(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6735758
(24)【登録日】2020年7月16日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】電気化学反応器構成部品においてシールを製作するための方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0286 20160101AFI20200728BHJP
C25B 9/10 20060101ALI20200728BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20200728BHJP
【FI】
H01M8/0286
C25B9/10
!H01M8/10 101
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-537387(P2017-537387)
(86)(22)【出願日】2016年1月15日
(65)【公表番号】特表2018-508938(P2018-508938A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】EP2016050814
(87)【国際公開番号】WO2016113408
(87)【国際公開日】20160721
【審査請求日】2018年12月17日
(31)【優先権主張番号】1550352
(32)【優先日】2015年1月16日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515207433
【氏名又は名称】アレヴァ・ストッケージ・デネルジー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シュルヴァン・トルンド
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・ジャック・パスカル・クレルグ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール−エティエンヌ・ジラルド
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・キンテリ
【審査官】
小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−009912(JP,A)
【文献】
特開2007−165132(JP,A)
【文献】
特開2001−332277(JP,A)
【文献】
特開2005−174908(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/004264(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/0286
C25B 9/10
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学反応器を形成するために積み重ねられるように意図された電気化学反応器構成部品(2)の面にシールを製作するための製作方法であって、各々の構成部品(2)は、板の形態であり、第1の面(2A)と、反対側の第2の面(2B)とを有し、前記第1の面は第1のシール(22A)を受け入れるように設計された封止段差(6A)が設けられており、前記第2の面は第2のシール(22B)を受け入れるように設計された封止段差(6B)が設けられており、前記製作方法は、
前記第1のシール(22A)を、前記構成部品の前記第1の面(2A)において形状付けるステップであって、前記第1のシールは、形状付けられた後の前記第1のシールの形状を保持できるよう少なくとも部分的に重合される、ステップと、
前記第2のシール(22B)を、前記構成部品の前記第2の面(2B)に堆積させるステップと、
成形板(10)と交互になっている前記構成部品から形成される積み重ねを圧縮することで前記第2のシール(22B)を形状付けるステップであって、各々の成形板(10)は、構成部品の前記第1の面に押し付けられた担持面(14)であって、前記構成部品の前記第1の面(2A)において先に形成された前記第1のシール(22A)を、変形することなく受け入れるように設計された溝(20)を備える担持面(14)と、他の構成部品の前記第2の面(2B)に押し付けられた成形面(12)と、を有しており、前記成形面(12)は、成形表面(16)を有しており、前記成形表面(16)は、前記積み重ねの圧縮によって、前記他の構成部品の前記第2の面に堆積された前記第2のシール(22B)を形状付ける、ステップと、
前記第2のシール(22B)を、形状付けられた後の前記第2のシール(22B)の形状を保持できるよう少なくとも部分的に重合するステップと、
を含む、製作方法。
【請求項2】
前記第1のシール(22A)の前記形状付けるステップは、
前記第1のシール(22A)を前記構成部品の前記第1の面(2A)に堆積させるステップと、
前記交互になっている構成部品(2)と成形板(10)とから形成される積み重ねを圧縮することで前記第1のシール(22A)を形状付けるステップであって、各々の成形板は、構成部品(2)の前記第2の面(2B)に押し付けられた担持面(14)と、他の構成部品の前記第1の面に押し付けられた成形面(12)と、を有しており、前記成形面(12)は、成形表面(16)を有しており、前記成形表面(16)は、前記積み重ねの圧縮によって、前記他の構成部品の前記第1の面(2A)に堆積された前記第1のシール(22A)を形状付ける、ステップと、
前記第1のシール(22A)を、形状付けられた後の前記第1のシール(22A)の形状を保持できるよう少なくとも部分的に重合するステップと、
を含む、請求項1に記載の製作方法。
【請求項3】
同一の成形板(10)が、前記第1のシールの形状付けの積み重ねと、前記第2のシールの形状付けの積み重ねとのために使用される、請求項1または2に記載の製作方法。
【請求項4】
前記成形板(10)は、第1の積み重ねから第2の積み重ねへと進むために、前記構成部品に対して裏返される、請求項3に記載の製作方法。
【請求項5】
各々の成形板(10)は単一品で形成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の製作方法。
【請求項6】
各々の成形板(10)は、付着されるシムを前記成形面において担持し、前記シム間に溝を形状付けるシールを定める芯部を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の製作方法。
【請求項7】
前記構成部品(2)は分離板であり、反応性の流体循環通路を定めるように設計される溝(4A、4B)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学反応器の分野に関し、詳細には、シールと電気化学反応器構成部品とを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料と酸化剤との間での酸化還元によって、燃料と酸化剤とから電気を生成することを可能にする電気化学反応器である。
【0003】
イオン交換膜燃料電池は、各々がそれぞれの反応ガスの循環のための2つの流体区画室と、イオン交換膜を通じたイオン交換による反応ガスの酸化還元のための、流体区画室同士を分離する少なくとも1つの膜とを備える。アノード区画室と呼ばれる1つの流体区画室がガス状の燃料の循環のために使用され、カソード区画室と呼ばれる1つの流体区画室がガス状の酸化剤の循環のために使用される。
【0004】
燃料電池が活性状態であるとき、燃料は、区画室の端部の方に向けられた各々のイオン交換膜の面に沿って、アノード区画室において循環し、酸化剤は、カソード区画室の方に向けられた各々のイオン交換膜の面に沿って、カソード区画室において循環する。燃料電池は、各々のイオン交換膜を通じた燃料と酸化剤との酸化還元反応によって、電気を生成する。
【0005】
分離用板およびイオン交換膜の積み重ねから作られた燃料電池を製作することが可能であり、分離用板には、各々のイオン交換膜の反対側の面に沿って、反応ガスの循環のための通路が設けられる。分離板のアノード通路同士が、アノード区画室を形成するために互いに連結され、分離板のカソード通路同士が、カソード区画室を形成するために互いに連結される。
【0006】
ガス漏れを回避するために、分離板と積み重ねの膜との間で封止することを確保することが必要である。そのために、封止するガスケットが板に搭載されることを提供することが可能である。
【0007】
しかしながら、積み重ねによって形成された燃料電池は、数十枚の分離板および膜を備える可能性がある。そのため、シールを形成することは、手間の掛かる可能性がある。
【0008】
さらに、シールは、積み重ねの所定の圧縮力について信頼できる封止性を得るために、正確な形状で製造されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的のうちの1つは、電気化学反応器のシールおよび構成部品を製造するための方法を提案することであり、その方法は、実施するのが容易でコスト効果があり、正確な形状でシールを得ることを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、本発明は、電気化学反応器を形成するために積み重ねられるように意図された電気化学反応器構成部品の面にシールを製作するための方法であって、各々の構成部品は、板の形態であり、第1の面と、反対側の第2の面とを有し、第1の面は第1のシールを受け入れるように設計され、第2の面は第2のシールを受け入れるように設計され、方法は、
− 第1のシールを、構成部品の第1の面において造形するステップであって、第1のシールは少なくとも部分的に重合される、ステップと、
− 第2のシールを、構成部品の第2の面に堆積させるステップと、
− 成形板と交互になっている構成部品から形成される積み重ねを圧縮することで第2のシールを造形するステップであって、各々の成形板は、構成部品の第1の面に押し付けられ、前記構成部品の第1の面において先に形成された第1のシールを、変形することなく受け入れるように設計される溝を備える担持面と、他の構成部品の第2の面に押し付けられ、積み重ねを圧縮する結果として前記他の構成部品の第2の面に堆積された第2のシールを造形するための成形表面を有する成形面とを有する、ステップと、
− 第2のシールを少なくとも部分的に重合するステップと
を含む、方法を、提案する。
【0011】
一実施形態では、第1のシールの造形するステップは、
− 第1のシールを構成部品の第1の面に堆積させるステップと、
− 交互になっている構成部品と成形板とから形成される積み重ねを圧縮することで第1のシールを造形するステップであって、各々の成形板は、構成部品の第2の面に押し付けられる担持面と、他の構成部品の第1の面に押し付けられ、積み重ねを圧縮する結果として前記他の構成部品の第1の面に堆積された第1のシールを造形するための成形表面を有する成形面とを有する、ステップと、
− 第1のシールを少なくとも部分的に重合するステップと
を含む。
【0012】
一実施形態では、同一の成形板が、第1のシールの造形の積み重ねと、第2のシールの造形の積み重ねとのために使用される。
【0013】
一実施形態では、成形板は、第1の積み重ねから第2の積み重ねへと進むために、構成部品に対して裏返される。
【0014】
一実施形態では、各々の成形板は単一品で形成される。
【0015】
一実施形態では、各々の成形板は、付着されるシムを成形面において担持し、シム間に溝を造形するシールを定める芯部を有する。
【0016】
一実施形態では、構成部品は分離板であり、反応性の流体循環通路を定めるように設計される溝を備える。
【0017】
本発明はまた、電気化学反応器を形成するために積み重ねられるように設計される電気化学反応器構成部品においてシールを製作するための成形板であって、各々の構成部品は、板の形態であり、構成部品の第1の面および反対側の第2の面においてシールを受け入れるように提供され、成形板は、担持面が押し付けられる構成部品の面において先に形成されたシールを、変形することなく受け入れるように設計される溝を備える担持面を有し、成形面は、成形面が押し付けられる構成部品の面に堆積されるシールの造形のための成形表面を有する、成形板に関する。
【0018】
一実施形態では、各々の成形板は単一品で形成される。
【0019】
一実施形態では、成形板は、付着されるシムを成形面において担持し、シム間に溝を造形するシールを定める芯部を有する。
【0020】
本発明およびその利点は、例としてのみ提供された、添付の図面を参照して成された以下の記載を読むことで、より良く理解されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】電気化学反応器構成部品において、より具体的には、分離板において、シールを製作するための方法の連続するステップを示す図である。
【
図2】電気化学反応器構成部品において、より具体的には、分離板において、シールを製作するための方法の連続するステップを示す図である。
【
図3】電気化学反応器構成部品において、より具体的には、分離板において、シールを製作するための方法の連続するステップを示す図である。
【
図4】電気化学反応器構成部品において、より具体的には、分離板において、シールを製作するための方法の連続するステップを示す図である。
【
図5】分離板を用いて形成された電気化学反応器を部分的に示す図である。
【
図6】製造方法を実行するための成形板を示す図である。
【
図7】製造方法を実行するための成形板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜
図4に示した製造方法の実施は、板の形態での構成部品の2つの反対側の面の各々にシールを形成することで、複数の電気化学反応器構成部品に(複数の電気化学反応器構成部品において)シールを形成することを可能にする。
【0023】
図1に示しているように、電気化学反応器構成部品は、ここでは、双極の分離板2である。
【0024】
各々の分離板2は、電気化学反応器の積み重ねにおける2つのイオン交換膜の間に挿入されるように意図されている。
【0025】
各々の分離板2は、反応ガスの循環のための通路4A、4Bが各々設けられた第1の面2Aおよび第2の面2Bを備えている。
【0026】
第1の面2Aおよび第2の面2Bは、面に押し付けられるイオン交換膜と、または、隣接する分離板との封止を確保するために、シールを受け入れるように設けられた封止段差部6A、6Bを各々有している。
【0027】
封止段差部6A、6Bは、好ましくは、分離板2の周縁において据え付けられ、通路4A、4Bの周りに封止を提供するために、反応ガス循環通路4A、4Bを包囲する。第1の面2Aおよび第2の面2Bは、分離板2において封止された領域を定めるために、1つまたはいくつかの閉じた線の周りで延びる封止段差部を各々有する。
【0028】
第1の面2Aおよび第2の面2Bは、シールを受け入れるために封止溝8A、8Bを各々有しており、封止段差部6A、6Bは封止溝8A、8Bの底に設けられている。代替では、封止段差部6A、6Bは溝の底に設けられない。
【0029】
製造方法は、いくつかの同一の成形板10を用いて実行される。
【0030】
各々の成形板10は成形面12と担持面14とを備えている。
【0031】
成形面12には、成形板10の成形面12が押し付けられる分離板2の面に堆積されるシールと接触するために設けられた成形表面16が設けられている。
【0032】
成形表面16は、分離板2への成形板10の押し付けのため、正確な形状でシールを造形するために設けられている。成形表面16は、好ましくは、例えば±数ミクロンの遊びを伴うといった、遊び範囲から成る、所定の高さHを伴うシールを形成するために具体的には設けられている。
【0033】
成形面12は、ここでは、成形表面16が底に設けられている成形溝18を備えている。
【0034】
各々の成形板10の担持面14は、シールが堆積され、造形され、少なくとも部分的に、または、完全に重合された状態で、このシールと接触することなく、提供される分離板2の面に圧し掛かるように提供される。
【0035】
担持面14は、分離板2の面が成形板10の担持面14に押し付けられるとき、分離板2のこの面に先に形成されているシールを受け入れるように設けられた受入溝20を備えている。受入溝20は、分離板の封止段差部に据え付けられるように位置決めされ、受入溝20の壁部を、分離板2に先に形成されたシールと干渉させない寸法を有している。
【0036】
図1に示しているように、成形溝18と受入溝20とは、互いに列になって位置決めされている。成形溝18は、受入溝20の深さP2より完全に小さい深さP1を有している。
【0037】
ここで、分離板にシールを製作するための方法を、
図1〜
図4を参照して説明する。
【0038】
分離板2の第1の面2Aおよび第2の面2Bは、最初はシールを有していない。
【0039】
第1のステップでは(
図1)、第1のシール22Aが分離板2の第1の面2Aに堆積される。第1のシール22Aは第1の面2Aの封止段差部6Aに堆積される。
【0040】
「シールを堆積させる」という表現は、ここでは、シールシームを造形させることができる粘性状態でシールシームを堆積させることを意味する。シールは、合成または天然の重合可能な材料で提供される。堆積のときに、シールは重合されない。
【0041】
第1のシール22Aは、例えば、第1のシール22Aを封止段差部6Aに沿って適用するために、分離板に対して移動可能な注入ノズルを有する自動機械を用いてといった、知られている手法で分離板2に堆積される。
【0042】
第1の面2Aに重合されていない第1のシール22Aが提供された分離板2は、分離板2と成形板10とが交互になる第1の積み重ね24を形成するために使用され、成形板10の成形面12は、分離板2の第1の面2Aに押し付けられ、成形板10の担持面14は、分離板2の第2の面2Bに押し付けられる。
【0043】
好ましくは、分離板2の第1の面2Aは好ましくは上方の向きとされ、成形板10の成形面12は下方の向きとされる。
【0044】
第1の積み重ね24は漸進的に作られ、各々の分離板2が、第1のシール22Aがその分離板2に堆積されると付け加えられる。代替で、第1のシール22Aは、いくつかの分離板2を交互の成形板10と積み重ねる前に、これらの分離板2に堆積される。
【0045】
各々の分離板の第1の面に成形板の成形面を押し付けるため、成形板の成形表面は、この分離板に堆積された第1のシールに押し付けられる。これは、シールの造形をもたらす。
【0046】
「シールの造形」という表現は、シールに、必要な形状、ここでは具体的には、必要な高さHを与えることを言っている。
図1および
図2に示しているように、造形されたシールは、ここでは、その頂点において平らになっている。
【0047】
第3のステップでは(
図2)、第1のシール22Aは少なくとも部分的に重合される。第1のシール22Aは、部分的に重合される、または、実質的に完全に重合される。第1のシール22Aは、剥ぎ取った後にそれ自体の形状を保持するのに十分な重合がされる。第1のシール22Aは、例えば、それ自体の形状を保持するように表面が重合され、一方、それ自体の芯部は重合されない。
【0048】
重合を確保するために、第1の積み重ね24は、例えば、所定温度へと、所定の長さの時間にわたって加熱される(矢印T)。
【0049】
好ましくは、圧縮力C(
図2)が、各々の成形板10の成形面12を分離板2の第1の面2Aにその真向いから押し付けるために、第1の積み重ね24に発揮される。圧縮力は、造形のために、重合の間、維持される。
【0050】
第4のステップでは(
図3)、各々の分離板2は第1の積み重ねから除去される。第2の重合されていないシール22Bが、分離板2の第2の面2Bに、より具体的には、第2の面2Bの封止段差部6Bに、堆積される。
【0051】
第2の面2Bに重合されていない第2のシール22Bが提供された分離板2は、分離板2が成形板10と交互になって積み重ねられる第2の積み重ね26を形成するために使用され、成形板10の成形面12は、分離板2の第2の面2Bに押し付けられ、成形板10の担持面14は、分離板2の第1の面2Aに押し付けられる。第1のシール22Aは、成形板10と干渉することなく、担持面14の受入溝20に受け入れられる。
【0052】
第2の積み重ね26では、分離板2は、第1の積み重ね24に対して裏返されており、一方、成形板10は裏返されていない。
【0053】
第2の積み重ね26では、分離板2の第2の面2Bは、好ましくは、上方の向きとされ、成形板10の成形面12は下方の向きとされる。
【0054】
第2の積み重ね26の製作のため、第2のシール22Bは、所望の形状を伴う、具体的には、所望の高さHを伴う成形板10によって、造形される。
【0055】
好ましくは、第2の積み重ねは、第2のシール22Bの造形のための圧縮力(矢印C)を受ける。圧縮力は、造形のために、重合の間、維持される。
【0056】
担持面の受入溝のおかげで、分離板の第1の面において先に形成された第1のシールは、第2の積み重ねにおいて変形または圧迫されない。したがって、第1のシールは、第1の積み重ねにおいて第1のシールに与えられた形を保持する。
【0057】
第2の積み重ねが製作されると、第2のシールは完全に重合される。第1のシールが、第1の積み重ねに適用された重合の端部において部分的に重合されるだけの場合、第1のシールの重合は、第2の積み重ねに適用される重合の間に完全にされる。
【0058】
第1の積み重ね(
図2)から第2の積み重ね(
図4)へと進むためには、成形板10を第1の積み重ね24から第2の積み重ね26へと、成形板10を裏返すことなく移し、次に、第1の積み重ね24において下に据え付けられた分離板2を取り出し、その間に第2のシール22Bをその分離板2の第2の面2Bに堆積し、次に、その分離板2を、裏返した後に第2の積み重ね26において据え付けすることによって、板ごとで進行することが可能である。
【0059】
各々の成形板10が、一方の側に据え付けられた分離板2においてシールを成形するために使用され、反対側に据え付けられた別の分離板2に向けた担持のために作用するため、分離板2の第1のシール22Aおよび第2のシール22Bは、より少ない数の成形板10を用いて、同じ成形板10で形成される。
【0060】
より少ない数の成形板10は、限られた数の成形板10で十分であるため、製作方法を実行するための治工具のコストを抑えることに加えて、成形板10の操作も限られるため、製作方法の実施自体のコストも抑える。成形板10の保管もより容易にされる。これは、数十の積み重ねられた分離板2を備え得る電気化学反応器を製作するのに特に有利である。
【0061】
製作方法は、具体的には第1の積み重ねから第2の積み重ねへと進むために、効果的に実行され得る。
【0062】
さらに、シールは、重合時間のより良好な統制によって作られてもよい。第1のシールのすべてが、近いまたは同等の重合時間で製作され、第2のシールのすべてが近い重合時間で製作される。
【0063】
好ましくは、第1のシール22Aは、第2のシール22Bを堆積し、第2の積み重ね26を形成することへと進むとき、第1の積み重ね24において部分的に重合されるだけである。これは、一方において第1のシール22Aの重合時間における差を制限し、他方において第2のシール22Bの重合時間の差を制限することを可能にする。
【0064】
各々の分離板2の第1のシール22Aと第2のシール22Bとは同一である。それらシールは、断面において、同じ線に沿って延び、同じ形状を有する。各々の分離板2の第1のシール22Aと第2のシール22Bとは、同一の成形板10の成形面12で形成される。
【0065】
図5に示しているように、イオン交換膜の電気化学反応器30が、分離板2と膜/電極組立体34とが交互になっている積み重ね32を備えている。
【0066】
各々の膜/電極組立体34は、EMEとも呼ばれ、2つの電極38の間に挟まれたイオン交換膜36を備えている。各々の膜/電極組立体34は、2つの分離板2の間に挟まれている。
【0067】
1つだけの分離板/EME/分離板の組立体がここでは示されているが、実際の積み重ね32は、複数のこのような分離板/EME/分離板の組立体を備える。各々の分離板/EME/分離板の組立体は、実際にはこれらのうちのいくつかを備える電気化学反応器30の基本の電気化学セル40を定める。
【0068】
分離板2の相対する面のシール22は、分離板2間で、反応ガスに対する封止を提供し、具体的には、これらの面における反応ガスのための循環通路の封止を提供する。
【0069】
膜/電極組立体の膜36は、電極38に対して過剰に流れる周辺領域42を有している。この周辺領域42は、膜/電極組立体34を挟む分離板2同士の相対する面のシール22の間で挟み付けられる。1つの代替では、膜/電極組立体の膜は、突き出た周辺領域を有しておらず、分離板同士の相対する面は互いに接触する。
【0070】
電気化学反応器30は、例えば、燃料と酸化剤との間での酸化還元によって、燃料と酸化剤とから電気を生成することを可能にする電気化学反応器である燃料電池である。代替では、電気化学反応器は、水および電気から二水素および二酸化物を生成することを可能にする電解槽である。
【0071】
図1〜
図4に示しているように、成形板10は、単一の材料の品で作られる。成形板10は、例えば、プラスチックから作られる。正確な形状が必須ではない受入溝20が、成形板10の成形から生じ得る一方で、成形表面16は、好ましくは、非常に正確な形状を有するために、機械加工によって得られる。
【0072】
図6に示した代替では、成形板10は支持板44によって形成されており、支持板44の一方の面は、成形板の担持面14を定め、受入溝20が設けられており、他方の面は、支持板44において付着されると共に成形溝18を間に定めるシム46を担持している。成形溝18の底は、非常に正確な形状を有するために、少なくとも成形溝18において、成形から得られる、または、機械加工によって作られる支持板44の前記他方の面によって、形成されている。
【0073】
図7に示された代替では、成形板10は、一方の面において受入溝20を定め、他方の面において成形溝18を定めるために、2つの面の各々にシム50、52が設けられた支持板48を備えている。
【0074】
図1〜
図4の製作方法は、分離板においてシールを製作するために記載されている。製作方法は、板形態における他の電気化学反応器構成部品に適用可能である。例えば、製造方法は、分離板において製作されるシールの置き換えとして、または、そのシールに加えて、イオン交換膜においてシールを形成するために、イオン交換膜に適用可能である。
【符号の説明】
【0075】
2 分離板
2A 第1の面
2B 第2の面
4A、4B 通路
6A、6B 封止段差部
8A、8B 封止溝
10 成形板
12 成形面
14 担持面
16 成形表面
18 成形溝
20 受入溝
22 シール
22A 第1のシール
22B 第2のシール
24 第1の積み重ね
26 第2の積み重ね
30 電気化学反応器
32 積み重ね
34 膜/電極組立体
36 イオン交換膜
38 電極
40 電気化学セル
42 周辺領域
44 支持板
46 シム
48 支持板
50、52 シム
C 圧縮力
T 加熱