012】
実施例1のプリンタ1は、印字面に特殊な薬品を塗った用紙100に、サーマルヘッド21から熱を加えることによって化学反応を誘発し、発色させる印字方式(感熱方式)によって印字を行うサーマルプリンタである。このプリンタ1は、本体10と、本体10の上部を覆うカバー20と、を備えており、本体10に設けられた開閉ボタン11を押下することでカバー20が図2及び図3に示すように側方に回動して開く。
【0013】
このプリンタ1は、カバー20を閉じた状態で使用され、図4に示すように、本体10とカバー20との境界に形成された用紙供給口12aから用紙100が供給され、カバー20によって覆われた領域で用紙100に印字したら、本体10とカバー20との境界に形成された用紙排出口12bから印字済みの用紙100が排出される。すなわち、用紙供給口12aから用紙排出口12bへと向かう方向が用紙搬送方向Xとなる。また、「用紙搬送方向Xの上流側」とは、より用紙供給口12aに近い側であり、「用紙搬送方向Xの下流側」とは、より用紙排出口12bに近い側である。なお、このプリンタ1は、カバー20が開いた状態で、本体10及びカバー20の内部に配設された部品の点検や交換等のメンテナンス等が実施可能である。また、用紙100は、ここでは蛇腹状に折り畳まれた長尺のタグ紙であり、図示しないが、複数の位置決め用のマーク(ブラックマーク)が一定間隔をあけてあらかじめ印刷されている。
【0014】
そして、本体10には、図2及び図3に示すように、プラテンローラ13と、オートカッターユニット14と、用紙挿入ガイド15と、が設けられている。
【0015】
プラテンローラ13は、本体10に回動可能に保持されており、サーマルヘッド21に対向し、用紙100を下側からサーマルヘッド21に向かって押さえる。これにより、印字時、用紙100はサーマルヘッド21とプラテンローラ13とにより挟持される。また、サーマルヘッド21とプラテンローラ13との間に用紙100を挟持した状態でプラテンローラ13が回転することで、用紙100が搬送される。
【0016】
オートカッターユニット14は、プラテンローラ13と用紙排出口12bとの間に配置され、プラテンローラ13から搬送された用紙100を所定位置で切断する。
【0017】
用紙挿入ガイド15は、先端先細りの枠形状を呈し、用紙供給口12aに先細りの先端が差し込まれて用紙100の供給位置を規制する。
【0018】
一方、カバー20の内部には、図3に示すように、本体10側のプラテンローラ13に対向する部分にサーマルヘッド21が設けられている。また、このカバー20の表側には、複数の操作ボタン22a及び液晶表示画面22bを有する操作ユニット22が設けられている(図1参照)。サーマルヘッド21は、ライン状に並んだ微小な発熱体を有し、データに応じた発熱体を加熱することで、熱を加えることで反応する用紙100に文字や絵を印字する印字ヘッドである。このサーマルヘッド21とプラテンローラ13によって、用紙100に印字する印字機構を構成している。なお、プラテンローラ13が回転することで用紙100が搬送されるため、この実施例1の印字機構は、搬送機能を有することとなる。
【0019】
さらに、このプリンタ1には、用紙100の所定の位置を検出する用紙検出装置30が搭載されている。なお、「用紙100の所定の位置」とは、この用紙100に予め印刷された位置決め用のマークの位置である。この用紙検出装置30は、用紙供給口12aと、プラテンローラ13及びサーマルヘッド21からなる印字機構との間に配置されている。
【0020】
[用紙検出装置の詳細構成]
図5及び図6は実施例1の用紙検出装置の下側用紙ガイドを示し、図7及び図8は実施例1の用紙検出装置の上側用紙ガイドを示し、図9は実施例1の用紙検出装置の下側用紙ガイド及び上側用紙ガイドを含む図4の要部拡大図である。以下、図5図9に基づき、実施例1の用紙検出装置の詳細構成を説明する。
【0021】
用紙検出装置30は、下側用紙ガイド31(用紙ガイド)と、上側用紙ガイド32(用紙ガイド)と、下側用紙検出ユニット33(用紙検出手段)と、上側用紙検出ユニット34(用紙検出手段)と、ガイドカバー35と、を備えている。
【0022】
下側用紙ガイド31は、本体10の上部に設けられ、用紙100の下面に対向する下側ガイド面31aを有している。この下側ガイド面31aの上方を、用紙100が通過する(図9参照)。そして、この下側用紙ガイド31の下側ガイド面31aには、図5に示すように、下側へこみ部31b(へこみ部)と、長孔31cと、目盛り用へこみ部31dと、止めネジ用穴31xと、が形成されている。
【0023】
下側へこみ部31bは、下側ガイド面31aに形成されたへこみ段差31eによって区画され、このへこみ段差31eよりも用紙搬送方向Xの上流側の下側ガイド面31aよりへこんだ領域である。へこみ段差31eは、図9に拡大して示すように、ガイドカバー35の厚み寸法(ここでは、ガイドカバー35の厚みと両面テープ37の厚みとの合計寸法W1)よりも高さ寸法H1が大きくなっている。つまり、へこみ段差の31eの高さ寸法H1によって決まる下側へこみ部31bの深さ寸法は、ガイドカバー35の厚み寸法よりも大きい。そして、この下側へこみ部31bは、へこみ段差31eを境界としたへこみ面31fを有している。
【0024】
長孔31cは、下側へこみ部31bに貫通形成され、用紙搬送方向Xに対して直交する方向に沿って直線状に延在されている。そして、この長孔31cの下側ガイド面31a側の開口が、下側用紙検出ユニット33の後述する第1光学センサ33bを露出させる開口部31g(下側開口部)となる。また、この長孔31cは、用紙搬送方向Xに対して直交する方向に延びる内面両側に、長孔31cの延在方向に沿って凹凸を繰り返す波形状部31hが形成されている。この波形状部31hは、用紙搬送方向Xに突出した凸部と、陥凹した凹部とが交互に配列されて形成されている(図6参照)。
【0025】
目盛り用へこみ部31dは、下側へこみ部31bに形成されており、へこみ面31fをさらにへこませることで形成されている。また、この目盛り用へこみ部31dは、へこみ段差31eと長孔31cとの間に位置し、特にこの実施例1では、開口部31gの用紙搬送方向Xの上流側の開口縁部36Aに近接している。そして、この目盛り用へこみ部31dは、用紙搬送方向Xに対して直交する方向に沿って直線状に延在され、内側に目盛りシート31j(目盛り表示部)が貼り付けられている。
【0026】
止めネジ用穴31xは、下側用紙ガイド31を本体10に固定するための止めネジ(不図示)が貫通する穴である。下側ガイド面31aの適宜の位置に形成されている。
【0027】
上側用紙ガイド32は、カバー20の内部に設けられて、用紙100の上面に対向する上側ガイド面32aを有している。この上側ガイド面32aの下方を、用紙100が通過する(図9参照)。そして、この上側用紙ガイド32の上側ガイド面32aには、図7に示すように、上側へこみ部32bと、第1長孔321cと、第2長孔322c(上側開口部)と、目盛り用へこみ部32dと、が形成されている。
【0028】
上側へこみ部32bは、上側ガイド面32aに形成されたへこみ段差32eによって区画され、このへこみ段差32eよりも用紙搬送方向Xの上流側の上側ガイド面32aよりへこんだ領域である。そして、この上側へこみ部32bは、へこみ段差32eを境界としたへこみ面32fを有している。
【0029】
第1長孔321cは、上側へこみ部32bに貫通形成され、用紙搬送方向Xに対して直交する方向に沿って直線状に延在されている。この第1長孔321cは、用紙搬送方向Xの上流側の開口縁部が、へこみ段差32eの一部によって構成されている。なお、上側用紙ガイド32の裏側(上側ガイド面32aの反対面)には、図9に示すように、この第1長孔321cを挟んで対向する一対の波型壁面32g,32gが形成されている。一対の波型壁面32g,32gは、互いの対向面に第1長孔321cの延在方向に沿って交互に配列された凹部と凸部を有している(図7参照)。
【0030】
第2長孔322cは、上側へこみ部32bに貫通形成され、用紙搬送方向Xに対して直交する方向に沿って直線状に延在されている。この第2長孔322cは、第1長孔321cよりも用紙搬送方向Xの下流側に位置している。
【0031】
目盛り用へこみ部32dは、上側へこみ部32bに形成されており、へこみ面32fをさらにへこませることで形成されている。また、この目盛り用へこみ部32dは、第1長孔321cと第2長孔322cとの間に位置している。そして、この目盛り用へこみ部32dは、用紙搬送方向Xに対して直交する方向に沿って直線状に延在され、内側に目盛りシート32jが貼り付けられている。
【0032】
下側用紙検出ユニット33は、下側用紙ガイド31の下側ガイド面31aに形成された長孔31cの内側に配置され、ベース33aと、第1光学センサ33b(下側センサ)と、を有している。
【0033】
ベース33aは、底面が開放した中空筐体形状を呈し、下方に突出した複数の爪部33cを有している。複数の爪部33cは、それぞれ長孔31cを貫通し、下側用紙ガイド31の裏面(下側ガイド面31aの反対面)に先端が係止している(図9参照)。また、ベース33aの用紙搬送方向Xに沿った方向の幅は、長孔31cの幅よりも僅かに小さく設定されており、このベース33aは長孔31cの延在方向に沿って移動可能となっている。さらに、このベース33aの上面には、内側に固定される第1光学センサ33bを露出させる窓部33dが貫通形成され、ベース33aの波形状部31hに対向した両側面には、いずれも移動用へこみ部33eと、突起33fと、切込み33gと、が形成されている。 なお、長孔31cの開口部31gは、用紙搬送方向Xの上流側の開口縁部36Aが、長孔31cの内部に配置されたベース33aの上面を突出させない高さに設定されている。
【0034】
そして、このベース33aは、図6に示すように、突起33fが波形状部31hのいずれかの凹部に係合することで、移動方向(用紙搬送方向Xに直交する方向)の位置決めがなされる。また、移動用へこみ部33eに用紙搬送方向Xに直交する方向の力をかけると、切込み33gによって剛性が低下したベース33aの側面が内側に向かって弾性変形し、突起33fが波形状部31hの凸部を乗り越えて、ベース33aが長孔31cの延在方向に沿って移動可能となる。
【0035】
第1光学センサ33bは、発光素子と、第1の受光素子と、光学センサ回路と、を備えている。この第1光学センサ33bは、発光素子及び第1の受光素子が、上側用紙検出ユニット34に向いた状態で、ベース33aの内側に固定されている。このとき、発光素子及び第1の受光素子は、窓部33dに臨んでいる。
【0036】
上側用紙検出ユニット34は、上側用紙ガイド32の裏面上に配置され、第1,第2長孔321c,322cに沿って移動可能となっている。この上側用紙検出ユニット34は、第1長孔321cに臨むアジャスト部34aと、第2長孔322cに臨むセンサ部34bと、を有している。
【0037】
ここで、アジャスト部34aは、上側用紙ガイド32の一対の波型壁面32g,32gの間に配置され、波型壁面32gの凹部に係合する突起が形成されている。また、このアジャスト部34aは、第1長孔321cに臨む凹凸面を有し、この凹凸面に用紙搬送方向Xに直交する方向の力をかけると、アジャスト部34aに形成された突起が波型壁面32gの凸部を乗り越え、上側用紙検出ユニット34が第1長孔321cに沿って移動する。また、センサ部34bには、第2の受光素子からなる第2光学センサ34c(上側センサ)が取り付けられており、アジャスト部34aの移動に伴って第2長孔322cの延在方向に沿って移動する。なお、第2長孔322cは、下側用紙検出ユニット33の第1光学センサ33bの移動領域に対向している。そのため、第1光学センサ33bの移動方向の位置に対し、第2光学センサ34cの移動方向の位置を適切に調整することで、第1光学センサ33bと第2光学センサ34cを対向させることができる。
【0038】
ガイドカバー35は、無色透明なアクリルプレートであり、凹凸のない平坦な板部材である。このガイドカバー35は、下側用紙ガイド31の下側ガイド面31aに形成された下側へこみ部31bの内部に、両面テープ37(図9参照)を介して貼り付け固定されている。なお、両面テープ37による接着領域は、図6においてドットで示す領域であり、開口部31gや目盛り用へこみ部31d、止めネジ用穴31x等には干渉しない。また、ここでは、ガイドカバー35に、止めネジ用穴31xを露出させる開口部35xが形成されている。
【0039】
そして、このガイドカバー35は、図6に示すように、へこみ段差31eから、下側用紙検出ユニット33と開口部31gとの用紙搬送方向Xの下流側の第2境界位置βの手前位置までを覆っている。つまり、ガイドカバー35は、用紙搬送方向Xの上流側のカバー縁部35aがへこみ段差31eに接し、用紙搬送方向Xの下流側のカバー縁部35bが長孔31cの上方に位置している。これにより、目盛り用へこみ部31dの内側に貼り付けられた目盛りシート31jと、下側用紙検出ユニット33と開口部31gとの用紙搬送方向Xの上流側の第1境界位置αは、ガイドカバー35によって覆われる。
【0040】
ここで、「下側用紙検出ユニット33と開口部31gとの用紙搬送方向Xの上流側の第1境界位置α」とは、図9に拡大して示すように、開口部31gの用紙搬送方向Xの上流側の開口縁部36Aと、下側用紙検出ユニット33のベース33aの用紙搬送方向Xの上流側の端縁36Bが移動する領域との間の部分である。この第1境界位置αがガイドカバー35によって覆われることで、開口部31gの用紙搬送方向Xの上流側の開口縁部36Aは、ガイドカバー35によって完全に覆われる。また、下側用紙検出ユニット33のベース33aの用紙搬送方向Xの上流側の端縁36Bが移動する領域も、ガイドカバー35によって完全に覆われる。
【0041】
そして、「下側用紙検出ユニット33と開口部31gとの用紙搬送方向Xの下流側の第2境界位置β」とは、図9に拡大して示すように、開口部31gの用紙搬送方向Xの下流側の開口縁部36Cと、下側用紙検出ユニット33のベース33aの用紙搬送方向Xの下流側の端縁36Dが移動する領域との間の部分である。この第2境界位置βの手前位置までをガイドカバー35によって覆うことで、ベース33aの用紙搬送方向Xの下流側の端縁36Dは、ガイドカバー35と開口部31gとの間から露出し、ベース33aに形成された移動用へこみ部33eの押圧が可能となる。
【0042】
さらに、実施例1では、図9に示すように、長孔31cの開口部31gの用紙搬送方向Xの下流側の開口縁部36Cが、ガイドカバー35の用紙搬送方向Xの下流側のカバー縁部35bよりもへこんでいる。
【0043】
次に、実施例1の用紙検出装置30及びプリンタ1における作用を説明する。
【0044】
実施例1のプリンタ1を使用するには、まず、用紙100をセットする。この用紙100のセットは、いわゆるオートロードにより行う。つまり、カバー20を閉じた状態(図1に示す状態)で、手作業により用紙供給口12aに長尺の用紙100の先端を差し込む。そして、この用紙100の先端が、プラテンローラ13とサーマルヘッド21の間に達するまで手作業により用紙100を送り込む。そして、用紙100の先端がプラテンローラ13とサーマルヘッド21の間に達すれば、プラテンローラ13を回転させ、このプラテンローラ13とサーマルヘッド21による搬送力で用紙100を印字可能位置まで搬送する。これにより、用紙100のオートロードによる用紙100のセットが完了する。
【0045】
ここで、用紙100の先端がプラテンローラ13とサーマルヘッド21の間に達するまで用紙100を送り込む際、用紙100の先端は、プリンタ1に搭載された用紙検出装置30の下側用紙ガイド31と上側用紙ガイド32の間に生じた隙間を通過する必要がある。一方、このとき用紙100の先端は、自重によって下方に引っ張られ、下側用紙ガイド31に接しながら送り込まれる。
【0046】
これに対し、実施例1の用紙検出装置30では、下側用紙ガイド31の下側ガイド面31aに、ガイドカバー35が両面テープ37を介して貼り付け固定されている。そして、このガイドカバー35によって、下側ガイド面31aに形成されたへこみ段差31eから、下側用紙検出ユニット33と開口部31gとの用紙搬送方向Xの下流側の第2境界位置βの手前位置までが覆われている。
【0047】
ここで、このガイドカバー35は、平坦なアクリルプレートであり、止めネジ用穴31xを露出させる開口部35xが形成されているものの、凹凸がない。すなわち、下側ガイド面31aに形成された目盛り用へこみ部31dや、下側用紙検出ユニット33と開口部31gとの用紙搬送方向Xの上流側の第1境界位置αは平坦な面に覆われ、第1境界位置α等の上方は平坦な面になっている。
【0048】
そのため、用紙100の先端がプリンタ1の内部に送り込まれた際、下側用紙ガイド31に接しても、プラテンローラ13とサーマルヘッド21の間に達する途中で引っかかることなく円滑に送り込むことができる。なお、ガイドカバー35が透明であるため、長孔31cの内部に配置された下側用紙検出ユニット33の第1光学センサ33bを遮られることはない。
【0049】
すなわち、用紙検出装置30では、当該用紙検出装置30としての機能(用紙100の所定位置を検出する機能)を満足させるため、下側ガイド面31aに設けられた下側用紙検出ユニット33の第1光学センサ33bを露出する必要がある。そして、この第1光学センサ33bを露出させるためには、下側用紙ガイド31に形成された長孔31cの開口部31gは必須要件である。つまり、用紙検出装置30において、下側ガイド面31aに、長孔31cの開口部31gを形成することによる凹凸の発生は避けられない。
【0050】
しかしながら、実施例1のように、透明のガイドカバー35によって下側用紙検出ユニット33と開口部31gとの用紙搬送方向Xの上流側の第1境界位置αを覆うことで、下側用紙検出ユニット33の機能を阻害することなく、この第1境界位置αの上方を平坦にすることができる。この結果、カバー20を閉じた状態で用紙供給口12aから差し込んだ用紙100を、途中で引っ掛かることなく印字機構(プラテンローラ13とサーマルヘッド21の間の位置)まで円滑に到達させることができる。
【0051】
また、この実施例1では、下側ガイド面31aに、ガイドカバー35の厚み寸法W1よりも深さ寸法H1が大きい下側へこみ部31bが形成され、ガイドカバー35が、この下側へこみ部31bの内側に設けられている。そのため、ガイドカバー35よりも用紙搬送方向Xの上流側の下側ガイド面31aが、ガイドカバー35よりも高くなり、ガイドカバー35の用紙搬送方向Xの上流側のカバー縁部35aが、へこみ段差31eから突出することがない。これにより、用紙100をプリンタ1の内部に送り込む際、用紙100の先端が自重によって下方に引っ張られても、ガイドカバー35に引っ掛かることなく円滑に搬送することができる。
【0052】
特に、この実施例1では、ガイドカバー35の用紙搬送方向Xの上流側のカバー縁部35aがへこみ段差31eに接している。そのため、へこみ段差31eとカバー縁部35aとの間に隙間が生じず、このへこみ段差31eとカバー縁部35aとの隙間に用紙100の先端が引っ掛かることを防止できる。
【0053】
さらに、この実施例1では、長孔31cの開口部31gが、用紙搬送方向Xに対して直交する方向に延在され、この長孔31cの内部に配置された下側用紙検出ユニット33が、開口部31gの延在方向に沿って移動可能に設けられている。そして、ガイドカバー35は、下側用紙検出ユニット33と開口部31gとの用紙搬送方向Xの下流側の第2境界位置βの手前位置までを覆っている。すなわち、第2境界位置βはガイドカバー35によって覆われておらず、露出している(図9参照)。
【0054】
そのため、下側用紙検出ユニット33のベース33aは、用紙搬送方向Xの下流側の端縁36Dが、ガイドカバー35と開口部31gの用紙搬送方向Xの下流側の開口縁部36Cとの間から露出する。これにより、このガイドカバー35と開口縁部36Cとの間に、例えば細い棒等を差し入れて、この細い棒等によりベース33aに形成された移動用へこみ部33eを押圧することが可能となる。そして、下側用紙検出ユニット33を開口部31gの延在方向に沿って移動させることができる。
【0055】
一方、開口部31gの用紙搬送方向Xの下流側の開口縁部36Cは、ガイドカバー35の用紙搬送方向Xの下流側のカバー縁部35bよりもへこんでいる。つまり、用紙搬送方向Xの上流から下流に向かって、下側ガイド面31aに生じた凹凸が低くなっている。これにより、用紙100をプリンタ1の内部に送り込む際、用紙100の先端が自重によって下方に引っ張られても、開口部31gの用紙搬送方向Xの下流側の開口縁部36Cに引っ掛かりにくくすることができ、円滑に搬送することができる。
【0056】
さらに、この実施例1では、下側ガイド面31aに目盛り用へこみ部31dが形成され、この目盛り用へこみ部31dの内側に目盛りシート31jが貼り付けられている。なお、この目盛りシート31jに記載されている目盛りによって、下側用紙検出ユニット33の移動方向の位置を把握することができ、上側用紙検出ユニット34との位置関係を適切に調整することができる。
【0057】
実施例1では、この目盛りシート31jが、図9に示すように、ガイドカバー35によって覆われており、目盛りシート31jの上方が平坦な面になっている。そのため、下側用紙検出ユニット33の移動方向の位置を把握可能としつつ、用紙100をプリンタ1の内部に送り込むときの用紙100の引っ掛かりを防止することができる。
【0058】
そして、この実施例1では、ガイドカバー35が、下側用紙ガイド31に設けられ、下側ガイド面を平坦な面にしている。これにより、用紙100の先端が、自重によって下方に引っ張られ、下側用紙ガイド31に接しながら送り込まれても、用紙100の引っ掛かりを防止して、円滑に搬送可能とすることができる。
【0059】
(変形例)
実施例1の用紙検出装置30では、ガイドカバー35を下側用紙ガイド31の下側ガイド面31aに設けた例を示した。しかしながら、これに限らず、上側用紙ガイド32の上側ガイド面32aにガイドカバーを設け、第2長孔322cの開口部と第2光学センサ34cとの用紙搬送方向の上流側の境界位置を覆ってもよい。なお、この場合では、上側用紙検出ユニット34のアジャスト部34aが臨む第1長孔321cを、第2長孔322cよりも用紙搬送方向の下流側に配置することで、上側用紙検出ユニット34を移動可能にすることができる。
【0060】
さらに、ガイドカバーを、実施例1のように下側ガイド面31aのみに設けるのか、下側ガイド面31a及び上側ガイド面32aの両方に設けるのか、上側ガイド面32aのみに設けるのかは、用紙100の形状や、用紙100がロール紙の場合におけるカールの向き、用紙100の重量、厚み、硬さ等に応じて変化する用紙100の引っ掛かりの程度や状態に基づき、用紙100の引っ掛かりが生じないように適宜選択することができる。
【0061】
また、実施例1では、両面テープ37によってガイドカバー35を固定する例を示したが、これに限らない。例えば、下側ガイド面31aにガイドカバー35を保持する爪を設け、この爪によってガイドカバー35を係止して固定してもよい。
【0062】
さらに、実施例1では、ガイドカバー35が無色透明なアクリルプレートによって構成した例を示したが、透光性を有しており、第1光学センサ33bや第2光学センサ34cのセンサ機能を阻害しないものであれば、着色していてもよい。
【0063】
なお、実施例1では、本発明に係るプリンタ1としてサーマルプリンタとした例を示したが、本発明に係るプリンタはサーマルプリンタに限定されるものではなく、インクジェットプリンタやドットプリンタ等種々の形式のプリンタに適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 プリンタ
10 本体
12a 用紙供給口
12b 用紙排出口
13 プラテンローラ(印字機構)
20 カバー
21 サーマルヘッド(印字機構)
30 用紙検出装置
31 下側用紙ガイド
31a 下側ガイド面
31b 下側へこみ部
31c 長孔
31d 目盛り用へこみ部
31g 開口部
31j 目盛りシート
32 上側用紙ガイド
32a 上側ガイド面
32b 上側へこみ部
321c 第1長孔
322c 第2長孔
32d 目盛り用へこみ部
32j 目盛りシート
33 下側用紙検出ユニット(用紙検出手段)
33a ベース
33b 第1光学センサ
34 上側用紙検出ユニット(用紙検出手段)
35 ガイドカバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9