(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6735861
(24)【登録日】2020年7月16日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】自動尿追跡方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01N 1/10 20060101AFI20200728BHJP
【FI】
G01N1/10 V
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-15100(P2019-15100)
(22)【出願日】2019年1月31日
(65)【公開番号】特開2019-158871(P2019-158871A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2019年1月31日
(31)【優先権主張番号】201810205162.7
(32)【優先日】2018年3月13日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518376990
【氏名又は名称】シャンハイ コーラー エレクトロニクス,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】孫勤涛
【審査官】
本村 眞也
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第105804189(CN,A)
【文献】
特開2008−249672(JP,A)
【文献】
特開2002−040021(JP,A)
【文献】
特開2010−222823(JP,A)
【文献】
特開2002−107360(JP,A)
【文献】
特開平08−262012(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0359522(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0183803(US,A1)
【文献】
磯村淳,複数視点カメラを用いた視体積交差法に基づく排尿量および排便性状の推定,愛知県立大学大学院研究科情報科学研究科 修士論文要旨2015年度,日本,2015年,p.1-2,URL,http://id.nii.ac.jp/1166/00002746/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00− 1/44;
33/48−33/98;
E03D 9/00;11/02
A61B 10/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像センサ及び尿回収装置を内側壁に備えたトイレに適用可能な自動尿追跡方法であって、
上記尿回収装置の液体回収ヘッドは、回収・追跡部材であり、尿の追跡と回収を同時に行うために使用され、
S1:画像センサを介して便器内側の画像を取得するステップと、
上記便器内側の上記画像は、上記尿及び上記回収・追跡部材を示す画像を含み、
S2:上記画像を処理することによって、上記尿の位置及び上記回収・追跡部材の位置を特定するステップと、
S3:上記画像中の上記尿の位置と上記回収・追跡部材の位置との間の差異に従って、上記回収・追跡部材により上記尿を追跡移動するステップと、
S4:上記回収・追跡部材が上記画像中の上記尿の位置と一致し、当該回収・追跡部材が移動を停止するまでS1、S2及びS3を繰り返すステップと、を含む自動尿追跡方法。
【請求項2】
S2において、上記画像内の上記尿及び上記回収・追跡部材の上記各位置を特定するために、取得された上記画像中のそれぞれのピクセル点のピクセル値が上記尿及び上記回収・追跡部材の画像特徴を介して設定された閾値とそれぞれ比較される、請求項1に記載の自動尿追跡方法。
【請求項3】
S1の前にバックグラウンド画像が最初に取得され、当該バックグラウンド画像は、上記便器内側中に上記尿及び回収・追跡部材が存在しないときに取得された画像であり、
S2において、差異画像を生成するために、S1において取得された上記尿および上記回収・追跡部材を示す上記便器内側の上記画像が最初に処理され、当該差異画像は、上記バックグラウンド画像が取得された後の、上記便器内側の取得された上記画像と上記バックグラウンド画像との差異である、請求項1又は2に記載の自動尿追跡方法。
【請求項4】
S2において、2値画像を生成するために上記差異画像を2値化処理し、上記尿及び上記回収・追跡部材のそれぞれの特徴関数に従って上記2値画像をハフ変換し、ハフ変換して得られるそれぞれの最大値に従って上記尿の列数字及び上記回収・追跡部材の列数字が特定される、請求項3に記載の自動尿追跡方法。
【請求項5】
上記尿の上記特徴関数は縦線を示し、
上記回収・追跡部材の上記特徴関数は、当該回収・追跡部材の位置と形状に関連する幾何学曲線を示す、請求項4に記載の自動尿追跡方法。
【請求項6】
自動尿追跡装置であって、
上記自動尿追跡装置は、スマートトイレであり、
上記スマートトイレの内側壁に画像センサ及び尿回収装置が取り付けられ、
上記尿回収装置の液体回収ヘッドは、回収・追跡部材であり、尿の追跡と回収を同時に行うために使用され、
上記自動尿追跡装置は、メモリ、プロセッサ、及びコンピュータ・プログラムをさらに含み、
上記コンピュータ・プログラムは、上記メモリに記録され、上記プロセッサ上で実行可能であり、
上記プロセッサは、上記コンピュータ・プログラムを実行するときに、請求項1から5の何れか1項の方法に係るステップを実行する、自動尿追跡装置。
【請求項7】
上記画像センサは、赤外線画像センサ又は可視光画像センサである、請求項6に記載の自動尿追跡装置。
【請求項8】
上記画像センサは、上記スマートトイレの左側壁又は右側壁に取り付けられ、
上記尿回収装置は、上記スマートトイレの上記左側壁又は上記右側壁に取り付けられ、
及び/又は、
上記画像センサは、上記スマートトイレの前側壁又は後側壁に取り付けられ、
上記尿回収装置は、上記スマートトイレの上記前側壁又は上記後側壁に取り付けられる、請求項6に記載の自動尿追跡装置。
【請求項9】
上記回収・追跡部材にはカラーマークが設けられている、請求項6に記載の自動尿追跡装置。
【請求項10】
上記スマートトイレは、病院における尿検出用の装置のコンテナである、請求項6から9の何れか1項に記載の自動尿追跡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿検出分野に関し、特に、自動尿追跡方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人々の生活水準が改善するにつれ、スマートトイレが人々の生活に徐々に入り込んでいる。快適要求を満たすことに加えて、スマートトイレは、さらに健康監視機能を備える。健康監視機能は、例えば、尿サンプルの回収を介した健康データ分析である。しかしながら、便器内面から回収された尿を使用して検出すると、健康データの分析精度に影響を与える相互汚染の問題が生じうる。健康データ分析の精度に影響を与える相互汚染の問題を避けるため、本特許出願人の中国特許出願第201610273915.9号は、自動尿位置決め方法及び装置、及びそれらを含む健康スマートトイレを開示する。その特許出願では、便器の左側壁又は右側壁に設けられたステッピングモータによって駆動する非接触式温度センサが、ある角度範囲内のセクター走査モードで温度を走査できること、そして、最も高い温度における角度と法線に基づいて便器中の尿の点位置(X、Y)座標のX値及び/又はY値が演算されることが指摘されている。
【0003】
上述した自動尿位置決め方法及び装置、及びそれらを含む健康スマートトイレによると、空気中の尿を受け取ることで相互汚染は回避できるが、実際の使用においては、その構造と方法には依然として欠点が見出される。最適な使用効果が実現できないため、その欠点は以下のように要約される。
(1)構造と位置決め移動モードが複雑である。その結果、ステッピングモータは、セクター走査モードにて非接触式温度センサを移動するよう、非接触式温度センサを駆動しなければならない。
(2)尿の点位置の座標を最初に演算する必要があり、続いて尿回収装置が尿を追跡し、回収するが、装置全体の設置と尿回収・追跡部材の精度に対する要求が高くなる。
(3)尿を特定するだけでも環境及び他の要因が大きく影響する。
【0004】
従って、自動尿位置決め方法及び装置、及びそれらを含む健康スマートトイレは、依然としてその構造、方法、使用に明らかな不都合と欠点があり、さらなる改良が必要であることが見て取れる。構造と追跡移動モードがシンプルで、精度が高く、相互汚染を回避できる自動尿追跡方法及び装置を実現することは、この業界で喫緊に改善されるべき目標である。
【発明の概要】
【0005】
本発明により解決される技術的課題は、構造と追跡移動モードがシンプルで、精度が高く、相互汚染を回避可能な自動尿追跡の方法と装置を実現することである。
【0006】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は、以下の技術的解決方法を採用する。
【0007】
一態様に従うと、本発明は、画像センサ及び尿回収装置を内側壁に備えたトイレに適用可能な自動尿追跡方法を提供する。上記尿回収装置の液体回収ヘッドは、回収・追跡部材であり、尿の追跡と回収を同時に行うために使用される。上記方法は、S1:画像センサを介して便器内側の画像を取得するステップと、上記便器内側の上記画像は、尿の画像、又は、上記尿及び上記回収・追跡部材を同時に示す画像を含み、S2:上記画像を処理することによって、上記尿を特定する、又は、上記尿及び上記回収・追跡部材を同時に特定するステップと、S3:上記画像の特定結果に従って、上記回収・追跡部材により上記尿を追跡移動するステップと、を含む。
【0008】
本発明のさらなる改善点として、S2において、上記尿を特定するために、取得された上記画像中のそれぞれのピクセル点が上記尿の画像特徴を介して設定された閾値と比較され、又は、上記尿及び上記回収・追跡部材を特定するために、取得された上記画像中のそれぞれのピクセル点が上記尿及び上記回収・追跡部材の画像特徴を介して設定された閾値とそれぞれ比較される。
【0009】
さらに、S1の前にバックグラウンド画像が最初に取得され、当該バックグラウンド画像は、上記便器内側中に上記尿及び回収・追跡部材が存在しないときに取得された画像であり、S2において、差異画像を生成するために上記画像が最初に処理され、当該差異画像は、上記バックグラウンド画像が取得された後の、上記便器内側の取得された上記画像と上記バックグラウンド画像との差異である。
【0010】
さらに、S2において、2値画像を生成するために上記差異画像を2値化処理し、上記尿及び上記回収・追跡部材のそれぞれの特徴関数に従って上記2値画像をハフ変換し、2組の特徴関数をハフ変換して得られる最大値に従って上記尿の列数字及び上記回収・追跡部材の列数字が特定される。
【0011】
さらに、S4:上記回収・追跡部材が上記画像中の上記尿に一致し、当該回収・追跡部材が移動を停止するまで上記S1、S2、及びS3を繰り返すステップをさらに含む。
【0012】
さらに、上記尿の上記特徴関数は縦線を示し、上記回収・追跡部材の上記特徴関数は、当該回収・追跡部材の位置と形状に関連する幾何学曲線を示す。
【0013】
他の一態様に従うと、本発明は、さらに自動尿追跡装置を提供する。上記自動尿追跡装置は、スマートトイレであり、上記スマートトイレの内側壁に画像センサ及び尿回収装置が取り付けられ、上記尿回収装置の液体回収ヘッドは、回収・追跡部材であり、尿の追跡と回収を同時に行うために使用される。
【0014】
本発明のさらなる改良点として、自動尿追跡装置は、さらに、メモリ、プロセッサ、及びコンピュータ・プログラムを含み、上記コンピュータ・プログラムは、上記メモリに記録され、上記プロセッサ上で実行可能であり、上記プロセッサは、上記コンピュータ・プログラムを実行するときに、上記方法に係るステップを実行する。
【0015】
さらに、上記画像センサは、赤外線画像センサ又は可視光画像センサである。
【0016】
さらに、上記画像センサは、上記画像センサは、上記スマートトイレの左側壁又は右側壁に取り付けられ、上記尿回収装置は、上記スマートトイレの上記左側壁又は上記右側壁に取り付けられ、及び/又は、上記画像センサは、上記スマートトイレの前側壁又は後側壁に取り付けられ、上記尿回収装置は、上記スマートトイレの上記前側壁又は上記後側壁に取り付けられる。
【0017】
さらに、上記回収・追跡部材にはカラーマークが設けられている。
【0018】
さらに、上記スマートトイレは医療用尿検出装置に交換される。
【0019】
上記の技術的解決方法を通して、本発明は少なくとも以下の利点を有する。
(1)本発明は、画像認識に基づく自動尿追跡方法に関する。この方法は、尿、尿回収装置、及びトイレが差異画像特徴を有する現象を用い、便器内側の画像を収集するために画像センサを使用し、尿回収装置の移動機能を生じさせるために画像中の尿及び回収・追跡部材を認識する。上記尿回収装置は、上記の方法により自動的に尿を追跡することができる。その結果、便器に接触したときではなく便器に入ったときに、尿回収装置によって尿が自動的に追跡され回収される。これにより、尿サンプルの相互汚染が回避され、健康データ分析の精度が改善する。
(2)尿回収装置の回収・追跡部材が画像中の尿と一致すると、尿回収装置は移動を中止する。この方法では、尿と追跡部材を同時に認識するためにフィードバック制御アルゴリズムが使用される。このとき尿の特定位置を演算する必要がない。これにより、回収・追跡部材による尿の追跡精度が大幅に改善され、尿を特定するためだけのアルゴリズムにおける、尿の追跡における追跡部材の精度に係る影響が取り除かれる。この方法は、精度と反応速度がより優れる。
(3)制御されたトイレにおけるバックグラウンドの差とセンサの差による影響を取り除くために、制御アルゴリズムの入力として差異画像が使用される。
(4)本発明に係る尿追跡装置は、尿の位置、又は、尿及び回収・追跡部材の位置情報を取得するために画像センサを使用する。ステッピングモータにより駆動する非接触式温度センサを用いたセクター走査モードにおいて非接触式温度センサを移動させなければならない既存の尿追跡装置と比較すると、本発明に係る尿追跡装置は、構造がシンプルであり、追跡移動モードがシンプルであり、精度が高く、応答速度が速い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
上記の内容は本発明の技術的解決法の概要に過ぎない。以下に本発明の技術的手段が更に明確に理解されるよう、図面および詳細な実施形態を挙げつつ本発明を更に詳しく説明する。
【
図2】実施形態1に係る方法のフローチャートである。
【
図3】実施形態2に係る方法のフローチャートである。
【
図4】実施形態6に係る方法のフローチャートである。
【
図6】尿回収装置のハフ変換の原理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、画像認識に基づく自動尿追跡方法に関し、トイレ1に適用可能である。
図1に示すように、トイレ1は、内側壁上に画像センサ11及び尿回収装置12を備える。尿回収装置12の液体回収ヘッド121は回収・追跡部材であり、尿の回収、追跡、特定を同時に行うために用いられる。幾つかの好ましい自動尿追跡方法が以下に詳述される。
【0022】
≪実施形態1≫
図2に示すように、自動尿追跡方法は以下のステップを含む。
S1:画像センサによる便器内側の画像の取得。便器内側の画像は、便器中に尿が存在することを示す画像を含む。
S2:画像処理による尿の認識。特に、尿の画像特徴に基づく閾値の設定。:閾値に基づく尿特徴(urine characteristics)のピクセル点の決定。:画像の各ピクセルと閾値との比較。:閾値よりも大きいピクセルのカウント。閾値よりも大きいピクセルのエリアは尿に対応する。:画像中の最大値を有するピクセル位置に基づく便器中の尿の位置の計算。
S3:尿の位置に基づく尿回収装置の制御。この結果、回収・追跡部材が尿を追跡する。
【0023】
≪実施形態2≫
図3に示すように、自動尿追跡方法は以下のステップを含む。
S1:画像センサによる便器内側の画像の取得。便器内側の画像は尿及び回収・追跡部材を示す画像を含む。
S2:画像処理による、尿及び回収・追跡部材の特定。特に、尿及び回収・追跡部材の画像特徴に基づく尿及び回収・追跡部材それぞれの閾値の設定。:閾値と取得画像中のそれぞれのピクセル点との比較。:回収・追跡部材の閾値よりも大きいピクセルのカウント。閾値よりも大きいピクセルのエリアは回収・追跡部材に対応する。:尿の閾値よりも大きく、尿回収装置の閾値よりも小さいピクセルのカウント。閾値の範囲内のピクセルエリアは尿に対応する。
S3:画像中の回収・追跡部材と尿の位置の違いに基づいて、回収・追跡部材が尿の方向へ移動。
【0024】
≪実施形態3≫
実施形態1のステップS1の前に、さらに以下のステップS0を含む。
【0025】
まず、画像センサは、便器内側の画像データのn個のグループを取得する。次に、画像データの平均値がバックグラウンド画像として演算され保存される。バックグラウンド画像は、尿と回収・追跡部材が便器内側に存在しないことを示す画像である。
【0026】
S2において、まず、差異画像を生成するために画像処理される。差異画像は、バックグラウンド画像を取得した後の便器内側の取得画像とバックグラウンド画像との差異を示す。
【0027】
≪実施形態4≫
実施形態2のステップS1の前に、さらに以下のステップS0を含む。
【0028】
便器内側の画像データのn個のグループを取得する。次に、画像データの平均値がバックグラウンド画像として演算され保存される。バックグラウンド画像は、尿と回収・追跡部材が便器内に存在しないことを示す画像である。
【0029】
S2において、まず、差異画像を生成するために画像処理される。差異画像は、バックグラウンド画像を取得した後の便器内側の取得画像とバックグラウンド画像との差異を示す。
【0030】
≪実施形態5≫
差異画像を取得するために取得画像データからバックグラウンド画像を毎回差し引かれる。これにより実施形態4のS2が置換される。2値画像が生成される。2値画像は、差異画像を2値化処理することにより得られる。2値化処理方法では、閾値よりも大きい画像中の点が1に設定され、閾値よりも小さい画像中の点が0に設定される。
【0031】
尿及び回収・追跡部材の特徴関数に基づいて、2値画像がハフ変換される。尿及び回収・追跡部材それぞれに対応する列数字(the column numbers)が、ハフ変換された2組の特徴関数から取得された最大値に基づいて特定される。
【0032】
図5に示すように、ハフ変換の原理によると、画像中の直線が通過する離散点の特徴方程式は以下のとおりである。
【0033】
r=m×cos(θ)+n×sin(θ)
ここで、rは、縦座標の起点から直線までの垂直距離を示す。θは、rとm軸との狭角を示す。
【0034】
画像中の尿の特徴関数は縦線を示し、尿の特徴方程式の角度θは0度である。
【0035】
尿のすべての特徴ピクセルに対応するr値が演算され、同じr値の発生回数がカウントされる。最も発生頻度の高いr値が、尿の位置する列数字である。
【0036】
尿回収装置の特徴方程式における角度θの範囲は[θ1、θ2]であり、角度θはk個の部分に分解され、尿回収装置の回収・追跡部材の特徴ピクセルのr値が演算され、すべてのr値の発生回数がカウントされる。このことが
図6から分かる。発生回数の最も多いr値に対応する直線が尿回収装置の回収・追跡部材に関連する。
【0037】
S3は次のとおりである。差異画像中の尿回収装置の回収・追跡部材と尿との位置の差異に従って尿回収装置は尿の方向へ移動する。特に、画像中の認識された尿と尿回収装置の回収・追跡部材との列差e
kに従って、尿回収装置はPI制御される。制御関数は次のとおりである。
【0038】
u(k)=K
p×e
k+K
i×e
k+u(k−1)
ここで、u(k)は尿回収装置のk番目の出力である。u(k−1)は、(k−1)番目の出力である。K
pは比例係数である。Kiは整数係数である。e
kはk番目の差異である。
【0039】
≪実施形態6≫
実施形態2、4、5のうち任意の実施形態をベースとして、ステップS4が追加される。ステップS4は、画像中で回収・追跡部材が尿に一致するまでS1、S2、及びS3を繰り返す。そして、回収・追跡部材は移動を中止する(特に
図4に記載)。
【0040】
本発明は、さらに自動尿追跡装置を提供する。自動尿追跡装置はスマートトイレである。
図1に示すように、スマートトイレの内側壁に画像センサ11と尿回収装置12が取り付けられる。尿回収装置12の液体回収ヘッド121は、回収・追跡部材であり、尿の追跡と回収を同時実施するために使用される。自動尿追跡装置は、さらに、メモリ、プロセッサ、及び、コンピュータ・プログラムを含む。コンピュータ・プログラムは、メモリに記録され、プロセッサ上で実行可能である。プロセッサは、コンピュータ・プログラムを実行するときに、実施形態1〜6の何れかの方法のステップを行う。
【0041】
自動尿追跡装置は、画像認識に基づいて尿を自動追跡することが可能なトイレである。尿、尿回収装置、及びトイレが異なる画像特徴を有する現象を用いて、便器内側の画像を収集するために画像センサが用いられる。そして、尿及び回収・追跡部材が画像から認識されて、尿回収装置の移動機能(a motion function)が生じる。尿回収装置は上記の方法により自動的に尿を追跡することができる。その結果、便器に接触したときではなく便器に入ったときに、尿回収装置によって自動的に尿が追跡され回収される。これにより、尿サンプルの相互汚染が回避され、健康データ分析の精度が改善する。
【0042】
特に、尿回収装置の回収・追跡部材が画像中の尿と一致すると、尿回収装置は移動を中止する。この方法では、尿と追跡部材を同時に特定するためにフィードバック制御アルゴリズムが用いられる。このとき、尿の特定位置は演算されない。これにより、回収・追跡部材による尿の追跡精度が大幅に改善され、尿を特定するためだけのアルゴリズムに関連する、尿追跡における追跡部材の精度の影響が取り除かれる。この方法は、精度と反応速度がより優れる。
【0043】
好ましくは、上記の画像センサとして赤外線画像センサ又は可視光画像センサが使用される。
【0044】
上記の実施形態において、画像センサは便器の左側に設けられる。尿回収装置は便器の右側に設けられる。しかしながら、本発明は、そのような取り付けに限定されない。当業者であれば、画像センサ及び尿回収装置の位置は入れ替え可能であること、画像センサ及び尿回収装置はいずれも便器の内壁の左側又は右側に設けられてよいこと、又は、画像センサ及び尿回収装置は便器の内壁の前方又は後方に設けてよいことを理解する。あるいは、尿回収装置及び画像センサを2組設けてよい(尿回収装置及び画像センサの第1の組は便器の左側又は右側に設けられ、尿回収装置及び画像センサの第2の組は便器の前方又は後方に設けられる。これにより一致精度が高くなり、尿回収装置の追跡部材の液体回収範囲への要求は大幅に減る)。
【0045】
さらに、好ましくは、差異画像を取得するために画像センサと協働すべく、尿回収装置の回収・追跡部材にカラーマークが設けられていることが好ましい。画像認識を促進することが可能な他のマークが使用されてもよい。回収・追跡部材は、円形、三角形、四角形などの任意の幾何形状であってよい。
【0046】
上記実施形態は、スマートトイレの一例とともに説明されている。当然に、当業者であれば、尿を自動追跡・検出するという目的を実現するために、上記装置がトイレに限定される必要がないことを理解する。上記装置は病院で使用されてもよく、例えば、上記方法・装置は、病院の医療用尿検出装置のコンテナで使用されてよく、上記目的は、医療用尿検出装置の上記コンテナを上記トイレに交換するだけで実現される。
【0047】
結論として、尿回収装置は、本発明に係る画像認識に基づく方法により尿を自動追跡することができる。その結果、尿は、便器に接触したときではなく便器に入ったときに、尿回収装置によって自動的に尿が追跡され回収される。これにより、尿サンプルの相互汚染が回避され、健康データ分析の精度が改善する。特に、尿回収装置の回収・追跡部材が画像中の尿と一致するかどうかに従って動作制御がなされる。このとき尿の特定位置を演算する必要がない。これにより、回収・追跡部材による尿の追跡精度が大幅に改善され、尿を特定するためだけのアルゴリズムにおける、尿追跡における追跡部材の精度の影響が取り除かれる。この方法は、精度と反応速度がより優れており、普及と適用に好適である。
【0048】
以上は単に本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明に対するいかなる限定でもない。当業者が以上に開示された技術的内容を利用して若干に行う簡単な変形、均等的改変、または修飾も本発明の保護範囲に含まれる。