(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリマー(A)がシリル化ポリウレタン(SPUR)、シリル化ポリエステル、シリル化ポリエーテル、シリル化ポリカーボネート、シリル化ポリオレフィン、シリル化ポリエステルエーテル、及びそれらの2又はより多くの組み合わせから選択される、請求項1から11のいずれかの組成物。
架橋剤又は鎖延長剤(B)が、アルコキシシラン、アルコキシシロキサン、オキシモシラン、オキシモシロキサン、エノキシシラン、エノキシシロキサン、アミノシラン、アミノシロキサン、カルボキシシラン、カルボキシシロキサン、アルキルアミドシラン、アルキルアミドシロキサン、アリールアミドシラン、アリールアミドシロキサン、アルコキシアミノシラン、アルキルアリールアミノシロキサン、アルコキシカルバメートシラン、アルコキシカルバメートシロキサン、又はこれらの2又はより多くの組み合わせから選択される、請求項1から14のいずれかの組成物。
架橋剤又は鎖延長剤(B)が、テトラエチルオルソシリケート(TEOS);メチルトリメトキシシラン(MTMS);メチルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン;ビニルトリエトキシシラン;メチルフェニルジメトキシシラン;3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン;メチルトリアセトキシシラン;ビニルトリアセトキシシラン;エチルトリアセトキシシラン;ジ-ブトキシジアセトキシシラン;フェニルトリプロピオンオキシシラン;メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン;ビニルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン;3,3,3-トリフルオロプロピルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン;メチルトリス(イソプロペノキシ)シラン;ビニルトリス(イソプロペノキシ)シラン;エチルポリシリケート;ジメチルテトラアセトキシジシロキサン;テトラ-n-プロピルオルソシリケート;メチルジメトキシ(エチルメチルケトキシモ)シラン;メチルメトキシビス(エチルメチルケトキシモ)シラン;メチルジメトキシ(アセトアルドキシモ)シラン;メチルジメトキシ(N-メチルカルバメート)シラン;エチルジメトキシ(N-メチルカルバメート)シラン;メチルジメトキシイソプロペノキシシラン;トリメトキシイソプロペノキシシラン;メチルトリイソプロペノキシシラン;メチルジメトキシ(ブト-2-エン-2-オキシ)シラン;メチルジメトキシ(1-フェニルエテノキシ)シラン;メチルジメトキシ-2-(1-カルボエトキシプロペノキシ)シラン;メチルメトキシジ(N-メチルアミノ)シラン;ビニルジメトキシ(メチルアミノ)シラン;テトラ-N,N-ジエチルアミノシラン;メチルジメトキシ(メチルアミノ)シラン;メチルトリ(シクロヘキシルアミノ)シラン;メチルジメトキシ(エチルアミノ)シラン;ジメチルジ(N,N-ジメチルアミノ)シラン;メチルジメトキシ(イソプロピルアミノ)シラン;ジメチルジ(N,N-ジエチルアミノ)シラン;エチルジメトキシ(N-エチルプロピオンアミド)シラン;メチルジメトキシ(N-メチルアセトアミド)シラン;メチルトリス(N-メチルアセトアミド)シラン;エチルジメトキシ(N-メチルアセトアミド)シラン;メチルトリス(N-メチルベンズアミド)シラン;メチルメトキシビス(N-メチルアセトアミド)シラン;メチルジメトキシ(カプロラクタモ)シラン;トリメトキシ(N-メチルアセトアミド)シラン;メチルジメトキシ(エチルアセトイミダト)シラン;メチルジメトキシ(プロピルアセトイミダト)シラン;メチルジメトキシ(N,N',N'-トリメチルウレイド)シラン;メチルジメトキシ(N-アリル-N',N'-ジメチルウレイド)シラン;メチルジメトキシ(N-フェニル-N',N'-ジメチルウレイド)シラン;メチルジメトキシイソシアネートシラン;ジメトキシジイソシアネートシラン;メチルジメトキシイソチオシアネートシラン;メチルメトキシジイソチオシアネートシラン、これらの縮合物、又はこれらの2又はより多くの組み合わせから選択される、請求項1から15のいずれかの組成物。
(アミノアルキル)トリアルコキシシラン、(アミノアルキル)アルキルジアルコキシシラン、ビス(トリアルコキシシリルアルキル)アミン、トリス(トリアルコキシシリルアルキル)アミン、トリス(トリアルコキシシリルアルキル)シアヌレート、トリス(トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレート、(エポキシアルキル)アルキルジアルコキシシラン、(エポキシアルキル)トリアルコキシシラン、又はこれらの2又はより多くの組み合わせから選択される接着促進剤成分(D)を含む、請求項1から16のいずれかの組成物。
組成物が:(i)ポリマー成分(A)、任意選択で充填材成分(E)、及び任意選択で酸性成分(F)を含む第1部;並びに(ii)架橋剤(B)、アクセラレータ(C)、接着促進剤(D)、及び酸性成分(F)を含む第2部を含む2成分形組成物であり、(i)及び(ii)が、成分(i)及び(ii)を混合して硬化のために適用するまで別個に貯蔵される、請求項1から18のいずれかの組成物。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、縮合アクセラレータとして金属−アレーン錯体を用いた硬化性組成物を提供する。金属−アレーン錯体は、シリコーンの水分支援縮合硬化を加速して、シーラント及びRTV(室温硬化性ゴム)、シリコーン発泡体、又はシリコーン剥離コーティングとして使用可能な架橋シリコーンをもたらすについて、DBTDLのような有機スズ化合物を用いた組成物と比較して同等の、或いはより優れた硬化特性を示すことが見出された。金属−アレーン錯体はまた、改善された貯蔵安定性を示す。
【0031】
本明細書で用いるところでは、「アルキル」は直鎖、分岐鎖、及び環状のアルキル基を含む。アルキルの非限定的な具体例は、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、エチルヘキシルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本明細書で用いるところでは、「置換アルキル」は、1又はより多くの置換基を含むアルキル基を含み、それらの置換基は、それらの置換基を含む化合物に対するプロセス条件に対して不活性である。置換基はまた、そうしたプロセスに対して実質的に干渉しない。本明細書で用いるところでは、非置換とは、特定の部分がその構成原子上に水素原子を担持していること、例えば非置換メチルはCH
3であることを意味する。置換とは、その基が有機化学で既知の典型的な官能基を担持していることを意味する。
【0033】
本明細書で用いるところでは、「アリール」は、一つの水素原子が除かれている、あらゆる芳香族炭化水素の非限定的な群を含む。アリールは1又はより多くの芳香環を有してよく、芳香環は縮合していてよく、単結合その他の基によって接続されていてもよい。アリールの非限定的な具体例には、トリル、キシリル、フェニル、ナフタレニルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0034】
本明細書で用いるところでは、「置換アリール」は、上記「置換アルキル」の定義において記載したように置換された芳香族基を含む。アリールの場合と同様に、置換アリールもまた1又はより多くの芳香環を有してよく、芳香環は縮合していてよく、単結合その他の基によって接続されていてもよい。しかしながら置換アリールがヘテロ芳香環を有する場合、置換アリール基の自由原子価は炭素ではなく、ヘテロ芳香環のヘテロ原子(窒素のような)でありうる。一つの実施形態では、本明細書における置換アリール基は、1から約30の炭素原子を含む。
【0035】
本明細書で用いるところでは、「アラルキル」はアリール基で置換されたアルキル基を含む。
【0036】
「シクロアルキル」という用語は、飽和又は部分飽和した、単環式、縮合多環式、或いはスピロ多環式の炭素環を意味している。
【0037】
本明細書で用いるところでは、「ヘテロアルキル」、「ヘテロアリール」などといった「ヘテロ」化合物は、O、N、P、Sなどのヘテロ原子を含有する化合物を含む。
【0038】
用語「ヒドロカルビルオキシ」は、本明細書で用いるところではラジカルRO、即ち一価のオキシ炭化水素基であり、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アルケノキシ、並びに1から20炭素原子のアルキル、シクロアルキル、アルキルアリール若しくはアリールアルキルアルコール、ケトン、アルデヒド又はエステルから誘導された類似のオキシ炭化水素基の如きである。これらのアルコール、ケトン、アルデヒド又はエステルを、本明細書では酸素含有化合物と称する。より典型的には、本発明において用いられる酸素含有化合物は、一価のアルカノール、シクロアルカノール、又は芳香族アルコールROHであり、ここでRは1-18の炭素原子を有する炭化水素基である。
【0039】
一つの実施形態では、本発明は、反応性シリル基を含むポリマー成分(A)、架橋剤成分(B)、金属−アレーン錯体を含むアクセラレータ成分(C)、任意選択的に接着促進剤成分(D)、任意選択的に充填材成分(E)、任意選択的に酸性成分(F)、及び任意選択的に補助成分(G)を含有する、硬化性組成物を提供する。
【0040】
別の実施形態において本発明は、ヒドリドシリル基を含むポリマー成分(A)、金属−アレーン錯体を含むアクセラレータ成分(C)、及び任意選択的に補助成分(G)を含有する、硬化性組成物を提供する。
【0041】
ポリマー成分(A)は、反応性シリル基を有する液体系又は固体系のポリマーであってよい。ポリマー成分(A)は特に限定されるものではなく、特定の目的又は意図する用途について所望とされるところの、どのような架橋性ポリマーから選択されてもよい。ポリマー成分(A)について適切なポリマーの非限定的な例には、ポリオルガノシロキサン(A1)又はシロキサン結合を有しない有機ポリマー(A2)が含まれ、ここでポリマー(A1)及び(A2)は反応性シリル基を含む。一つの実施形態では、ポリマー成分(A)は硬化性組成物の約10から約90重量%の量で存在してよい。一つの実施形態では、硬化性組成物は約100重量部のポリマー成分(A)を含有する。
【0042】
上述したように、ポリマー成分(A)には種々のポリオルガノシロキサンが含まれてよい。一つの実施形態では、このポリマー成分は式(1)の1又はより多くのポリシロキサンを含んでよい:
[R
1cR
23-cSi-Z-]
n-X-Z-SiR
1cR
23-c (1)
R
1は直鎖又は分岐鎖のアルキル、直鎖又は分岐鎖のヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、直鎖又は分岐鎖のアラルキル、直鎖又は分岐鎖のヘテロアラルキル、又はこれらの2又はより多くの組み合わせから選択される。一つの実施形態では、R
1はC
1-C
10アルキル、Cl、F、N、O、又はSの1又はより多くで置換されたC
1-C
10アルキル、フェニル、C
7-C
16アルキルアリール、C
7-C
16アリールアルキル、C
2-C
20ポリアルキレンエーテル、又はこれらの2又はより多くの組み合わせから選択されてよい。例示的な好ましい基は、メチル基、トリフルオロプロピル基、及び/又はフェニル基である。
【0043】
R
2は、水のようなプロトン化剤と反応する基であってよい。R
2の例示的な基には、OH、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキルオキシモ、アルキルカルボキシ、アリールカルボキシ、アルキルアミド、アリールアミド、又はこれらの2又はより多くの組み合わせが含まれる。一つの実施形態では、R
2はOH、C
1-C
8アルコキシ、C
2-C
18アルコキシアルキル、アミノ、アルケニルオキシ、アルキルオキシモ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルカルボキシ、アリールカルボキシ、アルキルアミド、アリールアミド、アルキルカルバメート、アリールカルバメート、又はこれらの2又はより多くの組み合わせから選択される。
【0044】
Zは単結合、或いは酸素、O、S、又はN原子の1又はより多くを含みうる炭化水素、アミド、ウレタン、エーテル、エステル、ウレア単位、又はこれらの2又はより多くの組み合わせの群から選択される2価の結合単位であってよい。結合基Zが炭化水素基である場合には、Zはケイ素−炭素結合を介してケイ素原子に結合される。一つの実施形態では、ZはC
1-C
14アルキレンから選択される。
【0045】
Xはポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリエステルエーテル、及びR
13SiO
1/2、R
12SiO、R
1SiO
3/2、及び/又はSiO
2単位を有するポリオルガノシロキサンから選択され、ここでR
1は上記に定義した通りである。Xは、酸素又は炭化水素基を介して上述した反応性基R
2を含むシリル基へと結合したシロキシ単位、炭化水素基を介して上述した反応性基R
2を1又はより多く含むケイ素原子へと結合したポリエーテル、アルキレン、イソアルキレン、ポリエステル、又はポリウレタン単位の群から選ばれる2価又は多価のポリマーユニットであってよい。炭化水素基Xは、N、S、O、又はPの如きヘテロ原子を1又はより多く含むことができ、アミド、エステル、エーテル、ウレタン、エステル、及び/又はウレアを形成する。一つの実施形態では、Xの平均重合度(P
n)は6より大きく、例えばR
13SiO
1/2、R
12SiO、R
1SiO
3/2、及び/又はSiO
2単位を有するポリオルガノシロキサンであるべきである。式(1)において、nは0から100、望ましくは1、そしてcは0から2、望ましくは0から1である。
【0046】
単位Xについての非限定的な例には、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー、ポリオキシテトラメチレン、又はポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレンコポリマーといったポリオキシアルキレンポリマー;エチレン−プロピレンコポリマー、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、イソブチレンとイソプレンのコポリマー、イソプレン又はブタジエンとアクリロニトリル及び/又はスチレンのコポリマー、又はポリオレフィンポリマーの水素化によって生成された水素化ポリオレフィンポリマーといった炭化水素ポリマー;アジピン酸又はフタル酸の如き二塩基酸とグリコールの縮合、或いはラクトンの開環重合によって生成されるポリエステルポリマー;C
2-C
8アルキルアクリレートの如きモノマーのラジカル重合によって生成されるポリアクリル酸エステル、ビニルポリマー、例えばエチルアクリレート又はブチルアクリレートの如きアクリル酸エステルと、ビニルアセテート、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、アクリルアミド、又はスチレンとのアクリル酸エステルコポリマー;上記の有機ポリマーをビニルモノマーと重合して生成されるグラフトポリマー;ポリカーボネート;ポリスルフィドポリマー;ε-カプロラクタムの開環重合によって生成されるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合によって生成されるナイロン6-6、その他の如きポリアミドポリマー、ε-ラウロラクタムの開環重合によって生成されるナイロン12、ポリアミド共重合体、ポリウレタン、又はポリウレアが含まれる。
【0047】
特に適したポリマーには、ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン、ポリイソブチレンの如き飽和炭化水素ポリマー、水素化ポリブタジエン及び水素化ポリイソプレン、又はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリウレアポリマー等が含まれるが、これらに限定されるものではない。さらにまた、飽和炭化水素ポリマー、ポリオキシアルキレンポリマー、及びビニルコポリマーはガラス転移温度が低く、低温、即ち0℃未満において高い柔軟性がもたらされることから特に適している。
【0048】
式(1)における反応性シリル基は、ヒドロシリル化を介して不飽和炭化水素と既知の仕方で反応する能力を有する官能基を含むシランを用いて、或いは縮合又は開環反応を介して反応性シリル基に結合されるプレポリマー中の、SiOH、アミノアルキル又はアミノアルキルアリール、HOOC-アルキル又はアリール、HO-アルキル又はアリール、HS-アルキル又はアリール、Cl(O)C-アルキル又はアリール、エポキシアルキル又はエポキシシクロアルキル基の反応を用いて導入可能である。主たる実施形態の例は以下のものを含む:(i)シラン(LG)SiR
1cR
23-cと縮合反応を行うことのできるSiOH基を有するシロキサンプレポリマー、それによってシロキシ結合≡Si-O-SiR
1cR
23-cが形成される一方で、脱離基(LG)と水素の付加生成物(LG-H)が放出される。(ii)SiH又は不飽和基の如きシランのSiH基又はラジカル活性基と、ヒドロシリル化又はラジカル反応を介して反応可能な、不飽和基を有するシラン。および(iii)エポキシ、イソシアネート、OH、SH、シアナト、カルボン酸ハロゲニド、反応性アルキルハロゲニド、ラクトン、ラクタム、又はアミンと相補的に反応可能な、OH、SH、アミノ、エポキシ、-COCl、-COOH基を有する有機又は無機プレポリマーを含み、反応性プレポリマーを有機官能性シランと結合してシリル官能性ポリマーを生ずるシラン。
【0049】
方法(i)に適したシランには、アルコキシシラン、特にテトラアルコキシシラン、ジ−及びトリアルコキシシラン、ジ−及びトリアセトキシシラン、ジ−及びトリケトオキシモシラン、ジ−及びトリアルケニルオキシシラン、ジ−及びトリカーボンアミドシランが含まれ、ここでシランのケイ素原子の残余の価は、置換又は未置換の炭化水素である。方法(i)のための他の非限定的なシランには、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、アミノアルキルトリメトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、メチル−又はプロピルトリアセトキシシラン、メチルトリブタノンオキシモシラン、メチルトリプロペニルオキシシラン、メチルトリベンズアミドシラン、又はメチルトリアセトアミドシランといった、アルキルトリアルコキシシランが含まれる。方法(i)における反応に適したプレポリマーは、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシランと縮合反応を行うことのできるSiOH-末端ポリアルキルシロキサンである。例示的なSiOH-末端ポリアルキルジシロキサンには、ポリジメチルシロキサンが含まれる。
【0050】
方法(ii)に適したシランには、アルコキシシラン、特にトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、及びフェニルジメトキシシランの如きトリアルコキシシラン(HSi(OR)
3)が含まれる。ハイドロジェンクロロシランも原理的には可能であるが、ハロゲンをアルコキシ、アセトキシ基などで付加的に置換することから、より望ましいものではない。他の適したシランには、ビニル、アリル、メルカプトアリル、又はアクリル基など、ラジカルによって活性化可能な不飽和基を有する有機官能性シランが含まれる。非限定的な例には、ビニルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及びメタクリロキシプロピルトリメトキシシランが含まれる。方法(ii)における反応に適したプレポリマーには、ビニル末端のポリアルキルシロキサン、好ましくはポリジメチルシロキサンが含まれ、また例えば不飽和炭化水素基又はSiH基のようなシランの対応する有機官能基と、ヒドロシリル化又はラジカル誘起されたグラフト反応を行うことができる不飽和基を有する炭化水素が含まれる。
【0051】
炭化水素ポリマー中にシリル基を導入するための別の方法は、不飽和炭化水素モノマーと、シランの不飽和基との共重合化でありうる。炭化水素プレポリマー中に不飽和基を導入する例には、例えば、ケイ素を含まない炭化水素部分を重合した後に、連鎖停止剤としてアルケニルハロゲニドを用いることが挙げられる。
【0052】
シランとプレポリマーとの望ましい反応生成物には、以下の構造が含まれる:-SiR
12O-SiR
12-CH
2-CH
2-SiR
1cR
23-c又は(炭化水素)-[Z-SiR
1cR
23-c]
n。方法(iii)に適したシランにはアルコキシシラン、特に-OH、-SH、アミノ、エポキシ、-COCl、又は-COOHに対して反応性の有機官能基を有するシランが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
一つの実施形態ではこれらのシランはイソシアネートアルキル基を有し、例えばガンマ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、ガンマ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、エポキシリモニルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-アミノプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどである。
【0054】
一つの実施形態では、最初に完全な混合を行い、次いで後続のカップリング反応を行うために、ブロック化アミン又はイソシアネート(Z'-X)
n-Z'の何れかを選択することが望ましい。ブロッキング剤の例はEP 0947531に開示され、またカプロラクタムの如きヘテロ環式窒素化合物又はブタノンオキシム、或いは環式ケトンを用いた他のブロック化手順が米国特許第6,827,875号に参照されており、これらの全体はここでの参照によって本明細書に取り入れるものとする。
【0055】
方法(iii)における反応に適したプレポリマーの例には、OH基を有するポリアルキレンオキシド、好ましくは高分子量(M
w、重量平均分子量>6000 g/mol)で多分散性M
w/M
nが1.6未満のもの;NCO官能化ポリアルキレンオキシド、特にブロック化イソシアネートの如き、残存NCO基を有するウレタンが含まれるが、これらに限定されるものではない。対応するシランのエポキシ、イソシアネート、アミノ、カルボキシハロゲニド、又はハロゲンアルキル基と相補的に反応しうる、-OH、-COOH、アミノ、エポキシ基を有する炭化水素の群から選択されたプレポリマーは、最終硬化に有用な別の反応性基を有する。
【0056】
ポリエーテル中にNCO基を導入するのに適したイソシアネートには、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、又はキシレンジイソシアネート、或いはイソホロンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネートの如き脂肪族ポリイソシアネートが含まれる。
【0057】
単位Xの重合度は、硬化物に要求される粘度や機械的特性に依存する。Xがポリジメチルシロキサン単位である場合、数平均分子量M
nに基づく平均重合度は好ましくは7から5000シロキシ単位、好ましくは200から2000単位である。十分な引張強さである>5 MPaを達成するためには、平均重合度P
nとして>250が適しており、その場合ポリジメチルシロキサンは25℃において300 mPa.sを越える粘度を有する。Xがポリシロキサン単位以外の炭化水素単位である場合には、重合度に関する粘度はより高くなる。
【0058】
ポリオキシアルキレンポリマーの合成方法の例には、KOHのようなアルカリ触媒を用いた重合方法、有機アルミニウム化合物の反応によって得られる錯体のような金属−ポルフィリン錯体を用いた重合方法、例えば米国特許第3,427,256号、第3,427,334号、第3,278,457号、第3,278,458号、第3,278,459号、第3,427,335号、第6,696,383号、及び6,919,293号に開示された複合金属シアニド錯体触媒を用いた重合方法が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
基Xが炭化水素ポリマーから選択される場合には、優れた耐候性、優れた耐熱性、及び低い気体及び水分透過性といった物性を有することから、イソブチレン単位を有するポリマー又はコポリマーが特に望ましい。
【0060】
モノマーの例には、4から12の炭素原子を有するオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン、及びアリルシランが含まれる。コポリマー成分の例には、1-ブテン、2-ブテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキサン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、アルファ−メチルスチレン、ジメチルスチレン、ベータ−ピネン、インデンが含まれ、例えばビニルトリアルコキシシラン、具体的にはビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、ガンマ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びガンマ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランであるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
シロキサンを含まない有機ポリマーの適切な例には、シリル化ポリウレタン(SPUR)、シリル化ポリエステル、シリル化ポリエーテル、シリル化ポリカーボネート、ポリエチレンやポリプロピレンのようなシリル化ポリオレフィン、シリル化ポリエステルエーテル、及びそれらの2又はより多くの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。シロキサンを含まない有機ポリマーは、組成物の約10から約90重量%、或いは約100重量部の量で存在してよい。
【0062】
一つの実施形態では、ポリマー成分(A)はシリル化ポリウレタン(SPUR)であってよい。このような湿気硬化型化合物は通常技術的に既知であり、(i)イソシアネート末端ポリウレタン(PUR)プレポリマーを適切なシラン、例えばケイ素原子上におけるアルコキシ等の加水分解性基と、メルカプタン、一級又は二級アミン(好ましくは後者)のような二次的な活性水素含有基の両者を有するシランと反応させること、又は(ii)ヒドロキシル末端PUR(ポリウレタン)プレポリマーを適切なイソシアネート末端シラン、例えば1から3のアルコキシ基を有するシランと反応させることを含む、種々の方法によって得ることができる。これらの反応の詳細、並びにそこで用いられるイソシアネート末端及びヒドロキシル末端PURプレポリマーの調製の詳細は、特に:米国特許第4,985,491号、第5,919,888号、第6,207,794号、第6,303,731号、第6,359,101号、及び第6,515,164号、並びに公開された米国特許公開第2004/0122253号及び第2005/0020706号(イソシアネート末端PURプレポリマー);米国特許第3,786,081号及び第4,481,367号(ヒドロキシル末端PURプレポリマー);米国特許第3,627,722号、第3,632,557号、第3,971,751号、第5,623,044号、第5,852,137号、第6,197,912号、及び第6,310,170号(イソシアネート末端PURプレポリマーと反応性シラン、例えばアミノアルコキシシランとの反応から得られる湿気硬化型SPUR(シラン変性/末端ポリウレタン));及び米国特許第4,345,053号、第4,625,012号、第6,833,423号、及び公開された米国特許公開第2002/0198352号(ヒドロキシル末端PURプレポリマーとイソシアネートシランとの反応から得られる湿気硬化型SPUR)に見出すことができる。前述した米国特許文献の全内容は、ここでの参照によって本明細書に取り入れるものとする。湿気硬化型SPUR材料の他の例には、米国特許第7,569,653号に記載されたものが含まれ、この開示はここでの参照によって本明細書に取り入れるものとする。
【0063】
一つの実施形態では、ポリマー成分(A)は式(2)のポリマーであり:
R
23-cR
1cSi-Z-[R
2SiO]
x[R
12SiO]
y-Z-SiR
1cR
23-c (2)
式中R
1、R
2、Z、及びcは式(1)に関して上記に定義した通りであり;RはC
1-C
6アルキル(例示的なアルキルはメチルである);xは0から約10,000、一つの実施形態では11から約2500;そしてyは0から約10,000;好ましくは0から500である。一つの実施形態では、式(2)中のZは結合又は2価のC
1-C
14アルキレン基、特に好ましくは-C
2H
4-である。
【0064】
一つの実施形態では、ポリマー成分(A)は式(3)のポリオルガノシロキサンであり:
R
23-c-dSiR
3cR
4d-[OSiR
3R
4]
x-[OSiR
3R
4]
y-OSiR
3eR
4fR
23-e-f (3)
式中R
2、c、x、及びyは式(1)に関して上記に定義した通りであり;R
3及びR
4は同じケイ素原子上で同一又は異なり得るものであり、水素;C
1-C
10アルキル;C
1-C
10ヘテロアルキル、C
3-C
12シクロアルキル;C
2-C
30ヘテロシクロアルキル;C
6-C
13アリール;C
7-C
30アルキルアリール;C
7-C
30アリールアルキル;C
4-C
12ヘテロアリール;C
5-C
30ヘテロアリールアルキル;C
5-C
30ヘテロアルキルアリール;C
2-C
100ポリアルキレンエーテル;又はこれらの2又はより多くの組み合わせから選択される。式中dは0、1、又は2;eは0、1、又は2;及びfは0、1、又は2である。
【0065】
ポリマー成分(A)はまた、2又はより多くのポリマーの組み合わせを含んでもよい。一つの実施形態では、ポリマー成分(A)は上記に定義した2又はより多くのポリマーの組み合わせを含んでもよい。
【0066】
適切なポリシロキサン含有ポリマー(A1)の非限定的な例には、例えばシラノール停止ポリジメチルシロキサン、シラノール又はアルコキシ停止ポリオルガノシロキサン、例えばメトキシ停止ポリジメチルシロキサン、アルコキシ停止ポリジメチルシロキサン−ポリジフェニルシロキサンコポリマー、及びシラノール又はアルコキシ停止フルオロアルキル置換シロキサン、例えばポリ(メチル3,3,3-トリフルオロプロピル)シロキサン及びポリ(メチル3,3,3-トリフルオロプロピル)シロキサン−ポリジメチルシロキサンコポリマーが含まれる。ポリオルガノシロキサン成分(A1)は、組成物の約10から約90重量%、又は100重量部の量で存在してよい。一つの好ましい実施形態では、ポリオルガノシロキサン成分は約10から約2500シロキシ単位の範囲にある平均鎖長を有し、粘度は25℃において約10から約500,000 mPa.sの範囲内にある。
【0067】
代替的に、本組成物はシリル末端有機ポリマー(A2)を含んでいてよく、これはシロキサン単位を含まず、シロキサン含有ポリマー(A1)の場合に匹敵する縮合反応によって硬化を行う。ポリオルガノシロキサンポリマー(A1)と同様に、ポリマー成分(A)に適した有機ポリマー(A2)は、反応性シリル基を含んでいる。一つの実施形態では、反応性シリル基は式(4)のものでよく:
-SiR
1dR
23-d (4)
式中R
1、R
2、及びdは上記に定義した通りである。
【0068】
ポリシロキサン組成物はさらに、架橋剤又は鎖延長剤を成分(B)として含んでよい。一つの実施形態では、架橋剤は式(5)のものであり:
R
1dSiR
24-d (5)
式中R
1、R
2、及びdは上記に定義した通りである。代替的に、架橋剤成分は式(5)の縮合物であって、式中1又はより多くの、しかし全てではないR
2基が水の存在下に加水分解されて放出され、次いで中間体のシラノールが縮合反応を行って、Si-O-Si結合と水を与える。平均重合度により、2から10のSi単位を有する化合物を得ることができる。
【0069】
一つの実施形態では、架橋剤は式R
3d(R
1O)
4-dSiを有するアルコキシシランであり、式中R
1、R
3、及びdは上記に定義した通りである。別の実施形態では架橋剤は式(R
3d(R
1CO
2)
4-dSiを有するアセトキシシランであり、式中R
1、R
3、及びdは上記に定義した通りである。さらに別の実施形態では、架橋剤は式R
3d(R
1R
4C=N-O)
4-dSiを有するオキシモシランであり、式中R
1、R
3、R
4、及びdは上記に定義した通りである。
【0070】
本明細書で用いるところでは、架橋剤という用語は、(A)で定義されていない、分子当たりに少なくとも2つの加水分解性基と3つより少ないケイ素原子を有する、追加の反応性成分を含有する化合物を含んでいる。一つの実施形態では、架橋剤又は鎖延長剤は、アルコキシシラン、アルコキシシロキサン、オキシモシラン、オキシモシロキサン、エノキシシラン、エノキシシロキサン、アミノシラン、アミノシロキサン、カルボキシシラン、カルボキシシロキサン、アルキルアミドシラン、アルキルアミドシロキサン、アリールアミドシラン、アリールアミドシロキサン、アルコキシアミノシラン、アルキルアリールアミノシロキサン、アルコキシカルバメートシラン、アルコキシカルバメートシロキサン、イミダトシラン、ウレイドシラン、イソシアネートシラン、イソチオシアネートシラン、それらの縮合物、及びそれらの2又はより多くの組み合わせから選択してよい。適切な架橋剤の例には、テトラエチルオルソシリケート(TEOS);メチルトリメトキシシラン(MTMS);メチルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン;ビニルトリエトキシシラン;メチルフェニルジメトキシシラン;3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン;メチルトリアセトキシシラン;ビニルトリアセトキシシラン;エチルトリアセトキシシラン;ジブトキシジアセトキシシラン;フェニルトリプロピオンオキシシラン;メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン;ビニルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン;3,3,3-トリフルオロプロピルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン;メチルトリス(イソプロペノキシ)シラン;ビニルトリス(イソプロペノキシ)シラン;エチルポリシリケート;ジメチルテトラアセトキシジシロキサン;テトラ-n-プロピルオルソシリケート;メチルジメトキシ(エチルメチルケトキシモ)シラン;メチルメトキシビス(エチルメチルケトキシモ)シラン;メチルジメトキシ(アセトアルドキシモ)シラン;メチルジメトキシ(N-メチルカルバメート)シラン;エチルジメトキシ(N-メチルカルバメート)シラン;メチルジメトキシイソプロペノキシシラン;トリメトキシイソプロペノキシシラン;メチルトリイソプロペノキシシラン;メチルジメトキシ(ブト-2-エン-2-オキシ)シラン;メチルジメトキシ(1-フェニルエテノキシ)シラン;メチルジメトキシ-2-(1-カルボエトキシプロペノキシ)シラン;メチルメトキシジ(N-メチルアミノ)シラン;ビニルジメトキシ(メチルアミノ)シラン;テトラ-N,N-ジエチルアミノシラン;メチルジメトキシ(メチルアミノ)シラン;メチルトリ(シクロヘキシルアミノ)シラン;メチルジメトキシ(エチルアミノ)シラン;ジメチルジ(N,N-ジメチルアミノ)シラン;メチルジメトキシ(イソプロピルアミノ)シラン;ジメチルジ(N,N-ジエチルアミノ)シラン;エチルジメトキシ(N-エチルプロピオンアミド)シラン;メチルジメトキシ(N-メチルアセトアミド)シラン;メチルトリス(N-メチルアセトアミド)シラン;エチルジメトキシ(N-メチルアセトアミド)シラン;メチルトリス(N-メチルベンズアミド)シラン;メチルメトキシビス(N-メチルアセトアミド)シラン;メチルジメトキシ(カプロラクタモ)シラン;トリメトキシ(N-メチルアセトアミド)シラン;メチルジメトキシ(エチルアセトイミダト)シラン;メチルジメトキシ(プロピルアセトイミダト)シラン;メチルジメトキシ(N,N',N'-トリメチルウレイド)シラン;メチルジメトキシ(N-アリル-N',N'-ジメチルウレイド)シラン;メチルジメトキシ(N-フェニル-N',N'-ジメチルウレイド)シラン;メチルジメトキシイソシアネートシラン;ジメトキシジイソシアネートシラン;メチルジメトキシイソチオシアネートシラン;メチルメトキシジイソチオシアネートシラン、これらの縮合物、或いはこれらの2又はより多くの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。一つの実施形態では、架橋剤は組成物の約1から約10重量%、又は100重量部のポリマー成分(A)当たり約0.05から約10重量部の量で存在してよい。別の実施形態では、架橋剤は100重量部のポリマー成分(A)当たり、約0.05から約5重量部の量で存在してよい。さらに別の実施形態では、架橋剤は100重量部のポリマー成分(A)当たり、約0.5から約3重量部の量で存在してよい。本明細書及び請求の範囲のどこにおいても同様に、数値は組み合わせて新たな、明示していない範囲を形成するようにしてよい。
【0071】
成分(A)の0.1重量%を越える追加的なアルコキシシランであって、プレポリマーZ'-X-Z'との反応によって消費されず、R
5から選択される付加的な官能基を有するものはまた、接着促進剤として作用可能であり、成分(D)の下に定義され、計算される。
【0072】
一つの実施形態では、縮合アクセラレータ(C)は、触媒及び/又は硬化アクセラレータとして、金属−アレーン錯体を含む。以下に記載するように、この金属−アレーン錯体は、種々の式を有する化合物から選択可能である。本組成物は1又はより多くの金属−アレーン錯体を含むことができ、以下でさらに説明するように同じカテゴリーの2又はより多くの金属−アレーン錯体の混合物を含むことができ、或いは金属−アレーン錯体を化合物の異なるカテゴリーから選択する場合に2又はより多くの金属−アレーン錯体の混合物を含むことができることが理解されよう。
【0073】
一つの実施形態では、金属−アレーン錯体は、式(6)の化合物から選択される:
[(R
9)
k(R
10)
lM’
(m)][R
11]
p (6)
式中M
’は、Cr、V、Mn、Fe、Ru、Os、Co、又はNiから選択される金属であり;
R
9は同一又は異なってよく、置換又は未置換であり、インデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、テトラヒドロフルオレニル、又はシクロペンタジエニルから独立して選択され、R
9基は3又は5のハプト数を有し、そして置換R
9基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アミノ、ヘテロアルキル、カルボキシ酸、カルボキシエステル、アミノカルボニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、シリル、ゲルミル、ハロ、シアノ、ヒドロカルビルオキシ、及びそれらの2又はより多くの組み合わせから独立して選択される1から5の置換基で置換されており;
R
10は同一又は異なってよく、ベンゼン及びR-置換ベンゼンから独立して選択され、ベンゼン環は2、4、又は6のハプト数を有し、そして置換ベンゼン基は、アルキル、アリール、アラルキル、アミノ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、シリル、ゲルミル、ハロ、シアノ、ヒドロカルビルオキシ、及びそれらの2又はより多くの組み合わせから独立して選択される1から6の置換基で置換され;
R
11は配位したリガンド又は対イオンのいずれか又は双方であり、そしてヒドリド、アルキル、シクロアルキル
、シクロペンタ
-2,4-ジエ
ン-1-イル、η
3-シクロペンタジエニル、η
5-シクロペンタジエニル、カルボニル、アセチルアセトネート、アセトアセテート、シアニド、アミド、カルボキサミド、スルホンアミド、ビス(スルホニル)アミド、アジド、ニトロシル、オキソ、ヒドロキシ、アルコキシド、シロキシド、アリールオキシド、カルボキシレート、スルホネート、ハライド、スルフィド、メルカプタン、スルホキシド、ホスフォナイト、ホスフェート、ホスファイト、ナイトレート、サルフェート、サルファイト、アリールボレート、フルオロボレート、フルオロホスフェート、フルオロアンチモネート、クロレート、ブロメート、イオデート、アルコキシアルミニウム、ヒドロキソアルミネート、又はシアノメタレートから独立して選択され、また同一又は異なってよく;
k + p = m、k =
1から2、l = 0から2、p = 0又は1、そしてmは金属原子M’の酸化状態である。
【0074】
2つのR
9基、R
9基とR
10基、R
9基とR
11基、2つのR
10基、R
10基とR
11基、又は2つのR
11基の組み合わせは、炭素又はケイ素に基づく少なくとも1つのブリッジによって結合されて、多座リガンドを形成することができる。またこのブリッジは、限定されるものではないがO、N、S、及びPなどのヘテロ原子を含んでよい。これらの錯体は、ダイマー、トリマー、テトラマー、又は他の高次のオリゴマー種として存在してよいことが理解される。さらに、これらの錯体はまた、中心金属に結合していない水和水や溶媒分子を含んでいてよいことが理解される。
【0075】
適切な式(6)の金属−アレーン錯体の例には、ビス(シクロペンタジエニル)バナジウム(II)、ビス(シクロペンタジエニル)クロム(II)、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)クロム(II)、ビス(フェニルシクロペンタジエニル)クロム(II)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)クロム(II)、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)クロム(II)、ビス(ベンゼン)クロム、ビス(エチルベンゼン)クロム、ビス(シクロペンタジエニル)マンガン(II)、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)マンガン(II)、ビス(フェニルシクロペンタジエニル)マンガン(II)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)マンガン(II)、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)マンガン(II)、ビス(シクロペンタジエニル)鉄(II)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄(II)、ビス(フェニルシクロペンタジエニル)鉄(II)、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)鉄(II)、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)鉄(II)、ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、ビス(フェニルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、ビス(シクロペンタジエニル)オスミウム(II)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)オスミウム(II)、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)オスミウム(II)、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)オスミウム(II)、ビス(フェニルシクロペンタジエニル)オスミウム(II)、ビス(シクロペンタジエニル)コバルト(II)、ビス(フェニルシクロペンタジエニル)コバルト(II)、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)コバルト(II)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)コバルト(II)、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)コバルト(II)、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル(II)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ニッケル(II)、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ニッケル(II)、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ニッケル(II)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ニッケル(II)、ビス(シクロペンタジエニル)クロム(III)ヘキサフルオロホスフェート、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)クロム(III)ヘキサフルオロホスフェート、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)クロム(III)ヘキサフルオロホスフェート、ビス(フェニルシクロペンタジエニル)クロム(III)ヘキサフルオロホスフェート、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)クロム(III)ヘキサフルオロホスフェート、ビス(シクロペンタジエニル)クロム(III)テトラフルオロボレート、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)クロム(III)テトラフルオロボレート、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)クロム(III)テトラフルオロボレート、ビス(フェニルシクロペンタジエニル)クロム(III)テトラフルオロボレート、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)クロム(III)テトラフルオロボレート、ビス(シクロペンタジエニル)鉄(III)ヘキサフルオロホスフェート、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄(III)ヘキサフルオロホスフェート、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)鉄(III)ヘキサフルオロホスフェート、ビス(フェニルシクロペンタジエニル)鉄(III)ヘキサフルオロホスフェート、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)鉄(III)ヘキサフルオロホスフェート、ビス(シクロペンタジエニル)鉄(III)テトラフルオロボレート、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄(III)テトラフルオロボレート、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)鉄(III)テトラフルオロボレート、ビス(フェニルシクロペンタジエニル)鉄(III)テトラフルオロボレート、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)鉄(III)テトラフルオロボレート、ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム(III)ヘキサフルオロホスフェート、及び(p-シメン)シクロペンタジエニルルテニウム(II)ヘキサフルオロホスフェート.が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
別の実施形態では、金属−アレーン錯体は、式(7)の化合物から選択される:
(R
9)
q(R
10)
rM''
(m)(R
11)
s(L)
t (7)
式中M''は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、又はCoから選択される金属原子であり;
R
9、R
10、R
11、及びmは上記したごとくであり;
Lは中性リガンドであり;
q + s = m、q = 0又は1、r = 0又は1、s = 1から4、及びtは0から5であり;但しqとrの両者が1とはならない。
【0077】
式(7)の錯体において、R
9基とR
11基、R
9基とL基、R
10基とR
11基、R
10基とL基、2つのR
11基、R
11基とL基、又は2つのL基の組み合わせは、炭素又はケイ素に基づく少なくとも1つのブリッジによって結合されて、多座リガンドを形成することができる。またこのブリッジは、限定されるものではないがO、N、S、及びPなどのヘテロ原子を含んでよい。
【0078】
式(7)の錯体は、ダイマー、トリマー、テトラマー、又は他の高次のオリゴマー種として存在してよいことが理解される。さらに、これらの錯体はまた、中心金属に結合していない水和水や溶媒分子を含んでいてよいことが理解される。
【0079】
適切な式(7)の金属−アレーン錯体の例には、(シクロペンタジエニル)チタントリクロリド、トリメトキシ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタン、トリメチル(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタン、(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリクロリド、トリス-ジメチルアミド(シクロペンタジエニル)ハフニウム、(シクロペンタジエニル)バナジウムテトラカルボニル、(シクロペンタジエニル)ニオブテトラクロリド、(シクロペンタジエニル)タンタルテトラクロリド、(ベンゼン)クロムトリカルボニル、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)クロムジカルボニルダイマー、(シクロペンタジエニル)モリブデントリカルボニルダイマー、(シクロペンタジエニル)モリブデンテトラクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデンジカルボニルダイマー、メシチレンタングステントリカルボニル、(シクロペンタジエニル)マンガントリカルボニル、(シクロペンタジエニル)レニウムトリカルボニル、(イソプロピルシクロペンタジエニル)レニウムトリカルボニル、(シクロペンタジエニル)コバルトジカルボニル、(シクロペンタジエニル)鉄ジカルボニルダイマー、(p-シメン)ルテニウムジクロリドダイマーが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
さらに別の実施形態では、金属−アレーン錯体は、式(8)の化合物から選択される:
(R
9)
2M'''
(m)(R
11)
u(L)
v (8)
式中M'''は、Sc、Y、Lu、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、La、Ce、Sm、又はYbから選択される金属原子であり;
R
9、R
11、L、及びmは上記したごとくであり;及び
u + 2 = m; v = 0から10;及びu = 0から4である。
【0081】
式(8)の錯体において、2つのR
9基、2つのR
11基、R
11基とL基、又は2つのLの組み合わせは、炭素又はケイ素に基づく少なくとも1つのブリッジによって結合されて、多座リガンドを形成することができる。またこのブリッジは、限定されるものではないがO、N、S、及びPなどのヘテロ原子を含んでよい。これらの錯体は、ダイマー、トリマー、テトラマー、又は他の高次のオリゴマー種として存在してよいことが理解される。さらに、これらの錯体はまた、中心金属に結合していない水和水や溶媒分子を含んでいてよいことが理解される。
【0082】
適切な式(8)の金属−アレーン錯体の例には、ビス(シクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(フェニルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス((トリメチルシリル)シクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(インデニル)チタンジクロリド、ビス(イソプロピルインデニル)チタンジクロリド、ビス(テトラヒドロインデニル)チタンジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)チタンジブロミド、(シクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド、ビス(フルオレニル)チタンジクロリド、ジメチルシランジイル-ビス(シクロペンタジエニル)チタンジクロリド、[1,2-エタンジイルビス(1-インデニル)]チタンジクロリド、トリス(シクロペンタジエニル)チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(フェニルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、ビス(イソプロピルインデニル)ハフニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)バナジウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)バナジウムジクロリド、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)バナジウムジクロリド、ビス(フェニルシクロペンタジエニル)バナジウムジクロリド、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)バナジウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ニオブジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)タンタルジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)モリブデンジクロリド、ビス(インデニル)モリブデンジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)タングステンジクロリド、トリス(シクロペンタジエニル)スカンジウム、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム、トリス(メチルシクロペンタジエニル)イットリウム、トリス(シクロペンタジエニル)ルテチウム、トリス(シクロペンタジエニル)ランタン、トリス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ランタン、トリス(シクロペンタジエニル)サマリウム、及びトリス(シクロペンタジエニル)イッテルビウム、トリス(シクロペンタジエニル)セリウムが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0083】
R
11のアルキル基又はR
9基及びR
10基の置換基は、(C
1-C
20)アルキル、(C
1-C
12)アルキル、(C
1-C
8)アルキル、(C
1-C
6)アルキル、さらには(C
1-C
4)アルキルであってもよい。適切なアルキル基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル等々が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0084】
R
11のシクロアルキル又はR
9基及びR
10基の置換基は、炭素環あたり3から12の構成原子を有するシクロアルキルであることができ、また任意選択的に置換され又は未置換であることができる。幾つかの実施形態では、アルキル基は同様に環構造を含むシクロアルキル基を意味する。適切なシクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへブチル、シクロオクチル等々が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0085】
R
9基及びR
10基の置換基に適切なアリール基は、6から30の炭素原子、例えば約6-14の炭素原子、約6-13の炭素原子、又は約6-10の炭素原子を有することが出来る。アリール基は、単一の環(例えばフェニル)又は多数の縮合した(融合した)環を有することができ、そこにおいて少なくとも1つの環は芳香族性を有する(例えばナフチル、ジヒドロフェナントレニル、フルオレニル、又はアンスリル)。典型的なアリール基には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニルなどから誘導された基が含まれるが、これらに限定されるものではない。アリールは未置換であることができ、また任意選択的に置換されていてもよい。一つの実施形態では、アリールはフェニル、インデニル、5,6,7,8-テトラヒドロナフチル、ナフチル等々であることができる。
【0086】
R
9基及びR
10基の置換基に適切なシリル基は、式:
-Si(R
12)
3
のものであってよく、式中R
12は同一又は異なり、水素、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アリールアルキルアミノ基、直鎖又は分岐鎖のアルキル、シクロアルキル、直鎖又は分岐鎖のヘテロアルキル、アリール、直鎖又は分岐鎖のアラルキル、2つのR
12基によって形成されたアルキル又はアラルキルブリッジ、又はこれらの2又はより多くの組み合わせからなる群より選択される。
【0087】
R
9基及びR
10基の置換基に適切なゲルミル基は、式:
-Ge(R
12)
3
のものであってよく、式中R
12は上に定義したごとくである。
【0088】
縮合アクセラレータ(C)は、単一の金属−アレーン錯体化合物、または2又はより多くの金属−アレーン錯体の組み合わせを含むことができる。縮合アクセラレータ(C)は、反応アクセラレータとして機能しうる。それはまた触媒として、またその機能を果たすものとして考えることができる。
【0089】
一つの実施形態では、アクセラレータ(C)はスズを実質的に含まない。一つの実施形態では、アクセラレータが含有するのは10重量%未満のスズ;7.5重量%未満のスズ;5重量%未満のスズ;1重量%未満のスズ;0.1重量%未満のスズ;さらには0.01重量%未満のスズである。
【0090】
アクセラレータ(C)は、縮合反応を促進又は触媒することが知られている他の化合物、例えば、限定されるものではないがストロンチウム、バリウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、ランタン、セリウム、サマリウム、アルミニウム、インジウム、鉛、ビスマスなどの錯体又は塩;限定されるものではないが酢酸、ラウリン酸、ステアリン酸、及びベルサチック(Versatic)酸などのカルボン酸;限定されるものではないがp-トルエンスルホン酸及びメタンスルホン酸などのアルキル及びアリールスルホン酸;限定されるものではないが塩酸、リン酸、及びホウ酸などの無機酸;限定されるものではないがトリオクチルアミン、ジブチルアミン、及びドデシルアミンなどのアミン;限定されるものではないがテトラメチルグアニジンなどのグアニジン;限定されるものではないが1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)及び1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(DBN)などのアミジン;及び限定されるものではないが水酸化リチウム及びナトリウムメトキシドなどの無機塩基を含むことができ;かくして系は実質的にフッ素及びスズを含まない。
【0091】
一つの実施形態では、縮合アクセラレータ(C)は、金属−アレーン錯体が成分(A)の100重量部あたり約0.001から約10重量部の量で存在又は添加されるように、硬化性組成物に添加してよい。別の実施形態では、金属−アレーン錯体は約0.01から約7.0重量部の量で存在してよい。さらに別の実施形態では、金属−アレーン錯体は約0.1から約2.5重量部の量で存在してよい。さらに別の実施形態では、金属−アレーン錯体は、成分(A)の100重量部あたり約0.005から約7重量部;約0.05から約5重量部;約0.1から4重量部;約0.5から約2重量部;約1から約1.5重量部;さらには成分(A)の100重量部あたり約0.2から約0.5重量部の量で存在してよい。別の実施形態では、金属−アレーン錯体は成分(A)の100重量部あたり約0.005から約0.05重量部で存在する。アクセラレータとしての金属−アレーン錯体の量の増大は、表面硬化の硬化速度を増大し、タックフリー表面とバルク全体の完全な硬化に関して硬化時間を低減させる。
【0092】
本組成物はさらに、成分(A)又は(B)とは異なる接着促進剤成分(D)を含む。一つの実施形態では、接着促進剤(D)は基R
5を含むオルガノ官能性シラン、例えばアミノシラン、及び成分(B)のシランと同一ではないその他のシランであってよく、またポリマー(A)の末端封止に必要なシランの量を越えた量で存在する。(A)を生成するための反応における未反応のシラン(B)又は(D)の量は、末端封止反応の後、遊離のシランが200℃までの高温及び1 mbarまでの減圧で揮発され、(A)の0.1重量%を越える場合に定義可能である。
【0093】
一つの実施形態では、本組成物は、一般式(9)によって記述されるようにR
5基を含む接着促進剤(D)を含有する:
R
5gR
1dSi(R
2)
4-d-g (9)
式中R
5はE-(CR
32)
h-W-(CH
2)
h-であり;R
1、R
2及びdは上述した通りであり;gは1又は2;d + g = 1から2;及びhは0から8であり、また同一でも異なってもよい。
【0094】
適切な化合物の非限定的な例には含まれるものは:
E
1-(CR
32)
h-W-(CH
2)
h-SiR
1d(R
2)
3-d (9a)又は(9b)
E
2-[(CR
32)
h-W-(CH
2)
h-SiR
1d(R
2)
3-d]
j (9c)又は(9d)
式中jは2から3である。
【0095】
基Eは、基E
1又はE
2のいずれから選択してもよい。E
1は、アミン、-NH
2、-NHR、-(NHC
2H
5)
aNHR、NHC
6H
5、ハロゲン、擬ハロゲン、14炭素原子までの不飽和脂肪族基、14炭素原子までのエポキシ基含有脂肪族基、シアヌレート含有基、及びイソシアヌレート含有基を含む、一価の群から選択してよい。
【0096】
E
2は、アミン、ポリアミン、シアヌレート含有、及びイソシアヌレート含有基、スルフィド、サルフェート、ホスフェート、ホスファイト、及びR
5及びR
2基を含みうるポリオルガノシロキサン基からなる2価又は多価の基を含む群から選択してよく;
Wは単結合、及び-COO-、-O-、エポキシ、-S-、-CONH-、-HN-CO-NH-単位から選択されるヘテロ原子基からなる群より選択され;R
3は上記に定義した通りであり、R
1は上記に定義した通り同一でも異なってもよく、R
2は上記に定義した通りであり同一でも異なっていてもよい。
【0097】
成分(D)の非限定的な例に含まれるものは:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
式中R
1、R
2及びdは上記に定義した通りである。成分(D)の例には、式(9a-9n)の化合物が含まれる。さらにまた、成分(D)の式(9c)は、式(9p)を含むものである:
【化11】
式中R、R
2、R
5、及びdは上記に定義した通りであり;kは0から6(また一つの実施形態において望ましくは0);bは上述の通り(一つの実施形態において望ましくは0から5);そしてl + b ≦10である。一つ実施形態おいて、R
5は以下から選択される:
E
1-(CR
32)
h-W-(CH
2)
h-
【化12】
【化13】
【化14】
【0098】
接着促進剤の例示的な群は、アミノ基含有シランカップリング剤からなる群より選択される。アミノ基含有シラン接着促進剤(D)は、加水分解性基(以下ではケイ素原子に結合した加水分解性基という)に結合したケイ素原子を含む基と、アミノ基とを有する化合物である。その具体的な例は、上述した加水分解性基を有する同じシリル基を含む。これらの基の中で、メトキシ基とエトキシ基が特に適している。加水分解性基の数は2又はより多くであってよく、特に適しているのは3又はより多くの加水分解性基を有する化合物である。
【0099】
適切な接着促進剤(D)の他の例には、N-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、N-フェニル-ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノ官能性トリメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ガンマ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、エポキシリモニルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、ベータ-シアノエチルトリメトキシシラン、ガンマ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、α,ω-ビス(アミノアルキルジエトキシシリル)ポリジメチルシロキサン(Pn=1-7)、α,ω-ビス(アミノアルキルジエトキシシリル)オクタメチルテトラシロキサン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、及びN-エチル-3-トリメトキシシリル-2-メチルプロパンアミン、3-(N,N-ジエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、それらの2又はより多くの組み合わせなどが含まれるが、これらに限定ものではない。特に適切な接着促進剤に含まれるのは、ビス(アルキルトリアルコキシシリル)アミン及びトリス(アルキルトリアルコキシシリル)アミンであり、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン及びトリス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミンが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
また、これらを変性して得た誘導体を使用することも可能である。例えばアミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、及びアミノシリル化シリコーンである。これらのアミノ基含有シランカップリング剤は単独で使用してもよく、又は2種又はより多くを組み合わせて用いてもよい。
【0101】
接着促進剤(D)は、ポリマー成分(A)100部あたり、約0.05から約5.0重量部の量で存在してよい。一つの実施形態おいて接着促進剤は、ポリマー成分(A)100部あたり、約0.15から約2.0重量部の量で存在してよい。別の実施形態では、接着促進剤はポリマー成分(A)の約0.5から約1.5重量部の量で存在してよい。これによって(A)の組成物中における(D)の量は、ポリマー(A)の末端封止からの遊離シランの含有量が0.1重量%より少ないものとして規定される。
【0102】
本組成物はさらに、充填材(フィラー)成分(E)を含んでよい。この充填材成分(E)は種々の機能を有していてよく、例えば強化用又は半強化用のフィラーとして、即ち硬化後に高い引張強さを達成するために用いられる。充填材成分はまた、粘度を増大させる性能を有していてよく、擬似塑性/剪断減粘性を確立して、チキソトロピー的な挙動を示す。非補強的な充填材は、増量剤として作用しうる。強化用フィラーは、50 m
2/gを越えるBET比表面積を有することによって特徴付けられ、半強化用フィラーは10-50 m
2/gの範囲にある比表面積を有する。いわゆる増量用フィラーは、好ましくはBET法で10 m
2/g未満の比表面積と、100 μm未満の平均粒径を有する。一つの実施形態おいて、半強化用フィラーは炭酸カルシウムフィラー、シリカフィラー、又はこれらの混合物である。適切な強化用フィラーの例には、限定するものではないがヒュームドシリカ又は沈降シリカがあり、これらは有機シラン又はシロキサンで部分的に又は全体的に処理して親水性を低下させることができ、また組成物の水分含量を減少させたり、粘度や貯蔵安定性を調節したりすることができる。こうしたフィラーは疎水性フィラーと呼ばれる。商品名はAerosil(登録商標)、HDK(登録商標)、Cab-O-Sil(登録商標)等々である。
【0103】
適切な増量用フィラーの例には、限定するものではないが、破砕シリカ(Celite(商標))、沈降及びコロイダル炭酸カルシウム(任意選択的にステアリン酸エステル又はステアリン酸のような化合物で処理される);ヒュームドシリカ、沈降シリカ、シリカゲル、及び疎水化シリカ及びシリカゲルといった強化用シリカ;破砕研磨した水晶、クリストバライト、アルミナ、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、珪藻土、酸化鉄、カーボンブラック、粉末状熱可塑性樹脂例えばアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリテトラフルオロエチレン、グラファイト、又はクレイ例えばカオリン、ベントナイト又はモンモリロナイト(処理/未処理)、その他が含まれる。
【0104】
添加されるフィラーの種類及び量は、硬化したシリコーン/非シリコーン組成物に望まれる物性に依存する。従って、フィラーは単一種でもよく、2又はより多くの種類の混合物でもよい。増量フィラーは、成分(A)の100部に関して、組成物の約0から約300重量%存在することができる。強化用フィラーは、成分(A)の100部に関して、組成物の約5から約60重量%、好ましくは5から30重量%存在することができる。
【0105】
本発明の組成物は任意選択的に酸性化合物(F)を含み、これは接着促進剤及び金属−アレーン錯体アクセラレータと相俟って、硬化を加速させうる(そうした化合物がない場合の硬化と比較して)。成分(F)は、組成物の約0.001から約5重量%の量で存在してよい。別の実施形態では、成分(A)の100重量部あたり、重量で0.01から約8部(重量部)で用いられ、より好ましくは100重量部の成分あたり0.02から3重量部、そして最も好ましくは100重量部の成分(A)あたり0.02から1重量部で用いられる。
【0106】
酸性化合物(F)は、各種のホスフェートエステル、ホスホネート、ホスファイト、ホスフォナイト、サルファイト、サルフェート、擬ハロゲン化物、分岐アルキルカルボン酸、それらの2又はより多くの組み合わせ等から選択してよい。いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、酸性化合物(F)は、一つの実施形態おいて、使用前のカートリッジ内に空気と接触した状態で封入されている場合に、より長い貯蔵時間を確保する安定化剤として有用であろう。特にアルコキシ末端ポリシロキサンは、カートリッジ内で貯蔵した後に硬化性能を喪失し、硬化条件下で低下した硬度を示す可能性がある。従って、貯蔵時間や硬化能力を数ヶ月延ばすことのできる、式(10)の化合物を添加することが有用でありうる。
O=P(OR
6)
3-c(OH)
c (10)
式中cは上記定義の通りであり;R
6は、任意選択で置換された直鎖又は分岐鎖のC
1-C
30アルキル基、直鎖又は分岐鎖のC
5-C
14シクロアルキル基、C
6-C
14アリール基、C
6-C
31アルキルアリール基、直鎖又は分岐鎖のC
2-C
30アルケニル基或いは直鎖又は分岐鎖のC
1-C
30アルコキシアルキル基、C
4-C
300ポリアルケニレンオキシド基(ポリエーテル)、例えばMarlophor(登録商標)N5酸、トリオルガニルシリル-及びジオルガニル(C
1-C
8)-アルコキシシリル基の群から選択される。ホスフェートはまた、1級及び2級エステルの混合物を含むことができる。適切なホスホネートの非限定的な例には、1-ヒドロキシエタン-(1,1-ジホスホン酸) (HEDP)、アミノトリス(メチレンホスホン酸) (ATMP)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸) (DTPMP)、1,2-ジアミノエタン-テトラ(メチレンホスホン酸) (EDTMP)、及びホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)が含まれる。
【0107】
別の実施形態では、gが1又は2である式O=P(OR
7)
3-g(OH)
gの化合物が存在又は添加されてよく、R
7はR
6又は1又はより多くのアミノ基を有する2価又は多価の炭化水素として定義される。
【0108】
別の種類は、式R
6P(O)(OH)
2のホスホン酸化合物、例えばアルキルホスホン酸であり、好ましくはヘキシル又はオクチルホスホン酸である。
【0109】
一つの実施形態おいて、酸性化合物は、式(R
8O)PO(OH)
2のリン酸モノエステル;式R
8P(O)(OH)
2のホスホン酸;或いは式中R
8はC
1-C
18アルキル、C
2-C
20アルコキシアルキル、フェニル、C
7-C
12アルキルアリール、C
2-C
4ポリアルキレンオキシドエステルである式(R
8O)P(OH)
2の亜リン酸モノエステル又はそのジエステルとの混合物等々から選択されてよい。
【0110】
別の実施形態では、酸性化合物は、3級アルファ炭素を有するC
5-C
19酸などの分岐C
4-C
30アルキルカルボン酸、又はこれらの2又はより多くの組み合わせである。そうした適切な化合物の例には、限定するものではないが、Versatic(商標)酸、ラウリン酸、及びステアリン酸が含まれる。一つの実施形態おいて、酸性化合物は、分岐アルキルカルボン酸を含む混合物であってよい。一つの実施形態おいて、酸性化合物は、3級脂肪族C
10カルボン酸を主とする混合物である。
【0111】
一般に、酸性成分(F)は、アクセラレータ(C)に対して1又はそれ未満のモル比で添加される。実施形態おいて、酸性成分(F)は(F):(C)が1:15から1:1のモル比で添加される。
【0112】
本硬化性組成物はまた、可塑剤、顔料、安定剤、抗菌剤、防かび剤、殺生物剤、及び/又は溶媒などの補助成分(G)を含んでよい。反応性ポリオルガノシロキサン(A)に好ましい可塑剤は、10から300シロキシ単位の鎖長を有するポリオルガノシロキサンの群から選択される。好ましいのは、25℃において100から1000 mPa.sの粘度を有するトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンである。選択した任意選択的な溶媒(分散媒又は増量剤)は、アクセラレータの均一な分散を確実にする役割を有してよく、それによって硬化速度を変化させる。そうした溶媒には、トルエン、ヘキサン、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチルピロリジノン(NMP)、及びプロピレンカーボネートなどの極性及び非極性溶媒が含まれる。水は、2成分組成物RTV-2の迅速な硬化を促進する追加の成分(G)でありうる。それによれば水は、2つの組成物の一方の成分中に含有されうる。溶媒が硬化及び適用の後に蒸発されねばならないなら、特に適切な非極性溶媒には、限定するものではないが、トルエン、ヘキサン、及びその他が含まれる。別の実施形態では、溶媒は高沸点炭化水素、例えばアルキルベンゼン、フタル酸エステル、アリールスルホン酸エステル、トリアルキル-又はトリアリールホスフェートエステルなどであり、これらは低い蒸気圧を有し、容積を増大させてコストを低下させることができる。参考として引用される例は、米国特許第6,599,633号、第4,312,801号に記載のものである。溶媒は、アクセラレータ組成物の約20から約99重量%の量で存在することができる。
【0113】
出願人は、金属−アレーン錯体に基づくアクセラレータが、スズ触媒を用いて作成された組成物に匹敵するタックフリー時間、硬度、及び/又は硬化時間を示す硬化ポリマーをもたらす、硬化性組成物を提供するであろうことを見出した。
【0114】
一つの実施形態おいて、本発明による組成物は:100重量部のポリマー成分(A);約0.1から約10重量部の架橋剤成分(B);及び約0.01から約7重量部のアクセラレータ(C)を含む。一つの実施形態おいて、本組成物はさらに約0.1から約5重量部、一つの実施形態おいては0.15から1重量部の接着促進剤成分(D);約0から約300重量部の充填材成分(E);約0.01から約7重量部の酸性成分(F);任意選択で0から約15重量部の成分(G)を含み、ここで成分(B)-(G)の重量部は各々、100部のポリマー成分(A)に基づいている。一つの実施形態おいて、本組成物は成分(F)を、成分100重量部あたり約0.01から約1重量部の量で含む。さらに別の実施形態では、本組成物はアクセラレータ(C)を、成分(A)の100重量部あたり約0.1から約0.8重量部の量で含む。
【0115】
本硬化性組成物は、1成分形組成物又は2成分形組成物のいずれかとして提供されてよい。1成分形組成物は、上述した各種の成分の混合物を含む組成物を意味する。2成分形組成物は第1部と第2部を含んでよく、これらは別々に貯蔵され、後で硬化のために適用される直前に一緒に混合される。一つの実施形態おいて、2成分形組成物はポリマー成分(A)及び架橋剤成分(B)を含む第1部(P1)と、金属−アレーン錯体を含有するアクセラレータ成分(C)を含む第2部(P2)とを含む。第1部及び第2部は、特定の目的又は所期の用途に所望とすれるところに従い、他の成分(F)及び/又は(G)を含んでよい。例えば一つの実施形態おいて、第1部(P1)は任意選択的に接着促進剤(D)及び/又は充填材(E)を含んでよく、第2部(P2)は任意選択的に補助物質(G)、硬化速度調節成分(F)、及び水(G)を含んでよい。
【0116】
一つの実施形態おいて、2成分組成物はポリマー成分(A)、任意選択で充填材成分(E)、及び任意選択で酸性成分(F)を含む第1部(i)と;架橋剤(B)、アクセラレータ成分(C)、接着促進剤(D)、及び酸性成分(F)を含む第2部(ii)とを含み、ここで部(i)及び(ii)は、成分(i)及び(ii)を混合して硬化用途に適用するまで、別個に貯蔵される。.
【0117】
例示的な2成分組成物は:100重量部の成分(A)と、0から70重量部の成分(E)を含む第1部(i);並びに0.1から5重量部の少なくとも1つの架橋剤(B);0.01から4重量部のアクセラレータ(C);0.1から2重量部の接着促進剤(D);及び0.02から1重量部の成分(F)を含む第2部(ii)を含んでいる。
【0118】
本硬化性組成物は、封止(シーリング)、型作成、つや出し(グレージング)、試作(プロトタイピング)のための材料として;接着剤として;衛生室(サニタリールーム)用のコーティングとして;異なる材料の間の接合シール、例えばセラミック又は鉱物表面と熱可塑性樹脂の間のシーラントとして;用紙剥離剤として;含浸材料として;及びその他などの、広範囲の用途に使用してよい。アクセラレータとして金属−アレーン錯体を含有する本発明による硬化性組成物は、例えば、紙及びプラスチックなどの物質用のシリコーン剥離コーティング、ウェザーストリップコーティング、汎用及び工業用のシーラント、ポッティング化合物、建築用のコーキング、接着剤又はコーティング、断熱ガラス、ガラスシートが金属フレームに固定されシールされる構造用グレージング;金属板、車体、車両、電子デバイス用のコーキング、接着剤、その他といった多種多様の用途に適しているであろう。さらにまた、本組成物は1成分形又は2成分形のいずれの配合でも使用してよく、広範囲の種々の金属、鉱物、セラミック、ゴム、又はプラスチック表面に対して接着可能である。
【0119】
金属−アレーン錯体を含む硬化性組成物は、以下の実施例を参照することによって、さらに理解されるであろう。
【実施例】
【0120】
以下の実施例は、湿気硬化型組成物における触媒としての、金属−アレーン錯体の使用を例証する。これらの実施例の目的は本発明の様相及び実施形態を例示することにより、本発明を特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
熱老化法
【0121】
エチルポリシリケート、接着促進剤、及び触媒を含有する予混合した混合物(成分B)をオーブン中において、(1)50℃で4時間又は(2)70℃で5日間保持する。これらの期間の後に、混合物をオーブンから取り出し、雰囲気温度にまで戻す。この混合物を次いで成分Aと合わせ、Hauschild社製ミキサーで1.5分混合する。混合した配合物はTeflon製の型(L × W × D = 10 cm × 10 cm × 1 cm)に注ぎ、ドラフト内に置く。これらの熱老化手順は、室温での長期間にわたる貯蔵の影響を表すか、又はそれに類似する。
タックフリー時間(TFT)測定法A
【0122】
典型的なTFT測定では、予混合した成分Aと成分Bの組成物がTeflon製の型(L × W × D = 10 cm × 10 cm × 1 cm)に注がれ、ステンレス鋼製のヘラを使って均一に延ばされる。10グラムのステンレス鋼の錘が配合物の表面上に置かれて、表面の粘着性が求められる。TFTは、非粘着性の表面が得られるまでの時間として定義される。この時間は、最も近い分数で記録される。
タックフリー時間測定法B
「方法B」として識別されるタックフリー時間は、WPSTM E-63に従って求められる。.
【0123】
スナップ時間測定法
【0124】
スナップ時間(可使時間)は、WPSTM E-31aに従って求められる。
ショアA硬度測定法A
【0125】
ショアA硬度値は、3日間の硬化時間の後に求められる。この測定法は、試料のバルク硬化に必要な時間の測定値として用いられる。バルク硬化時間は、厚み全体(即ち上から下まで)にわたって配合物が完全に硬化するのに必要な時間である。
ショアA硬度測定法B
【0126】
「方法B」として識別されるショアA硬度値は、WPSTM E-3に従って求められる。
シート試料の物性
【0127】
引張強さ、伸び%、及びモジュラスは、WPSTM E-1に従って求められる。
基板接着試験法A
【0128】
「方法A」として識別される、ガラス、金属、及びプラスチック基板に対する凝集破壊は、以下の仕方で求められる。成分Aと成分Bを予混合した組成物を、予め洗浄し乾燥した標準のプラスチック、ガラス、及び金属基板上に、厚いラインとして適用する。基板は室温で3日間保存する。3日後、接着し硬化した材料を基板から剥がして、凝集破壊又は接着剤の破断があるかをチェックする。
基板接着試験法B
【0129】
「方法B」として識別される、硬化試料のガラス又は陽極酸化アルミニウム基板に対する凝集破壊は、ASTM C1135に従って求められる。
実施例1
【0130】
1グラムのエチルポリシリケート、1.4グラムのアミノシラン系接着促進剤、及び0.05グラムのビス(シクロペンタジエニル)鉄(II)の混合物に、シラノールポリマー:フィラーの70:30ブレンド100グラムを添加し、Hauschild社製ミキサーを用いて1.5分間混合した。混合した配合物は、Teflon製の型に注いだ。
実施例2
【0131】
1グラムのエチルポリシリケート、1.4グラムのアミノシラン系接着促進剤、及び0.1グラムのビス(シクロペンタジエニル)鉄(II)の混合物に、シラノールポリマー:フィラーの70:30ブレンド100グラムを添加し、Hauschild社製ミキサーを用いて1.5分間混合した。混合した配合物は、Teflon製の型に注いだ。
実施例3
【0132】
1グラムのエチルポリシリケート、2.0グラムのアミノシラン系接着促進剤、及び0.1グラムのビス(シクロペンタジエニル)鉄(II)の混合物に、シラノールポリマー:フィラーの70:30ブレンド100グラムを添加し、Hauschild社製ミキサーを用いて1.5分間混合した。混合した配合物は、Teflon製の型に注いだ。
比較例1
【0133】
1グラムのエチルポリシリケート、1.4グラムのアミノシラン系接着促進剤、及び0.08グラムのジブチルスズジラウレートの混合物に、シラノールポリマー:フィラーの70:30ブレンド100グラムを添加した。この組成物をHauschild社製ミキサーを用いて1.5分間混合した。混合した配合物は、Teflon製の型に注いだ。
【0134】
実施例1-3及び比較例1の組成物の物性を表1に示す。
【表1】
実施例4(107-1)
【0135】
ガラス製バイアルに、0.36グラムのチタノセンジクロリド、続いて6.51グラムのエチルポリシリケートを入れた。この不均一混合物に対し、7.52グラムのガンマ−アミノプロピルトリメトキシシランを添加した。この混合物をボルテックスミキサー上で約2分間、15秒間隔で混合した。この混合物(成分B)は使用前に、16から24時間にわたって静置した。
【0136】
プラスチック製の混合カップに、ポリマー/フィラーの50-50ブレンド26.70グラムと、0.79グラムの成分Bを入れた。この配合物を次いで、Hauschild社製ミキサーで混合した。得られたRTV配合物は、方法Bに従ってタックフリー時間について試験した。
【0137】
別のプラスチック製の混合カップに、ポリマー/フィラーの50-50ブレンド117.20グラムと、3.47グラムの成分Bを入れた。この配合物を次いで、Hauschild社製ミキサーで混合した。得られたRTV配合物は、表2に示す硬化状態について試験した。
実施例5
【0138】
ガラス製バイアルに、0.09グラムのチタノセンジクロリド、続いて6.51グラムのエチルポリシリケートを入れた。この不均一混合物に対し、7.51グラムのガンマ−アミノプロピルトリメトキシシランを添加した。この混合物をボルテックスミキサー上で約2分間、15秒間隔で混合した。この混合物(成分B)は使用前に、16から24時間にわたって静置した。
【0139】
プラスチック製の混合カップに、ポリマー/フィラーの50-50ブレンド25.60グラムと、0.75グラムの成分Bを入れた。この配合物を次いで、Hauschild社製ミキサーで混合した。得られたRTV配合物は、方法Bに従ってタックフリー時間について試験した。
【0140】
別のプラスチック製の混合カップに、ポリマー/フィラーの50-50ブレンド116.60グラムと、3.42グラムの成分Bを入れた。この配合物を次いで、Hauschild社製ミキサーで混合した。得られたRTV配合物は、表2に示す硬化状態について試験した。
比較例2
【0141】
ガラス製バイアルに、0.71グラムのTyzor PITA (ビス(エチルアセトアセテート)チタンジイソプロポキシド)、続いて6.5 グラムのエチルポリシリケートを入れた。この均一な混合物に、7.5グラムのガンマ−アミノプロピルトリメトキシシランを入れた。この混合物をボルテックスミキサー上で約2分間、15秒間隔で混合した。この混合物(成分B)は使用前に、16から24時間にわたって静置した。
【0142】
プラスチック製の混合カップに、ポリマー/フィラーの50-50ブレンド24.60グラムと、0.75グラムの成分Bを入れた。この配合物を次いで、Hauschild社製ミキサーで混合した。得られたRTV配合物は、方法Bに従ってタックフリー時間について試験した。
【0143】
別のプラスチック製の混合カップに、ポリマー/フィラーの50-50ブレンド113.71グラムと、3.48グラムの成分Bを入れた。この配合物を次いで、Hauschild社製ミキサーで混合した。得られたRTV配合物は、表2に示す硬化状態について試験した。
【表2】
実施例6
【0144】
1.30グラムの(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタントリメトキシドと、24.0グラムのエチルポリシリケートとを用いて、エチルポリシリケート中の(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタントリメトキシド原液を作成した。この原液の6.87グラムをバイアルに入れ、続いて7.50グラムのガンマ−アミノプロピルトリメトキシシランを入れた。この混合物をボルテックスミキサー上で約15秒間混合した。この混合物(成分B)は使用前に、16から24時間にわたって静置した。
【0145】
プラスチック製の混合カップに、ポリマー/フィラーの50-50ブレンド26.93グラムと、0.80グラムの成分Bを入れた。この配合物を次いで、Hauschild社製ミキサーで混合した。得られたRTV配合物は、WPSTM E-31aに従ってスナップ時間について試験した。
【0146】
別のプラスチック製の混合カップに、ポリマー/フィラーの50-50ブレンド197.22グラムと、5.86グラムの成分Bを入れた。この配合物を次いで、Hauschild社製ミキサーで混合した。得られたRTV配合物は、表3に示す硬化状態について試験した。
実施例7
【0147】
ガラス製バイアルに0.35グラムのジルコノセンジクロリドを入れ、続いて6.50グラムのエチルポリシリケートを入れた。この不均一混合物に対し、7.50グラムのガンマ−アミノプロピルトリメトキシシランを添加した。この混合物をボルテックスミキサー上で約2分間、15秒間隔で混合した。この混合物(成分B)は使用前に、16から24時間にわたって静置した。
【0148】
プラスチック製の混合カップに、ポリマー/フィラーの50-50ブレンド25.67グラムと、0.76グラムの成分Bを入れた。この配合物を次いで、Hauschild社製ミキサーで混合した。得られたRTV配合物は、WPSTM E-31aに従ってスナップ時間について試験した。
【0149】
別のプラスチック製の混合カップに、ポリマー/フィラーの50-50ブレンド186.00グラムと、5.52グラムの成分Bを入れた。この配合物を次いで、Hauschild社製ミキサーで混合した。得られたRTV配合物は、表3に示す硬化状態について試験した。
実施例8
【0150】
ガラス製バイアルに、0.35グラムのビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリドを入れ、続いて6.52グラムのエチルポリシリケートを入れた。この不均一混合物に対し、7.50グラムのガンマ−アミノプロピルトリメトキシシランを添加した。この混合物をボルテックスミキサー上で約2分間、15秒間隔で混合した。この混合物(成分B)は使用前に、雰囲気条件下に一晩撹拌した。
【0151】
プラスチック製の混合カップに、ポリマー/フィラーの50-50ブレンド27.17グラムと、0.80グラムの成分Bを入れた。この配合物を次いで、Hauschild社製ミキサーで混合した。得られたRTV配合物は、WPSTM E-31aに従ってスナップ時間について試験した。
【0152】
別のプラスチック製の混合カップに、ポリマー/フィラーの50-50ブレンド186.17グラムと、5.47グラムの成分Bを入れた。この配合物を次いで、Hauschild社製ミキサーで混合した。得られたRTV配合物は、表3に示す硬化状態について試験した。
実施例9
【0153】
ガラス製バイアルに、0.35グラムのビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジトリフルオロメタンスルホネート、テトラヒドロフラン付加物を入れ、続いて6.51グラムのエチルポリシリケートを入れた。この不均一混合物に対し、7.51グラムのガンマ−アミノプロピルトリメトキシシランを添加した。この混合物をボルテックスミキサー上で約2分間、15秒間隔で混合した。この混合物(成分B)は使用前に、16から24時間にわたって静置した。
【0154】
プラスチック製の混合カップに、ポリマー/フィラーの50-50ブレンド25.86グラムと、0.77グラムの成分Bを入れた。この配合物を次いで、Hauschild社製ミキサーで混合した。得られたRTV配合物は、WPSTM E-31aに従ってスナップ時間について試験した。
【0155】
別のプラスチック製の混合カップに、ポリマー/フィラーの50-50ブレンド188.41グラムと、5.62グラムの成分Bを入れた。この配合物を次いで、Hauschild社製ミキサーで混合した。得られたRTV配合物は、表3に示す硬化状態について試験した。
【表3】
【0156】
本発明の実施形態を以上に記載したが、本明細書に接し、理解した者は、修正や変更を想起しうるであろう。以下の請求の範囲は、請求項又はその均等物の範囲内に入る限りの、全ての修正及び変更を含むことを意図したものである。