(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施形態を有することができるが、特定実施形態を図面に例示し、詳細な説明によって詳細に説明する。本発明の効果、特徴、及びそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に説明する実施形態を参照すれば、明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、多様な形態にも具現されるのである。
【0027】
以下、添付された図面を参照し、本発明の実施形態について詳細に説明するが、図面を参照して説明するとき、同一であるか、あるいは対応する構成要素は、同一図面符号を付し、それに係わる重複説明は、省略する。
【0028】
以下の実施形態において、第1、第2のような用語は、限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的に使用された。また、単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0029】
一方、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴または構成要素が存在するということを意味するものであり、1以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性をあらかじめ排除するものではない。また、膜、領域、構成要素などの部分が他の部分の「上」または「上部」にあるとするとき、他の部分の「真上」または「すぐ上部」にある場合だけではなく、その中間に、他の膜、領域、構成要素などが介在されている場合も含む。
【0030】
図面においては、説明の便宜のために、構成要素がその大きさが誇張されていたり縮小されていたりする。例えば、図面に示された各構成の大きさ及び厚みは、説明の便宜のために任意に示されているので、本発明は、必ずしも図示されたところに限定されるものではない。
【0031】
x軸、y軸及びz軸は、直交座標系上の3軸に限定されるものではなく、それを含む広い意味に解釈される。例えば、x軸、y軸及びz軸は、互いに直交もするが、互いに直交せずに、互いに異なる方向を指すこともできる。
【0032】
ある実施形態が異なって具現可能な場合、特定の工程順序は、説明される順序と異なるように遂行されもする。例えば、連続して説明される2工程が実質的に同時に遂行されもし、説明される順序と反対の順序にも進められる。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態による温度センサ100を概略的に図示する平面図であり、
図2は、
図1のII−II線に沿って切り取った断面を概略的に図示する断面図である。
【0034】
図1及び
図2を参照すれば、本発明の一実施形態に係わる温度センサ100は、キャリア基板10、キャリア基板10上に配置されるセンサユニット20、センサユニット20と電気的に連結されるパッド部30、及びセンサユニット20をカバーするカバー部40を含む。
【0035】
キャリア基板10は、上部に配置されたセンサユニット20を支持する役割を行い、硬性(rigid)素材または柔軟性(flexible)素材によっても形成される。キャリア基板10は、センサユニット20よりは大きく具備されることが望ましいが、本発明は、必ずしもそれに限定されるものではない。
【0036】
キャリア基板10が硬性素材によって形成される場合には、例えば、ガラス材、金属材、無機材料(ceramic)のような物質を含んでもよい。キャリア基板10が柔軟性素材によって形成される場合、センサユニット20を支持することができるほどであるならばよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(polyimide)のようなプラスチック材を含んでもよい。
【0037】
キャリア基板10上には、センサユニット20が配置される。本発明の一実施形態に係わるセンサユニット20は、薄膜型センサユニットであり、例えば、温度センサとして機能することができる。そのようなセンサユニット20は、導電性を有し、基本的に初期抵抗を有する素子でもある。
【0038】
本発明の一実施形態による温度センサ100は、抵抗変化を測定することにより、温度をセンシングすることができる。本実施形態で使用されるセンサユニット20は、温度上昇につれ、抵抗値が低くなるNTC(negative temperature coefficient)素子によっても設計される。他の実施形態として、センサユニット20は、温度上昇によって抵抗値が高くなるPTC(positive temperature coefficient)素子によっても設計される。
【0039】
図1に図示されたセンサユニット20は、長手方向(x軸方向)に延長された長方形状であるが、本発明によるセンサユニット20は、多様な形態にも形成される。特に、本発明によるセンサユニット20は、センサユニット20の材質による特性上、その形態を多様に具現することが非常に容易であるという側面がある。
【0040】
すなわち、センサユニット20の基材になる基材層22は、加工が容易である製紙材によっても形成され、センサユニット20の形状を自由に具現することが可能である。センサユニット20は、その厚み、幅、長さなどにより、初期抵抗値が決定されるので、センサユニット20の形態を自由に具現することにより、初期抵抗、感度を多様に設定することができる。
【0041】
一実施形態として、センサユニット20を体温計に装着する場合、長さ(x軸方向)約5mmないし7mm、幅(y軸方向)約2mmほどの大きさに形成することができ、このとき、初期抵抗は、面抵抗値として、約30kΩないし100kΩに設計することができる。ただし、それは一実施形態であるのみ、センサユニット20が装着される機器のスペックにより、センサユニット20の大きさ及び形状を多様に変形可能とすることができるということは言うまでもない。
【0042】
センサユニット20の構成については、
図5及び
図6の説明で詳細に説明する。
【0043】
図1を参照すれば、センサユニット20は、基材層22、基材層22の一面22a上に配置された電気伝導層24、及び基材層22の他面22b上に配置されたコーティング層26を具備することができる。他の実施形態として、コーティング層26の代わりに、基材層22の他面22b上に電気伝導層24を形成し、基材層22の両面に電気伝導層24が配置されもする。
【0044】
本発明の一実施形態による基材層22は、表面吸湿性を有する製紙材によっても形成される。製紙材とは、一般的に、木材パルプなどの植物纎維を原料にし、互いに絡ませるように薄く形成した「紙」素材を意味するものであり、本実施形態においては、例えば、規格化された印刷紙(すなわち、A4用紙など)を使用したが、本発明は、必ずしもそれに限定されるものではない。
【0045】
本発明の一実施形態による製紙材は、「紙」の特性が重要であり、そのうち、特に、サイズ度(sizing degree;ISO 535 Cobb)によって左右される。親水性であるセルロース纎維からなる製紙材は、水に濡れやすいために、水に対する抵抗性、すなわち、耐水性を付与する過程をサイジング(sizing)処理といい、水に対する抵抗性を数値化したものをサイズ度(sizing degree)という。例えば、規格化された印刷紙(秤量75〜90g/m
2、厚み100〜110μm)の場合、約20g/m
2ないし50g/m
2のサイズ度を有し、従って、本実施形態による基材層22も、約20g/m
2ないし50g/m
2ほどのサイズ度を有することができる。それは、言い換えれば、約20g/m
2ないし50g/m
2ほどのサイズ度を有する製紙材であるならば、本発明の基材層22として使用可能である。
【0046】
参照として、サイジング処理する方法の一例として、「Cobb sizing tester」を使用することができる。該測定方法は、測定器に紙を位置させ、リングをその上に固定させる。該紙サイズは、測定器リング中に入るサイズであるならばよい。一般的に、測定時、15cmx15cmに裁断する。紙が位置した測定器内部に、水を100ml注ぎ、2分後、水を注いだ後、濾過紙などを活用して水を除去した後で吸収する前、吸収後の重さを測定し、その差値を求める。その差値を100倍した数値がCobbサイズ度の数値になる。
【0047】
本実施形態の比較例として、サイジング処理をしていない濾紙、メンブレン、または約50g/m
2以上の耐水性が非常に高い製紙材の場合には、本発明の製紙材として使用が不可能である。すなわち、製紙材のうちでも、特定の約20g/m
2ないし50g/m
2ほどのサイズ度を有する製紙材のみを使用することができる。
【0048】
一実験例として、メンブレンまたは濾紙を使用する場合には、メンブレン上または濾紙上に、電気伝導層24が正しく形成されないという問題点がある。それら材質は、水に対する抵抗性がなく、電気伝導層24を形成する伝導性高分子物質が水と共に基材層22を通過してしまうために、基材層22上に伝導性高分子物質が吸着されず、層を形成することができない。そのように、センサユニット20を形成する過程については、
図7の説明で詳細に敍述する。
【0049】
基材層22の一面22a上には、電気伝導層24が配置されもする。電気伝導層24は、伝導性高分子物質を含んでもよい。該伝導性高分子物質は、一般的に、伝導率10
−7Scm
−1(半導体以上の値)以上の値を表示する高分子であり、ほとんどの場合、電子受容体または電子供与体を高分子にドーピングすることによって高い伝導率が得られる。該伝導性高分子は、例えば、ポリチオフェン系、ポリピロール系、ポリアニリン系、ポリアセンチレン系、ポリフェニレン系の化合物、及びそれらの混合物などを使用することができ、特に、ポリチオフェン系のうちでも、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)化合物を使用することができる。
【0050】
また、電気伝導層24は、不導体物質を含んでもよい。不導体物質を利用し、センサユニット20の初期抵抗を調節することができる。すなわち、該不導体物質を含むことにより、電気伝導層24の初期抵抗を高め、抵抗変化を増大させることができる。そのような不導体物質は、例えば、シリコンオキシド(SiO
x)またはグラフェンオキシド(GO)などが使用される。
【0051】
基材層22の他面22b上には、コーティング層26が配置されもする。コーティング層26は、疎水性物質を含んでもよい。該疎水性物質は、水酸基、アミノ基、カルボキシ基のような水分子と親和性がある基を有さない物質でもあり、例えば、油性インク、アクリルインクなどが使用される。
【0052】
そのようにコーティング層26を形成することにより、基材層22の一面22aにだけ電気伝導層24が位置することができるようになる。他の実施形態として、コーティング層26を形成しない場合、基材層22の両面に、電気伝導層24が位置することができる。しかし、電気伝導層24を形成する伝導性高分子物質自体が、基材層22が吸収されて形成されるものではないために、該伝導性高分子を電気伝導層24両面に形成することが、センサユニット20の特性を大きく向上させる機能を行うものではない。むしろ、基材層22の一面22aにだけ電気伝導層24を形成することが、製造過程において有利であるために、前述のように、基材層22の他面22b上には、コーティング層26が配置される。
【0053】
他の実施形態として、基材層22の一面22aの一部にだけコーティング層26を形成することもできる。その場合、コーティング層26のパターンにより、電気伝導層24のパターンが決定される。すなわち、電気伝導層24を形成する以前に、コーティング層26を基材層22の一面22aの一部にだけ形成することにより、電気伝導層24を、コーティング層26が形成されていない部分にだけ選択的に形成することができる。それを介して、電気伝導層24のパターンを自由に形成することができる。
【0054】
キャリア基板10上には、パッド部30が位置することができる。パッド部30は、センサユニット20と電気的に通電されるように、センサユニット20の一端及び他端にもそれぞれ連結される。
図1を参照すれば、キャリア基板10上には、センサユニット20が配置され、センサユニット20上に、パッド部30が位置することができる。パッド部30は、センサユニット20が、外部装置(図示せず)に容易に連結される端子のような役割を行うことができる。
【0055】
パッド部30の一側32a,34aは、センサユニット20と連結され、パッド部30の他側32b,34bは、外部にも露出される。パッド部30の一側32a,34aがセンサユニット20と連結されるというのは、パッド部30の一側32a,34aが、センサユニット20の電気伝導層24にコンタクトされるとも理解される。そのようなパッド部30は、第1パッド32及び第2パッド34を含んでもよく、第1パッド32は、センサユニット20の一側と連結され、第2パッド34は、センサユニット20の他側とも連結される。
【0056】
本実施形態によれば、センサユニット20は、幅方向(y軸方向)に沿って、第1幅w1にも形成される。このとき、幅方向(y軸方向)は、センサユニット20の長手方向(x軸方向)と垂直である方向とも理解される。パッド部30は、センサユニット20の長手方向(x軸方向)の一側及び他側にもそれぞれ配置される。パッド部30は、幅方向(y軸方向)に沿って、第1幅w1と同一の第2幅w2にも形成される。
【0057】
もしパッド部30の第2幅w2がセンサユニット20の第1幅w1より狭く具備される場合、電気伝導層24自体を面抵抗として活用することができず、初期抵抗値が変わることになる。従って、パッド部30の第2幅w2は、センサユニット20の第1幅w1と同一に形成されることが望ましい。
【0058】
他の実施形態として、パッド部30は、
図1及び
図2に図示されているように、センサユニット20に直接連結されてもよく、センサユニット20が金属リード(図示せず)に連結されて、パッド部30が金属リードに連結されてもよい。
【0059】
センサユニット20上には、カバー部40が配置されてもよい。センサユニット20は、製紙材によって形成され、外部湿度に非常に敏感な特性を有するために、カバー部40を介して、センサユニット20を密封することにより、温度センサ100の信頼性を確保することができる。カバー部40は、センサユニット20の全面を覆い、センサユニット20と接するパッド部30の少なくとも一部を覆うことができる。
図1を参照すれば、カバー部40の少なくとも一部は、キャリア基板10に直接接触することができ、それにより、センサユニット20の気密性を維持することができる。
【0060】
カバー部40は、絶縁素材によっても形成され、例えば、有機膜、無機膜、または有機膜と無機膜との複合膜によっても形成される。該有機膜は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンスルホネート、ポリオキシメチレン、ポリアリレート及び/またはヘキサメチルジシロキサンでなどを含んでもよい。また、該無機膜は、シリコンオキシド、シリコンニトリド及び/またはシリコンオキシニトリドなどを含んでもよい。また、該無機膜は、透明、半透明の素材によっても形成される。
【0061】
パッド部30の一側は、カバー部40によってカバーされ、パッド部30の他側は、外部にも露出される。パッド部30の一側がカバー部40によってカバーされるというのは、
図1のように、パッド部30の一側がセンサユニット20と、それをカバーするカバー部40とによってカバーされると理解される。すなわち、本実施形態は、パッド部30が配置され、パッド部30上に、センサユニット20が配置される構造であるが、パッド部30の一側がカバー部40によってカバーされるということは、センサユニット20によって、パッド部30の一側がカバーされる構造でもある。他の実施形態として、キャリア基板10上に、センサユニット20が配置され、パッド部30がセンサユニット20上に配置される場合、パッド部30の一側は、センサユニット20とカバー部40との間に介在され、カバー部40によってもカバーされる。
【0062】
図3は、本発明の一実施形態による温度センサ100を概略的に図示する平面図であり、
図4は、
図3のIV−IV線に沿って切り取った断面を概略的に図示する断面図である。
【0063】
図3及び
図4の温度センサ100’は、前述の
図1及び
図2の温度センサ100と比較するとき、センサユニット20とパッド部30との配置関係において違いがある。以下では、差異を中心に説明し、重複内容は、省略する。
【0064】
本実施形態においては、キャリア基板10上にパッド部30が位置し、パッド部30上にセンサユニット20が配置された構造を具備する。センサユニット20は、パッド部30と少なくとも一部が重畳されるように配置される。
図1の実施形態において説明したように、パッド部30は、センサユニット20の電気伝導層24と直接接触するものであり、本実施形態においては、電気伝導層24が基材層22の他面22b上に配置され、コーティング層26が基材層22の一面22a上に配置される。
【0065】
センサユニット20上には、前述の実施形態と同一にコーティング層26が配置される。
【0066】
図5は、本発明の一実施形態によるセンサユニット20を概略的に図示する断面図であり、
図6は、
図5のVI部分を拡大して撮影したSEM(scanning electron microscope)写真である。
【0067】
図5を参照すれば、本発明の一実施形態によるセンサユニット20は、基材層22、基材層22の一面22aに配置される電気伝導層24、基材層22の他面22bに配置されるコーティング層26を含んでもよい。
図5においては、基材層22の一面22aと他面22bとを連結する側面22cに、電気伝導層24が延長されて配置されもする。
【0068】
前述のように、基材層22は、表面吸湿性を有する製紙材によっても形成される。製紙材とは、一般的に、木材パルプなどの植物纎維を原料にし、互いに絡まるように薄く形成した「紙」素材を意味し、例えば、規格化された印刷紙などを使用することができる。本実施形態による基材層22は、例えば、約20g/m
2ないし50g/m
2のサイズ度を有することができる。前述の規格化された印刷紙は、約20g/m
2ないし50g/m
2のサイズ度を有する。ただし、本発明は、それに限定されるものではなく、前記サイズ度を有する製紙材であるならば、本発明の基材層22として使用することが可能である。
【0069】
一方、基材層22の一面22aには、電気伝導層24が配置される。電気伝導層24は、伝導性高分子物質を含んでもよく、伝導性高分子物質と水とを混合して形成した溶液に、基材層22を浸湿することにより、形成することができる。浸湿時間を調節することにより、電気伝導層24の形成厚を調節することができ、その後、伝導性高分子物質が沈積された基材層22を熱処理することにより、電気伝導層24を形成することができる。
【0070】
そのような過程によって形成された電気伝導層24は、基材層22の一面22a上に配置される。
図6を参照すれば、電気伝導層24は、基材層22の一面22a上に配置されるのみで内部に浸透しない。
【0071】
そのような電気伝導層24は、約1μmないし8μmの厚みにも形成され、望ましくは、約2μmないし3μmにも形成される。電気伝導層24の厚みを介して、センサユニット20の初期抵抗を調節することができる。
【0072】
一方、本実施形態においては、基材層22の他面22bにコーティング層26が具備されたものを開示するが、他の実施形態において、コーティング層26は、省略されもし、その場合、電気伝導層24が基材層22の両面に位置することができる。その場合、電気伝導層24は、基材層22の両面及び側面にいずれも形成され、基材層22の表面全体を覆うようにも形成される。
【0073】
これまでは、温度センサ100についてのみ主に説明したが、本発明は、それに限定されるものではない。例えば、そのような温度センサ100を形成するための製造方法も、本発明の範囲に属するものである。
【0074】
図7は、本発明の一実施形態によるセンサユニット20の製造過程を概略的に図示するフローチャートであり、
図8は、本発明の一実施形態による温度センサ100の製造過程を概略的に図示するフローチャートである。
【0075】
図5及び
図7をともに参照すれば、本発明の一実施形態に係わる温度センサ100を製造するに先立ち、センサユニット20をまず作製しなければならない。
【0076】
まず、表面吸湿性を有する基材層22を準備する段階(S11)を経ることができる。製紙材とは、一般的に、木材パルプなどの植物纎維を原料にし、互いに絡まるように薄く形成した「紙」素材であり、本実施形態においては、例えば、規格化された印刷紙(すなわち、A4用紙)などが使用される。本実施形態において、「表面吸湿性」とは、前述のサイズ度によって定義される。
【0077】
センサユニット20を形成するためには、後述する電気伝導層24を形成する段階において、電気伝導層24が基材層22の表面に良好に吸着されるようにするために、基材層22が適正なサイズ度を有することが重要である。本実施形態による基材層22は、約20g/m
2ないし50g/m
2のサイズ度を有する製紙材を使用することができる。比較例として、サイズ度が約50g/m
2より大きければ、製紙の場合、耐水性が強く、伝導性高分子物質が基材層22表面に全く吸着されない。また、サイズ度が約20g/m
2以下であり、サイジング処理がほとんどなされていないメンブレンであったり、濾紙であったりする場合には、むしろ水に対する抵抗性がなく、電気伝導層24を形成する伝導性高分子物質が、水と共に基材層22を通過してしまうために、基材層22上に、伝導性高分子物質が吸着されず、層を形成することができない。従って、本発明においては、製紙材のうちでも、約20g/m
2ないし50g/m
2のサイズ度を有する製紙材が使用される。
【0078】
その後、基材層22上にコーティング層26を形成する段階(S12)を経ることができる。コーティング層26は、疎水性物質を含んでもよい。該疎水性物質は、水酸基、アミノ基、カルボキシ基のような水分子と親和性がある基を有さない物質でもあり、例えば、油性インク、アクリルインクなどが使用される。
【0079】
コーティング層26は、基材層22の一面22aにも形成され、基材層22の他面22bには、後述する電気伝導層24が形成される。ただし、本発明によれば、コーティング層26は、選択的に形成され、コーティング層26を形成しない場合、基材層22の両面に、電気伝導層24が形成される。ただし、電気伝導層24を形成する伝導性高分子物質自体が、基材層22が吸収されて形成されるものではないために、伝導性高分子を電気伝導層24両面に形成することが、センサユニット20の特性を大きく向上させる機能を行うものではない。むしろ、基材層22の一面22aにだけ電気伝導層24を形成することが、製造過程において有利でもある。
【0080】
他の実施形態として、コーティング層26は、疎水性性質があるために、コーティング層26が形成されたところには、電気伝導層24が形成されない。従って、電気伝導層24が形成される基材層22の一面22aの少なくとも一部に、コーティング層26を形成することにより、電気伝導層24が形成される領域を調節することができ、それを介して、センサユニット20の初期抵抗を制御することができる。
【0081】
その後、伝導性高分子溶液を形成した後、それを利用し、電気伝導層24を形成することができる。
【0082】
伝導性高分子溶液を形成する段階(S13)は、伝導性高分子と水とを混合して形成することができる。このとき、初期抵抗調節のために、不導体物質を共に混合することができる。該伝導性高分子は、例えば、ポリチオフェン系、ポリピロール系、ポリアニリン系、ポリアセンチレン系、ポリフェニレン系の化合物、及びそれらの混合物などを使用することができる。本実施形態においては、ポリチオフェン系のうちでも、PEDOT/PSS化合物を使用する。
【0083】
一実施形態として、該伝導性高分子と水は、体積比で1:1で混合するが、全体比率の約1ないし3wt%ほど不導体物質を混合することができる。該不導体物質は、例えば、シリコンオキシド(SiO
x)またはグラフェンオキシド(GO)などを使用することができる。該不導体物質の混合比率は、センサユニット20の初期抵抗の設計によって調節することができる。そのように混合した混合物は、少なくとも1,000rpm以上で6時間以上撹拌し、伝導性高分子溶液を製造することができる。
【0084】
そのように伝導性高分子溶液が製造されれば、伝導性高分子溶液を利用し、基材層22上に電気伝導層24を形成する段階(S14)を経ることができる。伝導性高分子溶液を利用して電気伝導層24を形成する方法としては、湿式コーティング、ロール・ツー・ロール方式などによっても製造される。
【0085】
本実施形態においては、伝導性高分子溶液に基材層22を浸漬する方式で、電気伝導層24を形成した。電気伝導層24は、伝導性高分子溶液に基材層22を沈積する時間を調節することにより、電気伝導層24の厚みをコントロールすることができる。基材層22の浸漬時間は、約30分以下であることが適切であり、望ましくは、約2ないし5分でもある。基材層22を30分以上伝導性高分子溶液に浸漬する場合、製紙材によって形成された基材層22が溶液に解離されたり、破れたりするというような損傷が発生し、正常なセンサユニット20を製造することができなくなる。従って、基材層22の浸漬時間は、30分以内にすることが望ましい。
【0086】
前述の
図6を参照すれば、伝導性高分子溶液に30分間浸漬した基材層22の断面を示している。30分間浸漬した基材層22表面には、約7μmほどの厚みを有する電気伝導層24が形成されているということが分かる。ただし、前述のように、最も望ましい基材層22の沈積時間は、約2ないし5分であり、その場合、約2μmないし3μmほどの厚みを有する電気伝導層24が形成される。
【0087】
前述のように、電気伝導層24を形成する以前に、基材層22の少なくとも一面22a上にコーティング層26を形成することができる。他の実施形態として、コーティング層26は、電気伝導層24を形成した後で形成してもよいが、本実施形態において、基材層22を伝導性高分子溶液に浸漬する方式で電気伝導層24を形成するために、電気伝導層24を形成する以前に、コーティング層26をまず形成することが、製造方法上有利である。
【0088】
その後、基材層22を熱処理する段階(S15)を経ることができる。伝導性高分子は、熱処理によって反応特性が異なるので、約100℃ないし220℃で、約10分ないし30分間、熱処理過程を経ることにより、伝導性高分子を安定化させることができる。
【0089】
その後、場合によっては、電気伝導層24が形成された基材層22の初期抵抗を設定する段階を経ることができる。該初期抵抗は、電気伝導層24の厚み(すなわち、基材層22の沈積時間)、基材層22の幅及び長さなどによっても設定される。同一厚を有する電気伝導層24を具備したセンサユニット20の場合にも、基材層22の形状(例えば、幅及び/または長さ)により、互いに異なる初期抵抗を有するセンサを設計することができる。
【0090】
センサユニット20の初期抵抗は、センサユニット20の使用目的によって多様な大きさにも設計されるが、本実施形態の温度センサとして活用するために、センサユニット20の初期抵抗は、約50kΩに形成されることが望ましい。
【0091】
そのように設計されたセンサユニット20を利用し、温度センサ100を製造することができる。
【0092】
図8及び
図2を共に参照すれば、前述のように、センサユニット20を製造する段階(S10)を経た後、製造されたセンサユニット20を、キャリア基板10上に配置する段階(S20)を経ることができる。
【0093】
キャリア基板10は、センサユニット20を支持する役割を行い、硬性素材または柔軟性素材によっても形成される。キャリア基板10が硬性素材によって形成される場合には、例えば、ガラス材、金属材、無機材料(ceramic)のような物質を含んでもよい。キャリア基板10が柔軟性素材によって形成される場合例えば、PET、PEN、ポリイミドのようなプラスチック材を含んでもよい。キャリア基板10は、センサユニット20より大きく形成されることが望ましいが、本発明は、必ずしもそれに限定されるものではない。
【0094】
その後、センサユニット20の一端及び他端に、それぞれパッド部30を形成する段階(S30)を経ることができる。パッド部30は、センサユニット20と電気的に通電されるように、センサユニット20の一端及び他端にもそれぞれ連結される。
図1を参照すれば、キャリア基板10上には、センサユニット20が配置され、センサユニット20上に、パッド部30が位置することができる。パッド部30は、センサユニット20が、外部装置(図示せず)に容易に連結されるようにする端子のような役割を行うことができる。
【0095】
パッド部30の一側32a,34aは、センサユニット20と連結され、パッド部30の他側32b,34bは、外部にも露出される。パッド部30の一側32a,34aがセンサユニット20と連結されるというのは、パッド部30の一側32a,34aがセンサユニット20の電気伝導層24にコンタクトされるとも理解される。そのようなパッド部30は、第1パッド32及び第2パッド34を含んでもよく、第1パッド32は、センサユニット20の一側と連結され、第2パッド34は、センサユニット20の他側とも連結される。
【0096】
その後、センサユニット20を覆うように、センサユニット20上にカバー部40を形成する段階(S40)を経ることができる。センサユニット20は、製紙材によって形成され、外部湿度に非常に敏感な特性を有するために、カバー部40を介して、センサユニット20を密封することにより、温度センサ100の信頼性を確保することができる。カバー部40は、センサユニット20の全面を覆い、センサユニット20と接するパッド部30の少なくとも一部を覆うことができる。
図1を参照すれば、カバー部40の少なくとも一部は、キャリア基板10に直接接触することができ、それにより、センサユニット20の気密性を維持することができる。
【0097】
カバー部40は、絶縁素材によっても形成され、例えば、有機膜、無機膜、または有機膜と無機膜との複合膜によっても形成される。該有機膜は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンスルホネート、ポリオキシメチレン、ポリアリレート及び/またはヘキサメチルジシロキサンでなどを含んでもよい。また、該無機膜は、シリコンオキシド、シリコンニトリド及び/またはシリコンオキシニトリドなどを含んでもよい。また、該無機膜は、透明、半透明の素材によっても形成される。
【0098】
図9は、本発明のさらに他の一実施形態によるセンサユニット20を概略的に図示する平面図である。
【0099】
図9においては、それぞれ異なる初期抵抗を有するセンサユニット20,20’が図示される。
【0100】
前述のように、基材層22上に電気伝導層24を形成してから、基材層22の形状を変形させることにより、初期抵抗を設定することができる。該初期抵抗は、電気伝導層24の厚み(すなわち、基材層22の沈積時間)、基材層22の幅及び長さなどによっても設定される。同一厚を有する電気伝導層24を具備したセンサユニット20の場合にも、基材層22の形状(例えば、幅及び/または長さ)によって互いに異なる初期抵抗を有するセンサを設計することができる。
【0101】
図9を参照すれば、第1センサユニット20と、第2センサユニット20’は、互いに異なる平面の形状を有することができる。このとき、第1センサユニット20の電気伝導層24と、第2センサユニット20’の電気伝導層24との厚み、及び基材層22の幅は、互いに同一であると仮定する。従って、第1センサユニット20と第2センサユニット20’との初期抵抗は、基材層22の形状(例えば、幅及び/または長さ)によっても設定される。
【0102】
第1センサユニット20のA地点及びB地点には、それぞれパッド部(図示せず)が連結される。また、第2センサユニット20’のA’地点及びB’地点には、それぞれパッド部(図示せず)が連結される。
【0103】
本実施形態によれば、第1センサユニット20の場合、A地点とB地点は、第1距離Lに形成され、第2センサユニット20’の場合、A’地点とB’地点は、第2距離L’にも形成される。すなわち、第2センサユニット20’の第2距離L’が第1センサユニット20の第1距離Lより長く形成される。抵抗は、距離に反比例するので、第2センサユニット20’のように、該パッド部30の距離を長く形成する場合、初期抵抗を増大させることができる。
【0104】
一方、本実施形態において、第1センサユニット20と第2センサユニット20’との基材層22幅は、互いに同一であると仮定したが、幅広を調節することにより、初期抵抗値を変化させるということは、言うまでもなく可能である。
【0105】
そのように、センサユニット20の初期抵抗は、基材層22の形状を自由に変形させることによって調節することができるが、本発明の一実施形態による基材層22は、加工が非常に容易である製紙材によって形成されるために、初期抵抗設計において、非常に容易である。
【0106】
図10は、従来の温度センサ100の温度による抵抗変化グラフであり、
図11は、本発明の一実施形態による温度センサ100の温度による抵抗変化グラフである。
【0107】
図10を参照すれば、従来の温度センサは、30℃〜40℃で、約0.05〜0.25kΩ/℃に低下する感度を有する。温度センサの感度は、応用品の測定温度範囲によって異なるが、外部環境に係わるノイズを勘案する場合、感度が高いほどよく、低価の回路でも製品具現が可能である。センサの温度に係わる感度が0.5kΩ/℃以上である場合、外部環境ノイズにロバストな回路を構成しやすい。感度が低い場合、外部ノイズ及び内部ノイズに備えた他の回路部品を使用したり、直接回路を構成したりするために、高価な微細デバイスを必要とする。現在商用化されている温度センサのスペックは、25℃〜45℃の範囲であり、種類により、0.02kΩ/℃〜3kΩ/℃に低下する。
【0108】
図11を参照すれば、本発明の一実施形態による温度センサ100は、30℃〜40℃で、約0.5〜2.5kΩ/℃に低下する感度を有する。それは、従来の温度センサに比べ、約10倍ほど感度が上昇した数値である。
【0109】
また、比較例として、伝導性高分子を利用し、PET、PEN、ポリイミドなどのプラスチック材の基板上に抵抗回路パターンを形成するためには、インクジェットプリンティングまたはスクリーンプリンティングなどの高価な装備が必要であり、基板との密着性を確保するためのプラズマ処理のような別途の表面処理が必要であった。
【0110】
そのために、本発明の一実施形態による温度センサ100においては、そのような問題点を解決するために、高感度のセンサユニット20の抵抗パターンを容易に設計することができつつも、別途の装備や製造過程が省略された温度センサ100を製造することができる。本発明は、図面に図示された実施形態を参照して説明されたが、それは、例示的なものに過ぎず、当該技術分野で当業者であるならば、それらから多様な変形、及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決められるものである。