特許第6735901号(P6735901)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6735901
(24)【登録日】2020年7月16日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】送信機及び対応する方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20200728BHJP
【FI】
   H04L27/26 312
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-504810(P2019-504810)
(86)(22)【出願日】2017年7月27日
(65)【公表番号】特表2019-523602(P2019-523602A)
(43)【公表日】2019年8月22日
(86)【国際出願番号】IB2017001215
(87)【国際公開番号】WO2018025093
(87)【国際公開日】20180208
【審査請求日】2019年3月19日
(31)【優先権主張番号】201610608119.6
(32)【優先日】2016年7月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ハイジン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヘ
【審査官】 阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/010684(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/018621(WO,A1)
【文献】 特表2016−506125(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0304146(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0091370(KR,A)
【文献】 MATTHE MAXIMILIAN et al.,A Reduced Complexity Time-Domain Transmitter for UF-OFDM,2016 IEEE 83RD VEHICULAR TECHNOLOGY CONFERENCE (VTC SPRING), IEEE,IEEE,2016年 5月15日
【文献】 Nokia, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,Subband-wise filtered OFDM for New Radio below 6 GHz[online], 3GPP TSG-RAN WG1#85 R1-165014,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_1123/Docs/R1-165014.zip>,2016年 5月13日,P. 1-10
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
IEEE Xplore
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
IEEE 802.11
15
16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信方法であって、
複数のサブバンドにわたる送信される信号を前処理するステップと、
ユニバーサルフィルタ直交周波数分割多重(UF−OFDM)信号を生成するように前記信号をフィルタリングするステップであって、前記複数のサブバンドの2以上が共通フィルタによってフィルタリングされる、ステップと、
生成された前記UF−OFDM信号を送信するステップと
を備え
前記前処理するステップは、
周波数領域信号を予等化するステップ、及び
前記送信される信号を取得するように前記周波数領域信号を周波数−時間変換によって時間領域に変換するステップ
を備え、
前記予等化するステップは、
前記フィルタリングするステップについてのフィルタ係数を特定するステップ、及び
前記複数のサブバンドの帯域幅及び前記フィルタ係数に基づいて、前記予等化するステップについてのパラメータを特定するステップ
を備える、方法。
【請求項2】
前記フィルタリングするステップは、
前記複数のサブバンドにおいて連続するサブバンドの帯域幅を特定するステップ、及び
前記特定された帯域幅に基づいて、所定のルックアップテーブルを参照することによって前記連続するサブバンドをフィルタリングするフィルタ係数を特定するステップであって、前記ルックアップテーブルはサブバンドの帯域幅とそれぞれのフィルタ係数との相関関係を記憶する、ステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のサブバンドは同一の帯域幅を有し、
前記連続するサブバンドの帯域幅を特定するステップは前記連続するサブバンドの数を特定するステップを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フィルタリングするステップは、
第1のフィルタを用いて前記複数のサブバンドにおける連続するサブバンドの第1のグループをフィルタリングするステップ、及び
第2のフィルタを用いて前記複数のサブバンドにおける連続するサブバンドの第2のグループをフィルタリングするステップであって、連続するサブバンドの前記第1及び第2のグループは相互に不連続であり、前記第1のフィルタは前記第2のフィルタと異なる、ステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フィルタリングするステップは、有限インパルス応答フィルタを用いて前記信号をフィルタリングするステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
送信機であって、
コントローラと、
前記コントローラに連結されたメモリと
を備え、
前記コントローラは、前記メモリと共に、
複数のサブバンドにわたる送信される信号を前処理し、
前記送信機による送信のためにユニバーサルフィルタ直交周波数分割多重(UF−OFDM)信号を生成するように前記信号をフィルタリングするように構成され、前記複数のサブバンドのうちの2以上が共通フィルタによってフィルタリングされ
周波数領域信号を予等化し、
前記送信される信号を取得するように前記周波数領域信号を周波数−時間変換によって時間領域に変換し、
前記フィルタリングする処理についてのフィルタ係数を特定し、
前記複数のサブバンドの帯域幅及び前記フィルタ係数に基づいて、前記予等化する処理についてのパラメータを特定する、
送信機。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記複数のサブバンドにおいて連続するサブバンドの帯域幅を特定し、
前記特定された帯域幅に基づいて、所定のルックアップテーブルを参照することによって前記連続するサブバンドをフィルタリングするフィルタ係数を特定するようにさらに構成され、前記ルックアップテーブルはサブバンドの帯域幅とそれぞれのフィルタ係数との相関関係を記憶する、請求項に記載の送信機。
【請求項8】
前記複数のサブバンドの各々は同一の帯域幅を有し、前記コントローラは、
前記連続するサブバンドの数を特定することによって前記連続するサブバンドの前記帯域幅を特定するようにさらに構成された、請求項に記載の送信機。
【請求項9】
前記コントローラは、
第1のフィルタを用いて前記複数のサブバンドにおける連続するサブバンドの第1のグループをフィルタリングし、
第2のフィルタを用いて前記複数のサブバンドにおける連続するサブバンドの第2のグループをフィルタリングするようにさらに構成され、連続するサブバンドの前記第1及び第2のグループは相互に不連続であり、前記第1のフィルタは前記第2のフィルタと異なる、請求項に記載の送信機。
【請求項10】
前記コントローラは、有限インパルス応答フィルタを用いて前記信号をフィルタリングするように構成された、請求項に記載の送信機。
【請求項11】
送信機であって、
演算モジュールを備え、
前記演算モジュールは、
送信される信号を前処理するように構成された前処理モジュールであって、前記信号が複数のサブバンドにわたる、前処理モジュール、及び
送信のためのユニバーサルフィルタ直交周波数分割多重(UF−OFDM)信号を生成するように前記信号をフィルタリングするように構成されたフィルタリングモジュールであって、前記複数のサブバンドの2以上が共通フィルタによってフィルタリングされる、フィルタリングモジュール
を備え
前記前処理モジュールは、
周波数領域信号を予等化する予等化モジュール、及び
前記送信される信号を取得するように前記周波数領域信号を周波数−時間変換によって時間領域に変換する変換モジュール
を備え、
前記予等化モジュールは、
前記フィルタリングする処理についてのフィルタ係数を特定し、且つ
前記複数のサブバンドの帯域幅及び前記フィルタ係数に基づいて、前記予等化する処理についてのパラメータを特定する、
送信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概略として通信分野に関し、より具体的にはユニバーサルフィルタ直交周波数分割多重(UF−OFDM)信号を処理する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユニバーサルフィルタ直交周波数分割多重(UF−OFDM)は、ユニバーサルフィルタマルチキャリア(UFMC)としても知られ、OFDMベースの5G通信システムにおいて有望な技術である。UF−OFDM送信機では、通常、信号をフィルタリングすることが要求される。そのため、サブキャリアグループをフィルタリングするのにサブバンド有限インパルス応答(FIR)フィルタが採用される。各サブバンドの波形は独立して合成されるため、周波数−時間変換及びフィルタリング動作の数は、UF−OFDM信号処理効率に影響を与える主な要因であるサブバンドの数と等しくなる必要がある。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様によれば、通信方法が提供される。方法は、複数のサブバンドにわたる送信される信号を前処理するステップと、ユニバーサルフィルタ直交周波数分割多重(UF−OFDM)信号を生成するように信号をフィルタリングするステップであって、複数のサブバンドのうちの2以上のサブバンドが共通フィルタによってフィルタリングされるステップと、生成されたUF−OFDM信号を送信するステップとを含む。
【0004】
ある実施形態では、方法は、複数のサブバンドにおいて連続するサブバンドの帯域幅を特定するステップと、特定された帯域幅に基づいて所定のルックアップテーブルを参照することによって連続するサブバンドをフィルタリングするフィルタ係数を特定するステップとをさらに含み、ルックアップテーブルは、サブバンドの帯域幅とそれぞれのフィルタ係数との相関関係を記憶する。
【0005】
ある実施形態では、複数のサブバンドの各々は同一の帯域幅を有し、連続するサブバンドの帯域幅を特定するステップは、連続するサブバンドにおけるサブバンドの数を特定するステップを含む。
【0006】
ある実施形態では、前処理するステップは、周波数領域信号を予等化するステップ及び送信される信号を取得するように周波数領域信号を周波数−時間変換によって時間領域に変換するステップを含む。
【0007】
ある実施形態では、予等化するステップは、フィルタリングするフィルタ係数を特定するステップ並びに複数のサブバンドの帯域幅及びフィルタ係数に基づいて予等化するパラメータを特定するステップを備える。
【0008】
ある実施形態では、フィルタリングするステップは、第1のフィルタを用いて複数のサブバンドにおける連続するサブバンドの第1のグループをフィルタリングするステップ及び第2のフィルタを用いて複数のサブバンドにおける連続するサブバンドの第2のグループをフィルタリングするステップを含み、連続するサブバンドの第1及び第2のグループは相互に不連続であり、第1のフィルタは第2のフィルタと異なる。
【0009】
ある実施形態では、フィルタリングするステップは、有限インパルス応答フィルタを用いて信号をフィルタリングするステップを備える。
【0010】
本開示の第2の態様によれば、送信機が提供される。送信機は、コントローラ及びコントローラに連結されたメモリを含み、コントローラは、メモリと共に、送信される信号を前処理し、信号は複数のサブバンドにわたり、送信機によって送信するためのユニバーサルフィルタ直交周波数分割多重(UF−OFDM)信号を生成するように信号をフィルタリングし、複数のサブバンドのうちの2以上のサブバンドが共通フィルタによってフィルタリングされるように構成される。
【0011】
本開示の第3の態様によれば、送信機が提供される。送信機は、送信される信号を前処理するように構成された前処理モジュールであって、信号は複数のサブバンドにわたる、前処理モジュールと、送信するためのユニバーサルフィルタ直交周波数分割多重(UF−OFDM)信号を生成するように信号をフィルタリングするように構成されたフィルタリングモジュールであって、複数のサブバンドのうちの2以上のサブバンドが共通フィルタによってフィルタリングされる、フィルタリングモジュールとを含む演算モジュールを備える。
【0012】
発明の概要は、単純化された方法においてコンセプトの選択を導入するように提供され、以降の実施形態の詳細な説明においてさらに説明される。発明の概要は、本開示の重要若しくは不可欠な特徴を識別すること又は本開示の範囲を限定することを目的としていない。
【0013】
添付の図面を参照した本開示の例示的な実施形態のより詳細な説明を通して、本開示の上記及び他の目的、特徴及び効果がより明らかとなり、本開示の例示的な実施形態において同一の符号は、通常、同一の構成要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、従来の解決手段におけるUF−OFDM送信機の例示のブロック図を示す。
図2図2は、本開示の実施形態によるUF−OFDM信号を処理する例示の手順200の概略図を示す。
図3図3は、本開示の実施形態によるUF−OFDM信号を処理する方法又は手順300の例示のフローチャートを示す。
図4図4は、本開示の一実施形態によるUF−OFDM信号を処理する例示の手順400の概略図を示す。
図5図5は、本開示の実施形態を実現する装置500の簡略化したブロック図を示す。
図6図6は、本開示の実施形態を実現する送信機600の例示の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の例示的な実施形態は、図面を参照してより詳細に説明される。本開示の例示的な実施形態は図面によって示されるが、本開示は種々の方式において実施されてもよく、ここに説明される実施形態に限定されるべきではないことが理解されるべきである。それとは反対に、実施形態は、本開示をより徹底的及び完全にし、本開示の範囲を当業者に十分に伝達するように提供される。
【0016】
ここで使用されるように、用語「含む」及びその変形は、「含むが、それに限定されない」ことを意味するオープンエンドの用語として読まれるべきである。文脈上明示されない限り、用語「又は(若しくは)」は、「及び/又は」として読まれるべきである。用語「基づく」は、「少なくともある程度基づく」として読まれるべきである。用語「例示の一実施形態」及び「一実施形態」は、「少なくとも1つの例示の実施形態」として読まれるべきである。用語「更なる実施形態」は、「少なくとも1つの更なる実施形態」として読まれるべきである。用語「第1」及び「第2」などは、同じ又は異なる対象を示すことがある。以下の文章は、他の明示的及び暗黙的な定義を備え得る。
【0017】
上述のように、UF−OFDM信号が送信される場合、サブバンドと同じ数の時間−周波数変換及びフィルタ動作の数が必要とされる。図1に示すように、旧来的に、フィルタリングを実施するのにサブバンドの数と同じ数のフィルタが採用される。具体的には、図1に示すUF−OFDMシステム100は、110から110のK個のサブバンドを含み、kは1より大きい自然数であり、各サブバンドは例えばQ個のサブキャリアを含み得る。
【0018】
110から110の各サブバンド信号の処理は、複数の段階に分割され得る。信号は、120から120の予等化段階で予等化される。その後、予等化された信号は、130から130の周波数−時間変換段階で周波数領域から時間領域に変換される。旧来的な解決手段では、時間−周波数変換された各サブバンド信号は、そのそれぞれのサブバンドフィルタ140・・・140によってフィルタリングされ、それぞれのサブバンドフィルタは、シフト周波数の長さがLとなるプロトタイプフィルタである。時間領域における出力信号150(xとする)は、
【数1】
として表すことができ、ここで、s∈CQ×1はk番目のサブバンド上で送信される搬送情報信号を表すQ×1行列を表し、P∈CQ×QはQ×Q予等化対角行列を表し、VN×Qはk番目のサブバンドのサブキャリア周波数に対応する列のみを含むN×Q行列のN点逆離散フーリエ変換行列の部分行列を表し、F∈C(N+L−1)×NはFIRフィルタ係数応答で構成されるテプリッツ行列を表す(N+L−1)×N行列を表す。
【0019】
しかしながら、上記の解決手段によれば、データが複数のサブバンドにわたって送信される場合、別個のサブバンドフィルタを有する各サブバンドによって上記の実施は複雑になる。上記及び他の潜在的な問題及び欠点を少なくとも部分的に解決するために、本開示は、送信機の複雑性を軽減し、UF−OFDMシステムに利用可能な方法を提供する。
【0020】
図2に、本開示の実施形態によるUF−OFDM信号を処理する例示的な手順200の概略図を示す。図2の各ブロックは、処理の各段階又はステップとみなされてもよく、例えば送信機におけるモジュール又は構成要素として実施されてもよい。
【0021】
本開示の実施形態によれば、複数のサブバンドにわたって送信される信号について、信号の2以上のサブバンドが同一のフィルタでフィルタリングされ、それによってUF−OFDM信号の処理の性能と効率が大幅に改善され、処理コストが軽減される。例えば、図2に示す例において、信号210は、連続するサブバンド210・・・210にわたる信号である。本開示の文脈において技術用語「サブバンド」および「サブバンド信号」は、入れ替えられてもよいことが理解される。
【0022】
これらのサブバンドが(後述する)所定の条件を満たす場合、それらは全体として時間領域信号250を出力するようにフィルタリングされてもよく、図1とは対照的となる。選択的に、前処理220の上記手順(例えば予等化及び周波数−時間変換)は、全体的に完了され得る。すなわち、手順は、信号210によって占有される各サブバンド210・・・210を予等化し、周波数−時間変換し、バンドパスフィルタリングする(240)従来の解決手段とは異なる。
【0023】
以下の説明から、本開示の実施形態は、全ての帯域において1つのみのフィルタを使用することを必要としないことが理解されるべきである。例えば、送信される信号210におけるサブバンド210・・・210は複数のグループを含み、各グループにおけるサブバンドは連続的であるがグループ間には不連続性が存在する。このとき、特定のフィルタが、各グループに採用される。このようにして、従来の解決手段と比較して、送信機の性能は、大幅に改善され得る。この態様における例示的な実施例も後述される。
【0024】
図3は、本開示の実施形態によるUF−OFDM信号の処理の方法又は手順300の例示的なフローチャートである。方法300は送信機によって実施可能であり、送信機の例は図5及び図6を参照して以下に示され得る。
【0025】
ブロック302において、送信される信号は前処理され、信号は複数のサブバンドにわたることがある。ある実施形態では、ブロック302における前処理するステップは、送信される周波数領域信号を予等化するステップ及び周波数領域信号を時間領域に周波数−時間変換によって変換するステップを含み得るが、これに限定されない。図3におけるブロック302における処理は、図2における前処理段階220における処理であることが理解されるべきである。ある実施形態では、前処理するステップは予等化する処理を含むことができ、予等化のパラメータは特定された帯域幅及び特定されたフィルタリングするためのフィルタに基づいて特定される。これについては、図4を参照して以下の記載でさらに説明する。
【0026】
ブロック304において、UF−OFDM信号は信号をフィルタリングすることによって生成され、複数のサブバンドのうちの2以上のサブバンドが共通フィルタによってフィルタリングされる。ここでの動作は、図2のフィルタリングする段階240において実現され得る。ある実施形態では、フィルタリングするステップは、複数のサブバンドにおいて連続するサブバンドの帯域幅を特定するステップ及び特定された帯域幅に基づいて所定のルックアップテーブルを参照することにより連続するサブバンドをフィルタリングするフィルタ係数を特定するステップを含み得るが、これに限定されず、ここでルックアップテーブルは、複数のサブバンドの帯域幅とそれぞれのフィルタ係数との間の相関関係を記憶する。
【0027】
ブロック306において、生成されたUF−OFDM信号が、送信され得る。ある実施形態では、生成されたUF−OFDM信号は、送信機におけるRF回路/モジュールに送信される。
【0028】
図3に示す手順300によれば、複雑性は、送信される信号によって占有されるサブバンドの数とは無関係である。このようにして、従来のUF−OFDMと比較して、大量の計算リソースをセーブし得る。
【0029】
図4に、本開示の実施形態によるUF−OFDM信号を処理する例示的な手順400の概略図を示す。図4の各ブロックは、処理の各段階又はステップとみなされてもよいし、例えば送信機におけるモジュール又は構成要素として実施されてもよい。図3におけるフローチャートを参照し、図4に示される例示の実施例との組合せにおいて説明する。図4の手順400は、本発明の例示の実施例の手順を示すものにすぎないことが理解されるべきである。図4における予等化420及び周波数−時間変換430は、図2における前処理220の可能な実施例にすぎない。同様に、プロトタイプフィルタLUT460を参照するステップも、本開示の例示の実施例の手順となり得る。したがって、当業者であれば、図4に示されていない幾つかの可能な実施例があることを理解することができる。
【0030】
上述のように、複数の連続するサブバンドにわたる信号である信号410は、前処理され得る(図3、ブロック302)。ある実施形態では、前処理するステップは2段階、すなわち予等化420及び周波数−時間変換430を少なくとも含み得る。具体的には、現在存在している又は開発され得る任意の手段が、420において信号を予等化するのに採用され得る。その後、430において、予等化された信号は、周波数領域信号から時間領域信号に変換され得る。ある実施形態では、適用される時間−周波数変換方法は、逆高速フーリエ変換(IFFT)又は他の時間−周波数変換方法であってもよい。
【0031】
特にある実施形態では、信号410をフィルタリング440するフィルタ、より具体的にはフィルタ係数が、特定され得る。そして予等化420のパラメータは、連続するサブバンドの数及び特定されたフィルタ係数に基づいて特定され得る。このようにして、予等化及びフィルタリングを協調させてより十分に整合させるために、「フィードバックループ」をそれらの間に形成してもよい。
【0032】
次に、前処理された信号410は、UF−OFDM信号を生成するようにフィルタリング440される(図3、ブロック304)。ある実施形態では、信号410における連続するサブバンドの帯域幅は、ステップ440において特定され得る。その後、信号410における連続するサブバンドをフィルタリングするフィルタ係数が、信号410の特定された帯域幅に基づいて所定のルックアップテーブル460を参照することにより特定されてもよく、ルックアップテーブル460は複数のサブバンドの帯域幅とそれぞれのフィルタ係数との間の相関関係を記憶する。ある実施形態では、信号410における連続するサブバンドの帯域幅を特定するステップは、連続するサブバンドの数470(K470)を特定するステップを含み得る。ある実施形態では、ルックアップテーブル460に記憶されたプロトタイプサブバンドフィルタは有限インパルス応答フィルタ(FIR)となる。他の適切な種類のフィルタも利用可能であることを理解されるべきである。ルックアップテーブル460の例を以下に示す。
【表1】
【0033】
信号410の特定された帯域幅及び信号410における連続するサブバンドの数470(K470)に基づいて、信号410と同じ帯域幅を有するプロトタイプサブバンドフィルタがルックアップテーブル460において参照されてもよく、信号410と同じ帯域幅を有するプロトタイプサブバンドフィルタについてのフィルタ係数が特定されてもよい。利用されるフィルタ係数は、信号410と同じ帯域幅を有するプロトタイプサブバンドフィルタについてのフィルタ係数と同一となる。時間領域における出力信号450(S450として表される)は、
450=FVPS410
として表されてもよく、ここでS410はK個全部のサブバンド上に送信される搬送情報信号を表すKQ×1行列を表し、Qはサブバンドごとのサブキャリアの数を示し、PはKQ×KQの予等化対角行列を表し、VはN×KQ行列であるN点逆離散フーリエ変換行列の部分行列を表し、部分行列VはK個全てのサブバンドのサブキャリア周波数に対応する列を含み得る。
【0034】
この例において、UF−OFDMシステムにおける周波数−時間変換の数及びフィルタリングの回数はサブバンドの数に等しいため、連続するサブバンドの数は470(K470)となり、サブバンドごとのサブキャリアの数Qの送信される信号は1に等しいサブバンドの数K4701と扱われてもよく、サブバンド信号のサブキャリアの数はK470×Qと等しいQとなり得る。送信される信号のサブバンド数は1とみなすことができるため、周波数−時間変換の数及びフィルタリングの回数の双方が1となり得る。さらに、上述のように、本開示の実施形態では有限インパルス応答フィルタを利用してもよく、その例にはチェビシェフフィルタが含まれるがこれに限定されない。もちろん、他の適切な種類のフィルタも、ここで使用することができる。
【0035】
ある実施形態では、送信される信号によって占有される複数のサブバンドは、完全に連続的でないこともある。このとき、304において各グループの連続するサブバンドに対して専用のフィルタを採用してもよい。信号の複数のサブバンド210・・・210がサブバンドの第1のグループ及びサブバンドの第2のグループを含むと仮定すると、サブバンドの第1のグループ及びサブバンドの第2のグループはそれぞれ連続しているが、サブバンドの第1のグループ及びサブバンドの第2のグループは相互に連続しない。この点において、304において、サブバンドの第1のグループは第1のフィルタによってフィルタリングされ、サブバンドの第2のグループは第2のフィルタによってフィルタリングされ、ここで第1のフィルタは第2のフィルタと異なっている。
【0036】
図5に、本開示の実施形態を実現するのに適した装置500の簡略化したブロック図を示す。装置500は、基地局(BS)及びユーザ機器(UE)においても実施することが理解されるべきである。図示のように、装置モジュール500は、演算モジュール580を含み得る。ある実施形態では、演算モジュール580はまた、コンスタレーションマッピングモジュール(不図示)、サブバンド信号生成部(不図示)及びRFモジュール(不図示)に接続されてもよい。
【0037】
演算モジュール580は、前処理モジュール520及びフィルタリングモジュール540を含み得る。前処理モジュール520は送信される信号を前処理するように構成されてもよく、ここで信号は複数のサブバンドにわたる。フィルタリングモジュール540は、送信するためのUF−OFDM信号を生成するように信号をフィルタリングするように構成されてもよく、ここで複数のサブバンドのうちの2以上のサブバンドが、共通のフィルタによってフィルタリングされる。
【0038】
ある実施形態では、フィルタリングモジュール540はまた、複数のサブバンドにおいて連続するサブバンドの帯域幅を特定し、特定された帯域幅に基づいて所定のルックアップテーブルを参照することにより連続するサブバンドをフィルタリングするフィルタ係数を特定するようにも構成されてもよく、ここでルックアップテーブルは、複数のサブバンドの帯域幅とそれぞれのフィルタ係数との間の相関関係を記憶する。ある実施形態では、ルックアップテーブルは、演算モジュール580と通信可能に接続された記憶モジュール560に記憶され得る。ルックアップテーブルはまた、他の適切な場所にも記憶され得る。
【0039】
図6は、本発明の実施形態を実現するのに適した送信機600の簡略化したブロック図である。送信機600は、基地局(BS)などのネットワークデバイス及び/又は端末デバイス例えばユーザ機器(UE)に含まれ得ることが理解される。
【0040】
図6によれば、送信機600は、コントローラ680及びコントローラ680に接続されたメモリ660を含み得る。送信機600はまた、RF回路(不図示)などの他の要素も含み得ることも理解されるべきである。コントローラ680は、メモリ660の構成下において、図2から図4を参照して説明した上記手順及び方法を実行し得る。ある実施形態では、コントローラ680はまた、サブバンド信号を生成するなどの動作も実行し得る。コントローラ680は、フィールドプログラマブルゲードアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、及び本開示の実施形態を実施可能な要素のその他の1以上の組合せとなり得る。
【0041】
ルックアップテーブルを採用する実施形態においては、ルックアップテーブルは、メモリ660に記憶され得る。ある実施形態では、メモリ660は、コントローラ680に外部的に接続された記憶要素となり得る。ある実施形態では、メモリ660は、コントローラ680内部の記憶要素であってもよい。メモリ660は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、又は他の適切な種類のメモリの1以上の組合せであってもよい。
【0042】
図面のフローチャート及びブロック図は、本開示の実施形態によるシステム及び方法によって実施される可能なシステムアーキテクチャ、機能及び動作を示す。この点において、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、1つのモジュール、プログラムセグメント又は命令の一部を表し得るものであり、モジュール、プログラムセグメント、命令の一部は既定の論理機能を実現するために1以上の実行可能な命令を含む。代替的な実施例においては、ブロックで示される機能はまた、図面に示されるものと異なる順番で行われ得る。例えば、実際には2つの連続するブロックを基本的に並行に実行することもでき、関与する機能に応じて逆の順序で実行され得る。ブロック図及び/又はフローチャートにおける各ブロック並びにブロック図及び/又はフローチャートにおけるブロックの組合せは、既定の機能若しくは動作を実行する専用のハードウェアベースのシステム、又は専用のハードウェア及びコンピュータ命令の組合せによって実施され得る。
【0043】
本開示の種々の実施形態が上記に説明されており、その説明は例示的及び非網羅的であり、開示された実施形態に限定されるべきではない。説明された実施形態の範囲及び要旨から逸脱することなく、多くの変更及び変形が、当業者には明らかとなる。本文中の専門用語の選択は、原理、各実施形態の実際的な適用及び市場における技術に対するそれらの技術的貢献を最もよく説明すること、又は他の当業者が本文中に開示された種々の実施形態を理解可能とすることを目的とする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6