特許第6735779号(P6735779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6735779
(24)【登録日】2020年7月16日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】切欠きを有するフィルタ要素
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20200728BHJP
   A47J 31/36 20060101ALI20200728BHJP
   B65D 85/804 20060101ALI20200728BHJP
【FI】
   A47J31/06 320
   A47J31/36 326
   B65D85/804 100
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-566416(P2017-566416)
(86)(22)【出願日】2016年7月13日
(65)【公表番号】特表2018-519908(P2018-519908A)
(43)【公表日】2018年7月26日
(86)【国際出願番号】EP2016066617
(87)【国際公開番号】WO2017009369
(87)【国際公開日】20170119
【審査請求日】2017年12月21日
(31)【優先権主張番号】102015111319.8
(32)【優先日】2015年7月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513014514
【氏名又は名称】ケイ‐フィー システム ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】特許業務法人 東和なぎさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリューガー,マルク
(72)【発明者】
【氏名】エムプル,ギュンター
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−521442(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0175347(US,A1)
【文献】 特表2012−527968(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/118731(WO,A1)
【文献】 特表2003−534033(JP,A)
【文献】 特開2002−018213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00 − 31/60
B65D 77/00
B65D 85/72 − 85/816
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル底部(3)とカプセル側壁部(22)と鍔状周辺部(5)とを有するカプセル本体(2)および蓋(6)を有し、飲料基体(101)を収容するための空洞(100)が前記カプセル底部(3)と前記蓋(6)との間に構成され、繊維から作製されるフィルタ要素(7)が、前記空洞(100)内に配置され、前記フィルタ要素(7)が、前記フィルタ要素(7)の側壁部(7’’’)により互いに分離されて調整液体が流入する第1端部(28)と前記カプセル底部(3)に固定される第2端部(29)とを有し、前記フィルタ要素(7)が、フィルタ材料が設けられていない切欠き(24)を前記第2端部(29)の中央領域に有している、飲料の製造のためのポーションカプセル(1)において、
前記第2端部(29)が、前記切欠き(24)側から突出して前記側壁部(7’’’)から外向きに広がっていることを特徴とするポーションカプセル(1)。
【請求項2】
前記フィルタ要素(7)が、前記カプセル本体(2)に仮付け溶接されていることを特徴とする、請求項1に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項3】
前記フィルタ要素(7)が、成形または真空成形されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項4】
前記第1端部(28)と前記第2端部(29)とが、環状の封止シール(30)により前記カプセル本体(2)に接続されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項5】
前記封止シール(30)の外径が、16〜18mmであることを特徴とする、請求項4に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項6】
前記フィルタ要素(7)が、前記第2端部(29)の領域で封止されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項7】
前記フィルタ材料に張力が、かかっていることを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項8】
前記フィルタ要素(7)が、中空の円錐の形状の部分を有していることを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項9】
飲料の製造のための、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のポーションカプセル(1)の使用。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のポーションカプセル(1)の製造のための方法において、
前記フィルタ材料が成形されていることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記フィルタ材料が、巻かれ、および/または曲げられることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1端部(28)が、前記カプセル側壁(22)および/または前記鍔状周辺部(5)に接続されることを特徴とする、請求項10乃至請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記カプセル本体(2)と接続する封止シール(30)が、順次配置されることを特徴とする、請求項9乃至請求項12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記封止シール(30)が、ソノトロードによる超音波封止によって確立されることを特徴とする、請求項9乃至請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ソノトロードが、第1封止シールの領域における半径方向拡張部を通じて前記フィルタ材料と接触させられることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ソノトロードが、前記カプセル本体(2)の中心軸と平行な移動により、ベース領域において前記フィルタ材料と接触させられることを特徴とする、請求項14または請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フィルタ材料が、前記ソノトロードによって成形され、および/または、張力がかけられることを特徴とする、請求項14乃至請求項16のいずれか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル底部とカプセル側壁部と鍔状周辺部とを有するカプセル本体および蓋を有する、飲料の製造のためのポーションカプセルであって、粉末状、粒状、切断葉形状、または、液体状の飲料基体を収容するための空洞がカプセル底部と蓋との間に構成され、フィルタ要素が空洞内に配置され、フィルタ要素が繊維材料から作られる、ポーションカプセルに関する。
本発明は、ポーションカプセルの製造のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなポーションカプセルは、例えば、国際公開第2012/038063号パンフレットから既知であり、例えば、自動浸出装置における茶またはコーヒー飲料の製造のために使用されている。
このため、水がポンプによりポーションカプセルを強制的に通され、そこにある飲料物質が溶解および/または抽出される。
しかしながら、先行技術のポーションカプセルは、このポーションカプセル、特に、フィルタ要素が高い圧力損失を有するという欠点、すなわち、自動浸出装置のポンプにより利用可能とされなければならない陽圧が2バールより高くなければならないという欠点、ポーションカプセルの製造が複雑であるという欠点、前記ポーションカプセルが高重量を有するという欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、フィルタ要素を有するポーションカプセルであって、先行技術と比較した場合により小さい圧力損失を有するポーションカプセルを提供することが本発明の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、飲料の製造のためのポーションカプセルであって、カプセル底部とカプセル側壁部と鍔状周辺部とを有するカプセル本体および蓋を有し、粉末状、粒状、切断葉形状および/または液体状の飲料基体を収容するための空洞がカプセル底部と蓋との間に構成され、繊維から作製されるフィルタ要素が空洞内に配置され、フィルタ要素がフィルタ要素の側壁部により互いに分離されて調整液体が流入する第1端部とカプセル底部に固定される第2端部とを有し、フィルタ要素がフィルタ材料が設けられていない切欠きを第2端部の中央領域に有し、第2端部が切欠き側から突出して側壁部から外向きに広がっているポーションカプセルにより達成される。
【0005】
本発明の主題についてなされた説明は、本発明の他の主題にも等しく当てはまり、逆も同様である。
【0006】
本発明によるポーションカプセルは、製造が容易であり、小さい圧力損失を有する大きいフィルタ面積を有し、小さい重量を有するという利点を有する。
【0007】
本発明に関連して、ポーションカプセルは、密封性のポーションカプセルを含む。
これは、抽出および/または溶解手順の前にポーションカプセルに位置するコーヒー粉末、スープ粉体または茶などの飲料または食料品基体が、環境に対して実質的に香りを通さない方法で閉鎖されることを意味する。
しかしながら、ポーションカプセルは、密封性である必要はなく、ポーションカプセルの使用前に密封性梱包に入れて提供することもでき、密封性梱包は、その後、例えば、手動で開かれる。
そのようなポーションカプセルは、少なくとも1つの側、好ましくは、2つの側で開き、すなわち、ポーションカプセルに穴を開けずに調製液体が浸透する。
【0008】
飲料または食料品の製造のためのポーションカプセルは、円錐台または円筒形に成形され、例えば、真空成形のプラスチックフィルムからまたはプラスチック射出成形法によって作られる。
前記ポーションカプセルは、通常、閉鎖されたカプセル底部と鍔状周辺部を有する開いた充填側とを有し、鍔状周辺部では、ポーションカプセルの空洞にフィルタ要素が設けられ、それが粒状および/または葉形状および/または切断葉形状および/または粉末状および/または液体状の飲料物質で充填されると、フィルム蓋が、封止または接着結合される。
【0009】
調製された飲料または食料品内へ飲料基体が入るのを防ぐフィルタ要素が、カプセル底部と飲料基体との間に設けられる。
このフィルタ要素は、繊維から作られ、本発明によると、フィルタ材料が設けられていない切欠きを有する。
この切欠きは、3〜15mmの外径を有する。
切欠きの外径は、カプセル底部の領域におけるカプセル本体の内径の5〜40%である。
切欠きにより、重量が削減される。
切欠きは、フィルタ要素をカプセル本体に対して整列させるために用いられる。
フィルタ要素の切欠きは、カプセル底部の領域において設けられ、切欠きの周辺領域は、カプセル底部に接続される。
切欠きは、フィルタ要素の中心の領域に位置する。
フィルタ要素は、少なくとも実質的に回転対称であるように設けられる。
切欠きは、対称性軸を中心として、好ましくは対称性軸を中心として回転対称であるように位置する。
切欠きは、円形となるように構成される。
【0010】
本発明によると、フィルタ要素は、カプセル本体に仮付け溶接される。
【0011】
本発明の主題についてなされた説明は、本発明の他の主題にも等しく当てはまり、逆も同様である。
【0012】
本発明に関連して、仮付け溶接は、フィルタ要素がカプセル本体に接続されるが、この接続がフィルタ要素の円周に対して点状におよび/または部分毎にのみ実施され、その結果、この接続が液密効果を有さず、むしろ、液体が2つの仮付け溶接された位置間を流れることを意味する。
例えば、環帯に沿ったフィルタ要素は、カプセル本体にいくつかの位置でのみ接続され、連続的に接続されない。
本発明は、特に大きいフィルタ要素またはカプセル本体においてぶら下がっているフィルタ要素の場合、特定の形状であって、例えば、フィルタ要素が穴開け部材と接触するのを防ぐ特定の形状をフィルタ要素に与えることができるという利点を有する。
さらに、フィルタ要素の圧力損失は、仮付け溶接により減少され、および/または、フィルタ面積は、拡大される。
フィルタ要素は、仮付け溶接により張力をかけられる。
仮付け溶接は、封止により、超音波を使用して実施される。
【0013】
フィルタ要素は、飲料基体とカプセル底部および/またはカプセル本体のカプセル側壁部との間に配置され、好ましくは第1端部および第2端部であって、特に好ましくは、互いに離間された、特にフィルタ要素の側壁部により互いに分離された第1端部および第2端部を有する。
水は、1つの端部の領域においてフィルタ要素に流入する。
フィルタ要素は、側壁部であって、それを通じて調製された飲料が少なくとも部分的に排出される側壁部を有する。
フィルタ要素の側壁部は、少なくとも部分的に、カプセル本体のカプセル側壁部に平行に延びる。
フィルタ要素の側壁部は、カプセル本体のカプセル側壁部に当接する。
側壁部は、円錐台状に成形されるか、または、円錐台状に成形された部分を有するか、または放物状となるように設けられる。
フィルタ要素は、他の端部によってカプセル底部に接続される。
フィルタ要素は、フィルタ要素の第1端部に環状に隣接する周辺領域を有する。
側壁部は、周辺領域に対して角度をなすように設けられる。
側壁部および/または周辺領域は、曲げられた部分を有し、かつ/または、フィルタ要素は、真空成形され、すなわち、フィルタ要素は、圧力および/または温度をかける間に平面的な半仕上げの製品から3次元構造に成形される。
フィルタ要素における材料厚さは、真空成形中に変化し、および/または、繊維の配置構成は変更される。
少なくとも部分的に、カプセル底部に平行に延び、および/または、フィルタ要素の回転軸の領域に位置する中央領域は、カプセル本体のベース領域においてフィルタ要素の側壁部に隣接する。
フィルタ要素の切欠きは、中央領域に位置する。
この中央領域は、カプセル底部に接続される。
【0014】
フィルタ要素の側壁部が、カプセル底部に固定されているとき、フィルタ要素の側壁部に張力がかかっている。
【0015】
フィルタ要素は、その第1端部の領域において、カプセル本体に接続される。
この接続は、物質的に一体的な方法で、特に溶接により、超音波溶接により実施される。
接続は、鍔状周辺部の領域および/またはカプセル側壁部の領域において実施される。
フィルタ要素は、前記フィルタ要素の第2端部の領域においてもカプセル本体に接続され、特にカプセル底部の内側に接続される。
少なくとも1つの接続は、環状となるように提供される。
少なくとも1つの接続、好ましくは、両方の接続が防水性である。
【0016】
ポーションカプセルのベース領域における円形または環状シールは、16〜18mmの外径を有する。
封止シールの外径は、カプセル底部の領域におけるカプセル本体の内径の5〜45%である。
封止シールの幅は、0.5〜2mmである。
【0017】
フィルタ面積は、1100〜20,500mm、好ましくは、2000〜10,000mm、特に好ましくは、6100〜6900mmである。
【0018】
カプセル底部の内側に接続されたフィルタ要素の端部は、広がっている。
この広がっている端部は、加熱およびその後の成形ならびに/または弾性変形であって、次いで、その形状に関して封止により安定化される弾性変形により実施することができる。
【0019】
フィルタ要素の側壁部に張力がかかっている。
そのため、フィルタ要素、特に、フィルタ要素の壁領域には、フィルタを通る水の流量に好影響を及ぼし、および/または、フィルタ要素がカプセル底部の領域において穴開け部材により穿孔されるのを防ぐ特定の形状が与えられる。
【0020】
フィルタ要素は、不織繊維材料から、例えば、不織材料および/またはフェルトから作られ、作られる飲料に飲料基体の粒子が入るのを防ぐ。
フィルタ要素は、複数の積み重ねで設けることができ、この積み重ねは、例えば、カレンダー加工により相互連結される。
フィルタ要素の1つの構成部品は、紙および/またはプラスチックおよび/または天然に存在する材料および/または生分解性プラスチックおよび/または好ましくは持続可能な原材料由来のプラスチックである。
P.Eおよび/またはPPは、繊維の好ましい構成部品である。
【0021】
フィルタ要素は、弾性があるように構成される。
そのため、フィルタ要素の側壁部に張力をかけることができる。
そのため、液体の圧力下でのフィルタ要素の形状の変化が、少なくとも最小化される。
【0022】
本発明によるポーションカプセルが作られるために、カプセル本体が提供され、フィルタ要素の周辺領域またはフィルタ要素の側壁部が、例えば、前記カプセル本体の鍔状周辺部またはカプセル側壁部へ封止される。
その後、フィルタ要素の中央領域がカプセル底部へ封止され、続いて、飲料基体がカプセル本体に充填される。
続いて、ポーションカプセルが、封止により、フィルタ要素の周辺領域である側壁部および/または、カプセル本体の鍔状周辺部へ接続されたフィルム蓋で閉鎖される。
代替的に、フィルタ要素は、カプセル底部に接続され、かつ、飲料物質で充填される。
最後に、フィルム蓋は、フィルタ要素の周辺領域である側壁部に対して封止され、実質的に同時に、フィルタ要素の周辺領域である側壁部は、ポーションカプセルの鍔状周辺部に接続される。
本明細書によるフィルタ要素には、張力がかかっている。
続いて、フィルタ要素の突出する可能性のある材料が、例えば、穴開けにより除去される。
【0023】
コーヒー飲料などの飲料を調製するために、ポーションカプセルは、調製装置の抽出チャンバに組み込まれる。
抽出チャンバの閉鎖手順後またはその間、ポーションカプセルは、その閉鎖されたベース側が、抽出チャンバに配置された開口マンドレルにより開かれ、開口マンドレルは、カプセル底部の周辺領域を開く。
抽出チャンバの封止後および/または封止中、フィルム蓋により閉鎖されたポーションカプセルの充填側は、少なくとも1つの穿孔手段により開かれる。
しかしながら、調製装置に導入される前に少なくとも一方の側が既に開かれたポーションカプセルもある。
調製液体、好ましくは、熱水は、続いて、圧力下でフィルム蓋を通じてポーションカプセル内へ搬送される。
調製液体は、飲料基体に浸透し、かつ、飲料基体から飲料の製造に必要とされる物質を抽出および/または溶解する。
飲料は、その後、フィルタ要素を通って流れ、そこから、カプセル本体に入り、前記飲料は、カプセル底部の開口を通じてカプセル本体を出る。
本発明によるポーションカプセルの場合、水がコーヒーの調製のためにポーションカプセルを通じて搬送されるのに、およそ2バール以下のポンプ圧力で十分である。
【0024】
本発明の別の主題は、本発明によるポーションカプセルの製造のための方法であって、フィルタ材料が成形され、第1端部と第2端部とがカプセル本体に接続される、方法である。
【0025】
本発明による方法の説明は、本発明によるポーションカプセルにも同様に当てはまり、逆も同様である。
【0026】
切欠きが、成形前、成形中または成形後にフィルタ材料に組み込まれる。
切欠きは、例えば、切削により材料を除去することによって確立される。
しかしながら、フィルタ材料でできている半仕上げの製品が、フィルタの成形において切欠きがフィルタ要素にもたらされるように予め成形される。
さらに、代替的に、切欠きの構成は、真空成形方法において実施される。
【0027】
フィルタ要素は、3次元となるように提供される。
例えば、前記フィルタ要素は、少なくとも部分的に、円錐台の形状または放物線状に設計される。
本発明の一実施形態によれば、フィルタソノトロード要素が作られるために、もともと平面的なフィルタ材料が形成され、特に弾性または可塑性のある方法で巻かれ、および/または曲げられ、および/または延ばされる。
【0028】
フィルタ材料の1つの端部、特に、カプセル本体のカプセル底部における端部は、広がっている。
この広がっている端部は、フィルタ材料、特に、フィルタ要素の中央領域における切欠きを中心として延在する。
この広がっている端部は、例えば、圧力および/または温度の影響下での可塑性および/または弾性変形により確立される。
【0029】
広がっている端部は、溶接により、好ましくは、超音波溶接によりカプセル底部に接続される。
【0030】
フィルタ要素の第1端部であって、前記端部の開口を通って水がフィルタ要素へ流入するフィルタ要素の第1端部は、カプセル側壁部および/または鍔状周辺部への封止により、特に熱封止または溶接により、好ましくは超音波溶接により、カプセル本体のカプセル側壁部および/または鍔状周辺部に接続される。
【0031】
フィルタ要素がカプセル本体に固定されているとき、フィルタ要素に張力がかかっている。
【0032】
フィルタ要素をカプセル本体に固定するための封止シールは、少なくとも部分的に順次配置される。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、封止シールの製造は、少なくとも1つのソノトロードによる超音波封止により実施される。
ソノトロードは、第1封止シールの領域における半径方向拡張部を通じてフィルタ材料と接触させられる。
ソノトロードは、カプセル本体の中心軸と平行なソノトロードの移動により、ベース領域においてフィルタ材料と接触させられる。
フィルタ材料は、ソノトロードにより成形され、および/または張力がかけられる。
【0034】
本発明の実施形態が、図示されかつ以下でより、詳細に説明される。
図は、例示的に説明され、本発明の一般的概念を限定するものではない。
本説明は、本発明の全ての主題に等しく当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】先行技術によるポーションカプセルの長手方向断面を示し、前記ポーションカプセルはエスプレッソの調製のために構成されている。
図2図1の実施形態によるポーションカプセルの長手方向断面を示し、前記ポーションカプセルが閉鎖した抽出チャンバ内にある。
図3】フィルタ要素の一実施形態を示す。
図4】フィルタ要素の一実施形態を示す。
図5】フィルタ要素の一実施形態を示す。
図6】本発明によるポーションカプセルを示す。
図7】本発明によるポーションカプセルを示す。
図8】本発明によるポーションカプセルを示す。
図9】本発明によるポーションカプセルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
同じ部品は、図において同じ符号が付され、それぞれ1回のみ言及される。
【0037】
先行技術によるポーションカプセル1の実施形態が、図1に示される。
ポーションカプセル1は、円錐台の形状のカプセル本体2を含み、このカプセル本体2は、閉鎖されたカプセル底部3と、鍔状周辺部5であって、前記カプセル本体2の充填側4に配置され、フィルム蓋6が溶接、封止、または、接着結合される鍔状周辺部5とを有する。
粉末状および/または粒状および/または切断葉形状の飲料物質101が充填され、気密かつ香りを通さない方法で閉鎖された空洞100が、カプセル底部3とフィルム蓋6との間に構成される。
本明細書における飲料物質101は、例えば、コーヒー、ココア、茶、および/またはミルク粉末(またはそれぞれ粒状)を含む。
不織繊維材料から構成されたフィルタ要素7は、閉鎖したカプセル底部3の内側3aに、すなわち、空洞100内に配置される。
本発明によるポーションカプセル1の場合、フィルタ要素7は、平面的ではなく、図3図5により説明される。
【0038】
図1のポーションカプセル1が図2に示され、図2におけるポーションカプセル1は、閉鎖された抽出チャンバ8内に配置されている。
抽出チャンバ8は、第1抽出チャンバ要素9と第2抽出チャンバ要素10とからなり、第1抽出チャンバ要素9は、ポーションカプセル1を導入するために、第2抽出チャンバ要素10に対して可動であるように設けられ、または、逆も同様である。
ガスケット11が、2つの抽出チャンバ要素9、10間に配置される。
第1抽出チャンバ要素9は、ポーションカプセル1のフィルム蓋6を開くための穿孔要素13a、13bを有する閉鎖用ピストン12、調製液体送込み部14、ガスケット11から実質的になる。
第2抽出チャンバ要素10は、抽出チャンバドーム15から実質的になり、この抽出チャンバドーム15は、ポーションカプセル1を部分的に囲み、開口マンドレル16であって、抽出チャンバドーム15のベースに配置され、例えば、排出溝17および飲料排出部18が設けられた開口マンドレル16を有する。
ポーションカプセル1を収容するために、抽出チャンバ8は、第1および第2抽出チャンバ要素9、10が、それらのポーションカプセル1の送込みを保証するために互いに離間された開いた状態(図示せず)、およびポーションカプセル1による飲料の製造のための調製手順が実施される図示の閉鎖状態にある。
閉鎖状態の抽出チャンバ8は、圧密により閉鎖される。
抽出チャンバ8が開いた状態から図示の閉鎖状態へ変えられると、フィルム蓋6が穿孔要素13a、13bにより穿孔され、その結果、調製液体、特に抽出用熱水が圧力下で調製液体送込み部14を通ってポーションカプセル1の空洞100に入る。
さらに、カプセル底部3は、抽出チャンバ8が閉鎖されると、開口マンドレル16として構成された穿孔手段により穿孔され、その結果、出口開口107がポーションカプセル1において生じ、出口開口107を通じて、調製された飲料液体がポーションカプセル1から飲料排出部18の方向に出ることができる。
飲料液体の排出を支持するために、開口マンドレル16は、ここで、そのシェル表面上に排出溝17を有する。
図示された抽出チャンバは、原則として、図6図8に示された本発明によるポーションカプセル1を使用した飲料または食料品の製造に好適である。
【0039】
図3は、本発明によるポーションカプセル1のフィルタ要素7の第1実施形態を示し、本発明のフィルタ要素7は、円錐台の形状に構成される。
しかしながら、当業者には、フィルタ要素7が別の形状も有することが分かる。
フィルタ要素7は、飲料基体101が提供されることになる空洞100を画定する。
フィルタ要素7は、第1端部28であって、それを通じて、水が流入し、フィルタ要素7内に位置する飲料基体101の成分物質を溶解および/または抽出する第1端部28を有する。
調製された飲料は、フィルタ要素7の側壁部7’’’を経由してフィルタ要素7を出て、カプセル本体2に流入し、そこから開口を通ってカップなどの容器に入る。
本発明によるフィルタ要素7は、その第2端部29、特に、フィルタ要素7の中央領域7’’において切欠き24を有する。
この切欠き24は、フィルタ要素7の中心軸を中心として回転対称に延在する。
切欠き24は、円形である。
切欠き24の領域には、フィルタ織布はない。
【0040】
図4は、フィルタ要素7のさらなる実施形態を示し、図3による説明が参照される。
この例において、フィルタ要素7は、その第2端部29の領域において、フィルタ要素7の可塑性および/または弾性変形により、例えば、圧力および/または熱の影響下で作られた広がっている端部7’’’’を有する。
広がっている端部7’’’’は、フィルタ要素7の側壁部7’’’からある角度で、ここでは、外向きに突出し、フィルタ要素7をカプセル底部3に固定するために使用される。
さらに、広がっている端部7’’’’は、切欠き24の領域におけるフィルタ要素7の形状を安定させる。
【0041】
図5は、フィルタ要素7のもう1つの実施形態を示し、図3および図4による説明が参照される。
この例における広がっている端部7’’’’は、内部へ向けられ、カプセル底部3に接続される。
【0042】
図6は、本発明によるポーションカプセル1の第1実施形態を示す。
本発明のフィルタ要素7は、フィルタ要素7の第1端部28の領域においてある角度で設けられ、シール25により、ポーションカプセル1の鍔状周辺部5に接続される周辺領域7’を有する。
シールは、環状に延在する。
フィルタ要素7の第2端部29は、カプセル本体2のカプセル底部にシールにより、ここでは、環状のシールにより接続される。
シールは、フィルタ要素7の切欠き24を中心として環状に延在する。
矢印26により示されたとおり、液体、ここでは、水は、フィルタ要素7に流入し、飲料の製造に必要とされる飲料基体101の物質をそれぞれ抽出または溶解する。
調製された飲料は、矢印26により図示されたとおりポーションカプセル1に流入し、そこからカプセル底部3を通って流れてポーションカプセル1を出る。
液体は、切欠き24から出ない。
フィルタ要素7に張力がかかっている。
【0043】
図7は、本発明によるポーションカプセル1のさらなる実施形態を示し、図6が参照される。
この場合におけるフィルタ要素7は、周辺領域7’を有しない。
フィルタ要素7の側壁部は、ここでは、環状シール25によりカプセル本体2に接続される。
【0044】
図6および図7による両実施形態の場合、シール、特に超音波シールによりカプセル底部3に接続された広がっている端部7’’’’は、切欠き24の周辺領域に設けられる。
フィルタ要素7がカプセル本体2に組み込まれているとき、フィルタ要素7に張力がかかっている。
さらに、ベース領域および周辺領域における、またはカプセル本体2の側壁部22上の封止シームは、それぞれ順次取り付けられる。
両方の封止シームは、ソノトロードにより作られ、ソノトロードはまたフィルタ要素7を成形することができる。
ソノトロードは、フィルタ要素7の切欠き24を少なくとも部分的に貫通する。
【0045】
図8は、本発明によるポーションカプセル1の別の実施形態を示す。
この場合におけるフィルタ要素7は、2つのシール25、30間の仮付け溶接点27によりカプセル本体2に接続される。
これらの仮付け溶接は、フィルタ要素7が極めて特定の形状で安定化されるが、それにも関わらず、仮付け溶接上のフィルタ面積が濾過手順に関与できるという利点を有する。
シール30は、ポーションカプセル1の実施形態において任意選択的である。
フィルタ要素7は、任意選択的に切欠き24を有する。
【0046】
図9は、本発明によるポーションカプセル1の別の実施形態を示す。
この場合、ベース領域は、凸面を有する。
切欠きを有するまたは有しないフィルタ要素7は、溶接または封止により円周および/または表面に接続される。
表面は、平面または曲線となるように実現される。
【0047】
全ての実施形態の場合において、ポーションカプセル1は、穴を開けることにより、特にベース領域に穴を空けることにより開かれる。
しかしながら、ポーションカプセル1、特に、そのベース領域は、予め穿孔されて出荷されたものであるとも考えられ、これらの予め穿孔された穴は、ポーションカプセル1の使用前に除去される香りを通さないフィルムにより閉鎖される。
【符号の説明】
【0048】
1 ・・・ポーションカプセル
2 ・・・カプセル本体
3 ・・・カプセル底部
3a・・・カプセル底部内側
3’ ・・・カプセル底部の周辺領域
4 ・・・充填側
5 ・・・鍔状周辺部
6 ・・・蓋、フィルム蓋
7 ・・・フィルタ要素
7’ ・・・フィルタ要素の周辺領域
7’’ ・・・フィルタ要素の中央領域
7’’’ ・・・フィルタ要素の側壁部
7’’’’・・・固定面、広がっている端部
8 ・・・抽出チャンバ
9 ・・・第1抽出チャンバ要素
10 ・・・第2抽出チャンバ要素
11 ・・・ガスケット
12 ・・・閉鎖用ピストン
13a・・・穿孔要素
13b・・・穿孔要素
14 ・・・調製液体送込み部
15 ・・・浸出ドーム
16 ・・・開口マンドレル
17 ・・・排出溝
18 ・・・排出部
19 ・・・穿孔先端
20 ・・・凹面
21 ・・・凹面/凸面
22 ・・・カプセル側壁部
23 ・・・浸出ドームベース
24 ・・・切欠き
25 ・・・第1環状固定具、第1環状シール、第1シール
26 ・・・調製された飲料
27 ・・・仮付け溶接
28 ・・・フィルタ要素の第1端部
29 ・・・フィルタ要素の第2端部
30 ・・・第2環状固定具、第2環状シール、第2シール
31 ・・・広がっている端部
100 ・・・空洞
101 ・・・飲料基体
106 ・・・中央ポイント
107 ・・・開口、出口開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9